説明

天井組込照明構造

【課題】より簡単な構造の配光制御された天井組込照明構造を提供する。
【解決手段】2枚の天井材40の間に照明装置1が組み込まれている天井組込照明構造において、前記照明装置1は、光源11と、この光源11からの光を出射する発光面2bを有する導光材2と、この導光材2の前記発光面2bに対向して配置され前記導光材2から出射された光が透過する照明カバー30とを備え、前記照明カバー30は、前記導光材2に対向する面81およびその反対側の面82の少なくとも一方の面に、一方の前記天井材40側の部分に断面視略円弧状の凸曲面83が形成されており、前記導光材2の前記発光面2bから出射された光が前記導光材2の凸曲面83で屈折してその照射方向が他方の前記天井材40寄りに向かうように制御されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井材に照明装置が組み込まれている天井組込照明構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2枚の天井材の間に照明装置が組み込まれている天井組込照明構造が知られている。例えば、特許文献1に記載の照明装置は、蛍光灯を収納し保持する箱状体とこの箱状体の下面に取り付けられる平板状の照明カバーとから構成され、浴室ユニットの天井部において浴槽側と洗い場側との間に組み込まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−152681号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の天井組込照明構造においては、箱状体の中の蛍光灯で照明カバーを介して浴室内が照らされており、浴槽側の空間と洗い場側との空間は略均等の明るさで照らされている。しかしながら、浴室照明としては、入浴者が洗体、洗髪を行いやすいように洗い場側の空間をより明るくし、入浴者がリラックスして湯船に浸かるなど落ち着いた空間にするために浴槽側の空間をあまり明るくし過ぎないようにすることが望まれている。一つの照明装置で浴室内の明るさを場所によって変えるなど配光制御するために、例えば、照明カバーに微細なプリズム形状を施すことが考えられる。しかしながら、浴室ユニットの天井に組み込まれる照明装置の照明カバーは一般的には2m程度の長尺な押出成形体であるため、微細なプリズム形状を精度よく付与することが難しいという問題があった。
【0005】
本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、より簡単な構造の配光制御された天井組込照明構造を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の天井組込照明構造は、以下のことを特徴としている。
【0007】
本発明は、2枚の天井材の間に照明装置が組み込まれている天井組込照明構造において、照明装置は、光源と、この光源からの光を出射する発光面を有する導光材と、この導光材の発光面に対向して配置され導光材から出射された光が透過する照明カバーとを備え、照明カバーは、導光材に対向する面およびその反対側の面の少なくとも一方の面に、一方の天井材側の部分に断面視略円弧状の凸曲面が形成されており、導光材の発光面から出射された光が導光材の凸曲面で屈折してその照射方向が他方の天井材寄りに向かうように制御されていることを特徴とする。
【0008】
この天井組込照明構造において、照明カバーは、導光材に対向する面とその反対側の面とが他方の天井材側の部分において略平行に形成されていることが好ましい。
【0009】
また、この天井組込照明構造において、照明カバーは、導光材に対向する面とその反対側の面とが他方の天井材側の部分において一方の天井材から他方の天井材に向かって漸近していることが好ましい。
【0010】
さらにまた、この天井組込照明構造において、導光材の発光面は、断面視略半円弧状の凸曲面であることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、配光制御された天井組込照明構造をより簡単な構造にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】(a)は本発明の天井組込照明構造の一実施形態を示す斜視図であり、(b)は(a)のA−A線断面図である。
