太陽電池モジュール用導電材料及び太陽電池モジュール
【課題】太陽電池セルの電極と配線とを低い荷重で電気的に接続でき、更に接続後に導電材料により形成された接続部と電極及び配線との接着信頼性を高めることができる太陽電池モジュール用導電材料、及び該太陽電池モジュール用導電材料を用いた太陽電池モジュールを提供する。
【解決手段】本発明に係る太陽電池モジュール用導電材料は、太陽電池セルの電極と配線とを電気的に接続するために用いられる。本発明に係る太陽電池モジュール用導電材料は、導電性粒子1と、バインダー樹脂とを含む。導電性粒子1は、樹脂粒子2と、該樹脂粒子2の表面2aを被覆している導電層3とを有する。導電層3の少なくとも外側の表面層が、はんだ層5である。本発明に係る太陽電池モジュールは、電極を有する太陽電池セルと、配線と、太陽電池セルの電極と配線とを電気的に接続している接続部とを備える。該接続部が、上記太陽電池モジュール用導電材料により形成されている。
【解決手段】本発明に係る太陽電池モジュール用導電材料は、太陽電池セルの電極と配線とを電気的に接続するために用いられる。本発明に係る太陽電池モジュール用導電材料は、導電性粒子1と、バインダー樹脂とを含む。導電性粒子1は、樹脂粒子2と、該樹脂粒子2の表面2aを被覆している導電層3とを有する。導電層3の少なくとも外側の表面層が、はんだ層5である。本発明に係る太陽電池モジュールは、電極を有する太陽電池セルと、配線と、太陽電池セルの電極と配線とを電気的に接続している接続部とを備える。該接続部が、上記太陽電池モジュール用導電材料により形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池セルの電極と配線とを電気的に接続するために用いられる導電材料に関し、より詳細には、はんだ層を有する導電性粒子を含む太陽電池モジュール用導電材料、並びに該太陽電池モジュール用導電材料を用いた太陽電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の太陽電池セルの電極が金属配線を介して電気的に接続されている太陽電池モジュールが知られている。
【0003】
例えば、下記の特許文献1には、図5に示す構造を有する太陽電池モジュール101が開示されている。太陽電池モジュール101は、複数の太陽電池セルを構成する複数のシリコン基板102A,102Bと、配線103とを備える。シリコン基板102A,102Bはそれぞれ、p型シリコン基板111と、p型シリコン基板111の表面である受光面側にn型拡散層112と、p型シリコン基板111の裏面側にP+層(BSF層)113とを有する。シリコン基板102A,102Bの一方の面に、n型拡散層112に接するように表面電極104が設けられている。シリコン基板102A,102Bの他方の面に、P+層113に接するように裏面電極105が設けられている。シリコン基板102A,102Bの一方の面に設けられた表面電極104が、接着部106Aを介して配線103に接続されている。シリコン基板102Bの他方の面に設けられた裏面電極105が、接着部106Bを介して配線103に接続されている。
【0004】
図5では図示を省略しているが、太陽電池モジュールでは、一般に、配線により接続された複数の太陽電池セルは、透明部材と透明部材又は非透明部材との間に配置され、エチレン−酢酸ビニル共重合体又はエポキシ樹脂等を含む封止材により封止されている。
【0005】
特許文献1では、接着部106A,106Bは、接着剤により形成されている。また、ここでは、導電性粒子を含む接着剤を用いることで、接着部106A,106B自体により表面電極104と配線103及び裏面電極105と配線103との電気的な接続が可能であることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】登録実用新案第3123842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1では、接着部106A,106Bを形成するための接着剤に含まれる導電性粒子に関して、銀粉末、銅粉末、ニッケル粉末、はんだ粉末、金コート樹脂粉末及びニッケルコート樹脂粉末等の金属粉末等を用いることができる旨が記載されている。また、ボイドの発生を抑制する効果及びアンカー効果等を十分に得る観点からは、導電性粒子としてニッケル粉末が好適に用いられること、並びに導電性粒子としてはんだ粉末を使用する場合には、ハンダ粉末が加熱により表面電極、裏面電極又は配線と共晶接合を形成し、より確実な接続が得られることも記載されている。
