説明

大谷石粉含有塗材

【課題】剥離や亀裂などを起こさず、長期にわたる使用に耐えられ、尚且つ、大谷石本来の特性を活かした機能性塗材を提供する。
【解決手段】大谷石粉100重量部に対して、ゼオライト22.5〜27.5重量部、角また粉5.7〜6.6重量部、硅砂7号45〜55重量部、ミネゼオン45〜55重量部、アクリルエマルションを固形分で40〜45重量部含有する配合割合手段を採用した。また、該大谷石粉含有塗材において、大谷石粉100重量部に対して、更に鹿沼土粉40.5〜49.5重量部を含む前記大谷石粉含有塗材とする配合割合手段を採用することもでき、更には、前記大谷石粉、前記ゼオライト、及び前記ミネゼオンの粒径が其々0.3mm以下である構成手段を採用することもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物等に用いられる塗材に関し、詳しくは、大谷石粉を主成分とする機能性塗材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
我が国の天然資源は極めて少なく、持続可能な発展を続けていくためには、従来の「大量生産・大量消費・大量廃棄」型の経済社会から脱却し、環境への負荷が少ない「廃棄物の発生抑制・再使用・再資源化」の所謂3R(Reduce、Reuse、
Recycle)の取り組みを充実させて、循環型社会を確立していくことが必要である。そこで、係る循環型社会の形成を推進する基本的な枠組みとして「循環型社会形成推進基本法」が制定され、特に建設廃棄物は全体の約2割を占めることもあり、「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(略称:建設リサイクル法)」も施行されている。
【0003】
ここで、天然資源のひとつに大谷石(おおやいし)がある。大谷石は、珪酸・第二酸化鉄・酸化アルミニウム・酸化マンガン・石灰・酸化マグネシウム・カリウム・ナトリウムなどを成分とする緑色の軽石凝灰岩の一種で、栃木県宇都宮市北西部の大谷町付近一帯で採掘される石材である。多孔質で火熱に強く、1000℃以上でも安定し、他の石材に比べて軟らかく、採掘や加工がしやすいことから、古くから外壁や土蔵などの建材として使用されてきた。また、大谷石に含まれるゼオライト成分は、多量のマイナスイオンと強い遠赤外線を放出し、癒し効果や熟成効果を発揮するとともに、その多孔質構造により、音響効果、脱臭効果及びガスや水を吸着する特性もあり、シックハウス症候群の防止や消臭に資する石材である。
【0004】
このような機能性を有する大谷石であるが、近年では採掘量も減り、大谷石の希少価値が高まるとともに、大谷石の有効利用が求められるところである。
【0005】
そこで、従来より種々の技術が提案されている。例えば、大谷石の特性を利用した技術として、原料の大谷石を細かく砕く粉砕工程と、その粉砕した大谷石の1.7mm以上及び0.3mm以下の粒径の粒子を除去して0.3〜1.7mmの粒子を得る粒子選別工程と、その選別で得られた粒子を含水率6%以下に乾燥させる乾燥工程と、その乾燥させた大谷石の粒子100重量部に対して、粘度150〜300mPa・s(5%水溶液、20°C)のアクリル酸エステル・メタクリル酸エステル共重合体樹脂を含水率6%以下に水分調節してなる粉末バインダーを4〜7重量部混合するバインダー混合工程と、から成る大谷石を用いた壁面鏝塗り材の製造方法及び、該製造方法で製造した大谷石を用いた壁面鏝塗り材がある(特許文献1参照)。しかし、係る技術は、前記大谷石の機能性を阻害しないように樹脂の使用量を少なくして、粒子表面を露出させて有害ガスの吸着性等を確保しているため、付着力や強度を高めることができず、下地の変化に伴う追従性や割れやすいという問題がある。また、耐水性も低くなってしまうという問題もある。
【0006】
さらにまた、石材等の天然素材の質感を活かした装飾的機能を発揮させるために、合成樹脂エマルション等に天然石材等を配合した塗材に関する技術も多数提案されている。例えば、御影石等の天然石の模様を形成することができる塗材として、無色透明な被膜を形成する結合材と着色骨材と透明骨材とを組み合わせた塗材がある(特許文献2参照)。しかし、係る技術は、特定の石材が有する機能性に着目して限定するものではなく、天然石特有の深みのような美観を創出させることを目的としているものであり、ゼオライトを添加しておらず、有害ガスの吸着性や消臭といった機能性が低いという問題がある。
【0007】
