説明

大電流プラグコネクタ用電気コンタクト及びその製造方法

【課題】大電流においてさえも低い過熱で識別される大電流プラグコネクタ用の電気コンタクト、及びその電気コンタクトの製造方法の提供。
【解決手段】大電流プラグコネクタ用の電気コンタクト100は、内部高圧曲げ加工により、管状未加工片から一体品で製造される。この結果、電気コンタクト100は各点においてほぼ同一の線断面を有するので、電気的又は熱的な負荷のピークが局在しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風力発電所用の大電流プラグコネクタに関し、特にこのタイプのプラグコネクタ用の電気コンタクト、及び対応する製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水平ロータ軸を有する風力発電所において、発電機は、従来から、塔先端のゴンドラのロータに直接隣接して収容される。塔の下端で発電機を主電源に接続する電力ケーブルは、塔の内壁表面に据え付けられる。風力発電所全体の組立を簡単にするために、塔は、予め個別に組み立てられた部分からなる。これらの部分の各々は、特にケーブル配線の対応する部分を既に収容している。塔の組立中に、個別の部分のケーブル部が結合される。このようにすることで、引き続くケーブル配線の困難性及び無視できないコストを回避することができる。
【0003】
特許文献1は、風力発電所用の改良されたケーブルシステムを開示する。ここで、各塔部分のケーブル部の両端にはプラグコネクタが設けられる。これらのプラグコネクタを用いて、塔の組立中に個別のケーブル部が結合される。これは、組立及びケーブル配線の保守管理の両方を簡単にすることが意図されている。
【0004】
電力ケーブル部及びプラグコネクタのコンタクトを接続するために使用されるプラグコネクタは、増大する電気的及び機械的要求事項に適合しなければならない。
【0005】
打抜き加工された金属板製の大電流コンタクトは、特許文献2で公知である。この従来のコンタクトは、相手コンタクトと接触するためのソケットコンタクト又はコンタクトピンの形態の接触領域を有する。接触領域は、多数の弾性接点を有する。各弾性接点は、打抜き加工された金属板の、対応して打ち抜かれた切欠により形成されたばね舌片からなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/019941号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第19703984号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来の大電流コンタクトは、ばね舌片を形成するために不可欠な切欠により、利用できる線断面が制限されるという欠点を有する。この欠点のため、適当な電流負荷の下でコンタクトが局在的に集中過熱するおそれがあり、プラグコネクタ全体が過熱するおそれさえある。
【0008】
従って、本発明の目的は、同じ電流負荷の下では過熱が低い、大電流プラグコネクタ用の電気コンタクトを提供することである。本発明の別の目的は、プラグコネクタを低コストで製造することを可能にする大電流プラグコネクタ用の電気コンタクトを提供することである。また、本発明の一目的は、このタイプのコンタクトの製造方法を開示することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
これらの目的は、独立請求項の特徴により達成される。好適な実施形態は、従属請求項の主題を形成する。
【0010】
本発明の特定のアプローチは、内部高圧曲げ加工により、管状未加工片(tubular blank)から一体品の電気コンタクトを製造することである。
【0011】
本発明の第一態様によれば、電気コンタクトは大電流プラグコネクタ用に供される。コンタクトは、相手コンタクトと接触するピンコンタクト又はソケットコンタクトの形態の接触領域と、接続ケーブルを受容する接続領域とを具備し、電気コンタクトは、内部高圧曲げ加工により管状未加工片から一体品で製造されることを特徴とする。
【0012】
内部高圧曲げ加工により形成されるコンタクトの壁厚は、コンタクトの要求需要に従って定めることができる。しかし、この壁厚は、2〜5mmであるのが好適であり、3.5mmであるのが特に好適である。ピンコンタクトとして具現化されるコンタクトの長さは、140〜160mmであるのが好適であり、150mmであるのが特に好適である。ソケットコンタクトとして具現化されるコンタクトの長さは、120〜140mmであるのが好適であり、130mmであるのが特に好適である。
【0013】
