説明

太陽電池モジュールを製造するための方法

本発明は、太陽電池モジュールを製造するための方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池モジュールを製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池モジュールは、透明な材料、太陽電池、電流導通構成材および耐候性保護装置の複合物から本質的に構成されている。異なった太陽電池モジュール、例えばフィルム支持モジュール、積層ガラス−ガラスモジュール、注型用樹脂技術においてのガラス−ガラスモジュール、複合安全フィルム技術においてのガラス−ガラスモジュール、および薄層モジュールが当業者に公知である。
【0003】
太陽電池モジュールにおいて、太陽電池は一般に、両面がポリマー埋封材料によって囲まれている。これらのポリマー埋封材料はしばしば、例えば、α−オレフィン−酢酸ビニルコポリマーからなる。太陽電池の上面に、例えば、単一枚の安全ガラスからなる透明な基板がある。太陽電池の下面には一般に、耐候性ポリマーフィルムからなる保護層がある。
【0004】
(特許文献1)には太陽電池モジュールの製造が記載されており、そこにおいて透明な基板はα−オレフィン−酢酸ビニルコポリマーからなるポリマー埋封材料を積層され、太陽電池、さらなるポリマー埋封材料および保護層が次々と上に層状に重ねられ、1つの工程段階において積層される。(特許文献1)にはさらに、高い酢酸ビニル含有量を有するα−オレフィン−酢酸ビニルコポリマー、特にエチレン−酢酸ビニルコポリマー(EVA)は特に粘着性であり、基板、オレフィン−酢酸ビニルフィルムおよび太陽電池を正確に位置決めして太陽電池モジュールを製造することが困難になることが記載されている。この効果は、40%以上の酢酸ビニル含有量を有するEVAコポリマーが易流動性であり、結果として、太陽電池を埋封するプロセスを複雑にするという事実によって強調される。しかしながら、個々の構成材を正確に配置することは、そうでなければ太陽電池モジュールのエネルギー効率を低下させるので、非常に重要であり、不適切な位置決めは太陽電池に損傷を与えることにつながる可能性がある。得られた欠陥のある太陽電池モジュールは廃棄されなければならず、余分のコストがかかる。
【0005】
一般に、太陽電池モジュールの製造において、α−オレフィン−酢酸ビニルコポリマーからなる透明な基板、ポリマー埋封材料、太陽電池、α−オレフィン−酢酸ビニルコポリマーからなるさらなるポリマー埋封材料、および不透明な基板の位置決めは問題を生じるが、その理由は、材料の性質のために、より詳しくは粘着性および取扱のためにこれらの5つの構成材を互いに対して正確に位置決めすることがしばしば構成材の修正不可能なずれを惹起し、欠陥のある太陽電池モジュールをもたらすからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願公開1 184 912A1号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、太陽電池モジュールの精密かつ効率的な製造のための方法を提供することが本発明の目的であり、それによって先行技術の不便な点を克服することができる。
【0008】
驚くべきことに、本発明の方法は、ポリマー埋封材料および基板からなる別々に製造された構成材を用いて、十分に精密にかつ時間消費を抑えて太陽電池モジュールを製造することができることが見出されている。
【0009】
したがって、本発明は太陽電池モジュールを製造するための方法を提供し、そこにおいて、
工程a)において、
透明なまたは不透明な基板が、α−オレフィン−酢酸ビニルコポリマーの全重量に基づいて25重量%以上の酢酸ビニル含有量を有する少なくとも1種のα−オレフィン−酢酸ビニルコポリマーから構成された埋封材料を積層されて構成材をもたらし、
第2の工程b)において、
工程a)において透明な基板から製造された構成材および工程a)において不透明な基板から製造された構成材が透明な構成材と不透明な構成材との間に配置された少なくとも1つの太陽電池を積層されて太陽電池モジュールをもたらす。
【0010】
