大電流パルスMAGによるガウジングレス完全溶込み溶接方法
【課題】裏はつり不要なI形開先、レ形開先またはK形開先を有するT継手の大電流パルスMAGによるガウジングレス完全溶込み溶接方法の開発。
【解決手段】板厚が約17mmの場合には下記の条件とする。
(1)溶接入熱量は1,500〜5,000J/mm
(2)裏ビード脚長は1.5〜6.0mm
(3)最適溶接電流は360±25Aの範囲
(4)最適溶接速度は40±10cpmの範囲
(5)最適パルスピーク電圧は40〜55Vの範囲
(6)最適パルス周波数は、約300〜400Hzの範囲
(7)最適パルス幅は1.0〜1.5msの範囲
(8)最適なワイヤの狙い位置はルートから水平手前に0〜+1mm且つ上方向に0〜+1mmの範囲
(9)最適移動角は後退角20°に対して前進角側に0〜+5°の範囲
(10)最適シールドガス流量は20〜25L/minの範囲
【解決手段】板厚が約17mmの場合には下記の条件とする。
(1)溶接入熱量は1,500〜5,000J/mm
(2)裏ビード脚長は1.5〜6.0mm
(3)最適溶接電流は360±25Aの範囲
(4)最適溶接速度は40±10cpmの範囲
(5)最適パルスピーク電圧は40〜55Vの範囲
(6)最適パルス周波数は、約300〜400Hzの範囲
(7)最適パルス幅は1.0〜1.5msの範囲
(8)最適なワイヤの狙い位置はルートから水平手前に0〜+1mm且つ上方向に0〜+1mmの範囲
(9)最適移動角は後退角20°に対して前進角側に0〜+5°の範囲
(10)最適シールドガス流量は20〜25L/minの範囲
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大電流パルスMAGによる厚板にも有効なガウジングレス溶接方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の耐震構造に関する要求や、溶接作業の効率向上に対する要求に応えることのできる、優れた溶接方法が希求されている。また、裏はつりが不要であって作業性の優れた溶接手法が要求されている。
特には、角継手や突き合わせ継手だけでなく、T継手に関しても、厚板(20mm以下程度)でも欠陥のない完全溶込み溶接継手が要求されるようになってきている。
角継手や突き合わせ継手は、溶接部からの熱分散方向が2方向のみであるが、T継手の場合は、溶接部からの熱分散方向が3方向であるために、溶接金属の冷却速度が大きくなるので、完全溶け込みを得るのは、同一溶接条件においては、角継手や突き合わせ継手の場合より困難である。
従来の技術としては、例えば、特許文献1、2等が提案されている。
【0003】
【特許文献1】(特開2004-106008)
【特許文献2】(特開2004-98124)
【0004】
特許文献1の技術は、
第1の母材の面と第2の母材の端面との当接部を突合せ溶接する溶接継手において、前記第2の母材における当接部の一方側に形成した第1の開先に臨ませた溶接ワイヤのアークにより、前記当接部を溶融させ、この溶融物を溶接側とは反対側に押し出して形成した第1の溶接部と、前記第2の母材における当接部の他方側に形成した第2の開先に臨ませた溶接ワイヤのアークにより、前記第2の開先側の当接部及び前記第1の溶接部の一部を溶融させて溶接する第2の溶接部とで、前記第1の母材と第2の母材との当接部を突合せ溶接したことを特徴する溶接継手に関する発明である。
特許文献2の技術は、
片側開先を有する第1の母材を第2の母材にT字型に当接し溶接する方法において、前記第1の母材と前記第2の母材との仮付溶接部を所定肉厚まで除去後、前記第1の母材と前記第2の母材で形成される開先溶接部に溶接ワイヤを臨ませ、前記溶接ワイヤを溶接方向に移動させながら、前記溶接ワイヤからのアークによって前記開先溶接部を開先側から溶融しかつ溶融物を開先裏側へ押し出して裏波ビードを形成することを特徴とする溶接方法に関する発明である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の発明の場合は、第1の溶接と第2の溶接が必要である。また、対象の厚肉部材の特定が不明確であるとともに、パルス状電流の特定が不明確である。
特許文献2に記載の発明では、溶接条件の各要素の情報が十分に開示されていない。また、立板が下板より薄い場合にのみ実施可能なのもであって、それ以外の場合には実施できないという問題がある。
本発明は、以上の問題を解決するためになされたものであって、次のような手段を講じたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる請求項1の発明は、
裏はつり不要なI形開先、レ形開先またはK形開先を有するT継手の大電流パルスMAGによるガウジングレス完全溶込み溶接方法であって、
下記の条件(1)〜(10)を満足する溶接方法としたものである。
(1)溶接入熱量は1,500〜5,000J/mm
(2)裏ビード脚長は1.5〜6.0mm
(3)最適溶接電流は、板厚が約20mmの場合には390±25Aの範囲、板厚が約17mmの場合には360±25Aの範囲、板厚が約12mmの場合には320±25Aの範囲、板厚が約9mmの場合には310±25Aの範囲板厚が約6mmの場合には360±25Aの範囲、板厚が約3.2mmの場合には300±25Aの範囲、
