説明

太陽光発電集熱ユニット

【課題】太陽電池セルの冷却を図りつつ、より集熱効率に優れた太陽光発電集熱ユニットを提供する。
【解決手段】太陽光を受ける表面側から順に、複数の太陽電池セルが配設された太陽電池パネルと、高熱伝導性材料が充填された伝熱部と、集熱パネルと、断熱部とを有する太陽光発電集熱ユニットにおいて、膨出部を有する第1の集熱板と、平坦面を有する第2の集熱板とが積層一体化され、太陽電池パネル側に凹凸面及び断熱部側に平坦面を有し、第1の集熱板の膨出部と第2の集熱板との間に熱媒が流通する内部通路を有する集熱パネルを用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光から電力及び熱エネルギーを取り出す太陽光発電集熱ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、太陽電池パネルと熱媒を流通させる内部通路を有する集熱パネルとを積層することにより、太陽光から電力及び熱エネルギーを取り出す太陽光発電集熱ユニットが提案されている。
【0003】
この種の太陽光発電集熱ユニットは、太陽光を受ける表面側から順に、表面保護パネル、接着部、複数の太陽電池セルが配設された太陽電池パネル、伝熱部、集熱パネル、及び断熱部などが積層された構造を有している(例えば、特許文献1)。
【0004】
ところで、太陽電池セルは、それ自体で光電変換動作時に熱を発生し、また太陽光による熱によって温度上昇するが、温度上昇に伴って発電効率が低下する温度特性を有している。そのため、発電効率の低下を抑えるために、太陽電池セルの温度上昇を抑えることが求められる。従って、上記太陽光発電集熱ユニットのように、太陽電池パネルと集熱パネルとを一体化することにより、太陽電池セルから発生する熱を下方に配置された集熱パネルの内部通路を流通する媒体で熱交換すれば、太陽電池セルの冷却も同時に行なうことができ、発電効率の低下を抑えつつ、熱エネルギーを効率的に取り出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−96451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の太陽光発電集熱ユニットにおいては、太陽電池パネルと集熱パネルとを積層するために太陽電池パネル側の集熱パネルの上面は平坦面となっていることから、受熱効果が低く、太陽電池セルの冷却が不十分となりやすいという問題がある。また、内部通路を形成するために断熱部側の集熱パネルの下面には凹凸面が形成されているため、断熱部側で集熱板の面積が増大し、その結果、断熱効果も低くなってしまい、集熱パネルでの集熱効率が低下するという問題がある。
【0007】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、太陽電池セルの冷却を図りつつ、より集熱効率に優れた太陽光発電集熱ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、太陽光を受ける表面側から順に、
複数の太陽電池セルが配設された太陽電池パネルと、
高熱伝導性材料が充填された伝熱部と、
集熱パネルと、
断熱部とを有する太陽光発電集熱ユニットであって、
前記集熱パネルが、膨出部を有する第1の集熱板と、平板状の第2の集熱板とが積層一体化されて構成されており、前記太陽電池パネル側に凹凸面及び前記断熱部側に平坦面を有するとともに、前記第1の集熱板の膨出部と前記第2の集熱板との間に熱媒を流通させる内部通路を有する太陽光発電集熱ユニットである。
【0009】
上記太陽光発電集熱ユニットによれば、集熱パネルが太陽電池パネル側に凹凸面を有しているから、集熱パネルの上面の受熱面積を大きくすることができる。また、集熱パネルが断熱部側に平坦面を有しているから、集熱パネルの下面の放熱面積を小さくすることができる。そして、上記集熱パネルを構成する第1の集熱板の膨出部と平板状の第2の集熱板との間に熱媒を流通させる内部通路を形成することができるから、高熱伝導性材料が充填された伝熱部を介して集熱パネルに伝熱されてきた熱を、内部通路を流通する熱媒により効率的に熱交換を行なうことができ、太陽電池セルの冷却を図りつつ、高い集熱効率で熱エネルギーを取り出すことができる。
【0010】