本明細書においてなされるα−オレフィン−酢酸ビニルコポリマーへのさらなる参照は、それが明確に異なって定義された場合を除いて、常に、α−オレフィン−酢酸ビニルコポリマーの全重量に基づいて25重量%以上の酢酸ビニル含有量を有するα−オレフィン−酢酸ビニルコポリマーに関する。
【0011】
本発明の好ましい実施形態において、埋封材料は少なくとも1種の添加剤を含む。
【0012】
埋封材料は好ましくは、埋封材料の全重量に基づいて少なくとも1種のα−オレフィン−酢酸ビニルコポリマーを1重量%〜70重量%および少なくとも1種の添加剤を0重量%〜30重量%を含有してもよい。それはより好ましくは、埋封材料の全重量に基づいて少なくとも1種のα−オレフィン−酢酸ビニルコポリマーを1重量%〜80重量%および少なくとも1種の添加剤を0重量%〜20重量%を含有する。埋封材料は最も好ましくは、埋封材料の全重量に基づいてそれぞれ少なくとも1種のα−オレフィン−酢酸ビニルコポリマーを90重量%〜100重量%および少なくとも1種の添加剤を0〜10重量%を含む。使用されたα−オレフィン−酢酸ビニルコポリマーおよび/または添加剤の合計は、埋封材料の全重量に基づいて100重量%である。
【0013】
例えば好ましくは、埋封材料は、α−オレフィン−酢酸ビニルコポリマーの全重量に基づいて1種、2種、3種以上のα−オレフィン−酢酸ビニルコポリマーを含有してもよい。2種以上の異なったα−オレフィン−酢酸ビニルコポリマーの混合物が好ましい。しかしながら、1種だけのα−オレフィン−酢酸ビニルコポリマーの使用が特に好ましい。
【0014】
埋封材料は好ましくは、α−オレフィン−酢酸ビニルコポリマーの全重量に基づいてそれぞれ40重量%以上の酢酸ビニルコポリマー含有量、より好ましくは45重量%以上の酢酸ビニル含有量を有する少なくとも1種のα−オレフィン−酢酸ビニルコポリマーを含有する。使用されたα−オレフィン−酢酸ビニルコポリマーの酢酸ビニル含有量は、典型的には25重量%〜98重量%、好ましくは40重量%〜98重量%、より好ましくは45重量%〜98重量%であり、α−オレフィン含有量は2重量%〜75重量%、好ましくは2重量%〜60重量%、より好ましくは2重量%〜55重量%であり、そこにおいて酢酸ビニルとα−オレフィンとの総量は100重量%である。
【0015】
埋封材料において使用されたα−オレフィン−酢酸ビニルコポリマーにおいて使用されたα−オレフィンは、全て公知のα−オレフィンであってもよい。α−オレフィンは好ましくは、エテン、プロペン、ブテン、特にn−ブテンおよびi−ブテン、ペンテン、ヘキセン、特に1−ヘキセン、ヘプテンおよびオクテン、特に1−オクテンから選択される。また、埋封材料において使用されたα−オレフィン−酢酸ビニルコポリマーのα−オレフィンとして記載されたα−オレフィンのより高次の同族体を使用することも可能である。さらに、α−オレフィンは置換基、特にC−C−アルキル基を有してもよい。しかしながら、α−オレフィンは、いかなるさらなる置換基も有しないのが好ましい。
【0016】
好ましいα−オレフィンはエテンおよびプロペンであり、埋封材料において使用されたα−オレフィン−酢酸ビニルコポリマーのα−オレフィンとしてエテンを使用するのが特に好ましい。したがって、本発明の構成材において好んで使用されるα−オレフィン−酢酸ビニルコポリマーは、エチレン−酢酸ビニルコポリマーである。
【0017】
使用された埋封材料はより好ましくは、エチレン−酢酸ビニルコポリマーのみである。その場合、その酢酸ビニル含有量は、25重量%〜98重量%、好ましくは40重量%〜98重量%、より好ましくは45重量%〜98重量%であり、エチレン含有量は2重量%〜75重量%、好ましくは2重量%〜60重量%、より好ましくは2重量%〜55重量%である。
【0018】
例えば好ましくは、添加剤は、過酸化物、光安定剤、シラン、老化安定剤、光開始剤、例えばベンゾフェノン、および架橋密度を増加させるための助剤、例えばトリアリルシアヌレートまたはトリアリルイソシアヌレートの群、またはこれらの材料の混合物から選択される。
【0019】
本発明の方法において埋封材料は、埋封材料のα−オレフィン−酢酸ビニルコポリマーがα−オレフィン−酢酸ビニルコポリマーの全重量に基づいて25重量%〜40重量%の酢酸ビニル含有量を含有する場合、最も好ましくは少なくとも1種のさらなる添加剤を含む。
