説明

太陽光利用の仮設建屋式水棲生物小割養殖水槽又は農業園芸施設の太陽光発電方式

【課題】エコ電力を発電する新規方式を提供する。
【解決手段】(1):太陽光透過性の仮設建屋式水棲生物小割方形養殖水槽を、日当たりの良い海浜又は野原に、複数棟整然と集落状に建設する。(2):前記各水槽の仮設屋根部分から入射する太陽光が、少なくとも、上記水槽全水面を照射し得る程度の受光面以外の透明屋根庇部分と、少なくとも、この仮設建屋方形水槽室の二側壁外面の略全面とに、軽質の太陽電池モジュールを装着する。(3):少なくとも、仮設建屋の内面部分に、遠赤外線マイナスイオン発生塗料を塗布すると共に、適当な送風機を適当な場所に装着して、常時微風が建屋内を流動し、建屋内の雰囲気を海浜の気象状態と近似した雰囲気を造成し、養殖槽内の育成条件を整える。(4):前記水槽内では魚介類を養殖し、水槽外ではエコ電力を発電して、その一部を此の養殖系の電気エネルギーとして再使用し、其の残部又は全部を売電する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光利用の架設建屋式方形水棲生物小割養殖水槽又は農業用園芸施設の如き軟弱構造の建物上での太陽光発電方式に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、地球温暖化現象防止の為に、無尽蔵且つクリーンエネルギーたる太陽エネルギーを利用する発電技術が、日を追って隆盛に成り、種々な発電素子及び装置が提案され、種々な分野に利用されるに至っている。
【0003】
本来、太陽電池例えばアモルフォス・シリコン電池に於いては、一枚の絶縁性基板の上に、多数の太陽電池セル(乾電池)を直列、並列に接続して、高電力を取り出す様にし、此れを長期に亘って保護する為に、透明なパッケージ内に封入して、一個の太陽電池モジュールを形成したものである。
【0004】
然しながら此のモジュールの裏面には、アルミ等をPVFでサンドウィッチ状の構造にして、高絶縁性と耐湿性とを維持し、更に其の全体を、アルミニュウム枠内に嵌装して、強度を高めた構造と成っているので、産業用の目的の場合は別として、社会生活用のもの、例えば家庭電力用太陽発電装置等では、所定電力以上の電力を得る為には、其の容積、重量、費用も嵩むので、其の取り付け場所は極めて限定されざるを得なく成っていた。
【0005】
斯くの如き理由から、近年では更に研究が加えられ、アモルフォス・シリコン太陽電池が、300℃以下の温度範囲で形成される事に着目し、耐熱性プラスチックフィルム上で此れを形成する事に成功し、更には曲げられる太陽電池等も生産する事に成功したので、此れ等を利用する事により、太陽電池ジャケットや、太陽電池パラソル等が市販されるに至っている。
【参考文献1】
[太陽電池を使いこなす](桑野幸徳著:講談社出版]
【0005】
この様な技術情勢に鑑み、日当たりの良い家屋、建物等の屋上ばかりでなく、近時、日を追って増加しつつある太陽光利用仮設建屋式水棲生物小割養殖水槽[以下、太陽光利用水棲生物養殖水槽と呼称する]や、農業園芸ハウス、特にかまぼこ型ビニールハウス等の軟質構造物の屋根、又は透明な天蓋、或いは側壁等に、この種フィルム状太陽電池を装着して、火力発電、化石発電等の商業電力に代わる、クリーン・エコ・電気エネルギーを提供せんとする技術が、開示、散見されるに至っている。
【特許文献1】特開2001−291888
【特許文献2】特開2004−247429
【発明が解決せんとする課題】
【0006】
一方、前記太陽光利用水棲生物養殖水槽又は施設園芸ビニールハウス等での魚介類養殖、農産物栽培に於いては、地球温暖化の影響を受けて、夫々の季節の温度は上昇し続け、夏季以外でもこの種温室の温度は、通風、冷房、遮蔽無しには作業は不可能に近く、養殖魚介類又は作物等えの影響も、甚だ甚大となる状態である。
そこで、通常は温室の内外に太陽光遮断用の設備を設けて、入射する太陽からの光量を制御し、作業員、作物、養殖魚介類の健康及び正常な育成を維持しているのが実情である。
