説明

太陽光発電外壁パネル及び同パネルを用いた太陽光発電住宅

【課題】太陽電池を設置した太陽光発電住宅において、住宅構造の制約をなくすとともに、太陽電池のメンテナンス作業を容易なものとして、太陽光発電住宅をより一層広く普及させること。
【解決手段】本発明では、矩形薄板状の集光型太陽電池(3)をパネルベース(2)の前側表面にタイル調に敷詰めた太陽光発電外壁パネル(1)を提供する。そして、この太陽光発電外壁パネル(1)を住宅の外側面に上下及び左右に並べて装着することで太陽光発電住宅(14)を構成することにした。また、パネルベース(2)の上下及び左右端部を後方に向けて折曲することで、パネルベース(2)の後側に空間(13)を形成することにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電外壁パネル及び同パネルを用いた太陽光発電住宅に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、クリーンエネルギー化が促進される中で、住宅の屋根に太陽光発電パネルを設置し、太陽光を利用して住宅内で使用する電力を得るといった太陽光発電住宅が広まりつつある(たとえば、特許文献1参照。)。
【0003】
この太陽光発電住宅では、太陽光を利用して発電を行うことから、太陽光発電パネルで実用的な発電量の電力を得るために、南側に面した屋根に太陽光発電パネルを約30度の傾斜角度で設置していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−170977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記従来の太陽光発電住宅では、南側に面した屋根に太陽光発電パネルを約30度の傾斜角度で設置していたために、住宅の構造として南側に面する屋根が求められ、また、平坦な屋根では太陽光発電パネルを傾斜状に設置するための設置台の取付けが求められており、住宅の構造に制約があった。
【0006】
また、上記従来の太陽光発電住宅では、太陽光発電パネルを屋根に設置していたために、清掃や点検などのメンテナンス作業に多大な労力が必要であった。
【0007】
そのため、太陽光発電パネルを利用した太陽光発電住宅は、クリーンエネルギーとして注目されているにもかかわらず、良好には普及していなかった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、請求項1に係る本発明では、太陽光発電外壁パネルにおいて、矩形薄板状の集光型太陽電池をパネルベースの前側表面にタイル調に敷詰めることにした。
【0009】
また、請求項2に係る本発明では、前記請求項1に係る本発明において、前記パネルベースの上下及び左右端部を後方に向けて折曲して、パネルベースの後側に空間を形成することにした。
【0010】
また、請求項3に係る本発明では、太陽光発電住宅において、住宅の外側面に、矩形薄板状の集光型太陽電池をパネルベースの前側表面にタイル調に敷詰めた太陽光発電外壁パネルを上下及び左右に並べて装着することにした。
【0011】
また、請求項4に係る本発明では、前記請求項3に係る本発明において、前記太陽光発電外壁パネルを前記住宅の外側面に外装板を介して装着するとともに、パネルベースの上下及び左右端部を後方に向けて折曲して、パネルベースの後側と外装板との間に空間を形成することにした。
【発明の効果】
【0012】
そして、本発明では、以下に記載する効果を奏する。
【0013】
すなわち、本発明では、太陽光の受光範囲が広い集光型太陽電池を利用することで、住宅の外壁において太陽光発電を行うことができるので、従来と比較して住宅の構造に制約がなくなり、また、太陽電池の清掃や点検などのメンテナンス作業を容易なものとすることができる。
【0014】
また、本発明では、住宅の外壁に太陽電池を設置することで、太陽電池の設置面積(設置個数)を増大させることができ、太陽光発電による発電量を増大させることができる。
【0015】
さらに、本発明では、矩形薄板状の太陽光電池をタイル調に敷詰めることで、外観上の見栄えをよくすることができる。
【0016】
