大腿骨用コンポーネント
【課題】患者の状況に応じてその患者に最適な形態や寸法を選択するに際して柔軟に幅広く対応することができ、手術中であっても少ない部材点数で種々の形態や寸法に対応して構成することができる大腿骨用コンポーネントを提供する。
【解決手段】首部部材11は、人工股関節において用いられる骨頭ボール103に嵌合する。テーパ状部材12は、首部部材11に対して嵌合可能であるとともに首部部材11に嵌合する側に向かってテーパ状に広がるように形成され、表面の少なくとも一部に粗面化処理が施されている。棒状部材13は、首部部材11に対して嵌合可能であるとともにテーパ状部材12に対しても嵌合可能に設けられ、棒状に形成されている。
【解決手段】首部部材11は、人工股関節において用いられる骨頭ボール103に嵌合する。テーパ状部材12は、首部部材11に対して嵌合可能であるとともに首部部材11に嵌合する側に向かってテーパ状に広がるように形成され、表面の少なくとも一部に粗面化処理が施されている。棒状部材13は、首部部材11に対して嵌合可能であるとともにテーパ状部材12に対しても嵌合可能に設けられ、棒状に形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工股関節において大腿骨の近位部側に埋入されて用いられる大腿骨用コンポーネントに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、大腿骨や股関節において骨折したりあるいは変形性股関節症やリウマチなどの疾患を患った患者に対して、人工股関節置換術が行われている。この人工股関節置換術では、骨盤側に配置されるコンポーネントと大腿骨側に配置される大腿骨用コンポーネントとで構成される人工股関節が用いられる。大体骨用コンポーネントは、人工股関節において大腿骨の近位部側に埋入されて用いられる。なお、以下の説明においては、人体において相対的に心臓に近い側に位置することを「近位」といい、遠い側に位置することを「遠位」という。また、人体の中心線に近い側を「内側」といい、遠い側を「外側」という。
【0003】
上述のような大腿骨用コンポーネントとして、特許文献1および特許文献2に記載されたものが知られている。特許文献1に記載の大腿骨用コンポーネントは、頭部部材と軸部部材との2つの部材から構成され、これらの部材が結合されることで一体化されるモジュール式人工股関節である。特許文献2に記載の大腿骨用コンポーネントは、基部セグメントと末梢部セグメントと骨幹端セグメントとの3つの部材から構成されるモジュールヒップ補綴であり、これらの基部セグメントおよび末梢部セグメントがそれぞれ骨幹端セグメントに対して係合することで一体化される。
【0004】
【特許文献1】特表平10−509064号公報
【特許文献2】特表2003−526454号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、2に記載された大腿骨用コンポーネントにおいては、大腿骨用コンポーネントが複数の部材で構成されているため、一体化される制約条件の下で各構成部材の形状および寸法をある程度変更して設計できるようになっている。しかしながら、特許文献1または特許文献2に記載された大腿骨用コンポーネントの場合、構成部材が一体化されるための制約条件が大きいため、各構成部材の設計を変更して得られる大腿骨用コンポーネント全体としての形態や寸法がかなり限定されてしまうことになる。手術を行う術者は、患者の骨形状や骨質、骨損失や疾患の状況等に応じてその患者に最適な形態や寸法の大腿骨用コンポーネントを選択して用いる必要があるが、上述のように、特許文献1または特許文献2に記載された大腿骨用コンポーネントのみでは、対応できる形態や寸法が限定されるため、患者の状況に応じた最適な大腿骨コンポーネントの選択にあたって限界がある。
【0006】
また、術者は、上述のように、患者の状況に応じて最適な形態や寸法の大腿骨用コンポーネントを選択して用いる必要があり、手術前のレントゲン写真やCT画像から得られる情報に基づいて、その患者に最適な大腿骨用コンポーネントを判断して準備する。しかし、レントゲン写真やCT画像からの情報だけでは、患者に最適な形態や寸法の大腿骨用コンポーネントを正確に判断することが難しい。このため、手術に際して、術者は、複数の形態や寸法の大腿骨用コンポーネントを準備しなければならない場合も多く、とくに手術前の判断が難しい場合には、非常に多くの種類の形態や寸法の大腿骨用コンポーネントを準備しなくてはならないことになる。また、場合によっては、手術前に準備した大腿骨用コンポーネントをその手術において使用することができない場合や、その手術において使用できてもまた再手術をして大腿骨用コンポーネントの取り換えを行うことが必要となる場合もある。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みることにより、患者の骨形状や骨質、骨損失や疾患の状況等に応じてその患者に最適な形態や寸法の大腿骨用コンポーネントを選択するに際して柔軟に幅広く対応することができ、手術中であっても少ない部材点数で種々の形態や寸法に対応して構成することができる大腿骨用コンポーネントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0008】
本発明は、人工股関節において大腿骨の近位部側に埋入されて用いられる大腿骨用コンポーネントに関する。
そして、本発明の大腿骨用コンポーネントは、上記目的を達成するために以下のようないくつかの特徴を有している。即ち、本発明は、以下の特徴を単独で、若しくは、適宜組み合わせて備えている。
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係る大腿骨用コンポーネントにおける第1の特徴は、人工股関節において用いられる骨頭ボールに嵌合する首部部材と、前記首部部材に対して嵌合可能であるとともに前記首部部材に嵌合する側に向かってテーパ状に広がるように形成され、表面の少なくとも一部に粗面化処理が施されているテーパ状部材と、前記首部部材に対して嵌合可能であるとともに前記テーパ状部材に対しても嵌合可能に設けられ、棒状に形成された棒状部材と、を備えていることである。
【0010】
この構成によると、首部部材とテーパ状部材と棒状部材とを全て組み合わせることによって、または首部部材およびテーパ状部材を組み合わせることによって、あるいは首部部材および棒状部材を組み合わせることによって、それぞれ形態や寸法の異なる大腿骨用コンポーネントを形成することができる。このため、患者の骨形状や骨質、骨損失や疾患の状況等に応じてその患者に最適な形態や寸法の大腿骨用コンポーネントを高い自由度で選択することができる。そして、組み合わせ自由度の高い各構成部材を適宜組み合わせるだけで種々の形態や寸法の大腿骨用コンポーネントを極めて容易に形成することができる。さらに、首部部材、テーパ状部材、および棒状部材の各構成部材の形状や寸法を適宜変更することで幅広い形態と寸法に亘る大腿骨用コンポーネントを容易に設計することができる。また、手術に際しては、少ない部材点数の各構成部材を準備しておくだけで、手術中の患者の状況に応じその場で柔軟に最適な形態や寸法の大腿骨用コンポーネントを形成して対応することができる。
したがって、本発明によると、患者の骨形状や骨質、骨損失や疾患の状況等に応じてその患者に最適な形態や寸法の大腿骨用コンポーネントを選択するに際して柔軟に幅広く対応することができ、手術中であっても少ない部材点数で種々の形態や寸法に対応して構成することができる大腿骨用コンポーネントを提供することができる。
【0011】
本発明に係る大腿骨用コンポーネントにおける第2の特徴は、前記首部部材における本体部分に対する前記骨頭ボールに嵌合する突出嵌合部の突出方向の角度と、前記突出嵌合部の前記本体部分からの突出長さ寸法と、のうちの少なくともいずれかが異なる複数の前記首部部材が備えられていることである。
【0012】
この構成によると、本体部分に対する突出嵌合部の突出方向の角度と、突出嵌合部の本体部分からの突出長さとのうちの少なくともいずれかが異なる複数の首部部材が備えられているため、手術の際に、かかる複数の首部部材のうちから患者の状況に最適な形状や寸法の首部部材を適宜選択することができる。したがって、形状や寸法のバリエーションをもたせた複数の首部部材を準備しておくだけで、部材点数を増加させることなく、さらに多くの種々の形態や寸法の大腿骨コンポーネントを容易に形成することができる。
【0013】
本発明に係る大腿骨用コンポーネントにおける第3の特徴は、テーパ状に広がるように形成されている前記テーパ状部材における広がり部分の広がり方向の寸法と、前記テーパ状部材における前記広がり方向と直交する幅方向の寸法と、のうちの少なくともいずれかが異なる複数の前記テーパ状部材が備えられていることである。
【0014】
この構成によると、広がり部分の広がり方向の寸法と幅方向の寸法とのうちの少なくともいずれかが異なる複数のテーパ状部材が備えられているため、手術の際に、かかる複数のテーパ状部材のうちから患者の状況に最適な形状や寸法のテーパ状部材を適宜選択することができる。したがって、形状や寸法のバリエーションをもたせた複数のテーパ状部材を準備しておくだけで、部材点数を増加させることなく、さらに多くの種々の形態や寸法の大腿骨コンポーネントを容易に形成することができる。
【0015】
本発明に係る大腿骨用コンポーネントにおける第4の特徴は、前記棒状部材における長手方向の寸法と当該長手方向と直交する断面の径寸法とのうちの少なくともいずれかが異なる複数の前記棒状部材が備えられていることである。
【0016】
この構成によると、長手方向の寸法と断面の径寸法とのうちの少なくともいずれかが異なる複数の棒状部材が備えられているため、手術の際に、かかる複数の棒状部材のうちから患者の状況に最適な形状や寸法の棒状部材を適宜選択することができる。したがって、形状や寸法のバリエーションをもたせた複数の棒状部材を準備しておくだけで、部材点数を増加させることなく、さらに多くの種々の形態や寸法の大腿骨コンポーネントを容易に形成することができる。
【0017】
本発明に係る大腿骨用コンポーネントにおける第5の特徴は、前記複数の棒状部材のうち前記長手方向の寸法が最も長い棒状部材において、その外周に前記長手方向に沿って形成された複数条の線状突起が形成されていることである。
【0018】
