大空間の温度計測方法および装置
【課題】 建物内を水平方向に移動する障害物がある場合でも、建物内の大空間における上下方向の室内温度分布を高精度で計測することが可能な大空間の温度計測方法および装置を提供する。
【解決手段】 上下方向に所定の間隔をおいて配設される複数の温度センサ12を備えた帯状体11を建物1内の大空間9に垂下させ、感温部12からの情報に基づき大空間9における上下方向の室内温度を計測し、建物1内を水平移動する天井クレーン8の横断に応じて帯状体11を天井クレーン8の移動位置よりも上方で巻き取る。
【解決手段】 上下方向に所定の間隔をおいて配設される複数の温度センサ12を備えた帯状体11を建物1内の大空間9に垂下させ、感温部12からの情報に基づき大空間9における上下方向の室内温度を計測し、建物1内を水平移動する天井クレーン8の横断に応じて帯状体11を天井クレーン8の移動位置よりも上方で巻き取る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、建物内の大空間における上下方向の室内温度分布を把握することが可能な大空間の温度計測方法および装置に関し、とくに建物内を水平移動する障害物との干渉を回避することが可能な大空間の温度計測方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば精密機械や化学薬品を生産する工場などにおいては、品質管理の観点から室内の温度制御を高精度で行うことが必要とされる。特に大空間を有する工場では、床面から天井までの距離が長くなるので、大空間を満遍なく恒温に維持するためには、大空間の上下方向の温度を精度よく把握することが必要となる。
【0003】
従来から、計測用コンピュータを用いて恒温室内の温度を高精度に維持する恒温空調装置が知られている(例えば特許文献1参照。)。また、吐出ダクトの吐出口と吸気ボックスの吸気口とを一定の間隔をおいて配置し、吐出ダクトの吐出口と吸気ボックスの吸気口との間をクレーンが走行可能とした空調設備が知られている(例えば特許文献2参照。)。さらに、室内の温度分布を測定する技術の一例として赤外線などを用いたシステムなどが知られている(例えば特許文献3、4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平7−9309号公報
【特許文献2】特許第4017245号公報
【特許文献3】特開2006−226988号公報
【特許文献4】特開平6−34176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、建物内の大空間における上下方向の室内温度分布を高精度で把握するためには、大空間の上下方向に複数の感温部を常設することが必要となるが、建物内を水平移動する天井クレーンや自動搬送装置などの障害物が存在する場合は、障害物が感温部と干渉することになり、装置が損傷する恐れがある。また、高さ方向に感温部が固定されると、高所作業車等の走行ルートも制約される。逆に障害物と感温部との干渉を回避するため、天井クレーンの走行経路に感温部を配置しない構成とすると、走行経路に位置する空間部分の室内温度を把握することができず、建物の大空間を満遍なく恒温に維持するための空調制御ができなくなるという問題が生じる。
【0006】
そこでこの発明は、建物内を水平方向に移動する障害物がある場合でも、建物内の大空間における上下方向の室内温度分布を高精度で把握することが可能な大空間の温度計測方法および装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、上下方向に所定の間隔をおいて配設される複数の感温部を備えた帯状体を建物内の大空間に垂下させ、前記感温部からの情報に基づき前記大空間における上下方向の室内温度を計測し、前記建物内を水平移動する障害物の横断に応じて前記帯状体を前記障害物の移動位置よりも上方で巻き取ることを特徴とする大空間の温度計測方法である。
【0008】
この発明によれば、複数の感温部によって大空間の上下方向の室内温度が計測され、大空間における上下方向の室内温度分布を精度よく把握することが可能となる。また、建物内を障害物が水平方向に移動する際は、帯状体が障害物の移動位置よりも上方まで巻き取られ、帯状体と障害物との干渉が回避される。
【0009】
請求項2に記載の発明は、建物内の大空間に垂下可能な帯状体と、前記帯状体の上下方向に所定の間隔をおいて配設され前記大空間における上下方向の室内温度を計測する感温部と、前記建物内を水平移動する障害物の横断に応じて前記帯状体を前記障害物の移動位置よりも上方で巻き取る巻き上げ手段と、を備えたことを特徴とする大空間の温度計測装置である。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の大空間の温度計測装置において、前記帯状体の下端には錘が取付けられており、該錘に取付けられた前記感温部の位置を基準として上方に位置する他の感温部の高さを認識することを特徴としている。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載の大空間の温度計測装置において、前記感温部が室内温度を電気信号に変換する温度センサから構成され、前記温度センサからの電気信号を前記帯状体に固定された信号線と前記巻き上げ手段に取付けられたスリップリングを介して計測制御部に送ることを特徴としている。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項2または3に記載の大空間の温度計測装置において、前記感温部を熱放射板から構成し、前記熱放射板からの放射熱をサーモグラフィを介して前記室内温度分布を計測することを特徴としている。
【0013】
また、大空間の床面側の温度と大空間の室内温度とを同時に計測するために、前記帯状体の下端に取付けられた錘を大空間の床面まで降下可能とし、前記錘の下面に前記温度センサを設ける構成としてもよい。
【発明の効果】
【0014】
請求項1および2に記載の発明によれば、上下方向に所定の間隔をおいて配設される複数の感温部を備えた帯状体を建物内の大空間に垂下させるようにしているので、大空間における上下方向の室内温度分布を精度よく把握することが可能となる。これにより、建物内の大空間をほぼ満遍なく恒温に維持することができ、建物内で使用される機械類や生産される製品などの温度を一定に保つことができる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、帯状体の下端に取付けられた錘の自重によって帯状体が途中で弛むのを防止することができ、帯状体をほぼ直線状に垂下させることができる。また、錘が取付けられた感温部の位置を基準として上方に位置する他の感温部の高さを認識するようにしているので、建物内の大空間における各位置の室内温度を正確に把握することができる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、温度センサからの電気信号をスリップリングを介して計測制御部に送るようにしているので、帯状体の巻き取り時に信号線が捩れることを回避することができ、捩りによる信号線の断線を防止することができ、温度計測装置の信頼性を高めることができる。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、感温部を熱放射板から構成し、熱放射板からの放射熱をサーモグラフィを介して室内温度分布を計測するようにしているので、信号線やスリップリングが不要となり、装置の構成を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態1に係わる大空間の温度計測方法および装置の概要を示す正面図である。