【0020】
α−オレフィン−酢酸ビニルコポリマーのために適した調製方法は、欧州特許出願公開第A0341499号明細書、欧州特許出願公開第A0510478号明細書および独国特許出願公開第A3825450号明細書において明記されている。
【0021】
40重量%以上の酢酸ビニル含有量を有するα−オレフィン−酢酸ビニルコポリマーは、本発明の方法において好んで使用され、独国特許出願公開第2031662A2号明細書から公知の溶液重合方法によって調製される。
【0022】
本発明の方法において使用されたα−オレフィン−酢酸ビニルコポリマー、好ましくは40重量%以上の酢酸ビニル含有量を有するエチレン酢酸ビニルコポリマーは一般に、190℃および21.1Nの負荷においてISO1133によって測定されたMFI値(g/10分)が1〜40、好ましくは1〜35、より好ましくは2〜6である。
【0023】
本発明の方法において使用されたα−オレフィン−酢酸ビニルコポリマーのMooney粘度は、DIN53523ML1+4によって100℃において一般に3〜50および好ましくは4〜35のMooney単位である。
【0024】
本発明の方法において使用されたα−オレフィン−酢酸ビニルコポリマーの数平均分子量は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)によって測定された場合、例えば5000g/モル〜200000g/モル、好ましくは10000g/モル〜100000g/モルである。
【0025】
太陽電池モジュールを製造するための本発明の方法において、エチレン酢酸ビニルコポリマーを使用することが特に好ましく、それは例えばLanxess Deutschland GmbHから商品名Levapren(登録商標)またはLevamelt(登録商標)として市販されている。
【0026】
太陽電池モジュールを製造するための本発明の方法において使用されたエチレン酢酸ビニルコポリマーは、より好ましくはLevamelt 450、Levamelt 452、Levamelt 456、Levamelt 500、Levamelt(登録商標)600、Levamelt 686、Levamelt(登録商標)700、Levamelt(登録商標)800およびLevamelt(登録商標)900であり、酢酸ビニルを45±2重量%および1〜5のMFI、酢酸ビニルを45±2重量%および5〜15のMFI、酢酸ビニルを45±2重量%および15〜35のMFI、酢酸ビニルを50±2重量%、酢酸ビニルを60±2重量%、酢酸ビニルを68±2重量%および15〜35のMFI、酢酸ビニルを70±2重量%、酢酸ビニルを80±2重量%または酢酸ビニルを90±2重量%である。
【0027】
基板はガラス、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニルポリマー積層体、ポリフッ化ビニリデンまたはポリエチレンテレフタレート、もしくはこれらの材料の混合物であってもよい。これらのポリマーのいく種かは、組成物および加工によって、透明なまたは/および不透明な性質を有しうる。これらのポリマーの調製およびそれらの性質は当業者に公知である。
【0028】
透明な基板が構成材において使用されるのが好ましいのは、この構成材が太陽に対向する面上に設けられる場合である。当業者に公知の全ての透明な基板が適しており、例えば好ましくはガラス、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレートまたはこれらの材料の混合物である。透明な材料は好ましくはガラス、ポリフッ化ビニルポリマー積層体およびポリエチレンテレフタレートである。適した透明な基板はより好ましくは板ガラスであり、単一の安全ガラス板を使用することが特に非常に好ましい。
【0029】
