太陽光発電の給電システム
【課題】太陽電池の発電量の変化や受電負荷の消費電力の変動に素早く対応し、太陽電池の発電機能と蓄電池の充放電機能を十分に発揮して、受電負荷に適切に電力を供給できることを目的とする。
【解決手段】大容量の主太陽電池1から受電負荷4に電力を供給する給電回路3と、小容量の副太陽電池5または2次電池7から受電負荷4に電力を供給する充放電回路9と、給電回路3と充放電回路9を接合または分離する回路切替器10と、発電計測部11、給電計測部12および充電計測部13からの信号を受けた制御部14が、回路切替器10により各回路の切り替えをして、主太陽電池1、副太陽電池5および2次電池7を組み合わせて、受電負荷4または2次電池7に必要な電力を供給する太陽光発電の給電システムが得られる。
【解決手段】大容量の主太陽電池1から受電負荷4に電力を供給する給電回路3と、小容量の副太陽電池5または2次電池7から受電負荷4に電力を供給する充放電回路9と、給電回路3と充放電回路9を接合または分離する回路切替器10と、発電計測部11、給電計測部12および充電計測部13からの信号を受けた制御部14が、回路切替器10により各回路の切り替えをして、主太陽電池1、副太陽電池5および2次電池7を組み合わせて、受電負荷4または2次電池7に必要な電力を供給する太陽光発電の給電システムが得られる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光を電気に変換する太陽光発電パネルと、この太陽光発電パネルからの電気を蓄える2次電池を備え、太陽光発電パネルの発電状況や2次電池の蓄電量に対応しながら、工場などの受電負荷に電力を供給する太陽光発電の給電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の太陽光発電の給電システムは、負荷の消費電力に応じて、蓄電池から電力供給を行い、負荷の消費電力が所定値以上のときは、その不足分を太陽光発電などから電力供給するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
以下、その太陽光発電の給電システムについて、図11を参照しながら説明する。
【0004】
図11に示すように、太陽光発電B152または交流電力の受電装置150により充電される蓄電池130は充放電機能を備えた双方向電力変換器102と接続され、太陽光発電A151または受電装置150、双方向電力変換器102および負荷140との間に電力の選択を行なう電力選択手段101を設け、電力選択手段101の制御を行なう制御手段104により、夜間料金適用時間帯は受電装置150から蓄電池130に充電を行なうとともに負荷140に電力を供給し、デイタイムは負荷140の消費電力に応じて蓄電池130からのみの電力供給を行なうとともに太陽光発電A151の余剰電力を商用電力側に逆潮流させ、負荷140の消費電力が所定の値以上のときは、その値までは蓄電池130から電力供給し、不足分は交流電力の受電装置150や太陽光発電A151から電力を供給している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−149037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような従来の蓄電池を併用する太陽光発電の給電システムにおいては、太陽光発電Bは蓄電池をデイタイムに補助的に充電するのみであり、エネルギー源として安価に給電できる太陽光発電Bを十分に活用できていないという課題がある。またデイタイムに蓄電池が過放電して充電が必要な場合や、負荷が変動する場合は、蓄電池を主体とした給電システムの運転が不安定になるという課題を有していた。
【0007】
そこで本発明は、上記課題を解決するものであり、大容量と小容量の2種類の太陽電池および蓄電池を、状況に応じて有効に組み合わせて使用することにより、負荷の消費電力の変動に素早く対応し、また蓄電池の充電不足に対して急速に充電を行い、太陽電池の発電機能と蓄電池の充放電機能を十分に発揮して、負荷変動や充電不足への対応力を強化した太陽光発電の給電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そして、この目的を達成するために、本発明は大容量の主太陽電池から主パワーコンディショナーを介して受電負荷に電力を供給する給電回路と、小容量の副太陽電池から充放電器を介して2次電池に充電するとともに、前記充放電器の回路切替により副太陽電池または/かつ前記2次電池から副パワーコンディショナーを通して前記受電負荷に電力を供給する充放電回路と、前記給電回路と前記充放電回路とを、各太陽電池の出力側において、一方から他方の回路に接合または両回路を分離するように回路切替する回路切替器と、前記主太陽電池と前記副太陽電池の発電電力量を計測する発電計測部と、前記受電負荷に必要とされる必要電力量を計測する給電計測部と、前記2次電池の充電量を計測する充電計測部と、前記発電計測部、前記給電計測部および前記充電計測部からの信号を受けて、前記回路切替器および前記充放電器の回路切替をおこなわせる制御部を有することを特徴とする太陽光発電の給電システムとしたものであり、これにより初期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、大容量の主太陽電池から主パワーコンディショナーを介して受電負荷に電力を供給する給電回路と、小容量の副太陽電池から充放電器を介して2次電池に充電するとともに、前記充放電器の回路切替により副太陽電池または/かつ前記2次電池から副パワーコンディショナーを通して前記受電負荷に電力を供給する充放電回路と、前記給電回路と前記充放電回路とを、各太陽電池の出力側において、一方から他方の回路に接合または両回路を分離するように回路切替する回路切替器と、前記主太陽電池と前記副太陽電池の発電電力量を計測する発電計測部と、前記受電負荷に必要とされる必要電力量を計測する給電計測部と、前記2次電池の充電量を計測する充電計測部と、前記発電計測部、前記給電計測部および前記充電計測部からの信号を受けて、前記回路切替器および前記充放電器の回路切替をおこなわせる制御部を有するという構成にしたことにより、各計測部の計測結果に応じて、制御部が主太陽電池と副太陽電池および2次電池を、給電回路と充放電回路の切り替えにより接続または分離することができ、各太陽電池の発電電力あるいは蓄電池の放電電力を組み合わせて、必要な箇所に集結または分散して供給することができるので、受電負荷の変動に適切に対応することができ、蓄電池の充電不足への対応力も強化できるという効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態1の太陽光発電の給電システムの全体構成のブロック図
【図2】同フローチャート
【図3】本発明の実施の形態2の太陽光発電の給電システムの全体構成のブロック図
【図4】同フローチャート
【図5】本発明の実施の形態3の太陽光発電の給電システムの全体構成のブロック図
【図6】同フローチャート
【図7】本発明の実施の形態4の太陽光発電の給電システムの全体構成のブロック図
【図8】同フローチャート
【図9】本発明の実施の形態5の太陽光発電の給電システムの全体構成のブロック図
【図10】同フローチャート
