多面体構造体
【課題】例えば地球儀において組立パーツの種類を減らすことのできる多面体構造体を提供する。
【解決手段】
組立が完了した地球儀H120は吉本キューブの構造を備えている。斜線で囲まれた立方体ユニットH121のうち3つの正方形面A120は地球儀の図柄が印刷された表面部材として機能している。このとき6つある立方体の面のうち残りの3面は地球儀内部に配されており、コア部材として地球儀の強度を担保する。
【解決手段】
組立が完了した地球儀H120は吉本キューブの構造を備えている。斜線で囲まれた立方体ユニットH121のうち3つの正方形面A120は地球儀の図柄が印刷された表面部材として機能している。このとき6つある立方体の面のうち残りの3面は地球儀内部に配されており、コア部材として地球儀の強度を担保する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば情報が描かれたボード材を組み合わせることでできる多面体構造体に関し、典型例として地図が描かれた紙材を組み合わせることでできる地球儀のペーパークラフトに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、地球儀は、世界地図を分割して表示した複数の部分地図を球体の表面に貼付することにより製作されている。しかしながら、このような地球儀は、球を製作し、かつ正確な部分地図を球体に貼付しなければならないので、個人が製作することは極めて困難であり、また、キットとして販売されたものであっても、部分地図の位置合わせ等の作業において製作はなお面倒であり、さらに高価なものであった。
【0003】
そこで、従来、球体を使用することなく、厚紙等を用いて多面体を形成し、この多面体を球体の替わりに地球儀に利用する技術が提案されている。特許文献1は、正多面体及び準正多面体のペーパークラフトを開示している。この特許文献1は、正多面体又は準正多面体を展開した互いに連続する複数の正五角形、正三角形の各辺で折り曲げることにより正多面体又は準正多面体を作ることを提案すると共に、正五角形又は正三角形の互いに隣接する辺同士の接合を糊代又はスリットとこのスリットに挿入するリップで構成することを提案している。
【0004】
特許文献2は、複数の種類の厚紙にスリットを設け、このスリットに別の厚紙を挿入することで内部補強であるコア部材を形成し、また、多面体の表面材を構成するプラスチックシートに差し込み部を設けて、この差し込み部をコア部材に挿入することで多面体を構築することを提案している。この特許文献2に開示の技術によれば糊無しで多面体を作ることができる。
【0005】
従来から「吉本キューブ」(発案者:吉本直貴氏)と呼ばれる8つの立方体ユニットで構成された立方体玩具が知られている。この吉本キューブは、隣接する立方体ユニット同士がヒンジ連結されており、これにより、立方体から直方体、直方体から立方体に形態を変化させながら各立方体ユニットの6つの面を外表面に露出させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−28394号公報
【特許文献2】特開2010−66703号公報
【発明の開示】
【0007】
本発明の目的は、例えば地球儀において組立パーツの種類を減らすことのできる多面体構造体を提供することにある。
【0008】
本発明の更なる目的は、外側多面体からこれに内接する内側多面体を除いた形状の多面体構造体の組立式クラフトを提供することにある。
【0009】
本発明の別の目的は、従来から知られている「吉本キューブ」を簡単な組み立て作業で作り上げることのできる多面体構造体の組立式クラフトを提供することにある。
【0010】
本願発明は典型的には地球の図柄が印刷された表面部材と地球儀の構造を補強するコア部材を共通化することを特徴とする。これを上位概念化して説明すると、部品同士の連結材にヒンジ機能を加えることで地球儀の表裏をひっくり返すリバーシブル機能が付加され上記表面部材とコア部材の役割が入れ替わることを特徴とする。これによって部材種類を減らし簡単に地球儀を組立られると同時にコア部材によってしっかりした構造の地球儀を作ることができる。また2つの異なるテーマの地球儀を代わる代わる眺めることができ、これまでにない世界観を学ぶことができる。
【0011】
具体的には、上記の技術的課題は、本発明によれば、少なくとも二枚以上のボード材でできているスタートユニットと、該スタートユニットを折り曲げて立体化する第1組立過程により2つ以上の立体中間ユニットを有し、該立体中間ユニットを連結ユニットによりつなぎ合わせる第二組立過程により得られる多面体エンド構造体において、該中間ユニットの少なくとも1つの面が該エンド構造体の表面部材の一部を構成し、該中間ユニットの残りの面のうち少なくとも1つの面が該エンド構造体を補強する内部コア部材となることを特徴とする多面体構造体が提供される。これによれば、地球儀の図柄が印刷された表面部材と地球儀の構造を補強するコア部材を共通化することによって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1実施例の吉本キューブに関し、これを作るためのボード材ユニットを示す斜視図である。
【図2】「8」の字ユニットの結合方法を示す組立図である。
【図3】図2に続く手順を示す「8」の字ユニットの組立図である。
【図4】図3に続く手順を示す「8」の字ユニットの組立図である。
【図5】図4に続く手順を示す「8」の字ユニットの組立図である。
【図6】図5に続く手順を示す「8」の字ユニットの組立図である。
【図7】「8」の字ユニットの完成図である。
【図8】「8」の字ユニット同士を連結させる組立図である。
【図9】図8に続く手順を示す「8」の字ユニット同士を連結する組立図である。
【図10】図9に続く手順を示す「8」の字ユニット同士を連結する組立図である。
【図11】全てのユニットの連結が完了することで完成した、直方体の状態の吉本キューブを示す図である。