【0007】
然しながら、此の様な設備を設けるには、過剰な費用を必要とし、其の管理調節にも又多大な余剰労力を必要とするが、太陽光発電の点のみからすると、日照時間も長く、光の強さも強力な田園、原野、浜辺での此れ等施設上での発電は、フィルム状又は曲折自在な発電モジュールの実用化時代に即応して、太陽光発電の最適な利用場所と目されている。
【0008】
此の様な現状にも関わらず、前記養殖施設又は農業園芸施設でのこの種技術の普及は、未だ甚だ不十分で、単に上記した特許文献に開示されているに過ぎない状態である。
【0009】
そこで本発明は、斯くの如き立地上、施設構造上の太陽エネルギー授与の恩恵を利用して、夫々の主生産物の生産性の向上を図ると同時に、大量の電力をも生産して、施設の化石燃料使用率ゼロを達成し、地球温暖化防止の一翼を担うと同時に、発電電力の販売による利益を以って、此の種主生産物の原価逓減を図らんとするものである。
【課題を解決する為の手段】
【0010】
本来、水中植物、陸上植物共に光合成に依って成長するものであるから、太陽光線が不足すると成長する事が出来ない。
又一方、太陽光線には、可視光線、赤外線、紫外線、遠赤外線等、夫々の異なる波長を持つ光線を含んでおり、光合成には可視光線を必要とし、果肉、色彩、味等の成熟には,遠赤外線が甚だ強く関与していると言われている。
【0011】
一方、上記の太陽光利用の水棲生物養殖水槽や園芸ハウス等は、天井部又は天蓋部或いは其の全体が、透明なガラス、ビニールフィルム等で覆われており、光合成に必要な可視光線が、充分に行き渡る様に造成されているが、其の側部周辺は、建物の剛性を維持する為に、木材、プラスチック、金属等の補強部材で構築され、可及的に多く日光が入射する様に、透明な材質で覆われるのが普通である。
【0012】
従って、可視光線は、上部の透明被蓋部材、ガラス、ビニールフィルム等は自由に通過して、槽内若しくは室内の水棲植物、陸上植物を光合成する事が出来るが、此れ等植物の成熟作用、色付け作用を行う一因子である遠赤外線は、此れ等物質に吸収されて、前記水槽内或いは温室内に侵入する事が不可能である。
従って、遠赤外線の存在が必要な場所、例えば上記の如き温室内では、適当な方法で、此れを発生する手段を講ずる必要がある。
【0013】
又一方、日照条件に依っては、夏季以外でも室内温度は、45℃以上にもなるので、適当な冷房施設が必要に成り、経費の面から冷房施設を使用出来ない場合には、日光遮蔽手段を講ずる必要がある。
本発明は、此の日光遮蔽手段の代わりに、所定寸法のフィルム状太陽電池モジュールを、目的とする温室の所定場所に装着して、透過入室する光量を制限せんとするものである。
【0014】
此の様な目的を達成する第一の特徴は、本発明の前記仮設建屋式小割養殖水槽の太陽光透過性仮設屋根の庇部と、此の水槽を囲む透明の仮設建屋水槽室側壁部とを、所定寸法の太陽電池モジュールで被覆し、水槽内の水棲植物例えば養殖昆布及び植物プランクトン等の光合成を助長するに充分な可視光線が入射し、少なくとも前記水槽水面全体を照射する様に構成する。
【0015】
次いで第二の特徴は、此れ等水槽又は温室を被覆する透明フィルム又はガラス等は、植物の熟成、味、色付け等に関係する遠赤外線を吸収するので、少なくとも上記太陽光電池モジュールの内側に、遠赤外線マイナスイオンを発生する塗料を塗布し、常時槽内若しくは仮設建屋温室内に、此のマイナスイオンが滞留して、光合成を活性化する様に構成する。
【発明の効果】
【0016】
斯くの如き構成及び作用に依って本発明は、以下の如き効果を発揮する。
(1):光合成に必要な可視光線を、少なくとも水中植物又は陸上栽培植物の光合成に必要な入射面積を維持するように構成し、可能な限り太陽電池モジュールの取り付け面積も広く成る様に配慮しているので、其の発電能力は極めて高く、集落状に建設された仮設建屋式養殖水槽又は施設園芸ハウスからは、相当の電力を発電する事が出来、自家用電力の使用は言うに及ばず、商業電力としても相当の電力が販売可能なので、主生産商品、例えば養殖バナメイの生産原価の逓減、養殖資金の蓄積等に用立てすることが出来る。
