説明

太陽電池のラミネート装置及びラミネート方法

【課題】安定したラミネート条件でラミネートによる太陽電池パネルの製造を行うことのできるラミネート装置を提供する。
【解決手段】ラミネート装置が、定盤と接離可能に対峙する枠体と、弾性を有するリリースシートであって定盤と枠体との間に配置されているものと、定盤と枠体のいずれか一方を他方に対して移動させる駆動手段であって定盤上に配置された積載材料がリリースシートに覆われるように定盤と枠体のいずれか一方を駆動してリリースシートを定盤に向けて押圧してリリースシートを定盤に密着させることによって定盤とリリースシートの間に密閉された第1の空間を形成するものと、第1の空間を真空引きする真空ポンプと、定盤と枠体との間の領域にリリースシートを搬入すると共に、積載材料のラミネート後にこの領域からリリースシートを搬出するリリースシート搬送手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池パネルを製造する為のラミネート装置及びラミネート方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池パネルは、ガラス板、充填材、太陽電池セル、充填材、裏面板といった積載材料をこの順番で積層することによって製造される。太陽電池パネルを製造するためのラミネート装置としては、特許文献1に記載されているもののような、ダイアフラムを用いた装置が利用されている。このようなラミネート装置は、定盤と弾性膜が設けられた枠体を有する。枠体は、定盤の上方に配置されており、定盤の上面と枠体のダイアフラムとが向かい合わせとなっている。太陽電池パネルを構成する上記の積載材料は、定盤上に配置される。すなわち、積載材料は、定盤の上面と枠体のダイアフラムとの間の領域に配置されることになる。そして、枠体を定盤に向けて降下させると、ダイアフラムが枠体と定盤との間に挟み込まれた状態となり、ダイアフラムに定盤が密着して、ダイアフラムと定盤の上面に囲まれた密封された空間が形成される。定盤の上に積載材料が配置されている場合は、枠体を降下させると前述の密閉された空間内に積載材料が配置されることになる。
【0003】
上記密封された空間には、真空ポンプが接続されており、この真空ポンプにて密封された空間を真空引きすることによって、ダイアフラムが定盤に向かって変形し、積載材料はダイアフラムによって圧迫されてラミネートされる。定盤及び枠体にはヒータが設けられており、被加工物を加熱しながら密封された空間を真空引きして、積載材料を加熱ながら圧迫することよって積層し、太陽電池パネルを形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−101117
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなラミネート装置は、真空引きを行って太陽電池パネルの製造を行うたびにダイアフラムに張力が加わり、且つ加熱されるため、比較的短期間のうちにダイアフラムが劣化し、その弾性率が変化する。ダイアフラムの弾性率が変わると、太陽電池パネルの製造時にダイアフラムから積層材料に加わる荷重の大きさが変化する。そのため、従来の太陽電池のラミネート装置においては、太陽電池パネルの製造を繰り返すにつれ、ダイアフラムの劣化が進行し、ラミネート条件(積層材料に加える荷重など)が変化する。すなわち、従来のラミネート装置においては、安定したラミネート条件で太陽電池パネルの製造を行うことができなかった。
【0006】
特に、ダイアフラムにおいて裏面板のエッジ部分に接触する領域には集中荷重が加わり、劣化が他の領域よりも速く進行する。また、裏面板に凹凸の多い太陽電池パネルを製造する場合は、凹凸部のエッジ部分に接触するダイアフラムの領域に集中荷重が加わり、劣化が速く進行する。このように、ラミネートによる太陽電池パネルの製造を繰り返し行うと、ダイアフラム内に劣化の進行が進んだ領域と、劣化があまり進んでいない領域とが混在することになり、積載材料に一様に荷重を加えることができないという問題が発生する。
【0007】