好適には、コンタクトの線断面は、コンタクトの全長にわたってほぼ一定である。このようにして、コンタクトの熱的及び電気的な負荷は、コンタクト全体にわたって一様に分布する。同時に、電流の流れのおかげで、コンタクトの局在する過熱が防止される。このため、コンタクトは、全体としてより低い温度のままである。
【0014】
好適には、コンタクトは銅製又は銅合金製である。このようにして、コンタクトの高導電性を確保することができる。
【0015】
好適には、接触領域及び接続領域の一方又は両方は、ほぼ筒状に形成される。このため、接続ケーブルの受容或いは相手コンタクトの接触が容易になる。
【0016】
好適には、接触領域は、縦方向の広がりが横方向の広がりを超える断面を有する。このようにして、使用できる線断面が減少することなく、複数の大電流プラグコネクタをコンパクトに互いに隣接して配置することができる。
【0017】
有利なのは、接触領域が、コンタクトに形成され接続領域に向かう突起により区切られることである。この突起は、関連する相手コンタクトに差し込む間、機械的停止部として作用することができる。
【0018】
有利なのは、接触領域が、環状ばねコンタクトを受容するための周囲ビードを有することである。このビードにより、コンタクト内にばねコンタクトを機械的に固定することが可能になる。これは、差込み又は引抜きの間、ばねコンタクトが滑ることを信頼性高く防止する。
【0019】
コネクタハウジングの長さは、160〜220mmであるのが好適であり、約195mmであるのが特に好適である。結合ハウジングの長さは、180〜230mmであるのが好適であり、210mmであるのが特に好適である。差込み時の大電流プラグコネクタの全長は、320〜380mmであるのが好適であり、約350mmであるのが特に好適である。
【0020】
本発明の第二態様によれば、コネクタハウジングと、ピンコンタクトの形態の第一態様に係る電気コンタクトとを具備する大電流コネクタが提供される。電気コンタクトはコネクタハウジングにロックされる。
【0021】
有利なのは、大電流コネクタが、コネクタハウジングの一端側に配置されると共に対応する結合部との嵌合時に該結合部と当接するシールをさらに具備することである。このようにして、差し込まれたプラグコネクタ内への、例えば水又は油等の液体の浸入を信頼性高く防止することができる。
【0022】
本発明の第三態様によれば、結合ハウジングと、ソケットコンタクトの形態の第一態様に係る電気コンタクトとを具備する大電流結合部が提供される。電気コンタクトは結合ハウジングにロックされる。
【0023】
大電流結合部はまた、コンタクトのビード内に配置されると共に相手コンタクトが環状のばねコンタクトにより収容されるように具現化され、結果として大電流結合部にクランプされて保持された環状のばねコンタクトを具備する。ばねコンタクトは、要求された接圧を確保することができる。
【0024】
有利なのは、大電流結合部が、結合ハウジングの一端側に配置されると共に対応するコネクタとの嵌合時に対応するコネクタと当接状態となるシールをさらに具備することである。このようにして、差し込まれたプラグコネクタ内への、例えば水又は油等の液体の浸入を信頼性高く防止することができる。
【0025】
本発明の別の態様によれば、第二態様に係る大電流コネクタと、第三態様に係る大電流結合部とを具備する大電流プラグコネクタが提供される。少なくともコネクタハウジング又は結合ハウジングは、関連するコンタクトの開口に係止してコネクタハウジング又は結合ハウジング内に関連するコンタクトをロックする係止アームを具備する。係止アームは、大電流プラグコネクタの差込み時に、他のハウジング又はコンタクトの一部により閂をかけられる。
【0026】
本発明の別の態様によれば、ケーブルシステムは、複数の塔部分で構成される塔を有する風力発電所用に提供される。このケーブルシステムは、導体で構成されるケーブルと、導体を包み込む絶縁体と、ケーブルの一端で導体に接続された第二態様に係る大電流コネクタと、ケーブルの他端で導体に接続された第三態様に係る大電流結合部とを具備する。
【0027】
好適には、ケーブルの長さが個別の塔部分の高さに適合しているので、各塔部分は、予め組み立てられた固有のケーブルシステムを収容することができる。このため、塔の組立中、必要なのは個別のケーブル部分を差し込むことだけである。この場合、ケーブルの長さは15〜25mであり、好適には20mである。
【0028】
好適には、導体は、銅線から形成されており、25〜400mm2の断面積、好適には150mm2、185mm2、240mm2又は300mm2の断面積を有するのが好適である。或いは、導体は、アルミニウム線から形成されてもよく、50〜400mm2の断面積、好適には185mm2、240mm2、300mm2又は400mm2の断面積を有するのが好適である。この点に関し、本発明は、具体的な断面積の値に限定されるものではない。逆に、特に中間値を含むより大きな値又はより小さな値も、技術的要求事項によっては使用することができる。