(4)最適溶接速度は40±10cpmの範囲
(5)最適パルスピーク電圧は40〜55Vの範囲
(6)最適パルス周波数は、約300〜400Hzの範囲
(7)最適パルス幅は1.0〜1.5msの範囲
(8)最適なワイヤの狙い位置はルートから水平手前に0〜+1mm且つ上方向に0〜+1mmの範囲
(9)最適移動角は、板厚が9mm〜20mmの場合には後退角20°に対して前進角側に0〜+5°の範囲で、板厚が9mm未満の場合には後退角0±10°の範囲
(10)最適シールドガス流量は20〜25L/minの範囲
請求項2の発明では、
裏はつり不要なレ形開先またはK形開先を有するT継手の大電流パルスMAGによるガウジングレス完全溶込み溶接方法であって、
下記の条件(1)〜(10)を満足する溶接方法とした。
(1)溶接入熱量は2,500〜5,000J/mm、
(2)裏ビード脚長は1.5〜6.0mm、
(3)最適溶接電流は360±25Aの範囲(板厚17mmの場合)、320±25Aの範囲(板厚12mmの場合)、310±25Aの範囲(板厚9mmの場合)、
(4)最適溶接速度は40±10cpmの範囲、
(5)最適パルスピーク電圧は40〜55Vの範囲、
(6)最適パルス周波数は、約300〜320Hzの範囲、
(7)最適パルス幅は1.0〜1.5msの範囲、
(8)最適なワイヤの狙い位置はルートから水平手前に0〜+1mm,上方向に0〜+1mmの範囲、
(9)最適移動角は後退角20°に対して前進角側に0〜+5°の範囲、
(10)最適シールドガス流量は20〜25L/minの範囲、
という条件を満足する溶接方法とすることによって、
裏はつり不要なレ形開先またはK形開先を有するT継手の大電流パルスMAGによるガウジングレス完全溶込み溶接方法を実現した。
また、
板厚を9〜17mmとした場合に、上記条件で欠陥の無い溶接が可能となった。
【発明の効果】
【0007】
本発明のガウジングレス溶接方法によれば、欠陥の無い溶接が可能となるとともに、裏はつりが不要となって作業効率が向上するという効果も得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下においては、本発明の大電流パルスMAGによるガウジングレス溶接方法の実施の形態を、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の溶接継手の一実施の形態を示す断面図であり、この図において、
1は第1の母材(縦材)、2はこの第1の母材1にT字型に接合される第2の母材(横材)である。前記第1の母材1は、その突合わせ端部にルートフェイス3を有するようにその一方側(表側)に形成したレ型開先形成面4が設けられている。
また、前記第2の母材2は第1の母材1のルートフェイス3と接触する平坦面5を有しており、第1の母材1とによりT字形継手を形成する。
【0009】
6は溶接部で、この溶接部6は第1の母材1におけるレ型開先形成面4と第2の母材2の平坦面5とにより形成される開先側に設けられている。この溶接部6は後述する溶接ワイヤからのアークによって、開先側の部分を溶融した溶融物を表側から裏側に押し出すようにして形成されている。裏側に押し出された溶融物で裏波ビードが形成されている。
【0010】
前述した溶接部6を形成するために、第1の母材の先端のルートフェース3を第2の母材の平坦面に接触させ、2つの母材の開先側の接触部(溶接部6)に対して開先側から溶接ワイヤの先端部を臨ませ、溶接ワイヤからアークを発生させて、アークで接触部付近の2つの母材部分を溶融させるように、前記溶接ワイヤには、直流電流とパルス状の電流とを重畳させた電流が印加される。
【0011】
なお、前記溶接ワイヤの周りには、20〜25L/minの範囲のシールドガス9が吐出されている。
【0012】
10は溶接電源であり、この溶接電源10はケーブル11および12により溶接ワイヤと母材1または母材2に接続されている。13は電圧検出器であり、溶接電源10から溶接ワイヤに供給される溶接電流の電圧を検出する。14は電流検出器であり、溶接電源10から溶接ワイヤに供給される溶接電流を検出する。
【0013】
次に、板厚を25mmとした場合において、溶接部の溶接金属形状のアスペクト比をRとし、溶接入熱量を変えた場合の高温割れの発生の有無を検証した。その結果は縦軸にアスペクト比α,横軸に溶接入熱量として、図2に示した。なお、前記アスペクト比αは、図1の断面図において、溶接部の溶接金属形状の横方向の深さをD,縦方向の高さWとしたとき、アスペクト比α=D/Wとする。
図2に示されているように、
溶接入熱量を3,000J/mm以上にすると、アスペクト比αは1.3〜2.8となり、高温割れが発生しなかった。
溶接入熱量を3,000J/mm未満にすると、アスペクト比αは1.4〜2.5となり、高温割れが発生した。
アスペクト比の範囲がほぼ同じであることを考慮すると、大電流パルスMAG溶接方法においては、高温割れを防止するためには、溶接入熱量を3,000J/mmとすることが必要であることが分かった。
【0014】
次に、板厚25mmの場合における高温割れの高さと、裏ビード脚長との関係を図3に示した。
図3に示されているように、裏ビード脚長が1.5mm以上出現すると、高温割れは発生せず、それ以下の場合は高温割れが発生した。このことから、裏ビード脚長が1.5mm以上出現すると高温割れの発生が無いと判定できるという、高温割れの発生の有無を外観から判定する基準が得られた。したがって、実際の溶接作業においては、裏ビードをオーバーラップにならない範囲でできる限り大きく出現させることが好ましい。