【図12】立方体形状の吉本キューブであり、その外表面に地球の地図が印刷されている組立式地球儀(吉本キューブ)の完成図である。
【図13】第2実施例の外側多面体を作るためのボード材ユニットを示す斜視図である。
【図14】ボード材ユニットに連結ユニットを取り付ける組立図である。
【図15】屋根ユニットの完成図である。
【図16】カスタマイズされた連結ユニットを取り付ける組立図である。
【図17】カスタマイズされた屋根ユニットの完成図である。
【図18】屋根ユニット同士の連結手順を示す組立図である。
【図19】屋根ユニット同士が連結された展開状態を示す図である。
【図20】図19に示す屋根ユニットを立ち上げる手順を示す組立図である。
【図21】最後の屋根ユニットを係合させる図20に続く手順を示す図である。
【図22】第2実施例の組立式正十二面体地球儀の完成図である。
【図23】正十二面体地球儀を再分解した状態を示す図である。
【図24】図23に示す屋根ユニットを立ち上げる手順を示す組立図である。
【図25】最後の屋根ユニットを係合させる図24に続く手順を示す図である。
【図26】外側多面体を構成する屋根ユニットを反転させて組み立てた組立式立方体地球儀の完成図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
第1実施例(図1〜図12):
例えば地球儀をつくる場合、球体を多面体と見立てた展開図の各面に部分世界地図を印刷した表面部材を、内部の球体のコア材に貼付けて製造する。だが貼付作業には高度な技術を要し、手作業に頼るためコストがかかる。とくに通常の地球儀の貼付は南極と北極につなぎ目が集中してしまうため慎重な貼付作業を要する。
【0014】
そこで地球儀をペーパークラフトのような組立式にすれば、組立作業を購買者にゆだねることができる。しかしそのためには個人でも組立可能な手順に簡易化する必要がある。つまり極力組立用のユニット数や種類が少ないことが望ましい。そこでユニット種類を減らすため構造を安定させるためのコア部材を省いてもよいが、その結果表面部材として剛性を備えた材料、たとえば厚い厚紙やプラスチック材料を用意する必要がある。またコア部材を省略すると、僅かな衝撃や負荷によって地球儀の表面が陥没してしまう虞がある。
【0015】
吉本キューブに関する実施例を、以下の特徴を持つ組立式の地球儀を例に図面を参照して説明する。
(1)表面部材とコア部材が共通のボード材ユニット(折り目に従って折り曲げることのできる面材料:材料はプラスチックボードや紙、厚紙)でできている。
(2)さらにこのユニットがユニット同士の連結機能も含んでいる。
(3)さらにこのユニット同士の連結材がヒンジのように可動式になっており地球儀の表面をひっくり返し他のテーマを持つ地球儀が現れるリバーシブル機能を持つ。
(4)さらに表面をひっくり返す際にコア部材および表面部材の役割が入れ替わる。
(5)さらに上記連結機能がスリットに差し込む方法で組み立てることができる構成となっており接着剤を要しない。
(6)さらに上記ボード材の形状が略矩形化しており制作の取り合いやパッケージ化の際に効率的である。
【0016】
図1はボード材ユニットA10およびA11の斜視図である。ボード材ユニット(面材料)は略正方形の面が8枚連鎖している。正方形面同士の境界に施される折り線にそって折り込み、「8」の字型の立体的なユニットを形成することができる。この「8」の字ユニットを互いに係合させることでリバーシブル地球儀を構成するユニット立方体が構成される。
【0017】
斜線領域A12には典型的には部分世界地図が描かれている。つまりリバーシブル地球儀の片側の表面部材となる領域である。つまり組立完了時には他の正方形の面は地球儀内部に配され地球儀を補強するコア部材として機能する。斜線領域A13には典型的には天球儀の部分地図が印刷されている。つまりリバーシブル地球儀のうち、もう片側の表面部材となる領域である。組立完了時には他の正方形の面は天球儀内部に配され、天球儀を補強するコア部材として機能する。ハッチ部A14は上記「8」の字ユニット裏面にあたる。この裏面に組立補助記号や矢印を表記するとよい。このボード材ユニットA10およびA11とも裏面にも同様の情報が印刷されている。
【0018】
またスリットD10、D11、D13、D14は上記ユニット立方体を連結する役割を担っている。そのためこの組立式地球儀は別途連結ユニットを必要としない。つまりこの短冊状のボード材ユニットにより表面部材、コア部材および連結材の機能が統合されている。
【0019】
さらにボード材ユニットA10およびA11は1点鎖線C10に沿って施された折り線が本リバーシブル地球儀に不可欠なヒンジ機能を担っている。
【0020】
ボード材ユニットA10はボード材ユニットA11にタブA15を付加した物である。タブA15は地球儀構造を安定させるために付加しているが必要に応じて省略しても良い。またボード材ユニットA10およびA11において上記スリットの位置も共通している。これらの特徴をまとめると本組立式地球儀のボード材ユニット形状は1種類に共通化することができる。さらに形状が略矩形であるため、紙など、材料が矩形であるボード材との取り合いがよく、またかさばらずに梱包もできるため効率的である。
【0021】
組立手順を説明する。図2に示すようにボード材ユニットA10を折り線C21にそって折り曲げ、スリットD13をスリットD14に係合する。スリットD13およびD14はヒンジ機能を有するため、ボード材の厚みや、動きやすくかつ摩耗を防ぐことを考慮して幅のあるスリットで構成するのが良い。
【0022】
次に図3に示すように斜線領域A31を折り線C31にそって折り曲げる。さらに図4に示すように折り線C41およびC42にそって折り曲げスリットD41をD42に係合する。タブA41およびタブA42は折り線C43およびC44にそって折り曲げ「8」の字ユニットの内側に折り込む。折り込まれた状態を図5に示す。つぎに図6に示すように斜線領域A61とA62が接し合うように折り線C62にそって折り曲げる。こうしてボード材ユニットA10とA11から図7に示すように「8」の字ユニットH71とH72を組み立てることができる。