【図2】図1の大空間の温度計測方法に用いられる温度計測装置の概要を示すブロック図である。
【図3】図1の大空間の温度計測方法に用いられる帯状体の拡大正面図である。
【図4】図3の帯状体の下端部に設けられた錘の拡大正面図である。
【図5】図2における巻上げ手段の制御盤と電気機器類との接続関係を示す配線図である。
【図6】図3の帯状体に設けられた温度センサとその配置を示す関係図である。
【図7】図1の巻上げ手段と障害物との位置関係を示す側面図である。
【図8】図1の建物の床側に設けられた温度センサを示す断面図である。
【図9】図1の巻上げ手段の拡大平面図である。
【図10】図9の巻上げ手段の拡大右側面図である。
【図11】図9の巻上げ手段の拡大正面図である。
【図12】図9の巻上げ手段の拡大左側面図である。
【図13】図9の巻上げ手段に取付けられるスリップリングの拡大断面図である。
【図14】図13のスリップリングの拡大側面図である。
【図15】図4の錘における温度センサの取付け位置の変形例を示す拡大断面図である。
【図16】図15の錘を用いた大空間の温度計測状態を示す側面図である。
【図17】本発明の実施の形態2に係わる大空間の温度計測方法および装置の概要を示す正面図である。
【図18】図17の大空間の温度計測方法および装置に用いられる帯状体の拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
つぎに、この発明の実施の形態について図面を用いて詳しく説明する。
【0020】
(実施の形態1)
図1ないし図16は、この発明の実施の形態1を示している。図1において、符号1は例えば生産工場として使用される建物を示している。建物1は、天井部2が水平方向に延びるように形成されている。建物1の左側には、天井部2から床面Fに向けて垂直に延びる左側壁部3が形成されている。建物1の右側には、天井部2から床面Fに向けて垂直に延びる右側壁部4が形成されている。建物1内には、天井部2と側壁部3、4と床面Fによって包囲された大空間9が形成されている。
【0021】
建物1内の左側壁部3側には、床面Fから上方に延びる支柱5が位置している。同様に、建物1内の右側壁部4側には、床面Fから上方に延びる支柱6が位置している。各支柱5、6の頂部には、障害物としての天井クレーン8が走行するための走行レール7が敷設されている。天井クレーン8は、建物1内で使用される機器類や生産される製品などを搬送するための荷役機械である。天井クレーン8は、走行レール7に沿って建物1の東西方向(図7の矢印B方向)に水平移動することが可能であり、例えば水平移動の駆動部を地上側から遠隔操作できるようになっている。
【0022】
図7は、建物1内の大空間9における上下方向の温度分布を把握するための温度計測装置10を示している。温度計測装置10は、主として、帯状体11と、感温部12と、錘14と、巻き上げ手段20とを有している。温度計測装置10は、さらに図2に示す信号処理部30と、温度分布表示制御部34とを備えることができる。
【0023】
帯状体11は、例えば高い引張り強度を有する合成樹脂から構成されており、巻き取り可能なフイルム状に形成されている。帯状体11は、図3および図10に示すように、幅Wおよび厚みEが設定されている。帯状体11は、外力による伸びが極力小となるように前述の材質が選定されており、垂下させた状態では自重および錘14による伸びは僅かな量に抑えられている。これにより、感温部12および後述する信号線13に過大な張力が作用するのを防止している。帯状体11は、図7に示すように、巻き上げ手段20によって矢印A方向に巻き取りおよび巻き出し可能となっている。
【0024】
帯状体11には、感温部としての温度センサ12が設けられている。温度センサ12は、図7に示すように、帯状体11の表面11aの上下方向に所定の間隔をおいて配設されてけられている。この実施の形態1においては、温度センサ12による室内温度の測定範囲は床面Fから垂直方向に10mに設定されている。錘14の温度センサ12から直近の温度センサ12までの間隔H2は、0.5mに設定されており、これ以外の温度センサ12の取付け間隔は、H3、H4に示すように1mに設定されている。温度センサ12は、大空間9における室内温度を電気信号に変換する機能を有しており、例えばサーミスタや熱電対から構成されている。温度センサ12からの電気信号は、帯状体11に固定された信号線13を介して信号処理部30に送られるようになっている。
【0025】
図4に示すように、帯状体11の下端11bには、錘14が取付けられている。帯状体11の下端11bは、錘14の上端面14cから錘14の内部に進入した状態で錘14に固定されている。錘14は、例えば弾性体としてのネオプロピレンゴムから構成されている。錘14は、段差を有する円柱状に形成されており、下端部14aが上端部14bよりも径が大となっている。錘14は、垂下状態にある帯状体11の弛みを抑制するものであり、帯状体11がほぼ一直線状に垂下するようにその重量が設定されている。錘14には、帯状体11に設けられる複数の温度センサ12のうち最も下方に位置する温度センサ12が設けられている。帯状体11は、錘14が床面Fから高さH1(H1=1m)の位置で静止するように巻き上げ手段20により制御される。
【0026】
また、この実施の形態1においては、大空間9における床面F側の温度も計測する。床面F側の温度を計測するのは、つぎの理由からである。恒温室を一定温度で空調すると躯体に空調空気の温熱や冷熱が蓄熱される。これに扉の開閉や隙間風、土間の温度の変化などが作用すると、結露が生じることがある。また、24時間運転でない場合は、室内が設定温度になるまでの立上がり時間にも影響する。そこで、床面Fの錘14の直下には、床面F側の温度を計測するために砂Fbが収納されたピットFaが形成されている。ピットFaは、大空間9に開口しており、ピットFaには床面F近傍の室内温度を測定する温度センサ12が収容されている。ピットFa内に収容された温度センサ12からの電気信号は、信号処理部30に送られるようになっている。もっとも、後述するように、錘14の底面に温度センサを12設けることで、ピットFaの築造費用を削減できる。
【0027】
建物1の天井部2の近傍でフレームより高い位置、ここでは掛け渡されたキャットウォーク上には、巻き上げ手段20が設けられている。巻き上げ手段20は、帯状体11の上方への巻き取りおよび下方への巻き出しが可能であり、建物1内を水平移動する天井クレーン8と帯状体11との干渉を回避する機能を有している。巻き上げ手段20は、図9ないし図12に示すように、回転ドラム21と、モータ22と、スリップリング23を有している。回転ドラム21は、巻き上げ手段20のフレーム20a内に収納されている。回転ドラム21は、帯状体11の巻き取りおよび巻き出しを行う機能を有しており、フレーム20aに対して軸心回りに回動可能に構成されている。回転ドラム21は、互いに対向して配置される一対のフランジ21aを有しており、この一対のフランジ21aの間に帯状体11を巻き取るための巻き取り溝21bが形成されている。
【0028】
フレーム20aの一方の側面部には、回転ドラム21を回転させるためのモータ22が取付けられている。モータ22は、図5に示すように電磁ブレーキ22aを備えている。電磁ブレーキ22aは、モータ22の回転停止時に回転ドラム21が帯状体11および錘14の重さによって回転するのを防止する機能を有している。モータ22は、図7の操作器27によって遠隔操作が可能となっている。
【0029】
