説明

大動脈線維症の治療のための組成物および方法

本発明は、血管作動性腸管ペプチド(VIP)またはその断片を含む組成物、ならびに大動脈線維症および他の関連する症状の処置のためのかかる組成物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大動脈線維症の治療的または予防的な処置のための組成物および方法に関する。詳細には、本発明はVIPまたはVIPの特定の活性断片を含む組成物および大動脈線維症の処置におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書の全体にわたる従来技術に関するいかなる記述も、かかる従来技術が周知であること、または本発明の分野における技術常識の一部を形成することを了解したものと解釈されてはならない。
【0003】
卒中や認知症のような症状の発生率は、拡張期血圧よりも収縮期血圧のレベルにより密接に関連している。収縮期血圧の上昇は、内在性の内皮由来血管拡張弛緩因子(EDRF)または一酸化窒素(NO)の産生の減少の結果もたらされる血管緊張または血管収縮により生じると考えられてきた。これは収縮期血圧における増大を説明するが、増大した心血管リスクと関連する拡張期血圧の減少および脈圧拡大は説明しない。コンプライアンスを低下させ、したがって大動脈が弛緩し、収縮期圧波を吸収する能力、および心臓充満または心臓拡張期において弾性収縮する能力を低減させる、大血管、大動脈における構造的な変化のみがこの現象を説明しうる。弾性繊維の喪失およびそのコラーゲンによる置換、ならびにコラーゲンおよび繊維組織の量の増大による平滑筋繊維の混乱は、弾性およびコンプライアンスの低下をもたらす。大動脈壁におけるこれらの変化は硬直性を引き起こし、これが次に心収縮の圧力波に応答して反射波をもたらす。該反射波の影響は、収縮期血圧を増大させ、さらに高める、というものである。硬直性の増大はまた、心臓充満における弾性収縮を防止し、心臓拡張期における血圧を維持する血管系の許容力を弱め、より低い拡張期血圧をもたらす。収縮期血圧と拡張期血圧の差を脈圧と呼ぶ。脈圧の拡大(>90mmHg)は卒中のような心血管イベントの高い絶対リスクを示す。
【0004】
現在入手可能な血圧降下剤は収縮期圧の増大した血管収縮成分を対象とし、収縮期圧および拡張期圧の両方を同じ程度に低下させる。これらの作用物質が大動脈における構造的リモデリングに影響を及ぼさないことは、脈圧拡大患者において、治療が拡張期血圧低減に限定されることを意味する。その結果、収縮期血圧は多くの場合、推奨される標的レベルよりも高いままとなる。したがって、脈圧は治療にも拘わらず拡大したままであるかまたは治療によりさらに悪化する可能性があり、かかる患者は卒中のような心血管イベントの高リスクを抱え続けることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、大動脈での構造的変化を予防および/または反転させる治療剤が必要とされている。
【0006】
従来技術の少なくとも1つの不都合な点を克服するもしくは改善するか、または有用な代替手段を提供することは、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の概要
本発明は、VIPおよび/またはVIP断片ならびに大動脈線維症の治療におけるその使用に関する。本発明の組成物は、大動脈における線維症の発達を予防する、または発症した線維症を反転させる能力を有し、したがって、治療的および予防的処置に用いることができる。
【0008】
第1の態様によると、本発明は大動脈線維症の予防的または治療的処置のための組成物を提供し、該組成物は、薬学上効果的な量の血管作動性腸管ペプチド(VIP)(配列番号1)または配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、もしくは配列番号16から選択される1以上の機能的なVIP断片を含む。
【0009】
好ましくは、本発明の組成物は、製薬上許容される担体と併せて投与され、該製薬上許容される担体は当技術分野で既知のものまたは今後考案されるものであって、かつ意図される用途に適当なもののいずれであってもよい。担体の他に、本発明の医薬組成物は、他の成分、例えば着色剤、保存剤、バッファーおよび抗酸化剤を含み得る。それらの組成物は好ましくは、大動脈線維症または心臓疾患の処置において有用な1以上の他の活性物質と併せて投与することができる。それらは、好ましくは、経口、静脈内、筋肉内、または表皮下経路の投与のために配合することができる。パッチ、スナッフ、鼻腔スプレーなどの他の投与方法は当業者に明確となるであろう。
【0010】