上記断熱部は、真空断熱材からなることが好ましい。上記太陽光発電集熱ユニットによれば、集熱パネルから断熱部への放熱がより少なくなり、集熱効率を一層向上させることができる。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明によれば、太陽電池セルの冷却を図りつつ、より集熱効率に優れた太陽光発電集熱ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係る太陽光発電集熱ユニットの外観を示す概略斜視図である。
【図2】図2は、図1のA−A線における要部拡大断面概略図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態に係る太陽光発電集熱ユニットの断熱部に用いられる断熱材の他の一例を示す断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態に係る太陽光発電集熱ユニットについて説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施の形態に係る太陽光発電集熱ユニットの外観を示す概略斜視図であり、図2は、図1のA−A線における要部拡大断面概略図である。
【0015】
図1に示すように、本実施の形態の太陽光発電集熱ユニット1は、住宅等の屋根の上に設置されて、ソーラーハウスを構成するものである。なお、図示しないが、太陽電池パネル4から引き出された電気配線は、屋内に設置されたインバータへ導かれ、太陽電池セル41で発電された電力がインバータに集められて、インバータにより直流から交流に変換され、屋内配線に供給される。また、集熱パネル内の内部通路は、配管を介して貯湯タンクと接続されており、貯湯タンクで加熱された水が屋内給湯設備に供給される。
【0016】
図2に示すように、この太陽光発電集熱ユニット1においては、太陽光を受ける表面側から順に、表面保護パネル2と、接着樹脂からなる接着部3と、複数の太陽電池セル41が配設され、太陽電池セル41が電気的に接続された太陽電池パネル4と、太陽光や太陽電池セル41からの熱を伝熱する伝熱部5と、集熱パネル6と、断熱部7とが積層されており、これらの構成部材が枠体8によって積層一体化されている。
【0017】
表面保護パネル2としては、従来公知の透明ガラス基板や、高湿透明樹脂板などを用いることができる。また、太陽電池パネル4としては、例えば、シリコン系半導体、化合物系半導体等の結晶系(単結晶系や多結晶系)半導体やアモルファス系半導体などからなる太陽電池セル41が電気配線で直/並列に接続されたもの用いることができる。
【0018】
接着部3は、太陽電池パネル4の上面を封止して、太陽光発電集熱ユニット1の耐候性を高めるとともに、表面保護パネル2の下面と太陽電池パネル4の上面とを接着させる機能を有している。接着部3に用いられる接着樹脂としては、従来公知のEVA、PVB、PET、ブタジエン系樹脂、フッ化ビニル樹脂などを用いることができる。
【0019】
伝熱部5は、太陽電池パネル4の下面を封止し、集熱パネル6の上面と太陽電池パネル4の下面とを接着させるとともに、太陽光からの熱及び太陽電池セル41から発生する熱を集熱パネル6に伝熱する機能を有している。
【0020】
伝熱部5に用いられる高熱伝導性材料としては、シリコーングリースやシリコーンゴムなどを用いることができる。これらの中でも、熱伝導性、絶縁性、及び弾力性に優れるシリコーンゴムが好ましい。太陽電池パネル4と集熱パネル6とでは熱膨張率が相違するため、温度上昇に伴い、太陽電池パネル4と集熱パネル6との間に変形が生じやすいが、上記シリコーンゴムを有する伝熱部5であれば、そのような温度上昇に伴う変形を吸収することができる。なお、伝熱部5は、伝熱性を高めるために、金属酸化物などのフィラーを含有してもよい。市場で入手可能なシリコーンゴムとしては、例えば、信越シリコーン社製のTCシリーズのシリコーンゴムが挙げられる。
【0021】
断熱部7は、グラスウールや発泡スチロール・発泡ウレタンなどの発泡体からなる断熱材を板状にしたものを用いることができる。また、図3に示すように、断熱部7には、断熱材71を芯材とし、金属製フィルム72で断熱材71を真空密封した真空断熱材を用いてもよい。このような真空断熱材を用いれば、集熱パネル6から断熱部7への放熱がより少なくなり、集熱効率を一層向上させることができる。また、真空断熱材は、薄くても断熱性に優れるため、太陽光発電集熱ユニット全体を薄層化及び軽量化することもできる。市場で入手可能な真空断熱材としては、例えば、クラボウ社製のクランバックが挙げられる。
