天井目地パネルの支持装置
【課題】 本発明は通常時にはコイルスプリング等の付勢機構を用いることなく、天井目地パネルをほぼ水平状態に保持することができるとともに、地震で急に目地部が狭くなっても天井目地パネルの先端部が衝突したりすることなく、自重で下方へ回動させて、損傷を効率よく阻止でき、かつ大きな異なる左右方向の揺れ動きでも、その揺れ動きを吸収することができる天井目地パネルの支持装置を得るにある。
【解決手段】 通常時にはコイルスプリング等の付勢機構を用いることなく、天井目地パネルをほぼ水平状態に保持することができるとともに、地震で急に目地部が狭くなっても天井目地パネルの先端部が衝突したりすることなく、自重で下方へ回動させて、損傷を効率よく阻止でき、かつ大きな異なる左右方向の揺れ動きでも、その揺れ動きを吸収することができる天井目地パネルの支持装置を構成している。
【解決手段】 通常時にはコイルスプリング等の付勢機構を用いることなく、天井目地パネルをほぼ水平状態に保持することができるとともに、地震で急に目地部が狭くなっても天井目地パネルの先端部が衝突したりすることなく、自重で下方へ回動させて、損傷を効率よく阻止でき、かつ大きな異なる左右方向の揺れ動きでも、その揺れ動きを吸収することができる天井目地パネルの支持装置を構成している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は左右の建物間の目地部の天井部分を覆う天井目地パネルを、通常時にはほぼ水平状態で保持し、地震で目地部が狭くなると、天井目地パネルの先端部を下方へ回動させて、その揺れ動きを吸収する天井目地パネルの支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の天井目地パネルの支持装置は、地震の揺れ動きで目地部が狭くなると、天井目地パネルの中央部を上方へ回動させて、その揺れ動きを吸収するものが一般に使用されている。
しかしながら、天井目地パネルを設置する部位の左右の建物の目地部側天井躯体に、天井目地パネルの中央部を上方へ突出させて、その揺れ動きを吸収するスペースをとることができない所では、天井目地パネルの中央部あるいは先端部を下方へ回動させてその揺れ動きを吸収しなければならない。
このため、天井目地パネルの支持装置に巻取りドラムを用いた付勢機構や、左右の建物の目地部側の天井躯体に両端部が枢支された複数個の四角枠状のリンク機構を用いるため、構造が複雑で、コスト高になるとともに、左右の天井目地パネルを常時付勢機構の付勢力でほぼ水平状態に保つため、長期間の使用に問題があり、リンク機構によって、異なる左右方向の揺れ動き量に制限があるという欠点があった。
また、平常時には付勢機構のワイヤーで左右の天井目地パネルをほぼ水平に保持させているので、急に目地部が狭くなると、一方の天井目地パネルの先端部が付勢機構のワイヤーと衝突し、天井目地パネルの下方への回動がスムーズにできなかったり、ワイヤーや天井目地パネルが損傷しやすいという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−30127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、通常時にはコイルスプリング等の付勢機構を用いることなく、天井目地パネルをほぼ水平状態に保持することができるとともに、地震で急に目地部が狭くなっても天井目地パネルの先端部が衝突したりすることなく、自重で下方へ回動させて、損傷を効率よく阻止でき、かつ大きな異なる左右方向の揺れ動きでも、その揺れ動きを吸収することができる天井目地パネルの支持装置を提供することを目的としている。