【図2】図1(a)のB−B線断面図である。
【図3】照明カバーを透過した光の配光を説明するための模式図である。
【図4】光源ユニットの斜視図である。
【図5】照明装置の分解斜視図である。
【図6】光源ユニットのケース体への取り付けを説明する斜視図である。
【図7】照明装置の取り付けを説明する斜視図である。
【図8】(a)、(b)は天井組込照明構造の別の実施形態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0014】
図1(a)は、本発明の天井組込照明構造の一実施形態を示す斜視図であり、図1(b)は、図1(a)のA−A線断面図である。図2は、図1(a)のB−B線断面図である。図3は、照明カバーを透過した光の配光を説明するための模式図である。図4は、光源ユニットの斜視図であり、図5は、照明装置の分解斜視図である。図6は、光源ユニットのケース体への取り付けを説明する斜視図であり、図7は、照明装置の取り付けを説明する斜視図である。
【0015】
天井材40は、浴室ユニット等の天井の構成部材であり、本実施形態では2枚の天井材40と照明装置1とで浴室ユニット60の天井が構成されている。2枚の天井材40はそれぞれ浴室ユニット60の浴槽61側の天井と洗い場64側の天井を構成し、照明装置1は浴槽61側と洗い場64側との境界部分の天井を構成している。
【0016】
天井材40は、鋼板やアルミニウム板のような金属または合成樹脂などにより矩形状に形成され、下面が浴室内に露出する面板部41の4側端部(4辺)41aの一つに背面側(上側)に向かって突出する平板状の挟持片42が全長にわたって折曲形成されている。挟持片42にはその長手方向の略中央の位置1箇所に位置決め用孔46が設けられ、この位置決め用孔46の下側に貫通孔45が長手方向4箇所に所定間隔で設けられている。この位置決め用孔46および貫通孔45は、後述する棒状の位置決め部材70および固着具50がそれぞれ挿し込まれる孔であり、その数、位置等は特に制限されるものではない。例えば、照明装置1を挟持片42に取り付けることができれば、位置決め用孔46は、複数の箇所に設けられていてもよいし、貫通孔45の下側に設けられていてもよい。また貫通孔45は、後述するように、位置決め用孔46に挿通する位置決め部材70の内部に形成される固着具挿通孔71として構成することもできる。
【0017】
2枚の天井材40のうち一方の天井材40には、点検蓋43を着脱自在に取り付け可能な点検口44が設けられている。2枚の天井材40は、挟持片42が対向するようにそれぞれ配置され、対向する挟持片42の間に照明装置1が取り付けられる。
【0018】
照明装置1は、線状に光るライン照明であり、光源ユニット10と、この光源ユニット10からの光を受けて出射する導光材2と、この導光材2から出射された光が透過する照明カバー30とを備えている。また、導光材2および光源ユニット10を収納するケース体20も備えている。導光材2は単数もしくは複数でもよく、複数の場合には長手方向に配列されてケース体20に収納される。本実施形態では、4本の導光材2が長手方向に配列され、隣接する導光材2の端部同士が互いに当接するように連続して配置されている。その長手方向全長は、挟持片42が形成されている天井材40の1辺の長さと略一致する。光源ユニット10は、導光材2の数に対応して4つ設けられているが、導光材2が長手方向に連続して配置されていれば4つ以下の数とすることもできる。
【0019】
導光材2は、アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂等の合成樹脂、ガラス等の透光性を有し屈折率の高い部材で構成される。この導光材2は、短辺側の一方の側面が入射面2a、長辺側の一側面が室内空間の照明光として光を出射する発光面2bとなる断面視略矩形状の長尺な部材で構成される。より具体的には、入射面2aからその反対側の側面に向かって長辺側の対向する一対の側面が漸近する楔型形状を有し、漸近する一対の側面の一つが発光面2bとされる。楔型形状とすることにより、入射面2aから入射した光の繰り返し反射による減衰が抑えられる。この効果を高めるために、光を拡散導出するための導光パターンを漸近する一対の側面のうち発光面2bの反対側の側面に設けることができる。導光パターンは、例えば、発光面2bの反対側の側面に、反射シートを貼着したり反射性の物質を印刷や蒸着したりすることによって形成される。また導光パターンは、導光材2の長手方向に直交する方向に溝加工もしくは溝を成形することによっても形成することができる。このような導光パターンは導光材2の長手方向全長にわたって設けることができる。