またさらに、アクリル酸アルキルエステルに由来するアクリル樹脂、及び環状シロキサン化合物に由来するシリコーン樹脂が99:1〜30:70の重量比率でエマルション粒子内に混在する合成樹脂エマルション(A)、自然石の粉砕物、陶磁器の粉砕物、及び着色骨材から選ばれる少なくとも一種の骨材(B)を必須成分とし、前記合成樹脂エマルション(A)の固形分100重量部に対し、前記骨材(B)を100〜2000重量部含むことを特徴とする水性塗材の技術も提案されている(特許文献3参照)。しかしながら、係る発明も、天然ゼオライト鉱石粉を添加しておらず、前記同様に、有害ガスの吸着性や消臭機能が低いという問題がある。
【0008】
そして、天然大谷石のリサイクル壁材は、過去、何度となく左官壁材として利用しようと試みた企業が複数あったものの、壁材として使用する為に必要な耐久性に問題があり、壁材として使用すると、壁塗りした所と躯体壁との間に剥離現象がおき、亀裂や落下などの問題が生じるため長期使用には難があった。
その為、現在、実用化されているケースは、出願人の知る所では皆無である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−261113号広報
【特許文献2】特公平2−40702号公報
【特許文献3】特開2008−94953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明は、このような問題点に鑑みなされたものであり、剥離や亀裂などを起こさず、長期にわたる使用に耐えられ、尚且つ、大谷石本来の特性を活かした機能性塗材を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するため、請求項1の発明は、大谷石粉100重量部に対して、ゼオライト22.5〜27.5重量部、角また粉5.7〜6.6重量部、硅砂7号45〜55重量部、ミネゼオン45〜55重量部、アクリルエマルションを固形分で40〜45重量部含有する手段を採用した。
【0012】
また、請求項2の発明は、大谷石粉100重量部に対して、鹿沼土粉40.5〜49.5重量部、ゼオライト22.5〜27.5重量部、角また粉5〜7重量部、硅砂7号45〜55重量部、ミネゼオン45〜55重量部、アクリルエマルションを固形分で40〜45重量部含有する手段を採用した。
【0013】
また、請求項3の発明は、前記大谷石粉、前記ゼオライト、及び前記ミネゼオンの粒径が其々0.2mm以下であることを特徴とする前記記載の大谷石粉含有塗材とする手段を採用した。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る大谷石粉含有塗材によれば、調湿機能の優れた塗材を提供できるといった優れた効果を奏する。
【0015】
また、大谷石粉は大量のマイナスイオンを発生するので、細胞の活性化や免疫強化、自律神経の調整、精神安定、空気の清浄化などさまざまな有効作用がある。したがって、例えば、本発明に係る大谷石粉含有塗材を内壁に用いれば、優れたリラックス空間を創ることができるといった効果を発揮し得る。
【0016】
また、大谷石はミネラルを含むゼオライト成分を有しているため、電磁波の一種である遠赤外線を放出し、それにより食品の中の水分子が共鳴振動を起こすことで、クラスター破壊による活性化が図られ、腐敗の進行やカビの発生を抑制し、鮮度を保ちながら熟成を進ませることができ、日持ちも良くなる。したがって、例えば、本発明に係る大谷石粉含有塗材を用いた空間で生ハムを熟成されれば、人為的に作られた施設での熟成に比べ、肉の旨味成分である遊離グルタミン酸を多くすることができるといった優れた効果を奏する。
【0017】
また、本発明に係る大谷石粉含有塗材によれば、ビルの内装やマンション、個別住宅の内装などを塗り壁材とする事で、壁を塗るだけで大谷石本体施工と同じよぅな効果を発揮させる事ができるという優れた効果を奏する。
【0018】
また、本発明に係る大谷石粉含有塗材によれば、大谷石本体の施工より施工が容易になるとともに、大谷石本体直接施工と比して安価な価格で提供できるという優れた効果を奏する。
【0019】
また、本発明に係る大谷石粉含有塗材によれば、廃棄物の利用を主にすることができる為、大谷石の枯渇や環境に優しいといった優れた効果を奏する。
【0020】
また、本発明に係る大谷石粉含有塗材によれば、天然素材を使うので、人体に優しい内装材を提供できるといった優れた効果を奏する。
【0021】
また、大谷石はコンクリートやガラスに比べ高い吸音率を有しており、その平均吸音率を測定することにより求められる残響時間から、その環境に適した音楽を分類すれば、暖かみのある風合いを活かしたうえで、空間形状や設計との連係により演奏や音楽の種類に合った、優れた音響空間を演出することも可能になるという優れた効果を奏する。