【0005】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は天井目地パネルを設置する部位の上部位置の一方の建物の目地部側外壁面に先端部が水平方向に回動できるように後端枢支部の角部を、取付け具を介して取付けられた四角枠形状のリンク機構と、このリンク機構の先端枢支部に枢支されかつ他方の建物の目地部側外壁面あるいは、該他方の建物の目地部側外壁面に取付けられた当接片と当接する当接片と、前記リンク機構の先端枢支部に枢支されかつ左右のバー部材より一方の建物の目地部側外壁面近傍まで突出させた一対の支持アームと、この一対の支持アームの先端部を一方の建物の目地部側外壁面に沿ってスライド移動させる一対の支持アームガイド部材と、この一対の支持アームガイド部材の外側部位の一方の建物の目地部側外壁面に後端部が枢支され、先端部が前記当接片にスライド移動可能に取付けられた一対のアームと、前記リンク機構の下部位置の一方の建物の目地部側外壁面に先端部が前記当接片の下部位置に位置し、かつ下方へ回動するようにヒンジ部材を介して取付けられた天井目地パネルの先端寄りの部位に固定されたワイヤー取付け部材に先端部が取付けられ、後端部が前記ワイヤー取付け部材と対応する部位の前記当接片に取付けられたガイドリング、このガイドリングと対応する部位の一方の建物の目地部側外壁面に取付けられた第2のガイドリング、この第2のガイドリングより前記一対のアームの一方のアームの先端部寄りの部位に取付けられた第3のガイドリングを通過して、他方のアームの先端部寄りの部位に固定された、通常時には天井目地パネルをほぼ水平に保持し、地震で目地部の幅が狭くなる寸法よりも大きい寸法状態で天井目地パネルの先端部を下方へ回動させることができるワイヤーとで天井目地パネルの支持装置を構成している。
【発明の効果】
【0007】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
【0008】
(1)地震で目地部が急に狭くなると、当接片が他方の当接片あるいは他方の建物の目地部側外壁面によって、一方の建物の目地部側外壁面方向に押し圧され、当接片にスライド移動可能に取付けられた一対のアームの先端部が近接する方向にスライド移動し、天井目地パネルをほぼ水平に保持していたワイヤーがゆるみ、天井目地パネルの自重で先端部が下方へ回動して、その揺れ動きを吸収することができる。
なお、一対のアームの先端部がスライド移動した距離以上にワイヤーが移動して、天井パネルの先端部が他方の建物の目地部側外壁面や他方の天井目地パネルの先端部と衝突して損傷するのを効率よく阻止することができる。
【0009】
(2)前記(1)によって、天井目地パネルをワイヤーで支持しているので、長期間使用していても長さが変化したり、劣化したりするのを防止でき、長期間安定状態で使用することができる。
【0010】
(3)前記(1)により、天井目地プレートの先端部を下方へ回動させて、地震時の目地部が狭くなる揺れ動きを吸収するので、天井目地部の上部に大きなスペースがなくても取付けることができる。
【0011】
(4)前記(1)によって、リンク機構、当接片、一対の支持アーム、一対の支持アームガイド部材、一対のアームは水平方向にだけ移動や回動するため、天井目地プレートを、確実に水平状態を保つように支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明を実施するための第1の形態の平面図。
【図2】図1の2−2線に沿う断面図。
【図3】図1の3−3線に沿う断面図。
【図4】本発明を実施するための第1の形態のリンク機構の説明図。
【図5】本発明を実施するための第1の形態の支持アームガイド部材の説明図。
【図6】本発明を実施するための第1の形態のワイヤーの取付け状態の説明図。
【図7】本発明を実施するための第1の形態の目地部が狭くなる状態を説明する平面図。
【図8】図7の8−8線に沿う断面図。
【図9】本発明を実施するための第1の形態の目地部が広くなる動作説明図。
【図10】本発明を実施するための第2の形態の平面図。
【図11】図10の11−11線に沿う断面図。
【図12】図10の12−12線に沿う断面図。
【図13】本発明を実施するための第3の形態の平面図。
【図14】図13の14−14線に沿う断面図。
【図15】図13の15−15線に沿う断面図。
【図16】本発明を実施するための第3の形態の目地部が狭くなった動作説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
【0014】