本発明は上記の問題を解決するためになされたものである。すなわち、本発明は安定したラミネート条件でラミネートによる太陽電池パネルの製造を行うことのできる太陽電池のラミネート装置及びラミネート方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明の太陽電池のラミネート装置は、定盤と接離可能に対峙する枠体と、弾性を有するリリースシートであって定盤と枠体との間に配置されているものと、定盤と枠体のいずれか一方を他方に対して移動させる駆動手段であって定盤上に配置された積載材料がリリースシートに覆われるように定盤と枠体のいずれか一方を駆動してリリースシートを定盤に向けて押圧してリリースシートを定盤に密着させることによって定盤とリリースシートの間に密閉された第1の空間を形成するものと、第1の空間を真空引きする真空ポンプと、定盤と枠体との間の領域にリリースシートを搬入すると共に、積載材料のラミネート後にこの領域からリリースシートを搬出するリリースシート搬送手段とを有する。
【0009】
また、ラミネート装置が、枠体と定盤との間の領域の外側に夫々配置されリリースシートの両端が夫々巻き取られているリーリング及びアンリーリングを有し、リリースシート搬送手段がリーリングを駆動して領域内のリリースシートを搬出してリーリングに巻き取らせると共にアンリーリングからリリースシートを引き出して領域内に搬入するモータを有する構成とすることが好ましい。
【0010】
さらに、ラミネート装置が、枠体と定盤との間の領域に配置されているリリースシートのテンションを調整するテンション調整手段を有する構成とすることが好ましい。
【0011】
例えば、テンション調整手段は、リーリングが駆動されているときにアンリーリングの回転速度を調整することによってリリースシートのテンションを調整する。
【0012】
また、枠体は、枠体がリリースシートを押圧しているときに第1の空間を収容するための凹部が形成されているプレート状の部材であり、ラミネート装置は、凹部とリリースシートに覆われた第2の空間を略1気圧に維持する気圧維持手段をさらに有する構成とすることが好ましい。
【0013】
さらに、定盤とリリースシートの間の領域に積載材料を搬入すると共に、この領域から太陽電池パネルを搬出するパネル搬送手段をさらに有する構成とすることが好ましい。
【0014】
また、本発明の太陽電池のラミネート方法は、パネル搬送手段によって定盤上に積載材料を搬入すると共にリリースシート搬送手段によって定盤と定盤と対峙する枠体との間の領域に新たなリリースシートを搬入する第1の工程と、枠体と定盤のいずれか一方を他方に向けて移動させ枠体と定盤とを密接させて積載部材にリリースシートを被覆させ且つリリースシートと定盤との間に第1の空間を形成する第2の工程と、第1の空間内を真空引きする第3の工程と、真空引きによって積載部材がラミネートされた後、枠体の定盤のいずれか一方を他方から離す方向に移動させてラミネートの完了した太陽電池パネルからリリースシートを離す第4の工程と、リリースシート搬送手段によって枠体と定盤との間の領域からラミネートに使用されたリリースシートを搬出すると共にパネル搬送手段によってラミネートされた太陽電池パネルを搬出する第5の工程とを有する。
【0015】
また、第1の工程において、リリースシートを搬入するに際し、リリースシート搬送手段を調整することによりリリースシートに所望のテンションを与える工程を有する構成とすることが好ましい。
【0016】
また、第3の工程において、真空引きするに当たり、リリースシートの上下で気圧差を発生させる為に、枠体とリリースシートとの間に形成された第2の空間の気圧を所望の気圧に保持する工程を有する構成とすることが好ましい。
【0017】
好ましくは、第1から第3の工程中において、枠体または定盤の少なくとも一方が加熱される工程を有する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の太陽電池のラミネート装置によれば、積層材料のラミネートが終了して太陽電池パネルが製造されるたびにリリースシート搬送手段によってラミネートに使用されたリリースシートが枠体と定盤との間から搬入され、新しいリリースシートが搬入されるようにすることができる。従って、本発明によれば、常に熱劣化の起こっていないリリースシートによって、安定したラミネート条件でラミネートによる太陽電池パネルの製造が行われる。
【0019】
また、テンション調整手段によってリリースシートのテンションを調整することによって、さらに安定したラミネート条件でラミネートによる太陽電池パネルの製造を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明の実施の形態の太陽電池のラミネート装置の概要図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態の太陽電池のラミネート装置の互いに密着した枠体及び定盤の断面図であり、ラミネートを行う前と後の状態を示したものである。
