説明

太陽光発電用パワーコンディショナ

【課題】表示したい表示窓にのみ光を導くことができる太陽光発電用パワーコンディショナを得ること。
【解決手段】太陽光発電用パワーコンディショナは、外殻を構成し、複数の表示窓1aが開口された金属の筐体1と、筐体1内に、筐体裏面から絶縁距離離れて配設された回路基板2と、回路基板2の表示窓1aに対向する位置に設けられた表面実装型の発光部品4と、筐体裏面の表示窓1aの周囲に設けられ、発光部品4から発せられた光を表示窓1aに導く空間を形成する非導電性の導光部材7とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、太陽電池によって発電された直流電力を交流電力に変換するパワーコンディショナに使用される表示装置にも関するものである。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電システムは、太陽電池によって発電した直流電力をパワーコンディショナにより交流電力に変換し、商用電源と系統連系を行って発電した電力を住宅内の負荷に供給または商用電源側に売電するシステムである。この太陽光発電システムに使用されるパワーコンディショナには、例えばシステムの状態(操作・表示部による運転/停止の制御にかかる表示、表示板による運転状態(連系/自立モード、発電電力、積算電力量、エラーコード)の表示)を表示する手段として表示装置が設けられる。(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
従来の太陽光発電用パワーコンディショナにおいては、図12に示すように、外殻を構成するとともに複数の表示窓1aが開口された金属の筐体1と、筐体裏面から絶縁距離Dだけ離れて筐体1内に配設された回路基板2と、回路基板2の表示窓1aに対向する位置に設けられたリードタイプの発光部品3とを有している。パワーコンディショナは大電力を扱う機器であるため、内部の回路部品に蓄えられているエネルギーは大きい。そのため、故障しても拡大被害が無いように故障診断機能など細心の注意が計られており、さらに万一のことを考慮して、装置内部で発火する事象があっても装置外部に延焼することが無いように、筐体1は金属にて作製され、筐体1に開口される表示窓1aは、発光部品3の光を適切に確認できる最小の大きさとされている。
【0004】
【特許文献1】特開2001−37241号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の太陽光発電用パワーコンディショナにおいては、発光部品3は、例えば上記のようにリードタイプのものが用いられていた。リードタイプの発光部品3は、図13に示すように発光部3aとリード部3bから構成されている。リード部3bは応力に弱く、回路基板2の製造過程などで容易に傾いてしまう。そのため、装置の組み立て時において、傾いてしまった発光部品3を手直しする工程が必要となる。
【0006】
これを解決する為に、図14のように表面実装タイプの発光部品4を使用するという方法がある。表面実装タイプの発光部品4は、リード部が存在しない為、回路基板製造過程などで発光部品4が傾くことはない。しかし、発光部品4と表示窓1aとの距離が大きくなる為、隣り合う表示窓1aに光が漏れてしまうという課題がある。
【0007】
これを解決する為に、図15のように穴縁を内側に延ばした表示窓1bとし、延ばした延長部分で光を開口部に導くような構造とする方法がある。しかしながら、筐体1の加工は容易ではなく、意図するような構造にすることが難しいばかりか、筐体裏面と回路基板2との距離D2が短くなり、必要な絶縁距離を確保することが難しくなる。
【0008】
これを解決する為に、図16のように金属製の筐体1に樹脂製のガイド部材5を装着するという方法がある。この構成によれば、必要な絶縁距離を確保しつつ、ガイド部材5は比較的自由な形状とすることができる。しかし、樹脂は熱に弱い為、筐体内部で万一発火する事象が起きた場合、樹脂が溶け大きな開口が形成され、筐体外部への延焼を防止することができない。また、ガイド部材5が万一回路基板2に突き当たるような場合、回路基板2を歪ませてしまう可能性があり、その場合、回路基板2が破損する可能性もある。
【0009】
さらに、これを解決するために、図17のように回路基板2において、発光部品4を筒状の樹脂ガイド部材5で覆うという方法がある。しかしながら、樹脂ガイド部材5は回路基板2に取り付けられる為、その位置に回路部品を実装することができなくなり、回路基板2の部品配置および配線パターンのレイアウトの自由度を妨げることになるという課題がある。また、ガイド部材5の大きさが筐体1に突き当たる程の大きさの場合、寸法ばらつきなどにより回路基板2を歪ませてしまう可能性があり、回路基板2が破損する可能性があるという課題もある。
【0010】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、下記を実現することができる太陽光発電用パワーコンディショナを得ることを目的とする。
(1)表示したい表示窓にのみ光を導くことができる。
(2)最大限金属筐体で覆われた構造にすることができる。
(3)必要な絶縁距離を確保できる。
(4)回路基板上の部品レイアウトの自由度を妨げない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の太陽光発電用パワーコンディショナは、外殻を構成し、複数の表示窓が開口された金属の筐体と、筐体内に、筐体裏面から絶縁距離離れて配設された回路基板と、回路基板の表示窓に対向する位置に設けられた表面実装型の発光部品と、筐体裏面の表示窓の周囲に設けられ、発光部品から発せられた光を表示窓に導く空間を形成する非導電性の導光部材とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、筐体裏面から絶縁距離離れて配設された回路基板と、筐体裏面の表示窓の周囲に設けられ、発光部品から発せられた光を表示窓に導く空間を形成する非導電性の導光部材とを有しているので、表示したい表示窓にのみ光を導くことができ、また、表示窓を含んで最大限金属筐体で覆われた構造にすることができ、さらに、必要な絶縁距離を確保でき、さらにまた、回路基板上の部品レイアウトの自由度を妨げない、という効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明にかかる太陽光発電用パワーコンディショナの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0014】
実施の形態1.