そのため、本発明では、太陽光発電住宅のより一層の普及に貢献することができる。
【0017】
また、本発明では、太陽電池を敷詰めたパネルベースの後側に空間を形成することで、その空間の内部に配線やコントローラなどの部品を収容することができるとともに、空間が介在することで太陽電池の熱が住宅内部に伝導するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】太陽光発電外壁パネルを示す正面図。
【図2】太陽光発電住宅を示す平面断面図(a)、正面図(b)、側面断面図(c)。
【図3】同側面拡大断面図。
【図4】同平面拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明に係る太陽光発電外壁パネル及び同パネルを用いた太陽光発電住宅の具体的な構成について図面を参照しながら説明する。
【0020】
図1に示すように、太陽光発電外壁パネル1は、横長矩形薄板箱型状のパネルベース2の前側表面に、複数個(ここでは、12x7個。)の横長矩形薄板状の集光型太陽電池3を上下及び左右に整列させた状態でタイル調に敷詰めて貼着し、全ての集光型太陽電池3を透明なフィルム4で被覆している。
【0021】
ここで、集光型太陽電池3は、同一面上に形成した多数の反射鏡の中央にそれぞれ発電素子を配置した構成となっており、発電可能な太陽光の受光範囲が広くなっている。
【0022】
この太陽光発電外壁パネル1では、全ての集光型太陽電池3を電気的に直列接続することで、1体(1個)の太陽電池を形成している。また、全ての集光型太陽電池3をフィルム4で被覆することで、紫外線を遮断するとともに耐候性能を向上させている。さらに、全ての集光型太陽電池3をタイル調に敷詰めることで、意匠性を向上させている。
【0023】
また、太陽光発電外壁パネル1は、パネルベース2の上下端部を後方に向けて折曲して、パネルベース2の上下端部に上下側壁5,6を形成し、上下側壁5,6の後端部を外方(上方又は下方)に向けて折曲して、パネルベース2の上下端部に上下側片7,8を形成している(図3参照。)。なお、上側壁5及び上側片7は、下側壁6及び下側片8よりも張出量(高さ・長さ)を大きくしている。
【0024】
同様に、太陽光発電外壁パネル1は、パネルベース2の左右端部を後方に向けて折曲して、パネルベース2の左右端部に左右側壁9,10を形成し、左右側壁9,10の後端部を外方(左方又は右方)に向けて折曲して、パネルベース2の左右端部に左右側片11,12を形成している(図4参照。)。なお、左側壁9及び左側片11は、右側壁10及び右側片12よりも張出量(高さ・長さ)を大きくしている。
【0025】
そして、太陽光発電外壁パネル1は、パネルベース2の上下端部及び左右端部を後方に折曲して上下側壁5,6及び左右側壁9,10を形成することで、パネルベース2の後側(裏面側)に矩形箱型状の空間13を形成している(図3及び図4参照。)。
【0026】
この太陽光発電外壁パネル1のパネルベース2の後側に形成した空間13は、配線やコントローラなどの部品を収容するための収容空間として機能させることができ、また、空気層の介在による断熱空間として機能させることができる。
【0027】
太陽光発電外壁パネル1は、以上に説明したように構成しており、図2に示すように、住宅の外側面に上下及び左右に並べて設置することで、太陽光発電住宅14を形成する。
【0028】
この太陽光発電住宅14では、所定間隔で設置された柱15の内側に内装板16を取付けるとともに、柱15の外側に外装板17を取付け、外装板17の外側に太陽光発電外壁パネル1を取付けている。なお、太陽光発電住宅14では、外装板17を介して太陽光発電外壁パネル1を取付けた構成だけでなく、太陽光発電外壁パネル1を直接取付けた構成としてもよい。
【0029】
ここで、太陽光発電住宅14は、図3に示すように、太陽光発電外壁パネル1の上側壁5及び上側片7の張出量が下側壁6及び下側片8の張出量よりも大きくなっていることから、下側の太陽光発電外壁パネル1の上側片7の上部に上側の太陽光発電外壁パネル1の下側片8を重ね、重畳部分を釘等の締結部材18で柱15や外装板17に取付け、重畳部分に形成された上下の太陽光発電外壁パネル1,1の間隙をシーリング剤19で充填する。