(2):化石燃料を使用せず、クリーン電気エネルギーを使用して生産運転し得るので、地球温暖化防止の一助とも成っている。
(3):光合成に必要な最小限度の可視光線の入射が約束されているに加え、太陽電池モジュールの適当場所えの装着に依る室内温度と光量の調整、並びに遠赤外線マイナスイオンの発生及び其の室内滞留が確保されるので、植物の成長、品質の向上、作業員の健康の維持等が約束出来る。
(4):フィルム状太陽電池モジュールを使用するので、夫々の建設費並びに維持費が安価である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
斯くて本発明を実施する為の最良の形態は、:
(a)・先ず第1に、取り付けられる仮設建屋式水棲生物養殖水槽又は農業用園芸施設が、総じて構造的に脆弱である上、太陽光透過性の物質特に合成樹脂フィルムで実質的に形成されるので、重質の太陽電池モジュールを使用せず、フィルム状又は曲折自在の電池モジュールを使用する事。
(b)・水中植物又は農作物等の光合成用の可視光線が、終始受光され得る様に養殖面又は栽培面を配置造成する事。
(c)・此れ等植物の成長、色彩、味旨味等には、遠赤外線の作用が必要なので、此れを吸収する温室内全体、特にその屋根庇及び側壁部に装着される太陽電池モジュールの裏側部分には、遠赤外線発生塗料を塗布する事。
(d)・温室内の温度を養殖生物、農作物、作業員の生長及び健康を阻害しない程度に、仮設屋根部又はビニールハウス天井部を、日光遮蔽部材又は太陽電池モジュールの装着位置具合で調節する事。
(e)・温室内の雰囲気を、可能な限り養殖又は栽培植物の成育自然環境、例えば海浜、田園の気象に近似した環境に造成する事。: 等の構成要素を考慮して、目的施設を敷設する事である。
以下に、図面を参照して本発明の好個の実施態様を説明する。
【実施例】
【0018】
図1及び図2には、原野例えば海浜等に敷設された仮設建屋式方形養殖水槽(1)での太陽光発電方式が示されている。
【0019】
この際の仮設建屋は、総じてガラス、合成樹脂等の太陽光透過性物質より成り、適当な軽質梁部材上に取り付けられた仮設屋根(4)と、不銹性の軽金属例えば硬質アルミ等の支柱(S),梁(B)等より成る建屋骨材上に、ガラス、光透過性合成物質等を装着若しくは貼着した仮設建屋養殖室(3)とを、適当な手段で組立連結し、其の内部に、コンクリート、合成樹脂、或いは不銹性金属等で形成した方形の小割養殖水槽本体(2)を据え付けた構造より成る。
【0020】
更に又此の養殖水槽本体(2)は、以下の如き部材で構成され、植物性ヘドロと、水性シリコン並びに数種のミネラルを含む濾過床(13)との存在で発生した底質、即ち植物プランクトン及び動物プランクトン(14)の存在下に、水棲生物バナメイ(16)を養殖するエルトンの食物連鎖に基ずく養殖方式を実行する魚介類養殖手段である。
本件仮設建屋式養殖水槽本体の構成部材
(8) 方形水棲生物小割養殖水槽
(9) 養殖水保温パイプ手段
(10) 生物濾過マット
(11) 耕水機
(12) 養殖コンブ又は人工コンブ
(13) 水性シリコン及びミネラル類を含有する濾過床
(14) 底質
【0021】
上記の如き水槽本体に於いて、前記透明仮設屋根(4)に降りかかる太陽光線(S)の可視光線部分は、点線矢印の如く、ガラス又は透明プラスチック製の仮設屋根(4)を透過して、槽内で養殖されているコンブ(12)と底質(14)内の植物プランクトン部の光合成を達成させ、発生した酸素は動物プランクトン及び養殖バナメイ(16)の呼吸を助けると同時に、耕水機(11)で取り込まれた酸素と共に、矢印(15)の如き湧昇流と成って、槽内の浄化と水質の均質化とを助長すると共に、動物プランクトンとバナメイ(16)の呼吸による炭酸ガスも同伴して、植物プランクトン及び養殖コンブ(12)に、他の窒素、リン等の成分と共に吸収される。