【0029】
本発明の別の態様によれば、本発明に係るケーブルシステムを有する風力発電所が提供される。
【0030】
最後に、本発明はまた、大電流コネクタ用の電気コンタクトを製造する方法を特定する。本発明の方法は、内部高圧曲げ加工により、相手コンタクトと接触するピンコンタクト又はソケットコンタクトの形態の接触領域と、接続ケーブルを受容する接続領域とを有する電気コンタクトを、管状未加工片から一体品で製造する工程を有する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電気コンタクトを示し、(A)平面図、(B)縦断面図、(C)斜視図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係る電気コンタクトを示し、(A)平面図、(B)縦断面図、(C)斜視図である。
【図3】本発明に係る大電流プラグコネクタを示し、(A)縦断面図、(B)横断面図、(C)斜視図である。
【図4】(A)本発明に係る大電流プラグコネクタの結合部の拡大斜視図であり、(B)本発明に係る大電流プラグコネクタのコネクタの拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付図面を参照して、本発明を説明する。図面において、同様の部品には同様の参照番号が付される。
【0033】
図1(A)、(B)及び(C)は、本発明の第1実施形態に係る電気コンタクト100のそれぞれ平面図、縦断面図及び斜視図である。この電気コンタクトはピンコンタクトとして設計されている。コンタクトは、対応する形状の相手コンタクトに差し込まれる接触領域(差込み領域)110を有する。この領域はほぼ筒状に具現化される。先端縁は、差込み工程を容易にするために面取りされ又は丸みをつけられる。接触領域110の長さは約61mmである。コンタクト100の全長は151mmである。
【0034】
接触領域110は非円形断面を有するのが好適であり、非円形断面の縦方向の広がり111は横方向の広がり112を超える。この断面は、特に楕円形、又は隅が丸みを帯びた矩形であってもよい。このようにして、複数のプラグコネクタをコンパクトに互いに隣接して配置することができ、同時に必要な線断面が確保される。
【0035】
コンタクトの接触領域110とは反対側の端部は接続領域120として形成され、接続ケーブルを受容するよう作用する。接続領域120は、円形筒として具現化されるのが好適であり、接続ケーブルの直径に適合する。代表的には、接続領域120は、400mm2までのケーブル断面の場合には20〜32mmの内径を有する。特に好適な一実施形態において、接続領域120は圧着接続部として具現化されるので、接続ケーブルを圧着加工によりコンタクトに接続することができる。
【0036】
接触領域110及び接続領域120間の過渡領域には、コンタクト上の段付き突起の形態の突起130が形成されている。この突起130は、相手コンタクトと当接して入り込むので、差込み完了時に停止部として作用する。
【0037】
本発明によれば、コンタクトは、管状未加工片から内部高圧曲げ加工(「ハイドロフォーミング」)により製造される。この場合、管状未加工片は、液体、特に水・油サスペンションで充填された対応する形状の凹型金型内に配置され、油圧ピストンを使用して両端が閉じられる。制御された圧縮及び内部圧力の増大の結果、管状未加工片が塑性変形するので、凹型金型により予め定められた形状になる。このようにして、信頼性高く且つ低コストで、複雑な形状を実施することができる。
【0038】
筒状未加工片(例えば銅パイプ)から製造される方法のため、コンタクトは、各点においてほぼ同一の線断面を有する。それ故、線断面は縦方向に沿ってほぼ一定であるので、縦方向に沿った電気抵抗も各点においてほぼ同一である。従って、本発明に係るコンタクトは、通電により一様に過熱する。熱的な負荷のピークは局在しない。従って、本発明に係るコンタクトは、同じ材料を使用する従来のコンタクトよりも低温を維持する。このため、より小型の設計でより大きな通電容量が可能である。
【0039】
従来の打抜き加工された形状の部品とは対照的に、本発明に係るコンタクトはさらに、閉じた表面を有する。特に、電流の流れは、如何なる点においても切欠又は開口により制限されない。このため、本発明に係るコンタクトは通電により一様に過熱し、局在する熱的又は電気的な負荷のピークが回避される。
【0040】