VIPまたは活性なVIP断片の薬学上効果的な量は、患者および/または処置される疾患の重症度に依存することとなる。こうした可変値は、当業者によって慣用的な実験により確定され得る。適当な用量範囲は、出発点として、本明細書に記載の動物モデルに投与される用量から、またはPCT/AU2005/000835およびPCT/AU2006/001869を参照して導くことができる。本発明の組成物は大動脈線維症を予防するまたはその進行速度を低下させる、ならびに線維症の発症を防止するまたはその程度を低減するために使用することができる。
【0011】
第2の態様によると、本発明は被験者における大動脈線維症の予防的または治療的な処置方法を提供し、この方法は、大動脈線維症を発症するリスクを有する被験者、または大動脈線維症を有する被験者に、薬学上効果的な量の血管作動性腸管ペプチド(VIP) (配列番号1)または配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、もしくは配列番号16から選択される1以上の機能的なVIP断片を含む組成物を投与することを含む。
【0012】
予防的処置に関しては、かかる処置は、大動脈線維症を発症するリスクのある被験者に特に利益となると理解されよう。リスクカテゴリーに属する被験者の例としては、関連する疾患、例えばアテローム性動脈硬化症、高血圧、慢性腎疾患、慢性ビタミンD中毒、脈管炎、糖尿病、甲状腺機能低下、脂質異常症、収縮期高血圧、卒中、心不全、心筋梗塞、末期腎不全および大動脈瘤などを有する者が挙げられる。
【0013】
好ましくは、予防的処置は被験者における線維症の発症を予防するかまたはその進行速度を低下させるために使用する。処置はまた、大動脈線維症を予防するかまたは発症した大動脈線維症の進行速度を低下させるか、あるいは発症した線維症の程度を低減させるために用いることができる。
【0014】
好ましくは、該方法は、大動脈線維症の治療に有用な1以上の他の活性物質の投与を更に含む。
【0015】
本発明の組成物の使用パターンは、最適な効果のためには変更される必要がありうることは当業者にとって明らかであろう。疾患または障害の性質、ならびにその重症度およびあらゆる潜在的リスクまたは素因因子を考慮に入れる必要がありうる。
【0016】
好ましくはVIPまたは1以上の機能的なVIP断片は、静脈内、筋肉内、表皮下注射、経口、舌下、または鼻腔から選択される経路により投与される。
【0017】
好ましくはVIPまたは1以上の機能的なVIP断片は、錠剤、カプセル剤、散剤、液状配合物、遅延もしくは持続放出型、パッチ、スナッフ(snuff)、鼻腔スプレーなどから選択される剤形として投与される。
【0018】
第3の態様によると、本発明は、大動脈線維症の予防的または治療的処置に用いるための、血管作動性腸管ペプチド(VIP) (配列番号1)または配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、もしくは配列番号16から選択される1以上の機能的なVIP断片を提供する。
【0019】
好ましくは、該使用は、大動脈線維症を予防するかまたは発症したその進行速度を低下させるためである。あるいはまた、該使用は、被験者またはリスクに晒されている群における線維症を予防するか、またはその進行速度を低下ささえるためである。また、好ましくは、該使用は、発症した線維症の程度を低減させるためである。
【0020】
好ましくは、該使用は、大動脈線維症の処置に有用な1以上の他の活性物質の投与をさらに含む。
【0021】
第4の態様によると、本発明は、大動脈線維症の予防的または治療的処置のための医薬の製造における、血管作動性腸管ペプチド(VIP) (配列番号1)または配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16から選択される1以上の機能的VIP断片の使用を提供する。
【0022】
本発明の文脈において用いられる「予防的」という用語は、とりわけリスクに晒されている群における大動脈線維症を予防するか、またはその進行速度を低下させるために用いられる処置を包含することを意図する。予防的処置を施すことのできる被験者は高比率で、大動脈線維症または心疾患の兆候を既に有しうる。
【0023】
第5の態様によると、本発明は、被験者の大動脈におけるコラーゲン形成を低減させるかまたはコラーゲン分解を強化する方法を提供し、この方法は、被験者に薬学上効果的な量の血管作動性腸管ペプチド(VIP) (配列番号1)または配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、もしくは配列番号16から選択される1以上の機能的なVIP断片を含む組成物を投与することを含む。