図1ないし図9に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は左右の建物2の天井目地部3を覆う天井目地装置で、この天井目地装置1は一方の建物2の目地部側外壁面2aに後端部がヒンジ部材4を介して取付けられた先端部が他方の建物2の目地部側外壁面2a近傍に位置する回動可能な天井目地パネル5と、この天井目地パネル5の上部位置で、該天井目地パネル5を通常時にはほぼ水平状態に保持し、地震により目地部が狭くなると、前記天井目地パネル5の先端部が他方の建物2の目地部側外壁面2aと衝突することなく下方へ回動させることができる本発明の天井目地パネルの支持装置6とで構成されている。
【0015】
前記天井目地パネルの支持装置6は、前記天井目地パネル5を設置する部位の上部位置の一方の建物2の目地部側外壁面2aに先端部が水平方向に回動できるように後端枢支部7aの角部を、取付け具8を介して取付けられた四角枠形状のリンク機構7と、このリンク機構7の先端枢支部7bに枢支された他方の建物2の目地部側外壁面2aと当接する当接片9と、前記リンク機構7の先端枢支部7bに枢支された左右のバー部材7c、7cより前記一方の建物2の目地部側外壁面2a近傍まで突出させた一対の支持アーム10、10と、この一対の支持アーム10、10の先端部を、前記一方の建物2の目地部側外壁面2aに沿って水平方向に上・下ローラ11、11を介してスライド移動させる一対の支持アームガイド部材12、12と、この一対の支持アームガイド部材12、12の外側部位の前記一方の建物2の目地部側外壁面2aに後端部が枢支され、先端部が前記当接片9にスライド移動可能に取付けられた一対のアーム13、14と、前記リンク機構7の下部位置の天井目地パネル5の先端ほぼ中央部に固定されたワイヤー取付け部材15に先端部が取付けられ、他端部が前記ワイヤー取付け部材15と対応する部位の前記当接片9に取付けられたアイボルトを用いたガイドリング16、このガイドリング16と対応する部位の前記一方の建物2の目地部側外壁面2aに取付けられたアイボルトを用いた第2のガイドリング17、この第2のガイドリング17より前記一対のアーム13、14の一方のアーム14の先端部寄りの部位に取付けられたアイボルトを用いた第3のガイドリング18をそれぞれ通過して、前記一対のアーム13、14の他方のアーム13の先端部寄りの部位に固定されたワイヤー取付け部材19に固定され、通常時には前記天井目地パネル5をほぼ水平に保持し、地震で目地部の幅が狭くなる寸法よりも大きい寸法状態で天井目地パネル5の先端部を下方へ回動させることができるワイヤー20とで構成されている。
【0016】
上記構成の天井目地パネルの支持装置6は、天井目地部3を覆っている天井目地パネル5を、図2に示すようにほぼ水平となるように保持している。
すなわち、天井目地パネル5の上部位置の一方の建物2の目地部側外壁面2aにリンク機構7、一対の支持アーム10、10、一対の支持アームガイド部材12、12および一対のアーム13、14によって、当接片9がほぼ水平状態に保たれており、天井目地パネル5の先端中央部に一端部が取付けられ、ガイドリング16、第2のガイドリング17、第3のガイドリング18およびワイヤー取付け部材19に取付けられたワイヤー20によって天井目地パネル5をほぼ水平に保っている。
【0017】
地震により目地部が狭くなるように左右の建物2、2が揺れ動いた場合、図7および図8に示すように、当接片9が他方の建物2の目地部側外壁面2aによって、一方の建物2の目地部側外壁面2a方向へ押し圧されるので、一対のアーム13、14の先端部が内側(近づく)方向にスライド移動するため、一対のアーム13、14の先端部の移動量および一方のアーム14の移動量が+された分だけワイヤー20がゆるみ、天井目地パネル5の自重によって先端部がワイヤー20のゆるみ分だけ下方へ回動する。
この時、天井目地パネル5を吊り下げている部分のワイヤー20は当接片9の移動量のほぼ3倍の移動量があり、天井目地パネル5の先端部が他方の建物2の目地部側外壁面2aに衝突する前に下方へ回動させて、その衝突を回避させることができる。
地震により目地部が広くなるように左右の建物2、2が揺れ動いた場合、図9に示すように天井目地パネル5が一方の建物2と一体となって、他方の建物2より離れて、その揺れ動きを吸収することができる。