【図3】図3は、本発明の実施の形態において太陽電池パネルを製造する手順を示したフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、本実施形態の太陽電池パネルのラミネート装置の概要図である。また、図2は、本実施形態のラミネート装置の互いに密着した枠体及び定盤の断面図であり、ラミネートを行う前と後の状態を示したものである。
【0022】
図1に示されるように、本実施形態のラミネート装置1は、上下方向に並べられた枠体12と定盤14とを有する。枠体12は、定盤駆動機構42(油圧シリンダ機構等)によって上下方向、すなわち定盤14に対して近接又は離間する方向に駆動される。なお、定盤駆動機構42は、コントローラ52によって制御される。
【0023】
本実施形態のラミネート装置1によって製造される太陽電池パネルの積載材料Mは、下部リリースシート18を介して定盤14の上に配置されるようになっている。具体的には、図2に示されるように、定盤14の上面14aに遠い側(すなわち上側)から順に、裏面板Eb、第1充填材Ef1、太陽電池セルEc、第2充填材Ef2、ガラス板Eg、下部リリースシート18が重ね合わされている。また、枠体12は、その下面には凹部12aが形成されたプレート状の部材であり、定盤駆動機構42によって枠体12を定盤14に近接させると、図2(a)に示されるように、下部リリースシート18及び積層材料Mは枠体12の凹部12aに収容されるようになっている。
【0024】
枠体12と定盤14との間には、上部リリースシート16が配置されている。上部リリースシート16は、シリコーンゴム等の耐熱性に優れた弾性体のシートであり、枠体12を駆動して定盤14に密接させると、図2(a)に示されるように、上部リリースシート16は枠体12と定盤14との間に挟み込まれ、両者と密着する。すなわち、定盤14の上に太陽電池パネルの積載材料Mを配置した状態で枠体12を定盤14に密接させると、積載材料M及び下部リリースシート18は、積載材料Mの上面が上部リリースシート16に被覆された状態で、枠体12の内側に収容される。そして、上部リリースシート16は積載材料Mの側面側において枠体12と定盤14に挟まれた状態となり、定盤14の上面14aと上部リリースシート16による第1の空間Sp(図2(a))、及び枠体12の下面12aと上部リリースシート16による第2の空間Sp’が形成される。すなわち、積載材料M及び下部リリースシート18は、第1の空間Spに収容されることになる。
【0025】
図1に示されるように、枠体12及び定盤14の外側に配置されたリーリング22及びアンリーリング26に上部リリースシート16の両端が巻き取られている。リーリング22及びアンリーリング26は、夫々モータ24及び28に接続されており、上部リリースシート16がアンリーリング26から送り出され、リーリング22に巻き取られるようにモータ24及び28を駆動することによって、上部リリースシート16をアンリーリング26からリーリング22に向かって搬送することができる。モータ24及び28はコントローラ52によって制御され、その回転数を調整可能である。モータ24及び28の回転数を調整することによって、枠体12と定盤14の間に渡されている上部リリースシート16に所望のテンションを与えることができる。
【0026】
図1及び2に示されるように、定盤14には、下面14cと上面14aとを連絡する貫通孔14bが形成されている。図1に示されるように、貫通孔14bの下面14c側の開口には、真空ポンプ34が接続されている。上部リリースシート16が枠体12と定盤14との間に挟み込まれて第1の空間Sp(図2(a))が形成された状態で真空ポンプ34を駆動させることによって、第1の空間Spを真空引きすることができる。なお、真空ポンプ34は、コントローラ52(図1)によって駆動される。
【0027】
また、図1に示されるように、貫通孔14bと真空ポンプ34との間のエア用配管31には分岐管33が設けられており、分岐管33には電磁弁38が設けられている。電磁弁38はコントローラ52によって開閉制御される。第1の空間Sp(図2(a))を真空引きする際は、電磁弁38は閉じるよう制御される。第1の空間Spの真空を解除するときは、コントローラ52は電磁弁38を開き、装置外部の空気を第1の空間Sp内に流入させる。