この構成によると、複数の棒状部材のうち最も長い寸法の棒状部材と首部部材とを組み合わせて大腿骨用コンポーネントを形成するような場合においても、組み合わされる棒状部材にはその外周に複数条の線状突起が長手方向に沿って形成されているため、かかる線状突起によって大腿骨内に大腿骨用コンポーネントが容易にしっかりと固定されることになる。
【0019】
本発明に係る大腿骨用コンポーネントにおける第6の特徴は、嵌合した前記首部部材および前記テーパ状部材を連結可能であるとともに、嵌合した前記首部部材および前記棒状部材を連結可能であるネジ部材をさらに備え、前記首部部材は、前記ネジ部材の先端側が貫通する貫通孔が形成され、前記ネジ部材は、先端側に形成され、弾性変形することで前記テーパ状部材または前記棒状部材に形成された雌ネジ部よりも縮径して当該雌ネジ部に挿入される弾性変形部と、前記テーパ状部材または前記棒状部材において前記雌ネジ部よりも内部側に形成された空隙部分まで前記弾性変形部が挿入されて当該弾性変形部が弾性回復したときに、前記テーパ状部材または前記棒状部材に対して内部で係止する係止部と、前記係止部に対して前記弾性変形部の側とは反対側に形成され、前記雌ネジ部と螺合する雄ネジ部と、を有していることである。
【0020】
この構成によると、ネジ部材の雄ネジ部をテーパ状部材または棒状部材の雌ネジ部と螺合させながら、弾性変形部を雌ネジ部よりも縮径させてテーパ状部材または棒状部材の内部の空隙部分まで挿入すると、弾性変形部が弾性回復することでネジ部材の掛止部がテーパ状部材または棒状部材とその内部で掛止することになる。このため、ネジ部材の抜け止めが確実に図られることになり、首部部材およびテーパ状部材、または、首部部材および棒状部材が外れることを確実に防止できる連結構造を実現することができる。
【0021】
本発明に係る大腿骨用コンポーネントにおける第7の特徴は、前記弾性変形部は、前記ネジ部材の先端側が可撓な二股構造として形成されることで設けられていることである。
【0022】
この構成によると、ネジ部材の先端側を可撓な二股構造に形成することで、ネジ部材の先端側に設けられる弾性変形部を簡易な構造で容易に形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。なお、本発明は、人工股関節において大腿骨の近位部側に埋入されて用いられる大腿骨用コンポーネントとして広く適用することができるものである。
【0024】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る大腿骨用コンポーネント1を示す図であって、組み合わされていない状態で各構成部材を上下に配置して示す正面図(図1(b))、および図1(b)の平面図(図1(a))を示したものである。また、図2は、構成部材が組み合わされた状態を例示する大腿骨用コンポーネント1の斜視図である。また、図3は、本実施形態の大腿骨用コンポーネント1が人工股関節において用いられた例を説明する模式図であって、左股関節に対して人工股関節置換術が行われた場合における人工股関節の配置を骨盤100(二点鎖線で示す)および大腿骨101(断面図で示す)とともに示したものである。
【0025】
図3に示す人工股関節は、大腿骨用コンポーネント1と、球面の一部を構成するように形成された内面を有するカップ102と、このカップ102に対して可動自在に嵌め込まれる骨頭ボール103とを備えて構成されている(カップ102および骨頭ボール103は断面図で示している)。骨頭ボール103は大腿骨用コンポーネント1の近位部側に結合されている。そして、カップ102が骨盤100側に配置されて大腿骨用コンポーネント1が大腿骨101の近位部側に埋入された状態で配置されて人工股関節が構成される。
【0026】
上述のように人工股関節の一要素として用いられる本実施形態の大腿骨用コンポーネント1について、さらに詳しく説明する。図1および図2に示すように、大腿骨用コンポーネント1は、首部部材11とテーパ状部材12と棒状部材13とを備えて構成されている。これらの各構成部材(11、12、13)は、例えば、チタン合金等により形成される。
【0027】
首部部材11は、骨頭ボール103に嵌合する部材として設けられている。そして、この首部部材11には、本体部分11aと、本体部分11aから突出するように形成されて骨頭ボール103に嵌合する(図3参照)突出嵌合部11bと、テーパ状部材12および棒状部材13との嵌合用に本体部分11aから突出するように形成された嵌合凸部11cと、が設けられている。
【0028】
テーパ状部材12は、首部部材11に対して嵌合可能であるとともに首部部材11に嵌合する側に向かってテーパ状に広かるように形成されている。このテーパ状部材12には、本体部分12aと、本体部分12aに対して両側にそれぞれテーパ状に広がるように形成されている広がり部分12bおよび12cと、嵌合凹部12dと、嵌合凸部12eと、が設けられている。
【0029】
テーパ状部材12の本体部分12aおよび広がり部分12b・12cは、ショットブラスト等の周知の方法により粗面化処理(ポーラス処理)が施されている。なお、かかる粗面化処理は、テーパ状部材12の少なくとも一部に施されていればよい。また、大腿骨101において広がり部分12bは近位部外側に配置されて広がり部分12cは近位部内側に配置されるようになっており(図3参照)、図1に示す例では、近位部内側に配置される広がり部分12cの方が広がり方向の寸法が大きくなっている。なお、広がり部分12b・12cの広がり方向の寸法は適宜設定することができ、広がり部分12b・12cのうちのいずれか一方が形成されていなくてもよい。
【0030】
また、テーパ状部材12の嵌合凹部12dは、本体部分12aに対して凹み形成されており、首部部材11の嵌合凸部11cが嵌挿されて嵌合するようになっている。これより、首部部材11とテーパ状部材12とが嵌合されて結合されることになる。嵌合凹部12dの内周面は、例えば凹み方向に向かって僅かに内側に傾斜するテーパ状の内周面として形成されており、嵌合凸部11cの外周面も、同様に僅かに傾斜したテーパ状の外周面として形成され、嵌合凹部12dと嵌合凸部11cとが嵌合するときには、これらのテーパ状の内周面と外周面とが摺接することで、高い摩擦力が生じて強固に結合されるようになっている。この嵌合凹部12dの凹み方向と垂直な断面と、嵌合凸部11cの軸方向と垂直な断面とは、いずれも同心円状に形成されているため、軸周り方向における任意の角度で首部部材11をテーパ状部材12に対して嵌合可能になっている。なお、嵌合凸部11cおよび嵌合凹部12dの断面形状は必ずしも円形でなくてもよく、多角形等の形状であってもよい。また、テーパ状部材12の嵌合凸部12eは、棒状部材13との嵌合用に本体部分12aから突出するように形成されている。そして、この嵌合凸部12eは、首部部材11の嵌合凸部11cと外周面が同じ形状となるように形成されている。
【0031】
棒状部材13は、首部部材11に対して嵌合可能であるとともにテーパ状部材12に対しても嵌合可能に設けられており、棒状に形成されている。この棒状部材13には、軸状の本体部分13aと、本体部分13aに対してその軸方向に凹み形成されている嵌合凹部13bと、が設けられている。嵌合凹部13bは、テーパ状部材12の嵌合凹部12dと内周面が同じ形状となるように形成されている。このため、嵌合凸部13bは、首部部材11の嵌合凸部11cとテーパ状部材12の嵌合凹部12dとが嵌合するのと同様に、首部部材11の嵌合凸部11cおよびテーパ状部材12の嵌合凸部12eのいずれとも嵌合可能になっている。なお、図2では、首部部材11、テーパ状部材12、および棒状部材13が嵌合により全て結合して組み合わされた状態を示している。
【0032】
図4は、上述した大腿骨用コンポーネント1を各構成部材を組み合わせることで形成するパターンを説明する模式図である。図4(a)は、組み合わされる前の状態の各構成部材を示しており、図4(b)乃至(d)は、各構成部材が適宜組み合わされた各パターンを示している。患者の状況に応じた最適な大腿骨用コンポーネントの形態が確定していない状態であれば、手術に際しては、図4(a)に示すように、首部部材11、テーパ状部材12、および棒状部材13とも準備される。そして、術者は、手術中において、患者の状況に応じて、構成部材を適宜組み合わせて図4(b)乃至(d)のいずれかのパターンの大腿骨用コンポーネントを形成し、大腿骨に埋入するように配置させることになる。
【0033】
図4(b)は、大腿骨用コンポーネント1の構成部材のうち首部部材11およびテーパ状部材12が組み合わされて大腿骨用コンポーネントが形成されたパターンを示したものである。このパターンの場合、術者は、首部部材11の嵌合凸部11cとテーパ状部材12の嵌合凹部12dとを嵌合させることのみで、大腿骨用コンポーネントを形成することになる。図4(c)は、大腿骨用コンポーネント1の構成部材のうち首部部材11および棒状部材13が組み合わされて大腿骨用コンポーネントが形成されたパターンを示したものである。このパターンの場合、術者は、首部部材11の嵌合凸部11cと棒状部材13の嵌合凹部13bとを嵌合させることのみで、大腿骨用コンポーネントを形成することになる。図4(d)は、大腿骨用コンポーネント1の構成部材全てが組み合わされて大腿骨用コンポーネントが形成されたパターンを示したものである。このパターンの場合、術者は、首部部材11の嵌合凸部11cとテーパ状部材12の嵌合凹部12dとを嵌合させ、テーパ状部材12の嵌合凸部12eと棒状部材13の嵌合凹部13bとを嵌合させることで、大腿骨用コンポーネントを形成することになる。なお、本実施形態では、首部部材11に嵌合凸部11cが設けられている場合を例にとって説明したが、この通りでなくてもよく、首部部材11に嵌合凹部が設けられ、この嵌合凹部に嵌合する嵌合凸部がテーパ状部材12および棒状部材13に設けられているものであってもよい。
【0034】
以上説明した大腿骨用コンポーネント1によると、首部部材11とテーパ状部材12と棒状部材13とを全て組み合わせることによって、または首部部材11およびテーパ状部材12を組み合わせることによって、あるいは首部部材11および棒状部材13を組み合わせることによって、それぞれ形態や寸法の異なる大腿骨用コンポーネントを形成することができる。このため、患者の骨形状や骨質、骨損失や疾患の状況等に応じてその患者に最適な形態や寸法の大腿骨用コンポーネントを高い自由度で選択することができる。そして、組み合わせ自由度の高い各構成部材(11、12、13)を適宜組み合わせるだけで種々の形態や寸法の大腿骨用コンポーネントを極めて容易に形成することができる。さらに、首部部材11、テーパ状部材12、および棒状部材13の各構成部材の形状や寸法を適宜変更することで幅広い形態と寸法に亘る大腿骨用コンポーネントを容易に設計することができる。また、手術に際しては、少ない部材点数の各構成部材を準備しておくだけで、手術中の患者の状況に応じその場で柔軟に最適な形態や寸法の大腿骨用コンポーネントを形成して対応することができる。