[発明を実施するための異なる形態]
【0018】
次に、図10ないし図16に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0019】
図10ないし図12に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、天井目地パネル5の両端部寄りの先端部にワイヤー取付け部材15、15を固定して、ワイヤー20、20をガイドリング16、16、第2のガイドリング17、17、第3のガイドリング18、18およびワイヤー取付け部材19、19に後端部を固定した点で、このように構成した天井目地パネルの支持部材6Aにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られるとともに、長い天井目地パネル5でも平常時にはほぼ水平に位置でき、目地部が狭くなった場合に、天井目地パネル5の先端部を下方へ回動させて、その揺れ動きを吸収することができる。
【0020】
図13ないし図16に示す本発明を実施するための第3の形態において、前記本発明を実施するための第2の形態と主に異なる点は、一方の建物2の目地部側外壁面2aと他方の建物2の目地部側外壁面2aとにほぼ中央部で当接片9、9が当接するようにリンク機構7、7、一対の支持アーム10、10、10、10、一対の支持アームガイド部材12、12、12、12、一対のアーム13、14、13、14を取付けるとともに、一方の天井目地パネル5Aの先端部に他方の天井目地パネル5の先端部が入り込む凹部21を形成した点で、このように構成された天井パネルの支持装置1Bにしても、前記本発明を実施するための第2の形態と同様な作用効果が得られるとともに、目地部3の幅寸法の広い部分に設置することができる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明は天井目地パネルの支持装置を製造する産業で利用される。
【符号の説明】
【0022】
1:天井目地装置、 2:建物、
3:天井目地部、 4:ヒンジ部材、
5:天井目地パネル、
6、6A、6B:天井目地パネルの支持装置、
7a:後端枢支部、 7b:先端枢支部、
7:リンク機構、 8:取付け具、
9:当接片、 10:支持アーム、
11:ローラ、 12:支持アームガイド部材、
13:アーム、 14:アーム、
15:ワイヤー取付け部材、 16:ガイドリング、
17:第2のガイドリング、 18:第3のガイドリング、
19:ワイヤー取付け部材、 20:ワイヤー、
21:凹部。
【技術分野】
【0001】
本発明は左右の建物間の目地部の天井部分を覆う天井目地パネルを、通常時にはほぼ水平状態で保持し、地震で目地部が狭くなると、天井目地パネルの先端部を下方へ回動させて、その揺れ動きを吸収する天井目地パネルの支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の天井目地パネルの支持装置は、地震の揺れ動きで目地部が狭くなると、天井目地パネルの中央部を上方へ回動させて、その揺れ動きを吸収するものが一般に使用されている。
しかしながら、天井目地パネルを設置する部位の左右の建物の目地部側天井躯体に、天井目地パネルの中央部を上方へ突出させて、その揺れ動きを吸収するスペースをとることができない所では、天井目地パネルの中央部あるいは先端部を下方へ回動させてその揺れ動きを吸収しなければならない。
このため、天井目地パネルの支持装置に巻取りドラムを用いた付勢機構や、左右の建物の目地部側の天井躯体に両端部が枢支された複数個の四角枠状のリンク機構を用いるため、構造が複雑で、コスト高になるとともに、左右の天井目地パネルを常時付勢機構の付勢力でほぼ水平状態に保つため、長期間の使用に問題があり、リンク機構によって、異なる左右方向の揺れ動き量に制限があるという欠点があった。