図5に示すように、操作器27は、上昇用押し釦スイッチ27aと、下降用押し釦スイッチ27bと、停止用押し釦スイッチ27cを有している。停止用押し釦スイッチ27cは、回転ドラム21による帯状体11の巻き取りまたは巻き出しを途中で停止させる機能を有する。操作器27からの操作信号は、図2に示すように巻き上げ手段20を制御する制御盤28に送られる。フレーム20aの下端部には、帯状体11の過度の巻き取りを防止するための停止レバー24が揺動可能に取付けられている。停止レバー24は、帯状体11が所定の位置まで上昇した際は、錘14との接触により上方に揺動し、上限用リミットスイッチ25を動作させてモータ22の回転を停止させるようになっている。
【0030】
フレーム20aの他方の側面部には、スリップリング23が取付けられている。スリップリング23は、回転ドラム21およびモータ22の回転中心と同一線上に配置されている。スリップリング23は、帯状体11に設けられた温度センサ12からの信号を集電環とブラシとを利用して信号処理部30に送るための中継器としての役割を果たすものである。スリップリング23は、温度センサ12からの信号を伝達するための第1の接触部23aと、第2の接触部23bと、第3の接触部23cを有している。また、スリップリング23は、帯状体11の巻き出しの下限を規制するリミットスイッチ25が設けられる電気回路を形成する第4の接触部23dと、第5の接触部23eを有している。
【0031】
図13および図14は、スリップリング23の詳細を示している。スリップリング23は、回転ドラム21と連結される回転軸23gを有している。回転軸23gは、固定ケース23fに設けられた軸受部23hに回動自在に支持されている。固定ケース23fには、絶縁体23iを介して複数の集電環23jが取付けられている。各集電環23jには、帯状体11側から延びる複数の信号線13がそれぞれ接続されている。各集電環23jの外周には、先端にブラシ23mを有する揺動アーム23kが配置されている。揺動アーム23kのブラシ23mは、集電環23jの外周面に常時接触している。揺動アーム23kは、端子23nと電気的に接続されている。信号線13からの電気信号は、端子23nを介して信号処理部30に送られるようになっている。
【0032】
このように、スリップリング23は、集電環23jが回転ドラム21と一体となって回動し、揺動アーム23kのブラシ23mは集電環23jと常時摺接しているので、信号線13からの電気信号は集電環23jおよび揺動アーム23kを介して端子23nに出力される。
【0033】
図2に示すように、巻き上げ手段20は、建物1の東西方向の2箇所に配置されている。すなわち、大空間9を有する建物1では、1ヶ所での室内温度の測定では室内温度分布を高精度に把握することが難しいことから、建物1の東西方向の2箇所で帯状体11を利用した室内温度の測定が行われる。そして、この実施の形態1においては、建物1の南北方向の室内温度も図示しない温度センサにより測定が行われる。南北における大空間の上下方向の室内温度の測定は、帯状体11を用いるものではなく、例えば建物1の左側壁部3および右側壁部4の高さ方向にそれぞれ5個ずつ設けられた温度センサ(図示略)によって行われる。この南北方向の室内温度の測定データは、図2に示すデータロガ32に入力されるようになっている。
【0034】
図2に示すように、帯状体11に設けられた温度センサ12からの電気信号は、巻き上げ手段20のスリップリング23および図7の中継ボックス29などを介して信号処理部30の通信制御部31に送られるようになっている。ここで、温度センサ12からの電気信号は、例えば1−Wire(登録商標)と呼ばれるデータ転送によって通信制御部31に転送されるようになっている。この1−Wireは、接地線と一本の信号線のみでデータ転送を行えるものであり、これによりスリップリング23の接点数を少なくすることが可能となる。この実施の形態1においては、一つの帯状体11に10個の温度センサ12が設けられており、本来は全体で信号線13の数が20本となるが、この1−Wireによるデータ転送により信号線13の本数を3本とすることが可能となっている。
【0035】
信号処理部30の通信制御部31およびデータロガ32には、HUBと呼ばれる集線装置33を介してパーソナルコンピュータ(PC)34が接続されている。通信制御部31およびデータロガ32は、集線装置33を介してパーソナルコンピュータ34と相互に通信可能となっている。パーソナルコンピュータ34は、通信制御部31およびデータロガ32からの信号に基づき、建物1の大空間9における室内温度分布の画像表示を行うようになっている。パーソナルコンピュータ34からは、大型の液晶ディスプレイなどよる室内温度分布の画像再現のためのRGB信号が出力可能となっている。
【0036】
図6は、建物1の西側と東側に設けられた帯状体11の各温度センサ12からの情報による測定温度を示している。上述したように、西側の帯状体11には、10個の温度センサ12が設けられており、東側の帯状体11には同じく10個の温度センサ12が設けられている。西側および東側の各温度センサ12には、通信制御部31での信号の識別が可能なように識別符号であるセンサID(N1〜N20)が付与されている。パーソナルコンピュータ34には、各温度センサ位置(1−1〜2−10)からの測定温度(T1〜T20)が表示されるようになっており、測定温度(T1〜T20)に基づき大空間9における室内温度分布の把握が可能となっている。
【0037】
つぎに、実施の形態1における温度計測装置10を用いた大空間の温度計測方法および作用について説明する。
【0038】
図7に示すように、帯状体11は通常天井部2の近傍から床面Fに向かって垂下しており、帯状体11の下端部に取付けられた錘14は床面Fから高さH1(H1=1m)のところに静止している。この状態では、錘14の自重によって帯状体11は弛むことなくほぼ直線状に垂下している。したがって、大空間9おける上下方向の各位置の室内温度は、帯状体11に設けられた10個の温度センサ12によって精度よく測定される。
【0039】
ここで、建物1内で使用される機器類や生産される製品などを搬送するために天井クレーン8を使用する際には、天井クレーン8と帯状体11との干渉を回避するために、帯状体11が巻き上げ手段20によって巻き上げられる。帯状体11の巻上げは、図5に示すように、操作器27の上昇用押し釦スイッチ27aを押すことにより行われる。すなわち、上昇用押し釦スイッチ27aを押すことにより、モータ22が起動し回転ドラム21が巻き取り方向に回転し、帯状体11は回転ドラム21によって巻き取られる。帯状体11が所定量巻き取られた状態では、帯状体11の下端部に取付けられた錘14が停止レバー24と接触し、上限用リミットスイッチ25を動作させることにより、モータ22の回転を自動停止させる。
【0040】
帯状体11が上限まで巻き取られた状態では、図7に示すように錘14が天井クレーン8よりも上方に位置することになり、天井クレーン8が帯状体11に向けて走行してきても、天井クレーン8と帯状体11との干渉が確実に回避される。天井クレーン8が帯状体11の直下を通過した後は、操作器27の下降用押し釦スイッチ27bを押すことにより、回転ドラム21が巻き上げ時と逆方向に回転し、帯状体11は回転ドラム21から巻き出され、床面Fに向けて垂下を始める。そして、錘14の位置が床面Fから高さH1になった時点で図5に示すリミットスイッチ25が動作し、回転ドラム21を駆動するモータ22の回転が停止し、帯状体11はこの位置で自動停止する。
【0041】
