天板取付構造及び天板付家具
【課題】脚に天板を、簡単な操作を通じて取り付け可能とし、位置決めも的確に行えて、異形天板の取付等にも適切に対応し得るようにした天板取付構造を提供する。
【解決手段】天板受1xに天板2を取り付けるにあたり、天板受1xより上方に向けて前可動爪102及び後可動爪103を、駆動機構4によるねじ送り操作を通じて互いに相寄る方向又は相離れる方向に相対移動可能な状態で突設し、駆動機構4は、ねじ送り操作をしない状態で両可動爪102,103とともに全体がねじ送り方向に遊動可能に配置する。そして、天板2の下面に開口部たるスリット202,203を設け、そのスリット202,203に両可動爪102,103を挿入して駆動機構4によりねじ送りすることによって、スリット202,203の最寄の縁部に両可動爪102,103を係り合わせて天板2を天板受1xに取り付けるようにした。
【解決手段】天板受1xに天板2を取り付けるにあたり、天板受1xより上方に向けて前可動爪102及び後可動爪103を、駆動機構4によるねじ送り操作を通じて互いに相寄る方向又は相離れる方向に相対移動可能な状態で突設し、駆動機構4は、ねじ送り操作をしない状態で両可動爪102,103とともに全体がねじ送り方向に遊動可能に配置する。そして、天板2の下面に開口部たるスリット202,203を設け、そのスリット202,203に両可動爪102,103を挿入して駆動機構4によりねじ送りすることによって、スリット202,203の最寄の縁部に両可動爪102,103を係り合わせて天板2を天板受1xに取り付けるようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脚に天板を、簡単な操作で取り付け可能とし、位置決めも的確に行えて、異形天板の取付等にも適切に対応し得るようにした天板取付構造及びこれを利用した天板付家具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、脚に天板を取り付ける構造として、特許文献1に示すもの等が知られている。このものは、脚のステーの上端に固定爪を設ける一方、天板の下面にスリットを開口し、スリットに固定爪を挿入した状態で後端部側をねじで引き寄せながら天板をスライドさせることによって、固定爪をスリットに係り合わせて、天板を脚に取り付けるようにしている。
【0003】
また、特許文献2に示すものは、脚支柱の上端に固定爪と可動爪を設ける一方、脚の外壁の外側にグリップ式のねじ部材を取り付け、このねじ部材を可動爪に螺合させて駆動機構を構成している。そして、グリップを操作することによって、外壁を足場にして可動爪を螺進退させ、固定爪及び可動爪を天板の開口に係り合わせるようにしている。
【特許文献1】特許第2630048号公報
【特許文献2】特許第2713199号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、何れのものも、ねじを締め込む際には天板が引きずられるため、工具等により操作する際の操作抵抗が大きく、天板が大型になるほど適切な操作が難しくなる場合がある。
【0005】
また、固定爪や可動爪がテーパ状をなしている場合、ねじを締めるに従って天板の開口に食い込むように密着し、食い込みに従って天板が更に微動するため、天板の奥行き方向の位置が正確に定まらないという問題もある。
【0006】
さらに、例えば図10に示すように、一対の平行配置された脚a1、a2に天板bの両縁部b1、b2を取り付ける場合に、一方の脚a1における天板bの取付時に天板bの一方の縁部b1が矢印X1に示すように先に引きずられると、天板bが想像線X2に示すように僅かに水平旋回を引き起こし、その結果、脚a1、a2の爪と天板両縁部b1、b2の開口との位置関係が狂って脚a1、a2への天板bの取付が適正さを欠くことになる場合がある。まして、例えば図11に示すように、直交配置された脚c1、c2に異形天板dの両縁部d1、d2を取り付けるような場合には、一方の脚c1における天板dの取付時に天板dの一方の縁部d1が矢印Y1に示すように先に引きずられると、他方の脚c2における天板dと脚c2がY1とほぼ同じY2方向(すなわち、脚c2の爪と天板縁部d2の開口との係合方向と直交する方向)にずれるので、脚c2への天板dの取付自体が困難となる事態も予想される。
【0007】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、脚に天板を、簡単な操作を通じて適切に取り付け可能とし、位置決めも的確に行えて、異形天板の取付等にも有効に対応し得るようにした天板取付構造及び天板付家具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0009】
先ず、本発明の天板取付構造は、天板受に天板を取り付けるにあたり、前記天板受より上方に向けて第1、第2の係り合い部を、駆動機構によるねじ送り操作を通じて互いに相寄る方向又は相離れる方向に相対移動可能な状態で突設し、前記駆動機構は、ねじ送り操作をしない状態で両係り合い部とともに全体がねじ送り方向に遊動可能に配置されており、天板の下面に開口部を設け、その開口部に両係り合い部を挿入して駆動機構によりねじ送りすることによって、開口部の対向する縁部又は背向する縁部に両係り合い部を係り合わせて天板を天板受に取り付けるようにしたことを特徴とする。
【0010】
このような構成により、天板受に天板を載せ置いた後、駆動機構のねじ送り操作を行い、これに伴い両係り合い部が相対動作を行うと、たとえ何れか一方の係り合い部が先に対応する天板の開口縁部に係り合っても、必要に応じて駆動機構全体が遊動しながら、残りの係り合い部が対応する天板の開口縁部に向かって移動することになる。つまり、天板を、その開口に両係り合い部を受容する位置に適切に載せ置きさえすれば、それ以後は天板は動くことなく、両係り合い部が必要な場所まで動いて成り行きで締まることになる。このため、ねじ送りの際に天板を引きずることがなく、軽快な操作性の下に天板を脚に平易に取り付けることができる。したがって、大型天板等には特に有効なものとなる。
【0011】
天板を脚に確実に固定するためには、天板を天板受に対してねじ送り方向に固定するための固定部を、当該天板と天板受との間に設けおくことが好ましい。ここに言う固定部は、ねじ送りにより締め付けた後にする固定も含まれる。