【図11】従来の太陽光発電の給電システムの全体構成のブロック図
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の請求項1記載の太陽光発電の給電システムは、大容量の主太陽電池から主パワーコンディショナーを介して受電負荷に電力を供給する給電回路と、小容量の副太陽電池から充放電器を介して2次電池に充電するとともに、前記充放電器の回路切り替えにより副太陽電池または/かつ前記2次電池から副パワーコンディショナーを通して前記受電負荷に電力を供給する充放電回路と、前記給電回路と前記充放電回路の各太陽電池の出力側に位置して、前記給電回路から前記充放電回路に接合または両回路を分離する回路切替器と、前記主太陽電池発電電力量と前記副太陽電池の発電電力量を計測する発電計測部と、前記受電負荷の必要とする必要電力量を計測する給電計測部と、前記2次電池の充電電力量を計測する充電計測部と、前記発電計測部、前記給電計測部および前記充電計測部からの信号を受けて、前記回路切替器および前記充放電器の回路切り替えを行なわせる制御部からなるという構成を有する。これにより、各計測部の計測結果に応じて主太陽電池と副太陽電池および2次電池を、給電回路と充放電回路の切り替えにより接続または分離することができ、各太陽電池の発電電力あるいは蓄電池の放電電力を組み合わせて、必要な箇所に集結または分散して供給することができるので、受電負荷の変動に適切に対応することができ、蓄電池の充電不足への対応力も強化することができるという効果を奏する。
【0012】
また、前記受電負荷の必要電力量がない場合、または前記主太陽電池の発電電力量が必要電力量より設定値以上大なる場合で、前記2次電池の充電電力量が規定値より小なるときは、前記制御部は前記回路切替器により給電回路と充放電回路を分離して、前記給電回路において前記受電負荷に電力を供給するとともに、前記充放電回路において前記充放電器を切り替えて、副太陽電池から2次電池に充電するという構成を有する。これにより、主太陽電池からは受電負荷に電力を供給する間に、副太陽電池から2次電池に充電することにより、2次電池の充電不足が予防できるとともに、主太陽電池から受電負荷までの経路と、副太陽電池から2次電池までの経路を、回路切替器と充放電器により確実に分離することにより、安定した給電および充電を行なうことができるという効果を奏する。
【0013】
また、前記受電負荷に給電が不要の場合で、前記2次電池の充電量が規定値より小なるときは、前記制御部は前記回路切替器を切り替えて給電回路を充放電回路に接合することにより、主太陽電池と副太陽電池から2次電池に充電するという構成を有する。これにより、工場が休日のときなどは、主太陽電池と副太陽電池の発電量を合わせて2次電池に充電することができるので、夜間電力などのコストのかかる充電用の電力は不要となり、経済的に余裕を持って充電できるとともに、太陽電池に大きな発電量が生じたときでも、2次電池に充電させて系統への逆流を防止できるので、電源のトラブルを回避することができるという効果を奏する。
【0014】
また、前記主太陽電池の発電電力量が必要電力量以下の場合で、前記2次電池の充電量が規定値を超えるときは、前記制御部は前記回路切替器により給電回路と充放電回路を分離し、前記給電回路において前記受電負荷に電力を供給するとともに、前記充放電回路において前記充放電器を切り替えて、前記副太陽電池と前記2次電池の双方から前記副パワーコンディショナーを介して前記受電負荷に電力を供給するという構成を有する。これにより、主太陽電池と副太陽電池の電力に2次電池の電力を加算して受電負荷に電力を供給することができるので、受電負荷の電力不足に即座に対応できるという効果を奏する。
【0015】
また、前記受電負荷の停電を検出する停電検出部と、前記副パワーコンディショナーと接離可能に設けた特定負荷を有し、前記停電検出部が受電負荷の停電を検出したとき、前記制御部は前記回路切替器を切り替えて前記給電回路を前記充放電回路に接合するとともに、前記副パワーコンディショナーの出力側を前記特定負荷のみに接続することにより、前記給電回路と前記充放電回路で生じた電力を、前記特定負荷に供給するという構成を有する。これにより、商用電源が停電した場合は、受電負荷との接続を即座に遮断して停電時に使用する独立した特定負荷と接続し、さらに主太陽電池と副太陽電池で得られた電力を特定負荷または2次電池に給電するとともに、2次電池からも特定負荷に給電することができるので、停電時において、受電負荷や商用電源とは独立して、安全かつ確実にバックアップ運転ができるという効果を奏する。
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0017】
(実施の形態1)
図1に示すように、工場や事務所などの受電負荷4には商用電源(図示せず)が接続されるとともに、太陽光発電を利用した電力供給手段として、給電回路3と充放電回路9とがそれぞれ接続されている。給電回路3は主太陽電池1から回路切替器10、主パワーコンディショナー2を介して受電負荷4に電力を供給する回路である。また充放電回路9は副太陽電池5から回路切替器10、充放電器6を介して2次電池7に充電するとともに、充放電器6に設けた回路切り替え機能により副太陽電池5または/かつ2次電池7から副パワーコンディショナー8を通して受電負荷4に電力を供給する回路である。主太陽電池1は5.5kWの発電能力を有し、副太陽電池5は1.6kWの発電能力を有し、2次電池7は鉛蓄電池を数十台接続したもので28kWhの蓄電能力を有している。
【0018】
また回路切替器10は、給電回路3の主太陽電池1の出力側と充放電回路9の副太陽電池5の出力側において、給電回路3と充放電回路9とに跨るように設けられている。そして、回路切替器10はスイッチング素子やマグネットスイッチを内蔵し、給電回路3から充放電回路9への接合または両回路の分離を行なうものである。また、充放電器6は内蔵する切り替えスイッチにより、2次電池7の充電と放電を制御するものであるが、副太陽電池5から2次電池7を通らずに受電負荷4方向への経路を選択することもできるものである。
【0019】
発電計測部11は主太陽電池1の発電電力量Gp1と副太陽電池5の発電電力量Gp2を計測するものであり、また給電計測部12は受電負荷4に必要とされる必要電力量Dpを計測するものであり、充電計測部13は2次電池7の充電量Bpを計測するものである。制御部14は発電計測部11、給電計測部12および充電計測部13からの信号を受けて、回路切替器10および充放電器6により回路の切り替えを行い、受電負荷4への電力供給と2次電池7の充電および放電を行なうようにしている。
【0020】
また、充放電器6と副パワーコンディショナー8の間にはソフトスタート回路15が挿入され、充放電器6を通して副太陽電池5と2次電池7の電力が同時に供給されたときに、大きな突入電流を抑制して、副パワーコンディショナー8の入力負荷を軽減する働きをしている。さらに、受電負荷4へ供給電源が突然停止された場合に停電を検出する停電検出部16を設け、停電時に必要な表示灯などの緊急用電源として特定負荷17を設けている。そして停電検出部16が停電を検出したときは、制御部14は停電検出部16からの信号を受けて、回路切替器10、充放電器6および副パワーコンディショナー8の回路を切り替えてに、主太陽電池1、副太陽電池5および2次電池7の電力を特定負荷17に供給するようになっている。