このように、上下方向に所定の間隔をおいて配設される複数の温度センサ12を備えた帯状体11を建物1内の大空間9に垂下させるようにしているので、大空間9における上下方向の室内温度分布を精度よく把握することが可能となる。したがって、計測された室温温度分布に基づき、建物1内の空調を行う空調装置(図示略)を適宜制御することにより、大空間9をほぼ満遍なく恒温に維持することができ、建物1内で使用される機械類や生産される製品などの温度を一定に保つことができる。
【0042】
また、帯状体11の下端に取付けられた錘14の自重によって帯状体11が途中で弛むのを防止することができ、帯状体11をほぼ直線状に垂下させることができる。そして、錘14が取付けられた温度センサ12の位置を基準として上方に位置する他の温度センサ12の高さを認識するようにしているので、建物1内の大空間9における各位置の室内温度を正確に把握することができる。
【0043】
つまり、図6に示すように、西側の巻き上げ手段20の帯状体11におけるセンサ位置1−1〜1−10には、温度センサ12がそれぞれ設けられているので、各センサ位置1−1〜2−10に対応する測定温度T1〜T10を正確に把握することが可能となる。上述したように、センサ位置1−1に設けられる錘14の温度センサ12とセンサ位置1−2に設けられる直近の温度センサ12までの間隔は、0.5mに設定されており、これよりも上方のセンサ位置1−3〜10における温度センサ12の取付け間隔は、1mに設定されていることから、帯状体11を直線状に垂下させた状態では、大空間9における所定の高さの室内温度を正確に把握することが可能となる。同様に、東側の巻き上げ手段20においても、図6に示すように、センサ位置2−1〜2−10に対応する測定温度T1〜T10を正確に把握することが可能となる。
【0044】
さらに、図5に示すように、温度センサ12からの電気信号をスリップリング23を介して計測制御部30に送るようにしているので、帯状体11の巻き取り時に信号線13が捩れることを回避することができ、捩りによる信号線13の断線を防止することができ、温度計測装置10の信頼性を高めることができる。
【0045】
図15および図16は、錘14における温度センサ12の取付け位置の変形例を示している。図7においては、錘14は床面Fから高さH1の位置で静止するように構成されているが、図15および図16では帯状体11のさらなる垂下により床面Fに着地可能となっている。複数の温度センサ12のうち最も下方に位置する温度センサ12は、図15に示すように錘14の下面14dに取付けられている。この温度センサ12は、大空間9における床面F側の温度を測定する役割を果たしている。
【0046】
錘14の下面14dには、温度センサ12の外周部を包囲するリング状の保護用パッキン14eが設けられている。温度センサ12は、錘14が床面Fに着地した状態では、保護用パッキン14eによって床面Fから僅かに浮き上がるようになっており、床面Fと直接干渉することが回避されている。このように、温度センサ12を錘14の下面14d側に取付け、錘14を床面Fに着地させることにより、図8のようなピットFaを築造することなく、大空間9における床面F側の室内温度を測定することが可能となる。
【0047】
(実施の形態2)
図15および図16は、この発明の実施の形態2を示している。実施の形態2が実施の形態1と異なるところは、感温部の構成のみであり、その他の部分は実施の形態1に準じるので、準じる部分に実施の形態1と同一の符号を付すことにより、準ずる部分の説明を省略する。実施の形態2は、実施の形態1ほどの精度を求めない施設では、簡便にシステム構築できる利点がある。
【0048】
図16に示すように、帯状体11の表面11aには、感温部としての熱放射板40が設けられている。熱放射板40は、建物1の大空間9の室内温度に応じた放射熱を生じさせるものであり、実施の形態1と同様に帯状体11の上下方向に所定の間隔Hをおいて設けられている。建物1内には、帯状体11に設けられた熱放射板40の放射熱を測定するためのサーモグラフィ41が配置されている。
【0049】
サーモグラフィ41は、周知のとおり、物体から放射される赤外線を分析し、熱分布を画像として表示するものである。赤外線は、温度上昇によって放射量が増えるため、測定対象の温度変化を赤外線量の変化として可視化することができる。この実施の形態2においては、サーモグラフィ41を右側壁部4側の支柱6の近傍に配置しているが、天井クレーン8の走行レール7の近傍などに配置してもよい。また、サーモグラフィ41による熱分布は、サーモグラフィ41に表示される画像を直接目視してもよいが、遠隔表示装置(図示略)を介して目視するようにしてもよい。
【0050】
このように構成された実施の形態2においては、帯状体11に信号線13を固定する必要もなくなり、また巻き上げ手段20にスリップリング23を設けることも不要となるので、温度計測装置10の構成を簡素化することができる。
【0051】
以上、この発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、帯状体11をフイルム状の合成樹脂から構成したが、引張り強度の高い繊維を帯状に織り込んだ構成としてもよい。また、感温部として有線式の温度センサ12を使用したが、温度センサ12を超小型の無線式温度センサとする構成としてもよい。そして、各温度センサ12からの計測データを大型ディスプレイに表示してもよい。
【0052】
さらに、実施の形態1においては、操作器27の各押し釦スイッチ27a、27bを押すことにより帯状体11の巻き取りや巻き出しを行うようにしているが、天井クレーン8が帯状体11に接近するのを超音波センサなどにより検出し、超音波センサからの信号に基づいて帯状体11を自動的に巻き上げる構成としてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 建物
2 天井部
8 天井クレーン(障害物)
9 大空間
10 温度計測装置
11 帯状体
12 温度センサ(感温部)
13 信号線
14 錘
20 巻き上げ手段
21 回転ドラム
22 モータ
23 スリップリング
25 下限用リミットスイッチ
26 上限用リミットスイッチ
27 操作器
30 信号処理部
31 通信制御部
34 パーソナルコンピュータ
40 熱放射板(感温部)
41 サーモグラフィ
F 床面
【技術分野】
【0001】
この発明は、建物内の大空間における上下方向の室内温度分布を把握することが可能な大空間の温度計測方法および装置に関し、とくに建物内を水平移動する障害物との干渉を回避することが可能な大空間の温度計測方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば精密機械や化学薬品を生産する工場などにおいては、品質管理の観点から室内の温度制御を高精度で行うことが必要とされる。特に大空間を有する工場では、床面から天井までの距離が長くなるので、大空間を満遍なく恒温に維持するためには、大空間の上下方向の温度を精度よく把握することが必要となる。
【0003】
従来から、計測用コンピュータを用いて恒温室内の温度を高精度に維持する恒温空調装置が知られている(例えば特許文献1参照。)。また、吐出ダクトの吐出口と吸気ボックスの吸気口とを一定の間隔をおいて配置し、吐出ダクトの吐出口と吸気ボックスの吸気口との間をクレーンが走行可能とした空調設備が知られている(例えば特許文献2参照。)。さらに、室内の温度分布を測定する技術の一例として赤外線などを用いたシステムなどが知られている(例えば特許文献3、4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平7−9309号公報
【特許文献2】特許第4017245号公報
【特許文献3】特開2006−226988号公報