【0028】
また、枠体12には、上面12cと下面12aとを連絡する貫通孔12bが形成されている。図1に示されるように、貫通孔12bの上面12c側の開口には、電空レギュレータ32が接続されている。電空レギュレータ32は、出口圧が略1気圧となるように、コントローラ52によって制御されている。これによって、上部リリースシート16が枠体12と定盤14との間に挟み込まれた状態では、第2の空間Sp’の気圧は略1気圧に保たれる。なお、電空レギュレータ32の出口圧は入口圧よりも低くなるので、出口圧を略1気圧とするためには入口圧を1気圧以上に保つ必要がある。この目的のため、電空レギュレータ32の入口にはアクチュエータ36が設けられている。
【0029】
本実施形態においては、積載材料Mを加熱ラミネートするため、枠体12及び定盤14は加熱されている。枠体12及び定盤14を加熱するための機構について以下説明する。図1に示されるように、枠体12及び定盤14の内部には、蒸気や熱媒油などの熱媒を通過させるための熱媒通路12d及び14dが形成されている。熱媒通路12d及び14dの出入り口には、配管66が接続されている。配管66の中途には、ヒータ62及び熱媒循環ポンプ64が設けられている。ヒータ62は、配管66内の熱媒を所望の温度に加熱可能である。また、熱媒循環ポンプ64を駆動すると、配管66及び熱媒通路12d、14d内の熱媒を循環させることができる。従って、ヒータ62及び熱媒循環ポンプ64を駆動することによって、所望の温度に制御された熱媒を、熱媒通路12d、14dを含む熱媒循環経路内で循環させることができる。このように熱媒通路1d、14dを通過する熱媒によって、枠体12及び定盤14は所望の温度に加熱維持される。なお、熱媒通路12d及び14dは、枠体12及び定盤14内で蛇行しており、熱媒を熱媒循環ポンプ64にて循環させることによって、各定盤12、14は略一様の温度に加熱される。なお、ヒータ62及び熱媒循環ポンプ64は、コントローラ52によって制御される。
【0030】
また、ラミネート装置1は、ラミネート前の積載材料Mを装置外部から定盤14と上部リリースシート16の間に搬入し、且つ、ラミネート後の太陽電池パネルE(図2(b))を定盤14と上部リリースシート16の間から装置外部に搬出するためのベルトコンベア等からなるパネル搬送手段72を有している。なお、パネル搬送手段72も又、コントローラ52によって制御される。
【0031】
以上説明した本発明の実施の形態のラミネート装置1において、積載材料Mを加熱しながらラミネートして太陽電池パネルEを製造する手順について、以下説明する。図3は、本実施形態において積載材料Mをラミネートして太陽電池パネルEを製造する手順を示したフロー図であり、以下の説明はこのフロー図に基づいてなされる。
【0032】
最初に、パネル搬送手段72を駆動することによって、下部リリースシート18の載せられたラミネート前の積載材料Mが定盤14の上に配置される(ステップS1)。次いで、モータ24及び28を駆動して、上部リリースシート16のテンションを調整し、さらにモータ24及び28を停止してこのテンションを維持する(ステップS2)。
【0033】
次いで、定盤駆動機構42を駆動して枠体12を降下させ、枠体12と定盤14との間で上部リリースシート16が挟まれるようにする(ステップS3)。これによって、図2(a)に示されるように、定盤14の上面14aと上部リリースシート16との間に第1の空間Spが形成され、第1の空間Sp内に下部リリースシート18及び積載材料Mが配置された状態となる。
【0034】
次いで、真空ポンプ34を駆動して、第1の空間Sp内を真空引きする(ステップS4)。前述のように、上部リリースシート16の上側の第2の空間Sp’(図2(a))の気圧は、電空レギュレータ32によって略1気圧に保たれているため、上部リリースシート16の上下で圧力差が発生し、この圧力差によって、図2(b)に示されるように、上部リリースシート16が積載材料Mに押しつけられてラミネートされ、太陽電池パネルEが形成される。
【0035】