【0021】
上記構成において、図1のブロック回路図と図2のフローチャートを用いて動作の概要を説明する。
【0022】
図2に示すように、まず運転を開始すると、基本動作を行なう(S101)。基本動作は、回路切替器10による分離切り替えにより、給電回路3の主太陽電池1で受電負荷4への電力供給を行なうとともに、充放電回路9の副太陽電池5から2次電池7を充電する動作である。次に、2次電池7の故障検出ルーチンで、蓄電池の異常温度、過電圧、過放電などの有無を検査して、2次電池7が正常に機能することを確認する(S102)。
【0023】
そして、停電検出部16の検出信号に基づき、停電の有無を判定し(S103)、停電がある場合は、停電ルーチンにおいて停電対策を行なう(S501)。このとき、前述のように回路切替器10、充放電器6および副パワーコンディショナー8の回路を切り替えて、主太陽電池1、副太陽電池5および2次電池7の電力を集めて特定負荷17に供給することにより、大容量の電源を即座に確保することができる。
【0024】
停電のない場合は、発電計測部11、給電計測部12、充電計測部13の計測結果で充電の可能性を判定し(S104)、充電が可能な場合は、回路を切り替えて2次電池7に充電を行なう(S301)。このとき、前述のように、回路切替器10により主太陽電池1を充放電回路9に接続できるので、主太陽電池1と副太陽電池5の両方から2次電池7に充電が可能となる。
【0025】
さらに給電計測部12、充電計測部13の計測結果に基づき、2次電池7から受電負荷4への放電の可能性を判定し(S105)、放電可能の場合は、受電負荷4に電力を供給する(S401)。このとき、前述のように、充放電器6を切り替えて2次電池7と副太陽電池5とを加算した電力が副パワーコンディショナー8から受電負荷4に供給でき、主太陽電池1から受電負荷4へ供給できる電力と合わせると、大容量の電力を供給することができる。
【0026】
このように全ての発電電力または充電電力を必要な箇所に集結または分散して供給することができるので、各太陽電池の発電電力あるいは蓄電池の放電電力を適切に組み合わせて、受電負荷の変動や太陽電池の発電電力の変化への対応が可能であり、さらに蓄電池の急速な充電や、停電時の電源の確保ができるという優れた太陽光発電の給電システムを実現することができる。
【0027】
なお本実施の形態において、2次電池7に鉛蓄電池を用いたが、ニッケルカドミウム電池やリチウムイオン電池を用いるようにしてもよい。
【0028】
(実施の形態2)
図3において、図1と同様の構成要素については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。図3は基本設定ルーチンを示すブロック回路図であり、主太陽電池1から受電負荷4に給電し、副太陽電池5から2次電池7を充電する電流経路を示している。
【0029】
上記構成において、図4のフローチャートを用いて、その動作を説明する。まず運転の開始時または通常運転において、発電計測部11の計測した発電電力量Gp1が給電計測部12で計測した必要電力量Dpより大であり、2次電池7の充電電力量Bpが規定値Baより小である場合に(S111)、制御部14は回路切替器10により給電回路3と充放電回路9を分離する(S112)。さらに主パワーコンディショナー2をONとして給電回路3を受電負荷4と接続する。また副パワーコンディショナー8はOFFとして受電負荷4とは遮断する(S113)。次に充放電器6を切り替えて2次電池7に接続し(S114)、上記した動作を繰り返す(S114)。このように、基本設定ルーチンでは、回路切替器10の切り替えにより主太陽電池1から受電負荷4に電力を供給するとともに、さらに充放電器6を切り替えて副太陽電池5から2次電池7に充電することができる。
【0030】
以上のように、主太陽電池1からは受電負荷4に電力を供給する間に、副太陽電池5から2次電池7に充電することにより、2次電池7の充電不足が予防できるとともに、主太陽電池1から受電負荷4までの経路と、副太陽電池5から2次電池7までの経路を、回路切替器10と充放電器6により確実に分離することにより、安定した給電および充電を行なうことができる。
【0031】
(実施の形態3)
図5において、図1と同様の構成要素については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。図5は充電ルーチンを示すブロック回路図であり、主太陽電池1および副太陽電池5から2次電池7を充電する電流経路を示している。
【0032】
上記構成において、図6のフローチャートを用いて、その動作を説明する。工場や事務所などが休日の場合は受電負荷4の必要電力量Dpが0となる場合がある。また、必要電力量Dpが極めて小さくなり、発電計測部11の計測した発電電力量Gp1と必要電力量Dpとの差(Gp1―Dp)が、予め設定した設定値Spより大となる場合は、発電電力が余ることになる(S302)。また、発電電力量Gp1と必要電力量Dpとの差がさらに大きくなると、商用電源側に逆流する可能性が生じる(S303)。このような場合には、制御部14は充電計測部13の計測値Bpが充電の規定値Bsより小であれば、2次電池7の充電能力に余裕があると判断し(S304)、主パワーコンディショナー2と副パワーコンディショナー8をOFFとして、受電負荷4への接続を遮断し(S305)、回路切替器10により給電回路3と充放電回路9を接続して、主太陽電池1の発生電力を充放電回路9に導入する(S306)。さらに、充放電回路9の充放電器6を切り替えて2次電池7に接続し、主太陽電池1と副太陽電池5の発生電力を2次電池7に蓄える(S307)。
【0033】
これにより受電負荷4の必要電力量Dpがない場合、または主太陽電池1の発電電力量Gp1が必要電力量Dpより設定値以上大なる場合は、主太陽電池1と副太陽電池5の発電量を合わせて2次電池に充電することができるので、夜間電力などの商用電源に接続した充電は不要となり、経済的に余裕を持って充電できる。さらに、発電電力量Gp1と必要電力量Dpとの差が拡大して逆流する可能性がある場合でも、2次電池に充電させることにより商用電源への逆流防止の対策を施すことができる。
【0034】
(実施の形態4)
図7において、図1と同様の構成要素については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。図7は放電ルーチンを示すブロック回路図であり、充放電器6と副パワーコンディショナー8の間にソフトスタート回路15を挿入している。そして、主太陽電池1、副太陽電池5および2次電池7から受電負荷4に給電する電流経路を示している。
【0035】