図1は、本発明にかかる太陽光発電用パワーコンディショナの正面図である。図2は、図1の太陽光発電用パワーコンディショナのA−A線に沿う断面図である。図1および図2において、表示装置は、外殻を構成する金属製の筐体1と、この筐体1内に収納された回路基板2と、回路基板2に実装された表面実装型の発光部品4と、筐体1の裏面に設けられた非導電性の導光部材7とを有している。
【0015】
金属製の筐体1には、発光部品4から発せられた光を表示するための表示窓1aが開口されている。表示窓1aは、発光部品4からの光を表示する必要最小限の開口とされている。つまり、表示窓1aは、発光部品3の光を適切に確認できる最小の大きさとされている。これは、万一、表示装置内部で発火することがあっても、装置外部に延焼することを無くすために、筐体1を金属にて作製し、その開口を最小とすることによる。
【0016】
回路基板2は、筐体1の裏面から所定の絶縁距離Dだけ離れた位置に配設されている。金属製の筐体1は大地にアースされる為、電気回路部分とは所定の絶縁距離Dだけ離す必要がある。尚、絶縁距離Dの大きさは、電気回路部分の対地電圧により異なる。
【0017】
発光部品4は、回路基板2の表示窓1aに対向する位置に設けられている。発光部品4は、例えば、リードタイプの発光部品のようにリード部が曲がって発光部が表示窓1aからずれてしまうことがないように、リード部の無い表面実装型のものが採用されている。
【0018】
そして、本実施の形態においては、筐体1の裏面の表示窓1aの周囲に、発光部品4から発せられた光を表示窓1aに導く空間を形成する目的で、非導電性の導光部材7が設けられている。導光部材7は図3に示すように、肉厚の平板に円状の穴が2個形成された形状を成し、表示窓1aの位置に合わせて筐体1の裏面に接着剤や粘着テープなどにより貼り付けられる。
【0019】
なお、導光部材の形状としては、図3の円状の穴が2個形成されたものに限らず、図4に示す四角形状の穴が2個形成された導光部材7Aとされて、表示窓1aの形状に合わせて適宜変更されてよい。
【0020】
発光部品4が発する光は、導光部材7により、対応する表示窓1aにのみ導かれ、隣り合う表示窓1aへ向かう光は遮断される。導光部材7の厚みは、少なくとも隣り合う表示窓1aへの光の漏れを遮断できることができる厚みならばよく、更に厚みを持たせれば、導光部材7の内側面の反射により多くの光を目標とする表示窓1aへ光を導くことが期待できる。導光部材7は非導電性の材質であることから、回路基板2との絶縁距離を短くするとがなく、自由に取り付けることができる。
【0021】
このような構成の太陽光発電用パワーコンディショナにおいては、表示したい表示窓にのみ光を導くことができ、また、最大限金属筐体で覆われた構造にすることができ、さらに、必要な絶縁距離を確保でき、さらにまた、回路基板上の部品レイアウトの自由度を妨げることがない。
【0022】
実施の形態2.
実施の形態2の太陽光発電用パワーコンディショナは、部品構造において実施の形態1のものと同じであり、異なる特徴は、非導電性の導光部材が例えばパッキンのような軟質の材料にて作製されている。導光部材を軟質の材料にて作製することにより、例えば、抜き型などで抜くことにより成形することが可能となるので、容易に製造することができる。また、軟質の材質であるから、硬質な金属筐体への取付方法が接着剤や粘着テープによるものならば、金属筐体の微少な歪などを吸収し、強固に貼着される。さらに、軟質の部材であるため、仮に導光部材の厚みが回路基板に突き当たる大きさであっても、回路基板に歪ストレスを与えることが無い。
【0023】
実施の形態3.