【0023】
図8に示すようにこの「8」の字ユニットH72を2つの「8」の字ユニットH71に連結する。このとき、あらかじめ組立補助記号と矢印をボード材ユニットに印字しておくと組立ミスを防ぐことができる。記号G81およびG83に示された番号および枠の形と記号G82およびG84に示された番号および枠の形を確認するとともに矢印F81およびF83と矢印F82およびF84の向きを確認し、「8」の字ユニットH72をH71に矢印F85方向からはめ込むことが確認できる。もう一方の「8」の字ユニットH71も同様に連結し、ユニットH84ができる。同様のユニットをもう一つ作っておく。
【0024】
図9に示すようにこのユニットH84に「8」の字ユニットH91および「8」の字ユニットH92を連結する。さらに図10に示すようにこのユニットH101をユニットH84と同様のユニットH102に同様の手順で連結する。こうして図11に示すように8つの立方体ユニットが全て連結した立体H110が完成する。このうち斜線部で示された端部の2つの立方体ユニットH112を前記スリット同士が係合されて形成されるヒンジC110を軸に矢印F112方向に回転させると同時に、斜線部で示されたもう一方の端部の2つの立方体ユニットH111を前記スリット同士が係合されて形成されるヒンジC111を軸に矢印F111方向に回転させることで所望する立方体の組立式地球儀が組み上がる。
【0025】
一方、斜線部で示された4つの立方体ユニットH113を矢印F113方向に回転させると同時に、斜線部で示された4つの立方体ユニットH114を矢印F114方向に回転させ、さらに全体の上下を反転する。その上で上記と同様の手順で両端の2つの立方体ユニットを回転させると上記とは表面の地図図柄が反転したもう一方の地球儀、つまりこの説明例で言うと天球儀の図柄が立方体地球儀の表面に現れる。
【0026】
図12は組立が完了した地球儀H120である。このとき斜線で囲まれた立方体ユニットH121のうち3つの正方形面A120は地球儀の図柄が印刷された表面部材として機能している。このとき6つある立方体の面のうち残りの3面は地球儀内部に配されており、コア部材として地球儀の強度を担保する。
【0027】
本発明を理解するにあたっては幾何学に基づいた説明が必要である。しかしこれを適用するにあたっては実際の製作上の変形は当然伴うものである。従って本件発明の理解にあたってはこれらの変形は本件発明の範疇に含まれるものと理解されたい。上記第1実施例の正方形の辺の長さは紙の厚み等を考慮し微調整を行うことから若干の誤差が生まれることは言うまでもない。上記第1実施例の内容と同じ効果が得られる範囲内であれば近似値でよいものとする。またボード材ユニットや「8」の字ユニットの形状が、多少歪んでいたり欠けてもよい。
【0028】
第2実施例(図13〜図26):
以下の特徴を持つ組立式の地球儀を例に図面を参照して説明する。この第2実施例の多面体は正12面体であり、この正12面体を外側多面体と呼び、また、これに内接する正6面体を内側多面体と呼んで説明したときに、外側多面体は、外側に露出する表面部材と、内側多面体と接するコア部材とで構成されている。
(1)表面部材とコア部材が共通のボード材ユニットでできている。
(2)さらにこのユニット同士の連結材がヒンジのように可動式になっており地球儀の表面を反転し他のテーマを持つ地球儀が現れるリバーシブル機能を持つ。
(3)さらに表面を反転する際にコア部材および表面部材の役割が入れ替わる。
(4)さらに上記連結材をスリットに差し込む組立方法により接着剤を要しない。
(5)さらに上記リバーシブル機能によって正十二面体地球儀から立方体地球儀に変形する。
【0029】
以下に第2実施例を詳しく説明するが、本発明は正12面体とこれに内接する正6面体の組み合わせに限定されず、例えば正20面体とこれに内接する正12面体との組み合わせ、正6面体とこれに内接する正四面体との組み合わせ、正八面体とこれに内接する正6面体との組み合わせ,準正多面体である菱形12面体とこれに内接する正6面体との組み合わせなどを用いて実施することができる。
【0030】
図13はボード材ユニットA130を裏側から見た図である。リバーシブル地球儀の図柄は両面とも図13で示すボード材の反対側の面に描かれる。正方形A134はリバーシブル地球儀の立方体地球儀の1面を構成する。三角形面A133および台形面A133はいずれも正十二面体地球儀の五角形面を構成する。
【0031】
つまり立方体地球儀を組立てたとき、正方形A134は表面材を担い、一方三角形面A133および台形面A133は立方体内部に配されコア材として地球儀の構造を強化する。同様に反転して正十二面体地球儀を組立てたとき、三角形面A133および台形面A133は表面材を担い、一方正方形A134は正十二面体内部に配されコア材として地球儀の構造を強化する。こうして表面部材とコア部材が共通化したボード材ユニットとなっている。
【0032】
面A133を折り線C133に沿って矢印F133方向に折り曲げると、屋根形状をした立体ユニット(外側多面体から内側多面体を除いた立体を分割した構成ユニット:これを外側分割ユニット又は屋根ユニットと呼ぶ。)ができる。折り線C131にそって斜線領域A131で示すミミを矢印F131方向に折り込む。同じく折り線C132に沿ってツメA132を矢印F132方向に折り曲げる。ミミA131に設けられたスリットD131にツメA132を係合させることで屋根ユニット組立は接着剤無しで行え、再分解も可能となる。
【0033】
図14は、同じくボード材でできた連結ユニットE141の屋根ユニットへの設置手順を示す。上記屋根ユニットを組立てる前に連結ユニットE141は点線で示された領域A144に設置される。折り線C142に沿って折り曲げた結合部A142をスリットD135に係合し連結ユニットE141を屋根ユニットに固定する。