不透明な基板が構成材において使用されるのが好ましいのは、この構成材が太陽電池モジュールの下面、すなわち太陽の反対方向を向いている面上に設けられる場合である。不透明な基板は好ましくはポリエステル、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデンまたはポリエチレンテレフタレートである。不透明な基板はより好ましくはポリマーフィルム、特に、例えばポリフッ化ビニルから形成されたポリマー複合フィルム、例えばDuPont製のTedlar(登録商標)、ポリエステル、ポリフッ化ビニリデン、例えばArkema製のKynar(登録商標)、またはポリエチレンテレフタレートである。
【0030】
また、不透明な基板の表面は、例えば、埋封材料により良好に接着されうるように化学的に処理されてもよい。不透明な基板の表面はプラズマによって、特に酸素プラズマで処理されているのが好ましい。不透明な基板が未処理のときに付着が不十分である場合、不透明な基板は処理されるのがより好ましい。
【0031】
太陽電池モジュールの下面に適用された不透明な基板は好ましくは、太陽電池モジュールの裏面を形成する耐候性保護層(裏面積層)として役立つ。
【0032】
適した太陽電池は、当業者に公知の全ての太陽電池である。適した太陽電池は、例えばシリコン電池であり、それは厚層電池(単結晶または多結晶電池)または薄層電池(非晶質シリコンまたは結晶シリコン)、III−V半導体太陽電池(Ga−As電池)、II−VI半導体太陽電池(CdTe電池)、CIS電池(二セレン化銅インジウムまたは二硫化銅インジウム)またはCIGS電池(二セレン化銅インジウムガリウム)、有機太陽電池、色素電池(Graetzel電池)または半導体電解質電池(例えば酸化銅/NaCl溶液)であってもよいが、シリコン電池を使用するのが好ましい。当業者に公知の全てのタイプのシリコン電池、例えば単結晶電池、多結晶電池、非晶質電池、微結晶電池、または例えば、多結晶および非晶質電池の組み合わせから形成されるタンデム太陽電池を使用することができる。多結晶および非晶質電池を使用することが好ましい。
【0033】
前述の太陽電池の構造は当業者に公知である。
【0034】
厚層電池の他に、薄層電池、集光電池、電気化学色素太陽電池、有機太陽電池または蛍光電池を使用することができる。さらに、可撓性太陽電池を使用することができる。
【0035】
太陽電池を製造するための適した方法は当業者に公知である。
【0036】
本発明の範囲は、一般的にまたは好ましい範囲内で、互いに任意の組み合わせで、すなわち、また、特定の範囲と好ましい範囲との間で、上記および下記の全ての基本的な定義、パラメータおよび説明を包含する。
【0037】
本発明の方法の工程a)において、埋封材料は好ましくは、透明な基板または不透明な基板に個々に積層され、透明なまたは/および不透明な構成材をもたらす。本発明の方法の工程a)の手順は、好ましくは清浄な透明なまたは/および不透明な基板を出発点として利用することが好ましい。埋封材料は一般に、当業者に公知の方法によって、例えば同時押出、押出(注型押出、フラットフィルム押出)またはカレンダリングによって製造され、フィルムとして透明なまたは/および不透明な基板に適用される。埋封材料は場合により所定の寸法通りに切断され、基板上に位置決めされる。この後に、積層、例えば当業者に公知の方法、例えば標準真空積層が行なわれる。積層中に埋封材料は透明なポリマー層を透明なまたは/および不透明な基板上に形成し、強固に基板に接着される。この透明なポリマー層は、例えば、1μm〜1000μmの厚さを有する。本発明の方法の工程a)において積層後の透明なポリマー層は好ましくは、100μm〜700μm、より好ましくは200μm〜500μmの厚さを有する。
【0038】
本発明の方法の工程a)の積層は、例えば、140〜220℃の温度において行うことができる。本発明の方法の工程a)の積層は150℃〜210℃の温度、より好ましくは160℃〜180℃の温度において行なわれることが好ましい。
【0039】
例えば、透明なまたは/および不透明な基板は、埋封材料によって完全に囲まれてもよい。しかしながら、埋封材料はまた、透明な基板のまたは/および不透明な基板の上面または下面にだけ適用されてもよい。本発明の方法の工程a)において、埋封材料は好ましくは、透明な基板のまたは/および不透明な基板の一方の面にだけ適用される。
【0040】