【0012】
但し、天板を所定の位置に確実に位置決めするためには、固定部が、天板を天板受に載せ置く際に天板と天板受との間に形成される凹凸関連部であることが望ましい。
【0013】
駆動機構の簡素な構成としては、第1の係り合い部に貫通孔を設け、第2の係り合い部にねじ孔を設けて、ねじ部材を、第1の係り合い部を貫通して第2の係り合い部に螺合させているものが挙げられる。
【0014】
ねじ部材が、頭部に回転力入力端を設けられ、一部を第1の係り合い部に設けたリテーナ部に押し当てた状態で回転することによりねじ送りを行うように構成されている場合に、ねじ部材に対する入力で両係り合い部を確実に相対動作させるためには、その頭部に隣接させて前記第1の係り合い部に頭部押えを設け、この頭部押えに、前記回転力入力端を回転力入力側に開放するための頭部よりも内寸の小さい開放窓を設けておくことが望ましい。
【0015】
以上のような天板取付構造を利用して、一対の平行配置された脚の天板受にそれぞれ天板の両縁部を取り付ければ、係り合い部と開口との位置関係を狂わせることなく、天板の何れの縁部においても当該天板を脚に適正に取り付けることが可能となる。
【0016】
また、以上のような天板取付構造を利用して、一対の交叉配置された脚の天板受にそれぞれ天板の対応部位を取り付ければ、一方の脚における天板の取付時に他方の天板を引きずることなく、何れの脚と天板との間においても、当該天板を脚に適正に取り付けることが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、以上説明した構成であるから、ねじ送りに伴って天板と脚との相対位置を狂わせることなく天板を脚に取り付けることができるので、特に大型天板の脚への取り付けや、異形天板の脚への取り付けを、軽快な操作を通じて簡単、適切に行うことができるという優れた効果が奏されるものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0019】
図1及び図2は、この実施形態の取付構造が適用される天板付家具たるデスクを示している。このデスクは、一対の脚1,1の間を補強メンバを兼ねる天板2及び背板3で連結して構成されるものである。
【0020】
脚1は脚側板11の上下両端より前方に延びるステー部12及びベース部13を備えたもので、ステー部12には図2及び図3に示すように、天板受1xより上方に向けて第1の係り合い部たる前可動爪102及び第2の係り合い部たる後可動爪103が突設してある。
【0021】
具体的には、前記ステー部12は図4及び図5に示すように上方に開口するチャネル状の上補強部120を鋼板121で覆って中空部を形成しているもので、その上補強部120内に、両可動爪102,103の基端を構成する一対の作動部41、42をステー部12の長手方向に沿って摺動可能に配置している。
【0022】
両作動部41,42には、それぞれ図4、図5及び図7に示すような対向壁41a、42aが形成してあり、前者の対向壁41aにステー部12の長手方向に沿った貫通孔41bを設け、後者の対向壁42aにおける前記貫通孔41bの軸心上にナットを取り付けてねじ孔42bを設け、さらに前方から貫通孔41bに挿し通したねじ部材43の先端をねじ孔42bに螺合させている。すなわち、これら貫通孔41bを有する作動部41、ねじ孔42bを有する作動部42及びねじ部材43が主体となって駆動機構4を構成している。
【0023】
この駆動機構4はステー12内に長手方向に沿って配置され、ねじ送り操作をしない場合にも両作動部41,42(したがって両可動爪102,103)はねじ部材43とともに全体がねじ送り方向に遊動可能な状態で配される。貫通孔41bの孔径はねじ部材43の頭部43aよりも小径に設定されており、ねじ部材43の頭部43aには工具を係り合わせることのできる六角穴等の操作力入力端43xが設けられている。また、作動部41には、ねじ部材43を貫通孔41aに挿し通した状態で操作力入力端43xを前方に開放するための開放窓44aを有した板状の頭部押え44が設けられている。ねじ部材43は、頭部押え44の孔44aを介して図6に示すように前方から挿入した工具Pによって回転操作される。
【0024】
図4および図5に示すように、前可動爪102は、ステー部12の前端付近に設けたスリット12aを通過して天板受1xより上方に突出させたもので、先端部121を後方に向けて逆L字形に屈曲させている。この前可動爪102の先端部121の下縁121aはステー部12の上向面に対して傾斜したテーパ状をなしている。
【0025】
また、後可動爪103は、ステー部12の後端から脚側板11に亘る付近に設けたスリット12bを通過して天板受1xより上方に突出させたもので、先端部131を前方に向けて逆L字形に屈曲させている。この後可動爪103の先端部131の下縁131aはステー部12の天板受1xに対して傾斜したテーパ状をなしている。
【0026】
そして、ねじ部材43を回転させるための回転力入力端43xを、ねじ部材43に沿って図2に示すステー部12の前方に表出させ得るようにしており、そのステー部12の前方に、非操作時にキャップc1が装着されるようにしている。
【0027】
なお、天板受1xの所要箇所、この実施形態では前可動爪102と後可動爪103の間に、上方に向けて位置決め突起10を突設している。
【0028】
一方、天板2は、図2に示すように、面板部21を前枠22、後枠23及び左右の側枠24で補強したもので、この側枠24の下面における前後に離間した2箇所に、それぞれ開口たる一対のスリット202,203を形成している。前後のスリット202,203は図3に示すように相寄る方向に向かって漸次開口巾dが狭くなるテーパ状をなしている。また、天板2を脚1の所定位置に載せ置くべく、前記位置決め突起10の対応位置には位置決め穴20が開口している。
【0029】
そして、図6に示すように、ステー部12から脚側板11に亘る部位に設定した天板受1x上に天板2を、それらのスリット202,203に前可動爪102及び後可動爪103を挿入しつつ載せ置き、その際に、位置決め穴20に位置決め突起10を差し込んで本発明の固定部たる凹凸関連部Xを構成する。そして、その状態から前記ねじ部材43に電動工具P等を係り合わせて駆動することによって、両可動爪102,103を互いに相寄る方向に駆動し、これにより前可動爪102を対応するスリット202の後縁に、また後可動爪103を対応するスリット203の前縁にそれぞれ係り合わせて、天板2を天板受1x上に固定する。