また、平常時には付勢機構のワイヤーで左右の天井目地パネルをほぼ水平に保持させているので、急に目地部が狭くなると、一方の天井目地パネルの先端部が付勢機構のワイヤーと衝突し、天井目地パネルの下方への回動がスムーズにできなかったり、ワイヤーや天井目地パネルが損傷しやすいという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−30127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、通常時にはコイルスプリング等の付勢機構を用いることなく、天井目地パネルをほぼ水平状態に保持することができるとともに、地震で急に目地部が狭くなっても天井目地パネルの先端部が衝突したりすることなく、自重で下方へ回動させて、損傷を効率よく阻止でき、かつ大きな異なる左右方向の揺れ動きでも、その揺れ動きを吸収することができる天井目地パネルの支持装置を提供することを目的としている。
【0005】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は天井目地パネルを設置する部位の上部位置の一方の建物の目地部側外壁面に先端部が水平方向に回動できるように後端枢支部の角部を、取付け具を介して取付けられた四角枠形状のリンク機構と、このリンク機構の先端枢支部に枢支されかつ他方の建物の目地部側外壁面あるいは、該他方の建物の目地部側外壁面に取付けられた当接片と当接する当接片と、前記リンク機構の先端枢支部に枢支されかつ左右のバー部材より一方の建物の目地部側外壁面近傍まで突出させた一対の支持アームと、この一対の支持アームの先端部を一方の建物の目地部側外壁面に沿ってスライド移動させる一対の支持アームガイド部材と、この一対の支持アームガイド部材の外側部位の一方の建物の目地部側外壁面に後端部が枢支され、先端部が前記当接片にスライド移動可能に取付けられた一対のアームと、前記リンク機構の下部位置の一方の建物の目地部側外壁面に先端部が前記当接片の下部位置に位置し、かつ下方へ回動するようにヒンジ部材を介して取付けられた天井目地パネルの先端寄りの部位に固定されたワイヤー取付け部材に先端部が取付けられ、後端部が前記ワイヤー取付け部材と対応する部位の前記当接片に取付けられたガイドリング、このガイドリングと対応する部位の一方の建物の目地部側外壁面に取付けられた第2のガイドリング、この第2のガイドリングより前記一対のアームの一方のアームの先端部寄りの部位に取付けられた第3のガイドリングを通過して、他方のアームの先端部寄りの部位に固定された、通常時には天井目地パネルをほぼ水平に保持し、地震で目地部の幅が狭くなる寸法よりも大きい寸法状態で天井目地パネルの先端部を下方へ回動させることができるワイヤーとで天井目地パネルの支持装置を構成している。
【発明の効果】
【0007】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
【0008】
(1)地震で目地部が急に狭くなると、当接片が他方の当接片あるいは他方の建物の目地部側外壁面によって、一方の建物の目地部側外壁面方向に押し圧され、当接片にスライド移動可能に取付けられた一対のアームの先端部が近接する方向にスライド移動し、天井目地パネルをほぼ水平に保持していたワイヤーがゆるみ、天井目地パネルの自重で先端部が下方へ回動して、その揺れ動きを吸収することができる。
なお、一対のアームの先端部がスライド移動した距離以上にワイヤーが移動して、天井パネルの先端部が他方の建物の目地部側外壁面や他方の天井目地パネルの先端部と衝突して損傷するのを効率よく阻止することができる。
【0009】
(2)前記(1)によって、天井目地パネルをワイヤーで支持しているので、長期間使用していても長さが変化したり、劣化したりするのを防止でき、長期間安定状態で使用することができる。
【0010】
(3)前記(1)により、天井目地プレートの先端部を下方へ回動させて、地震時の目地部が狭くなる揺れ動きを吸収するので、天井目地部の上部に大きなスペースがなくても取付けることができる。
【0011】
(4)前記(1)によって、リンク機構、当接片、一対の支持アーム、一対の支持アームガイド部材、一対のアームは水平方向にだけ移動や回動するため、天井目地プレートを、確実に水平状態を保つように支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明を実施するための第1の形態の平面図。
