説明

大豆の調製出荷施設

【課題】
さまざまな食品に適した状態の大豆を調製して出荷できることを課題とする。
【解決手段】
大豆と混ざっている異物を粗選別工程で選別除去して出荷する第一調製工程と、大豆と混ざっている異物を粗選別工程で除去した後に大豆の粒の大小毎に分離選別する粒径選別工程及び大豆を研磨する研磨工程を行なって出荷する第二調製工程とを備えた大豆の調製出荷施設とすることで、粗選別のみ行い出荷すれば良い食品用の大豆と、粗選別と粒径選別と研磨工程を行なって出荷する必要のある食品用の大豆とを用途に応じた大豆の状態で出荷することができる。また、第一調製工程と第二調製工程とを同時に行なうことができるため、効率良く迅速に用途に合った大豆を出荷することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大豆を選別調製して出荷する設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、大豆を調製する施設について記載されている。
【特許文献1】特開2004−24948号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一口に大豆を調製するといっても調製後の大豆の用途によっても必要な調整が異なってくる。例えば大豆を粉々にして使用する豆腐のような食品においては出荷時に大豆の粒径や形状毎に選別する必要は無く、大豆に混ざっている石等の異物のみを選別除去すればよいのに対し、例えば粒径を揃え、かつ外観を良くする必要がある納豆のような食品においては出荷時に粒径毎にまた外観の良いものを精選する必要がある。
【0004】
本発明は、さまざまな食品に適した状態の大豆を調製して出荷できることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために以下のような技術的手段を講じた。
即ち、本願発明は、 大豆と混ざっている異物を粗選別工程(R)で選別除去して出荷する第一調製工程(B)と、大豆と混ざっている異物を前記第一調製工程とは別の粗選別工程(V)で除去した後に大豆の粒を精選する精選工程(W)を行なって出荷する第二調製工程(C)とを備えた大豆の調製出荷施設とする。
【発明の効果】
【0006】
本願発明によると、粗選別のみ行い出荷すれば良い食品用の大豆と、粗選別と精選工程を行なって出荷する必要のある食品用の大豆とを用途に応じた大豆の状態で出荷することができる。また、第一調製工程と第二調製工程とを同時に行なうことができるため、効率良く迅速に用途に合った大豆を出荷することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明を実施するための最良の形態の一つとして、乾燥済みの大豆を調製する大豆調製施設について説明する。なお、この大豆調製施設は荷受けされた大豆から異物を除去して出荷する豆腐用の調製ラインBと、異物を除去した後に粒径及び粒形を選別して出荷する納豆用の調製ラインCとを備えている。
【0008】
1は荷受する大豆を投入する原料投入ホッパで、原料投入ホッパ1に投入された大豆は荷受昇降機2によって搬送され、複数備える豆腐用の原料貯留タンク10又は納豆用の原料貯留タンク50に貯留される構成である。
【0009】
豆腐用の大豆調製ラインの構成について説明する。
豆腐用の原料貯留タンク10の下方には原料貯留タンク10内から排出された大豆を搬送する搬送コンベア11を備え、搬送コンベア11の搬送終端側には粗選用昇降機12を備え、粗選用昇降機12の排出側には各種装置からなる粗選別工程Rを備えている。そして、13は原料用流量調整タンクで処理量に応じて粗選別工程Rに大豆を所定量ずつ供給する構成としている。
【0010】
本実施の形態の粗選別工程Rは大豆から被害粒や茎やサヤ・皮等を選別除去する風力選別機14と、藁屑等の長尺物を選別除去する粗選機15と、石を選別除去する石抜機16と、虫食いや未熟豆等を選別除去する比重選別機17とを備えている。そして、粗選別工程Rの後工程には計量して出荷する出荷工程Sを備えており、出荷工程Sには粗選別工程を通過した大豆を一時貯留しながら所定量ずつ繰り出す出荷用計量タンク18及び出荷用袋pに所定量ずつ大豆を供給する袋用計量タンク19を備えている。なお、20は粗選別工程Rで選別除去された未熟豆や虫食い豆等の異物を集積する異物タンクである。
【0011】
豆腐用の大豆調製ラインBの荷受から出荷までの工程について説明する。
荷受場の原料投入ホッパ1に投入された豆腐用の大豆は荷受昇降機2にて搬送され一度原料貯留タンク10に例えば品種毎に貯留される。
【0012】