【0035】
したがって、大腿骨用コンポーネント1によると、患者の骨形状や骨質、骨損失や疾患の状況等に応じてその患者に最適な形態や寸法の大腿骨用コンポーネントを選択するに際して柔軟に幅広く対応することができ、手術中であっても少ない部材点数で種々の形態や寸法に対応して構成することができる大腿骨用コンポーネントを提供することができる。
【0036】
(第2実施形態)
図5は、本発明の第2実施形態に係る大腿骨用コンポーネント2を示す図であって、構成部材が組み合わされた状態を例示する正面図(図5(b))、平面図(図5(b))、および側面図(図5(c))を示したものである。また、図6は、図5(c)のVI−VI線矢視断面図である。第2実施形態に係る大腿骨用コンポーネント2も第1実施形態の大腿骨用コンポーネント1と同様に用いられる。そして、図5および図6に示すように、大腿骨用コンポーネント2は、首部部材21、テーパ状部材22、棒状部材23、およびネジ部材24を備えて構成されている。なお、以下の説明においては、第2実施形態における第1実施形態と同様の構成要素については、符号は異なるが同一の用語を用いて説明することで、適宜説明を割愛する。
【0037】
図5および図6に示す大腿骨用コンポーネント2は、第1実施形態に係る大腿骨用コンポーネント1と同様に、首部部材21、テーパ状部材22、棒状部材23の各構成部材を適宜組み合わせることで、3つのパターンの大腿骨用コンポーネントを形成することができる。ただし、この大腿骨用コンポーネント2では、嵌合した首部部材21およびテーパ状部材22を連結可能であるとともに、嵌合した首部部材21および棒状部材23を連結可能であるネジ部材24がさらに備えられている。
【0038】
図5および図6に示すパターンは、首部部材21、テーパ状部材22、棒状部材23の全ての構成部材を組み合わせたパターンであり、首部部材21をテーパ状部材22に嵌合し、テーパ状部材22を棒状部材23に嵌合することで、大腿骨用コンポーネントが形成される。このパターンの場合、首部部材21の嵌合凸部21cとテーパ状部材22の嵌合凹部22dとが嵌合し、テーパ状部材22の嵌合凸部22eと棒状部材23の嵌合凹部23bとが嵌合し、さらに、首部部材21とテーパ状部材22とがネジ部材24により連結されている。なお、首部部材21のテーパ状部材22に対する嵌合角度は、第1実施形態と同様に、任意に調整することができる。図7および図8は、首部部材21のテーパ状部材22に対する嵌合角度を変更した例を示す斜視図であり、3つの嵌合角度について示したものである。なお、図7(a)および図8(a)、図7(b)および図8(b)、図7(c)および図8(c)が、それぞれ同一の角度の斜視図および平面図として対応している。
【0039】
また、図9および図10は、大腿骨用コンポーネント2における他の組み合わせパターンを示したものであり、その正面図(図9(a))、平面図(図9(b))、側面図(図9(c))、図9(c)のX−X矢視断面図(図10)である。この図9および図10に示すパターンは、大腿骨用コンポーネント2の構成部材のうち首部部材21および棒状部材23が組み合わされたパターンであり、この場合、テーパ状部材22を用いずに首部部材21を棒状部材23に嵌合することで、大腿骨用コンポーネントが形成される。このパターンの場合、首部部材21の嵌合凸部21cと棒状部材23の嵌合凹部23bとが嵌合し、首部部材21と棒状部材23とがネジ部材24により連結されている。なお、図5・図6に示す組み合わせパターンおよび図9・図10に示す組み合わせパターン以外のパターンとして、棒状部材23を用いずに首部部材21とテーパ状部材22とを嵌合して組み合わせることで大腿骨用コンポーネントを形成することもできる。
【0040】
次に、大腿骨用コンポーネント2の各構成部材(21、22、23)およびネジ部材24について、さらに詳しく説明する。
【0041】
首部部材21の斜視図である図11および大腿骨用コンポーネント2の断面図である図6に示すように、首部部材21は、第1実施形態と同様の本体部分21aと突出嵌合部21bと嵌合凸部21cとが設けられている。ただし、首部部材21には、ネジ部材24の先端側が貫通する貫通孔21dが形成されている。また、この貫通孔21dの中途には、貫通孔21dに挿入されたネジ部材24のネジ頭部と当接してネジ部材24の貫通孔21dへの挿入深度を規制する段部21eも設けられている。
【0042】
また、大腿骨用コンポーネント2においては、首部部材21が複数種類備えられている。図12は、複数の首部部材21を説明する模式図である。この図12の模式図では、突出嵌合部21の形状および寸法が異なった複数の首部部材21を重ねて示している。この図12に示すように、大腿骨用コンポーネント2においては、首部部材21における本体部分21aに対する突出嵌合部21bの突出方向の角度が125°、130°、135°と3種類に異なるものと、突出嵌合部21bの本体部分21aからの突出長さ寸法がL1、L2と2種類に異なるものと、が備えられている。すなわち、大腿骨用コンポーネント2においては、突出嵌合部21bの突出方向の角度が3種類でそれぞれの角度に対して突出寸法長さが2種類あり、合計で6個の首部部材21が備えられている。なお、図12で説明したものは例示であり、突出方向の角度および突出長さ寸法の選定の仕方や選定した個数については、適宜設定することができる。また、突出方向の角度および突出長さ寸法のうちいずれか一方のみが異なる首部部材21が複数備えられているものであってもよい。
【0043】
また、テーパ状部材22の斜視図である図13および大腿骨用コンポーネント2の断面図である図6に示すように、テーパ状部材22は、第1実施形態と同様の本体部分22aと広がり部分22b・22cと嵌合凹部22dと嵌合凸部22eとが設けられている。ただし、テーパ状部材22には、後述するネジ部材24に設けられる雄ネジ部24cと螺合する雌ネジ部22fと、雌ネジ部22fよりもテーパ状部材22におけるさらに内部側に設けられる空隙部分22gとが形成されている。
【0044】
また、大腿骨用コンポーネント2においては、テーパ状部材22が複数備えられている。図14は、複数のテーパ状部材22を説明する模式図である。図14(a)の模式図では、テーパ状に広がるように形成されているテーパ状部材22の広がり部分22b・22cの広がり方向の寸法が異なった複数のテーパ状部材22を重ねて示している。一方、図14(b)の模式図では、テーパ状部材22における広がり部分22b・22cの広がり方向と直交する幅方向の寸法が異なった複数のテーパ状部材22を重ねて示している。この図14に示すように、大腿骨用コンポーネント2においては、広がり部分22b・22cの広がり方向の寸法が長さL3とL4との間で5段階に異なるとともに、幅方向の寸法も幅長さL5とL6との間で5段階に異なるもの(広がり方向の寸法が1段階大きくなると幅方向の寸法も1段階大きくなるように対応した5種類のもの)が備えられている。なお、図14では、広がり方向の寸法および幅方向の寸法が対応して段階的に変化するものを例にとって説明したが、それぞれ独立に段階的に変化する複数のテーパ状部材であってもよく、いずれか一方のみが異なるテーパ状部材であってもよい。また、広がり方向の寸法については、広がり部分22bおよび22cが独立に変化するように異なるものやいずれか一方のみが異なるものであってもよい。
【0045】
また、大腿骨用コンポーネント2においては、棒状部材23は複数備えられている。図15(a)は、長手方向の寸法が異なる複数の棒状部材23のうち長手方向の寸法が最も長いものの斜視図を示している。この図15(a)および大腿骨用コンポーネント2の断面図である図6に示すように、棒状部材23には、第1実施形態と同様の本体部分23aと嵌合凹部23bとが設けられている。ただし、棒状部材23には、後述するネジ部材24に設けられる雄ネジ部24cと螺合する雌ネジ部23cと、雌ネジ部23cよりも棒状部材23におけるさらに内部側に設けられる空隙部分23dとが形成されている。なお、図15(a)およびこの図15(a)のb−b線矢視断面図である図15(b)に示すように、長手方向の長さが最も長い棒状部材23においては、その外周に長手方向に沿って形成された複数条の線状突起が形成されている。
【0046】
図16は、複数の棒状部材23を説明する模式図である。この図16の模式図では、棒状部材23の形状および寸法が異なった複数の棒状部材23を重ねて示している。この図16に示すように、大腿骨用コンポーネント2においては、棒状部材23における長手方向の寸法が長さL7、L8、L9と3種類に異なるものと、長手方向と直交する断面の径寸法が各長さ寸法(L7、L8、L9)ごとにそれぞれ3種類に異なるものと、が備えられている。すなわち、大腿骨用コンポーネント2においては、長手方向の長さ寸法が3種類でそれぞれの長さ寸法に対して径寸法が3種類あり、合計で9種類の棒状部材23が備えられている。なお、図16で説明したものは例示であり、長さ寸法や径寸法の選定の仕方や選定の個数については、適宜設定することができる。また、長さ寸法および径寸法のうちいずれか一方のみが異なる棒状部材23が複数備えられているものであってもよい。
【0047】
図17は、ネジ部材24の斜視図(図17(a))と正面図(図17(b))とを示したものである。この図17に示すように、ネジ部材24には、軸部24dと、弾性変形部24aと、掛止部24bと、雄ネジ部24dと、が設けられている。このネジ部材24は、図6および図10によく示すように、その先端側が、首部部材21の貫通孔21dを貫通するようにこの貫通孔21dに挿入される。
【0048】
ネジ部材24の弾性変形部24aは、軸部24dの先端側に形成されている。この弾性変形部24aは、ネジ部材24の先端側が可撓な二股構造として形成されることで設けられている。そして、テーパ状部材22に嵌合した首部部材21の貫通孔21dからネジ部材24が挿入されていくと、弾性変形部24aは弾性変形することでテーパ状部材22に形成された雌ネジ部22fよりも縮径してその雌ネジ部22fに挿入されるようになっている。同様に、棒状部材23に嵌合した首部部材21の貫通孔21dからネジ部材24が挿入されていった場合も、弾性変形部24aは弾性変形することで棒状部材23に形成された雌ネジ部23cよりも縮径してその雌ネジ部23cに挿入されるようになっている。