又一方、前記濾過床(13)では、槽内で発生した窒素、アンモニヤ等を吸収分解すると同時に、前記した如く、植物プランクトンの発生増殖に寄与して、エルトンのピラミットの基礎植物成分を発生させる。
【0022】
この様な環境に於いて発生した植物プランクトンは、動物プランクトンを発生させて其の餌と成り、更に此の動物プランクトンは、養殖バナメイ(16)の食餌と成って成長させ、斯くの如く成長したバナメイは、養殖コンブを食しながら隠遁揺籃されて成魚に成長し、出荷される。
【0023】
他方、仮設建屋を構成する仮設屋根(4)の内側には、(7)で示す如き入射光量調節用の遮蔽手段を設けると同時に、仮説建屋養殖室(3)の内壁と共に、遠赤外線マイナスイオン発生塗料を塗布して、常時仮設建屋内全体に、遠赤外線マイナスイオンを存在させて、透明な仮設屋根(4)から入射する太陽光を活性化し、送風機(19)から送られる微風に依って、点線矢印の如く流動させ、仮設建屋室内を符号(20)で示す如き海洋天候型雰囲気に造成し、水中植物の光合成を促進させると同時に、養殖水棲生物バナメイ(16)のストレスを解消する如く作用させる。
【0024】
この様な内部構造及び作用、効果を備えた此の仮設建屋は、適当な温度管理を行わない限り、室内温度が上昇し過ぎて、養殖生物の成長と作業員の健康とに悪影響を与えるので、適当に通風し、入射日光を適当に遮断すると共に、図1及び図2に示す如く、仮設建屋の屋根の一部と側壁部の全面に、フィルム状太陽電池モジュール(5)(6)を、図示はされていないが、適当な間隔

面間に多少の空冷用隙間を形成する様に貼付する。
【0025】
前記した如く、此のフィルム状太陽電池モジュール(5)(6)は、アモルフォスシリコン太陽電池であり、脆弱な合成樹脂フィルム、布などの上にも貼着可能な発電部材である。
この様な太陽電池モジュールの特徴は、以下に詳述する本発明の仮設建屋式水棲生物養殖水槽又は農業園芸施設、特に図3及び図4に示す如き、脆弱なビニールハウス上での太陽光発電に必須不可欠の部材であるが、場合に依っては、此の簡便なモジュールも又、曲折自在の合成樹脂シート状の太陽電池モジュールで代用する事も可能である。
【0026】
翻って、図1に示す前記養殖水槽本体(2)は、使用する素材例えばコンクリート素材や、加熱保温手段の効率性、簡便性を考慮して、容積10m(好ましくは正方形)の物が使用されており、更に此の水槽の養殖温度維持と、養殖作業員の作業空間とを考えて、総体的に、水槽の周りに幅約1mの通路空間を設けているので、仮設建屋全体の敷地面積は、
12m X 12m = 144m・・・・・・・・・・[1]
を必要とする。
【0027】
又、此の仮設建屋の庇までの高さは、作業員(17)の背丈を1・65mとし、其の作業能率を考慮すると、2mの高さとすれば充分であるので、左右壁面の面積は、
12m X 2m X 2 = 48m・・・・・・・[2]
と見積もられる。
【0028】
更に又、前記した様に、養殖水槽(2)内の養殖コンブ(12)及びび植物プランクトンの光合成を維持する為には、少なくとも槽内水面上への可視光線(S)の照射が必要であり、その他の水槽外の斜線部分(18)は、直射日光を必要としないので、養殖バナメイ(16)のストレスや作業員の(19)の健康等を考慮して、此の部分の延長線上の屋根部分(庇部分)は、太陽光を遮断するのが好ましいと判断される。
従って此の部分にも、フィルム状太陽電池モジュール(5)を搭載して日陰を作るのが有利である。
【0029】
斯くの如くして、此の仮設建屋式養殖水槽(1)は、作業員の出入り用及び空調用の開閉自在のドアー(D)(D)が設けられた前後2面の側壁を除き、その左右側壁2面と、仮設屋根(4)の左右2庇部分(5‘)(5’)とは、光合成の為の太陽光入射必須水面への太陽光入射線外であるので、此の部分も又、以下の容積、即ち;