特に好適な一実施形態において、コンタクト100は、接触領域に横方向に配置された切欠すなわち開口140を有する。コンタクト100は、この開口140で絶縁ハウジングの内壁に形成された突起にロックすることができる。開口140は、例えば、高圧曲げ加工の後、別の作業工程でフライス削り加工することにより形成されてもよい。好適には、開口140の深さはコンタクトの材料厚さより浅いので、通電はほぼ制限されない。
【0041】
また、接触領域及び接続領域を有するコンタクトを、一体品で製造すると特に利点があるので、コンタクトの製造及び完全な大電流差込み接続部の製造の両方を著しく簡素化する。
【0042】
特に有利な一方法において、複数のコンタクトは、対応する長い未加工片から同時に形成され、引き続いて第2工程で例えば鋸切断により互いに分離してもよい。
【0043】
最適な伝導率を達成するために、コンタクトは銅製又は銅合金製であるのが好適である。
【0044】
図2(A)、(B)及び(C)は、本発明の第2実施形態に係る電気コンタクト200のそれぞれ平面図、縦断面図及び斜視図である。電気コンタクトはソケットコンタクトとして設計されている。コンタクト200は、対応した形状を有する相手コンタクト、特に第1実施形態に係るコンタクトが差し込まれる接触領域210(差込み領域)を有する。接触領域の断面は、受容される相手コンタクトの断面に適合すると共に好適には非円形断面を有する。接触領域の断面の縦方向の広がりは、横方向の広がりを超える。楕円形の外断面の長軸211及び短軸212の代表値は、それぞれ約50mm及び約30mmである。上述したように、この断面は、特に楕円形、又は隅が丸みを帯びた矩形であってもよい。このようにして、複数のプラグコネクタをコンパクトに互いに隣接して配置することができ、同時に必要な線断面が確保される。コンタクト200の全長は131mmである。
【0045】
接触領域210とは反対側のコンタクトの端部は、接続領域220として形成され、接続ケーブルを受容するよう作用する。接続領域220は、円形筒として具現化されると共に接続ケーブルの直径に適合するのが好適である。特に好適な一実施形態において、接続領域220は圧着接続部として具現化されるので、接続ケーブルを圧着加工によりコンタクトに接続することができる。
【0046】
図2から理解されるように、接触領域210はさらに、縦方向に沿って長さが変わる直径を有する。結果として形成された突出部すなわちビード230はそれぞれ、特にトロイダル螺旋ばねの形態の環状ばねコンタクトを受容するよう作用することができる。これらのばねコンタクトは、ピンコンタクトがソケットコンタクト内に一旦挿入されると、ピンコンタクトを取り囲むことができるので、必要な接触圧力を確保する。
【0047】
本発明によれば、第2実施形態に係るコンタクトも、管状未加工片から内部高圧曲げ加工により製造される。それ故、コンタクトは、各点においてほぼ同一の線断面を有する。従って、線断面は縦方向に沿ってほぼ一定であるので、縦方向に沿った電気抵抗も各点においてほぼ同一である。従って、本発明に係るコンタクトは、通電により一様に過熱する。熱的な負荷のピークは局在しない。従って、本発明に係るコンタクトは、同じ材料を使用する従来のコンタクトよりも低温を維持する。
【0048】
従来の打抜き加工された形状の部品とは対照的に、第2実施形態に係るコンタクトも、閉じた表面を有する。特に、本発明に係るコンタクトは、ばねコンタクトを機械的に固定するための打抜き加工されていない係止突起を有していない。従って、電流の流れは、如何なる点においても切欠又は開口により制限されない。この理由のため、本発明に係るコンタクトは通電により一様に過熱し、局在する熱的又は電気的ピークが回避される。
【0049】
特に好適な一実施形態において、コンタクト200は、接触領域に配置された切欠すなわち開口240を有する。コンタクト200は、この開口240で絶縁ハウジングの内壁に形成された突起にロックすることができる。開口240は、例えば、高圧曲げ加工の後、別の作業工程でフライス削り加工又は穿孔加工することにより形成されてもよい。好適には、開口240は接触領域の外端に配置されるので、通電はほぼ制限されない。
【0050】
図3(A)、(B)及び(C)は、本発明の別の態様に係る大電流プラグコネクタのそれぞれ縦断面図、横断面図及び斜視図である。大電流プラグコネクタは、コネクタハウジング300及びこのコネクタハウジング300内にロックされ第1実施形態に係る第1コンタクト100を有する大電流コネクタと、結合ハウジング400及びこの結合ハウジング400内に同様にロックされ本発明の第2実施形態に係る第2コンタクト200を有する大電流結合部とを具備する。差し込まれる際に第1コンタクト100を取り囲むと共に必要な接触圧力を確保する環状ばねコンタクト250は、第2コンタクト200のビードに配置される。
【0051】