【0049】
また、ネジ部材24の掛止部24bは、弾性回復部24aに対して外方にテーパ状に広がった後に弾性回復部24aと反対側で段状に狭まった部分として形成されている。このため、掛止部24bは、テーパ状部材22において雌ネジ部22fよりも内部側に形成された空隙部分22gまで弾性変形部24aが挿入されてこの弾性変形部24aが弾性回復したときに、テーパ状部材22に対してその内部で掛止する(すなわち、雌ネジ部22fから空隙部分22gに開口した部分における縁部で掛止する)ようになっている(図6参照)。同様に、棒状部材23において雌ネジ部23cよりも内部側に形成された空隙部分23dまで弾性変形部24aが挿入されてこの弾性変形部24aが弾性回復した場合も、棒状部材23に対してその内部で掛止する(すなわち、雌ネジ部23cから空隙部分23dに開口した部分における縁部で掛止する)ようになっている(図10参照)。
【0050】
ネジ部材24の雄ネジ部24cは、掛止部24bに対して弾性変形部24aの側とは反対側に形成され、テーパ状部材22の雌ネジ部22fまたは棒状部材23の雌ネジ部23cと螺合する。なお、この雌ネジ部24cは、弾性変形部24aが設けられている二股構造の根元部分にも形成されていてもよい。
【0051】
なお、上述したように、大腿骨用コンポーネント2においては、首部部材21が6種類、テーパ状部材22が5種類、棒状部材23が9種類備えられている。このため、首部部材21およびテーパ状部材22を組み合わせるパターンの大腿骨用コンポーネントが30通り、首部部材21および棒状部材23を組み合わせるパターンの大腿骨用コンポーネントが54通り、首部部材21とテーパ状部材22と棒状部材23とを組み合わせるパターンの大腿骨用コンポーネントが270通り、合計で354通りの大腿骨用コンポーネントのうちから最適な形態及び寸法の大腿骨用コンポーネントを選択することができる。
【0052】
以上説明した第2実施形態に係る大腿骨用コンポーネント2によると、首部部材21の本体部分21aに対する突出嵌合部21bの突出方向の角度と、突出嵌合部21bの本体部分21aからの突出長さとのうちの少なくともいずれかが異なる複数の首部部材21が備えられているため、手術の際に、かかる複数の首部部材21のうちから患者の状況に最適な形状や寸法の首部部材21を適宜選択することができる。したがって、形状や寸法のバリエーションをもたせた複数の首部部材21を準備しておくだけで、部材点数を増加させることなく、さらに多くの種々の形態や寸法の大腿骨コンポーネントを容易に形成することができる。
【0053】
また、大腿骨用コンポーネント2によると、テーパ状部材22における広がり部分22b・22cの広がり方向の寸法と幅方向の寸法とのうちの少なくともいずれかが異なる複数のテーパ状部材22が備えられているため、手術の際に、かかる複数のテーパ状部材22のうちから患者の状況に最適な形状や寸法のテーパ状部材22を適宜選択することができる。したがって、形状や寸法のバリエーションをもたせた複数のテーパ状部材22を準備しておくだけで、部材点数を増加させることなく、さらに多くの種々の形態や寸法の大腿骨コンポーネントを容易に形成することができる。
【0054】
また、大腿骨用コンポーネント2によると、棒状部材23における長手方向の寸法と断面の径寸法とのうちの少なくともいずれかが異なる複数の棒状部材23が備えられているため、手術の際に、かかる複数の棒状部材23のうちから患者の状況に最適な形状や寸法の棒状部材23を適宜選択することができる。したがって、形状や寸法のバリエーションをもたせた複数の棒状部材23を準備しておくだけで、部材点数を増加させることなく、さらに多くの種々の形態や寸法の大腿骨コンポーネントを容易に形成することができる。
【0055】
また、大腿骨用コンポーネント2によると、複数の棒状部材23のうち最も長い寸法の棒状部材23と首部部材21とを組み合わせて大腿骨用コンポーネントを形成するような場合においても、組み合わされる棒状部材23の外周には複数条の線状突起23eが長手方向に沿って形成されているため、かかる線状突起23eによって大腿骨内に大腿骨用コンポーネントが容易にしっかりと固定されることになる。
【0056】
また、大腿骨用コンポーネント2によると、ネジ部材24の雄ネジ部24cをテーパ状部材22の雌ネジ部22fまたは棒状部材23の雌ネジ部23cと螺合させながら、弾性変形部24aを雌ネジ部22fまたは23cよりも縮径させてテーパ状部材22または棒状部材23の内部の空隙部分22gまたは23dまで挿入すると、弾性変形部24aが弾性回復することでネジ部材24の掛止部24bがテーパ状部材22または棒状部材23とその内部で掛止することになる。このため、ネジ部材24の抜け止めが確実に図られることになり、首部部材21およびテーパ状部材22、または、首部部材21および棒状部材23が外れることを確実に防止できる連結構造を実現することができる。
【0057】
以上、本発明の第1および第2実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、人工股関節において大腿骨の近位部側に埋入されて用いられる大腿骨用コンポーネントとして広く適用することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の第1実施形態に係る大腿骨用コンポーネントを示す図であって、組み合わされていない状態で各構成部材を上下に配置して示す正面図およびその平面図である。
【図2】図1に示す大腿骨用コンポーネントにおける構成部材が組み合わされた状態を例示する斜視図である。
【図3】図2に示す大腿骨用コンポーネントが人工股関節において用いられた例を説明する模式図である。
【図4】図1に示す大腿骨用コンポーネントを各構成部材を組み合わせることで形成するパターンを説明する模式図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る大腿骨用コンポーネントを示す図であって、構成部材が組み合わされた状態を例示する正面図、平面図、および側面図を示したものである。
【図6】図5におけるVI−VI線矢視断面図である。
【図7】図5に示す大腿骨用コンポーネントにおける首部部材のテーパ状部材に対する嵌合角度を変更した例を示す斜視図である。
【図8】図5に示す大腿骨用コンポーネントにおける首部部材のテーパ状部材に対する嵌合角度を変更した例を示す斜視図である。
【図9】図5に示す大腿骨用コンポーネントにおける構成部材の他の組み合わせパターンを示した正面図、平面図、および側面図である。
【図10】図9のX−X線矢視断面図である。
【図11】図5に示す大腿骨用コンポーネントにおける首部部材の斜視図である。
【図12】図11に示す首部部材における複数の種類の首部部材を説明する模式図である。
【図13】図5に示す大腿骨用コンポーネントにおけるテーパ状部材の斜視図である。
【図14】図13に示すテーパ状部材における複数の種類のテーパ状部材を説明する模式図である。
【図15】図5に示す大腿骨用コンポーネントにおける棒状部材の斜視図である。
【図16】図15に示す大腿骨用コンポーネントにおける複数の種類の棒状部材を説明する模式図である。
【図17】図5に示す大腿骨用コンポーネントにおけるネジ部材の斜視図および正面図である。
【符号の説明】
【0060】
1 大腿骨用コンポーネント
11 首部部材
11c 首部部材の嵌合凸部
12 テーパ状部材
12d テーパ状部材の嵌合凹部
12e テーパ状部材の嵌合凸部
13 棒状部材
13b 棒状部材の嵌合凹部
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工股関節において大腿骨の近位部側に埋入されて用いられる大腿骨用コンポーネントに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、大腿骨や股関節において骨折したりあるいは変形性股関節症やリウマチなどの疾患を患った患者に対して、人工股関節置換術が行われている。この人工股関節置換術では、骨盤側に配置されるコンポーネントと大腿骨側に配置される大腿骨用コンポーネントとで構成される人工股関節が用いられる。大体骨用コンポーネントは、人工股関節において大腿骨の近位部側に埋入されて用いられる。なお、以下の説明においては、人体において相対的に心臓に近い側に位置することを「近位」といい、遠い側に位置することを「遠位」という。また、人体の中心線に近い側を「内側」といい、遠い側を「外側」という。
【0003】
上述のような大腿骨用コンポーネントとして、特許文献1および特許文献2に記載されたものが知られている。特許文献1に記載の大腿骨用コンポーネントは、頭部部材と軸部部材との2つの部材から構成され、これらの部材が結合されることで一体化されるモジュール式人工股関節である。特許文献2に記載の大腿骨用コンポーネントは、基部セグメントと末梢部セグメントと骨幹端セグメントとの3つの部材から構成されるモジュールヒップ補綴であり、これらの基部セグメントおよび末梢部セグメントがそれぞれ骨幹端セグメントに対して係合することで一体化される。
【0004】
【特許文献1】特表平10−509064号公報
【特許文献2】特表2003−526454号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、2に記載された大腿骨用コンポーネントにおいては、大腿骨用コンポーネントが複数の部材で構成されているため、一体化される制約条件の下で各構成部材の形状および寸法をある程度変更して設計できるようになっている。しかしながら、特許文献1または特許文献2に記載された大腿骨用コンポーネントの場合、構成部材が一体化されるための制約条件が大きいため、各構成部材の設計を変更して得られる大腿骨用コンポーネント全体としての形態や寸法がかなり限定されてしまうことになる。手術を行う術者は、患者の骨形状や骨質、骨損失や疾患の状況等に応じてその患者に最適な形態や寸法の大腿骨用コンポーネントを選択して用いる必要があるが、上述のように、特許文献1または特許文献2に記載された大腿骨用コンポーネントのみでは、対応できる形態や寸法が限定されるため、患者の状況に応じた最適な大腿骨コンポーネントの選択にあたって限界がある。
【0006】