【0034】
連結ユニットは屋根ユニット(外側分割ユニット)同士を連結するうえ、上記折り線C142は可動ヒンジ部分となり本リバーシブル地球儀に不可欠なヒンジ機能を担っている。その結果負荷が大きくなるため折り線C141に沿って折り曲げ、リブA141を立ち上げることで連結ユニットA141に強度を付与する。スリットD135は可動ヒンジの動きを阻害しないよう幅を持ったスリットとすると良い。
【0035】
図15は屋根ユニット(外側分割ユニット)H150の斜視図である。このような屋根ユニット1種類で地球儀を組み立てることができる。上記連結ユニットE141の結合部A142が頭を出しているのが分かる。結合部A142の形状は参照符号D151に示す箇所を切り込み着脱しやすくすると良い。
【0036】
屋根ユニット(外側分割ユニット)同士の連結作業において最後の1ユニットを連結しやすいように屋根ユニットのうちの1つをカスタマイズしても良い。図16はカスタマイズユニットの組立図である。連結ユニットE161は通常の物とは異なり点線で示された結合部A162が一つしかない。地球儀組立の最後の結合部2つを同時に係合させるのは難しいからである。
【0037】
スリットD165に連結ユニットE161を契合して屋根ユニットH161と連結ユニットE161を一体化する。このとき1カ所のみの係合箇所を拘束点として連結ユニットE161を屋根ユニットH161に固定できないため、屋根ユニットの正方形面上の点線で示す領域A163にぴったり収まるように連結部材E161の形状が決定している。
【0038】
図17はカスタマイズ屋根ユニットH170の斜視図である。上記連結ユニットE171の結合部A162が頭を出しているのが分かる。
【0039】
図18は5つの屋根ユニット(外側分割ユニット)H180と1つのカスタマイズ屋根ユニットH181を連結ユニット結合部A180を介して係合している過程を示す。係合作業が完了した状態を図19に示す。次に線分C191を回転軸に太線で囲まれた屋根ユニットH191を矢印F190方向に立ち上げると図20に示す状態になる。次に線分C201を回転軸に屋根ユニットH201を矢印201方向に起こし、連結部A202をスリットD202に係合すると図21に示す状態になる。最後に線分C211を回転軸にカスタマイズ屋根ユニットH211を矢印211方向に起こし、連結部A212をスリットD212に係合すると、所望する正十二面体地球儀が完成する。図22は正十二面体地球儀H220の完成図である。この正十二面体の地球儀H220は内部に正6面体の空所を有しており、必要であれば、この空所を埋める正6面体(内側多面体)を作って正十二面体地球儀H220の内部に充填してもよい。
【0040】
次に正十二面体地球儀H220を反転し本発明に基づきリバーシブル地球儀のもう一方の立方体地球儀に変換する手順を説明する。外側多面体を構成する正十二面体地球儀H220を前述の連結部を取り外し図23のような状態に再分解する。なおこの状態は図19に示した地球儀の展開状態H190を上下に反転しても得られる。
【0041】
線分C231を回転軸に太線で囲まれた屋根ユニット(外側分割ユニット)H231を矢印F231方向に立ち上げると図24に示す状態になる。次に線分C241を回転軸に屋根ユニットH241を矢印241方向に起こし、連結部A242をスリットD242に係合すると図25に示す状態になる。最後に線分C251を回転軸にカスタマイズ屋根ユニットH251を矢印251方向に回転し、連結部A252をスリットD252に係合すると、所望する立方体地球儀が完成する。図26は立方体地球儀H260の完成図である。
【0042】
上記第1、第2の2つの実施例により得られるリバーシブル地球儀を用いて、海岸線だけを記した地球儀と国境線およびまたは経緯線を記した地球儀を組み合わせても良い。昼の地球と夜の地球との組み合わせや、2カ国語表記の地球儀を組み合わせても良い。月球儀など他の天体を組み合わせても良い。勿論、第1、第2の立体構造の第1の表面と第2の表面との印刷する上方は地球の地図に限定されず、任意の情報や模様を印刷してもよい。勿論、第1の表面と第2の表面には異なる情報や模様を印刷するのが好ましい。
【0043】
本発明を理解するにあたっては幾何学に基づいた説明が必要である。しかしこれを適用するにあたっては実際の製作上の変形は当然伴うものである。従って本件発明の理解にあたってはこれらの変形は本件発明の範疇に含まれるものと理解されたい。上記第2実施例の正方形の辺の長さは紙の厚み等を考慮し微調整を行うことから若干の誤差が生まれることは言うまでもない。上記第2実施例の内容と同じ効果が得られる範囲内であれば近似値でよいものとする。またボード材ユニットや屋根ユニットの形状が、多少歪んでいたり欠けてもよい。
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば情報が描かれたボード材を組み合わせることでできる多面体構造体に関し、典型例として地図が描かれた紙材を組み合わせることでできる地球儀のペーパークラフトに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、地球儀は、世界地図を分割して表示した複数の部分地図を球体の表面に貼付することにより製作されている。しかしながら、このような地球儀は、球を製作し、かつ正確な部分地図を球体に貼付しなければならないので、個人が製作することは極めて困難であり、また、キットとして販売されたものであっても、部分地図の位置合わせ等の作業において製作はなお面倒であり、さらに高価なものであった。
【0003】
そこで、従来、球体を使用することなく、厚紙等を用いて多面体を形成し、この多面体を球体の替わりに地球儀に利用する技術が提案されている。特許文献1は、正多面体及び準正多面体のペーパークラフトを開示している。この特許文献1は、正多面体又は準正多面体を展開した互いに連続する複数の正五角形、正三角形の各辺で折り曲げることにより正多面体又は準正多面体を作ることを提案すると共に、正五角形又は正三角形の互いに隣接する辺同士の接合を糊代又はスリットとこのスリットに挿入するリップで構成することを提案している。