出荷される大豆は原料貯留タンク10から排出され搬送コンベア11と粗選用昇降機12にて粗選別工程Rに搬送される。そしてまず風力選別機14に供給されて風選別されて整粒に比べて軽い茎やサヤ・皮や被害粒が選別除去される。次に粗選機15に供給されて藁屑等の長尺物が選別除去され、石抜機16で石を除去され、比重選別機17で整粒と比重の異なる虫食い豆や未熟豆が選別除去される。前述の粗選別工程Rの各種装置を通過した大豆は出荷工程Sに供給され、出荷用の計量タンク18から袋用計量タンク19を経て所定量ずつ出荷用の袋pに供給されて出荷される。
【0013】
次に複数の品種を混合して出荷する豆腐用大豆のブレンド工程Fについて説明する。
大豆を購入する客が要望する量が不足している場合その他客の要望等で複数の品種をブレンド混合して出荷する場合がある。
【0014】
本実施の形態のブレンド工程Fは、出荷工程Sで一度出荷用の袋pに袋詰めされた後に、顧客からの要望等で複数の種類の品種を混ぜて出荷するときに使用する工程である。具体的な構成として、既に粗選別工程Rで粗選した大豆を投入したブレンド用投入ホッパ30と昇降機31とブレンド用タンク32を設けており、複数種類の品種の大豆を同一のブレンド用タンク32に投入し、その後計量タンク33や袋用計量34等を備えるブレンド出荷工程Hを経て再度袋pに供給して出荷する構成としている。
【0015】
Gは粗選別工程Rを経ないで計量して袋詰めして出荷できる粗選無し出荷工程で、大豆粗選用昇降機12の排出側に切替弁36を設けて大豆を供給できる構成とし、粗選別しないで出荷する場合に使用する。そのため、粗選別しないでも良い状態の大豆を袋詰めして出荷するときに迅速に出荷することができる。
【0016】
次に納豆用の大豆調製ラインCの構成について説明する。
納豆用の原料貯留タンク50の下方には原料貯留タンク50内から排出された大豆を搬送する搬送コンベア51を供えており、搬送コンベア51の搬送終端側には粗選用昇降機52を備え、粗選用昇降機52の排出側には流量調整タンク53を設け、所定量ずつ各種装置からなる粗選別工程Vに供給する構成である。本実施の形態の粗選別工程Vは大豆から被害粒や茎やサヤ・皮等を選別除去する風力選別機54と、藁屑等の長尺物を選別除去する粗選機55と、石を選別除去する石抜機56と、虫食いや未熟豆等を選別除去する比重選別機57とを備えている。
【0017】
粗選別工程Vの後工程には良品の大豆を精選する精選工程Wを備えている。精選工程Wには大豆の径の大小で分離選別する粒選別機60と粒の形状によって選別するロール選別機61と粒の色により選別する色彩選別機62とを備えている。そして精選工程Wの各種装置はその処理能力に応じてそれぞれ複数台ずつ設置している。
【0018】
本実施の形態の粒選別機60では最も小さい粒を分離選別する第一粒選別機60aと、第一粒選別機60aで選別された大豆を小粒と通常の粒とに分離する第二粒選別機60bとを備えている。そして、粒選別機60で通常・小粒・極小の径の粒に分離選別された粒はそれぞれ複数備える製品出荷用タンク69にそれぞれ貯留される構成としている。そして、製品出荷用タンク69の後工程に大豆を搬送する搬送コンベア63と出荷用昇降機64と、良品の大豆と扁平形状の大豆や割れている大豆とを分離選別するロール選別機61と着色粒を検出して除去する色彩選別機62とを設けている。
【0019】
65は大豆の表面を研磨する研磨機でロール選別機61と色彩選別機62の間の工程に備えるものであるが、本実施の形態ではロール選別機61から研磨機65を経て色彩選別機62に供給するための選択通路66を設け、研磨する必要がある大豆のみロール選別機61から選択通路66を経て研磨機65に供給して色彩選別機62に供給する構成としている。
【0020】
色彩選別機62の後工程には計量して出荷する出荷工程Uを備えており、出荷前に一時貯留しながら所定量ずつの大豆を繰り出す出荷用計量タンク67と、出荷用計量タンク67から繰り出された大豆を受けて出荷用の袋pに大豆を順次供給する袋用計量タンク68を設けている。また、Mは大豆と混ざっている金属を除去する金属除去装置70を通して出荷できる金属除去出荷工程である。
【0021】
80は色彩選別機62に供給するための色彩選別機用投入ホッパで、81は精選工程Wとは独立した色彩選別機用の流量調整タンクである。色彩選別機62のみを使用したい大豆を色彩選別機用投入ホッパ80に投入すると色彩選別機用の流量調整タンク81から順次所定量ずつ色彩選別機62に供給され、次いで出荷工程Uから袋詰めして出荷できる構成である。また、83は粗選別工程Vで選別除去された異物を貯留する異物用タンクである。
【0022】
納豆用の大豆調製ラインCの荷受から出荷までの工程について説明する。
荷受場の原料投入ホッパ1に投入された納豆用の大豆は一度原料貯留タンク50に例えば品種毎に貯留される。
【0023】