【図2】図1の2−2線に沿う断面図。
【図3】図1の3−3線に沿う断面図。
【図4】本発明を実施するための第1の形態のリンク機構の説明図。
【図5】本発明を実施するための第1の形態の支持アームガイド部材の説明図。
【図6】本発明を実施するための第1の形態のワイヤーの取付け状態の説明図。
【図7】本発明を実施するための第1の形態の目地部が狭くなる状態を説明する平面図。
【図8】図7の8−8線に沿う断面図。
【図9】本発明を実施するための第1の形態の目地部が広くなる動作説明図。
【図10】本発明を実施するための第2の形態の平面図。
【図11】図10の11−11線に沿う断面図。
【図12】図10の12−12線に沿う断面図。
【図13】本発明を実施するための第3の形態の平面図。
【図14】図13の14−14線に沿う断面図。
【図15】図13の15−15線に沿う断面図。
【図16】本発明を実施するための第3の形態の目地部が狭くなった動作説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
【0014】
図1ないし図9に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は左右の建物2の天井目地部3を覆う天井目地装置で、この天井目地装置1は一方の建物2の目地部側外壁面2aに後端部がヒンジ部材4を介して取付けられた先端部が他方の建物2の目地部側外壁面2a近傍に位置する回動可能な天井目地パネル5と、この天井目地パネル5の上部位置で、該天井目地パネル5を通常時にはほぼ水平状態に保持し、地震により目地部が狭くなると、前記天井目地パネル5の先端部が他方の建物2の目地部側外壁面2aと衝突することなく下方へ回動させることができる本発明の天井目地パネルの支持装置6とで構成されている。
【0015】
前記天井目地パネルの支持装置6は、前記天井目地パネル5を設置する部位の上部位置の一方の建物2の目地部側外壁面2aに先端部が水平方向に回動できるように後端枢支部7aの角部を、取付け具8を介して取付けられた四角枠形状のリンク機構7と、このリンク機構7の先端枢支部7bに枢支された他方の建物2の目地部側外壁面2aと当接する当接片9と、前記リンク機構7の先端枢支部7bに枢支された左右のバー部材7c、7cより前記一方の建物2の目地部側外壁面2a近傍まで突出させた一対の支持アーム10、10と、この一対の支持アーム10、10の先端部を、前記一方の建物2の目地部側外壁面2aに沿って水平方向に上・下ローラ11、11を介してスライド移動させる一対の支持アームガイド部材12、12と、この一対の支持アームガイド部材12、12の外側部位の前記一方の建物2の目地部側外壁面2aに後端部が枢支され、先端部が前記当接片9にスライド移動可能に取付けられた一対のアーム13、14と、前記リンク機構7の下部位置の天井目地パネル5の先端ほぼ中央部に固定されたワイヤー取付け部材15に先端部が取付けられ、他端部が前記ワイヤー取付け部材15と対応する部位の前記当接片9に取付けられたアイボルトを用いたガイドリング16、このガイドリング16と対応する部位の前記一方の建物2の目地部側外壁面2aに取付けられたアイボルトを用いた第2のガイドリング17、この第2のガイドリング17より前記一対のアーム13、14の一方のアーム14の先端部寄りの部位に取付けられたアイボルトを用いた第3のガイドリング18をそれぞれ通過して、前記一対のアーム13、14の他方のアーム13の先端部寄りの部位に固定されたワイヤー取付け部材19に固定され、通常時には前記天井目地パネル5をほぼ水平に保持し、地震で目地部の幅が狭くなる寸法よりも大きい寸法状態で天井目地パネル5の先端部を下方へ回動させることができるワイヤー20とで構成されている。
【0016】
上記構成の天井目地パネルの支持装置6は、天井目地部3を覆っている天井目地パネル5を、図2に示すようにほぼ水平となるように保持している。