また、術者は、上述のように、患者の状況に応じて最適な形態や寸法の大腿骨用コンポーネントを選択して用いる必要があり、手術前のレントゲン写真やCT画像から得られる情報に基づいて、その患者に最適な大腿骨用コンポーネントを判断して準備する。しかし、レントゲン写真やCT画像からの情報だけでは、患者に最適な形態や寸法の大腿骨用コンポーネントを正確に判断することが難しい。このため、手術に際して、術者は、複数の形態や寸法の大腿骨用コンポーネントを準備しなければならない場合も多く、とくに手術前の判断が難しい場合には、非常に多くの種類の形態や寸法の大腿骨用コンポーネントを準備しなくてはならないことになる。また、場合によっては、手術前に準備した大腿骨用コンポーネントをその手術において使用することができない場合や、その手術において使用できてもまた再手術をして大腿骨用コンポーネントの取り換えを行うことが必要となる場合もある。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みることにより、患者の骨形状や骨質、骨損失や疾患の状況等に応じてその患者に最適な形態や寸法の大腿骨用コンポーネントを選択するに際して柔軟に幅広く対応することができ、手術中であっても少ない部材点数で種々の形態や寸法に対応して構成することができる大腿骨用コンポーネントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0008】
本発明は、人工股関節において大腿骨の近位部側に埋入されて用いられる大腿骨用コンポーネントに関する。
そして、本発明の大腿骨用コンポーネントは、上記目的を達成するために以下のようないくつかの特徴を有している。即ち、本発明は、以下の特徴を単独で、若しくは、適宜組み合わせて備えている。
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係る大腿骨用コンポーネントにおける第1の特徴は、人工股関節において用いられる骨頭ボールに嵌合する首部部材と、前記首部部材に対して嵌合可能であるとともに前記首部部材に嵌合する側に向かってテーパ状に広がるように形成され、表面の少なくとも一部に粗面化処理が施されているテーパ状部材と、前記首部部材に対して嵌合可能であるとともに前記テーパ状部材に対しても嵌合可能に設けられ、棒状に形成された棒状部材と、を備えていることである。
【0010】
この構成によると、首部部材とテーパ状部材と棒状部材とを全て組み合わせることによって、または首部部材およびテーパ状部材を組み合わせることによって、あるいは首部部材および棒状部材を組み合わせることによって、それぞれ形態や寸法の異なる大腿骨用コンポーネントを形成することができる。このため、患者の骨形状や骨質、骨損失や疾患の状況等に応じてその患者に最適な形態や寸法の大腿骨用コンポーネントを高い自由度で選択することができる。そして、組み合わせ自由度の高い各構成部材を適宜組み合わせるだけで種々の形態や寸法の大腿骨用コンポーネントを極めて容易に形成することができる。さらに、首部部材、テーパ状部材、および棒状部材の各構成部材の形状や寸法を適宜変更することで幅広い形態と寸法に亘る大腿骨用コンポーネントを容易に設計することができる。また、手術に際しては、少ない部材点数の各構成部材を準備しておくだけで、手術中の患者の状況に応じその場で柔軟に最適な形態や寸法の大腿骨用コンポーネントを形成して対応することができる。
したがって、本発明によると、患者の骨形状や骨質、骨損失や疾患の状況等に応じてその患者に最適な形態や寸法の大腿骨用コンポーネントを選択するに際して柔軟に幅広く対応することができ、手術中であっても少ない部材点数で種々の形態や寸法に対応して構成することができる大腿骨用コンポーネントを提供することができる。
【0011】
本発明に係る大腿骨用コンポーネントにおける第2の特徴は、前記首部部材における本体部分に対する前記骨頭ボールに嵌合する突出嵌合部の突出方向の角度と、前記突出嵌合部の前記本体部分からの突出長さ寸法と、のうちの少なくともいずれかが異なる複数の前記首部部材が備えられていることである。
【0012】
この構成によると、本体部分に対する突出嵌合部の突出方向の角度と、突出嵌合部の本体部分からの突出長さとのうちの少なくともいずれかが異なる複数の首部部材が備えられているため、手術の際に、かかる複数の首部部材のうちから患者の状況に最適な形状や寸法の首部部材を適宜選択することができる。したがって、形状や寸法のバリエーションをもたせた複数の首部部材を準備しておくだけで、部材点数を増加させることなく、さらに多くの種々の形態や寸法の大腿骨コンポーネントを容易に形成することができる。
【0013】
本発明に係る大腿骨用コンポーネントにおける第3の特徴は、テーパ状に広がるように形成されている前記テーパ状部材における広がり部分の広がり方向の寸法と、前記テーパ状部材における前記広がり方向と直交する幅方向の寸法と、のうちの少なくともいずれかが異なる複数の前記テーパ状部材が備えられていることである。
【0014】
この構成によると、広がり部分の広がり方向の寸法と幅方向の寸法とのうちの少なくともいずれかが異なる複数のテーパ状部材が備えられているため、手術の際に、かかる複数のテーパ状部材のうちから患者の状況に最適な形状や寸法のテーパ状部材を適宜選択することができる。したがって、形状や寸法のバリエーションをもたせた複数のテーパ状部材を準備しておくだけで、部材点数を増加させることなく、さらに多くの種々の形態や寸法の大腿骨コンポーネントを容易に形成することができる。
【0015】
本発明に係る大腿骨用コンポーネントにおける第4の特徴は、前記棒状部材における長手方向の寸法と当該長手方向と直交する断面の径寸法とのうちの少なくともいずれかが異なる複数の前記棒状部材が備えられていることである。
【0016】
この構成によると、長手方向の寸法と断面の径寸法とのうちの少なくともいずれかが異なる複数の棒状部材が備えられているため、手術の際に、かかる複数の棒状部材のうちから患者の状況に最適な形状や寸法の棒状部材を適宜選択することができる。したがって、形状や寸法のバリエーションをもたせた複数の棒状部材を準備しておくだけで、部材点数を増加させることなく、さらに多くの種々の形態や寸法の大腿骨コンポーネントを容易に形成することができる。
【0017】
本発明に係る大腿骨用コンポーネントにおける第5の特徴は、前記複数の棒状部材のうち前記長手方向の寸法が最も長い棒状部材において、その外周に前記長手方向に沿って形成された複数条の線状突起が形成されていることである。
【0018】
この構成によると、複数の棒状部材のうち最も長い寸法の棒状部材と首部部材とを組み合わせて大腿骨用コンポーネントを形成するような場合においても、組み合わされる棒状部材にはその外周に複数条の線状突起が長手方向に沿って形成されているため、かかる線状突起によって大腿骨内に大腿骨用コンポーネントが容易にしっかりと固定されることになる。
【0019】
本発明に係る大腿骨用コンポーネントにおける第6の特徴は、嵌合した前記首部部材および前記テーパ状部材を連結可能であるとともに、嵌合した前記首部部材および前記棒状部材を連結可能であるネジ部材をさらに備え、前記首部部材は、前記ネジ部材の先端側が貫通する貫通孔が形成され、前記ネジ部材は、先端側に形成され、弾性変形することで前記テーパ状部材または前記棒状部材に形成された雌ネジ部よりも縮径して当該雌ネジ部に挿入される弾性変形部と、前記テーパ状部材または前記棒状部材において前記雌ネジ部よりも内部側に形成された空隙部分まで前記弾性変形部が挿入されて当該弾性変形部が弾性回復したときに、前記テーパ状部材または前記棒状部材に対して内部で係止する係止部と、前記係止部に対して前記弾性変形部の側とは反対側に形成され、前記雌ネジ部と螺合する雄ネジ部と、を有していることである。
【0020】
この構成によると、ネジ部材の雄ネジ部をテーパ状部材または棒状部材の雌ネジ部と螺合させながら、弾性変形部を雌ネジ部よりも縮径させてテーパ状部材または棒状部材の内部の空隙部分まで挿入すると、弾性変形部が弾性回復することでネジ部材の掛止部がテーパ状部材または棒状部材とその内部で掛止することになる。このため、ネジ部材の抜け止めが確実に図られることになり、首部部材およびテーパ状部材、または、首部部材および棒状部材が外れることを確実に防止できる連結構造を実現することができる。
【0021】
本発明に係る大腿骨用コンポーネントにおける第7の特徴は、前記弾性変形部は、前記ネジ部材の先端側が可撓な二股構造として形成されることで設けられていることである。
【0022】
この構成によると、ネジ部材の先端側を可撓な二股構造に形成することで、ネジ部材の先端側に設けられる弾性変形部を簡易な構造で容易に形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。なお、本発明は、人工股関節において大腿骨の近位部側に埋入されて用いられる大腿骨用コンポーネントとして広く適用することができるものである。
【0024】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る大腿骨用コンポーネント1を示す図であって、組み合わされていない状態で各構成部材を上下に配置して示す正面図(図1(b))、および図1(b)の平面図(図1(a))を示したものである。また、図2は、構成部材が組み合わされた状態を例示する大腿骨用コンポーネント1の斜視図である。また、図3は、本実施形態の大腿骨用コンポーネント1が人工股関節において用いられた例を説明する模式図であって、左股関節に対して人工股関節置換術が行われた場合における人工股関節の配置を骨盤100(二点鎖線で示す)および大腿骨101(断面図で示す)とともに示したものである。
【0025】
図3に示す人工股関節は、大腿骨用コンポーネント1と、球面の一部を構成するように形成された内面を有するカップ102と、このカップ102に対して可動自在に嵌め込まれる骨頭ボール103とを備えて構成されている(カップ102および骨頭ボール103は断面図で示している)。骨頭ボール103は大腿骨用コンポーネント1の近位部側に結合されている。そして、カップ102が骨盤100側に配置されて大腿骨用コンポーネント1が大腿骨101の近位部側に埋入された状態で配置されて人工股関節が構成される。
【0026】
上述のように人工股関節の一要素として用いられる本実施形態の大腿骨用コンポーネント1について、さらに詳しく説明する。図1および図2に示すように、大腿骨用コンポーネント1は、首部部材11とテーパ状部材12と棒状部材13とを備えて構成されている。これらの各構成部材(11、12、13)は、例えば、チタン合金等により形成される。
【0027】
首部部材11は、骨頭ボール103に嵌合する部材として設けられている。そして、この首部部材11には、本体部分11aと、本体部分11aから突出するように形成されて骨頭ボール103に嵌合する(図3参照)突出嵌合部11bと、テーパ状部材12および棒状部材13との嵌合用に本体部分11aから突出するように形成された嵌合凸部11cと、が設けられている。