出荷される大豆は原料貯留タンク50から排出され搬送コンベア51と粗選用昇降機53にて粗選別工程Vに搬送される。そしてまず風力選別機54に供給されて風選別されて整粒に比べて軽い茎やサヤ・皮や被害粒が選別除去される。次に粗選機55に供給されて藁屑等の長尺物が選別除去され、石抜機56で石を除去され、比重選別機57で整粒と比重の異なる虫食い豆や未熟豆が選別除去される。前述の各種装置を通過して粗選別工程Vを通過した大豆は第一粒選別機60aと第二粒選別機60bとを順次通過して通常・小粒・極小の径の粒に分離選別されて製品出荷用タンク69に貯留される。
【0024】
製品出荷用タンク69に貯留されている大豆は搬送コンベア63と出荷用昇降機64にてロール選別機61に搬送され扁平形状や割れている大豆が分離選別除去される。そして、研磨する必要のある大豆については選択通路66から研磨機65に供給して大豆表面を研磨した後に色彩選別機62に供給され着色粒が除去される。そして、色彩選別機62を通過した大豆は出荷工程Uの出荷用計量タンク67と袋用計量タンク68を経て袋詰めして出荷されるが、必要に応じて金属除去工程Mに供給して金属除去装置70を通して大豆と混ざっている金属類を除去してから出荷するようにしても良い。
【0025】
本実施の形態の納豆用の大豆調製ラインCの構成による効果について以下記載する。
研磨機65を色彩選別機62の直前の工程に配置したことで、大豆の表面を研磨した直後に色彩選別機62で選別することができるため、大豆の色の判別の制度が向上すると共に、大豆表面の汚れを除去しているため、本来良品の大豆を不良品と誤判別して選別除去される大豆の数を減らすことができ、大豆の歩留まりを多くすることができる。
【0026】
また、研磨機65を選択通路から供給する構成とすることで、全ての大豆を研磨機65に通す必要がないため、研磨機65を通す必要がない大豆については迅速に出荷工程Uに供給することができ、かつ研磨機65の処理能力を比較的小さくすることができるため、小さな研磨機(或いは少ない台数の研磨機)で良いためコンパクトな施設にすることができる。
【0027】
なお、本実施の形態において、粗選別工程R,Vの前には流量調整タンク13,53を設けているが、精選工程Wの前、すなわち、粒選別機60の前やロール選別機61の前、研磨機65の前にも流量調節タンク90,91,92を配置することで、処理能力に合わせた大豆を順次供給することが可能になり、その分粗選別工程R,Vの各種装置や精選工程Wの各種装置の処理能力を比較的小さなものにすることができるためコンパクトな施設にすることができる。
【0028】
また、図1には記載していないが図3に示すように色彩選別機62を研磨機65と同様に色彩選別機用選択通路78から供給する構成にすることで、製品用出荷タンク69から排出された大豆がロール選別機61から出荷工程Uに直接供給することができるため研磨機65や色彩選別機62を通す必要がない大豆を迅速に出荷工程Uに供給することができる。また、製品用タンク69から豆腐用の出荷工程Sに大豆を供給する搬送装置79を設けることで、豆腐用の大豆が不足している場合に納豆用の大豆を使用することが可能になり、顧客の対応に迅速に柔軟に対応することが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
豆腐のように大豆を加工する際に大豆を粉砕して使用する場合には大豆の粒径や形状を考慮する必要がないので、粗選別工程だけ行い、また、複数の品種を混合しても差し支えない。また、納豆のように大豆を加工する際に粒径や形状を揃う必要がある食品については粗選別工程以外に精選工程を経る必要がある。本実施の形態では粗選別のみ行なって出荷する食品の例として豆腐を、粗選と精選をして出荷する食品の例として納豆を挙げたが、豆腐以外には醤油等が考えら、納豆以外には煮豆等が考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】施設全体の工程図
【図2】豆腐用の大豆の流れを示すフローチャート
【図3】納豆用の大豆の流れを示すフローチャート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大豆と混ざっている異物を粗選別工程(R)で選別除去して出荷する第一調製工程(B)と、大豆と混ざっている異物を前記第一調製工程とは別の粗選別工程(V)で除去した後に大豆の粒を精選する精選工程(W)を行なって出荷する第二調製工程(C)とを備えた大豆の調製出荷施設。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−196157(P2007−196157A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−19114(P2006−19114)
【出願日】平成18年1月27日(2006.1.27)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】