すなわち、天井目地パネル5の上部位置の一方の建物2の目地部側外壁面2aにリンク機構7、一対の支持アーム10、10、一対の支持アームガイド部材12、12および一対のアーム13、14によって、当接片9がほぼ水平状態に保たれており、天井目地パネル5の先端中央部に一端部が取付けられ、ガイドリング16、第2のガイドリング17、第3のガイドリング18およびワイヤー取付け部材19に取付けられたワイヤー20によって天井目地パネル5をほぼ水平に保っている。
【0017】
地震により目地部が狭くなるように左右の建物2、2が揺れ動いた場合、図7および図8に示すように、当接片9が他方の建物2の目地部側外壁面2aによって、一方の建物2の目地部側外壁面2a方向へ押し圧されるので、一対のアーム13、14の先端部が内側(近づく)方向にスライド移動するため、一対のアーム13、14の先端部の移動量および一方のアーム14の移動量が+された分だけワイヤー20がゆるみ、天井目地パネル5の自重によって先端部がワイヤー20のゆるみ分だけ下方へ回動する。
この時、天井目地パネル5を吊り下げている部分のワイヤー20は当接片9の移動量のほぼ3倍の移動量があり、天井目地パネル5の先端部が他方の建物2の目地部側外壁面2aに衝突する前に下方へ回動させて、その衝突を回避させることができる。
地震により目地部が広くなるように左右の建物2、2が揺れ動いた場合、図9に示すように天井目地パネル5が一方の建物2と一体となって、他方の建物2より離れて、その揺れ動きを吸収することができる。
[発明を実施するための異なる形態]
【0018】
次に、図10ないし図16に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0019】
図10ないし図12に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、天井目地パネル5の両端部寄りの先端部にワイヤー取付け部材15、15を固定して、ワイヤー20、20をガイドリング16、16、第2のガイドリング17、17、第3のガイドリング18、18およびワイヤー取付け部材19、19に後端部を固定した点で、このように構成した天井目地パネルの支持部材6Aにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られるとともに、長い天井目地パネル5でも平常時にはほぼ水平に位置でき、目地部が狭くなった場合に、天井目地パネル5の先端部を下方へ回動させて、その揺れ動きを吸収することができる。
【0020】
図13ないし図16に示す本発明を実施するための第3の形態において、前記本発明を実施するための第2の形態と主に異なる点は、一方の建物2の目地部側外壁面2aと他方の建物2の目地部側外壁面2aとにほぼ中央部で当接片9、9が当接するようにリンク機構7、7、一対の支持アーム10、10、10、10、一対の支持アームガイド部材12、12、12、12、一対のアーム13、14、13、14を取付けるとともに、一方の天井目地パネル5Aの先端部に他方の天井目地パネル5の先端部が入り込む凹部21を形成した点で、このように構成された天井パネルの支持装置1Bにしても、前記本発明を実施するための第2の形態と同様な作用効果が得られるとともに、目地部3の幅寸法の広い部分に設置することができる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明は天井目地パネルの支持装置を製造する産業で利用される。
【符号の説明】
【0022】
1:天井目地装置、 2:建物、
3:天井目地部、 4:ヒンジ部材、
5:天井目地パネル、
6、6A、6B:天井目地パネルの支持装置、
7a:後端枢支部、 7b:先端枢支部、
7:リンク機構、 8:取付け具、
9:当接片、 10:支持アーム、
11:ローラ、 12:支持アームガイド部材、
13:アーム、 14:アーム、
15:ワイヤー取付け部材、 16:ガイドリング、
17:第2のガイドリング、 18:第3のガイドリング、
19:ワイヤー取付け部材、 20:ワイヤー、