なお、図6には、前記板厚25mmの母材の特性を、他の厚さのものと共に示した。また、図7には、前記溶接ワイヤ(YGW16)の特性を、他のものと共に示した。図8には溶接条件を示した。
【0015】
次に、図9、10に示した鋼材(板厚17mm)で製作した試験体(図1)を用いて、ルートフェース2mmの場合で、高温割れの発生しない溶接条件の振れ幅を確認したところ、以下に示す範囲が適当であることが判明した。
すなわち、
(1)溶接入熱量は2,500〜5,000J/mmとする。溶接入熱量が2,500J/mmより少ないと高温割れが発生しやすい。
(2)裏ビード脚長は1.5〜6.0mmとする。裏ビード脚長が1.5mm未満の場合は高温割れが発生した。
(3)最適溶接電流は360±25Aの範囲とする。この範囲を逸脱すると裏波ビードが出過ぎたり、UTで欠陥が多発したりする。
(4)最適溶接速度は40±10cpmの範囲とする。この範囲を逸脱するとUT(超音波探傷検査)およびマクロでLP(融合不良)が確認された。
(5)最適パルスピーク電圧は40〜55Vの範囲とする。パルスピーク電圧を55V以上にすると、裏波ビードは良好であるがマクロ検査で欠陥が確認された。
電流パルス波形の立ち上がりと立ち下がりは図4に示したように急峻であることが必要である。
(6)最適パルス周波数は、約300〜320Hzの範囲とする。パルス周波数をこの範囲外とすると、裏波ビードが出にくくなり、欠陥が増加する傾向が確認された。
(7)最適パルス幅は1.0〜1.5msの範囲とする。パルス幅を1.0ms未満にすると、裏波ビードが出にくくなり、欠陥が増加する傾向が確認された。
(8)最適なワイヤの狙い位置はルートから水平手前に0〜+1mm,上方向に0〜+1mmの範囲とする。この範囲外とすると、裏波ビードが出にくくなり、欠陥が確認された。
(9)最適移動角は後退角20°に対して前進角側に0〜+5°の範囲とする。これ以上傾けると、裏波ビードが出にくくなり、欠陥が確認された。
(10)最適シールドガス流量は20〜25L/minの範囲とする。これ以上とすると、裏波ビードが出にくくなり、欠陥が確認された。
【0016】
以上の条件を満足するために、前記溶接電源10は、最適溶接電流は少なくとも310±25A〜360±25Aの範囲、最適パルスピーク電圧は40〜55Vの範囲、最適パルス周波数は約300〜320Hzの範囲、最適パルス幅は1.0〜1.5msの範囲に制御可能な溶接電力を出力できることが必要である。
【0017】
以上の溶接電源を使用して、最適溶接速度を40±10cpmの範囲に保持しつつ、裏ビード脚長が1.5〜6.0mmとなるように制御しながらアーク溶接の作業をすることによって、高温割れが無く、欠陥の無い溶接が可能となった。
T継手だけでなく、角継手や、突き合わせ継手に関しても同様の効果が得られる。
【0018】
本発明による大電流パルスMAGガウジングレス溶接方法においては、
板厚17mmの場合には、適正溶接条件とその変動幅は以下の通りとする。
大電流パルスの波形において、その立ち上がりと立ち下がりが急峻であること。
最適溶接電流は、適正溶接条件は360A、変動幅は±25A。
最適溶接速度は、適正溶接条件は40cpm、変動幅は±10cpmの範囲。
最適パルスピーク電圧は、適正溶接条件は50V、変動幅は−10〜+5Vの範囲。
最適パルス周波数は、適正溶接条件は約300〜320Hzの範囲。
最適パルス幅は、適正溶接条件は1.5ms、変動幅は−0.5〜0msの範囲。
最適なワイヤの狙い位置は、適正溶接条件はルート部とし、変動幅はルート部から水平手前に0〜+1mm,上方向に0〜+1mmの範囲。
最適移動角は、適正溶接条件は後退角20°とし、変動幅は前進角側に0〜+5°の範囲。
最適シールドガス流量は、適正溶接条件は25L/min、変動幅は−5〜0L/minの範囲。
なお、板厚12mmの場合には、最適溶接電流は320±25Aの範囲とし、ほかの条件は10%程度の増減変動はあるが、ほぼ同様とする。また、板厚9mmの場合には最適溶接電流は310±25Aの範囲とし、ほかの条件は10%程度の増減変動はあるが、ほぼ同様とする。
【0019】
次に、ルートフェースRFが0〜4mmの場合における溶接条件を、ルートフェースRFが2mmの場合の溶接条件(適正溶接条件)を基準とした場合の変更する範囲を以下のように確認した。
(1)RFが4mmの場合
溶接電流を大きく、溶接速度を遅くすることで、良好な結果が得られる。
(2)RFが3mmの場合
適正溶接条件より、溶接電流を50A大きくし、溶接速度を10cpm遅くすることで、良好な結果が得られる。
(3)RFが1mmの場合
適正溶接条件より、溶接電流を50A小さく、溶接速度を10cpm速くすることで、良好な結果が得られる。
(4)RFが0mmの場合
適正溶接条件より、溶接電流を70A小さくし、溶接速度を10cpm速くすることで、良好な結果が得られる。
以上の結果より、板厚17mmにおけるRFの変動幅は0〜4mmであることが確認できた。
また、板厚12mm、および9mmの場合も、板厚17mmの場合と同様にRFの変動幅が0〜4mmにおいて適正な溶接が確認できた。
【0020】