上記構成において、図8のフローチャートを用いて、その動作を説明する。動作の概要は、主太陽電池1の発電電力量Gp1だけでは必要電力量Dp以下となるときに、副太陽電池5と2次電池7の電力を合わせて、追加供給できるようにしている。すなわち、給電計測部12の計測した必要電力量Dpに対して、発電計測部11の計測する主太陽電池1の発電電力量Gp1が少ないと、電力を追加して供給する必要がある(S403)。そこで、まず2次電池7の故障診断を行なって正常状態であることを確認し(S404)、回路切替器10により給電回路3と充放電回路9を分離する(S405)。このとき、主パワーコンディショナー2はONのままとして、主太陽電池1の電力を受電負荷4に供給を続ける(S406)。次に充電計測部13の計測結果から2次電池7が過放電状態で無いことを確認し(S407)、副パワーコンディショナー8をONするとともに(S408)、充放電回路9の充放電器6を放電に切り替えることにより(S409)、副太陽電池5で発電した電力と2次電池7で蓄電した電力を、ソフトスタート回路15および副パワーコンディショナー8を介して受電負荷4に供給することができる。
【0036】
このとき、副太陽電池5と2次電池7の双方から合流して大容量の電力が副パワーコンディショナー8を介して受電負荷4に供給されるときに、充放電器6と副パワーコンディショナー8間に挿入された出力インピーダンスの大きなソフトスタート回路15が、突入電流を抑制して出力電圧を低減するので、副パワーコンディショナー8のDC−AC変換回路などを保護するとともに、出力側の交流電圧の安定化を図ることができる。
【0037】
さらに、制御部14は2次電池7からの放電時間をタイマーで管理しており、30分以上の放電が継続すると、放電を中止して基本設定ルーチンS110に戻るので(S402)、2次電池7の過放電を防ぐことができる。また、受電負荷4への追加供給が不要になれば、すぐに放電を中止して通常の運転状態に戻る(S403)。
【0038】
このように、給電回路3と充放電回路9の2つの回路から、主太陽電池1と副太陽電池5および2次電池7の電力を加算して、受電負荷4に電力を供給することができるので、受電負荷4の電力不足に対して即座に対応することができるとともに、2次電池7の過放電を防ぎ、充電状態を適正に保つことができる。
【0039】
(実施の形態5)
図9において、図1と同様の構成要素については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。図9は停電ルーチンを示すブロック回路図であり、受電負荷4には停電検出部16を接続し、副パワーコンディショナー8には特定負荷17を接離可能に接続している。特定負荷17は、停電時に必要な避難誘導灯や非常照明などの緊急時の電気設備であり、系統電源とは接続されない独立した負荷である。そして停電検出部16が停電を検出したときに、受電負荷4への給電を遮断し、さらに回路切替器10を切り替えて給電回路3を充放電回路9に接合して、主太陽電池1、副太陽電池5および2次電池7の電力を、副パワーコンディショナー8を介して特定負荷17に供給することにより、バックアップ運転を行なう電流経路を示している。
【0040】
上記構成において、図10のフローチャートを用いて、その動作を説明する。まず停電検出部16が商用電源の停電を検出すると(S502)、制御部14は主パワーコンディショナー2および副パワーコンディショナー8の接続する受電負荷4との連係を即座に断つ(S503)。それと並行して、2次電池7で制御系の電源を確保し(S504)、副パワーコンディショナー8は、その出力側を特定負荷17に接続する(S505)。さらに、制御部14は回路切替器10を切り替えて給電回路3を充放電回路9に接合するとともに(S505)、充放電器6を切り替えて、主太陽電池1と副太陽電池5から特定負荷17への電力供給と、2次電池7の充放電とを行なわせる(S506)。これにより、主太陽電池1と副太陽電池5の供給電力が多い場合は、特定負荷17への電力供給と2次電池7の充電を行ない、2次電池7が十分に充電されている場合は、2次電池7からの放電によっても特定負荷17へ電力を供給することができる。
【0041】
このように商用電源が停止した場合は、受電負荷4との接続を即座に遮断して停電時に使用する独立した特定負荷17と接続し、さらに主太陽電池1と副太陽電池5で得られた電力を特定負荷17または2次電池7に給電するとともに、2次電池7からも特定負荷17に給電することができ、受電負荷4や商用電源とは独立して自動的に電源供給できるので、安全かつ確実にバックアップ運転をすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明にかかる太陽光発電の給電システムは、主太陽電池、副太陽電池および2次電池からの電力を、必要な箇所に集結または分散して供給するものであり、受電負荷の変動や蓄電池の充電不足に適切に対応することができるので、デパート、ホテルなどの商業施設学校、市役所などの公共施設、マンションなどの集合住宅に使用される補完的な給電システム等として有用である。
【符号の説明】
【0043】
1 主太陽電池
2 主パワーコンディショナー
3 給電回路
4 受電負荷
5 副太陽電池
6 充放電器
7 2次電池
8 副パワーコンディショナー
9 充放電回路
10 回路切替器
11 発電計測部
12 給電計測部
13 充電計測部
14 制御部
15 ソフトスタート回路
16 停電検出部
17 特定負荷
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光を電気に変換する太陽光発電パネルと、この太陽光発電パネルからの電気を蓄える2次電池を備え、太陽光発電パネルの発電状況や2次電池の蓄電量に対応しながら、工場などの受電負荷に電力を供給する太陽光発電の給電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の太陽光発電の給電システムは、負荷の消費電力に応じて、蓄電池から電力供給を行い、負荷の消費電力が所定値以上のときは、その不足分を太陽光発電などから電力供給するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
以下、その太陽光発電の給電システムについて、図11を参照しながら説明する。
【0004】
図11に示すように、太陽光発電B152または交流電力の受電装置150により充電される蓄電池130は充放電機能を備えた双方向電力変換器102と接続され、太陽光発電A151または受電装置150、双方向電力変換器102および負荷140との間に電力の選択を行なう電力選択手段101を設け、電力選択手段101の制御を行なう制御手段104により、夜間料金適用時間帯は受電装置150から蓄電池130に充電を行なうとともに負荷140に電力を供給し、デイタイムは負荷140の消費電力に応じて蓄電池130からのみの電力供給を行なうとともに太陽光発電A151の余剰電力を商用電力側に逆潮流させ、負荷140の消費電力が所定の値以上のときは、その値までは蓄電池130から電力供給し、不足分は交流電力の受電装置150や太陽光発電A151から電力を供給している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−149037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような従来の蓄電池を併用する太陽光発電の給電システムにおいては、太陽光発電Bは蓄電池をデイタイムに補助的に充電するのみであり、エネルギー源として安価に給電できる太陽光発電Bを十分に活用できていないという課題がある。またデイタイムに蓄電池が過放電して充電が必要な場合や、負荷が変動する場合は、蓄電池を主体とした給電システムの運転が不安定になるという課題を有していた。