1m X 12m X 2 = 24m・・・・・・・・[3]
の太陽電池モジュールを装着する事が出来る。
但し、仮設屋根の傾斜が極めて緩やかであるので、庇上の太陽電池モジュールの幅寸法は、建屋内の作業員通路(18)の幅寸法と同一寸法と見做して計算されている。
【0030】
従って一方では、水棲生物バナメイを陸上養殖しながら、他方では、
[2]+[3]=(48m + 24m = 72m・・・・[4]
の面積の太陽電池モジュール(5)(6)を仮設屋根庇部分と仮設建屋養殖室両側壁面上とに装着して発電し、此の電力の一部を前記養殖水槽の運転電気エネルギーとして使用し、他の余剰電気は、商業電力として販売する事が出来る。
【実施例2】
【0031】
図3及び図4には、上記した仮設建屋式水棲生物養殖水槽と同一寸法の水槽本体(32)を使用し且つ同一敷地面積のかまぼこ型ビニールハウス式方形水棲生物小割養殖水槽(31)内で、バナメイを養殖する養殖方式と、其の外層壁面及びドーム状天井部(34)の庇相当部分に、フィルム状太陽電池モジュール(35)(35)・・を装着して、太陽光発電を同時に実施する発電方式とが示されている。
然しながら、此の養殖水槽本体(32)は、通常の園芸ハウスの如く、農作物を栽培する温室栽培畑であっても差し支えない。
【0032】
此の態様に於いて、かまぼこ状ビニールハウス(31)には、通常、図示の如く透明な塩化ビニールシートが、半円球の骨材(33)(33)・・・・上に貼付されているが、実施例1で記載したと同様に、投射する太陽光(S)(S’)が、養殖水槽内の水生植物の光合成を阻害しない程度の光量を、水面上に届け得る部分、即ち、左右両側の壁面相当部を超えたドーム状の天蓋庇相当部分まで、可及的広範囲に太陽電池モジュール(35)(35)・・で貼着−被覆されている。
【0033】
又、先の実施例の養殖水槽と同様に、前記養殖水槽本体(32)の両側には、作業員の往来する通路(38)が設けられており、此の1乃至1.5mの通路部分は、可視光線の入射を必要としない部分であると同時に、外側に貼られた太陽電池モジュールの日陰の為、日中必要以上に高温に成り易い室内の温度を緩衝する役目を果たしている事、既述の通りである。
従って、此の種かまぼこ型ビニールハウスにおいても、前記仮設建屋水槽と略同じ高さまで、又略同じ面積の太陽電池モジュールを使用する事が出来る。
【0034】
図5には、本発明の仮設建屋式水棲生物小割養殖水槽6棟より成る、集落状養殖施設の太陽光発電電力の再利用並びに商業販売のフローシートが示されている。即ち:
前記養殖水槽群()()・・・で夫々太陽光発電された直流電力は、矢印(2a)(2a)・・・で示す如く、各水槽から取り出され、接続箱(A)に集められ、次いで電流返還器(B)に導かれた後、インバーターに依り交流に変換され、使用目的に従って分流される分電器(C)に送られる。
【0035】
この際必要に応じて、当該養殖水槽の運転電力として使用する場合には、矢印(1c)を経て蓄電器(E)を介するか或いは介せず、矢印(2a)に従ってリサイクルされるか、或いは矢印(1b)で示す如く、商業電力として電力会社に販売される。
尚、符号(F)は、此れ等養殖水槽で発電された直流電力を一括管理する管理棟又は管理室を示し、符号(2b)は、リサイクル電流(2a)のマイナス配線を示している。
【0036】
結論として、上記仮設建屋式或いはビニールハウス式水棲生物小割養殖水槽()(31)上に搭載可能な太陽電池モジュールの発電総電力の経済的効果を算出すると、以下の如く成る。
算出の基礎
(A) 晴天時の太陽エネルギーは、通常1m当たり1KWエネルギーと計算されている。
(B) 種々な天候条件を考慮して、1日の日照時間は、日本国に於いては、3・8時間と算出されている。[気象庁基準]
(C) 太陽電池の電力変換率を10%とした場合の、1日当たりの太陽電池の発電電力は:

となり、:
(D) 従って、1年間当たりの太陽電池モジュール1mの発電電力は:
0・384KW/h X 365 = 140・16KW [5]
と算出される。
(E) その結果、上記仮設建屋式水棲生物小割養殖水槽6棟の総太陽光発電電力は:[5] X [4] X 6 = 140・16KW/h X 72 X 6= 60,550KW・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・[6]
(F) 現在、商業電力会社の太陽光発電電力1KW/h当たりの買価は、48円であるから、上記養殖水槽6棟集落の1年間の太陽光発電総電力の売価は、以下の通りである。
48円 X 60,550 = 2,906、400円
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の仮設建屋式方形水棲生物小割養殖水槽での、太陽光発電方式を示す切断正面図である。
【図2】図1の太陽光発電を示す側面図である。
【図3】本発明のかまぼこ型ビニールハウス方形水棲生物小割養殖水槽での、太陽光発電方式を示す切断正面図である。
【図4】図3の太陽光発電を示す側面図である。
【図5】図1又は図3の集落状養殖水槽6棟での太陽光発電電力の消費ー売電方法を示すフローシートである。
【符号の説明】
【0038】
・・・・・・仮設建屋式方形水棲生物小割養殖水槽
2・・・・・・上記養殖水槽本体
3・・・・・・養殖室
4・・・・・・光透過性仮設屋根
5・・・・・・フィルム状太陽電池モジュール
6・・・・・・フィルム状太陽電池モジュール
S・・・・・・太陽光
31・・・・・・かまぼこ型ビニールハウス式方形水棲生物小割養殖水槽
32・・・・・・上記養殖水槽本体
33・・・・・・半円球骨材
35・・・・・・太陽電池モジュール
38・・・・・・通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光利用の架設建屋式方形水棲生物小割養殖水槽に於いて、当該水槽内の植物又は植物プランクトン等の光合成に必要な可視光線の投光率を、少なくとも槽内水面面積に維持すると共に、前記建屋内の光合成不要敷地部分を覆う屋根部分及び側壁部分を、可及的に広く太陽電池モジュールで被覆又は遮蔽して発電し、その一部を前記養殖水槽に再利用するか、或いは、其の残部又は全部を売電する事を特徴とする太陽光発電方式。
【請求項2】
前記建屋式方形水棲生物小割養殖水槽が、農業用園芸施設である事を特徴とする請求項1記載の太陽光発電方式。
【請求項3】
前記園芸施設が、かまぼこ型のビニールハウスである事を特徴とする請求項2記載の太陽光発電方式。
【請求項4】
前記太陽電池モジュールが、フイルム状又は曲折自在の軽質太陽電池モジュールである事を特徴とする請求項1乃至3何れか一項に記載の太陽光発電方式。
【請求項5】
太陽電池モジュールの装着された前記水棲生物小割養殖水槽又は園芸施設の仮設建屋又は施設内面全部、又は、少なくとも太陽電池モジュールの装着された部分の内面に、遠赤外線マイナスイオン発生塗料を塗布した事を特徴とする請求項1乃至4何れか一項に記載の太陽光発電方式。
【請求項6】
前記水棲生物小割養殖水槽又は園芸施設が、整然と集落状に敷設され、夫々の水槽又は施設で発電された電力を、集積管理して変電した後、その一部を夫々の水槽又は施設の運転エネルギーとして再使用するか使用せず、其の残部又は其の全部を、商業電力として売電する事を特徴とする請求項1乃至5何れか一項に記載の太陽光発電方式。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−195547(P2012−195547A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−80493(P2011−80493)
【出願日】平成23年3月14日(2011.3.14)
【出願人】(505198400)有限会社ユア (5)
【Fターム(参考)】