【0028】
テーパ状部材12は、首部部材11に対して嵌合可能であるとともに首部部材11に嵌合する側に向かってテーパ状に広かるように形成されている。このテーパ状部材12には、本体部分12aと、本体部分12aに対して両側にそれぞれテーパ状に広がるように形成されている広がり部分12bおよび12cと、嵌合凹部12dと、嵌合凸部12eと、が設けられている。
【0029】
テーパ状部材12の本体部分12aおよび広がり部分12b・12cは、ショットブラスト等の周知の方法により粗面化処理(ポーラス処理)が施されている。なお、かかる粗面化処理は、テーパ状部材12の少なくとも一部に施されていればよい。また、大腿骨101において広がり部分12bは近位部外側に配置されて広がり部分12cは近位部内側に配置されるようになっており(図3参照)、図1に示す例では、近位部内側に配置される広がり部分12cの方が広がり方向の寸法が大きくなっている。なお、広がり部分12b・12cの広がり方向の寸法は適宜設定することができ、広がり部分12b・12cのうちのいずれか一方が形成されていなくてもよい。
【0030】
また、テーパ状部材12の嵌合凹部12dは、本体部分12aに対して凹み形成されており、首部部材11の嵌合凸部11cが嵌挿されて嵌合するようになっている。これより、首部部材11とテーパ状部材12とが嵌合されて結合されることになる。嵌合凹部12dの内周面は、例えば凹み方向に向かって僅かに内側に傾斜するテーパ状の内周面として形成されており、嵌合凸部11cの外周面も、同様に僅かに傾斜したテーパ状の外周面として形成され、嵌合凹部12dと嵌合凸部11cとが嵌合するときには、これらのテーパ状の内周面と外周面とが摺接することで、高い摩擦力が生じて強固に結合されるようになっている。この嵌合凹部12dの凹み方向と垂直な断面と、嵌合凸部11cの軸方向と垂直な断面とは、いずれも同心円状に形成されているため、軸周り方向における任意の角度で首部部材11をテーパ状部材12に対して嵌合可能になっている。なお、嵌合凸部11cおよび嵌合凹部12dの断面形状は必ずしも円形でなくてもよく、多角形等の形状であってもよい。また、テーパ状部材12の嵌合凸部12eは、棒状部材13との嵌合用に本体部分12aから突出するように形成されている。そして、この嵌合凸部12eは、首部部材11の嵌合凸部11cと外周面が同じ形状となるように形成されている。
【0031】
棒状部材13は、首部部材11に対して嵌合可能であるとともにテーパ状部材12に対しても嵌合可能に設けられており、棒状に形成されている。この棒状部材13には、軸状の本体部分13aと、本体部分13aに対してその軸方向に凹み形成されている嵌合凹部13bと、が設けられている。嵌合凹部13bは、テーパ状部材12の嵌合凹部12dと内周面が同じ形状となるように形成されている。このため、嵌合凸部13bは、首部部材11の嵌合凸部11cとテーパ状部材12の嵌合凹部12dとが嵌合するのと同様に、首部部材11の嵌合凸部11cおよびテーパ状部材12の嵌合凸部12eのいずれとも嵌合可能になっている。なお、図2では、首部部材11、テーパ状部材12、および棒状部材13が嵌合により全て結合して組み合わされた状態を示している。
【0032】
図4は、上述した大腿骨用コンポーネント1を各構成部材を組み合わせることで形成するパターンを説明する模式図である。図4(a)は、組み合わされる前の状態の各構成部材を示しており、図4(b)乃至(d)は、各構成部材が適宜組み合わされた各パターンを示している。患者の状況に応じた最適な大腿骨用コンポーネントの形態が確定していない状態であれば、手術に際しては、図4(a)に示すように、首部部材11、テーパ状部材12、および棒状部材13とも準備される。そして、術者は、手術中において、患者の状況に応じて、構成部材を適宜組み合わせて図4(b)乃至(d)のいずれかのパターンの大腿骨用コンポーネントを形成し、大腿骨に埋入するように配置させることになる。
【0033】
図4(b)は、大腿骨用コンポーネント1の構成部材のうち首部部材11およびテーパ状部材12が組み合わされて大腿骨用コンポーネントが形成されたパターンを示したものである。このパターンの場合、術者は、首部部材11の嵌合凸部11cとテーパ状部材12の嵌合凹部12dとを嵌合させることのみで、大腿骨用コンポーネントを形成することになる。図4(c)は、大腿骨用コンポーネント1の構成部材のうち首部部材11および棒状部材13が組み合わされて大腿骨用コンポーネントが形成されたパターンを示したものである。このパターンの場合、術者は、首部部材11の嵌合凸部11cと棒状部材13の嵌合凹部13bとを嵌合させることのみで、大腿骨用コンポーネントを形成することになる。図4(d)は、大腿骨用コンポーネント1の構成部材全てが組み合わされて大腿骨用コンポーネントが形成されたパターンを示したものである。このパターンの場合、術者は、首部部材11の嵌合凸部11cとテーパ状部材12の嵌合凹部12dとを嵌合させ、テーパ状部材12の嵌合凸部12eと棒状部材13の嵌合凹部13bとを嵌合させることで、大腿骨用コンポーネントを形成することになる。なお、本実施形態では、首部部材11に嵌合凸部11cが設けられている場合を例にとって説明したが、この通りでなくてもよく、首部部材11に嵌合凹部が設けられ、この嵌合凹部に嵌合する嵌合凸部がテーパ状部材12および棒状部材13に設けられているものであってもよい。
【0034】
以上説明した大腿骨用コンポーネント1によると、首部部材11とテーパ状部材12と棒状部材13とを全て組み合わせることによって、または首部部材11およびテーパ状部材12を組み合わせることによって、あるいは首部部材11および棒状部材13を組み合わせることによって、それぞれ形態や寸法の異なる大腿骨用コンポーネントを形成することができる。このため、患者の骨形状や骨質、骨損失や疾患の状況等に応じてその患者に最適な形態や寸法の大腿骨用コンポーネントを高い自由度で選択することができる。そして、組み合わせ自由度の高い各構成部材(11、12、13)を適宜組み合わせるだけで種々の形態や寸法の大腿骨用コンポーネントを極めて容易に形成することができる。さらに、首部部材11、テーパ状部材12、および棒状部材13の各構成部材の形状や寸法を適宜変更することで幅広い形態と寸法に亘る大腿骨用コンポーネントを容易に設計することができる。また、手術に際しては、少ない部材点数の各構成部材を準備しておくだけで、手術中の患者の状況に応じその場で柔軟に最適な形態や寸法の大腿骨用コンポーネントを形成して対応することができる。
【0035】
したがって、大腿骨用コンポーネント1によると、患者の骨形状や骨質、骨損失や疾患の状況等に応じてその患者に最適な形態や寸法の大腿骨用コンポーネントを選択するに際して柔軟に幅広く対応することができ、手術中であっても少ない部材点数で種々の形態や寸法に対応して構成することができる大腿骨用コンポーネントを提供することができる。
【0036】
(第2実施形態)
図5は、本発明の第2実施形態に係る大腿骨用コンポーネント2を示す図であって、構成部材が組み合わされた状態を例示する正面図(図5(b))、平面図(図5(b))、および側面図(図5(c))を示したものである。また、図6は、図5(c)のVI−VI線矢視断面図である。第2実施形態に係る大腿骨用コンポーネント2も第1実施形態の大腿骨用コンポーネント1と同様に用いられる。そして、図5および図6に示すように、大腿骨用コンポーネント2は、首部部材21、テーパ状部材22、棒状部材23、およびネジ部材24を備えて構成されている。なお、以下の説明においては、第2実施形態における第1実施形態と同様の構成要素については、符号は異なるが同一の用語を用いて説明することで、適宜説明を割愛する。
【0037】
図5および図6に示す大腿骨用コンポーネント2は、第1実施形態に係る大腿骨用コンポーネント1と同様に、首部部材21、テーパ状部材22、棒状部材23の各構成部材を適宜組み合わせることで、3つのパターンの大腿骨用コンポーネントを形成することができる。ただし、この大腿骨用コンポーネント2では、嵌合した首部部材21およびテーパ状部材22を連結可能であるとともに、嵌合した首部部材21および棒状部材23を連結可能であるネジ部材24がさらに備えられている。
【0038】
図5および図6に示すパターンは、首部部材21、テーパ状部材22、棒状部材23の全ての構成部材を組み合わせたパターンであり、首部部材21をテーパ状部材22に嵌合し、テーパ状部材22を棒状部材23に嵌合することで、大腿骨用コンポーネントが形成される。このパターンの場合、首部部材21の嵌合凸部21cとテーパ状部材22の嵌合凹部22dとが嵌合し、テーパ状部材22の嵌合凸部22eと棒状部材23の嵌合凹部23bとが嵌合し、さらに、首部部材21とテーパ状部材22とがネジ部材24により連結されている。なお、首部部材21のテーパ状部材22に対する嵌合角度は、第1実施形態と同様に、任意に調整することができる。図7および図8は、首部部材21のテーパ状部材22に対する嵌合角度を変更した例を示す斜視図であり、3つの嵌合角度について示したものである。なお、図7(a)および図8(a)、図7(b)および図8(b)、図7(c)および図8(c)が、それぞれ同一の角度の斜視図および平面図として対応している。
【0039】
また、図9および図10は、大腿骨用コンポーネント2における他の組み合わせパターンを示したものであり、その正面図(図9(a))、平面図(図9(b))、側面図(図9(c))、図9(c)のX−X矢視断面図(図10)である。この図9および図10に示すパターンは、大腿骨用コンポーネント2の構成部材のうち首部部材21および棒状部材23が組み合わされたパターンであり、この場合、テーパ状部材22を用いずに首部部材21を棒状部材23に嵌合することで、大腿骨用コンポーネントが形成される。このパターンの場合、首部部材21の嵌合凸部21cと棒状部材23の嵌合凹部23bとが嵌合し、首部部材21と棒状部材23とがネジ部材24により連結されている。なお、図5・図6に示す組み合わせパターンおよび図9・図10に示す組み合わせパターン以外のパターンとして、棒状部材23を用いずに首部部材21とテーパ状部材22とを嵌合して組み合わせることで大腿骨用コンポーネントを形成することもできる。
【0040】
次に、大腿骨用コンポーネント2の各構成部材(21、22、23)およびネジ部材24について、さらに詳しく説明する。
【0041】