本発明の方法の工程b)は好ましくは、本発明の方法の工程a)において製造された構成材を少なくとも1つの太陽電池と連続的に接触させることによって行なわれる。例えば、本発明の方法の工程a)において製造された透明な構成材を出発点として利用することができる。太陽電池は、透明な構成材の透明なポリマー材料と不透明な構成材の透明なポリマー材料との間にある。太陽電池を例えばロボットによって自動的にまたは手動で位置決めすることができる。その後、透明な構成材および不透明な構成材と少なくとも1つの太陽電池とを積層することができる。
【0041】
しかしながら、最初に、本発明の方法の工程a)において製造された不透明な構成材の透明なポリマー材料に太陽電池を適用することも同様に可能である。その後、本発明の方法の工程a)において製造された透明な構成材の透明なポリマー材料を太陽電池モジュールの表面に適用し、次いでそれをさらに暴露することが可能である。その後、次いで透明なおよび不透明な構成材および少なくとも1つの太陽電池を積層することもできる。好ましくは、本発明の方法の工程a)において製造された透明な構成材は出発点として利用される。その後、次いで太陽電池を透明なポリマー材料上に好ましくはロボットによる自動化された方法で位置決めする。その後、不透明な構成材は好ましくはその後、透明なポリマー材料を上に有する面によって適用される。好ましくはこの後に、積層を実施して複合物を得る。
【0042】
本発明の一実施形態において、太陽電池モジュールは複数の太陽電池を含み、次いでそれらは、はんだストリップによって互いに接合されて「ストリング」を形成する。いくつかのストリングがしばしば、横コネクタによって互いに接続される。本発明の方法の好ましい実施形態において、太陽電池は、本発明の方法の工程a)において製造された構成材と接触される前に、はんだストリップによって接合され、個々のストリングを形成する。太陽電池は好ましくは、透明な構成材と接触させられる前にはんだストリップによって接合される。好ましくはその後、個々のストリングを互いに接続して接続ソケットに至る横コネクタが位置決めされ、接触させられる。次に、本発明の方法の工程a)において製造された不透明な構成材が、透明なポリマー材料を上に有する面によって太陽電池モジュールに適用される。位置決めは、例えば、自動的におよび好ましくはロボットによって行うことができる。好ましくはこの後に、積層が実施されて複合物を形成する。
【0043】
本発明の方法の工程b)の積層は、好ましくは140℃〜220℃の温度において、好ましくは150℃〜210℃の温度においておよび最も好ましくは160℃〜180℃の温度において行なわれる。
【0044】
本発明の方法の工程a)および/または工程b)の積層は、当業者に公知の方法、例えば標準真空積層によって、圧力または/および熱によって行なわれる。本発明の方法の工程a)および/または工程b)の積層は、熱減圧下で熱によって行なわれることが好ましい。
【0045】
本発明の方法の工程b)の積層は、透明なポリマー層中への太陽電池の埋封および透明な基板および不透明な基板への固定接着を達成する。次いで、好ましくは接続ソケットが取り付けられ、太陽電池モジュールは例えば、アルミニウムフレームを用いてフレーム付けされる。
【0046】
例えば好ましくは、本発明の方法において製造された太陽電池モジュールは、以下の構造を有する(図1/1も同様に参照)。
i)完成太陽電池モジュールにおいて太陽に対向する面である前面と、裏面とを有する透明な基板Aと、透明な基板の裏面に適用された透明なポリマー層Bとからなる構成材(W)、
ii)透明なポリマー層BとB’との間に位置決めされた1つまたは複数の太陽電池C、
iii)完成太陽電池モジュールにおいて透明なポリマー層B’よって太陽電池Cに接着されている不透明な基板Dからなる構成材(V)
【0047】
太陽電池Cはより好ましくは透明なポリマー層Bおよび/またはB’中に埋封される。
【0048】
透明なポリマー層Bおよび/またはB’は、本発明の方法の工程a)において埋封材料を基板に積層する場合に生じる。
【0049】
適した透明なポリマー層BおよびB’は、25重量%以上の酢酸ビニル含有量を有する上に規定されたα−オレフィン−酢酸ビニルコポリマー、特に25重量%以上の酢酸ビニル含有量を有するエチレン酢酸ビニルコポリマーからなり、特に適したポリマー層BおよびB’は、40重量%以上の酢酸ビニル含有量を有するエチレン酢酸ビニルコポリマーからなる。