また、従来のインバータ制御方式のアーク溶接電源を用いた溶接方法では、図5に示したように、板厚17mmでは8パスの溶接工程が必要であったが、本発明に用いる大電流パルスMAG溶接電源を用いた溶接方法では6パスで良いので、大幅な作業時間の縮減が可能である。
【0021】
また、図11に示した試験結果より、本発明による大電流パルスMAGガウジングレス溶接方法によれば、従来のガウジング溶接方法と同様に、無欠陥であり、機械的性質は同等あるいはそれ以上の性能であることが確認できた。
また、板厚17mmのマクロ試験片による試験結果より、角変形を従来より約30%抑制できることが確認できた。
【0022】
さらに、本発明による溶接方法は、裏はつり不要なI形開先、レ形開先またはK形開先を有するT継手の大電流パルスMAGによるガウジングレス完全溶込み溶接方法として効果が得られる。
また、下記の諸条件において効果が得られる。
(1)溶接入熱量は1,500〜5,000J/mm
(2)裏ビード脚長は1.5〜6.0mm
(3)最適溶接電流は、板厚が約20mmの場合には390±25Aの範囲、板厚が約17mmの場合には360±25Aの範囲、板厚が約12mmの場合には320±25Aの範囲、板厚が約9mmの場合には310±25Aの範囲板厚が約6mmの場合には360±25Aの範囲、板厚が約3.2mmの場合には300±25Aの範囲、
(4)最適溶接速度は40±10cpmの範囲
(5)最適パルスピーク電圧は40〜55Vの範囲
(6)最適パルス周波数は、約300〜400Hzの範囲
(7)最適パルス幅は1.0〜1.5msの範囲
(8)最適なワイヤの狙い位置はルートから水平手前に0〜+1mm且つ上方向に0〜+1mmの範囲
(9)最適移動角は、板厚が9mm〜20mmの場合には後退角20°に対して前進角側に0〜+5°の範囲で、板厚が9mm未満の場合には後退角0±10°の範囲
(10)最適シールドガス流量は20〜25L/minの範囲
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態のT継手の溶接方法を説明する断面図である。
【図2】板厚を25mmとした場合において、溶接入熱量を変えた場合の高温割れの発生の有無を検証結果を示す図である。
【図3】板厚25mmの場合における高温割れの高さと、裏ビード脚長との関係を示す図である。
【図4】本発明に用いる電流パルス波形の立ち上がりと立ち下がりの波形を示す図である。
【図5】本発明による方法と従来方法との、溶接工程のパス数の比較説明図である。
【図6】使用した板厚25mmの母材の特性を、他の厚さのものと共に示した図である。
【図7】使用した溶接ワイヤ(YGW16)の特性を他のものと共に示した図である。
【図8】実施形態における溶接条件を示した図である。
【図9】使用した板厚17mmの鋼材(ルートフェース2mm)の特性を示した図である。
【図10】使用した板厚17mmの鋼材の特性を示した図である。
【図11】本発明による大電流パルスMAGガウジングレス溶接方法による溶接と、従来のガウジング溶接方法による溶接の比較結果を示す図である。
【符号の説明】
【0024】
1 第1の母材(縦材)
2 第2の母材(横材)
3 ルートフェイス
4 レ型開先形成面
5 平坦面
6 溶接部
9 シールドガス
10 溶接電源
11、12 ケーブル
13 電圧検出器
14 電流検出器
【技術分野】
【0001】
本発明は、大電流パルスMAGによる厚板にも有効なガウジングレス溶接方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の耐震構造に関する要求や、溶接作業の効率向上に対する要求に応えることのできる、優れた溶接方法が希求されている。また、裏はつりが不要であって作業性の優れた溶接手法が要求されている。
特には、角継手や突き合わせ継手だけでなく、T継手に関しても、厚板(20mm以下程度)でも欠陥のない完全溶込み溶接継手が要求されるようになってきている。
角継手や突き合わせ継手は、溶接部からの熱分散方向が2方向のみであるが、T継手の場合は、溶接部からの熱分散方向が3方向であるために、溶接金属の冷却速度が大きくなるので、完全溶け込みを得るのは、同一溶接条件においては、角継手や突き合わせ継手の場合より困難である。
従来の技術としては、例えば、特許文献1、2等が提案されている。
【0003】
【特許文献1】(特開2004-106008)
【特許文献2】(特開2004-98124)
【0004】
特許文献1の技術は、
第1の母材の面と第2の母材の端面との当接部を突合せ溶接する溶接継手において、前記第2の母材における当接部の一方側に形成した第1の開先に臨ませた溶接ワイヤのアークにより、前記当接部を溶融させ、この溶融物を溶接側とは反対側に押し出して形成した第1の溶接部と、前記第2の母材における当接部の他方側に形成した第2の開先に臨ませた溶接ワイヤのアークにより、前記第2の開先側の当接部及び前記第1の溶接部の一部を溶融させて溶接する第2の溶接部とで、前記第1の母材と第2の母材との当接部を突合せ溶接したことを特徴する溶接継手に関する発明である。
特許文献2の技術は、