【0007】
そこで本発明は、上記課題を解決するものであり、大容量と小容量の2種類の太陽電池および蓄電池を、状況に応じて有効に組み合わせて使用することにより、負荷の消費電力の変動に素早く対応し、また蓄電池の充電不足に対して急速に充電を行い、太陽電池の発電機能と蓄電池の充放電機能を十分に発揮して、負荷変動や充電不足への対応力を強化した太陽光発電の給電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そして、この目的を達成するために、本発明は大容量の主太陽電池から主パワーコンディショナーを介して受電負荷に電力を供給する給電回路と、小容量の副太陽電池から充放電器を介して2次電池に充電するとともに、前記充放電器の回路切替により副太陽電池または/かつ前記2次電池から副パワーコンディショナーを通して前記受電負荷に電力を供給する充放電回路と、前記給電回路と前記充放電回路とを、各太陽電池の出力側において、一方から他方の回路に接合または両回路を分離するように回路切替する回路切替器と、前記主太陽電池と前記副太陽電池の発電電力量を計測する発電計測部と、前記受電負荷に必要とされる必要電力量を計測する給電計測部と、前記2次電池の充電量を計測する充電計測部と、前記発電計測部、前記給電計測部および前記充電計測部からの信号を受けて、前記回路切替器および前記充放電器の回路切替をおこなわせる制御部を有することを特徴とする太陽光発電の給電システムとしたものであり、これにより初期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、大容量の主太陽電池から主パワーコンディショナーを介して受電負荷に電力を供給する給電回路と、小容量の副太陽電池から充放電器を介して2次電池に充電するとともに、前記充放電器の回路切替により副太陽電池または/かつ前記2次電池から副パワーコンディショナーを通して前記受電負荷に電力を供給する充放電回路と、前記給電回路と前記充放電回路とを、各太陽電池の出力側において、一方から他方の回路に接合または両回路を分離するように回路切替する回路切替器と、前記主太陽電池と前記副太陽電池の発電電力量を計測する発電計測部と、前記受電負荷に必要とされる必要電力量を計測する給電計測部と、前記2次電池の充電量を計測する充電計測部と、前記発電計測部、前記給電計測部および前記充電計測部からの信号を受けて、前記回路切替器および前記充放電器の回路切替をおこなわせる制御部を有するという構成にしたことにより、各計測部の計測結果に応じて、制御部が主太陽電池と副太陽電池および2次電池を、給電回路と充放電回路の切り替えにより接続または分離することができ、各太陽電池の発電電力あるいは蓄電池の放電電力を組み合わせて、必要な箇所に集結または分散して供給することができるので、受電負荷の変動に適切に対応することができ、蓄電池の充電不足への対応力も強化できるという効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態1の太陽光発電の給電システムの全体構成のブロック図
【図2】同フローチャート
【図3】本発明の実施の形態2の太陽光発電の給電システムの全体構成のブロック図
【図4】同フローチャート
【図5】本発明の実施の形態3の太陽光発電の給電システムの全体構成のブロック図
【図6】同フローチャート
【図7】本発明の実施の形態4の太陽光発電の給電システムの全体構成のブロック図
【図8】同フローチャート
【図9】本発明の実施の形態5の太陽光発電の給電システムの全体構成のブロック図
【図10】同フローチャート
【図11】従来の太陽光発電の給電システムの全体構成のブロック図
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の請求項1記載の太陽光発電の給電システムは、大容量の主太陽電池から主パワーコンディショナーを介して受電負荷に電力を供給する給電回路と、小容量の副太陽電池から充放電器を介して2次電池に充電するとともに、前記充放電器の回路切り替えにより副太陽電池または/かつ前記2次電池から副パワーコンディショナーを通して前記受電負荷に電力を供給する充放電回路と、前記給電回路と前記充放電回路の各太陽電池の出力側に位置して、前記給電回路から前記充放電回路に接合または両回路を分離する回路切替器と、前記主太陽電池発電電力量と前記副太陽電池の発電電力量を計測する発電計測部と、前記受電負荷の必要とする必要電力量を計測する給電計測部と、前記2次電池の充電電力量を計測する充電計測部と、前記発電計測部、前記給電計測部および前記充電計測部からの信号を受けて、前記回路切替器および前記充放電器の回路切り替えを行なわせる制御部からなるという構成を有する。これにより、各計測部の計測結果に応じて主太陽電池と副太陽電池および2次電池を、給電回路と充放電回路の切り替えにより接続または分離することができ、各太陽電池の発電電力あるいは蓄電池の放電電力を組み合わせて、必要な箇所に集結または分散して供給することができるので、受電負荷の変動に適切に対応することができ、蓄電池の充電不足への対応力も強化することができるという効果を奏する。
【0012】
また、前記受電負荷の必要電力量がない場合、または前記主太陽電池の発電電力量が必要電力量より設定値以上大なる場合で、前記2次電池の充電電力量が規定値より小なるときは、前記制御部は前記回路切替器により給電回路と充放電回路を分離して、前記給電回路において前記受電負荷に電力を供給するとともに、前記充放電回路において前記充放電器を切り替えて、副太陽電池から2次電池に充電するという構成を有する。これにより、主太陽電池からは受電負荷に電力を供給する間に、副太陽電池から2次電池に充電することにより、2次電池の充電不足が予防できるとともに、主太陽電池から受電負荷までの経路と、副太陽電池から2次電池までの経路を、回路切替器と充放電器により確実に分離することにより、安定した給電および充電を行なうことができるという効果を奏する。
【0013】
また、前記受電負荷に給電が不要の場合で、前記2次電池の充電量が規定値より小なるときは、前記制御部は前記回路切替器を切り替えて給電回路を充放電回路に接合することにより、主太陽電池と副太陽電池から2次電池に充電するという構成を有する。これにより、工場が休日のときなどは、主太陽電池と副太陽電池の発電量を合わせて2次電池に充電することができるので、夜間電力などのコストのかかる充電用の電力は不要となり、経済的に余裕を持って充電できるとともに、太陽電池に大きな発電量が生じたときでも、2次電池に充電させて系統への逆流を防止できるので、電源のトラブルを回避することができるという効果を奏する。
【0014】
また、前記主太陽電池の発電電力量が必要電力量以下の場合で、前記2次電池の充電量が規定値を超えるときは、前記制御部は前記回路切替器により給電回路と充放電回路を分離し、前記給電回路において前記受電負荷に電力を供給するとともに、前記充放電回路において前記充放電器を切り替えて、前記副太陽電池と前記2次電池の双方から前記副パワーコンディショナーを介して前記受電負荷に電力を供給するという構成を有する。これにより、主太陽電池と副太陽電池の電力に2次電池の電力を加算して受電負荷に電力を供給することができるので、受電負荷の電力不足に即座に対応できるという効果を奏する。
【0015】