【0050】
例えば好ましくは、構成材(W)および(V)は、工程a)において本発明の方法によって製造される。好ましくは、構成材(W)は、透明な基板Aの一方の面に少なくとも1種のα−オレフィン−酢酸ビニルコポリマーからなる埋封材料を積層することによって製造され、その結果として埋封材料が透明なポリマー層になる。構成材(V)は好ましくは、本発明の方法の工程a)において不透明な基板D、より好ましくは耐候性保護層に少なくとも1種のα−オレフィン−酢酸ビニルコポリマーからなる埋封材料を積層することによって製造される。この工程は、埋封材料から透明なポリマー層を形成する。本発明の方法の工程a)において構成材(W)および(V)を製造する際に40重量%以上の酢酸ビニル含有量を有するエチレン−酢酸ビニルコポリマーを使用することが特に好ましい。
【0051】
透明な基板Aは、透明な基板A上の透明なポリマー層Bが下面、すなわち太陽電池の方に向いている面上に適用されるように、好ましくは埋封材料を積層されて新しい構成材(W)をもたらす。不透明な基板Dは、不透明な基板Dが太陽電池の方に向いている面上に透明なポリマー材料B’をコートされるように、好ましくは埋封材料を積層されて新しい構成材(V)をもたらす。
【0052】
太陽電池は好ましくは、本発明の方法の工程a)において製造された構成材(W)の下面に適用される。太陽電池は好ましくは最初に、はんだストリップによって互いに接合され、次に位置決めされる。その後、構成材(V)は、透明なポリマー材料B’を上に有する面によって適用される。好ましくは、次に、個々のストリングを互いに接続して接続ソケットに至る横コネクタが位置決めされ、接触させられる。位置決めはロボットによって自動的に行なわれる。この後に、本発明の方法の工程b)の積層を実施する。その後、場合により、当業者に公知のさらなる構成材、例えばシール、アルミニウムプロファイルフレームおよび電気接続端子を太陽電池モジュールに設けることもできる。これらの構成材およびそれらの取り付けは当業者に公知である。
【0053】
また、本発明の方法は、上述の好ましい構造とは別の構造を有する太陽電池モジュールを製造するのに役立つこともある。例としてはガラス−ガラスモジュール、レンズの補助によって直射日光をより小さい太陽電池上に集める集光モジュール、および蛍光コレクタである。
【0054】
本発明の方法は、構成材をより効率的に固定および積層することができ、したがって誤って製造された太陽電池モジュールの数を低減するので、太陽電池モジュールを効率的に製造するという利点を有する。
【0055】
図1は、本発明の方法によって製造された太陽電池モジュールの実施例を示す。
【0056】
図1において、表示の意味は次の通りである。
構成材(W)
A 透明な基板
B 少なくとも1種のα−オレフィン−酢酸ビニルコポリマーおよび場合によりさらなる添加剤、好ましくはエチレン−酢酸ビニルコポリマー、より好ましくは、Lanxess Deutschland GmbH製の名称Levamelt(登録商標)のエチレン−酢酸ビニルコポリマーから形成された透明なポリマー材料
C 太陽電池
構成材(V)
B 少なくとも1種のα−オレフィン−酢酸ビニルコポリマーおよび場合によりさらなる添加剤、好ましくはエチレン−酢酸ビニルコポリマー、好ましくは、Lanxess Deutschland GmbH製の名称Levamelt(登録商標)のエチレン−酢酸ビニルコポリマーから形成された透明なポリマー材料
D 不透明な基板または保護層
E フレーム、好ましくはアルミニウムプロファイルフレーム
F シール
【0057】
構成材(W)は、構成材AおよびBを含む。構成材(V)は、構成材B’およびDを含む。また、本発明の方法を使用して、構成材EおよびFを有さない太陽電池モジュールを製造することも可能である。より詳しくは、可撓性太陽電池モジュールの場合は構成材Eを省くことができる。
【0058】
適した構成材A、B、B’、C、DおよびEは上記においてすでに詳細に説明されている。適したシールFは当業者に公知である。
【符号の説明】
【0059】
A 透明な基板
B 透明なポリマー材料
C 太陽電池