片側開先を有する第1の母材を第2の母材にT字型に当接し溶接する方法において、前記第1の母材と前記第2の母材との仮付溶接部を所定肉厚まで除去後、前記第1の母材と前記第2の母材で形成される開先溶接部に溶接ワイヤを臨ませ、前記溶接ワイヤを溶接方向に移動させながら、前記溶接ワイヤからのアークによって前記開先溶接部を開先側から溶融しかつ溶融物を開先裏側へ押し出して裏波ビードを形成することを特徴とする溶接方法に関する発明である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の発明の場合は、第1の溶接と第2の溶接が必要である。また、対象の厚肉部材の特定が不明確であるとともに、パルス状電流の特定が不明確である。
特許文献2に記載の発明では、溶接条件の各要素の情報が十分に開示されていない。また、立板が下板より薄い場合にのみ実施可能なのもであって、それ以外の場合には実施できないという問題がある。
本発明は、以上の問題を解決するためになされたものであって、次のような手段を講じたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる請求項1の発明は、
裏はつり不要なI形開先、レ形開先またはK形開先を有するT継手の大電流パルスMAGによるガウジングレス完全溶込み溶接方法であって、
下記の条件(1)〜(10)を満足する溶接方法としたものである。
(1)溶接入熱量は1,500〜5,000J/mm
(2)裏ビード脚長は1.5〜6.0mm
(3)最適溶接電流は、板厚が約20mmの場合には390±25Aの範囲、板厚が約17mmの場合には360±25Aの範囲、板厚が約12mmの場合には320±25Aの範囲、板厚が約9mmの場合には310±25Aの範囲板厚が約6mmの場合には360±25Aの範囲、板厚が約3.2mmの場合には300±25Aの範囲、
(4)最適溶接速度は40±10cpmの範囲
(5)最適パルスピーク電圧は40〜55Vの範囲
(6)最適パルス周波数は、約300〜400Hzの範囲
(7)最適パルス幅は1.0〜1.5msの範囲
(8)最適なワイヤの狙い位置はルートから水平手前に0〜+1mm且つ上方向に0〜+1mmの範囲
(9)最適移動角は、板厚が9mm〜20mmの場合には後退角20°に対して前進角側に0〜+5°の範囲で、板厚が9mm未満の場合には後退角0±10°の範囲
(10)最適シールドガス流量は20〜25L/minの範囲
請求項2の発明では、
裏はつり不要なレ形開先またはK形開先を有するT継手の大電流パルスMAGによるガウジングレス完全溶込み溶接方法であって、
下記の条件(1)〜(10)を満足する溶接方法とした。
(1)溶接入熱量は2,500〜5,000J/mm、
(2)裏ビード脚長は1.5〜6.0mm、
(3)最適溶接電流は360±25Aの範囲(板厚17mmの場合)、320±25Aの範囲(板厚12mmの場合)、310±25Aの範囲(板厚9mmの場合)、
(4)最適溶接速度は40±10cpmの範囲、
(5)最適パルスピーク電圧は40〜55Vの範囲、
(6)最適パルス周波数は、約300〜320Hzの範囲、
(7)最適パルス幅は1.0〜1.5msの範囲、
(8)最適なワイヤの狙い位置はルートから水平手前に0〜+1mm,上方向に0〜+1mmの範囲、
(9)最適移動角は後退角20°に対して前進角側に0〜+5°の範囲、
(10)最適シールドガス流量は20〜25L/minの範囲、
という条件を満足する溶接方法とすることによって、
裏はつり不要なレ形開先またはK形開先を有するT継手の大電流パルスMAGによるガウジングレス完全溶込み溶接方法を実現した。
また、
板厚を9〜17mmとした場合に、上記条件で欠陥の無い溶接が可能となった。
【発明の効果】
【0007】
本発明のガウジングレス溶接方法によれば、欠陥の無い溶接が可能となるとともに、裏はつりが不要となって作業効率が向上するという効果も得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下においては、本発明の大電流パルスMAGによるガウジングレス溶接方法の実施の形態を、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の溶接継手の一実施の形態を示す断面図であり、この図において、
1は第1の母材(縦材)、2はこの第1の母材1にT字型に接合される第2の母材(横材)である。前記第1の母材1は、その突合わせ端部にルートフェイス3を有するようにその一方側(表側)に形成したレ型開先形成面4が設けられている。
また、前記第2の母材2は第1の母材1のルートフェイス3と接触する平坦面5を有しており、第1の母材1とによりT字形継手を形成する。
【0009】
6は溶接部で、この溶接部6は第1の母材1におけるレ型開先形成面4と第2の母材2の平坦面5とにより形成される開先側に設けられている。この溶接部6は後述する溶接ワイヤからのアークによって、開先側の部分を溶融した溶融物を表側から裏側に押し出すようにして形成されている。裏側に押し出された溶融物で裏波ビードが形成されている。
【0010】
前述した溶接部6を形成するために、第1の母材の先端のルートフェース3を第2の母材の平坦面に接触させ、2つの母材の開先側の接触部(溶接部6)に対して開先側から溶接ワイヤの先端部を臨ませ、溶接ワイヤからアークを発生させて、アークで接触部付近の2つの母材部分を溶融させるように、前記溶接ワイヤには、直流電流とパルス状の電流とを重畳させた電流が印加される。
【0011】