【0004】
特許文献2は、複数の種類の厚紙にスリットを設け、このスリットに別の厚紙を挿入することで内部補強であるコア部材を形成し、また、多面体の表面材を構成するプラスチックシートに差し込み部を設けて、この差し込み部をコア部材に挿入することで多面体を構築することを提案している。この特許文献2に開示の技術によれば糊無しで多面体を作ることができる。
【0005】
従来から「吉本キューブ」(発案者:吉本直貴氏)と呼ばれる8つの立方体ユニットで構成された立方体玩具が知られている。この吉本キューブは、隣接する立方体ユニット同士がヒンジ連結されており、これにより、立方体から直方体、直方体から立方体に形態を変化させながら各立方体ユニットの6つの面を外表面に露出させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−28394号公報
【特許文献2】特開2010−66703号公報
【発明の開示】
【0007】
本発明の目的は、例えば地球儀において組立パーツの種類を減らすことのできる多面体構造体を提供することにある。
【0008】
本発明の更なる目的は、外側多面体からこれに内接する内側多面体を除いた形状の多面体構造体の組立式クラフトを提供することにある。
【0009】
本発明の別の目的は、従来から知られている「吉本キューブ」を簡単な組み立て作業で作り上げることのできる多面体構造体の組立式クラフトを提供することにある。
【0010】
本願発明は典型的には地球の図柄が印刷された表面部材と地球儀の構造を補強するコア部材を共通化することを特徴とする。これを上位概念化して説明すると、部品同士の連結材にヒンジ機能を加えることで地球儀の表裏をひっくり返すリバーシブル機能が付加され上記表面部材とコア部材の役割が入れ替わることを特徴とする。これによって部材種類を減らし簡単に地球儀を組立られると同時にコア部材によってしっかりした構造の地球儀を作ることができる。また2つの異なるテーマの地球儀を代わる代わる眺めることができ、これまでにない世界観を学ぶことができる。
【0011】
具体的には、上記の技術的課題は、本発明によれば、少なくとも二枚以上のボード材でできているスタートユニットと、該スタートユニットを折り曲げて立体化する第1組立過程により2つ以上の立体中間ユニットを有し、該立体中間ユニットを連結ユニットによりつなぎ合わせる第二組立過程により得られる多面体エンド構造体において、該中間ユニットの少なくとも1つの面が該エンド構造体の表面部材の一部を構成し、該中間ユニットの残りの面のうち少なくとも1つの面が該エンド構造体を補強する内部コア部材となることを特徴とする多面体構造体が提供される。これによれば、地球儀の図柄が印刷された表面部材と地球儀の構造を補強するコア部材を共通化することによって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1実施例の吉本キューブに関し、これを作るためのボード材ユニットを示す斜視図である。
【図2】「8」の字ユニットの結合方法を示す組立図である。
【図3】図2に続く手順を示す「8」の字ユニットの組立図である。
【図4】図3に続く手順を示す「8」の字ユニットの組立図である。
【図5】図4に続く手順を示す「8」の字ユニットの組立図である。
【図6】図5に続く手順を示す「8」の字ユニットの組立図である。
【図7】「8」の字ユニットの完成図である。
【図8】「8」の字ユニット同士を連結させる組立図である。
【図9】図8に続く手順を示す「8」の字ユニット同士を連結する組立図である。
【図10】図9に続く手順を示す「8」の字ユニット同士を連結する組立図である。
【図11】全てのユニットの連結が完了することで完成した、直方体の状態の吉本キューブを示す図である。
【図12】立方体形状の吉本キューブであり、その外表面に地球の地図が印刷されている組立式地球儀(吉本キューブ)の完成図である。
【図13】第2実施例の外側多面体を作るためのボード材ユニットを示す斜視図である。
【図14】ボード材ユニットに連結ユニットを取り付ける組立図である。
【図15】屋根ユニットの完成図である。
【図16】カスタマイズされた連結ユニットを取り付ける組立図である。
【図17】カスタマイズされた屋根ユニットの完成図である。
【図18】屋根ユニット同士の連結手順を示す組立図である。
【図19】屋根ユニット同士が連結された展開状態を示す図である。
【図20】図19に示す屋根ユニットを立ち上げる手順を示す組立図である。
【図21】最後の屋根ユニットを係合させる図20に続く手順を示す図である。
【図22】第2実施例の組立式正十二面体地球儀の完成図である。
【図23】正十二面体地球儀を再分解した状態を示す図である。
【図24】図23に示す屋根ユニットを立ち上げる手順を示す組立図である。
【図25】最後の屋根ユニットを係合させる図24に続く手順を示す図である。
【図26】外側多面体を構成する屋根ユニットを反転させて組み立てた組立式立方体地球儀の完成図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
第1実施例(図1〜図12):
例えば地球儀をつくる場合、球体を多面体と見立てた展開図の各面に部分世界地図を印刷した表面部材を、内部の球体のコア材に貼付けて製造する。だが貼付作業には高度な技術を要し、手作業に頼るためコストがかかる。とくに通常の地球儀の貼付は南極と北極につなぎ目が集中してしまうため慎重な貼付作業を要する。
【0014】
そこで地球儀をペーパークラフトのような組立式にすれば、組立作業を購買者にゆだねることができる。しかしそのためには個人でも組立可能な手順に簡易化する必要がある。つまり極力組立用のユニット数や種類が少ないことが望ましい。そこでユニット種類を減らすため構造を安定させるためのコア部材を省いてもよいが、その結果表面部材として剛性を備えた材料、たとえば厚い厚紙やプラスチック材料を用意する必要がある。またコア部材を省略すると、僅かな衝撃や負荷によって地球儀の表面が陥没してしまう虞がある。