また、前記受電負荷の停電を検出する停電検出部と、前記副パワーコンディショナーと接離可能に設けた特定負荷を有し、前記停電検出部が受電負荷の停電を検出したとき、前記制御部は前記回路切替器を切り替えて前記給電回路を前記充放電回路に接合するとともに、前記副パワーコンディショナーの出力側を前記特定負荷のみに接続することにより、前記給電回路と前記充放電回路で生じた電力を、前記特定負荷に供給するという構成を有する。これにより、商用電源が停電した場合は、受電負荷との接続を即座に遮断して停電時に使用する独立した特定負荷と接続し、さらに主太陽電池と副太陽電池で得られた電力を特定負荷または2次電池に給電するとともに、2次電池からも特定負荷に給電することができるので、停電時において、受電負荷や商用電源とは独立して、安全かつ確実にバックアップ運転ができるという効果を奏する。
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0017】
(実施の形態1)
図1に示すように、工場や事務所などの受電負荷4には商用電源(図示せず)が接続されるとともに、太陽光発電を利用した電力供給手段として、給電回路3と充放電回路9とがそれぞれ接続されている。給電回路3は主太陽電池1から回路切替器10、主パワーコンディショナー2を介して受電負荷4に電力を供給する回路である。また充放電回路9は副太陽電池5から回路切替器10、充放電器6を介して2次電池7に充電するとともに、充放電器6に設けた回路切り替え機能により副太陽電池5または/かつ2次電池7から副パワーコンディショナー8を通して受電負荷4に電力を供給する回路である。主太陽電池1は5.5kWの発電能力を有し、副太陽電池5は1.6kWの発電能力を有し、2次電池7は鉛蓄電池を数十台接続したもので28kWhの蓄電能力を有している。
【0018】
また回路切替器10は、給電回路3の主太陽電池1の出力側と充放電回路9の副太陽電池5の出力側において、給電回路3と充放電回路9とに跨るように設けられている。そして、回路切替器10はスイッチング素子やマグネットスイッチを内蔵し、給電回路3から充放電回路9への接合または両回路の分離を行なうものである。また、充放電器6は内蔵する切り替えスイッチにより、2次電池7の充電と放電を制御するものであるが、副太陽電池5から2次電池7を通らずに受電負荷4方向への経路を選択することもできるものである。
【0019】
発電計測部11は主太陽電池1の発電電力量Gp1と副太陽電池5の発電電力量Gp2を計測するものであり、また給電計測部12は受電負荷4に必要とされる必要電力量Dpを計測するものであり、充電計測部13は2次電池7の充電量Bpを計測するものである。制御部14は発電計測部11、給電計測部12および充電計測部13からの信号を受けて、回路切替器10および充放電器6により回路の切り替えを行い、受電負荷4への電力供給と2次電池7の充電および放電を行なうようにしている。
【0020】
また、充放電器6と副パワーコンディショナー8の間にはソフトスタート回路15が挿入され、充放電器6を通して副太陽電池5と2次電池7の電力が同時に供給されたときに、大きな突入電流を抑制して、副パワーコンディショナー8の入力負荷を軽減する働きをしている。さらに、受電負荷4へ供給電源が突然停止された場合に停電を検出する停電検出部16を設け、停電時に必要な表示灯などの緊急用電源として特定負荷17を設けている。そして停電検出部16が停電を検出したときは、制御部14は停電検出部16からの信号を受けて、回路切替器10、充放電器6および副パワーコンディショナー8の回路を切り替えてに、主太陽電池1、副太陽電池5および2次電池7の電力を特定負荷17に供給するようになっている。
【0021】
上記構成において、図1のブロック回路図と図2のフローチャートを用いて動作の概要を説明する。
【0022】
図2に示すように、まず運転を開始すると、基本動作を行なう(S101)。基本動作は、回路切替器10による分離切り替えにより、給電回路3の主太陽電池1で受電負荷4への電力供給を行なうとともに、充放電回路9の副太陽電池5から2次電池7を充電する動作である。次に、2次電池7の故障検出ルーチンで、蓄電池の異常温度、過電圧、過放電などの有無を検査して、2次電池7が正常に機能することを確認する(S102)。
【0023】
そして、停電検出部16の検出信号に基づき、停電の有無を判定し(S103)、停電がある場合は、停電ルーチンにおいて停電対策を行なう(S501)。このとき、前述のように回路切替器10、充放電器6および副パワーコンディショナー8の回路を切り替えて、主太陽電池1、副太陽電池5および2次電池7の電力を集めて特定負荷17に供給することにより、大容量の電源を即座に確保することができる。
【0024】
停電のない場合は、発電計測部11、給電計測部12、充電計測部13の計測結果で充電の可能性を判定し(S104)、充電が可能な場合は、回路を切り替えて2次電池7に充電を行なう(S301)。このとき、前述のように、回路切替器10により主太陽電池1を充放電回路9に接続できるので、主太陽電池1と副太陽電池5の両方から2次電池7に充電が可能となる。
【0025】
さらに給電計測部12、充電計測部13の計測結果に基づき、2次電池7から受電負荷4への放電の可能性を判定し(S105)、放電可能の場合は、受電負荷4に電力を供給する(S401)。このとき、前述のように、充放電器6を切り替えて2次電池7と副太陽電池5とを加算した電力が副パワーコンディショナー8から受電負荷4に供給でき、主太陽電池1から受電負荷4へ供給できる電力と合わせると、大容量の電力を供給することができる。
【0026】
このように全ての発電電力または充電電力を必要な箇所に集結または分散して供給することができるので、各太陽電池の発電電力あるいは蓄電池の放電電力を適切に組み合わせて、受電負荷の変動や太陽電池の発電電力の変化への対応が可能であり、さらに蓄電池の急速な充電や、停電時の電源の確保ができるという優れた太陽光発電の給電システムを実現することができる。
【0027】
なお本実施の形態において、2次電池7に鉛蓄電池を用いたが、ニッケルカドミウム電池やリチウムイオン電池を用いるようにしてもよい。
【0028】
(実施の形態2)
図3において、図1と同様の構成要素については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。図3は基本設定ルーチンを示すブロック回路図であり、主太陽電池1から受電負荷4に給電し、副太陽電池5から2次電池7を充電する電流経路を示している。
【0029】
上記構成において、図4のフローチャートを用いて、その動作を説明する。まず運転の開始時または通常運転において、発電計測部11の計測した発電電力量Gp1が給電計測部12で計測した必要電力量Dpより大であり、2次電池7の充電電力量Bpが規定値Baより小である場合に(S111)、制御部14は回路切替器10により給電回路3と充放電回路9を分離する(S112)。さらに主パワーコンディショナー2をONとして給電回路3を受電負荷4と接続する。また副パワーコンディショナー8はOFFとして受電負荷4とは遮断する(S113)。次に充放電器6を切り替えて2次電池7に接続し(S114)、上記した動作を繰り返す(S114)。このように、基本設定ルーチンでは、回路切替器10の切り替えにより主太陽電池1から受電負荷4に電力を供給するとともに、さらに充放電器6を切り替えて副太陽電池5から2次電池7に充電することができる。
