説明

太陽・風力発電/コージェネレーション装置からなるシステムのシミュレーション方法

【課題】電気的および熱的エネルギーを供給するシステムにおいて、気象および需要の推測および予測により、より多くの電気的および熱的出力エネルギーを取得し、できるだけ装置設置コストを下げ、できるだけ運転コストを安くし、かつ、できるだけCO2排出量を減少させる組合せを得ることができるユーザフレンドリなシミュレーション方法およびシミュレーションソフトウェアを提供する。
【解決手段】風力発電装置、太陽光発電装置、太陽熱集熱装置(温水等製造装置)ならびにコージェネレーション装置を単用、併用、若しくは合用(ハイブリッド装置の場合)するシステムのそれぞれの装置規模構成および運転方法をシミュレーションするソフトウェアであって、気象推予測ソフトモジュール、電力・熱需要推予測ソフトモジュール、およびシステム構成・運転方法好適化ソフトモジュールのうち、1つ以上の独立または融合したソフトモジュールで構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シミュレーション方式およびシミュレーションソフトウェアの分野に関する。より詳細には、電気的および熱的エネルギーを供給するシステムにおいて、電気的および熱的出力エネルギー、装置設置コスト、運転コスト、およびCO排出量のシミュレーション方式およびシミュレーションソフトウェアの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
コスト、エネルギー消費量、若しくは二酸化炭素(CO)排出量の削減を目的とした、民生・商業・教育施設への風力発電装置、太陽光発電装置、太陽熱集熱装置ならびにコージェネレーション装置を単用、併用、若しくは合用(ハイブリッド装置の場合)するシステムに関しては、多くの導入案・シミュレーション事例(たとえば、非特許文献1、2、および3)があり、そこでは導入対象となっている施設ごとに独立したシミュレーション方法ならびに条件を用いて、前記システムを導入した場合の電気的および熱的出力エネルギー・装置設置コスト・運転コスト・CO排出量などを計算している。
【0003】
たとえば非特許文献4、5、および6では、予め電力および熱需要データが計測されている施設において、前記システムを導入した場合の電気的および熱的出力エネルギー・装置設置コスト・運転コスト・CO排出量などを計算している。
【0004】
コージェネレーション装置の導入に関して、非特許文献7で紹介されているコージェネレーションの導入効果を評価するプログラム「CASCADE」は、(1)ホテル・病院を始めとする5建物用途の負荷データを内蔵している、(2)負荷データの合成ができ、複合用途の建物にも対応できる、(3)ガスエンジン・ガスタービン・燃料電池の各システムを評価できる、(4)1年(12ヶ月)の各月代表日における1時間ごとのエネルギー計算を行う、(5)運転については、電力負荷追従、熱負荷追従の両運転モードを評価できる、(6)買電制御量、発電機負荷率、運転時間、排熱利用用途など細かい条件設定ができる、(7)貯湯槽を組み込んだシステムも評価できる、(8)余剰電力を売電した場合の逆潮流の評価もできる、(9)省エネルギー性、経済性、環境性が評価できる、(10)計算結果のグラフ出力がメニューとして標準化されている、という特徴を有している。
【0005】
非特許文献8では、予め電力および熱需要データが計測されていない施設において、電力および/若しくは熱需要モデルパターンを用いて、業種等の情報の入力により月別・営休業日別の電力および熱需要パターンを自動作成する機能および電力需要パターンの計測データが電子的に入手可能な場合にはそれを自動取り込みする機能を有するプログラムが提案されている。また、蓄電池、コージェネレーションシステム、ボイラ、冷凍機、およびヒートポンプを含むシステムの最適化が可能である。また、(1)コージェネレーション装置:ガスタービン、ガスエンジン、およびディーゼルエンジン、(2)ボイラ:蒸気ボイラおよび温水ボイラ、(3)冷凍機:電気式、蒸気吸収式、および直焚吸収式、(4)ヒートポンプ:温冷熱両方。また、コージェネレーション装置の運転モードとして、電主と熱主が選択できる装置についてのシミュレーションが可能である。