【0020】
光源ユニット10は、LED等の光源11と、基板12と、この基板12を収納する基板ケース13とから構成され、上下方向に着脱可能にケース体20に収納される。
【0021】
光源11は基板12に単数または複数搭載されており、この光源11が導光材2の入射面2aに対向して配置されるように基板ケース13に基板12が装着され、基板ケース13がケース体20に装着される。
【0022】
ケース体20は、アルミニウム等の金属、合成樹脂等の剛性部材で構成され、対向する一対の平板状の長尺な側板23と、この一対の側板23間を連結する平板状の長尺な連結板21とから一体に形成されている。具体的には、一対の側板23は互いに略平行に配置され、この一対の側板23の間に、側板23に直交するように連結板21が配置され、ケース体20は断面視略H字形状に形成されている。このような形状とすることにより、ケース体20自体の強度が効果的に確保され、ケース体20の撓み、変形が抑制される。照明装置1の天井材40への取り付けに必要な剛性がより効果的に確保される。また、天井材40の補強材としての機能を兼ねることもできる。ケース体20に収納される導光材2の強度も補強され、導光材2の撓み、変形を抑制する機能も有する。
【0023】
ケース体20は、2枚の天井材40の各々に形成されている挟持片42の間に配置され、各側板23の外側面(対向する側板側の面とは反対側の面)が各々の挟持片42の内側面(対向する挟持片側の面)に当接する。
【0024】
各側板23は、下端部に、内方(対向する側板側に向かう方向)に突出する平板状の支持片24を長手方向全長にわたって有している。この支持片24は連結板21と略平行に形成されている。各側板23の支持片24は対向して形成されており、これら支持片24の間に導光材2が挟持され支持される。また、各側板23の内側面(対向する側板側の面)には、下側部分が内方に凹み、光源ユニット10を支持する載置部28が形成されている。
【0025】
連結板21と一対の側板23とで囲まれる領域のうち連結板21の下側に形成され下方に開放する下側領域Yにおいて、導光材2が支持片24に支持されて収納される。一方、連結板21の上側に形成され上方に開放する上側領域Xにおいては、上記した挟持片42の位置決め用孔46を通じて位置決め部材70が外方から挿し込まれて、ケース体20が挟持片42に取り付けられるようになっている。また、挟持片42の貫通孔45を通じて固着具50が外方から挿し込まれて、ケース体20が挟持片42に固定されるようになっている。これによって、位置決め部材70および固着具50と導光材2とが互いに干渉することなく照明装置1が天井材40に取り付けられる。
【0026】
ケース体20の各側板23に対向して形成されている支持片24の間の離間距離dは、導光材2の幅Dよりもやや狭く設定され、導光材2の発光面2bが支持片24によって可能な限り遮蔽されないようにされている。各支持片24には、先端部上側に突起25が設けられて段部26が形成されている。これら支持片24の段部26の間に導光材2が挟持されることにより、導光材2の設置安定性が向上し、ケース体20内に安定して収納される。
【0027】
ケース体20内への導光材2の収納は、導光材2の発光面2bが室内空間に臨むようにケース体20の両端部の一方の端部から下側領域Yに挿し込まれることによってなされる。
【0028】