21:凹部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井目地パネルを設置する部位の上部位置の一方の建物の目地部側外壁面に先端部が水平方向に回動できるように後端枢支部の角部を、取付け具を介して取付けられた四角枠形状のリンク機構と、このリンク機構の先端枢支部に枢支されかつ他方の建物の目地部側外壁面あるいは、該他方の建物の目地部側外壁面に取付けられた当接片と当接する当接片と、前記リンク機構の先端枢支部に枢支されかつ左右のバー部材より一方の建物の目地部側外壁面近傍まで突出させた一対の支持アームと、この一対の支持アームの先端部を一方の建物の目地部側外壁面に沿ってスライド移動させる一対の支持アームガイド部材と、この一対の支持アームガイド部材の外側部位の一方の建物の目地部側外壁面に後端部が枢支され、先端部が前記当接片にスライド移動可能に取付けられた一対のアームと、前記リンク機構の下部位置の一方の建物の目地部側外壁面に先端部が前記当接片の下部位置に位置し、かつ下方へ回動するようにヒンジ部材を介して取付けられた天井目地パネルの先端寄りの部位に固定されたワイヤー取付け部材に先端部が取付けられ、後端部が前記ワイヤー取付け部材と対応する部位の前記当接片に取付けられたガイドリング、このガイドリングと対応する部位の一方の建物の目地部側外壁面に取付けられた第2のガイドリング、この第2のガイドリングより前記一対のアームの一方のアームの先端部寄りの部位に取付けられた第3のガイドリングを通過して、他方のアームの先端部寄りの部位に固定された、通常時には天井目地パネルをほぼ水平に保持し、地震で目地部の幅が狭くなる寸法よりも大きい寸法状態で天井目地パネルの先端部を下方へ回動させることができるワイヤーとからなることを特徴とする天井目地パネルの支持装置。
【請求項1】
天井目地パネルを設置する部位の上部位置の一方の建物の目地部側外壁面に先端部が水平方向に回動できるように後端枢支部の角部を、取付け具を介して取付けられた四角枠形状のリンク機構と、このリンク機構の先端枢支部に枢支されかつ他方の建物の目地部側外壁面あるいは、該他方の建物の目地部側外壁面に取付けられた当接片と当接する当接片と、前記リンク機構の先端枢支部に枢支されかつ左右のバー部材より一方の建物の目地部側外壁面近傍まで突出させた一対の支持アームと、この一対の支持アームの先端部を一方の建物の目地部側外壁面に沿ってスライド移動させる一対の支持アームガイド部材と、この一対の支持アームガイド部材の外側部位の一方の建物の目地部側外壁面に後端部が枢支され、先端部が前記当接片にスライド移動可能に取付けられた一対のアームと、前記リンク機構の下部位置の一方の建物の目地部側外壁面に先端部が前記当接片の下部位置に位置し、かつ下方へ回動するようにヒンジ部材を介して取付けられた天井目地パネルの先端寄りの部位に固定されたワイヤー取付け部材に先端部が取付けられ、後端部が前記ワイヤー取付け部材と対応する部位の前記当接片に取付けられたガイドリング、このガイドリングと対応する部位の一方の建物の目地部側外壁面に取付けられた第2のガイドリング、この第2のガイドリングより前記一対のアームの一方のアームの先端部寄りの部位に取付けられた第3のガイドリングを通過して、他方のアームの先端部寄りの部位に固定された、通常時には天井目地パネルをほぼ水平に保持し、地震で目地部の幅が狭くなる寸法よりも大きい寸法状態で天井目地パネルの先端部を下方へ回動させることができるワイヤーとからなることを特徴とする天井目地パネルの支持装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2010−265707(P2010−265707A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−119477(P2009−119477)
【出願日】平成21年5月18日(2009.5.18)
【出願人】(000110365)ドーエイ外装有限会社 (152)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月18日(2009.5.18)
【出願人】(000110365)ドーエイ外装有限会社 (152)
【Fターム(参考)】
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