【0030】
その際の動作について説明すると、先ず両可動爪102,103を適度に離間した部位に位置づけた状態で、スリット202,203を通過させ、図7(a)に示すように天板受1x上に天板2を載せ置く。このとき、スリット202,203に対して可動爪102,103の位置は定まらない。次に、図6に示したように電動工具Pを前方からねじ部材43の操作力入力端Xに差し込むと、特に摩擦の大きい箇所がなければその工具Pの押し付け力で駆動機構4全体は後方へ移動して同図(b)に示すように後可動爪103がスリット203の後縁rに突き当たる。そして、その位置から実質的にねじ孔42bに対するねじ部材43のねじ込みが始まる。これにより、同図中矢印で示すように前可動爪102がねじ部材43の頭部43aに付勢されて後方に移動し、スリット202の後縁202rに係り合う。但し、スリット202は途中から巾狭になっているため、前可動爪102がスリット202の後縁202rに達する前に後可動爪103が前方に移動し始めることも予想される。何れにせよ、ねじ送りにより両可動爪102,103の距離が次第に縮まってゆき、最終的には同図(c)のように両可動爪102,103が互いに相寄る方向に移動して、前可動爪102がスリット202の後縁202rに、また後可動爪103がスリット203の前縁203fにそれぞれ係り合うことになる。
【0031】
つまり、天板1を、そのスリット202,203に両可動爪102,103を受容し且つ位置決め穴20に位置決め突起10を受容して天板受1x上に適切に載せ置きさえすれば、それ以後、天板1は動くことなく、両可動爪102,103が必要な場所まで動いて成り行きで締まることになる。
【0032】
このとき、可動爪102,103の先端部下縁が延出方向にテーパ状をなしているとともに、スリット202,203の開口巾が可動爪102,103が移動するにつれて漸次狭小となっているため、可動爪102,103の先端下縁121a、131aが開口縁に次第に食い込むように係り合うことで前後方向に強連結されると同時に、可動爪102,103がスリット202,203の巾狭な部分に食い込むように係り合うことで天板2と脚1は前後方向にも巾方向にも強連結されることになる。
【0033】
ステー12の前端は図1に示すキャップc1を装着しない状態では前方に開口して、その開口の奥にねじ部材43のねじ頭43aが待機した状態にあるため、以上の操作は前方からその操作力入力端43xに電動工具P等を差し込んでねじ部材43を駆動することにより、天板2を支持する左右の脚1、1それぞれにつき1回の作業で天板2の脚1への連結を完了することができる。
【0034】
以上において、可動爪102,103はそれぞれ対をなしており、天板2のフック孔202,203もそれぞれ対をなしていて、脚1の天板受1x上に天板2を載せ置き、可動爪102,103をそれぞれ各天板2のフック孔202,203に係り合わせることができる。そして、前述したように、フック孔202,203は両可動爪102,103が係り合う方向に向かって漸次巾狭になっているため、可動爪102,103がフック孔202,203に食い込むに従って左右の天板2、2を巾方向にも強連結することができる。
天板2を外す必要がある場合には、電動工具Pによってねじ部材43を逆方向に駆動することになるが、図7(c)の状態で可動爪102,103がフック孔202,203に食い込んだ状態になり、しかも頭部押さえ44がないとすると、ねじ部材43がねじ孔42bに送り出される際に、可動爪102,103が動くことなくねじ部材43のみが前方に移動することが考えられる。これに対して、この実施形態では、頭部押さえ44によってこのようなねじ部材43の動きを防止しているので、ねじ送り操作は確実に両可動爪102,103の離反動作につながることになる。
【0035】
なお、この実施形態では、図2及び図8に示すように、脚1の後面1yに上可動爪112と下固定爪113が後方に向けて突設してあり、これらは先端を背向する方向に逆L字形に屈曲させてある。そして、背板3に設けたスリット302,303にそれらの爪112,113を受容するようにして背板3を左右の脚1の後面1yに添設し、上方から上可動爪112をねじ部材143を通じてねじ送りすることによって、脚1と背板3の間を連結できるようにしている。
【0036】
以上のように、本実施形態の天板取付構造は、天板受1xに天板2を取り付けるにあたり、天板受1xより上方に向けて第1、第2の係り合い部たる前可動爪102及び後可動爪103を、駆動機構4によるねじ送り操作を通じて互いに相寄る方向又は相離れる方向に相対移動可能な状態で突設し、駆動機構4は、ねじ送り操作をしない状態で両可動爪102,103とともに全体がねじ送り方向に遊動可能に配置されているものである。そして、天板2の下面に開口部たるスリット202,203を設け、そのスリット202,203に両可動爪102,103を挿入して駆動機構4によりねじ送りすることによって、スリット202,203の最寄の縁部に両可動爪102,103を係り合わせて天板2を天板受1xに取り付けるようにしている。
【0037】
このような構成により、天板受1xに天板2を載せ置いた後、駆動機構4のねじ送り操作を行い、これに伴い両可動爪102,103が相対動作を行うことで、両可動爪102,103の何れが先に対応するスリット202又は203の開口縁部に係り合っても、必要に応じて駆動機構4全体が遊動しながら、可動爪202、203の残りの方が対応するスリット202又は203の開口縁部に向かって移動することになる。つまり、天板2を、その開口たるスリット202,203に両可動爪102,103を受容する位置に適切に載せ置きさえすれば、それ以後は天板2は動くことなく、両可動爪202,203が成り行きに応じて必要な場所まで動いて締まることになる。このため、ねじ送りの際に天板2を引きずることがなく、軽快な操作性の下に天板2を脚1に平易に取り付けることができる。したがって、大型天板等には特に有効な取付構造となり得る。
【0038】