【0024】
特に断らない限り、本明細書および特許請求の範囲の全体にわたり、「含む」、「含んでなる」等の用語は、排他的または網羅的な意味合いとは反対に、包括的な意味合いに解釈させるべきであり、すなわち、「に限定されるものではないが、〜を含む」との意味合いに解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】5pmol/kg/分でのビヒクル対照またはペプチドの4週間の注入後のラットにおける大動脈線維症を示す。
【図2】SHRにおける動脈壁内の線維症に対する、5pmol/kg/分でのVIPおよび種々のVIP断片を用いた4週間処置の影響を示す。* p<0.005、 ** p<0.0005 対 対照注入。
【図3】SHRにおける動脈壁内の線維症に対する、5pmol/kg/分での種々のVIP断片を用いた4週間処置の影響を示す。* p<0.025、** p<0.01、*** p<0.005 および**** p<0.001 対 対照注入。
【図4】SHRにおける動脈壁内の線維症に対する、5pmol/kg/分での種々のVIP断片を用いた4週間処置の影響を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
VIP分子がそれ全体として、大動脈線維症を予防、軽減または反転することがここに見出された。さらに、当技術分野において広く受け入れられている見方に鑑みると、驚くべきことに、VIPの機能に重要であると考えられていたアミノ酸およびモチーフを欠いたVIP断片は、それにもかかわらず大動脈線維症の発病を反転もしくは遅延させる、または心疾患を発症するリスクを有する被験者における線維症の発病を予防するために有用な治療剤であることが見出された。特に有用なVIP断片は限定するものではないが、VIP(4-12)、VIP(4-16)、VIP (4-10)、VIP (4-20)、VIP (4-24)、VIP (10-28)、VIP (16-20)、VIP (16-24)、VIP (16-28)、VIP (6-10)、VIP (6-12)、VIP (6-16)、VIP (6-20)、VIP (6-24)、およびVIP (6-28)から選択されうる。
【0027】
大動脈線維症の治療における本発明の医薬組成物の使用は、こうした症状についての新しい治療剤のクラスを代表する。現在、大動脈線維症のための治療は存在しない。特定の作用機序に拘束されることを望むものではないが、本発明の医薬調製物は、大動脈線維症の現在知られているプロモーターを実質的に全て標的とし得ると考えられる。
【0028】
本研究に基づき、かつ理論に拘束されることを望むものではないが、VIPまたはVIP断片が線維症の発症を予防する主要な調節因子として作用し、VIPの枯渇はいくつかの線維化促進仲介因子の合成を解き放つ可能性があり、これにより大動脈損傷を引き起こすと仮定される。本発明のVIP断片は、ネイティブVIPと大部分同じ方法で作用することができるようであるが、サイズがより小さいことおよびそれゆえ安定性が増大し製造が容易であることに起因して、より治療用途に適している。
【0029】
本発明はまた、その範囲内に、VIP断片の1以上のアミノ酸の保存的置換に基づき、VIP断片の生物学的活性を変更しないアミノ酸を有する、VIP断片の特定のアナログをも包含すると理解されよう。かかる置換は当業者によく知られるところとなるものであり、確立された技術を用いる単純なトライアルアンドエラー法の域を出ることなく行うことができる。したがって、本発明の文脈において用いる「VIP断片」という用語は、かかるアナログを包含することを意図する。
【0030】
すべての配列はヒト起源のVIPおよび断片に関連するが、アミノ酸保存のレベルが非常に高いことに起因して、他の哺乳動物種に由来するVIPおよびその断片もまた、本発明において考慮され包含される。
【0031】
本発明はまた、VIPおよび/または活性VIP断片を含む、医薬組成物を包含する。かかる組成物としては、任意の種類の剤形、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、液状配合物、遅延もしくは持続放出型、パッチ、スナッフ(snuff)、鼻腔スプレーなどが挙げられる。該配合物は追加的に、他の成分、例えば着色剤、保存剤、バッファーおよび抗酸化剤を含みうる。包含される医薬組成物の物理的形態および内容物は、製剤処方の分野における当業者によって配合されうる慣用的な調製物であり、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy、第19版、1995; British Pharmacopoeia 2000、および類似の配合テキストおよびマニュアルに記載されている確立された原則および組成物に基づく。本発明の組成物はまた、大動脈線維症の治療に有用な他の活性物質を含みうる。