【0015】
吉本キューブに関する実施例を、以下の特徴を持つ組立式の地球儀を例に図面を参照して説明する。
(1)表面部材とコア部材が共通のボード材ユニット(折り目に従って折り曲げることのできる面材料:材料はプラスチックボードや紙、厚紙)でできている。
(2)さらにこのユニットがユニット同士の連結機能も含んでいる。
(3)さらにこのユニット同士の連結材がヒンジのように可動式になっており地球儀の表面をひっくり返し他のテーマを持つ地球儀が現れるリバーシブル機能を持つ。
(4)さらに表面をひっくり返す際にコア部材および表面部材の役割が入れ替わる。
(5)さらに上記連結機能がスリットに差し込む方法で組み立てることができる構成となっており接着剤を要しない。
(6)さらに上記ボード材の形状が略矩形化しており制作の取り合いやパッケージ化の際に効率的である。
【0016】
図1はボード材ユニットA10およびA11の斜視図である。ボード材ユニット(面材料)は略正方形の面が8枚連鎖している。正方形面同士の境界に施される折り線にそって折り込み、「8」の字型の立体的なユニットを形成することができる。この「8」の字ユニットを互いに係合させることでリバーシブル地球儀を構成するユニット立方体が構成される。
【0017】
斜線領域A12には典型的には部分世界地図が描かれている。つまりリバーシブル地球儀の片側の表面部材となる領域である。つまり組立完了時には他の正方形の面は地球儀内部に配され地球儀を補強するコア部材として機能する。斜線領域A13には典型的には天球儀の部分地図が印刷されている。つまりリバーシブル地球儀のうち、もう片側の表面部材となる領域である。組立完了時には他の正方形の面は天球儀内部に配され、天球儀を補強するコア部材として機能する。ハッチ部A14は上記「8」の字ユニット裏面にあたる。この裏面に組立補助記号や矢印を表記するとよい。このボード材ユニットA10およびA11とも裏面にも同様の情報が印刷されている。
【0018】
またスリットD10、D11、D13、D14は上記ユニット立方体を連結する役割を担っている。そのためこの組立式地球儀は別途連結ユニットを必要としない。つまりこの短冊状のボード材ユニットにより表面部材、コア部材および連結材の機能が統合されている。
【0019】
さらにボード材ユニットA10およびA11は1点鎖線C10に沿って施された折り線が本リバーシブル地球儀に不可欠なヒンジ機能を担っている。
【0020】
ボード材ユニットA10はボード材ユニットA11にタブA15を付加した物である。タブA15は地球儀構造を安定させるために付加しているが必要に応じて省略しても良い。またボード材ユニットA10およびA11において上記スリットの位置も共通している。これらの特徴をまとめると本組立式地球儀のボード材ユニット形状は1種類に共通化することができる。さらに形状が略矩形であるため、紙など、材料が矩形であるボード材との取り合いがよく、またかさばらずに梱包もできるため効率的である。
【0021】
組立手順を説明する。図2に示すようにボード材ユニットA10を折り線C21にそって折り曲げ、スリットD13をスリットD14に係合する。スリットD13およびD14はヒンジ機能を有するため、ボード材の厚みや、動きやすくかつ摩耗を防ぐことを考慮して幅のあるスリットで構成するのが良い。
【0022】
次に図3に示すように斜線領域A31を折り線C31にそって折り曲げる。さらに図4に示すように折り線C41およびC42にそって折り曲げスリットD41をD42に係合する。タブA41およびタブA42は折り線C43およびC44にそって折り曲げ「8」の字ユニットの内側に折り込む。折り込まれた状態を図5に示す。つぎに図6に示すように斜線領域A61とA62が接し合うように折り線C62にそって折り曲げる。こうしてボード材ユニットA10とA11から図7に示すように「8」の字ユニットH71とH72を組み立てることができる。
【0023】
図8に示すようにこの「8」の字ユニットH72を2つの「8」の字ユニットH71に連結する。このとき、あらかじめ組立補助記号と矢印をボード材ユニットに印字しておくと組立ミスを防ぐことができる。記号G81およびG83に示された番号および枠の形と記号G82およびG84に示された番号および枠の形を確認するとともに矢印F81およびF83と矢印F82およびF84の向きを確認し、「8」の字ユニットH72をH71に矢印F85方向からはめ込むことが確認できる。もう一方の「8」の字ユニットH71も同様に連結し、ユニットH84ができる。同様のユニットをもう一つ作っておく。
【0024】
図9に示すようにこのユニットH84に「8」の字ユニットH91および「8」の字ユニットH92を連結する。さらに図10に示すようにこのユニットH101をユニットH84と同様のユニットH102に同様の手順で連結する。こうして図11に示すように8つの立方体ユニットが全て連結した立体H110が完成する。このうち斜線部で示された端部の2つの立方体ユニットH112を前記スリット同士が係合されて形成されるヒンジC110を軸に矢印F112方向に回転させると同時に、斜線部で示されたもう一方の端部の2つの立方体ユニットH111を前記スリット同士が係合されて形成されるヒンジC111を軸に矢印F111方向に回転させることで所望する立方体の組立式地球儀が組み上がる。
【0025】
一方、斜線部で示された4つの立方体ユニットH113を矢印F113方向に回転させると同時に、斜線部で示された4つの立方体ユニットH114を矢印F114方向に回転させ、さらに全体の上下を反転する。その上で上記と同様の手順で両端の2つの立方体ユニットを回転させると上記とは表面の地図図柄が反転したもう一方の地球儀、つまりこの説明例で言うと天球儀の図柄が立方体地球儀の表面に現れる。
【0026】