その際、両可動爪102,103を天板2のスリット202,203の開口縁に係り合わせた状態では、天板2、可動爪102,103、駆動機構4が一体となって脚1からの浮き上がりを防止するものの、いまだ一体となってねじ送り方向に動き得る。これに対して、本実施形態では、天板2を天板受1xに対してねじ送り方向に固定するための固定部たる凹凸関連部Xを、当該天板2と天板受1xとの間に設けているので、天板2を脚1の所要の位置に確実に固定することができる。この凹凸関連部Xが天板2を引きずることがないのは勿論である。
【0039】
特に、この固定部たる凹凸関連部Xは、天板2を天板受1xに載せ置く時点で天板2と天板受1xとの間に形成されるため、この時点で天板2の位置が定まり、その位置を基準として両可動爪102,103が成り行きで締まるので、天板2を所定の位置に確実に位置決めすることができ、強く締め付けても天板2の位置が狂うことがなく、位置決め精度を有効に高めることができる。
【0040】
また、駆動機構4が、第1の係り合い部である前可動爪102の一部に貫通孔41bを設け、第2の係り合い部である後可動爪103の一部にねじ孔42bを設けて、ねじ部材43を、前可動爪102の貫通孔41bを貫通して後可動爪103のねじ孔42bに螺合させるようにしているので、駆動機構4を簡素に構成することができる。
【0041】
そして、ねじ部材43は、頭部43aに回転力入力端43xを設けられ、一部を第1の係り合い部である前可動爪102に設けたリテーナ部としての機能を担う対向壁41aに押し当てた状態で回転することによりねじ送りを行うように構成されているとともに、その頭部43aに隣接させて前可動爪102の一部に頭部押え44を設け、この頭部押え44に、回転力入力端43xを回転力入力側に開放するための頭部43aよりも内寸の小さい開放窓44aを設けている。
【0042】
すなわち、仮に頭部押え44がないとして、後可動爪103に着目した場合、ねじ部材43を緩める際にねじ部材43のみが反力を受けて前方に移動したのでは、両可動爪102、103の相対動作が得られない。これに対して、このような頭部押え44を設けると、これを足場にして両可動爪102,103は確実に離反動作を行うことになるため、天板2の取り外しを確実に行うことができる。
【0043】
そして、このような天板取付構造を利用して、一対の平行配置された脚1,1の天板受1xにそれぞれ天板2の両縁部を取り付けるようにしているので、一方の脚1に対する天板2の取付時に天板2を引きずることがないため、図10に示したように天板bが水平旋回して係り合い部と開口との位置関係が微妙にずれる事態を有効に解消することが可能となる。
【0044】
なお、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではない。
【0045】
例えば、可動爪の先端を上記とは逆向きに折り曲げ、可動爪が相離れる方向に相対移動することによって開口部たるスリットの背向する縁部(遠い側の縁部)に係り合わせるようにしてもよい。
【0046】
また、上記の天板取付構造を利用して、図9に示すように一対の交叉配置した脚100,100の天板受100x、100xにそれぞれ天板200の対応部位を取り付けるようにすることも有効である。ここでも、図示しないが前述した第1、第2の係り合い部たる可動爪101,102と同様の可動爪、及び、開口たるスリット202,203と同様のスリットを天板受け100x側と天板200側に設けておき、位置決め用の突起と凹部を天板受け100x側と天板200側に設けておく。
【0047】
これによれば、図11に示したように一方の脚c1における天板縁部d1の取付時に図中矢印Y1のように天板dを引きずるといったことがなく、他方の脚c2及び天板縁部d2に図中矢印Y2で示すような影響力が及ぶ不都合がないので、何れの脚100と天板200の縁部との間においても、当該天板200を脚100に適正に取り付けることが可能となる。
【0048】
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施形態を適用したデスクの斜視図。
【図2】同デスクを構成する天板と脚の関係を示す分解斜視図。
【図3】図1の脚の拡大斜視図。
【図4】図3の分解斜視図。
【図5】脚の部分縦断面図。
【図6】脚への天板の取付の様子を示す図。
【図7】同実施形態における天板取付構造の作用説明図。
【図8】同脚の後面を示す斜視図。
【図9】本発明の他の適用例を示す斜視図。
【図10】従来の取付構造の不具合を説明するための図。
【図11】従来の取付構造の不具合を説明するための図。
【符号の説明】
【0050】
1x…天板受け
2…天板
4…駆動機構
41b…貫通孔
42b…ねじ孔
43…ねじ部材
43a…頭部
44…頭部押え
43x…回転力入力端
44a…開放窓
102…第1の係り合い部(前可動爪)
103…第2の係り合い部(後可動爪)
202,203…開口(スリット)
X…固定部(凹凸関連部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、脚に天板を、簡単な操作で取り付け可能とし、位置決めも的確に行えて、異形天板の取付等にも適切に対応し得るようにした天板取付構造及びこれを利用した天板付家具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、脚に天板を取り付ける構造として、特許文献1に示すもの等が知られている。このものは、脚のステーの上端に固定爪を設ける一方、天板の下面にスリットを開口し、スリットに固定爪を挿入した状態で後端部側をねじで引き寄せながら天板をスライドさせることによって、固定爪をスリットに係り合わせて、天板を脚に取り付けるようにしている。
【0003】
また、特許文献2に示すものは、脚支柱の上端に固定爪と可動爪を設ける一方、脚の外壁の外側にグリップ式のねじ部材を取り付け、このねじ部材を可動爪に螺合させて駆動機構を構成している。そして、グリップを操作することによって、外壁を足場にして可動爪を螺進退させ、固定爪及び可動爪を天板の開口に係り合わせるようにしている。
【特許文献1】特許第2630048号公報
【特許文献2】特許第2713199号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、何れのものも、ねじを締め込む際には天板が引きずられるため、工具等により操作する際の操作抵抗が大きく、天板が大型になるほど適切な操作が難しくなる場合がある。
【0005】