ケース体20の各側板23には、挟持片42の位置決め用孔46に対応する位置決め部材70の位置決め用孔37が長手方向の略中央の位置に設けられている。また、各側板23には、挟持片42の貫通孔45に対応する固着具50の貫通孔27が位置決め用孔37の下側に長手方向4箇所に所定間隔で設けられている。側板23および挟持片42の位置決め用孔37,46に位置決め部材70を挿通させることにより照明装置1が挟持片42に取り付けられ、側板23および挟持片42の貫通孔27,45に固着具50を挿通させ締結することにより照明装置1が挟持片42に固定される。固着具50の締結時のケース体20の変形をできるだけ抑えるために連結板21付近に貫通孔27が設けられることが好ましい。連結板21よりも下側に位置決め用孔37や貫通孔27を側板23に設け、側板23および挟持片42の位置決め用孔37,46、貫通孔27,45を通じて下側領域Yに位置決め部材70と固着具50を挿し込んで照明装置1を挟持片42に取り付け、固定することもできる。この場合、下側領域Yに収納される導光材2と挿し込まれる位置決め部材70および固着具50とが干渉しないような位置に位置決め部材70や貫通孔27が側板23に設けられる。
【0029】
挟持片42に取り付けられた照明装置1が天井面41bから突出しないように、挟持片42の高さ(天井面41bから天井裏面(背面)に至る方向の長さ)、ケース体20の高さ(天井面41bから天井裏面に至る方向の長さ)等が設定される。同様に、側板23および挟持片42の位置決め用孔37,46、貫通孔27,45の形状、位置等も照明装置1が天井面41bから突出しないように設定される。照明装置1が天井面41bと同一面上(面一)になるように、上記した部材の高さや孔の形状、位置等が設定されることが好ましい。照明装置1が後述する照明カバー30を備えているときは、照明カバー30の室内空間側の面が天井面41bから突出しないように、上記した部材の高さや孔の形状、位置等が設定される。
【0030】
側板23および挟持片42の位置決め用孔37,46の形状は、位置決め部材70の外形形状と略一致する形状であることが好ましい。このとき、位置決め用孔37,46に位置決め部材70を挿通させたときの位置決め用孔37,46と位置決め部材70との間に形成されるクリアランスが可能な限り小さくなるようにすることが好ましい。例えば、位置決め部材70が円柱形状を有している場合、位置決め用孔37,46の形状は位置決め部材70の外径よりもやや小さい円形状に形成されていることが考慮される。側板23および挟持片42の貫通孔27,45の形状は、固着具50の締結により照明装置1を挟持片42に固定することができれば特に制限されない。例えば、固着具50を挿通させたときの貫通孔27,45と固着具50との間に形成されるクリアランスが上記した位置決め用孔37,46と位置決め部材70との間のクリアランスよりも大きくなるような長孔状とすることができる。
【0031】
本実施形態では、ケース体20の側板23に、外側面から外方に突出する平板状の係止片29が設けられており、挟持片42の先端部42aに係止片29が引っ掛かってケース体20が挟持片42に載置され、支持されるようになっている。これによって、照明装置1を天井材40に取り付ける際、ケース体20の落下を防ぐことができる。また作業性を向上させる利点も有する。
【0032】
照明カバー30は、導光材2の発光面2bに対向して配置され、導光材2を覆うようにケース体20の側板23の下側部分に装着される。照明カバー30は、アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂等の透明性合成樹脂で押出成形などによって製造される長尺な部材であり、ケース体20の長手方向全長と略同じ長さを有し、天井材40とともに浴室ユニット60の天井を構成する。
【0033】
この照明カバー30には光学機能を付与されており、照明装置1の照明演出効果が高められている。例えば図1に示すように、照明カバー30の導光材2に対向する面(対向面81)とは反対側の面82は、平坦面とされ、導光材2の発光面2bに対して略平行に形成されている。一方、対向面81は、浴槽61側の天井材40側の部分に、断面視で略1/4円弧状の凸曲面83が形成されている。この対向面81は、浴槽61側の天井材40から洗い場64側の天井材40に向かって凸曲面83に連続する面84が形成されており、浴槽61側の天井材40側の部分と洗い場64側の天井材40側の部分とが連続している。この凸曲面83に連続する面84は平坦面であり反対側の面82に対して略平行に形成されている。このように凸曲面83が形成されている面(本実施形態では対向面81)は、浴槽61側の天井材40側の部分と洗い場64側の天井材40側の部分の形状が非対称になっている。