【0022】
つぎに、本発明に係る大谷石粉含有塗材について、財団法人建材試験センター(埼玉県草加市稲荷5町目21番地20号)にて、品質性能試験を行っているので、以下に示す。
【0023】
(1)試験名称 「仕上げ塗材の性能試験」(図1参照)
(2)試験項目 「初期乾燥によるひび割れ抵抗性」
(3)試験方法 「JIS A 6909(建築用仕上げ塗材)7.8初期乾燥によるひび割れ抵抗性試験に従って行った。」
(4)試験結果
試験片番号1 ひび割れの発生は認められなかった。
試験片番号2 ひび割れの発生は認められなかった。
試験片番号3 ひび割れの発生は認められなかった。
(5)試験期間 平成22年3月8日
(6)試験場所 中央試験所
(7)発行番号 第09A3577号
【0024】
(1)試験名称 「仕上げ塗材の性能試験」(図2参照)
(2)試験項目 「付着強さ」
(3)試験方法 「JIS A 6909(建築用仕上げ塗材)7.9付着強さ試験に従って行った。」
(4)試験結果
試験片番号1 付着面積1600mm、最大引張荷重982N、付着強さ0.6N/mm
試験片番号2 付着面積1600mm、最大引張荷重984N、付着強さ0.6N/mm
試験片番号3 付着面積1600mm、最大引張荷重1139N、付着強さ0.7N/mm
(5)試験期間 平成22年3月8日〜23日
(6)試験場所 中央試験所
(7)発行番号 第09A3578号
【0025】
(1)試験名称 「仕上げ塗材の性能試験」(図3参照)
(2)試験項目 「耐湿性試験A法」
(3)試験方法 「JIS A 6909(建築用仕上げ塗材)7.24耐湿性試験A法に従って行った。」
(4)試験結果
試験片番号1 塗面に移動、ひび割れ、膨れ、しわ、変色は生じなかった。
試験片番号2 塗面に移動、ひび割れ、膨れ、しわ、変色は生じなかった。
試験片番号3 塗面に移動、ひび割れ、膨れ、しわ、変色は生じなかった。
(5)試験期間 平成22年3月8日
(6)試験場所 中央試験所
(7)発行番号 第09A3579号
【0026】
(1)試験名称 「仕上げ塗材の化学物質放射速度測定」(表1から表6参照)
【0027】
(2)資料及び試験片作成条件
【0028】
【表1】

【0029】
【表2】

【0030】
(3)試験方法
試験は、JIS A 1901[建築材料の揮発性有機化合物(VOC)、ホルムアルデヒド及び他のカルポニル化合物放散測定方法―小形チャンバー法]に従って、小形チャンバーADPAC System(20L)を使用して行−た。装置の概要を図−1に示す。
【0031】
(3)−1 分析試料の捕集及び分析
チャンバーは温度28℃の恒温槽内に設置され、チャンバー内は、空気清浄装置を通過した後、相対湿度50%に調湿された空気で一定の換気量による換気を行った。試験片は清浄化されたチャンバー内中央部に設置した。
分析試料の捕集は、試験片から放散された化学物質を含むチャンバー内空気を捕集管に通気させることにより化学物質を誘導体化または吸着させて行った。捕集時期は、試験片をチャンバー内に設置してから2、6日後(試験片養生開始から3、7日後)及びバックグラウンド測定として試験片を設置する前の計3回とした。チャンバーの制御条件を表3に、分析試料の捕集条件を表4に示す。
ホルムアルデヒドの分析はアセトニトリル抽出一高速液体クロマトグラフ(HPLC)法で行った。分析条件を表5に示す。
【0032】
【表3】

【0033】
【表4】

【0034】
【表5】

【0035】
(3)−2 放散速度の算出
放散速度は、(3)−1で得られた測定値(チャンバー内化学物質濃度)から次式(式1)を用いて算出した。
EFa=(Ct×Q)/A=Ct×(n/L)・・・(式1)
ここに、EFa:単位面積当たりの放散速度[μg/(m2・h)]
Ct:経過時間tにおける小形チャンバー内の化学物質濃度(μg/m3
Q:小形チャンバーの換気量(m3/h)
A:試験片の表面積(m2
n:換気回数(回/h)
L:試料負荷率(m2/m3
(4)放散速度算出結果
「大谷石土壁仕上塗材」の放散速度算出結果を表6に示す。
【0036】
【表6】

【0037】
(5)試験期間 平成22年3月8日から平成22年3月16日まで
(6)試験場所 中央試験所
(7)発行番号 第09A3580号
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係る大谷石粉含有塗材の初期乾燥によるひび割れ抵抗性を示す実験結果図。