本実施形態においては、前述のように上部リリースシート16にテンションが与えられた状態で枠体12と定盤14の間に挟み込まれるようになっている。そのため、枠体12と定盤14の間で上部リリースシート16が弛むことはなく第1の空間Spが形成される。そして、この状態から第1の空間Spを真空引きしても、上部リリースシート16にはシワが発生することなく、積載材料Mは均等に加圧される。また、コントローラ52はリリースシート16のテンションを略一定に保つようモータ24及び28を制御しているため、安定したラミネート条件で太陽電池パネルEの製造を行うことができる。
【0036】
次いで、ヒータ62及び熱媒循環ポンプ64を駆動して、枠体12及び定盤14を加熱する(ステップS5)。これによって、太陽電池パネルEを構成する積載材料Mは加熱されながらラミネートされる。
【0037】
積載材料Mが十分に加熱及び圧迫されてラミネートが十分に進行し、太陽電池パネルEが形成された後、真空ポンプ34、ヒータ62及び熱媒循環ポンプ64を停止し、さらに電磁弁38を開けて第1の空間Sp内の圧力を大気圧に戻す(ステップS6)。そして、定盤駆動機構42を駆動して枠体12を上昇させ(ステップS7)、さらにモータ24及び28を駆動して上部リリースシート16に加えるテンションを増加させる(ステップS8)。これによって、上部リリースシート16が太陽電池パネルEから離れる。
【0038】
次いで、パネル搬送手段72によって、ラミネートの完了した太陽電池パネルE及び下部リリースシート18を枠体12と定盤14との間から搬出する(ステップS9)。そして、モータ24、28を駆動し、アンリーリング26からリーリング22に向かって上部リリースシート16を搬送する(ステップS10)。以上、ステップS1〜S10の処理を行うことによって、ラミネートによる太陽電池パネルEの製造が行われる。
【0039】
本実施形態のラミネート装置1においては、上記のように、積載材料Mのラミネートが完了して太陽電池パネルEが形成された後に、上部リリースシート16においてラミネートに使用した部分をリーリング22に巻き取り、未使用の部分をアンリーリング26から引き出している。このため、常に未使用の(すなわち、劣化していない)上部リリースシート16を用いて積載材料Mのラミネートが行われることになり、安定したラミネート条件で太陽電池パネルEの形成が行われる。
【0040】
なお、本実施形態においては、外部で加熱した熱媒を枠体12及び定盤14内に送ることによって枠体12及び定盤14を加熱しているが、本発明は上記の構成に限定されるものではない。例えば、枠体12及び定盤14内にカートリッジヒータを設けて定盤を加熱する構成としてもよい。また、本実施形態においては、枠体12と定盤14の双方を加熱しているが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、積載材料Mを十分に加熱できるのであれば、枠体12と定盤14のいずれか一方のみが加熱される構成としてもよい。
【0041】
また、本実施形態においては、枠体12を駆動して、枠体12を定盤14に対して接離させているが、本発明は上記の構成に限定されるものではなく、定盤14、或いは枠体12と定盤14の双方を駆動する構成としてもよい。
【0042】
さらに、本実施形態においては、第1の空間Spの真空引きを行った後に定盤14及び枠体12を加熱しているが、積載材料Mを定盤14上に搬入するとき、或いは、第1の空間Spの真空引きを行っているときに、定盤14や枠体12の加熱を開始する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 ラミネート装置
12 枠体
14 定盤
16 上部リリースシート
18 下部リリースシート
22 リーリング
26 アンリーリング
34 真空ポンプ
52 コントローラ
62 ヒータ
64 熱媒循環ポンプ
E 太陽電池パネル
M 積載材料
Sp 第1の空間
Sp’ 第2の空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
積載材料をラミネートして太陽電池パネルを製造する太陽電池のラミネート装置であって、
前記積載材料が載置される定盤と、
前記定盤と接離可能に対峙する枠体と、
弾性を有するリリースシートであって前記定盤と前記枠体との間の領域に配置されているものと、
前記定盤と前記枠体のいずれか一方を他方に対して移動させる駆動手段であって、前記定盤上に配置された前記積載材料が前記リリースシートに覆われるように前記定盤と前記枠体のいずれか一方を駆動して、前記リリースシートを前記定盤に向けて押圧して該リリースシートを該定盤に密着させることによって、該定盤と該リリースシートの間に密閉された前記第1の空間を形成するものと、