【0032】
本発明の組成物の投与経路および頻度は、投与される分子の性質および処置の要件に依存することとなる。したがって、該配合物は、静脈内、筋肉内または表皮下注射による投与のために適当に調製することができる。VIPおよび/またはVIP断片はまた、経口、舌下、鼻腔などのような粘膜投与に適当でありうる。こうしたパラメータは当業者により容易に確立される。
【0033】
本発明の医薬組成物は、大動脈線維症の予防またはその進行速度の低下に効果的であること、および、発症した線維症の程度を軽減する(反転させる)ことが示されたため、これらは治療用途において重要である。本発明の組成物はしたがって大動脈線維症の予防的または治療的処置に有用である。これは、本発明の組成物で処置することのできる症状の範囲および重症度に鑑み、重要な知見である。
【0034】
本発明の組成物は、大動脈線維症を発症するリスクを有する被験者において予防的に使用することができる。リスクカテゴリーに属する被験者の例は、関連する疾患、例えばアテローム性動脈硬化症、高血圧、慢性腎疾患、慢性ビタミンD中毒、脈管炎、糖尿病、甲状腺機能低下、脂質異常症、収縮期高血圧、卒中、心不全、心筋梗塞、末期腎不全および大動脈瘤などを有する者である。
【0035】
本発明の組成物の使用をとおして、大動脈線維症を有する被験者またはそれを発症するリスクを有する被験者の大動脈におけるVIP含量を保存することにより、顕著な治療的利益が達成可能であり、これには線維症の低減、線維症促進仲介因子のレベル、産生または活動の低減、線維症の進行の低減、大動脈におけるコラーゲン形成の低減またはコラーゲン分解の促進が含まれる。
【0036】
本発明を、以下の非限定的な例に言及しつつ、より具体的に説明する。
【実施例】
【0037】
すべての一般的な方法論および技術はPCT/AU2005/000835において詳述されており、その全内容を参照により本明細書に組み入れる。
【0038】
実施例1−VIPおよびVIP 断片のアミノ酸配列

実施例2−線維症のラットモデルにおける、大動脈線維症に対するVIP断片注入の影響
大動脈線維症の2つの動物モデルを用いた (動物はAustralian Animal Resources, Perth, Western Australia, Australiaから取得した)
i) 2.2%塩分ダイエットの雄SHRラット
ii) 4.4%塩分ダイエットの雄WKYラット
各モデルにおいてラットはVIP(1-28)、VIP(4-12)、VIP(4-16)、VIP (4-10)、VIP (4-20)、VIP (4-24)、VIP (10-28)、VIP (16-20)、VIP (16-24)、VIP (16-28)、VIP (6-10)、VIP (6-12)、VIP (6-16)、VIP (6-20)、VIP (6-24)、およびVIP (6-28)について無作為化した。すべてのペプチドはAuspep、Australiaから入手したかまたはここで合成された。VIP断片はその後の注入実験のためにハートマン溶液に溶解させた。
【0039】
12週齢から開始して、ラットを2週間にわたり、尾部血圧測定バンドでの圧力測定および手で触れることに慣れさせた。次にこれらのラットに、ビヒクルのみ(ハートマン溶液(Baxter Health Care Corporation)- (対照))またはVIP、VIP断片を静脈内より5pmol/kg/分の用量にて送達するように設計された浸透圧ミニポンプ(Alzet社)を外科的に挿入した。
【0040】
注入は4週間継続され、この期間にラットを週2回、計量しその血圧を測定した。4週間の注入期間の終期に、ラットを麻酔し、その大動脈を回収した。
【0041】
緩衝化ホルマリンに固定した後、大動脈を、ワックスに包埋し、薄片にしヘマトキシリンおよびエオシンでまたはマッソントリクロームで染色(Lomb Scientific)した。
【0042】
大動脈線維症の定量のために、各大動脈からの20のフィールドをデジタル化し、各々における線維症の量をImage-Pro Plus V5.0ソフトウェアを用いて表面積パーセントとして決定した。各ラットの平均値および、その後各注入群についての平均値を次いで決定した。
【0043】
図1〜4は、2.2%塩分ダイエットのSHRラットにおける、4週間のVIPおよび種々のVIP断片の注入の結果としてもたらされた、大動脈線維症の低減を示す。
【0044】