【特許文献4】特開平6−34176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、建物内の大空間における上下方向の室内温度分布を高精度で把握するためには、大空間の上下方向に複数の感温部を常設することが必要となるが、建物内を水平移動する天井クレーンや自動搬送装置などの障害物が存在する場合は、障害物が感温部と干渉することになり、装置が損傷する恐れがある。また、高さ方向に感温部が固定されると、高所作業車等の走行ルートも制約される。逆に障害物と感温部との干渉を回避するため、天井クレーンの走行経路に感温部を配置しない構成とすると、走行経路に位置する空間部分の室内温度を把握することができず、建物の大空間を満遍なく恒温に維持するための空調制御ができなくなるという問題が生じる。
【0006】
そこでこの発明は、建物内を水平方向に移動する障害物がある場合でも、建物内の大空間における上下方向の室内温度分布を高精度で把握することが可能な大空間の温度計測方法および装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、上下方向に所定の間隔をおいて配設される複数の感温部を備えた帯状体を建物内の大空間に垂下させ、前記感温部からの情報に基づき前記大空間における上下方向の室内温度を計測し、前記建物内を水平移動する障害物の横断に応じて前記帯状体を前記障害物の移動位置よりも上方で巻き取ることを特徴とする大空間の温度計測方法である。
【0008】
この発明によれば、複数の感温部によって大空間の上下方向の室内温度が計測され、大空間における上下方向の室内温度分布を精度よく把握することが可能となる。また、建物内を障害物が水平方向に移動する際は、帯状体が障害物の移動位置よりも上方まで巻き取られ、帯状体と障害物との干渉が回避される。
【0009】
請求項2に記載の発明は、建物内の大空間に垂下可能な帯状体と、前記帯状体の上下方向に所定の間隔をおいて配設され前記大空間における上下方向の室内温度を計測する感温部と、前記建物内を水平移動する障害物の横断に応じて前記帯状体を前記障害物の移動位置よりも上方で巻き取る巻き上げ手段と、を備えたことを特徴とする大空間の温度計測装置である。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の大空間の温度計測装置において、前記帯状体の下端には錘が取付けられており、該錘に取付けられた前記感温部の位置を基準として上方に位置する他の感温部の高さを認識することを特徴としている。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載の大空間の温度計測装置において、前記感温部が室内温度を電気信号に変換する温度センサから構成され、前記温度センサからの電気信号を前記帯状体に固定された信号線と前記巻き上げ手段に取付けられたスリップリングを介して計測制御部に送ることを特徴としている。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項2または3に記載の大空間の温度計測装置において、前記感温部を熱放射板から構成し、前記熱放射板からの放射熱をサーモグラフィを介して前記室内温度分布を計測することを特徴としている。
【0013】
また、大空間の床面側の温度と大空間の室内温度とを同時に計測するために、前記帯状体の下端に取付けられた錘を大空間の床面まで降下可能とし、前記錘の下面に前記温度センサを設ける構成としてもよい。
【発明の効果】
【0014】
請求項1および2に記載の発明によれば、上下方向に所定の間隔をおいて配設される複数の感温部を備えた帯状体を建物内の大空間に垂下させるようにしているので、大空間における上下方向の室内温度分布を精度よく把握することが可能となる。これにより、建物内の大空間をほぼ満遍なく恒温に維持することができ、建物内で使用される機械類や生産される製品などの温度を一定に保つことができる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、帯状体の下端に取付けられた錘の自重によって帯状体が途中で弛むのを防止することができ、帯状体をほぼ直線状に垂下させることができる。また、錘が取付けられた感温部の位置を基準として上方に位置する他の感温部の高さを認識するようにしているので、建物内の大空間における各位置の室内温度を正確に把握することができる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、温度センサからの電気信号をスリップリングを介して計測制御部に送るようにしているので、帯状体の巻き取り時に信号線が捩れることを回避することができ、捩りによる信号線の断線を防止することができ、温度計測装置の信頼性を高めることができる。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、感温部を熱放射板から構成し、熱放射板からの放射熱をサーモグラフィを介して室内温度分布を計測するようにしているので、信号線やスリップリングが不要となり、装置の構成を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態1に係わる大空間の温度計測方法および装置の概要を示す正面図である。
【図2】図1の大空間の温度計測方法に用いられる温度計測装置の概要を示すブロック図である。
【図3】図1の大空間の温度計測方法に用いられる帯状体の拡大正面図である。
【図4】図3の帯状体の下端部に設けられた錘の拡大正面図である。
【図5】図2における巻上げ手段の制御盤と電気機器類との接続関係を示す配線図である。
【図6】図3の帯状体に設けられた温度センサとその配置を示す関係図である。
【図7】図1の巻上げ手段と障害物との位置関係を示す側面図である。
【図8】図1の建物の床側に設けられた温度センサを示す断面図である。
【図9】図1の巻上げ手段の拡大平面図である。
【図10】図9の巻上げ手段の拡大右側面図である。
【図11】図9の巻上げ手段の拡大正面図である。
【図12】図9の巻上げ手段の拡大左側面図である。
【図13】図9の巻上げ手段に取付けられるスリップリングの拡大断面図である。
【図14】図13のスリップリングの拡大側面図である。
【図15】図4の錘における温度センサの取付け位置の変形例を示す拡大断面図である。
【図16】図15の錘を用いた大空間の温度計測状態を示す側面図である。
【図17】本発明の実施の形態2に係わる大空間の温度計測方法および装置の概要を示す正面図である。
【図18】図17の大空間の温度計測方法および装置に用いられる帯状体の拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
つぎに、この発明の実施の形態について図面を用いて詳しく説明する。
【0020】
(実施の形態1)
図1ないし図16は、この発明の実施の形態1を示している。図1において、符号1は例えば生産工場として使用される建物を示している。建物1は、天井部2が水平方向に延びるように形成されている。建物1の左側には、天井部2から床面Fに向けて垂直に延びる左側壁部3が形成されている。建物1の右側には、天井部2から床面Fに向けて垂直に延びる右側壁部4が形成されている。建物1内には、天井部2と側壁部3、4と床面Fによって包囲された大空間9が形成されている。
【0021】