また、固定爪や可動爪がテーパ状をなしている場合、ねじを締めるに従って天板の開口に食い込むように密着し、食い込みに従って天板が更に微動するため、天板の奥行き方向の位置が正確に定まらないという問題もある。
【0006】
さらに、例えば図10に示すように、一対の平行配置された脚a1、a2に天板bの両縁部b1、b2を取り付ける場合に、一方の脚a1における天板bの取付時に天板bの一方の縁部b1が矢印X1に示すように先に引きずられると、天板bが想像線X2に示すように僅かに水平旋回を引き起こし、その結果、脚a1、a2の爪と天板両縁部b1、b2の開口との位置関係が狂って脚a1、a2への天板bの取付が適正さを欠くことになる場合がある。まして、例えば図11に示すように、直交配置された脚c1、c2に異形天板dの両縁部d1、d2を取り付けるような場合には、一方の脚c1における天板dの取付時に天板dの一方の縁部d1が矢印Y1に示すように先に引きずられると、他方の脚c2における天板dと脚c2がY1とほぼ同じY2方向(すなわち、脚c2の爪と天板縁部d2の開口との係合方向と直交する方向)にずれるので、脚c2への天板dの取付自体が困難となる事態も予想される。
【0007】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、脚に天板を、簡単な操作を通じて適切に取り付け可能とし、位置決めも的確に行えて、異形天板の取付等にも有効に対応し得るようにした天板取付構造及び天板付家具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0009】
先ず、本発明の天板取付構造は、天板受に天板を取り付けるにあたり、前記天板受より上方に向けて第1、第2の係り合い部を、駆動機構によるねじ送り操作を通じて互いに相寄る方向又は相離れる方向に相対移動可能な状態で突設し、前記駆動機構は、ねじ送り操作をしない状態で両係り合い部とともに全体がねじ送り方向に遊動可能に配置されており、天板の下面に開口部を設け、その開口部に両係り合い部を挿入して駆動機構によりねじ送りすることによって、開口部の対向する縁部又は背向する縁部に両係り合い部を係り合わせて天板を天板受に取り付けるようにしたことを特徴とする。
【0010】
このような構成により、天板受に天板を載せ置いた後、駆動機構のねじ送り操作を行い、これに伴い両係り合い部が相対動作を行うと、たとえ何れか一方の係り合い部が先に対応する天板の開口縁部に係り合っても、必要に応じて駆動機構全体が遊動しながら、残りの係り合い部が対応する天板の開口縁部に向かって移動することになる。つまり、天板を、その開口に両係り合い部を受容する位置に適切に載せ置きさえすれば、それ以後は天板は動くことなく、両係り合い部が必要な場所まで動いて成り行きで締まることになる。このため、ねじ送りの際に天板を引きずることがなく、軽快な操作性の下に天板を脚に平易に取り付けることができる。したがって、大型天板等には特に有効なものとなる。
【0011】
天板を脚に確実に固定するためには、天板を天板受に対してねじ送り方向に固定するための固定部を、当該天板と天板受との間に設けおくことが好ましい。ここに言う固定部は、ねじ送りにより締め付けた後にする固定も含まれる。
【0012】
但し、天板を所定の位置に確実に位置決めするためには、固定部が、天板を天板受に載せ置く際に天板と天板受との間に形成される凹凸関連部であることが望ましい。
【0013】
駆動機構の簡素な構成としては、第1の係り合い部に貫通孔を設け、第2の係り合い部にねじ孔を設けて、ねじ部材を、第1の係り合い部を貫通して第2の係り合い部に螺合させているものが挙げられる。
【0014】
ねじ部材が、頭部に回転力入力端を設けられ、一部を第1の係り合い部に設けたリテーナ部に押し当てた状態で回転することによりねじ送りを行うように構成されている場合に、ねじ部材に対する入力で両係り合い部を確実に相対動作させるためには、その頭部に隣接させて前記第1の係り合い部に頭部押えを設け、この頭部押えに、前記回転力入力端を回転力入力側に開放するための頭部よりも内寸の小さい開放窓を設けておくことが望ましい。
【0015】
以上のような天板取付構造を利用して、一対の平行配置された脚の天板受にそれぞれ天板の両縁部を取り付ければ、係り合い部と開口との位置関係を狂わせることなく、天板の何れの縁部においても当該天板を脚に適正に取り付けることが可能となる。
【0016】
また、以上のような天板取付構造を利用して、一対の交叉配置された脚の天板受にそれぞれ天板の対応部位を取り付ければ、一方の脚における天板の取付時に他方の天板を引きずることなく、何れの脚と天板との間においても、当該天板を脚に適正に取り付けることが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、以上説明した構成であるから、ねじ送りに伴って天板と脚との相対位置を狂わせることなく天板を脚に取り付けることができるので、特に大型天板の脚への取り付けや、異形天板の脚への取り付けを、軽快な操作を通じて簡単、適切に行うことができるという優れた効果が奏されるものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0019】
図1及び図2は、この実施形態の取付構造が適用される天板付家具たるデスクを示している。このデスクは、一対の脚1,1の間を補強メンバを兼ねる天板2及び背板3で連結して構成されるものである。
【0020】
脚1は脚側板11の上下両端より前方に延びるステー部12及びベース部13を備えたもので、ステー部12には図2及び図3に示すように、天板受1xより上方に向けて第1の係り合い部たる前可動爪102及び第2の係り合い部たる後可動爪103が突設してある。
【0021】
具体的には、前記ステー部12は図4及び図5に示すように上方に開口するチャネル状の上補強部120を鋼板121で覆って中空部を形成しているもので、その上補強部120内に、両可動爪102,103の基端を構成する一対の作動部41、42をステー部12の長手方向に沿って摺動可能に配置している。
【0022】
両作動部41,42には、それぞれ図4、図5及び図7に示すような対向壁41a、42aが形成してあり、前者の対向壁41aにステー部12の長手方向に沿った貫通孔41bを設け、後者の対向壁42aにおける前記貫通孔41bの軸心上にナットを取り付けてねじ孔42bを設け、さらに前方から貫通孔41bに挿し通したねじ部材43の先端をねじ孔42bに螺合させている。すなわち、これら貫通孔41bを有する作動部41、ねじ孔42bを有する作動部42及びねじ部材43が主体となって駆動機構4を構成している。