【図2】本発明に係る大谷石粉含有塗材の付着強さを示す実験結果図。
【図3】本発明に係る大谷石粉含有塗材の耐湿性試験A法による実験結果を示す図。
【図4】本発明に係る大谷石粉含有塗材を鉄板に塗布した状態を示す写真である。
【図5】本発明に係る大谷石粉含有塗材をプラスチックに塗布した状態を示す写真である。
【図6】本発明に係る大谷石粉含有塗材をガラスに塗布した状態を示す写真である。
【図7】本発明に係る大谷石粉含有塗材をコンパネに塗布した状態を示す写真である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0040】
請求項1に係る大谷石粉含有塗材は、大谷石粉100重量部に対して、ゼオライト22.5〜27.5重量部、角また粉5.7〜6.6重量部、硅砂7号45〜55重量部、ミネゼオン45〜55重量部、アクリルエマルションを固形分で40〜45重量部含有する。
【0041】
請求項2に係る大谷石粉含有塗材は、大谷石粉100重量部に対して、鹿沼土粉40.5〜49.5重量部、ゼオライト22.5〜27.5重量部、角また粉5〜7重量部、硅砂7号45〜55重量部、ミネゼオン45〜55重量部、アクリルエマルションを固形分で40〜45重量部含有する。
【0042】
大谷石粉及びゼオライトの粒径は其々0.3mm以下とし、望ましくは0.2mm以下とする。係る大谷石粉を100重量部とした場合を基準にして、他の混合材量の含有量を定める。ゼオライト自体は元々大谷石に含まれているが、マイナスイオンや遠赤外線の発生量を高めるとともに、吸着効果も向上させるために、大谷石粉100重量部に対してゼオライトを22.5〜27.5重量部混入することが本発明では必要である。係るゼオライトは特に限定されるものではなく、一般的な沸石を粉砕したものでよい。実験に使用したゼオライトの成分を参考までに示すと、水分(N:4.18%)、pH(乾物相当量1:10、21℃:7.2)、以下、乾物換算値で、リン酸全量(P:0.03%)、加里全量(KO:2.12%)、石灰全量(CaO:2.06%)、苦土全量(MgO:0.55%)、ケイ酸全量(SiO:71.66%)、酸化鉄(Fe:1.66%)、酸化アルミニウム(Al:11.61%)、酸化ナトリウム(NaO:2.22%)、陽イオン交換量(166meq/乾物100g)であった。大谷石粉及びゼオライトの粒径はできだけ揃えることが望ましく、一般的なボールミル(チューブミル)等の粉砕機で得ることが考えられる。
【0043】
角また粉は、紅藻類スギノリ目の海藻糊であり、水分7.0%以下、粒度32メッシュ・100%パス、保水率65%以上75%以下のものを用い、これを大谷石粉100重量部に対して、5.7〜6.6重量部の範囲内に含有することが本発明では必要である。
【0044】
硅砂は、7号のものを用い、大谷石粉100重量部に対して、45〜55重量部の範囲内に含有することが本発明では必要である。
【0045】
ミネゼオンは、高純度天然ゼオライトの商品名として一般に市販されているゼオライトであり、成分例を示すと、ケイ酸(SiO:68.7%)、アルミニウム(Al:11.6%)、鉄(Fe:2.2%)、マグネシウム(MgO:
0.5%)、カルシウム(CaO:2.7%)、ナトリウム(Na:1.3%)、カリウム(KO:1.9%)、リン酸(P
0.4%)、塩基置換容量(C.E.C:160meq当量以上)、水素イオン濃度(PH:7.6)から構成されているゼオライトである。本来は畜産用飼料の添加物として用いられるものであるが、ミネゼオンは強力な塩基置換作用と吸着能力を有しているため、これを含有させて、塗材としての機能性向上を図ることとした。該ミネゼオンは、大谷石粉及び通常のゼオライト粉と粒径を揃えるため、3号(0.2mm)を大谷石粉100重量部に対して45〜55重量部の範囲内に含有することが本発明では必要である。
【0046】
アクリルエマルションは、株式会社イ―テックから販売されているAEコート(主成分:特殊アクリルエマルション、固形分:49%、粘度:4000mPa・s、比重:1.0、PH:4.5)を用い、これを大谷石粉100重量部に対して、40〜45重量部含有することが必要である。
【0047】
請求項2に係る大谷石粉含有塗材は、前記構成の他に、大谷石粉100重量部に対して、鹿沼土粉40.5〜49.5重量部含有することが必要である。なお、該鹿沼土粉を含有させるのは、発色を自然なものとするためである。
【0048】