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載のように、接着剤に含まれる導電性粒子として、銀粉末、銅粉末、ニッケル粉末、金コート樹脂粉末又はニッケルコート樹脂粉末を用いた場合には、太陽電池セルの電極と配線とを低い荷重で接続すると、電気的な接続を確実に行えないことがある。一方で、電気的な接続を確実に行うために、太陽電池セルの電極と高い荷重で接続すると、太陽電池セルが破損しやすい。
【0009】
さらに、特許文献1に記載のように、接着剤に含まれる導電性粒子として、はんだ粉末を用いた場合には、接続時の加熱によりはんだ粉末全体が溶融可能であるので、接続後に電極と配線との間隔を高精度に制御することは困難である。このため、電極と配線との間に接着部が充分に存在せずに、接着部と電極及び接着部と配線との接着信頼性が低いことがある。
【0010】
本発明の目的は、太陽電池セルの電極と配線とを低い荷重で電気的に接続でき、更に接続後に導電材料により形成された接続部と電極及び配線との接着信頼性を高めることができる太陽電池モジュール用導電材料、及び該太陽電池モジュール用導電材料を用いた太陽電池モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の広い局面によれば、太陽電池セルの電極と配線とを電気的に接続するために用いられる導電材料であって、樹脂粒子と、該樹脂粒子の表面を被覆している導電層とを有する導電性粒子と、バインダー樹脂とを含み、上記導電層の少なくとも外側の表面層が、はんだ層である、太陽電池モジュール用導電材料が提供される。
【0012】
本発明に係る太陽電池モジュール用導電材料のある特定の局面では、上記導電性粒子の平均粒子径は、0.1〜50μmである。
【0013】
本発明に係る太陽電池モジュール用導電材料の他の特定の局面では、フラックスがさらに含まれている。
【0014】
本発明に係る太陽電池モジュールは、電極を有する太陽電池セルと、配線と、該太陽電池セルの電極と配線とを電気的に接続している接続部とを備えており、該接続部が、本発明に従って構成された太陽電池モジュール用導電材料により形成されている。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る太陽電池モジュール用導電材料は、特定の上記導電性粒子とバインダー樹脂とを含むので、太陽電池セルの電極と配線とを容易に電気的に接続できる。さらに、上記導電性粒子が樹脂粒子と該樹脂粒子の表面を被覆している導電層とを有し、かつ該導電層の少なくとも外側の表面層がはんだ層であるので、太陽電池セルの電極と配線とを低い荷重で電気的に接続できる。さらに、接続後に導電材料により形成された接続部と電極及び配線との接着信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る導電材料に含まれている導電性粒子を示す断面図である。
【図2】図2は、導電性粒子の変形例を示す断面図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態に係る太陽電池モジュールの一例を模式的に示す部分切欠正面断面図である。
【図4】図4は、図3に示す太陽電池モジュールにおける導電性粒子と電極及び配線との接続部分を拡大して示す部分切欠正面断面図である。
【図5】図5は、従来の太陽電池モジュールを示す部分切欠正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の詳細を説明する。
【0018】
本発明に係る太陽電池モジュール用導電材料は、太陽電池セルの電極と配線とを電気的に接続するために用いられる導電材料である。本発明に係る太陽電池モジュール用導電材料は、導電性粒子とバインダー樹脂とを含む。該導電性粒子は、樹脂粒子と、該樹脂粒子の表面を被覆している導電層とを有する。導電性粒子における導電層の少なくとも外側の表面層は、はんだ層である。