【0030】
同様に、太陽光発電住宅14は、図4に示すように、太陽光発電外壁パネル1の左側壁9及び左側片11の張出量が右側壁10及び右側片12の張出量よりも大きくなっていることから、右側の太陽光発電外壁パネル1の左側片11の上部に左側の太陽光発電外壁パネル1の右側片12を重ね、重畳部分を釘等の締結部材18で柱15や外装板17に取付け、重畳部分に形成された上下の太陽光発電外壁パネル1,1の間隙をシーリング剤19で充填する。
【0031】
これにより、太陽光発電住宅14は、太陽光発電外壁パネル1のパネルベース2の後側と外装板17の前側との間に空間13を形成するとともに、隣接する太陽光発電外壁パネル1の間から内側の空間13に雨水が浸入するのを防止している。
【0032】
そして、上記太陽光発電外壁パネル1やこれを用いた太陽光発電住宅14では、太陽光の受光範囲が広い集光型太陽電池3を利用することで、住宅の外壁において太陽光発電を行うようにしている。
【0033】
そのため、上記太陽光発電外壁パネル1やこれを用いた太陽光発電住宅14では、従来と比較して住宅の構造に制約がなくなり、また、集光型太陽電池3(太陽光発電外壁パネル1)の清掃や点検などのメンテナンス作業を容易なものとすることができる。
【0034】
また、上記太陽光発電外壁パネル1やこれを用いた太陽光発電住宅14では、住宅の外壁に集光型太陽電池3を設置することで、集光型太陽電池3の設置面積(設置個数)を増大させることができ、太陽光発電による発電量を増大させることができる。
【0035】
さらに、上記太陽光発電外壁パネル1やこれを用いた太陽光発電住宅14では、矩形薄板状の集光型太陽光電池3をタイル調に敷詰めることで、外観上の見栄えをよくすることができる。
【0036】
そのため、上記太陽光発電外壁パネル1やこれを用いた太陽光発電住宅14では、太陽光発電住宅14のより一層の普及に貢献することができる。
【0037】
また、上記太陽光発電外壁パネル1やこれを用いた太陽光発電住宅14では、集光型太陽電池3を敷詰めたパネルベース2の後側に空間13を形成することで、その空間13の内部に配線やコントローラなどの部品を収容することができるとともに、空間13が介在することで太陽電池の熱が住宅内部に伝導するのを防止することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 太陽光発電外壁パネル 2 パネルベース
3 集光型太陽電池 4 フィルム
5,6 上下側壁 7,8 上下側片
9,10 左右側壁 11,12左右側片
13 空間 14 太陽光発電住宅
15 柱 16 内装板
17 外装板 18 締結部材
19 シーリング剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形薄板状の集光型太陽電池をパネルベースの前側表面にタイル調に敷詰めたことを特徴とする太陽光発電外壁パネル。
【請求項2】
前記パネルベースの上下及び左右端部を後方に向けて折曲して、パネルベースの後側に空間を形成したことを特徴とする請求項1に記載の太陽光発電外壁パネル。
【請求項3】
住宅の外側面に、矩形薄板状の集光型太陽電池をパネルベースの前側表面にタイル調に敷詰めた太陽光発電外壁パネルを上下及び左右に並べて装着したことを特徴とする太陽光発電住宅。
【請求項4】
前記太陽光発電外壁パネルを前記住宅の外側面に外装板を介して装着するとともに、パネルベースの上下及び左右端部を後方に向けて折曲して、パネルベースの後側と外装板との間に空間を形成したことを特徴とする請求項3に記載の太陽光発電住宅。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−7393(P2012−7393A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−144758(P2010−144758)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(510178150)
【Fターム(参考)】