【0023】
この駆動機構4はステー12内に長手方向に沿って配置され、ねじ送り操作をしない場合にも両作動部41,42(したがって両可動爪102,103)はねじ部材43とともに全体がねじ送り方向に遊動可能な状態で配される。貫通孔41bの孔径はねじ部材43の頭部43aよりも小径に設定されており、ねじ部材43の頭部43aには工具を係り合わせることのできる六角穴等の操作力入力端43xが設けられている。また、作動部41には、ねじ部材43を貫通孔41aに挿し通した状態で操作力入力端43xを前方に開放するための開放窓44aを有した板状の頭部押え44が設けられている。ねじ部材43は、頭部押え44の孔44aを介して図6に示すように前方から挿入した工具Pによって回転操作される。
【0024】
図4および図5に示すように、前可動爪102は、ステー部12の前端付近に設けたスリット12aを通過して天板受1xより上方に突出させたもので、先端部121を後方に向けて逆L字形に屈曲させている。この前可動爪102の先端部121の下縁121aはステー部12の上向面に対して傾斜したテーパ状をなしている。
【0025】
また、後可動爪103は、ステー部12の後端から脚側板11に亘る付近に設けたスリット12bを通過して天板受1xより上方に突出させたもので、先端部131を前方に向けて逆L字形に屈曲させている。この後可動爪103の先端部131の下縁131aはステー部12の天板受1xに対して傾斜したテーパ状をなしている。
【0026】
そして、ねじ部材43を回転させるための回転力入力端43xを、ねじ部材43に沿って図2に示すステー部12の前方に表出させ得るようにしており、そのステー部12の前方に、非操作時にキャップc1が装着されるようにしている。
【0027】
なお、天板受1xの所要箇所、この実施形態では前可動爪102と後可動爪103の間に、上方に向けて位置決め突起10を突設している。
【0028】
一方、天板2は、図2に示すように、面板部21を前枠22、後枠23及び左右の側枠24で補強したもので、この側枠24の下面における前後に離間した2箇所に、それぞれ開口たる一対のスリット202,203を形成している。前後のスリット202,203は図3に示すように相寄る方向に向かって漸次開口巾dが狭くなるテーパ状をなしている。また、天板2を脚1の所定位置に載せ置くべく、前記位置決め突起10の対応位置には位置決め穴20が開口している。
【0029】
そして、図6に示すように、ステー部12から脚側板11に亘る部位に設定した天板受1x上に天板2を、それらのスリット202,203に前可動爪102及び後可動爪103を挿入しつつ載せ置き、その際に、位置決め穴20に位置決め突起10を差し込んで本発明の固定部たる凹凸関連部Xを構成する。そして、その状態から前記ねじ部材43に電動工具P等を係り合わせて駆動することによって、両可動爪102,103を互いに相寄る方向に駆動し、これにより前可動爪102を対応するスリット202の後縁に、また後可動爪103を対応するスリット203の前縁にそれぞれ係り合わせて、天板2を天板受1x上に固定する。
【0030】
その際の動作について説明すると、先ず両可動爪102,103を適度に離間した部位に位置づけた状態で、スリット202,203を通過させ、図7(a)に示すように天板受1x上に天板2を載せ置く。このとき、スリット202,203に対して可動爪102,103の位置は定まらない。次に、図6に示したように電動工具Pを前方からねじ部材43の操作力入力端Xに差し込むと、特に摩擦の大きい箇所がなければその工具Pの押し付け力で駆動機構4全体は後方へ移動して同図(b)に示すように後可動爪103がスリット203の後縁rに突き当たる。そして、その位置から実質的にねじ孔42bに対するねじ部材43のねじ込みが始まる。これにより、同図中矢印で示すように前可動爪102がねじ部材43の頭部43aに付勢されて後方に移動し、スリット202の後縁202rに係り合う。但し、スリット202は途中から巾狭になっているため、前可動爪102がスリット202の後縁202rに達する前に後可動爪103が前方に移動し始めることも予想される。何れにせよ、ねじ送りにより両可動爪102,103の距離が次第に縮まってゆき、最終的には同図(c)のように両可動爪102,103が互いに相寄る方向に移動して、前可動爪102がスリット202の後縁202rに、また後可動爪103がスリット203の前縁203fにそれぞれ係り合うことになる。
【0031】
つまり、天板1を、そのスリット202,203に両可動爪102,103を受容し且つ位置決め穴20に位置決め突起10を受容して天板受1x上に適切に載せ置きさえすれば、それ以後、天板1は動くことなく、両可動爪102,103が必要な場所まで動いて成り行きで締まることになる。
【0032】
このとき、可動爪102,103の先端部下縁が延出方向にテーパ状をなしているとともに、スリット202,203の開口巾が可動爪102,103が移動するにつれて漸次狭小となっているため、可動爪102,103の先端下縁121a、131aが開口縁に次第に食い込むように係り合うことで前後方向に強連結されると同時に、可動爪102,103がスリット202,203の巾狭な部分に食い込むように係り合うことで天板2と脚1は前後方向にも巾方向にも強連結されることになる。
【0033】
ステー12の前端は図1に示すキャップc1を装着しない状態では前方に開口して、その開口の奥にねじ部材43のねじ頭43aが待機した状態にあるため、以上の操作は前方からその操作力入力端43xに電動工具P等を差し込んでねじ部材43を駆動することにより、天板2を支持する左右の脚1、1それぞれにつき1回の作業で天板2の脚1への連結を完了することができる。
【0034】
以上において、可動爪102,103はそれぞれ対をなしており、天板2のフック孔202,203もそれぞれ対をなしていて、脚1の天板受1x上に天板2を載せ置き、可動爪102,103をそれぞれ各天板2のフック孔202,203に係り合わせることができる。そして、前述したように、フック孔202,203は両可動爪102,103が係り合う方向に向かって漸次巾狭になっているため、可動爪102,103がフック孔202,203に食い込むに従って左右の天板2、2を巾方向にも強連結することができる。