首部部材21の斜視図である図11および大腿骨用コンポーネント2の断面図である図6に示すように、首部部材21は、第1実施形態と同様の本体部分21aと突出嵌合部21bと嵌合凸部21cとが設けられている。ただし、首部部材21には、ネジ部材24の先端側が貫通する貫通孔21dが形成されている。また、この貫通孔21dの中途には、貫通孔21dに挿入されたネジ部材24のネジ頭部と当接してネジ部材24の貫通孔21dへの挿入深度を規制する段部21eも設けられている。
【0042】
また、大腿骨用コンポーネント2においては、首部部材21が複数種類備えられている。図12は、複数の首部部材21を説明する模式図である。この図12の模式図では、突出嵌合部21の形状および寸法が異なった複数の首部部材21を重ねて示している。この図12に示すように、大腿骨用コンポーネント2においては、首部部材21における本体部分21aに対する突出嵌合部21bの突出方向の角度が125°、130°、135°と3種類に異なるものと、突出嵌合部21bの本体部分21aからの突出長さ寸法がL1、L2と2種類に異なるものと、が備えられている。すなわち、大腿骨用コンポーネント2においては、突出嵌合部21bの突出方向の角度が3種類でそれぞれの角度に対して突出寸法長さが2種類あり、合計で6個の首部部材21が備えられている。なお、図12で説明したものは例示であり、突出方向の角度および突出長さ寸法の選定の仕方や選定した個数については、適宜設定することができる。また、突出方向の角度および突出長さ寸法のうちいずれか一方のみが異なる首部部材21が複数備えられているものであってもよい。
【0043】
また、テーパ状部材22の斜視図である図13および大腿骨用コンポーネント2の断面図である図6に示すように、テーパ状部材22は、第1実施形態と同様の本体部分22aと広がり部分22b・22cと嵌合凹部22dと嵌合凸部22eとが設けられている。ただし、テーパ状部材22には、後述するネジ部材24に設けられる雄ネジ部24cと螺合する雌ネジ部22fと、雌ネジ部22fよりもテーパ状部材22におけるさらに内部側に設けられる空隙部分22gとが形成されている。
【0044】
また、大腿骨用コンポーネント2においては、テーパ状部材22が複数備えられている。図14は、複数のテーパ状部材22を説明する模式図である。図14(a)の模式図では、テーパ状に広がるように形成されているテーパ状部材22の広がり部分22b・22cの広がり方向の寸法が異なった複数のテーパ状部材22を重ねて示している。一方、図14(b)の模式図では、テーパ状部材22における広がり部分22b・22cの広がり方向と直交する幅方向の寸法が異なった複数のテーパ状部材22を重ねて示している。この図14に示すように、大腿骨用コンポーネント2においては、広がり部分22b・22cの広がり方向の寸法が長さL3とL4との間で5段階に異なるとともに、幅方向の寸法も幅長さL5とL6との間で5段階に異なるもの(広がり方向の寸法が1段階大きくなると幅方向の寸法も1段階大きくなるように対応した5種類のもの)が備えられている。なお、図14では、広がり方向の寸法および幅方向の寸法が対応して段階的に変化するものを例にとって説明したが、それぞれ独立に段階的に変化する複数のテーパ状部材であってもよく、いずれか一方のみが異なるテーパ状部材であってもよい。また、広がり方向の寸法については、広がり部分22bおよび22cが独立に変化するように異なるものやいずれか一方のみが異なるものであってもよい。
【0045】
また、大腿骨用コンポーネント2においては、棒状部材23は複数備えられている。図15(a)は、長手方向の寸法が異なる複数の棒状部材23のうち長手方向の寸法が最も長いものの斜視図を示している。この図15(a)および大腿骨用コンポーネント2の断面図である図6に示すように、棒状部材23には、第1実施形態と同様の本体部分23aと嵌合凹部23bとが設けられている。ただし、棒状部材23には、後述するネジ部材24に設けられる雄ネジ部24cと螺合する雌ネジ部23cと、雌ネジ部23cよりも棒状部材23におけるさらに内部側に設けられる空隙部分23dとが形成されている。なお、図15(a)およびこの図15(a)のb−b線矢視断面図である図15(b)に示すように、長手方向の長さが最も長い棒状部材23においては、その外周に長手方向に沿って形成された複数条の線状突起が形成されている。
【0046】
図16は、複数の棒状部材23を説明する模式図である。この図16の模式図では、棒状部材23の形状および寸法が異なった複数の棒状部材23を重ねて示している。この図16に示すように、大腿骨用コンポーネント2においては、棒状部材23における長手方向の寸法が長さL7、L8、L9と3種類に異なるものと、長手方向と直交する断面の径寸法が各長さ寸法(L7、L8、L9)ごとにそれぞれ3種類に異なるものと、が備えられている。すなわち、大腿骨用コンポーネント2においては、長手方向の長さ寸法が3種類でそれぞれの長さ寸法に対して径寸法が3種類あり、合計で9種類の棒状部材23が備えられている。なお、図16で説明したものは例示であり、長さ寸法や径寸法の選定の仕方や選定の個数については、適宜設定することができる。また、長さ寸法および径寸法のうちいずれか一方のみが異なる棒状部材23が複数備えられているものであってもよい。
【0047】
図17は、ネジ部材24の斜視図(図17(a))と正面図(図17(b))とを示したものである。この図17に示すように、ネジ部材24には、軸部24dと、弾性変形部24aと、掛止部24bと、雄ネジ部24dと、が設けられている。このネジ部材24は、図6および図10によく示すように、その先端側が、首部部材21の貫通孔21dを貫通するようにこの貫通孔21dに挿入される。
【0048】
ネジ部材24の弾性変形部24aは、軸部24dの先端側に形成されている。この弾性変形部24aは、ネジ部材24の先端側が可撓な二股構造として形成されることで設けられている。そして、テーパ状部材22に嵌合した首部部材21の貫通孔21dからネジ部材24が挿入されていくと、弾性変形部24aは弾性変形することでテーパ状部材22に形成された雌ネジ部22fよりも縮径してその雌ネジ部22fに挿入されるようになっている。同様に、棒状部材23に嵌合した首部部材21の貫通孔21dからネジ部材24が挿入されていった場合も、弾性変形部24aは弾性変形することで棒状部材23に形成された雌ネジ部23cよりも縮径してその雌ネジ部23cに挿入されるようになっている。
【0049】
また、ネジ部材24の掛止部24bは、弾性回復部24aに対して外方にテーパ状に広がった後に弾性回復部24aと反対側で段状に狭まった部分として形成されている。このため、掛止部24bは、テーパ状部材22において雌ネジ部22fよりも内部側に形成された空隙部分22gまで弾性変形部24aが挿入されてこの弾性変形部24aが弾性回復したときに、テーパ状部材22に対してその内部で掛止する(すなわち、雌ネジ部22fから空隙部分22gに開口した部分における縁部で掛止する)ようになっている(図6参照)。同様に、棒状部材23において雌ネジ部23cよりも内部側に形成された空隙部分23dまで弾性変形部24aが挿入されてこの弾性変形部24aが弾性回復した場合も、棒状部材23に対してその内部で掛止する(すなわち、雌ネジ部23cから空隙部分23dに開口した部分における縁部で掛止する)ようになっている(図10参照)。
【0050】
ネジ部材24の雄ネジ部24cは、掛止部24bに対して弾性変形部24aの側とは反対側に形成され、テーパ状部材22の雌ネジ部22fまたは棒状部材23の雌ネジ部23cと螺合する。なお、この雌ネジ部24cは、弾性変形部24aが設けられている二股構造の根元部分にも形成されていてもよい。
【0051】
なお、上述したように、大腿骨用コンポーネント2においては、首部部材21が6種類、テーパ状部材22が5種類、棒状部材23が9種類備えられている。このため、首部部材21およびテーパ状部材22を組み合わせるパターンの大腿骨用コンポーネントが30通り、首部部材21および棒状部材23を組み合わせるパターンの大腿骨用コンポーネントが54通り、首部部材21とテーパ状部材22と棒状部材23とを組み合わせるパターンの大腿骨用コンポーネントが270通り、合計で354通りの大腿骨用コンポーネントのうちから最適な形態及び寸法の大腿骨用コンポーネントを選択することができる。
【0052】
以上説明した第2実施形態に係る大腿骨用コンポーネント2によると、首部部材21の本体部分21aに対する突出嵌合部21bの突出方向の角度と、突出嵌合部21bの本体部分21aからの突出長さとのうちの少なくともいずれかが異なる複数の首部部材21が備えられているため、手術の際に、かかる複数の首部部材21のうちから患者の状況に最適な形状や寸法の首部部材21を適宜選択することができる。したがって、形状や寸法のバリエーションをもたせた複数の首部部材21を準備しておくだけで、部材点数を増加させることなく、さらに多くの種々の形態や寸法の大腿骨コンポーネントを容易に形成することができる。
【0053】
また、大腿骨用コンポーネント2によると、テーパ状部材22における広がり部分22b・22cの広がり方向の寸法と幅方向の寸法とのうちの少なくともいずれかが異なる複数のテーパ状部材22が備えられているため、手術の際に、かかる複数のテーパ状部材22のうちから患者の状況に最適な形状や寸法のテーパ状部材22を適宜選択することができる。したがって、形状や寸法のバリエーションをもたせた複数のテーパ状部材22を準備しておくだけで、部材点数を増加させることなく、さらに多くの種々の形態や寸法の大腿骨コンポーネントを容易に形成することができる。
【0054】
また、大腿骨用コンポーネント2によると、棒状部材23における長手方向の寸法と断面の径寸法とのうちの少なくともいずれかが異なる複数の棒状部材23が備えられているため、手術の際に、かかる複数の棒状部材23のうちから患者の状況に最適な形状や寸法の棒状部材23を適宜選択することができる。したがって、形状や寸法のバリエーションをもたせた複数の棒状部材23を準備しておくだけで、部材点数を増加させることなく、さらに多くの種々の形態や寸法の大腿骨コンポーネントを容易に形成することができる。
【0055】
また、大腿骨用コンポーネント2によると、複数の棒状部材23のうち最も長い寸法の棒状部材23と首部部材21とを組み合わせて大腿骨用コンポーネントを形成するような場合においても、組み合わされる棒状部材23の外周には複数条の線状突起23eが長手方向に沿って形成されているため、かかる線状突起23eによって大腿骨内に大腿骨用コンポーネントが容易にしっかりと固定されることになる。