【0030】
以上のように、主太陽電池1からは受電負荷4に電力を供給する間に、副太陽電池5から2次電池7に充電することにより、2次電池7の充電不足が予防できるとともに、主太陽電池1から受電負荷4までの経路と、副太陽電池5から2次電池7までの経路を、回路切替器10と充放電器6により確実に分離することにより、安定した給電および充電を行なうことができる。
【0031】
(実施の形態3)
図5において、図1と同様の構成要素については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。図5は充電ルーチンを示すブロック回路図であり、主太陽電池1および副太陽電池5から2次電池7を充電する電流経路を示している。
【0032】
上記構成において、図6のフローチャートを用いて、その動作を説明する。工場や事務所などが休日の場合は受電負荷4の必要電力量Dpが0となる場合がある。また、必要電力量Dpが極めて小さくなり、発電計測部11の計測した発電電力量Gp1と必要電力量Dpとの差(Gp1―Dp)が、予め設定した設定値Spより大となる場合は、発電電力が余ることになる(S302)。また、発電電力量Gp1と必要電力量Dpとの差がさらに大きくなると、商用電源側に逆流する可能性が生じる(S303)。このような場合には、制御部14は充電計測部13の計測値Bpが充電の規定値Bsより小であれば、2次電池7の充電能力に余裕があると判断し(S304)、主パワーコンディショナー2と副パワーコンディショナー8をOFFとして、受電負荷4への接続を遮断し(S305)、回路切替器10により給電回路3と充放電回路9を接続して、主太陽電池1の発生電力を充放電回路9に導入する(S306)。さらに、充放電回路9の充放電器6を切り替えて2次電池7に接続し、主太陽電池1と副太陽電池5の発生電力を2次電池7に蓄える(S307)。
【0033】
これにより受電負荷4の必要電力量Dpがない場合、または主太陽電池1の発電電力量Gp1が必要電力量Dpより設定値以上大なる場合は、主太陽電池1と副太陽電池5の発電量を合わせて2次電池に充電することができるので、夜間電力などの商用電源に接続した充電は不要となり、経済的に余裕を持って充電できる。さらに、発電電力量Gp1と必要電力量Dpとの差が拡大して逆流する可能性がある場合でも、2次電池に充電させることにより商用電源への逆流防止の対策を施すことができる。
【0034】
(実施の形態4)
図7において、図1と同様の構成要素については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。図7は放電ルーチンを示すブロック回路図であり、充放電器6と副パワーコンディショナー8の間にソフトスタート回路15を挿入している。そして、主太陽電池1、副太陽電池5および2次電池7から受電負荷4に給電する電流経路を示している。
【0035】
上記構成において、図8のフローチャートを用いて、その動作を説明する。動作の概要は、主太陽電池1の発電電力量Gp1だけでは必要電力量Dp以下となるときに、副太陽電池5と2次電池7の電力を合わせて、追加供給できるようにしている。すなわち、給電計測部12の計測した必要電力量Dpに対して、発電計測部11の計測する主太陽電池1の発電電力量Gp1が少ないと、電力を追加して供給する必要がある(S403)。そこで、まず2次電池7の故障診断を行なって正常状態であることを確認し(S404)、回路切替器10により給電回路3と充放電回路9を分離する(S405)。このとき、主パワーコンディショナー2はONのままとして、主太陽電池1の電力を受電負荷4に供給を続ける(S406)。次に充電計測部13の計測結果から2次電池7が過放電状態で無いことを確認し(S407)、副パワーコンディショナー8をONするとともに(S408)、充放電回路9の充放電器6を放電に切り替えることにより(S409)、副太陽電池5で発電した電力と2次電池7で蓄電した電力を、ソフトスタート回路15および副パワーコンディショナー8を介して受電負荷4に供給することができる。
【0036】
このとき、副太陽電池5と2次電池7の双方から合流して大容量の電力が副パワーコンディショナー8を介して受電負荷4に供給されるときに、充放電器6と副パワーコンディショナー8間に挿入された出力インピーダンスの大きなソフトスタート回路15が、突入電流を抑制して出力電圧を低減するので、副パワーコンディショナー8のDC−AC変換回路などを保護するとともに、出力側の交流電圧の安定化を図ることができる。
【0037】
さらに、制御部14は2次電池7からの放電時間をタイマーで管理しており、30分以上の放電が継続すると、放電を中止して基本設定ルーチンS110に戻るので(S402)、2次電池7の過放電を防ぐことができる。また、受電負荷4への追加供給が不要になれば、すぐに放電を中止して通常の運転状態に戻る(S403)。
【0038】
このように、給電回路3と充放電回路9の2つの回路から、主太陽電池1と副太陽電池5および2次電池7の電力を加算して、受電負荷4に電力を供給することができるので、受電負荷4の電力不足に対して即座に対応することができるとともに、2次電池7の過放電を防ぎ、充電状態を適正に保つことができる。
【0039】
(実施の形態5)
図9において、図1と同様の構成要素については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。図9は停電ルーチンを示すブロック回路図であり、受電負荷4には停電検出部16を接続し、副パワーコンディショナー8には特定負荷17を接離可能に接続している。特定負荷17は、停電時に必要な避難誘導灯や非常照明などの緊急時の電気設備であり、系統電源とは接続されない独立した負荷である。そして停電検出部16が停電を検出したときに、受電負荷4への給電を遮断し、さらに回路切替器10を切り替えて給電回路3を充放電回路9に接合して、主太陽電池1、副太陽電池5および2次電池7の電力を、副パワーコンディショナー8を介して特定負荷17に供給することにより、バックアップ運転を行なう電流経路を示している。
【0040】
上記構成において、図10のフローチャートを用いて、その動作を説明する。まず停電検出部16が商用電源の停電を検出すると(S502)、制御部14は主パワーコンディショナー2および副パワーコンディショナー8の接続する受電負荷4との連係を即座に断つ(S503)。それと並行して、2次電池7で制御系の電源を確保し(S504)、副パワーコンディショナー8は、その出力側を特定負荷17に接続する(S505)。さらに、制御部14は回路切替器10を切り替えて給電回路3を充放電回路9に接合するとともに(S505)、充放電器6を切り替えて、主太陽電池1と副太陽電池5から特定負荷17への電力供給と、2次電池7の充放電とを行なわせる(S506)。これにより、主太陽電池1と副太陽電池5の供給電力が多い場合は、特定負荷17への電力供給と2次電池7の充電を行ない、2次電池7が十分に充電されている場合は、2次電池7からの放電によっても特定負荷17へ電力を供給することができる。
【0041】