なお、前記溶接ワイヤの周りには、20〜25L/minの範囲のシールドガス9が吐出されている。
【0012】
10は溶接電源であり、この溶接電源10はケーブル11および12により溶接ワイヤと母材1または母材2に接続されている。13は電圧検出器であり、溶接電源10から溶接ワイヤに供給される溶接電流の電圧を検出する。14は電流検出器であり、溶接電源10から溶接ワイヤに供給される溶接電流を検出する。
【0013】
次に、板厚を25mmとした場合において、溶接部の溶接金属形状のアスペクト比をRとし、溶接入熱量を変えた場合の高温割れの発生の有無を検証した。その結果は縦軸にアスペクト比α,横軸に溶接入熱量として、図2に示した。なお、前記アスペクト比αは、図1の断面図において、溶接部の溶接金属形状の横方向の深さをD,縦方向の高さWとしたとき、アスペクト比α=D/Wとする。
図2に示されているように、
溶接入熱量を3,000J/mm以上にすると、アスペクト比αは1.3〜2.8となり、高温割れが発生しなかった。
溶接入熱量を3,000J/mm未満にすると、アスペクト比αは1.4〜2.5となり、高温割れが発生した。
アスペクト比の範囲がほぼ同じであることを考慮すると、大電流パルスMAG溶接方法においては、高温割れを防止するためには、溶接入熱量を3,000J/mmとすることが必要であることが分かった。
【0014】
次に、板厚25mmの場合における高温割れの高さと、裏ビード脚長との関係を図3に示した。
図3に示されているように、裏ビード脚長が1.5mm以上出現すると、高温割れは発生せず、それ以下の場合は高温割れが発生した。このことから、裏ビード脚長が1.5mm以上出現すると高温割れの発生が無いと判定できるという、高温割れの発生の有無を外観から判定する基準が得られた。したがって、実際の溶接作業においては、裏ビードをオーバーラップにならない範囲でできる限り大きく出現させることが好ましい。
なお、図6には、前記板厚25mmの母材の特性を、他の厚さのものと共に示した。また、図7には、前記溶接ワイヤ(YGW16)の特性を、他のものと共に示した。図8には溶接条件を示した。
【0015】
次に、図9、10に示した鋼材(板厚17mm)で製作した試験体(図1)を用いて、ルートフェース2mmの場合で、高温割れの発生しない溶接条件の振れ幅を確認したところ、以下に示す範囲が適当であることが判明した。
すなわち、
(1)溶接入熱量は2,500〜5,000J/mmとする。溶接入熱量が2,500J/mmより少ないと高温割れが発生しやすい。
(2)裏ビード脚長は1.5〜6.0mmとする。裏ビード脚長が1.5mm未満の場合は高温割れが発生した。
(3)最適溶接電流は360±25Aの範囲とする。この範囲を逸脱すると裏波ビードが出過ぎたり、UTで欠陥が多発したりする。
(4)最適溶接速度は40±10cpmの範囲とする。この範囲を逸脱するとUT(超音波探傷検査)およびマクロでLP(融合不良)が確認された。
(5)最適パルスピーク電圧は40〜55Vの範囲とする。パルスピーク電圧を55V以上にすると、裏波ビードは良好であるがマクロ検査で欠陥が確認された。
電流パルス波形の立ち上がりと立ち下がりは図4に示したように急峻であることが必要である。
(6)最適パルス周波数は、約300〜320Hzの範囲とする。パルス周波数をこの範囲外とすると、裏波ビードが出にくくなり、欠陥が増加する傾向が確認された。
(7)最適パルス幅は1.0〜1.5msの範囲とする。パルス幅を1.0ms未満にすると、裏波ビードが出にくくなり、欠陥が増加する傾向が確認された。
(8)最適なワイヤの狙い位置はルートから水平手前に0〜+1mm,上方向に0〜+1mmの範囲とする。この範囲外とすると、裏波ビードが出にくくなり、欠陥が確認された。
(9)最適移動角は後退角20°に対して前進角側に0〜+5°の範囲とする。これ以上傾けると、裏波ビードが出にくくなり、欠陥が確認された。
(10)最適シールドガス流量は20〜25L/minの範囲とする。これ以上とすると、裏波ビードが出にくくなり、欠陥が確認された。
【0016】
以上の条件を満足するために、前記溶接電源10は、最適溶接電流は少なくとも310±25A〜360±25Aの範囲、最適パルスピーク電圧は40〜55Vの範囲、最適パルス周波数は約300〜320Hzの範囲、最適パルス幅は1.0〜1.5msの範囲に制御可能な溶接電力を出力できることが必要である。
【0017】
以上の溶接電源を使用して、最適溶接速度を40±10cpmの範囲に保持しつつ、裏ビード脚長が1.5〜6.0mmとなるように制御しながらアーク溶接の作業をすることによって、高温割れが無く、欠陥の無い溶接が可能となった。
T継手だけでなく、角継手や、突き合わせ継手に関しても同様の効果が得られる。
【0018】
本発明による大電流パルスMAGガウジングレス溶接方法においては、
板厚17mmの場合には、適正溶接条件とその変動幅は以下の通りとする。
大電流パルスの波形において、その立ち上がりと立ち下がりが急峻であること。
最適溶接電流は、適正溶接条件は360A、変動幅は±25A。
最適溶接速度は、適正溶接条件は40cpm、変動幅は±10cpmの範囲。
最適パルスピーク電圧は、適正溶接条件は50V、変動幅は−10〜+5Vの範囲。
最適パルス周波数は、適正溶接条件は約300〜320Hzの範囲。