建物1内の左側壁部3側には、床面Fから上方に延びる支柱5が位置している。同様に、建物1内の右側壁部4側には、床面Fから上方に延びる支柱6が位置している。各支柱5、6の頂部には、障害物としての天井クレーン8が走行するための走行レール7が敷設されている。天井クレーン8は、建物1内で使用される機器類や生産される製品などを搬送するための荷役機械である。天井クレーン8は、走行レール7に沿って建物1の東西方向(図7の矢印B方向)に水平移動することが可能であり、例えば水平移動の駆動部を地上側から遠隔操作できるようになっている。
【0022】
図7は、建物1内の大空間9における上下方向の温度分布を把握するための温度計測装置10を示している。温度計測装置10は、主として、帯状体11と、感温部12と、錘14と、巻き上げ手段20とを有している。温度計測装置10は、さらに図2に示す信号処理部30と、温度分布表示制御部34とを備えることができる。
【0023】
帯状体11は、例えば高い引張り強度を有する合成樹脂から構成されており、巻き取り可能なフイルム状に形成されている。帯状体11は、図3および図10に示すように、幅Wおよび厚みEが設定されている。帯状体11は、外力による伸びが極力小となるように前述の材質が選定されており、垂下させた状態では自重および錘14による伸びは僅かな量に抑えられている。これにより、感温部12および後述する信号線13に過大な張力が作用するのを防止している。帯状体11は、図7に示すように、巻き上げ手段20によって矢印A方向に巻き取りおよび巻き出し可能となっている。
【0024】
帯状体11には、感温部としての温度センサ12が設けられている。温度センサ12は、図7に示すように、帯状体11の表面11aの上下方向に所定の間隔をおいて配設されてけられている。この実施の形態1においては、温度センサ12による室内温度の測定範囲は床面Fから垂直方向に10mに設定されている。錘14の温度センサ12から直近の温度センサ12までの間隔H2は、0.5mに設定されており、これ以外の温度センサ12の取付け間隔は、H3、H4に示すように1mに設定されている。温度センサ12は、大空間9における室内温度を電気信号に変換する機能を有しており、例えばサーミスタや熱電対から構成されている。温度センサ12からの電気信号は、帯状体11に固定された信号線13を介して信号処理部30に送られるようになっている。
【0025】
図4に示すように、帯状体11の下端11bには、錘14が取付けられている。帯状体11の下端11bは、錘14の上端面14cから錘14の内部に進入した状態で錘14に固定されている。錘14は、例えば弾性体としてのネオプロピレンゴムから構成されている。錘14は、段差を有する円柱状に形成されており、下端部14aが上端部14bよりも径が大となっている。錘14は、垂下状態にある帯状体11の弛みを抑制するものであり、帯状体11がほぼ一直線状に垂下するようにその重量が設定されている。錘14には、帯状体11に設けられる複数の温度センサ12のうち最も下方に位置する温度センサ12が設けられている。帯状体11は、錘14が床面Fから高さH1(H1=1m)の位置で静止するように巻き上げ手段20により制御される。
【0026】
また、この実施の形態1においては、大空間9における床面F側の温度も計測する。床面F側の温度を計測するのは、つぎの理由からである。恒温室を一定温度で空調すると躯体に空調空気の温熱や冷熱が蓄熱される。これに扉の開閉や隙間風、土間の温度の変化などが作用すると、結露が生じることがある。また、24時間運転でない場合は、室内が設定温度になるまでの立上がり時間にも影響する。そこで、床面Fの錘14の直下には、床面F側の温度を計測するために砂Fbが収納されたピットFaが形成されている。ピットFaは、大空間9に開口しており、ピットFaには床面F近傍の室内温度を測定する温度センサ12が収容されている。ピットFa内に収容された温度センサ12からの電気信号は、信号処理部30に送られるようになっている。もっとも、後述するように、錘14の底面に温度センサを12設けることで、ピットFaの築造費用を削減できる。
【0027】
建物1の天井部2の近傍でフレームより高い位置、ここでは掛け渡されたキャットウォーク上には、巻き上げ手段20が設けられている。巻き上げ手段20は、帯状体11の上方への巻き取りおよび下方への巻き出しが可能であり、建物1内を水平移動する天井クレーン8と帯状体11との干渉を回避する機能を有している。巻き上げ手段20は、図9ないし図12に示すように、回転ドラム21と、モータ22と、スリップリング23を有している。回転ドラム21は、巻き上げ手段20のフレーム20a内に収納されている。回転ドラム21は、帯状体11の巻き取りおよび巻き出しを行う機能を有しており、フレーム20aに対して軸心回りに回動可能に構成されている。回転ドラム21は、互いに対向して配置される一対のフランジ21aを有しており、この一対のフランジ21aの間に帯状体11を巻き取るための巻き取り溝21bが形成されている。
【0028】
フレーム20aの一方の側面部には、回転ドラム21を回転させるためのモータ22が取付けられている。モータ22は、図5に示すように電磁ブレーキ22aを備えている。電磁ブレーキ22aは、モータ22の回転停止時に回転ドラム21が帯状体11および錘14の重さによって回転するのを防止する機能を有している。モータ22は、図7の操作器27によって遠隔操作が可能となっている。
【0029】
図5に示すように、操作器27は、上昇用押し釦スイッチ27aと、下降用押し釦スイッチ27bと、停止用押し釦スイッチ27cを有している。停止用押し釦スイッチ27cは、回転ドラム21による帯状体11の巻き取りまたは巻き出しを途中で停止させる機能を有する。操作器27からの操作信号は、図2に示すように巻き上げ手段20を制御する制御盤28に送られる。フレーム20aの下端部には、帯状体11の過度の巻き取りを防止するための停止レバー24が揺動可能に取付けられている。停止レバー24は、帯状体11が所定の位置まで上昇した際は、錘14との接触により上方に揺動し、上限用リミットスイッチ25を動作させてモータ22の回転を停止させるようになっている。
【0030】
フレーム20aの他方の側面部には、スリップリング23が取付けられている。スリップリング23は、回転ドラム21およびモータ22の回転中心と同一線上に配置されている。スリップリング23は、帯状体11に設けられた温度センサ12からの信号を集電環とブラシとを利用して信号処理部30に送るための中継器としての役割を果たすものである。スリップリング23は、温度センサ12からの信号を伝達するための第1の接触部23aと、第2の接触部23bと、第3の接触部23cを有している。また、スリップリング23は、帯状体11の巻き出しの下限を規制するリミットスイッチ25が設けられる電気回路を形成する第4の接触部23dと、第5の接触部23eを有している。
【0031】
図13および図14は、スリップリング23の詳細を示している。スリップリング23は、回転ドラム21と連結される回転軸23gを有している。回転軸23gは、固定ケース23fに設けられた軸受部23hに回動自在に支持されている。固定ケース23fには、絶縁体23iを介して複数の集電環23jが取付けられている。各集電環23jには、帯状体11側から延びる複数の信号線13がそれぞれ接続されている。各集電環23jの外周には、先端にブラシ23mを有する揺動アーム23kが配置されている。揺動アーム23kのブラシ23mは、集電環23jの外周面に常時接触している。揺動アーム23kは、端子23nと電気的に接続されている。信号線13からの電気信号は、端子23nを介して信号処理部30に送られるようになっている。
【0032】
このように、スリップリング23は、集電環23jが回転ドラム21と一体となって回動し、揺動アーム23kのブラシ23mは集電環23jと常時摺接しているので、信号線13からの電気信号は集電環23jおよび揺動アーム23kを介して端子23nに出力される。