【0006】
非特許文献9では、集合住宅あるいは戸建住宅を想定し、燃料電池、蓄電池、および貯湯槽を含むマイクログリッドを制御するシステムが提案されている。この制御システムは、需要予測、需給計画などの機能を有している。需要予測では、各戸の過去の電力・熱需要実績を分析し、外部から取り込む翌日の天気予報に応じた24時間にわたる30分刻みの需要を予測する。需給計画では、需要予測に対して、サイト(ここでは、当該住宅)全体でのCO排出量を最小化するように、電源(燃料電池)の起動停止時刻、蓄電池充放電量を1日1回計画する。
【0007】
非特許文献10では、既設のマイクログリッドにおける電熱需要に対して、30分ごとに将来1週間先までの電熱需給の最適計画を立案するシステムが提案されている。このシステムは、需給運用計画最適化にあたっての入力条件となる電熱需要予測、自然エネルギーの出力予測、ならびにエネルギー源となる下水汚泥消化ガスの発生量予測については、過去の実績および天気予報情報から求める方式を採用している。

【非特許文献1】木方真理子、遠藤康之、伊東明人、「エネルギーフローに基づく電力・熱供給システムのCO2排出量評価」、電気学会論文誌B、Vol.124、No.1、pp.53−61、2004
【非特許文献2】田中昭雄、佐川直人、村越千春、中上英俊、「業務用建築物熱源設備のエネルギー効率計測と高効率化のための検討」、第20回エネルギーシステム・経済・環境コンファレンス講演論文集(2004.1.29から30)、pp.267−270、2004
【非特許文献3】杉本有司、小林昌弘、柳原隆司、矢田部隆志、「大規模ホテルにおける省エネルギーの実践と評価」、第20回エネルギーシステム・経済・環境コンファレンス講演論文集(2004.1.29から30)、pp.115−118、2004
【非特許文献4】加藤丈佳、飯田哲久、呉カイ、鈴置保雄、「実測に基づく給湯負荷のゆらぎを考慮した住宅用マイクロコジェネの構成に関する一考察」、電気学会論文誌B、Vol.121、No.12、pp.1748−1755、2001
【非特許文献5】桶真一郎、見目喜重、滝川浩史、榊原建樹、「民生施設への太陽光・熱/コージェネシステム導入によるライフサイクルCO2排出削減」、電気学会論文誌B、Vol.123、No.11、pp.1365−1372、2003
【非特許文献6】桶真一郎、見目喜重、滝川浩史、榊原建樹、「太陽光・熱/コージェネシステムのCO2排出量に与えるシステム運転法の影響」、電気学会論文誌B、Vol.125、No.10、pp.930−938、2005
【非特許文献7】日本エネルギー学会編、「天然ガスコージェネレーション計画・設計マニュアル2002」、p.45、日本工業出版、2002
【非特許文献8】足立淳、梅沢修一、「需要家エネルギーシステム最適化プログラムの開発」、平成18年電気学会電力・エネルギー部門大会論文集CD−ROM、pp.38−27−38−28、2006
【非特許文献9】山本隆也、田熊良行、井上真壮、荒生元、「マイクログリッドによる住宅向けエネルギー供給の検討」、平成18年電気学会電力・エネルギー部門大会論文集CD−ROM、pp.8−21−8−22、2006
【非特許文献10】古塩正展、小島康弘、「マイクログリッドの実証による検討(その2)〜需給運用計画〜」、平成18年電気学会電力・エネルギー部門大会論文集CD−ROM、pp.9−11−9−12、2006
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、前記システムの特定の施設への導入を詳細にシミュレーション計算する場合には、コージェネレーション装置を単用して電力および熱供給システムを想定する場合を除き、個別に作成した計算プログラムを用いるか、またはごく簡単な近似計算に頼らなければならない。
【0009】
また、前記システムの運転を過去に遡ってシミュレーションする場合には、過去蓄積計測需要データを用いるか、または予め準備された電力および熱需要モデルパターンを用いる必要がある。多くの場合、予め準備された電力および熱需要モデルパターンは、1年(12ヶ月)の各月代表日における1時間ごとの電力および熱需要の記録であり、気象条件の違いを考慮していない。