前記第1の空間を真空引きする真空ポンプと、
前記定盤と前記枠体との間の領域に前記リリースシートを搬入すると共に、前記積載材料のラミネート後に該領域から該リリースシートを搬出するリリースシート搬送手段と
を有するもの。
【請求項2】
前記ラミネート装置が、前記枠体と前記定盤との間の領域の外側両端に夫々配置され前記リリースシートの両端が夫々巻き取られているリーリング及びアンリーリングを有し、
前記リリースシート搬送手段は、前記リーリングを駆動して、前記領域内のリリースシートを搬出して該リーリングに巻き取らせると共に、前記アンリーリングからリリースシートを引き出して該領域内に搬入するモータを有する
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池のラミネート装置。
【請求項3】
前記枠体と前記定盤との間の領域に配置されている前記リリースシートのテンションを調整するテンション調整手段をさらに有することを特徴とする請求項1又は2に記載の太陽電池のラミネート装置。
【請求項4】
前記テンション調整手段は、前記リーリングが駆動されているときに前記アンリーリングの回転速度を調整することによって前記リリースシートのテンションを調整することを特徴とする請求項2に従属する請求項3に記載の太陽電池のラミネート装置。
【請求項5】
前記枠体は、前記枠体が前記リリースシートを押圧しているときに前記第1の空間を収容するための凹部が形成されているプレート状の部材であり、
前記凹部と前記リリースシートに覆われた第2の空間を略1気圧に維持する気圧維持手段をさらに有する
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の太陽電池のラミネート装置。
【請求項6】
前記定盤と前記リリースシートの間の領域に前記積載材料を搬入すると共に、該領域から前記太陽電池パネルを搬出するパネル搬送手段をさらに有することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の太陽電池のラミネート装置。
【請求項7】
積載材料をラミネートして太陽電池パネルを製造する太陽電池のラミネート方法であって、
パネル搬送手段によって、定盤上に積載材料を搬入すると共に、リリースシート搬送手段によって、前記定盤と該定盤と対峙する枠体との間の領域に新たなリリースシートを搬入する第1の工程と、
前記枠体と前記定盤のいずれか一方を他方に向けて移動させ、該枠体と該定盤とを密接させて、前記積載部材に該リリースシートを被覆させ且つ該リリースシートと該定盤との間に第1の空間を形成する第2の工程と、
前記第1の空間内を真空引きする第3の工程と、
真空引きによって前記積載部材がラミネートされた後、前記枠体の前記定盤のいずれか一方を他方から離す方向に移動させて、ラミネートの完了した太陽電池パネルからリリースシートを離す第4の工程と、
前記リリースシート搬送手段によって、枠体と定盤との間の領域からラミネートに使用されたリリースシートを搬出すると共に、パネル搬送手段によって、ラミネートされた太陽電池パネルを搬出する第5の工程と
を有するもの。
【請求項8】
前記第1の工程において、前記リリースシートを搬入するに際し、前記リリースシート搬送手段を調整することにより、該リリースシートに所望のテンションを与える工程を有することを特徴とする請求項7記載のラミネート方法。
【請求項9】
前記第3の工程において、真空引きするに当たり、前記リリースシートの上下で気圧差を発生させる為に、前記枠体とリリースシートとの間に形成された第2の空間の気圧を所望の気圧に保持する工程を有することを特徴とする請求項7又は8に記載のラミネート方法。
【請求項10】
前記第1から前記第3の工程中において、枠体または定盤の少なくとも一方が加熱される工程を有することを特徴とする請求項7から9のいずれかに記載のラミネート方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−212590(P2010−212590A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−59377(P2009−59377)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(000242242)北川精機株式会社 (26)
【Fターム(参考)】