本発明の健康管理に対する重要性は、本明細書の開示を読んだ当業者に直ちに明らかとなるであろう。本発明の医薬調製物は、潜在的な病変(線維症)の進行を予防する、またはさらには線維症を反転させる作用をし、軽度から重度への疾患の深刻化を予防し、したがって健康管理負担を実質的に低減させる能力を有する。特定のVIP断片の全体としての大きさおよびその活性ゆえに、これらは薬剤開発の標的として理想的に適当なものである。
【0045】
説明された本発明の教示および精神と合致する本発明の組成物、方法および使用の他の実施形態および態様は、本発明に包含されその範囲内にある、と理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者における大動脈線維症の予防的または治療的処置方法であって、大動脈線維症を発症するリスクを有する被験者に、または大動脈線維症を有する被験者に、薬学上効果的な量の、血管作動性腸管ペプチド(VIP) (配列番号1)または配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、もしくは配列番号16から選択される1以上の機能的なVIP断片を含む組成物を投与することを含む前記方法。
【請求項2】
処置が、被験者における線維症を予防またはその進行を遅延させる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
処置が、発症した大動脈線維症の進行を抑制もしくは遅延させる、または発症した線維症の程度を低減させる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
大動脈線維症の処置に有用な1以上の他の活性物質の投与をさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
VIPまたは1以上の機能的なVIP断片が、静脈内、筋肉内、表皮下注射、経口、舌下または鼻腔から選択される経路により投与される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
VIPまたは1以上の機能的なVIP断片が、錠剤、カプセル剤、散剤、液状配合物、遅延もしくは持続放出型、パッチ、スナッフ、鼻腔スプレーなどから選択される剤形として投与される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
大動脈線維症の予防的または治療的処置に用いるための、血管作動性腸管ペプチド(VIP) (配列番号1)または配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、もしくは配列番号16から選択される1以上の機能的なVIP断片。
【請求項8】
大動脈線維症の予防的または治療的処置のための医薬の製造における、血管作動性腸管ペプチド(VIP) (配列番号1)または配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、もしくは配列番号16から選択される1以上の機能的なVIP断片の使用。
【請求項9】
被験者の大動脈におけるコラーゲン形成の低減またはコラーゲン分解の促進の方法であって、被験者に、薬学上効果的な量の血管作動性腸管ペプチド(VIP) (配列番号1)または配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、もしくは配列番号16から選択される1以上の機能的なVIP断片を含む組成物を投与することを含む前記方法。
【請求項10】
大動脈線維症の予防的または治療的処置のための組成物であって、薬学上効果的な量の血管作動性腸管ペプチド(VIP) (配列番号1)または配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、もしくは配列番号16から選択される1以上の機能的なVIP断片を含む前記組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−522727(P2012−522727A)
【公表日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−502396(P2012−502396)
【出願日】平成22年4月6日(2010.4.6)
【国際出願番号】PCT/AU2010/000391
【国際公開番号】WO2010/111753
【国際公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(511091014)ヴェクタス バイオシステムズ ピーティーワイ リミテッド (2)
【Fターム(参考)】