【0010】
また、前記システムの運転を過去に遡ってシミュレーションする際には、想定する運転方法は電力負荷追従および熱負荷追従に限られ、よりフレキシブルかつ高効率な運転方法がシミュレータに実装されていない。
【0011】
また、天気予報や需要予測を利用してコージェネレーション装置や電源装置の運転法を立案する非特許文献9および10に示したソフトウェアは、ソフトウェア製作者が指定する特定のシステム構成のみを適用対象としており、前記システムがすでに導入されている施設においては利用できない。
【0012】
また、過去の気象データが蓄積されている地点および天気予報が公開されている地点は限られているため、全国各地の任意の地点において前記システムをシミュレーションする際には、実際とはかなり異なる過去の気象データおよび天気予報を用いることになる。
【0013】
本発明は、上記の課題を解決するために成されたものであり、本発明の目的は、前記システムを導入しようとするところの施設、若しくは前記システムを導入した施設において、あらかじめ施設の存在する地点における過去蓄積気象データおよび/若しくは施設の過去蓄積需要データが蓄積されていない場合でも,過去推測気象データおよび/若しくは過去推測需要データを用いたシミュレーションや,過去推測気象データおよび/若しくは過去推測需要データを用いた気象予測および需要予測を用いたシミュレーションにより,できるだけ多くの電気的および熱的出力エネルギーを取得し、できるだけ装置設置コストを下げ、できるだけ運転コストを安くし、かつ、できるだけCO排出量を減少させる組合せを得る(ベストマッチングする)ことができるユーザフレンドリなシミュレーション方法およびシミュレーションソフトウェアを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、風力発電装置、太陽光発電装置、太陽熱集熱装置(温水等製造装置)ならびにコージェネレーション装置を単用、併用、若しくは合用(ハイブリッド装置の場合)するシステムのそれぞれの装置規模構成および運転方法をシミュレーションするソフトウェアであって、気象推予測ソフトモジュール、電力・熱需要推予測ソフトモジュール、およびシステム構成・運転方法好適化ソフトモジュールのうち、1つ以上の独立または融合したソフトモジュールで構成されることを特徴とする。
【0015】
本発明のシミュレーション方式およびシミュレーションソフトウェアにおいて、前記システムを導入しようとする施設に対して、好適化若しくは最適化したシステム構成を出力する最適システム構築モードと、前記システムを導入した施設に対して、好適化したシステム運転方法を出力する最適運転指令モードとを選択可能である。
【0016】
前記システムの導入対象であるところの施設において、システム構成・運転方法好適化ソフトモジュールが、過去に遡って風力発電装置、太陽光発電装置、および/若しくは太陽熱集熱装置を含むシステムの運転シミュレーションをする場合には、その施設の存在する地点の過去蓄積気象データが必要である。しかし、そのようなデータが準備されているケースはまれである。気象推予測ソフトモジュールは演算装置を使用して、未観測地点の過去推測気象データを、入手可能な過去計測気象データを用いて経験的に推測し、記憶装置に蓄える。
【0017】
また、前記システムが導入されている施設において、現在から24時間先まで1時間毎から24時間毎(1時間刻みから24時間刻み)のシステム運転方法を好適化する場合に、今後予測気象変化から演算装置を用いて算出する今後予測供給可能エネルギーの予測により、予測利用運転好適化機能を実現する。
【0018】
また、気象推予測ソフトモジュールは、日常生活や業務などに今後予測気象変化が利用できるように、演算装置を用いて予測した今後予測気象変化のうち、任意の気象をパソコンやテレビなどの画面上にグラフ形式で表示する予測気象変化グラフ表示機能を備えている。
【0019】