【0034】
このような構造の照明カバー30を用いることにより、浴室ユニット60内の洗い場64側の空間を浴槽61側の空間よりも明るく照らすことができる。図3は、照明カバー30を透過した光の配光を説明するための模式図であり、導光材2とその発光面2bに対向して配置される照明カバー30とを簡略化して記載している。図中の矢印は光の照射方向を示している。
【0035】
導光材2の発光面2bから出射される光は導光パターンにより拡散された光となっており、このうち浴槽61側に向かう光は照明カバー30の凸曲面83で屈折しその照射方向が洗い場64側に向かう。一方、導光材2の発光面2bから出射される光のうち洗い場64側に向かう光は、凸曲面83に連続する面84と反対側の面82とが略平行に形成されているので照明カバー30を透過してもそのまま洗い場64側に向かう。このように照明カバー30を透過した光はその照射方向が洗い場64寄りに向かうことになり、浴室ユニット60内においては、洗い場64側の空間に照射される光の光度が浴槽61側の空間に照射される光の光度と比べて高くなり、洗い場64側の空間がより明るくなる。本実施形態のような照明カバー30がない場合には、導光材2の発光面2bから出射される光が拡散光のため、洗い場64側の空間と浴槽61側の空間は略均等の明るさで照らされることになる。また、照明カバー30は、凸曲面83に連続する面84と反対側の面82とが略平行に形成されているなど押出成形が容易な簡単な構造であるため、低コストで製造でき、しかも製造が安定化し品質の信頼性が向上する。
【0036】
照明カバー30の凸曲面83は、対向面81だけでなく反対側の面82の浴槽61側の天井材40側の部分にも形成されていてもよいし、反対側の面82だけに形成されていてもよい。いずれの場合も配光制御が可能であり、洗い場64側の空間をより明るくすることができる。浴室ユニット60内から観察される照明装置1の存在感を抑えてすっきりした室内空間を付与するなどの意匠性や浴室内の清掃などを考慮すると、凸曲面83は対向面81のみに形成され、反対側の面82は平坦面とされていることが好ましい。
【0037】
本実施形態の照明カバー30は、両側端部に、対向する一対の係止爪片31を有している。係止爪片31は、照明カバー30の対向面81から上方に突設され、照明カバー30と一体に形成されており、その先端部に、内方に突出する凸部32が形成されている。一方、照明カバー30が装着される側板23の外側面には、下側部分が内方に凹み、係止爪片31の凸部32が引っ掛かる係合凹部33が形成されている。この係合凹部33は、支持片24と載置部28との間に形成されている。係止爪片31の凸部32を係合凹部33に引っ掛けて照明カバー30を装着し下側領域Yを閉塞して導光材2を覆うことで、防水性、意匠性を向上させている。
【0038】
防水性をさらに向上させるために、係止爪片31の背面側(挟持片側)の面に挟持片42と当接するパッキン80を設けてもよい。対向する挟持片42の間に照明装置1が挟持されると、照明カバー30と挟持片42との間に形成される隙間がパッキン80で遮蔽され、水密性が確保される。パッキン80は、照明カバー30の側端部が外方に突出して形成される突出部35と係止爪片31とにより構成される段差部36に貼り付けられる。
【0039】
また、本実施形態では、ケース体20の両端部に、合成樹脂等の剛性部材で形成されるエンドキャップ39が嵌め込まれている。これによってケース体20の両端部の隙間が閉塞される。
【0040】
次に、光源ユニット10のケース体20への取り付けについて説明する。
【0041】
光源ユニット10の取り付けは、導光材2をケース体20に収納した後に行われる。
【0042】