コンタクトを各ハウジングにロックするために、関連するハウジングの対応する係止突起340,440が係止する凹部140,240を、コンタクトに設けることができる。この凹部140,240は、好適には引き続く例えばフライス削り加工により、曲げ加工された部品に形成される。好適には、プラグコネクタが差し込まれる際に、少なくとも1個の係止突起340,440が他のハウジング又はコンタクトの一部により閂をかけられるように、ハウジングが構成される。
【0052】
プラグコネクタ内に油又は水の浸入を防止するために、ケーブル側並びにコネクタ及び結合部間の接合点の両方に、シールが設けられる。ケーブル側シールは、ケーブルブッシングの態様でケーブルを囲む蛇腹部320,420からなる。このケーブルシールは、ハウジングの閉鎖部310,410上に予め組み込むと共に実際のコネクタハウジング及び結合ハウジングに簡単な方法でロックすることができる。コネクタ及び結合部間の接合部をシールするために、蛇腹部430は、面シールとして結合ハウジングの端側に設けられるのが好適である。このシールは成形形状をさらに具備することができ、この成形形状を用いて、閂フック440もシールされる。
【0053】
図4(A)及び(B)は、図3(A)の本発明に係る大電流プラグコネクタの結合部及びコネクタをそれぞれ示す拡大斜視図である。コネクタ及び結合部間の接合部をシールするための蛇腹部430を明瞭に見ることができる。キーイング符号部355,455及びケーブル符号部350,450も見ることができる。これらの符号部は、同様の符号部が設けられたコネクタ及び結合部を嵌合する際に噛み合うように配置された連結部及び溝をそれぞれ有する。異なる符号部の場合には、嵌合は機械的に防止される。互いに隣接して配置されたケーブルの極性の偶発的な反転、又は異なるケーブルの望ましくない接続は、このようにして信頼性高く防止できる。符合部は交換可能であるので、プラグコネクタは所望の方法で構成可能である。好適には、符号部は、コネクタ又は結合ハウジングの対応する開口内に挿入可能であると共に、適当な係止突起及び開口356,356を用いてロック可能である。
【0054】
従って、本発明は、大電流プラグコネクタ、特に、大電流においてさえも低い過熱で識別されるこのタイプのプラグコネクタ用の電気コンタクトに関し、このタイプのコンタクトを製造する対応する方法に関する。本発明によれば、この目的のために、コンタクトは、内部高圧曲げ加工により管状未加工片から一体品で製造される。この結果、コンタクトは各点においてほぼ同一の線断面を有するので、電気的又は熱的な負荷のピークが局在しない。
【符号の説明】
【0055】
100,200 コンタクト
110,210 接触領域
120,220 接続領域
130 突起
140,240 開口
230 ビード
250 環状ばねコンタクト
300 コネクタハウジング
340,440 係止突起(係止アーム)
400 結合ハウジング
430 蛇腹部(シール)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大電流プラグコネクタ用の電気コンタクト(100,200)であって、相手コンタクトと接触するピンコンタクト又はソケットコンタクトの形態の接触領域(110,210)と、接続ケーブルを受容する接続領域(120,220)とを具備する電気コンタクトにおいて、
前記電気コンタクトは、内部高圧曲げ加工により管状未加工片から一体品で製造されることを特徴とする電気コンタクト。
【請求項2】
前記電気コンタクトの線断面は、該電気コンタクトの全長にわたってほぼ一定であることを特徴とする請求項1記載の電気コンタクト。
【請求項3】
前記電気コンタクトは銅製又は銅合金製であることを特徴とする請求項1又は2記載の電気コンタクト。
【請求項4】
前記接触領域及び前記接続領域の一方又は両方は、ほぼ筒状の形状をなすことを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか1項記載の電気コンタクト。
【請求項5】
前記接触領域は、縦方向の広がりが横方向の広がりを超える断面を有することを特徴とする請求項1ないし4のうちいずれか1項記載の電気コンタクト。
【請求項6】
前記接触領域が、前記電気コンタクトに形成され接続領域に向かう突起(130)により区切られることを特徴とする請求項1ないし5のうちいずれか1項記載の電気コンタクト。
【請求項7】
前記接触領域が、環状のばねコンタクト(250)を受容するための少なくとも1個の周囲ビード(230)を有することを特徴とする請求項1ないし6のうちいずれか1項記載の電気コンタクト。
【請求項8】
コネクタハウジング(300)と、ピンコンタクトの形態の請求項1ないし7のうちいずれか1項記載の電気コンタクトとを具備する大電流コネクタであって、
前記電気コンタクトは前記コネクタハウジングにロックされていることを特徴とする大電流コネクタ。