前記システムの導入対象であるところの施設において、システム構成・運転方法好適化ソフトモジュールが、過去に遡って前記システムの運転をシミュレーションする場合には、過去蓄積計測需要データが必要である。しかし、そのようなデータが準備されているケースはまれである。本ソフトウェアでは、電力・熱需要推予測ソフトモジュールにより、過去推測気象データから、過去推測需要データを、予め準備しておいたいくつかの電力および/若しくは熱需要モデルパターンの組み合わせを適用し演算装置を用いて推測するため、電力および熱需要が気象条件に応じて日々変動する現実的なシミュレーションが可能である。
【0020】
なお、シミュレーション対象であるところの施設は、ホテル、病院、大型商業施設、大学、集合住居、工場、のいずれかであるか、あるいはそれらを組み合わせた形態である。
【0021】
また、システム構成・運転方法好適化ソフトモジュールは、シミュレーション対象であるところの施設における電力料金体系・ガス料金体系および固有の制約条件に基づき運転コストを演算装置により計算するとともに、エネルギー源ごとのCO排出量原単位・一次エネルギー消費原単位に基づき、CO排出量および一次エネルギー消費量を算出する機能を有している。
【0022】
また、前記制約条件は、前記シミュレーション対象であるところの施設の敷地面積、延床面積、新設備建設可能面積、熱配管工事の有無、風力発電装置導入の有無、太陽光発電装置導入の有無、太陽熱集熱装置導入の有無、コージェネレーション装置導入の有無、蓄熱槽導入の有無、およびそれらの装置・機器の導入可能な設備容量および数量の上限あるいは下限である。
【発明の効果】
【0023】
本発明のシミュレーションソフトウェアおよびシミュレーション方式は、風力発電装置、太陽光発電装置、太陽熱集熱装置ならびにコージェネレーション装置を単用、併用、若しくは合用(ハイブリッド装置の場合)するシステムにおいて、前記システムに含まれる装置の規模、構成、数量および運転方法を、予測若しくは推測した気象データならびに電力および熱需要データを用いてシミュレーションすることにより、電気的および熱的出力エネルギー・装置設置コスト・運転コスト・CO排出量を、従来技術よりも効果的にベストマッチングすることができる。
【0024】
また、過去に遡って前記システムの運転シミュレーションをする場合にも、予測運転好適化機能を想定するため、背景技術[0004]および[0005]に記載の電力負荷追従運転および熱負荷追従運転よりも高効率かつ現実的な運転シミュレーションが可能である。
【0025】
また、背景技術[0004]および[0005]は、1年(12ヶ月)の各月代表日における1時間ごとの電力および熱需要パターンを用いてコージェネレーション装置の運転をシミュレーションする。しかし本ソフトウェアでは、請求項1、5、および6に記載の電力・熱需要推予測ソフトモジュールにより、請求項2に記載の過去推測気象データから、請求項5に記載の過去推測需要データを、予め準備しておいたいくつかの電力および/若しくは熱需要モデルパターンを適用して推測するため、電力および熱需要が気象条件に応じて日々変動する現実的なシミュレーションが可能である。
【0026】
また、背景技術[0006]および[0007]は、特定の電力および/若しくは熱エネルギー供給システムのみに対して適用可能であるが、本ソフトウェアでは、請求項1、7、および8に記載のシステム構成・運転方法好適化モジュールに内蔵されているガスエンジン、ガスタービン、ディーゼルエンジン、燃料電池、蓄電池、ガスボイラ、重油ボイラ、排熱回収ボイラ、電動ヒートポンプ、ガスヒートポンプ、排熱投入型ヒートポンプ、蓄熱槽、太陽光発電装置、太陽熱集熱装置、および風力発電装置を組み合わせた前記システムであれば、いかなるシステムに対しても適用可能である。
【0027】
また、背景技術[0006]および[0007]は、過去蓄積気象データが入手できない未観測地点や、天気予報が入手できない非予報地点における需要予測および需給計画を想定していない。しかし、本ソフトウェアは、気象推予測ソフトモジュールにより、日本全国の任意の地点の過去推測気象データを推測すること、および今後予測気象変化を予測することができ、より現実的かつ正確な需要推予測が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