図12は組立が完了した地球儀H120である。このとき斜線で囲まれた立方体ユニットH121のうち3つの正方形面A120は地球儀の図柄が印刷された表面部材として機能している。このとき6つある立方体の面のうち残りの3面は地球儀内部に配されており、コア部材として地球儀の強度を担保する。
【0027】
本発明を理解するにあたっては幾何学に基づいた説明が必要である。しかしこれを適用するにあたっては実際の製作上の変形は当然伴うものである。従って本件発明の理解にあたってはこれらの変形は本件発明の範疇に含まれるものと理解されたい。上記第1実施例の正方形の辺の長さは紙の厚み等を考慮し微調整を行うことから若干の誤差が生まれることは言うまでもない。上記第1実施例の内容と同じ効果が得られる範囲内であれば近似値でよいものとする。またボード材ユニットや「8」の字ユニットの形状が、多少歪んでいたり欠けてもよい。
【0028】
第2実施例(図13〜図26):
以下の特徴を持つ組立式の地球儀を例に図面を参照して説明する。この第2実施例の多面体は正12面体であり、この正12面体を外側多面体と呼び、また、これに内接する正6面体を内側多面体と呼んで説明したときに、外側多面体は、外側に露出する表面部材と、内側多面体と接するコア部材とで構成されている。
(1)表面部材とコア部材が共通のボード材ユニットでできている。
(2)さらにこのユニット同士の連結材がヒンジのように可動式になっており地球儀の表面を反転し他のテーマを持つ地球儀が現れるリバーシブル機能を持つ。
(3)さらに表面を反転する際にコア部材および表面部材の役割が入れ替わる。
(4)さらに上記連結材をスリットに差し込む組立方法により接着剤を要しない。
(5)さらに上記リバーシブル機能によって正十二面体地球儀から立方体地球儀に変形する。
【0029】
以下に第2実施例を詳しく説明するが、本発明は正12面体とこれに内接する正6面体の組み合わせに限定されず、例えば正20面体とこれに内接する正12面体との組み合わせ、正6面体とこれに内接する正四面体との組み合わせ、正八面体とこれに内接する正6面体との組み合わせ,準正多面体である菱形12面体とこれに内接する正6面体との組み合わせなどを用いて実施することができる。
【0030】
図13はボード材ユニットA130を裏側から見た図である。リバーシブル地球儀の図柄は両面とも図13で示すボード材の反対側の面に描かれる。正方形A134はリバーシブル地球儀の立方体地球儀の1面を構成する。三角形面A133および台形面A133はいずれも正十二面体地球儀の五角形面を構成する。
【0031】
つまり立方体地球儀を組立てたとき、正方形A134は表面材を担い、一方三角形面A133および台形面A133は立方体内部に配されコア材として地球儀の構造を強化する。同様に反転して正十二面体地球儀を組立てたとき、三角形面A133および台形面A133は表面材を担い、一方正方形A134は正十二面体内部に配されコア材として地球儀の構造を強化する。こうして表面部材とコア部材が共通化したボード材ユニットとなっている。
【0032】
面A133を折り線C133に沿って矢印F133方向に折り曲げると、屋根形状をした立体ユニット(外側多面体から内側多面体を除いた立体を分割した構成ユニット:これを外側分割ユニット又は屋根ユニットと呼ぶ。)ができる。折り線C131にそって斜線領域A131で示すミミを矢印F131方向に折り込む。同じく折り線C132に沿ってツメA132を矢印F132方向に折り曲げる。ミミA131に設けられたスリットD131にツメA132を係合させることで屋根ユニット組立は接着剤無しで行え、再分解も可能となる。
【0033】
図14は、同じくボード材でできた連結ユニットE141の屋根ユニットへの設置手順を示す。上記屋根ユニットを組立てる前に連結ユニットE141は点線で示された領域A144に設置される。折り線C142に沿って折り曲げた結合部A142をスリットD135に係合し連結ユニットE141を屋根ユニットに固定する。
【0034】
連結ユニットは屋根ユニット(外側分割ユニット)同士を連結するうえ、上記折り線C142は可動ヒンジ部分となり本リバーシブル地球儀に不可欠なヒンジ機能を担っている。その結果負荷が大きくなるため折り線C141に沿って折り曲げ、リブA141を立ち上げることで連結ユニットA141に強度を付与する。スリットD135は可動ヒンジの動きを阻害しないよう幅を持ったスリットとすると良い。
【0035】
図15は屋根ユニット(外側分割ユニット)H150の斜視図である。このような屋根ユニット1種類で地球儀を組み立てることができる。上記連結ユニットE141の結合部A142が頭を出しているのが分かる。結合部A142の形状は参照符号D151に示す箇所を切り込み着脱しやすくすると良い。
【0036】
屋根ユニット(外側分割ユニット)同士の連結作業において最後の1ユニットを連結しやすいように屋根ユニットのうちの1つをカスタマイズしても良い。図16はカスタマイズユニットの組立図である。連結ユニットE161は通常の物とは異なり点線で示された結合部A162が一つしかない。地球儀組立の最後の結合部2つを同時に係合させるのは難しいからである。
【0037】
スリットD165に連結ユニットE161を契合して屋根ユニットH161と連結ユニットE161を一体化する。このとき1カ所のみの係合箇所を拘束点として連結ユニットE161を屋根ユニットH161に固定できないため、屋根ユニットの正方形面上の点線で示す領域A163にぴったり収まるように連結部材E161の形状が決定している。
【0038】
図17はカスタマイズ屋根ユニットH170の斜視図である。上記連結ユニットE171の結合部A162が頭を出しているのが分かる。
【0039】