【0033】
図2に示すように、巻き上げ手段20は、建物1の東西方向の2箇所に配置されている。すなわち、大空間9を有する建物1では、1ヶ所での室内温度の測定では室内温度分布を高精度に把握することが難しいことから、建物1の東西方向の2箇所で帯状体11を利用した室内温度の測定が行われる。そして、この実施の形態1においては、建物1の南北方向の室内温度も図示しない温度センサにより測定が行われる。南北における大空間の上下方向の室内温度の測定は、帯状体11を用いるものではなく、例えば建物1の左側壁部3および右側壁部4の高さ方向にそれぞれ5個ずつ設けられた温度センサ(図示略)によって行われる。この南北方向の室内温度の測定データは、図2に示すデータロガ32に入力されるようになっている。
【0034】
図2に示すように、帯状体11に設けられた温度センサ12からの電気信号は、巻き上げ手段20のスリップリング23および図7の中継ボックス29などを介して信号処理部30の通信制御部31に送られるようになっている。ここで、温度センサ12からの電気信号は、例えば1−Wire(登録商標)と呼ばれるデータ転送によって通信制御部31に転送されるようになっている。この1−Wireは、接地線と一本の信号線のみでデータ転送を行えるものであり、これによりスリップリング23の接点数を少なくすることが可能となる。この実施の形態1においては、一つの帯状体11に10個の温度センサ12が設けられており、本来は全体で信号線13の数が20本となるが、この1−Wireによるデータ転送により信号線13の本数を3本とすることが可能となっている。
【0035】
信号処理部30の通信制御部31およびデータロガ32には、HUBと呼ばれる集線装置33を介してパーソナルコンピュータ(PC)34が接続されている。通信制御部31およびデータロガ32は、集線装置33を介してパーソナルコンピュータ34と相互に通信可能となっている。パーソナルコンピュータ34は、通信制御部31およびデータロガ32からの信号に基づき、建物1の大空間9における室内温度分布の画像表示を行うようになっている。パーソナルコンピュータ34からは、大型の液晶ディスプレイなどよる室内温度分布の画像再現のためのRGB信号が出力可能となっている。
【0036】
図6は、建物1の西側と東側に設けられた帯状体11の各温度センサ12からの情報による測定温度を示している。上述したように、西側の帯状体11には、10個の温度センサ12が設けられており、東側の帯状体11には同じく10個の温度センサ12が設けられている。西側および東側の各温度センサ12には、通信制御部31での信号の識別が可能なように識別符号であるセンサID(N1〜N20)が付与されている。パーソナルコンピュータ34には、各温度センサ位置(1−1〜2−10)からの測定温度(T1〜T20)が表示されるようになっており、測定温度(T1〜T20)に基づき大空間9における室内温度分布の把握が可能となっている。
【0037】
つぎに、実施の形態1における温度計測装置10を用いた大空間の温度計測方法および作用について説明する。
【0038】
図7に示すように、帯状体11は通常天井部2の近傍から床面Fに向かって垂下しており、帯状体11の下端部に取付けられた錘14は床面Fから高さH1(H1=1m)のところに静止している。この状態では、錘14の自重によって帯状体11は弛むことなくほぼ直線状に垂下している。したがって、大空間9おける上下方向の各位置の室内温度は、帯状体11に設けられた10個の温度センサ12によって精度よく測定される。
【0039】
ここで、建物1内で使用される機器類や生産される製品などを搬送するために天井クレーン8を使用する際には、天井クレーン8と帯状体11との干渉を回避するために、帯状体11が巻き上げ手段20によって巻き上げられる。帯状体11の巻上げは、図5に示すように、操作器27の上昇用押し釦スイッチ27aを押すことにより行われる。すなわち、上昇用押し釦スイッチ27aを押すことにより、モータ22が起動し回転ドラム21が巻き取り方向に回転し、帯状体11は回転ドラム21によって巻き取られる。帯状体11が所定量巻き取られた状態では、帯状体11の下端部に取付けられた錘14が停止レバー24と接触し、上限用リミットスイッチ25を動作させることにより、モータ22の回転を自動停止させる。
【0040】
帯状体11が上限まで巻き取られた状態では、図7に示すように錘14が天井クレーン8よりも上方に位置することになり、天井クレーン8が帯状体11に向けて走行してきても、天井クレーン8と帯状体11との干渉が確実に回避される。天井クレーン8が帯状体11の直下を通過した後は、操作器27の下降用押し釦スイッチ27bを押すことにより、回転ドラム21が巻き上げ時と逆方向に回転し、帯状体11は回転ドラム21から巻き出され、床面Fに向けて垂下を始める。そして、錘14の位置が床面Fから高さH1になった時点で図5に示すリミットスイッチ25が動作し、回転ドラム21を駆動するモータ22の回転が停止し、帯状体11はこの位置で自動停止する。
【0041】
このように、上下方向に所定の間隔をおいて配設される複数の温度センサ12を備えた帯状体11を建物1内の大空間9に垂下させるようにしているので、大空間9における上下方向の室内温度分布を精度よく把握することが可能となる。したがって、計測された室温温度分布に基づき、建物1内の空調を行う空調装置(図示略)を適宜制御することにより、大空間9をほぼ満遍なく恒温に維持することができ、建物1内で使用される機械類や生産される製品などの温度を一定に保つことができる。
【0042】
また、帯状体11の下端に取付けられた錘14の自重によって帯状体11が途中で弛むのを防止することができ、帯状体11をほぼ直線状に垂下させることができる。そして、錘14が取付けられた温度センサ12の位置を基準として上方に位置する他の温度センサ12の高さを認識するようにしているので、建物1内の大空間9における各位置の室内温度を正確に把握することができる。
【0043】
つまり、図6に示すように、西側の巻き上げ手段20の帯状体11におけるセンサ位置1−1〜1−10には、温度センサ12がそれぞれ設けられているので、各センサ位置1−1〜2−10に対応する測定温度T1〜T10を正確に把握することが可能となる。上述したように、センサ位置1−1に設けられる錘14の温度センサ12とセンサ位置1−2に設けられる直近の温度センサ12までの間隔は、0.5mに設定されており、これよりも上方のセンサ位置1−3〜10における温度センサ12の取付け間隔は、1mに設定されていることから、帯状体11を直線状に垂下させた状態では、大空間9における所定の高さの室内温度を正確に把握することが可能となる。同様に、東側の巻き上げ手段20においても、図6に示すように、センサ位置2−1〜2−10に対応する測定温度T1〜T10を正確に把握することが可能となる。
【0044】
さらに、図5に示すように、温度センサ12からの電気信号をスリップリング23を介して計測制御部30に送るようにしているので、帯状体11の巻き取り時に信号線13が捩れることを回避することができ、捩りによる信号線13の断線を防止することができ、温度計測装置10の信頼性を高めることができる。
【0045】
図15および図16は、錘14における温度センサ12の取付け位置の変形例を示している。図7においては、錘14は床面Fから高さH1の位置で静止するように構成されているが、図15および図16では帯状体11のさらなる垂下により床面Fに着地可能となっている。複数の温度センサ12のうち最も下方に位置する温度センサ12は、図15に示すように錘14の下面14dに取付けられている。この温度センサ12は、大空間9における床面F側の温度を測定する役割を果たしている。