図1に示すように、本発明のシミュレーションソフトウェアおよびシミュレーション方式は、気象推予測ソフトモジュール、需要推予測ソフトモジュール、およびシステム構成・運転方法好適化ソフトモジュールの3モジュールで構成される。
【0029】
前記最適システム構築モードにおける、前記ソフトモジュール群の動作を図2に示す。まずユーザが、シミュレーションしようとする施設の種類・地点を指定し、その施設固有の制約条件を設定する。次に、気象推予測ソフトモジュールが演算装置を使い、当該施設の存在する地点の過去推測気象データを推測する。次に、当該施設において過去計測需要データが蓄積されていない場合には、需要推予測ソフトモジュールが演算装置を使い、過去推測気象データ、電力および/若しくは熱需要モデルパターンを用いて、当該施設の過去推測需要データを推測し、記憶装置に蓄える。次に、システム構成・運転方法好適化ソフトモジュールが演算装置を使い、これらのデータを記憶装置より読み出して、前記システムの運転をシミュレーションし、ユーザが指定する目的に応じたシステム構成を出力する。
【0030】
前記最適運転指令モードにおける、前記ソフトモジュール群の動作を図3に示す。まずユーザが、シミュレーション使用とする施設の種類・地点を指定し、その施設固有の制約条件を設定する。次に、気象推予測ソフトモジュールが、当該施設の存在する地点の今後予測気象変化を演算装置より予測する。次に、需要推予測ソフトモジュールが、当該施設の今後予測需要変化を演算装置より予測する。次に、システム構成・運転方法好適化ソフトモジュールが、今後予測気象変化および今後予測需要変化を用いて、前記システムの運転を演算装置によりシミュレーションし、ユーザが指定する目的に応じた運転方法を出力する。
【0031】
気象推予測ソフトモジュールにおける気象予測アルゴリズムは、自己回帰(auto regressive)モデル,移動平均(moving average)モデル,自己回帰移動平均(auto regressive moving average)モデル,分散不均一の自己回帰過程(auto regressive conditional heteroscedastic)モデル,自己回帰和分移動平均(auto regressive integrated moving average)モデル,重回帰(multi regressive)モデル、階層型ニューラルネットワーク(multi−layered neural networks)、リカレント型ニューラルネットワーク(recurrent neural networks),ラジアルベーシスファンクションネットワーク(radial basis function network),ホップフィールドモデル(hopfield model),遺伝的アルゴリズム、遺伝的プログラミング,最近隣法,n次関数、および平均値のいずれか1つ,あるいはこれら2つ以上を組み合わせたアルゴリズム,あるいは公開されているその他のアルゴリズムを用いてもよい。また、気象推測アルゴリズムは、自己回帰(auto regressive)モデル,移動平均(moving average)モデル,自己回帰移動平均(auto regressive moving average)モデル,分散不均一の自己回帰過程(auto regressive conditional heteroscedastic)モデル,自己回帰和分移動平均(auto regressive integrated moving average)モデル,重回帰(multi regressive)モデル、階層型ニューラルネットワーク(multi−layered neural networks)、リカレント型ニューラルネットワーク(recurrent neural networks),ラジアルベーシスファンクションネットワーク(radial basis function network),ホップフィールドモデル(hopfield model),遺伝的アルゴリズム、遺伝的プログラミング,最近隣法,n次関数、および平均値のいずれか1つ,あるいはこれら2つ以上を組み合わせたアルゴリズム,あるいは公開されているその他のアルゴリズムを用いてもよい。
【0032】