図18は5つの屋根ユニット(外側分割ユニット)H180と1つのカスタマイズ屋根ユニットH181を連結ユニット結合部A180を介して係合している過程を示す。係合作業が完了した状態を図19に示す。次に線分C191を回転軸に太線で囲まれた屋根ユニットH191を矢印F190方向に立ち上げると図20に示す状態になる。次に線分C201を回転軸に屋根ユニットH201を矢印201方向に起こし、連結部A202をスリットD202に係合すると図21に示す状態になる。最後に線分C211を回転軸にカスタマイズ屋根ユニットH211を矢印211方向に起こし、連結部A212をスリットD212に係合すると、所望する正十二面体地球儀が完成する。図22は正十二面体地球儀H220の完成図である。この正十二面体の地球儀H220は内部に正6面体の空所を有しており、必要であれば、この空所を埋める正6面体(内側多面体)を作って正十二面体地球儀H220の内部に充填してもよい。
【0040】
次に正十二面体地球儀H220を反転し本発明に基づきリバーシブル地球儀のもう一方の立方体地球儀に変換する手順を説明する。外側多面体を構成する正十二面体地球儀H220を前述の連結部を取り外し図23のような状態に再分解する。なおこの状態は図19に示した地球儀の展開状態H190を上下に反転しても得られる。
【0041】
線分C231を回転軸に太線で囲まれた屋根ユニット(外側分割ユニット)H231を矢印F231方向に立ち上げると図24に示す状態になる。次に線分C241を回転軸に屋根ユニットH241を矢印241方向に起こし、連結部A242をスリットD242に係合すると図25に示す状態になる。最後に線分C251を回転軸にカスタマイズ屋根ユニットH251を矢印251方向に回転し、連結部A252をスリットD252に係合すると、所望する立方体地球儀が完成する。図26は立方体地球儀H260の完成図である。
【0042】
上記第1、第2の2つの実施例により得られるリバーシブル地球儀を用いて、海岸線だけを記した地球儀と国境線およびまたは経緯線を記した地球儀を組み合わせても良い。昼の地球と夜の地球との組み合わせや、2カ国語表記の地球儀を組み合わせても良い。月球儀など他の天体を組み合わせても良い。勿論、第1、第2の立体構造の第1の表面と第2の表面との印刷する上方は地球の地図に限定されず、任意の情報や模様を印刷してもよい。勿論、第1の表面と第2の表面には異なる情報や模様を印刷するのが好ましい。
【0043】
本発明を理解するにあたっては幾何学に基づいた説明が必要である。しかしこれを適用するにあたっては実際の製作上の変形は当然伴うものである。従って本件発明の理解にあたってはこれらの変形は本件発明の範疇に含まれるものと理解されたい。上記第2実施例の正方形の辺の長さは紙の厚み等を考慮し微調整を行うことから若干の誤差が生まれることは言うまでもない。上記第2実施例の内容と同じ効果が得られる範囲内であれば近似値でよいものとする。またボード材ユニットや屋根ユニットの形状が、多少歪んでいたり欠けてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも二枚以上のボード材でできているスタートユニットと、該スタートユニットを折り曲げて立体化する第1組立過程により2つ以上の立体中間ユニットを有し、該立体中間ユニットを連結ユニットにより係合する第二組立過程により得られる多面体エンド構造体において、該中間ユニットの少なくとも1つの面が該エンド構造体の表面部材の一部を構成し、該中間ユニットの残りの面のうち少なくとも1つの面が該エンド構造体を補強する内部コア部材となることを特徴とする多面体構造体。
【請求項2】
前記連結ユニットを統合することにより連結機能を付加した前記スタートユニットを特徴とする請求項1に記載の多面体構造体。
【請求項3】
前記連結ユニットにヒンジ機能を付加し前記中間ユニット同士が連鎖しながら回転することで前記エンド構造体の表面に描かれる2つの異なる図柄が入れ替わることを特徴とする請求項1に記載の多面体構造体。
【請求項4】
前記中間ユニットに切りこみが設けられるとともに、前記連結ユニットが該切りこみに係合されることを特徴とする請求項1に記載の多面体構造体。
【請求項5】
前記スタートユニットの形状が略矩形であることを特徴とする請求項1に記載の多面体構造体。
【請求項1】
少なくとも二枚以上のボード材でできているスタートユニットと、該スタートユニットを折り曲げて立体化する第1組立過程により2つ以上の立体中間ユニットを有し、該立体中間ユニットを連結ユニットにより係合する第二組立過程により得られる多面体エンド構造体において、該中間ユニットの少なくとも1つの面が該エンド構造体の表面部材の一部を構成し、該中間ユニットの残りの面のうち少なくとも1つの面が該エンド構造体を補強する内部コア部材となることを特徴とする多面体構造体。
【請求項2】
前記連結ユニットを統合することにより連結機能を付加した前記スタートユニットを特徴とする請求項1に記載の多面体構造体。
【請求項3】
前記連結ユニットにヒンジ機能を付加し前記中間ユニット同士が連鎖しながら回転することで前記エンド構造体の表面に描かれる2つの異なる図柄が入れ替わることを特徴とする請求項1に記載の多面体構造体。
【請求項4】
前記中間ユニットに切りこみが設けられるとともに、前記連結ユニットが該切りこみに係合されることを特徴とする請求項1に記載の多面体構造体。
【請求項5】
前記スタートユニットの形状が略矩形であることを特徴とする請求項1に記載の多面体構造体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2013−29542(P2013−29542A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−163523(P2011−163523)
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(504159213)株式会社マルモ印刷 (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(504159213)株式会社マルモ印刷 (4)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]