素材混合過程の一例を示すと、上記アクリルエマルション(株式会社イ―テックから販売されているAEコート)300ccを水で7倍に薄めてから攪拌し、該希釈後のアクリルエマルションに、大谷石粉100g、ゼオライト25g、角また粉6g、硅砂7号50g、ミネゼオン50gを添加し、更に攪拌する。また、請求項2に係る大谷石粉含有塗材では、前記構成の他に、鹿沼土粉45gを更に添加し攪拌して使用する。
【0049】
つぎに、本発明に係る大谷石粉含有塗材の施行要領について説明する。
【実施例1】
【0050】
石膏プラスターボード下地では、
(1) 石膏プラスターボード面の表面の汚れ部分を点検する。
(2) 石膏ボードのジョイント(張り継ぎ)部分にガラス繊維テープ(巾50mm)を貼り付ける。
(3) 1回目の塗り付けは1mm〜2mm以内で、石膏ボード用の下塗り材「ユートップ」(登録商標)を均一に塗り付ける。
(4) 壁面の乾燥度合いを確認して本発明に係る大谷石粉含有塗材を塗り仕上げる。
【実施例2】
【0051】
内部コンクリート面の施工では、
(1) 内部コンクリート面の壁に施工する場合は、コンクリート下地表面のレイタンス、剥離剤などの付着物をよく確認し、取り除いておく。
(2) コンクリート下地の凹凸面を樹脂入りモルタルで均一に塗り付ける。
(3) コンクリート下地面の乾燥度合いを見て、約3倍の接着剤液を塗布する。
(4) 下地面の接着剤液が乾燥したら、大谷石土壁仕上塗材を塗り仕上げる。
【実施例3】
【0052】
石膏ボード下地施工では、
(1) 下地処理
a:ボード面の汚れの除去、段差の修正及び手直しをする。
b:ボードジョイント部にガラス繊維テープ(巾80mm)を貼り付ける。
(2) 下塗り施工
「ユートップ」(登録商標)(吉野石膏株式会社)を1mm〜2mm以内で壁面に均一に塗り付ける。
(3) 上塗り仕上
下塗りの乾燥度を確認し、大谷石土壁仕上塗材を塗り仕上げる。
【実施例4】
【0053】
コンクリート下地の施工では、
(1) 下地処理
a:コンクリート下地のレイタンス、ベニヤ層、剥離剤等をワイヤーブラシ及びサンドペーパーで除去する。
b:コンクリート下地の凹凸を樹脂入りモルタルで均一に塗り付ける。
(2) 上塗り仕上
a:コンクリート下地の乾燥度合いを見て、接着剤(エマルジョン3倍液)を塗布。
b:下地面の接着剤が乾燥したら、大谷石土壁仕上塗材を塗り仕上げる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
図4から図7は、本発明に係る大谷石粉含有塗材を実際に施工したに状態を示す写真であり、図4は鉄板、図5はプラスチック、図6はガラス、図7はコンパネに塗布した状態を其々示している。このように、本発明に係る大谷石粉含有塗材によれば、石膏ボードやセメント以外でも施工が可能であり、産業上の利用可能性は建築資材のみならず、種々の多種物品表面に塗布することが可能である。従って、例えば、プラスチック製のコーヒーカップに本発明に係る大谷石粉含有塗材を塗布すれば、外観上は自然石風の意匠を創出しながらも、落としても割れない機能的なコーヒーカップを提供できるなど、その応用範囲は広いものである。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
大谷石粉100重量部に対して、ゼオライト22.5〜27.5重量部、角また粉5.7〜6.6重量部、硅砂7号45〜55重量部、ミネゼオン45〜55重量部、アクリルエマルションを固形分で40〜45重量部含有することを特徴とする大谷石粉含有塗材。
【請求項2】
大谷石粉100重量部に対して、鹿沼土粉40.5〜49.5重量部、ゼオライト22.5〜27.5重量部、角また粉5〜7重量部、硅砂7号45〜55重量部、ミネゼオン45〜55重量部、アクリルエマルションを固形分で40〜45重量部含有することを特徴とする大谷石粉含有塗材。
【請求項3】
前記大谷石粉、前記ゼオライト、及び前記ミネゼオンの粒径が其々0.2mm以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の大谷石粉含有塗材。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−16998(P2011−16998A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2010−152709(P2010−152709)
【出願日】平成22年7月5日(2010.7.5)
【出願人】(510185790)
【出願人】(510185804)
【出願人】(510091815)
【Fターム(参考)】