需要推予測ソフトモジュールにおける需要予測アルゴリズムは、自己回帰(auto regressive)モデル,移動平均(moving average)モデル,自己回帰移動平均(auto regressive moving average)モデル,分散不均一の自己回帰過程(auto regressive conditional heteroscedastic)モデル,自己回帰和分移動平均(auto regressive integrated moving average)モデル,重回帰(multi regressive)モデル、階層型ニューラルネットワーク(multi−layered neural networks)、リカレント型ニューラルネットワーク(recurrent neural networks),ラジアルベーシスファンクションネットワーク(radial basis function network),ホップフィールドモデル(hopfield model),遺伝的アルゴリズム、遺伝的プログラミング,最近隣法,n次関数、および平均値のいずれか1つ,あるいはこれら2つ以上を組み合わせたアルゴリズム,あるいは公開されているその他のアルゴリズムを用いてもよい。また、需要推測アルゴリズムは、自己回帰(auto regressive)モデル,移動平均(moving average)モデル,自己回帰移動平均(auto regressive moving average)モデル,分散不均一の自己回帰過程(auto regressive conditional heteroscedastic)モデル,自己回帰和分移動平均(auto regressive integrated moving average)モデル,重回帰(multi regressive)モデル、階層型ニューラルネットワーク(multi−layered neural networks)、リカレント型ニューラルネットワーク(recurrent neural networks),ラジアルベーシスファンクションネットワーク(radial basis function network),ホップフィールドモデル(hopfield model),遺伝的アルゴリズム、遺伝的プログラミング,最近隣法,n次関数、および平均値のいずれか1つ,あるいはこれら2つ以上を組み合わせたアルゴリズム,あるいは公開されているその他のアルゴリズムを用いてもよい。
【0033】
また、今後予測気象変化は、前記システムのシミュレーション以外にも用いることができる有用性が高い情報なので、予測気象変化グラフ表示機能により、ユーザが指定する任意の気象をパソコンやテレビなどの画面上にグラフ形式で表示する。
【0034】
前記最適システム構築モード、前記最適運転指令モードのどちらの場合でも、ユーザは、パソコンやテレビなどの表示装置の画面上に表示されるグラフィカル・ユーザ・インターフェース上で諸条件を設定する。
【0035】
計算対象であるところの施設が存在する地点を指定する場合には、前記表示装置の画面上に表示される、地図型インターフェース上の任意の位置をマウスクリックするか、緯度・経度情報を入力する。
【0036】
また、前記地図型インターフェースは、気象推予測ソフトモジュールが算出する過去推測気象データおよび今後予測気象変化の推測および予測の確度によって地図上が色分けされている。
【0037】
また、前記最適運転指令モードでは、図4に示すように、本ソフトウェアがインストールされたパーソナルコンピュータからの運転指令信号を、前記システムの制御装置に入力することにより、前記システムの最適運転を自動的に指令することができる。
【実施例】
【0038】
本ソフトウェアの気象推予測ソフトモジュールに実装されているニューラルネットワーク、遺伝アルゴリズム、および持続予測を用いた気象予測結果例を図5に示す。同図に示すように、季節によらず、ニューラルネットワークを用いた場合の予測誤差が最も小さい。
【0039】