最適パルス幅は、適正溶接条件は1.5ms、変動幅は−0.5〜0msの範囲。
最適なワイヤの狙い位置は、適正溶接条件はルート部とし、変動幅はルート部から水平手前に0〜+1mm,上方向に0〜+1mmの範囲。
最適移動角は、適正溶接条件は後退角20°とし、変動幅は前進角側に0〜+5°の範囲。
最適シールドガス流量は、適正溶接条件は25L/min、変動幅は−5〜0L/minの範囲。
なお、板厚12mmの場合には、最適溶接電流は320±25Aの範囲とし、ほかの条件は10%程度の増減変動はあるが、ほぼ同様とする。また、板厚9mmの場合には最適溶接電流は310±25Aの範囲とし、ほかの条件は10%程度の増減変動はあるが、ほぼ同様とする。
【0019】
次に、ルートフェースRFが0〜4mmの場合における溶接条件を、ルートフェースRFが2mmの場合の溶接条件(適正溶接条件)を基準とした場合の変更する範囲を以下のように確認した。
(1)RFが4mmの場合
溶接電流を大きく、溶接速度を遅くすることで、良好な結果が得られる。
(2)RFが3mmの場合
適正溶接条件より、溶接電流を50A大きくし、溶接速度を10cpm遅くすることで、良好な結果が得られる。
(3)RFが1mmの場合
適正溶接条件より、溶接電流を50A小さく、溶接速度を10cpm速くすることで、良好な結果が得られる。
(4)RFが0mmの場合
適正溶接条件より、溶接電流を70A小さくし、溶接速度を10cpm速くすることで、良好な結果が得られる。
以上の結果より、板厚17mmにおけるRFの変動幅は0〜4mmであることが確認できた。
また、板厚12mm、および9mmの場合も、板厚17mmの場合と同様にRFの変動幅が0〜4mmにおいて適正な溶接が確認できた。
【0020】
また、従来のインバータ制御方式のアーク溶接電源を用いた溶接方法では、図5に示したように、板厚17mmでは8パスの溶接工程が必要であったが、本発明に用いる大電流パルスMAG溶接電源を用いた溶接方法では6パスで良いので、大幅な作業時間の縮減が可能である。
【0021】
また、図11に示した試験結果より、本発明による大電流パルスMAGガウジングレス溶接方法によれば、従来のガウジング溶接方法と同様に、無欠陥であり、機械的性質は同等あるいはそれ以上の性能であることが確認できた。
また、板厚17mmのマクロ試験片による試験結果より、角変形を従来より約30%抑制できることが確認できた。
【0022】
さらに、本発明による溶接方法は、裏はつり不要なI形開先、レ形開先またはK形開先を有するT継手の大電流パルスMAGによるガウジングレス完全溶込み溶接方法として効果が得られる。
また、下記の諸条件において効果が得られる。
(1)溶接入熱量は1,500〜5,000J/mm
(2)裏ビード脚長は1.5〜6.0mm
(3)最適溶接電流は、板厚が約20mmの場合には390±25Aの範囲、板厚が約17mmの場合には360±25Aの範囲、板厚が約12mmの場合には320±25Aの範囲、板厚が約9mmの場合には310±25Aの範囲板厚が約6mmの場合には360±25Aの範囲、板厚が約3.2mmの場合には300±25Aの範囲、
(4)最適溶接速度は40±10cpmの範囲
(5)最適パルスピーク電圧は40〜55Vの範囲
(6)最適パルス周波数は、約300〜400Hzの範囲
(7)最適パルス幅は1.0〜1.5msの範囲
(8)最適なワイヤの狙い位置はルートから水平手前に0〜+1mm且つ上方向に0〜+1mmの範囲
(9)最適移動角は、板厚が9mm〜20mmの場合には後退角20°に対して前進角側に0〜+5°の範囲で、板厚が9mm未満の場合には後退角0±10°の範囲
(10)最適シールドガス流量は20〜25L/minの範囲
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態のT継手の溶接方法を説明する断面図である。
【図2】板厚を25mmとした場合において、溶接入熱量を変えた場合の高温割れの発生の有無を検証結果を示す図である。
【図3】板厚25mmの場合における高温割れの高さと、裏ビード脚長との関係を示す図である。
【図4】本発明に用いる電流パルス波形の立ち上がりと立ち下がりの波形を示す図である。
【図5】本発明による方法と従来方法との、溶接工程のパス数の比較説明図である。
【図6】使用した板厚25mmの母材の特性を、他の厚さのものと共に示した図である。
【図7】使用した溶接ワイヤ(YGW16)の特性を他のものと共に示した図である。
【図8】実施形態における溶接条件を示した図である。
【図9】使用した板厚17mmの鋼材(ルートフェース2mm)の特性を示した図である。
【図10】使用した板厚17mmの鋼材の特性を示した図である。
【図11】本発明による大電流パルスMAGガウジングレス溶接方法による溶接と、従来のガウジング溶接方法による溶接の比較結果を示す図である。
【符号の説明】
【0024】
1 第1の母材(縦材)
2 第2の母材(横材)
3 ルートフェイス
4 レ型開先形成面
5 平坦面
6 溶接部
9 シールドガス
10 溶接電源
11、12 ケーブル
13 電圧検出器
14 電流検出器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
裏はつり不要なI形開先、レ形開先またはK形開先を有するT継手の大電流パルスMAGによるガウジングレス完全溶込み溶接方法であって、