光源ユニット10を構成する基板ケース13は、導光材2の入射面2a側に開口を有し基板12を収納する箱状の光源収納部14と、ケース体20内において光源収納部14を保持する保持部15とが連設され、側面視略L字状に形成されている。保持部15は、光源収納部14を構成する一対の側板17が上方に延設されて形成されており、その一対の側板17の上側部分に一対の貫通孔16が形成されている。ケース体20の連結板21には、光源ユニット10が装着される部分が切り欠かれて開口22が形成されており、この開口22によって、上側領域Xと下側領域Yが連通している。光源ユニット10のケース体20への取り付けは、上方から連結板21の開口22に挿し込み、基板ケース13の下端部が側板23の載置部28に当接するまで押し込むことによってなされる。これによって光源ユニット10の光源収納部14が下側領域Yに配置され、光源ユニット10の保持部15が上側領域Xに配置され、光源ユニット10がケース体20内に収納される。下側領域Yに配置された光源収納部14は、同じ下側領域Yに収納されている導光材2の入射面2aに対峙し、光源収納部14の基板12に搭載された光源11から導光材2の入射面2aに向かって光が出射されることになる。
【0043】
ケース体20の側板23には、係止片29の上側に、挟持片42の貫通孔45に対応する貫通孔38が設けられている。基板ケース13をケース体20に収納した状態でピン54、ねじなどの連結具53を保持部15および側板23の貫通孔16,38に挿通させることによって、ケース体20に安定して取り付けることができる。
【0044】
本実施形態では、保持部15および側板23の貫通孔16,38から連結具53を外すことによって、ケース体20から光源ユニット10を容易に上方向に取り外すことが可能であり、またケース体20の上方から下方向に挿し込んで装着することも可能である。このため、光源ユニット10を容易に交換、点検できるなどメンテナンス性および作業性に優れる。
【0045】
上記のような構成の照明装置1は、例えば、浴室ユニット60の壁を構成する複数の壁パネル62への天井材40の取り付け施工時に天井材40に取り付けられる。
【0046】
浴室ユニット60は、一般的には、防水パン、浴槽61、壁パネル62、天井材40を現場で組み立てて構成される。例えば、防水パンの外端部の立ち上がりの上部に壁パネル載置部を形成し、この壁パネル載置部の上に複数の壁パネル62を載置する。次いで、壁パネル62で囲まれる空間の上部開口63を天井材40で塞ぐように壁パネル62の上に取り付けて浴室ユニット60を組み立てている。本実施形態では天井材40の取り付け施工時に照明装置1を天井材40に取り付けている。以下に、照明装置1の天井材40への取り付けについて説明する。
【0047】
まず、図7に示すように、2枚の天井材40のうち一方の天井材40を、挟持片42が形成されていない3側端部41aと壁パネル62の上端部62aとが一致するように配置して取り付ける。次に、この天井材40の挟持片42の先端部42aにケース体20の係止片29が引っ掛かるようにケース体20の側板23を挟持片42に当接させて照明装置1を配置する。照明装置1に係止片29を設けていない場合には、側板23が挟持片42に当接するように、対向する一対の壁パネル62の上に照明装置1の両端部を載置する。このとき、照明装置1は、その両端部が一対の壁パネル62に支持されて浴室に架け渡されたような状態となる。
【0048】
次に、他方の天井材40の挟持片42が側板23に当接するように他方の天井材40を壁パネル62に取り付ける。これによって、一方の天井材40と他方の天井材40の各々に対向して形成されている挟持片42の間に照明装置1が挟持され、浴室の壁パネル62で囲まれる空間の上部開口63は2枚の天井材40と照明装置1とで閉塞される。
【0049】
次に、浴室ユニット60の内部から天井材40の点検口44を通じて、棒状の位置決め部材70を用いて照明装置1を2枚の天井材40の間に取り付けて仮固定する。
【0050】
位置決め部材70は、金属等の剛性材で形成され十分な強度を有し、2枚の天井材40の挟持片42の間に照明装置1が挟持され位置決め用孔37,46に挿し込まれた状態において両端部が各挟持片42の外方に突出する程度に十分な長さを有している。本実施形態の位置決め部材70は、円柱形状を有し、両端部は、先端に向かって徐々に外径が小さくなる傾斜構造を有している。この傾斜構造は位置決め用孔37,46への挿入を容易にするものであり、一方の端部にのみ傾斜構造を有していてもよい。もちろん、傾斜構造を有していなくてもよい。位置決め用孔37,46の形状は、位置決め部材70の外形形状に応じて円形状に形成されている。なお、位置決め部材70や位置決め用孔37,46の形状は特に制限されるものではなく、例えば、位置決め部材70を角柱形状とし、位置決め用孔37,46の形状を矩形状とすることもできる。