【0056】
また、大腿骨用コンポーネント2によると、ネジ部材24の雄ネジ部24cをテーパ状部材22の雌ネジ部22fまたは棒状部材23の雌ネジ部23cと螺合させながら、弾性変形部24aを雌ネジ部22fまたは23cよりも縮径させてテーパ状部材22または棒状部材23の内部の空隙部分22gまたは23dまで挿入すると、弾性変形部24aが弾性回復することでネジ部材24の掛止部24bがテーパ状部材22または棒状部材23とその内部で掛止することになる。このため、ネジ部材24の抜け止めが確実に図られることになり、首部部材21およびテーパ状部材22、または、首部部材21および棒状部材23が外れることを確実に防止できる連結構造を実現することができる。
【0057】
以上、本発明の第1および第2実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、人工股関節において大腿骨の近位部側に埋入されて用いられる大腿骨用コンポーネントとして広く適用することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の第1実施形態に係る大腿骨用コンポーネントを示す図であって、組み合わされていない状態で各構成部材を上下に配置して示す正面図およびその平面図である。
【図2】図1に示す大腿骨用コンポーネントにおける構成部材が組み合わされた状態を例示する斜視図である。
【図3】図2に示す大腿骨用コンポーネントが人工股関節において用いられた例を説明する模式図である。
【図4】図1に示す大腿骨用コンポーネントを各構成部材を組み合わせることで形成するパターンを説明する模式図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る大腿骨用コンポーネントを示す図であって、構成部材が組み合わされた状態を例示する正面図、平面図、および側面図を示したものである。
【図6】図5におけるVI−VI線矢視断面図である。
【図7】図5に示す大腿骨用コンポーネントにおける首部部材のテーパ状部材に対する嵌合角度を変更した例を示す斜視図である。
【図8】図5に示す大腿骨用コンポーネントにおける首部部材のテーパ状部材に対する嵌合角度を変更した例を示す斜視図である。
【図9】図5に示す大腿骨用コンポーネントにおける構成部材の他の組み合わせパターンを示した正面図、平面図、および側面図である。
【図10】図9のX−X線矢視断面図である。
【図11】図5に示す大腿骨用コンポーネントにおける首部部材の斜視図である。
【図12】図11に示す首部部材における複数の種類の首部部材を説明する模式図である。
【図13】図5に示す大腿骨用コンポーネントにおけるテーパ状部材の斜視図である。
【図14】図13に示すテーパ状部材における複数の種類のテーパ状部材を説明する模式図である。
【図15】図5に示す大腿骨用コンポーネントにおける棒状部材の斜視図である。
【図16】図15に示す大腿骨用コンポーネントにおける複数の種類の棒状部材を説明する模式図である。
【図17】図5に示す大腿骨用コンポーネントにおけるネジ部材の斜視図および正面図である。
【符号の説明】
【0060】
1 大腿骨用コンポーネント
11 首部部材
11c 首部部材の嵌合凸部
12 テーパ状部材
12d テーパ状部材の嵌合凹部
12e テーパ状部材の嵌合凸部
13 棒状部材
13b 棒状部材の嵌合凹部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工股関節において大腿骨の近位部側に埋入されて用いられる大腿骨用コンポーネントであって、
人工股関節において用いられる骨頭ボールに嵌合する首部部材と、
前記首部部材に対して嵌合可能であるとともに前記首部部材に嵌合する側に向かってテーパ状に広がるように形成され、表面の少なくとも一部に粗面化処理が施されているテーパ状部材と、
前記首部部材に対して嵌合可能であるとともに前記テーパ状部材に対しても嵌合可能に設けられ、棒状に形成された棒状部材と、
を備えていることを特徴とする大腿骨用コンポーネント。
【請求項2】
前記首部部材における本体部分に対する前記骨頭ボールに嵌合する突出嵌合部の突出方向の角度と、前記突出嵌合部の前記本体部分からの突出長さ寸法と、のうちの少なくともいずれかが異なる複数の前記首部部材が備えられていることを特徴とする請求項1に記載の大腿骨用コンポーネント。
【請求項3】
テーパ状に広がるように形成されている前記テーパ状部材における広がり部分の広がり方向の寸法と、前記テーパ状部材における前記広がり方向と直交する幅方向の寸法と、のうちの少なくともいずれかが異なる複数の前記テーパ状部材が備えられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の大腿骨用コンポーネント。
【請求項4】
前記棒状部材における長手方向の寸法と当該長手方向と直交する断面の径寸法とのうちの少なくともいずれかが異なる複数の前記棒状部材が備えられていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の大腿骨用コンポーネント。
【請求項5】
前記複数の棒状部材のうち前記長手方向の寸法が最も長い棒状部材において、その外周に前記長手方向に沿って形成された複数条の線状突起が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の大腿骨用コンポーネント。
【請求項6】
嵌合した前記首部部材および前記テーパ状部材を連結可能であるとともに、嵌合した前記首部部材および前記棒状部材を連結可能であるネジ部材をさらに備え、
前記首部部材は、前記ネジ部材の先端側が貫通する貫通孔が形成され、
前記ネジ部材は、
先端側に形成され、弾性変形することで前記テーパ状部材または前記棒状部材に形成された雌ネジ部よりも縮径して当該雌ネジ部に挿入される弾性変形部と、
前記テーパ状部材または前記棒状部材において前記雌ネジ部よりも内部側に形成された空隙部分まで前記弾性変形部が挿入されて当該弾性変形部が弾性回復したときに、前記テーパ状部材または前記棒状部材に対して内部で係止する係止部と、
前記係止部に対して前記弾性変形部の側とは反対側に形成され、前記雌ネジ部と螺合する雄ネジ部と、
を有していることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の大腿骨用コンポーネント。
【請求項7】
前記弾性変形部は、前記ネジ部材の先端側が可撓な二股構造として形成されることで設けられていることを特徴とする請求項6に記載の大腿骨用コンポーネント。
【請求項1】
人工股関節において大腿骨の近位部側に埋入されて用いられる大腿骨用コンポーネントであって、
人工股関節において用いられる骨頭ボールに嵌合する首部部材と、
前記首部部材に対して嵌合可能であるとともに前記首部部材に嵌合する側に向かってテーパ状に広がるように形成され、表面の少なくとも一部に粗面化処理が施されているテーパ状部材と、
前記首部部材に対して嵌合可能であるとともに前記テーパ状部材に対しても嵌合可能に設けられ、棒状に形成された棒状部材と、
を備えていることを特徴とする大腿骨用コンポーネント。
【請求項2】
前記首部部材における本体部分に対する前記骨頭ボールに嵌合する突出嵌合部の突出方向の角度と、前記突出嵌合部の前記本体部分からの突出長さ寸法と、のうちの少なくともいずれかが異なる複数の前記首部部材が備えられていることを特徴とする請求項1に記載の大腿骨用コンポーネント。
【請求項3】
テーパ状に広がるように形成されている前記テーパ状部材における広がり部分の広がり方向の寸法と、前記テーパ状部材における前記広がり方向と直交する幅方向の寸法と、のうちの少なくともいずれかが異なる複数の前記テーパ状部材が備えられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の大腿骨用コンポーネント。
【請求項4】
前記棒状部材における長手方向の寸法と当該長手方向と直交する断面の径寸法とのうちの少なくともいずれかが異なる複数の前記棒状部材が備えられていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の大腿骨用コンポーネント。
【請求項5】
前記複数の棒状部材のうち前記長手方向の寸法が最も長い棒状部材において、その外周に前記長手方向に沿って形成された複数条の線状突起が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の大腿骨用コンポーネント。
【請求項6】
嵌合した前記首部部材および前記テーパ状部材を連結可能であるとともに、嵌合した前記首部部材および前記棒状部材を連結可能であるネジ部材をさらに備え、
前記首部部材は、前記ネジ部材の先端側が貫通する貫通孔が形成され、
前記ネジ部材は、
先端側に形成され、弾性変形することで前記テーパ状部材または前記棒状部材に形成された雌ネジ部よりも縮径して当該雌ネジ部に挿入される弾性変形部と、
前記テーパ状部材または前記棒状部材において前記雌ネジ部よりも内部側に形成された空隙部分まで前記弾性変形部が挿入されて当該弾性変形部が弾性回復したときに、前記テーパ状部材または前記棒状部材に対して内部で係止する係止部と、
前記係止部に対して前記弾性変形部の側とは反対側に形成され、前記雌ネジ部と螺合する雄ネジ部と、
を有していることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の大腿骨用コンポーネント。
【請求項7】
前記弾性変形部は、前記ネジ部材の先端側が可撓な二股構造として形成されることで設けられていることを特徴とする請求項6に記載の大腿骨用コンポーネント。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2008−119051(P2008−119051A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−303190(P2006−303190)
【出願日】平成18年11月8日(2006.11.8)
【出願人】(504418084)日本メディカルマテリアル株式会社 (106)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月8日(2006.11.8)
【出願人】(504418084)日本メディカルマテリアル株式会社 (106)
【Fターム(参考)】
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