【0022】
集熱パネル6は、図2に示すように、太陽電池パネル4側に膨出する膨出部61aを有するアルミニウム製の第1の集熱板61と、平板状のアルミニウム製の第2の集熱板62とが積層一体化されて構成されている。これにより、集熱パネル6は、太陽電池パネル4側に凹凸面を、断熱部7側に平坦面を有するとともに、第1の集熱板61の膨出部61aと平板状の第2の集熱板62の上面との間に、熱媒が流通する内部通路63を有している。このような構造を有する集熱パネル6を用いれば、集熱パネル6の上面は凹凸面となっているため、太陽電池パネル4側の受熱面積を大きくすることができる。また、集熱パネル6の下面は平坦面となっているため、断熱部7側の放熱面積を小さくすることができ、集熱パネル6から断熱部7への放熱を抑えることができる。その結果、伝熱部5を介して伝熱されてきた熱を効率よく集熱パネル6で集熱することができる。そして、集熱パネル6は、膨出部61aを有する第1の集熱板61と平板状の第2の集熱板62とが積層一体化され、第1の集熱板61の膨出部61aと第2の集熱板62の上面との間に、熱媒が流通する内部通路63が形成されているから、集熱パネル6に伝熱されてきた熱を内部を流通する熱媒(例えば、水、グリコールなどの不凍液)によって効率的に熱交換することができる。その結果、太陽電池セル41を効率的に冷却しながら、高い集熱効率を得ることができる。なお、第1の集熱板61の膨出部61aは熱媒を流通させる内部通路63を形成できる形状であれば、断面半円状以外に、断面多角形状など任意の形状を有していてもよい。
【0023】
上記本実施の形態の集熱パネル6の製造方法としては、従来公知の方法を使用することができる。例えば、2枚一対のアルミニウム製の集熱板の一方に、所定の流路パターンが形成されるよう圧着防止剤をプリントし、この所定パターンをプリントした集熱板上に他方の集熱板を重ね合わせて、圧延ローラなどにより両集熱板を圧延、圧着し、断面半円状の反転凹凸パターンが形成された金型と、平坦面を有する金型との間に積層した集熱板を配置し、内部通路63となる一方の端部を封止した状態で、他方の端部から圧着防止剤が塗布された部分に圧搾空気を供給して、一方の集熱板に膨出部を形成することにより、上面に凹凸面を、下面に平坦面を有するとともに、内部に断面半円状の内部通路63を有する集熱パネル6を作製することができる。
【0024】
本実施の形態の太陽光発電集熱ユニット1を作製する場合、例えば、まず断熱部7と、上記のようにして得られる集熱パネル6とを積層し、集熱パネル6上に高熱伝導性材料を含む伝熱部5を形成する。次いで、伝熱部5上に太陽電池セル41を所定の間隔で配列した太陽電池パネル4を配置し、さらにその上に接着部3となる樹脂シート、及び表面保護パネル2を積層する。そして、これらの構成部材が積層された積層体を、周縁に配置したパッキングを介して枠体8で封止することにより、太陽光発電集熱ユニット1を作製することができる。
【符号の説明】
【0025】
1 太陽光発電集熱ユニット
4 太陽電池パネル
41 太陽電池セル
5 伝熱部
6 集熱パネル
61 第1の集熱板
61a 膨出部
62 第2の集熱板
63 内部通路
7 断熱部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光を受ける表面側から順に、
複数の太陽電池セルが配設された太陽電池パネルと、
高熱伝導性材料が充填された伝熱部と、
集熱パネルと、
断熱部とを有する太陽光発電集熱ユニットであって、
前記集熱パネルは、膨出部を有する第1の集熱板と、平板状の第2の集熱板とが積層一体化されており、前記太陽電池パネル側に凹凸面及び前記断熱部側に平坦面を有するとともに、前記第1の集熱板の膨出部と前記第2の集熱板との間に熱媒を流通させる内部通路を有する太陽光発電集熱ユニット。
【請求項2】
前記断熱部は、真空断熱材からなる請求項1に記載の太陽光発電集熱ユニット。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−119394(P2011−119394A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−274578(P2009−274578)
【出願日】平成21年12月2日(2009.12.2)
【出願人】(000115854)リンナイ株式会社 (1,534)
【Fターム(参考)】