天板2を外す必要がある場合には、電動工具Pによってねじ部材43を逆方向に駆動することになるが、図7(c)の状態で可動爪102,103がフック孔202,203に食い込んだ状態になり、しかも頭部押さえ44がないとすると、ねじ部材43がねじ孔42bに送り出される際に、可動爪102,103が動くことなくねじ部材43のみが前方に移動することが考えられる。これに対して、この実施形態では、頭部押さえ44によってこのようなねじ部材43の動きを防止しているので、ねじ送り操作は確実に両可動爪102,103の離反動作につながることになる。
【0035】
なお、この実施形態では、図2及び図8に示すように、脚1の後面1yに上可動爪112と下固定爪113が後方に向けて突設してあり、これらは先端を背向する方向に逆L字形に屈曲させてある。そして、背板3に設けたスリット302,303にそれらの爪112,113を受容するようにして背板3を左右の脚1の後面1yに添設し、上方から上可動爪112をねじ部材143を通じてねじ送りすることによって、脚1と背板3の間を連結できるようにしている。
【0036】
以上のように、本実施形態の天板取付構造は、天板受1xに天板2を取り付けるにあたり、天板受1xより上方に向けて第1、第2の係り合い部たる前可動爪102及び後可動爪103を、駆動機構4によるねじ送り操作を通じて互いに相寄る方向又は相離れる方向に相対移動可能な状態で突設し、駆動機構4は、ねじ送り操作をしない状態で両可動爪102,103とともに全体がねじ送り方向に遊動可能に配置されているものである。そして、天板2の下面に開口部たるスリット202,203を設け、そのスリット202,203に両可動爪102,103を挿入して駆動機構4によりねじ送りすることによって、スリット202,203の最寄の縁部に両可動爪102,103を係り合わせて天板2を天板受1xに取り付けるようにしている。
【0037】
このような構成により、天板受1xに天板2を載せ置いた後、駆動機構4のねじ送り操作を行い、これに伴い両可動爪102,103が相対動作を行うことで、両可動爪102,103の何れが先に対応するスリット202又は203の開口縁部に係り合っても、必要に応じて駆動機構4全体が遊動しながら、可動爪202、203の残りの方が対応するスリット202又は203の開口縁部に向かって移動することになる。つまり、天板2を、その開口たるスリット202,203に両可動爪102,103を受容する位置に適切に載せ置きさえすれば、それ以後は天板2は動くことなく、両可動爪202,203が成り行きに応じて必要な場所まで動いて締まることになる。このため、ねじ送りの際に天板2を引きずることがなく、軽快な操作性の下に天板2を脚1に平易に取り付けることができる。したがって、大型天板等には特に有効な取付構造となり得る。
【0038】
その際、両可動爪102,103を天板2のスリット202,203の開口縁に係り合わせた状態では、天板2、可動爪102,103、駆動機構4が一体となって脚1からの浮き上がりを防止するものの、いまだ一体となってねじ送り方向に動き得る。これに対して、本実施形態では、天板2を天板受1xに対してねじ送り方向に固定するための固定部たる凹凸関連部Xを、当該天板2と天板受1xとの間に設けているので、天板2を脚1の所要の位置に確実に固定することができる。この凹凸関連部Xが天板2を引きずることがないのは勿論である。
【0039】
特に、この固定部たる凹凸関連部Xは、天板2を天板受1xに載せ置く時点で天板2と天板受1xとの間に形成されるため、この時点で天板2の位置が定まり、その位置を基準として両可動爪102,103が成り行きで締まるので、天板2を所定の位置に確実に位置決めすることができ、強く締め付けても天板2の位置が狂うことがなく、位置決め精度を有効に高めることができる。
【0040】
また、駆動機構4が、第1の係り合い部である前可動爪102の一部に貫通孔41bを設け、第2の係り合い部である後可動爪103の一部にねじ孔42bを設けて、ねじ部材43を、前可動爪102の貫通孔41bを貫通して後可動爪103のねじ孔42bに螺合させるようにしているので、駆動機構4を簡素に構成することができる。
【0041】
そして、ねじ部材43は、頭部43aに回転力入力端43xを設けられ、一部を第1の係り合い部である前可動爪102に設けたリテーナ部としての機能を担う対向壁41aに押し当てた状態で回転することによりねじ送りを行うように構成されているとともに、その頭部43aに隣接させて前可動爪102の一部に頭部押え44を設け、この頭部押え44に、回転力入力端43xを回転力入力側に開放するための頭部43aよりも内寸の小さい開放窓44aを設けている。
【0042】
すなわち、仮に頭部押え44がないとして、後可動爪103に着目した場合、ねじ部材43を緩める際にねじ部材43のみが反力を受けて前方に移動したのでは、両可動爪102、103の相対動作が得られない。これに対して、このような頭部押え44を設けると、これを足場にして両可動爪102,103は確実に離反動作を行うことになるため、天板2の取り外しを確実に行うことができる。
【0043】
そして、このような天板取付構造を利用して、一対の平行配置された脚1,1の天板受1xにそれぞれ天板2の両縁部を取り付けるようにしているので、一方の脚1に対する天板2の取付時に天板2を引きずることがないため、図10に示したように天板bが水平旋回して係り合い部と開口との位置関係が微妙にずれる事態を有効に解消することが可能となる。
【0044】
なお、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではない。
【0045】
例えば、可動爪の先端を上記とは逆向きに折り曲げ、可動爪が相離れる方向に相対移動することによって開口部たるスリットの背向する縁部(遠い側の縁部)に係り合わせるようにしてもよい。
【0046】
また、上記の天板取付構造を利用して、図9に示すように一対の交叉配置した脚100,100の天板受100x、100xにそれぞれ天板200の対応部位を取り付けるようにすることも有効である。ここでも、図示しないが前述した第1、第2の係り合い部たる可動爪101,102と同様の可動爪、及び、開口たるスリット202,203と同様のスリットを天板受け100x側と天板200側に設けておき、位置決め用の突起と凹部を天板受け100x側と天板200側に設けておく。