太陽光発電装置、太陽熱集熱装置、蓄熱槽ならびにコージェネレーション装置を合用するシステムの場合の最適運転指令による運転パターン改善例を図6および図7に示す。図6は、コージェネレーション装置(ガスエンジン)を熱主電従運転した場合である。図7は、本ソフトウェアのシステム構成・運転方法好適化ソフトモジュールに実装されている運転法に基づき、電力およびガスの従量料金を最小化するように運転した場合である。図6に示す熱主電従運転では、太陽熱集熱装置から十分な熱供給が得られる場合でもコージェネレーション装置(ガスエンジン)が熱需要に併せて運転するため、大量の余剰熱が発生する。しかし、図7に示す電力およびガスの従量料金を最小化する運転では、太陽熱集熱装置および蓄熱槽からの熱供給とコージェネレーション装置(ガスエンジン)からの熱供給が熱需要にマッチングしており、余剰熱がほとんど発生していない。
【産業上の利用可能性】
【0040】
民生・商業・教育施設に対しては、省エネルギー、省コストおよびCO排出量の削減が求められている。
【0041】
この削減を達成する方策として有望視されているのが、風力発電装置、太陽光発電装置、太陽熱集熱装置ならびにコージェネレーション装置を単用、併用、若しくは合用(ハイブリッド装置の場合)するシステムである。
【0042】
本発明のシミュレーション方法およびシミュレーションソフトウェアは、前記施設に前記システムを導入しようとする場合に、コスト、エネルギー消費量、およびCO排出量がベストマッチングするシステム構成を、過去蓄積気象データや過去蓄積需要データが無くとも、出力することができる。
【0043】
また、本発明のシミュレーション方法およびシミュレーションソフトウェアは、前記システムが導入された前記施設に対して、コスト、エネルギー消費量、およびCO排出量をベストマッチングする運転方法を、今後予測気象変化や今後予測需要変化を用いて出力することができる。
【0044】
これまでは容易でなかった、前記施設における前記システムの導入を簡便にシミュレーションすることができる本発明のシミュレーション方法およびシミュレーションソフトウェアは、十分な産業上の利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明のシミュレーション方法およびシミュレーションソフトウェアの構成を示すブロック図である。
【図2】最適システム構築モードにおける各ソフトモジュール群の動作を示すブロック図である。
【図3】最適運転指令モードにおける各ソフトモジュール群の動作を示すブロック図である。
【図4】最適運転指令モードにおける、運転指令信号の出力によるシステム制御の様子を示すブロック図である。
【図5】気象推予測ソフトモジュールに実装されている、ニューラルネットワークおよび遺伝アルゴリズムを用いた気象予測結果例である。
【図6】太陽光発電装置、太陽熱集熱装置ならびにコージェネレーション装置を合用するシステムにおける、熱主電従運転の場合の運転パターン例である。
【図7】太陽光発電装置、太陽熱集熱装置ならびにコージェネレーション装置を合用するシステムにおける、電力およびガスの従量料金を最小化する運転法の場合の運転パターン例である。
【符号の説明】
【0046】
1:電力需要
2:コージェネレーション装置(ガスエンジン)からの供給電力
3:太陽光発電装置からの供給電力
4:受電電力(買電電力)
5:売電電力
6:熱需要
7:太陽熱集熱装置および蓄熱槽からの供給熱
8:蓄熱槽への供給熱
9:廃棄熱
10:コージェネレーション装置(ガスエンジン)からの供給熱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
計算機上のソフトウェアで構築する気象推予測ソフトモジュール、電力・熱需要推予測ソフトモジュール、およびシステム構成・運転方法好適化ソフトモジュールのうち、一つを独立して、或いは二つ以上を融合して用いて、風力発電装置、太陽光発電装置、太陽熱集熱装置ならびにコージェネレーション装置を単用、若しくは併用、若しくは合用するエネルギーシステムおよび運転をシミュレーションする方法。
【請求項2】
前記気象推予測ソフトモジュールにおいて、過去蓄積気象データから過去および現在において気象観測が行われていない地点の過去気象を経験論的に推測する過去推測気象データ算出機能を特徴とする請求項1に記載のシミュレーション方法。
【請求項3】