D 不透明な基板または保護層
E フレーム
F シール
【図1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
工程a)において、
透明なまたは不透明な基板が、α−オレフィン−酢酸ビニルコポリマーの全重量に基づいて25重量%以上の酢酸ビニル含有量を有する少なくとも1種のα−オレフィン−酢酸ビニルコポリマーから構成された埋封材料を積層されて構成材をもたらし、
第2の工程b)において、
工程a)において透明な基板から製造された構成材および工程a)において不透明な基板から製造された構成材が、前記透明な構成材と前記不透明な構成材との間に配置された少なくとも1つの太陽電池を積層されて太陽電池モジュールをもたらすことを特徴とする、太陽電池モジュールを製造するための方法。
【請求項2】
前記埋封材料が少なくとも1種の添加剤を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記埋封材料が、前記埋封材料の全重量に基づいてα−オレフィン−酢酸ビニルコポリマーを90重量%〜100重量%および添加剤を10〜0重量%を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の太陽電池モジュールを製造するための方法。
【請求項4】
前記埋封材料が、前記埋封材料の全重量に基づいて添加剤を0重量%〜20重量%を含有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の太陽電池モジュールを製造するための方法。
【請求項5】
前記α−エチレン酢酸ビニルコポリマーの全重量に基づいて40重量%以上の酢酸ビニル含有量を有するα−エチレン−酢酸ビニルコポリマーが使用されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の太陽電池モジュールを製造するための方法。
【請求項6】
前記添加剤が、過酸化物、光安定剤、シラン、老化安定剤、ベンゾフェノン、トリアリルシアヌレートまたはトリアリルイソシアヌレートの群から、またはこれらの添加剤の混合物から、選択されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の太陽電池モジュールを製造するための方法。
【請求項7】
使用された前記透明な基板がガラス、ポリフッ化ビニルポリマー積層体またはポリエチレンテレフタレート、もしくはこれらの材料の混合物であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の太陽電池モジュールを製造するための方法。
【請求項8】
使用された前記不透明な基板がポリエステル、ポリフッ化ビニリデンまたはポリエチレンテレフタレート、もしくはこれらの材料の混合物であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の太陽電池モジュールを製造するための方法。
【請求項9】
請求項1の工程a)の積層後の埋封材料が、基板上に200μm〜500μmの厚さを有することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の太陽電池モジュールを製造するための方法。
【請求項10】
工程a)においてまたは/および工程b)における積層が160℃〜180℃の温度で行なわれることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の太陽電池モジュールを製造するための方法。

【公表番号】特表2013−501371(P2013−501371A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−523321(P2012−523321)
【出願日】平成22年8月3日(2010.8.3)
【国際出願番号】PCT/EP2010/061299
【国際公開番号】WO2011/015584
【国際公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(505422707)ランクセス・ドイチュランド・ゲーエムベーハー (220)
【Fターム(参考)】