図5は、本発明にかかる太陽光発電用パワーコンディショナの実施の形態3の導光部材の斜視図である。本実施の形態の導光部材7Bは、互いに同じコ字形状の複数の部材とされている。そして、必要に応じて複数個が組み合わされて筐体に取り付けられる。このように、導光部材を、予め複数の定形形状部品として作製しておき、必要に応じて複数個を組み合わされて用いることにより、表示窓が様々な配置であっても、その度に導光部材を設計する必要が無く、更に量産効果によるコストダウンを図ることができる。
【0024】
なお、定形形状としては、例えば、各辺の長さを同じにしておくと使いやすく、図5に示すコ字形状の導光部材7Bをはじめとして、図6に示すコ字形状の内側の輪郭を半円形状にした導光部材7Cや、図7に示すL字形状の導光部材7D、及び図8に示すL字形状の内側の輪郭を円弧形状にした導光部材7Eなど、様々な形状とされてよい。
【0025】
図9にL字形状の導光部材7Dの使用例を示す。この例は、4つの発光部品4が矩形に並んだ場合の取り付け例を示す。図9に示すように、2つのL字形状の導光部材7Dを、互いの角部を4つの表示窓1aの中央部で連結させて十字形状とし、各辺で隣り合う2つの表示窓1a間を仕切るようにする。この使用例のように、導光部材7Dを、隣り合う発光部品4において、相互の発光する光が、他の表示窓1aに光が漏れるのを遮る機能だけに限定して使用する場合、導光部材は、表示窓1aの周囲を完全に包囲するものでなくともよい。すなわち、所定の表示窓1aの周囲のうち、他の表示窓1aが存在しない側には、導光部材を設けなくともよい。このような導光部材の配置とすることにより、導光部材の使用量を少なくしてコストの低減を図ることができる。
【0026】
なお、以上の各実施の形態は、金属筐体1の裏面に直接導光部材を取り付ける例について述べたが、図10に示すように、例えば金属筐体1の裏面に回路基板8を固定する為の回路基板取付用部材8がある場合には、この回路基板取付用部材8に導光部材7を取り付ければよいことは明らかである。すなわち、金属筐体1の裏面に直接導光部材を取り付けるものに限らず、他部材を介して間接的に、金属筐体1の裏面に導光部材を取り付けるものでもよく、このような構成においても本発明の範疇であることは言うまでもない。
【0027】
また、金属筐体1が直接装置の外殻を構成するものに限らず、図11に示すように、金属筐体1の外面に、例えば意匠パネル9等の意匠部品が重ねて設けられる場合においても、意匠パネル9以外の構造において、上記各実施の形態と同様の構造とすれば、本発明の効果を得ることができる。つまり、このような構成も本発明の範疇であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】この発明にかかる太陽光発電用パワーコンディショナの正面図である。
【図2】図1の太陽光発電用パワーコンディショナのA−A線に沿う断面図である。
【図3】この発明にかかる実施の形態1の導光部材の斜視図である。
【図4】この発明にかかる実施の形態1の導光部材の他の例の斜視図である。
【図5】この発明にかかる実施の形態3の導光部材の斜視図である。
【図6】この発明にかかる実施の形態3の導光部材の他の例の斜視図である。
【図7】この発明にかかる実施の形態3の導光部材の更に他の例の斜視図である。
【図8】この発明にかかる実施の形態3の導光部材の更に他の例の斜視図である。
【図9】図7の導光部材の取付例を示す斜視図である。
【図10】この発明にかかる太陽光発電用パワーコンディショナの変形例の断面図である。
【図11】この発明にかかる太陽光発電用パワーコンディショナの他の変形例の断面図である。
【図12】従来の太陽光発電用パワーコンディショナの断面図である。
【図13】リードタイプ発光部品の倒れる様子を示す斜視図である。
【図14】従来の太陽光発電用パワーコンディショナの他の例の断面図である。
【図15】従来の太陽光発電用パワーコンディショナの更に他の例の断面図である。
【図16】従来の太陽光発電用パワーコンディショナの更に他の例の断面図である。
【図17】従来の太陽光発電用パワーコンディショナの更に他の例の斜視図である。
【符号の説明】
【0029】
1 金属の筐体
2 回路基板
3 リードタイプ発光部品
3a リードタイプ発光部品の発光部
3b リードタイプ発光部品のリード部
4 表面実装型の発光部品
5 筐体取付型樹脂製ガイド部材
6 基板取付型樹ガイド部材
7 非導電性の導光部材
8 回路基板取付用部材
9 意匠パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外殻を構成し、複数の表示窓が開口された金属の筐体と、
前記筐体内に、筐体裏面から絶縁距離離れて配設された回路基板と、
前記回路基板の前記表示窓に対向する位置に設けられた表面実装型の発光部品と、
筐体裏面の前記表示窓の周囲に設けられ、前記発光部品から発せられた光を前記表示窓に導く空間を形成する非導電性の導光部材と
を備えたことを特徴とする太陽光発電用パワーコンディショナ。
【請求項2】
前記導光部材は、前記筐体および前記回路基板と比較して軟質な材料にて作製されていることを特徴とする請求項1に記載の太陽光発電用パワーコンディショナ。
【請求項3】
前記導光部材は、複数の定形形状部品が組み合わされて構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の太陽光発電用パワーコンディショナ。
【請求項4】
前記導光部材の前記定形形状がコ字形状である
ことを特徴とする請求項3に記載の太陽光発電用パワーコンディショナ。
【請求項5】
前記導光部材の前記定形形状がL字形状である
ことを特徴とする請求項3に記載の太陽光発電用パワーコンディショナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−246023(P2009−246023A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−88383(P2008−88383)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】