【請求項9】
前記大電流コネクタは、前記コネクタハウジングの一端側に配置されると共に対応する結合部との嵌合時に該結合部と当接するシール(430)をさらに具備することを特徴とする請求項8記載の大電流コネクタ。
【請求項10】
結合ハウジング(400)と、ソケットコンタクトの形態の請求項1ないし7のうちいずれか1項記載の電気コンタクト(200)とを具備する大電流結合部であって、
前記電気コンタクトは前記結合ハウジングにロックされていることを特徴とする大電流結合部。
【請求項11】
結合ハウジングと、ソケットコンタクトの形態の請求項7記載の電気コンタクト(200)と、前記環状のばねコンタクトとを具備する大電流結合部であって、
前記ばねコンタクトは、前記電気コンタクトの前記ビード内に配置されると共に前記相手コンタクトが前記ばねコンタクトにより収容されるように具現化され、結果として前記大電流結合部にクランプされて保持されたことを特徴とする大電流結合部。
【請求項12】
前記大電流結合部が、前記結合ハウジングの一端側に配置されると共に対応するコネクタとの嵌合時に該対応するコネクタと当接状態となるシールをさらに具備することを特徴とする請求項10又は11記載の大電流結合部。
【請求項13】
請求項8又は9記載の大電流コネクタと、請求項10ないし12のうちいずれか1項記載の大電流結合部とを有する、風力発電所用の大電流プラグコネクタであって、
少なくとも前記コネクタハウジング又は前記結合ハウジングは、関連する電気コンタクトの開口(140,240)に係止して前記コネクタハウジング又は前記結合ハウジング内に前記関連する電気コンタクトをロックする係止アーム(340,440)を具備し、
前記係止アームは、前記大電流プラグコネクタの差込み時に、他のハウジング又はコンタクトの一部により閂をかけられることを特徴とする大電流プラグコネクタ。
【請求項14】
複数の塔部分で構成される塔を有する風力発電所用のケーブルシステムであって、
導体及び該導体を包み込む絶縁体で構成されるケーブルと、
前記ケーブルの一端で前記導体に接続された請求項8又は9記載の大電流コネクタと、
前記ケーブルの他端で前記導体に接続された請求項10ないし12のうちいずれか1項記載の大電流結合部と
を具備するケーブルシステム。
【請求項15】
前記ケーブルの長さが個別の前記塔部分の高さに適合していることを特徴とする請求項14記載のケーブルシステム。
【請求項16】
前記ケーブルの長さは15〜25mであることを特徴とする請求項14又は15記載のケーブルシステム。
【請求項17】
前記導体は、銅線から形成されており、25〜400mm2の断面積を有することを特徴とする請求項14ないし16のうちいずれか1項記載のケーブルシステム。
【請求項18】
前記導体は、アルミニウム線から形成されており、50〜400mm2の断面積を有することを特徴とする請求項14ないし16のうちいずれか1項記載のケーブルシステム。
【請求項19】
請求項14ないし18のうちいずれか1項記載のケーブルシステムを有する風力発電所。
【請求項20】
大電流コネクタ用の電気コンタクトを製造する方法であって、
内部高圧曲げ加工により、相手コンタクトと接触するピンコンタクト又はソケットコンタクトの形態の接触領域と、接続ケーブルを受容する接続領域とを有する電気コンタクトを、管状未加工片から一体品で製造する工程を有することを特徴とする電気コンタクトの製造方法。
【請求項21】
前記電気コンタクトの線断面は、該電気コンタクトの全長にわたってほぼ一定であることを特徴とする請求項20記載の電気コンタクトの製造方法。
【請求項22】
前記電気コンタクトは銅製又は銅合金製であることを特徴とする請求項20又は21記載の電気コンタクトの製造方法。
【請求項23】
前記接触領域及び前記接続領域の一方又は両方は、ほぼ筒状の態様で具現化されることを特徴とする請求項20ないし22のうちいずれか1項記載の電気コンタクトの製造方法。
【請求項24】
前記接触領域は、縦方向の広がりが横方向の広がりを超える断面を有することを特徴とする請求項20ないし23のうちいずれか1項記載の電気コンタクトの製造方法。
【請求項25】
前記接触領域及び前記接続領域間の過渡領域に、前記接触領域を区切る突起が形成されていることを特徴とする請求項20ないし24のうちいずれか1項記載の電気コンタクトの製造方法。
【請求項26】
環状のばねコンタクトを受容するために、前記接触領域に少なくとも1個の周囲ビードが形成されていることを特徴とする請求項20ないし25のうちいずれか1項記載の電気コンタクトの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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