【0046】
錘14の下面14dには、温度センサ12の外周部を包囲するリング状の保護用パッキン14eが設けられている。温度センサ12は、錘14が床面Fに着地した状態では、保護用パッキン14eによって床面Fから僅かに浮き上がるようになっており、床面Fと直接干渉することが回避されている。このように、温度センサ12を錘14の下面14d側に取付け、錘14を床面Fに着地させることにより、図8のようなピットFaを築造することなく、大空間9における床面F側の室内温度を測定することが可能となる。
【0047】
(実施の形態2)
図15および図16は、この発明の実施の形態2を示している。実施の形態2が実施の形態1と異なるところは、感温部の構成のみであり、その他の部分は実施の形態1に準じるので、準じる部分に実施の形態1と同一の符号を付すことにより、準ずる部分の説明を省略する。実施の形態2は、実施の形態1ほどの精度を求めない施設では、簡便にシステム構築できる利点がある。
【0048】
図16に示すように、帯状体11の表面11aには、感温部としての熱放射板40が設けられている。熱放射板40は、建物1の大空間9の室内温度に応じた放射熱を生じさせるものであり、実施の形態1と同様に帯状体11の上下方向に所定の間隔Hをおいて設けられている。建物1内には、帯状体11に設けられた熱放射板40の放射熱を測定するためのサーモグラフィ41が配置されている。
【0049】
サーモグラフィ41は、周知のとおり、物体から放射される赤外線を分析し、熱分布を画像として表示するものである。赤外線は、温度上昇によって放射量が増えるため、測定対象の温度変化を赤外線量の変化として可視化することができる。この実施の形態2においては、サーモグラフィ41を右側壁部4側の支柱6の近傍に配置しているが、天井クレーン8の走行レール7の近傍などに配置してもよい。また、サーモグラフィ41による熱分布は、サーモグラフィ41に表示される画像を直接目視してもよいが、遠隔表示装置(図示略)を介して目視するようにしてもよい。
【0050】
このように構成された実施の形態2においては、帯状体11に信号線13を固定する必要もなくなり、また巻き上げ手段20にスリップリング23を設けることも不要となるので、温度計測装置10の構成を簡素化することができる。
【0051】
以上、この発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、帯状体11をフイルム状の合成樹脂から構成したが、引張り強度の高い繊維を帯状に織り込んだ構成としてもよい。また、感温部として有線式の温度センサ12を使用したが、温度センサ12を超小型の無線式温度センサとする構成としてもよい。そして、各温度センサ12からの計測データを大型ディスプレイに表示してもよい。
【0052】
さらに、実施の形態1においては、操作器27の各押し釦スイッチ27a、27bを押すことにより帯状体11の巻き取りや巻き出しを行うようにしているが、天井クレーン8が帯状体11に接近するのを超音波センサなどにより検出し、超音波センサからの信号に基づいて帯状体11を自動的に巻き上げる構成としてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 建物
2 天井部
8 天井クレーン(障害物)
9 大空間
10 温度計測装置
11 帯状体
12 温度センサ(感温部)
13 信号線
14 錘
20 巻き上げ手段
21 回転ドラム
22 モータ
23 スリップリング
25 下限用リミットスイッチ
26 上限用リミットスイッチ
27 操作器
30 信号処理部
31 通信制御部
34 パーソナルコンピュータ
40 熱放射板(感温部)
41 サーモグラフィ
F 床面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に所定の間隔をおいて配設される複数の感温部を備えた帯状体を建物内の大空間に垂下させ、前記感温部からの情報に基づき前記大空間における上下方向の室内温度を計測し、前記建物内を水平移動する障害物の横断に応じて前記帯状体を前記障害物の移動位置よりも上方で巻き取ることを特徴とする大空間の温度計測方法。
【請求項2】
建物内の大空間に垂下可能な帯状体と、
前記帯状体の上下方向に所定の間隔をおいて配設され前記大空間における上下方向の室内温度を計測する感温部と、
前記建物内を水平移動する障害物の横断に応じて前記帯状体を前記障害物の移動位置よりも上方で巻き取る巻き上げ手段と、
を備えたことを特徴とする大空間の温度計測装置。
【請求項3】
前記帯状体の下端には錘が取付けられており、該錘に取付けられた前記感温部の位置を基準として上方に位置する他の感温部の高さを認識することを特徴とする請求項2に記載の大空間の温度計測装置。
【請求項4】
前記感温部が室内温度を電気信号に変換する温度センサから構成され、前記温度センサからの電気信号を前記帯状体に固定された信号線と前記巻き上げ手段に取付けられたスリップリングを介して計測制御部に送ることを特徴とする請求項2または3に記載の大空間の温度計測装置。
【請求項5】
前記感温部を熱放射板から構成し、前記熱放射板からの放射熱をサーモグラフィを介して前記室内温度分布を計測することを特徴とする請求項2または3に記載の大空間の温度計測装置。
【請求項1】
上下方向に所定の間隔をおいて配設される複数の感温部を備えた帯状体を建物内の大空間に垂下させ、前記感温部からの情報に基づき前記大空間における上下方向の室内温度を計測し、前記建物内を水平移動する障害物の横断に応じて前記帯状体を前記障害物の移動位置よりも上方で巻き取ることを特徴とする大空間の温度計測方法。
【請求項2】
建物内の大空間に垂下可能な帯状体と、
前記帯状体の上下方向に所定の間隔をおいて配設され前記大空間における上下方向の室内温度を計測する感温部と、
前記建物内を水平移動する障害物の横断に応じて前記帯状体を前記障害物の移動位置よりも上方で巻き取る巻き上げ手段と、
を備えたことを特徴とする大空間の温度計測装置。
【請求項3】
前記帯状体の下端には錘が取付けられており、該錘に取付けられた前記感温部の位置を基準として上方に位置する他の感温部の高さを認識することを特徴とする請求項2に記載の大空間の温度計測装置。
【請求項4】
前記感温部が室内温度を電気信号に変換する温度センサから構成され、前記温度センサからの電気信号を前記帯状体に固定された信号線と前記巻き上げ手段に取付けられたスリップリングを介して計測制御部に送ることを特徴とする請求項2または3に記載の大空間の温度計測装置。
【請求項5】
前記感温部を熱放射板から構成し、前記熱放射板からの放射熱をサーモグラフィを介して前記室内温度分布を計測することを特徴とする請求項2または3に記載の大空間の温度計測装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2011−75284(P2011−75284A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−223723(P2009−223723)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(000169499)高砂熱学工業株式会社 (287)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(000169499)高砂熱学工業株式会社 (287)
【Fターム(参考)】
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