下記の条件(1)〜(10)を満足する溶接方法。
(1)溶接入熱量は1,500〜5,000J/mm
(2)裏ビード脚長は1.5〜6.0mm
(3)最適溶接電流は、板厚が約20mmの場合には390±25Aの範囲、板厚が約17mmの場合には360±25Aの範囲、板厚が約12mmの場合には320±25Aの範囲、板厚が約9mmの場合には310±25Aの範囲板厚が約6mmの場合には360±25Aの範囲、板厚が約3.2mmの場合には300±25Aの範囲、
(4)最適溶接速度は40±10cpmの範囲
(5)最適パルスピーク電圧は40〜55Vの範囲
(6)最適パルス周波数は、約300〜400Hzの範囲
(7)最適パルス幅は1.0〜1.5msの範囲
(8)最適なワイヤの狙い位置はルートから水平手前に0〜+1mm且つ上方向に0〜+1mmの範囲
(9)最適移動角は、板厚が9mm〜20mmの場合には後退角20°に対して前進角側に0〜+5°の範囲で、板厚が9mm未満の場合には後退角0±10°の範囲
(10)最適シールドガス流量は20〜25L/minの範囲
【請求項2】
裏はつり不要なレ形開先またはK形開先を有するT継手の大電流パルスMAGによるガウジングレス完全溶込み溶接方法であって、
下記の条件(1)〜(10)を満足する溶接方法。
(1)溶接入熱量は2,500〜5,000J/mm
(2)裏ビード脚長は1.5〜6.0mm
(3)最適溶接電流は、板厚が約17mmの場合には360±25Aの範囲、板厚が約12mmの場合には320±25Aの範囲、板厚が約9mmの場合には310±25Aの範囲
(4)最適溶接速度は40±10cpmの範囲
(5)最適パルスピーク電圧は40〜55Vの範囲
(6)最適パルス周波数は、約300〜320Hzの範囲
(7)最適パルス幅は1.0〜1.5msの範囲
(8)最適なワイヤの狙い位置はルートから水平手前に0〜+1mm,上方向に0〜+1mmの範囲
(9)最適移動角は後退角20°に対して前進角側に0〜+5°の範囲
(10)最適シールドガス流量は20〜25L/minの範囲
【請求項3】
板厚を9〜17mmとする請求項1または2の何れか1項に記載のガウジングレス完全溶込み溶接方法。
【請求項1】
裏はつり不要なI形開先、レ形開先またはK形開先を有するT継手の大電流パルスMAGによるガウジングレス完全溶込み溶接方法であって、
下記の条件(1)〜(10)を満足する溶接方法。
(1)溶接入熱量は1,500〜5,000J/mm
(2)裏ビード脚長は1.5〜6.0mm
(3)最適溶接電流は、板厚が約20mmの場合には390±25Aの範囲、板厚が約17mmの場合には360±25Aの範囲、板厚が約12mmの場合には320±25Aの範囲、板厚が約9mmの場合には310±25Aの範囲板厚が約6mmの場合には360±25Aの範囲、板厚が約3.2mmの場合には300±25Aの範囲、
(4)最適溶接速度は40±10cpmの範囲
(5)最適パルスピーク電圧は40〜55Vの範囲
(6)最適パルス周波数は、約300〜400Hzの範囲
(7)最適パルス幅は1.0〜1.5msの範囲
(8)最適なワイヤの狙い位置はルートから水平手前に0〜+1mm且つ上方向に0〜+1mmの範囲
(9)最適移動角は、板厚が9mm〜20mmの場合には後退角20°に対して前進角側に0〜+5°の範囲で、板厚が9mm未満の場合には後退角0±10°の範囲
(10)最適シールドガス流量は20〜25L/minの範囲
【請求項2】
裏はつり不要なレ形開先またはK形開先を有するT継手の大電流パルスMAGによるガウジングレス完全溶込み溶接方法であって、
下記の条件(1)〜(10)を満足する溶接方法。
(1)溶接入熱量は2,500〜5,000J/mm
(2)裏ビード脚長は1.5〜6.0mm
(3)最適溶接電流は、板厚が約17mmの場合には360±25Aの範囲、板厚が約12mmの場合には320±25Aの範囲、板厚が約9mmの場合には310±25Aの範囲
(4)最適溶接速度は40±10cpmの範囲
(5)最適パルスピーク電圧は40〜55Vの範囲
(6)最適パルス周波数は、約300〜320Hzの範囲
(7)最適パルス幅は1.0〜1.5msの範囲
(8)最適なワイヤの狙い位置はルートから水平手前に0〜+1mm,上方向に0〜+1mmの範囲
(9)最適移動角は後退角20°に対して前進角側に0〜+5°の範囲
(10)最適シールドガス流量は20〜25L/minの範囲
【請求項3】
板厚を9〜17mmとする請求項1または2の何れか1項に記載のガウジングレス完全溶込み溶接方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−38288(P2007−38288A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−310962(P2005−310962)
【出願日】平成17年10月26日(2005.10.26)
【出願人】(505115706)高田機工株式会社 (7)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月26日(2005.10.26)
【出願人】(505115706)高田機工株式会社 (7)
【Fターム(参考)】
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