このように商用電源が停止した場合は、受電負荷4との接続を即座に遮断して停電時に使用する独立した特定負荷17と接続し、さらに主太陽電池1と副太陽電池5で得られた電力を特定負荷17または2次電池7に給電するとともに、2次電池7からも特定負荷17に給電することができ、受電負荷4や商用電源とは独立して自動的に電源供給できるので、安全かつ確実にバックアップ運転をすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明にかかる太陽光発電の給電システムは、主太陽電池、副太陽電池および2次電池からの電力を、必要な箇所に集結または分散して供給するものであり、受電負荷の変動や蓄電池の充電不足に適切に対応することができるので、デパート、ホテルなどの商業施設学校、市役所などの公共施設、マンションなどの集合住宅に使用される補完的な給電システム等として有用である。
【符号の説明】
【0043】
1 主太陽電池
2 主パワーコンディショナー
3 給電回路
4 受電負荷
5 副太陽電池
6 充放電器
7 2次電池
8 副パワーコンディショナー
9 充放電回路
10 回路切替器
11 発電計測部
12 給電計測部
13 充電計測部
14 制御部
15 ソフトスタート回路
16 停電検出部
17 特定負荷
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大容量の主太陽電池から主パワーコンディショナーを介して受電負荷に電力を供給する給電回路と、小容量の副太陽電池から充放電器を介して2次電池に充電するとともに、前記充放電器の回路切替により副太陽電池または/かつ前記2次電池から副パワーコンディショナーを通して前記受電負荷に電力を供給する充放電回路と、前記給電回路と前記充放電回路の各太陽電池の出力側に位置して、前記給電回路から前記充放電回路に接合または両回路を分離する回路切替器と、前記主太陽電池と前記副太陽電池の発電電力量を計測する発電計測部と、前記受電負荷に供給する必要電力量を計測する給電計測部と、前記2次電池の充電量を計測する充電計測部と、前記発電計測部、前記給電計測部および前記充電計測部からの信号を受けて、前記回路切替器および前記充放電器の回路切替をおこなわせる制御部を有することを特徴とする太陽光発電の給電システム。
【請求項2】
前記主太陽電池の発電電力量が必要電力量より大なる場合で、前記2次電池の充電電力量が規定値より小なるときは、前記制御部は前記回路切替器により給電回路と充放電回路を分離して、前記給電回路において前記受電負荷に電力を供給するとともに、前記充放電回路において前記充放電器を切り替えて、副太陽電池から2次電池に充電することを特徴とする請求項1記載の太陽光発電の給電システム。
【請求項3】
前記受電負荷の必要電力量がない場合、または前記主太陽電池の発電電力量が必要電力量より設定値以上大なる場合で、前記2次電池の充電量が規定値より小なるときは、前記制御部は前記切替器を切り替えて給電回路を充放電回路に接合することにより、主太陽電池と副太陽電池から2次電池に充電することを特徴とする請求項1記載の太陽光発電の給電システム。
【請求項4】
前記主太陽電池の発電電力量が必要電力量以下の場合で、前記2次電池の充電量が規定値を超えるときは、前記制御部は前記切替器により給電回路と充放電回路を分離し、前記給電回路において前記受電負荷に電力を供給するとともに、前記充放電回路において前記充放電器を切り替えて、前記副太陽電池と前記2次電池の双方から前記副パワーコンディショナーを介して前記受電負荷に電力を供給することを特徴とする請求項1記載の太陽光発電の給電システム。
【請求項5】
前記受電負荷の停電を検出する停電検出部と、前記副パワーコンディショナーと接離可能に設けた特定負荷を有し、前記停電検出部が受電負荷の停電を検出したとき、前記制御部は前記切替器を切り替えて前記給電回路を前記充放電回路に接合するとともに、前記副パワーコンディショナーに前記特定負荷のみを接続することにより、前記給電回路と前記充放電回路で生じた電力を、前記特定負荷に供給することを特徴とする請求項1記載の太陽光発電の給電システム。
【請求項1】
大容量の主太陽電池から主パワーコンディショナーを介して受電負荷に電力を供給する給電回路と、小容量の副太陽電池から充放電器を介して2次電池に充電するとともに、前記充放電器の回路切替により副太陽電池または/かつ前記2次電池から副パワーコンディショナーを通して前記受電負荷に電力を供給する充放電回路と、前記給電回路と前記充放電回路の各太陽電池の出力側に位置して、前記給電回路から前記充放電回路に接合または両回路を分離する回路切替器と、前記主太陽電池と前記副太陽電池の発電電力量を計測する発電計測部と、前記受電負荷に供給する必要電力量を計測する給電計測部と、前記2次電池の充電量を計測する充電計測部と、前記発電計測部、前記給電計測部および前記充電計測部からの信号を受けて、前記回路切替器および前記充放電器の回路切替をおこなわせる制御部を有することを特徴とする太陽光発電の給電システム。
【請求項2】
前記主太陽電池の発電電力量が必要電力量より大なる場合で、前記2次電池の充電電力量が規定値より小なるときは、前記制御部は前記回路切替器により給電回路と充放電回路を分離して、前記給電回路において前記受電負荷に電力を供給するとともに、前記充放電回路において前記充放電器を切り替えて、副太陽電池から2次電池に充電することを特徴とする請求項1記載の太陽光発電の給電システム。
【請求項3】
前記受電負荷の必要電力量がない場合、または前記主太陽電池の発電電力量が必要電力量より設定値以上大なる場合で、前記2次電池の充電量が規定値より小なるときは、前記制御部は前記切替器を切り替えて給電回路を充放電回路に接合することにより、主太陽電池と副太陽電池から2次電池に充電することを特徴とする請求項1記載の太陽光発電の給電システム。
【請求項4】
前記主太陽電池の発電電力量が必要電力量以下の場合で、前記2次電池の充電量が規定値を超えるときは、前記制御部は前記切替器により給電回路と充放電回路を分離し、前記給電回路において前記受電負荷に電力を供給するとともに、前記充放電回路において前記充放電器を切り替えて、前記副太陽電池と前記2次電池の双方から前記副パワーコンディショナーを介して前記受電負荷に電力を供給することを特徴とする請求項1記載の太陽光発電の給電システム。
【請求項5】
前記受電負荷の停電を検出する停電検出部と、前記副パワーコンディショナーと接離可能に設けた特定負荷を有し、前記停電検出部が受電負荷の停電を検出したとき、前記制御部は前記切替器を切り替えて前記給電回路を前記充放電回路に接合するとともに、前記副パワーコンディショナーに前記特定負荷のみを接続することにより、前記給電回路と前記充放電回路で生じた電力を、前記特定負荷に供給することを特徴とする請求項1記載の太陽光発電の給電システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−70557(P2013−70557A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−208597(P2011−208597)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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