説明

大蒜の水耕栽培方法

【課題】 常に新鮮な状態で大蒜を供給することができる大蒜の水耕栽培方法を提供する。
【解決手段】 水槽1に所定のミネラルなどを添加した水をはり、水槽1の上にトレイ2を被せ、トレイ2の凹部3に鱗茎1個を収納する。そして、所定の日数が経過して鱗茎4から根4aと芽4bが伸びてきて自立可能となったならば、そのタイミングで鱗茎4を根4aと芽4bとともにトレイ2から取り出し、台所などの水を張った皿7の上にそのままの姿勢で置いて、必要なときに必要な量だけ調理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大蒜(にんにく)の水耕栽培方法に関し、特に家庭において常に新鮮な状態で大蒜を調理することができる大蒜の水耕栽培方法に関する。
【背景技術】
【0002】
大蒜を水耕栽培することに関しては特許文献1に開示されている。この特許文献1に開示される方法は、大蒜の鱗片を、温室内において発泡スチロール製育苗トレイ上で水槽に浮かべて水耕栽培し、40%以上の遮光ネット下で、10〜40℃で30〜40cmの植物体まで生育させる方法である。
【0003】
一方、大蒜ではないが球根の水耕栽培方法として特許文献2に開示される方法が知られている。この方法は球根を収容するための多数の収容部を備えるプラスチック製トレイを水槽に浮かべて水耕栽培する際に、前記収納部に弾性的なクランプ手段を設けて、収納部内で球根が安定するようにしたものである。
【0004】
【特許文献1】特開2006−174744号公報
【特許文献2】特表2002−519002号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示される方法によれば、水槽に入れたまま茎などが緑色になるまで、つまり野菜化するまで栽培するため、家庭内で冷蔵庫などに入れずに新鮮なまま調理するには水槽が必要になる。
【0006】
また、特許文献2に開示される方法を大蒜の水耕栽培に応用した場合にも、やはり特許文献と同様に、野菜化するまで水耕栽培することになり、根が完全に張ってしまい、家庭内で新鮮なまま調理するには水槽が必要になる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため本発明に係る大蒜の水耕栽培方法は、水槽にセットしたトレイの凹部に複数の鱗片からなる鱗茎を収納し、前記凹部の底面に形成した穴から根が伸びるとともに芽が出た後、根の形状が平坦な面に置いても自立可能になった時点で、トレイから大蒜を取り出すようにした。
根の形状を自立可能な形状に育成するには、比較的浅い水槽を用い、水槽の底面に沿って根が水平且つ放射状に伸びるようにする。
【0008】
特に自立性を高めるには、水槽の底面でトレイの凹部に形成した穴に対向する箇所に上方への膨出部を形成し、この膨出部に沿って根が四方に伸びるようにすることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、根と芽が出た状態の大蒜が自立可能となっているため、例えば台所の皿に水を張ってその上に置いておくだけで、いつでも新鮮な状態の大蒜を必要な量だけ調理することができる。
【0010】
また、最近では鱗片のみならず根や芽も食用に供されているが、これら根や芽についても新鮮な状態で、必要な量だけ調理し、残りは引き続き皿の上で栽培することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に本発明を実施するための最良の形態を添付図面等を参照して説明する。ここで、図1は本発明方法の実施に用いる水耕栽培装置の斜視図、図2は同水耕栽培装置の断面図、図3は根と芽が出た状態の図2と同様の断面図、図4は別実施例を説明した図3と同様の断面図、図5は皿の上で自立している状態の大蒜を示す図である。
【0012】
水耕栽培装置は比較的底の浅い水槽1と、この水槽1の上にセットされるトレイ2からなる。トレイ2は発泡スチロールを材料とし、多数のテーパ状凹部3が形成されている。この凹部3は大蒜の鱗茎4を1個収納できる大きさとされ、その底部には穴5があけられている。
【0013】
細胞方法としては、水槽1に所定のミネラルなどを添加した水をはり、水槽1の上にトレイ2を被せ、トレイ2の凹部3に鱗茎1個を収納する。この場合、トレイ2の下面と水槽1の底面との間隔は2〜4cmとすることで、根が横に成育し、自立しやすくなる。
【0014】
そして、所定の日数が経過すると、図3に示すように鱗茎4から根4aと芽4bが伸びてくる。根4aが水槽1の底面に沿ってある程度放射状且つ水平方向に広がって自立可能になったならば、そのタイミングで鱗茎4を根4aと芽4bとともにトレイ2から取り出す。
【0015】
前記水槽1の別実施例としては、図4に示すように、水槽1の底面でトレイ2の凹部3に形成した穴5に対向する箇所には上方への膨出部6を形成する構造が考えられる。この膨出部6は穴5から下に伸びる根を、放射状且つ均等に分けるものであり、より自立しやすくなる。尚、膨出部6の形状としては図示した形状に限定されるものではない。
【0016】
トレイ2から取り出した鱗茎4は、例えば図5に示すように、水を張った皿7の上にそのままの姿勢で置く。その後、必要に応じて、鱗片、根或いは芽をサラダ、炒め物、てんぷらなどに調理する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明方法の実施に用いる水耕栽培装置の斜視図
【図2】同水耕栽培装置の断面図
【図3】根と芽が出た状態の図2と同様の断面図
【図4】別実施例を説明した図3と同様の断面図
【図5】皿の上で自立している状態の大蒜を示す図
【符号の説明】
【0018】
1…水槽、2…トレイ、3…凹部、4…鱗茎、4a…根、4b…芽、5…穴、6…膨出部、7…皿。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水槽にセットしたトレイの凹部に複数の鱗片からなる鱗茎を収納し、前記凹部の底面に形成した穴から根が伸びるとともに芽が出た後、根の形状が平坦な面に置いても自立可能になった時点で、トレイから大蒜を取り出すようにしたことを特徴とする大蒜の水耕栽培方法。
【請求項2】
請求項1に記載の大蒜の水耕栽培方法において、前記水槽の底面でトレイの凹部に形成した穴に対向する箇所には上方への膨出部が形成されていることを特徴とする大蒜の水耕栽培方法。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2009−254295(P2009−254295A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−107965(P2008−107965)
【出願日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(508090594)特定非営利活動法人 地球倶楽部ネットワーク2000 (2)
【Fターム(参考)】