請求項1に記載の気象推予測ソフトモジュールにおいて、過去蓄積気象データ、請求項2に記載のシミュレーション方法によって算出された過去および現在における未観測地点の過去推測気象データ、現時点の気象データ、および現在の気象予報データのうち一つだけ、或いは二つ以上のデータから任意の予測対象地点での気象を時間毎の変化として予測する今後予測気象変化算出機能を特徴とする請求項1に記載のシミュレーション方法。
【請求項4】
請求項2に記載の気象推予測ソフトモジュールにおいて、過去蓄積気象データから緯度および経度に基づいて有用な地点のデータを自動的に選定し抽出して、過去および現在における未観測地点の過去推測気象データを経験論的に算出する機能を特徴とする請求項1に記載のシミュレーション方法。
【請求項5】
請求項3に記載の気象推予測ソフトモジュールにおいて、過去蓄積気象データ、請求項2に記載のシミュレーション方法によって算出された過去および現在における未観測地点の過去推測気象データ、現時点の気象データ、および現在の気象予報データのうち一つだけ、或いは二つ以上のデータから緯度および経度に基づいて有用な地点のデータを自動的に選定し抽出して、任意の予測対象地点での今後予測気象変化を経験論的に算出する機能を特徴とする請求項1に記載のシミュレーション方法。
【請求項6】
請求項1に記載の電力・熱需要推予測モジュールにおいて、過去および現在における電力および熱需要計測データが蓄積されていない対象施設に対する過去の電力および熱需要データを予め準備したいくつかの電力および熱需要モデルパターンを用いて、請求項2から請求項4に記載の気象推予測ソフトモジュールによって推測された過去推測気象データから経験論的に推測する過去推測需要データ算出機能を特徴とする請求項1に記載のシミュレーション方法。
【請求項7】
請求項1に記載の電力・熱需要推予測モジュールにおいて、請求項2から請求項4に記載の過去推測気象データ、請求項5に記載の今後予測気象変化、請求項6に記載の電力および熱需要モデルパターン、過去蓄積計測需要データおよび過去推測需要データのうち、一つだけ、或いは二つ以上のデータから、過去および現在における電力および熱需要計測データが蓄積されていない対象施設に対する過去の電力および熱需要を時間毎の変化として予測する今後予測需要変化算出機能を特徴とする請求項1に記載のシミュレーション方法。
【請求項8】
請求項1に記載のシステム構成・運転方法好適化モジュールにおいて、風力発電装置、太陽光発電装置、太陽熱集熱装置ならびにコージェネレーション装置を単用、若しくは併用、若しくは合用するエネルギーシステムにおける電気的および熱的出力エネルギー、装置設置コスト、運転コスト、CO排出をベストマッチングするシステム構成および運転方法を出力する機能を特徴とする請求項1に記載のシミュレーション方法。
【請求項9】
請求項1に記載のシステム構成・運転方法好適化モジュールにおいて、請求項2から請求項4に記載の気象推予測モジュールにより算出される任意地点の今後予測気象変化を用いて、同地点における任意規模の風力発電装置、太陽光発電装置、および太陽熱集熱装置を設置した場合に得られる電力・熱エネルギー量を時間毎の変化として予測する今後予測供給可能エネルギー変化算出機能を特徴とする請求項1に記載のシミュレーション方法。
【請求項10】
請求項1に記載のシステム構成・運転方法好適化モジュールにおいて、請求項9に記載の今後予測供給可能エネルギー変化算出機能により予測された今後予測供給可能エネルギー変化と請求項7に記載の今後予測需要変化算出機能により予測される今後予測需要変化を用いて、風力発電装置、太陽光発電装置、太陽熱集熱装置ならびにコージェネレーション装置を単用、若しくは併用、若しくは合用するエネルギーシステムの運転法を時間毎に運転コスト或いはCO排出量に関して好適化する予測利用運転好適化機能を特徴とする請求項1に記載のシミュレーション方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−83971(P2008−83971A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−262858(P2006−262858)
【出願日】平成18年9月27日(2006.9.27)
【出願人】(304027349)国立大学法人豊橋技術科学大学 (391)
【Fターム(参考)】