【0051】
位置決め部材70は2枚の天井材40の挟持片42の間に照明装置1が挟持された状態で位置決め用孔37,46に挿し込まれ、これによって照明装置1が2枚の天井材40の間に取り付けられる。位置決め部材70の位置決め用孔37,46への挿し込みは、次の方法でなされる。すなわち、一方の天井材40の挟持片42の位置決め用孔46にその外方から位置決め部材70の一方の端部を挿し込み、照明装置1のケース体20の位置決め用孔37および他方の天井材40の挟持片42の位置決め用孔46に順次挿通させる。位置決め部材70の端部が傾斜構造を有する場合、その端部を一方の天井材40の挟持片42の位置決め用孔46に挿し込んで、照明装置1のケース体20の位置決め用孔37および他方の天井材40の挟持片42の位置決め用孔46に順次挿通させればよい。位置決め部材70を位置決め用孔37,46に挿通させることにより、2枚の天井材40の間に照明装置1が取り付けられ、仮固定される。このとき、照明装置1の照明カバー30の室内空間側の面が天井面41bと略同一面上になった状態で照明装置1が取り付けられている。
【0052】
次に、浴室ユニット60の内部から天井材40の点検口44を通じて、ボルト51、ナット52で構成される固着具50を用いて仮固定の状態の照明装置1を2枚の天井材40の間に固定する。具体的には、照明装置1が仮固定された状態で一方の天井材40の挟持片42の貫通孔45にその外方からボルト51の先端部を挿し込み、照明装置1のケース体20の貫通孔27および他方の天井材40の挟持片42の貫通孔45に順次挿通させる。挿通させたボルト51の先端部を他方の天井材40の挟持片42の貫通孔45の外方からナット52で締結することにより、2枚の天井材40の間に照明装置1が固定される。
【0053】
このように2枚の天井材40の挟持片42の間に照明装置1が挟持された状態で位置決め用孔37,46に位置決め部材70を挿し込むことにより、天井材40の挟持片42に照明装置1を容易に取り付けて仮固定することができる。位置決め用孔37,46の位置を適宜調整して設定することにより、照明装置1の照明カバー30の室内空間側の面を天井面41bと略同一面上にするなど照明装置1を所望の位置に取り付けることが可能となる。また照明装置1の位置決めが簡単に精度よくできる。照明装置1が位置決め部材70で挟持片42に取り付けられ仮固定されているので、照明装置1を上下左右にずらすなど位置調整を行うことなく照明装置1を固着具50で容易に固定することができる。2枚の天井材40の間に照明装置1を天井面41bから突出させないように容易に固定することが可能となり、浴室側から観察される照明装置1の存在感が抑えられ、すっきりした室内空間が付与され、意匠性を向上させることができる。
【0054】
以上のようにして2枚の天井材40の間に取り付けられた照明装置1は、浴槽61側の空間よりも洗い場64側の空間をより明るく照らすように配光制御されている。したがって、洗い場64においては、入浴者が洗体、洗髪などの作業がしやすくなり使い勝手が向上し、浴槽61においては、入浴者がリラックスして湯船に浸かるなど落ち着いた空間が実現される。この照明装置1は、照明カバー30に微細なプリズム形状を有しておらず簡単な構造である。照明カバー30は押出成形が容易な簡単な構造であるため、低コストで製造でき、しかも製造が安定化し品質の信頼性が向上する。
【0055】
天井組込照明構造の別の実施形態について説明する。図8は、天井組込照明構造の別の実施形態を示す模式図であり、導光材とその発光面に対向して配置される照明カバーとを簡略化して記載している。図1−図7に示した天井組込照明構造と同じ部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0056】
図8(a)の実施形態では、照明カバー30の対向面81の凸曲面83に連続する面84が、浴槽側の天井材から洗い場側の天井材に向かって反対側の面82に直線的に漸近しており傾斜面85が形成されている。導光材2は図1の導光材2と同様の形状である。