【0047】
これによれば、図11に示したように一方の脚c1における天板縁部d1の取付時に図中矢印Y1のように天板dを引きずるといったことがなく、他方の脚c2及び天板縁部d2に図中矢印Y2で示すような影響力が及ぶ不都合がないので、何れの脚100と天板200の縁部との間においても、当該天板200を脚100に適正に取り付けることが可能となる。
【0048】
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施形態を適用したデスクの斜視図。
【図2】同デスクを構成する天板と脚の関係を示す分解斜視図。
【図3】図1の脚の拡大斜視図。
【図4】図3の分解斜視図。
【図5】脚の部分縦断面図。
【図6】脚への天板の取付の様子を示す図。
【図7】同実施形態における天板取付構造の作用説明図。
【図8】同脚の後面を示す斜視図。
【図9】本発明の他の適用例を示す斜視図。
【図10】従来の取付構造の不具合を説明するための図。
【図11】従来の取付構造の不具合を説明するための図。
【符号の説明】
【0050】
1x…天板受け
2…天板
4…駆動機構
41b…貫通孔
42b…ねじ孔
43…ねじ部材
43a…頭部
44…頭部押え
43x…回転力入力端
44a…開放窓
102…第1の係り合い部(前可動爪)
103…第2の係り合い部(後可動爪)
202,203…開口(スリット)
X…固定部(凹凸関連部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板受に天板を取り付けるにあたり、前記天板受より上方に向けて第1、第2の係り合い部を、駆動機構によるねじ送り操作を通じて互いに相寄る方向又は相離れる方向に相対移動可能な状態で突設し、前記駆動機構は、ねじ送り操作をしない状態で両係り合い部とともに全体がねじ送り方向に遊動可能に配置されており、天板の下面に開口部を設け、その開口部に両係り合い部を挿入して駆動機構によりねじ送りすることによって、開口部の最寄の縁部又は背向する縁部に両係り合い部を係り合わせて天板を天板受に取り付けるようにしたことを特徴とする天板取付構造。
【請求項2】
天板を天板受に対してねじ送り方向に固定するための固定部を、当該天板と天板受との間に設けている請求項1記載の天板取付構造。
【請求項3】
固定部が、天板を天板受に載せ置く際に天板と天板受との間に形成される凹凸関連部である請求項2記載の天板取付構造。
【請求項4】
駆動機構が、第1の係り合い部に貫通孔を設け、第2の係り合い部にねじ孔を設けて、ねじ部材を、第1の係り合い部を貫通して第2の係り合い部に螺合させたものである請求項1〜3記載の天板取付構造。
【請求項5】
ねじ部材は、頭部に回転力入力端を設けられ、一部を第1の係り合い部に設けたリテーナ部に押し当てた状態で回転することによりねじ送りを行うように構成されているとともに、その頭部に隣接させて前記第1の係り合い部に頭部押えを設け、この頭部押えに、前記回転力入力端を回転力入力側に開放するための頭部よりも内寸の小さい開放窓を設けている請求項4記載の天板取付構造。
【請求項6】
請求項1〜5記載の天板取付構造を利用して、一対の平行配置された脚の天板受にそれぞれ天板の両縁部を取り付けてなることを特徴とする天板付家具。
【請求項7】
請求項1〜5記載の天板取付構造を利用して、一対の交叉配置された脚の天板受にそれぞれ天板の対応部位を取り付けるようにしていることを特徴とする天板付家具。
【請求項1】
天板受に天板を取り付けるにあたり、前記天板受より上方に向けて第1、第2の係り合い部を、駆動機構によるねじ送り操作を通じて互いに相寄る方向又は相離れる方向に相対移動可能な状態で突設し、前記駆動機構は、ねじ送り操作をしない状態で両係り合い部とともに全体がねじ送り方向に遊動可能に配置されており、天板の下面に開口部を設け、その開口部に両係り合い部を挿入して駆動機構によりねじ送りすることによって、開口部の最寄の縁部又は背向する縁部に両係り合い部を係り合わせて天板を天板受に取り付けるようにしたことを特徴とする天板取付構造。
【請求項2】
天板を天板受に対してねじ送り方向に固定するための固定部を、当該天板と天板受との間に設けている請求項1記載の天板取付構造。
【請求項3】
固定部が、天板を天板受に載せ置く際に天板と天板受との間に形成される凹凸関連部である請求項2記載の天板取付構造。
【請求項4】
駆動機構が、第1の係り合い部に貫通孔を設け、第2の係り合い部にねじ孔を設けて、ねじ部材を、第1の係り合い部を貫通して第2の係り合い部に螺合させたものである請求項1〜3記載の天板取付構造。
【請求項5】
ねじ部材は、頭部に回転力入力端を設けられ、一部を第1の係り合い部に設けたリテーナ部に押し当てた状態で回転することによりねじ送りを行うように構成されているとともに、その頭部に隣接させて前記第1の係り合い部に頭部押えを設け、この頭部押えに、前記回転力入力端を回転力入力側に開放するための頭部よりも内寸の小さい開放窓を設けている請求項4記載の天板取付構造。
【請求項6】
請求項1〜5記載の天板取付構造を利用して、一対の平行配置された脚の天板受にそれぞれ天板の両縁部を取り付けてなることを特徴とする天板付家具。
【請求項7】
請求項1〜5記載の天板取付構造を利用して、一対の交叉配置された脚の天板受にそれぞれ天板の対応部位を取り付けるようにしていることを特徴とする天板付家具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−165669(P2009−165669A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−7466(P2008−7466)
【出願日】平成20年1月16日(2008.1.16)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月16日(2008.1.16)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)
【Fターム(参考)】
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