【0057】
この実施形態では、導光材2の発光面2bから出射される拡散光のうち、浴槽側に向かう光は照明カバー30の凸曲面83で屈折しその照射方向が洗い場側に向かう。一方、洗い場側に向かう光は矢印で示すように照明カバー30の傾斜面85において屈折し、やや浴槽寄りに集光されている。したがって、照明カバー30を透過した、洗い場側に向かう光は、やや浴槽寄りに集光されて指向性が高められており、洗い場側の空間をより効果的に明るく照らすことができる。
【0058】
なお、傾斜面85は、照明カバー30の対向面81だけでなく反対側の面82にも形成されていてもよいし、反対側の面82のみに形成されていてもよい。
【0059】
図8(b)の実施形態では、導光材2の発光面2bが、断面視で略半円弧状の凸曲面とされ、丸みを帯びた形状に形成されている。照明カバー30は図1の照明カバー30と同様の形状である。
【0060】
この実施形態では、導光材2に入射した光が発光面2bにおいて屈折し、集光され、発光面2bから出射される光は、矢印で示すように拡散が抑えられて指向性が高められている。このような指向性の高い光が照明カバー30を透過すると、照明カバー30を透過した、洗い場側に向かう光も指向性が高くなっており、洗い場側の空間をより効果的に明るく照らすことができる。
【0061】
いずれの実施形態においても効率よく明るさを確保できるため省エネ化を図れるという利点を有する。
【0062】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において各種の変更が可能である。例えば、図8(a)の照明カバーと図8(b)の導光材とを組合わせた構造とすることもできる。また、上記の実施形態では照明装置の光源ユニットが導光材の短辺側の側面に対向して配置されているが、導光材の上側に配置されていてもよいし、導光材の形状を直方体形状とすることもできる。
【符号の説明】
【0063】
1 照明装置
2 導光材
2b 発光面
11 光源
30 照明カバー
40 天井材
81 対向面
82 反対側の面
83 凸曲面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2枚の天井材の間に照明装置が組み込まれている天井組込照明構造において、前記照明装置は、光源と、この光源からの光を出射する発光面を有する導光材と、この導光材の前記発光面に対向して配置され前記導光材から出射された光が透過する照明カバーとを備え、前記照明カバーは、前記導光材に対向する面およびその反対側の面の少なくとも一方の面に、一方の前記天井材側の部分に断面視略円弧状の凸曲面が形成されており、前記導光材の前記発光面から出射された光が前記導光材の凸曲面で屈折してその照射方向が他方の前記天井材寄りに向かうように制御されていることを特徴とする天井組込照明構造。
【請求項2】
前記照明カバーは、前記導光材に対向する面とその反対側の面とが他方の前記天井材側の部分において略平行に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の天井組込照明構造。
【請求項3】
前記照明カバーは、前記導光材に対向する面とその反対側の面とが他方の前記天井材側の部分において一方の前記天井材から他方の前記天井材に向かって漸近していることを特徴とする請求項1に記載の天井組込照明構造。
【請求項4】
前記導光材の前記発光面は、断面視略半円弧状の凸曲面であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の天井組込照明構造。

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図8】
image rotate

【図1】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−48920(P2012−48920A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−188849(P2010−188849)
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】