【0019】
本発明に係る太陽電池モジュール用導電材料では、上記導電性粒子が樹脂粒子と該樹脂粒子の表面を被覆している導電層とを有し、かつ該導電層の少なくとも外側の表面層がはんだ層であるので、太陽電池セルの電極と配線とを低い荷重で電気的に接続できる。なお、太陽電池セルの電極と配線とを高い荷重で電気的に接続すると、太陽電池セルが破損することがある。太陽電池モジュールにおいては、太陽電池セルの破損が特に問題となる。本発明に係る太陽電池モジュール用導電材料の使用により、太陽電池セルの破損を効果的に抑制できる。従って、上記導電材料は、太陽電池セルの電極の接続に特に有利である。
【0020】
また、本発明に係る太陽電池モジュール用導電材料では、上記導電性粒子が樹脂粒子を有し、該樹脂粒子が電極と配線との接続時に溶融し難いので、はんだのみにより形成されたはんだ粒子を用いた場合と比べて、接続後に電極と配線との間隔を高精度に制御できる。このため、接続後に導電材料により形成された接続部と電極及び配線との接着信頼性を高めることができる。
【0021】
ところで、従来、特許第2769491号公報に記載のように、ニッケル又はガラスにより形成された基材粒子と、該基材粒子の表面を被覆しているはんだ層とを有する導電性粒子は知られていた。特許第2769491号公報では、導電性粒子は、ポリマーマトリックスと混合され、導電材料として用いられている。
【0022】
しかしながら、特許第2769491号公報では、導電性粒子における基材粒子の材料がガラス又はニッケルである構成が記載されているにすぎず、具体的には、基材粒子をニッケルのような強磁性金属により形成することが記載されているにすぎない。
【0023】
さらに、特許第2769491号公報に記載の導電性粒子では、導電性粒子における基材粒子の材料がガラス又はニッケルであるため、ポリマーマトリックスを含む導電材料中で、導電性粒子が沈降することがある。このため、導電接続の際に、導電材料を均一に塗工できず、塗工後の導電材料層に導電性粒子が含まれなかったり、含まれていても導電性粒子の含有量が少なすぎたりすることがある。このため、導通信頼性が低いことがある。さらに、凝集した導電性粒子によって、塗工後の導電材料層の厚みにばらつきが生じることがある。このため、ポリマーマトリックスにより接着されていない部分が生じやすい。
【0024】
また、従来、特開平9−306231号公報に記載のように、樹脂粒子と、該樹脂粒子の表面を被覆しているニッケルめっき層と、該ニッケルめっき層の表面を被覆しているはんだ層とを有する導電性粒子も知られていた。
【0025】
しかしながら、特開平9−306231号公報に記載の導電性粒子は、バインダー樹脂に分散されて用いられていない。これは、導電性粒子の粒子径が大きいので、該導電性粒子は、バインダー樹脂に分散された導電材料として用いるには好ましくないためである。特開平9−306231号公報の実施例では、粒子径が650μmの樹脂粒子の表面を導電層で被覆しており、粒子径が数百μmの導電性粒子を得ており、この導電性粒子は、バインダー樹脂と混合された導電材料として用いられていない。
【0026】
また、特開平9−306231号公報では、導電性粒子を用いて半導体等の素子及び電極基板などを導通接続する際には、1つの電極上に1つの導電性粒子を置き、次に導電性粒子上に電極を置いた後、加熱している。加熱により、はんだ層は、溶融して電極と接合する。しかしながら、このように、電極上に導電性粒子を置く作業は煩雑であった。また、接続された部材間には、樹脂層が存在しないため、接着信頼性が低かった。
【0027】
さらに、特許第2769491号公報及び特開平9−306231号公報のいずれにも、導電性粒子を太陽電池セルの電極と配線とを電気的に接続するために用いることについては全く記載されておらず、示唆すらされていない。
【0028】
すなわち、特許第2769491号公報及び特開平9−306231号公報は、本願発明の太陽電池モジュール用導電材料の用途と全く異なる用途に用いられる導電性粒子を開示しているにすぎない。
【0029】
これに対して、本発明に係る太陽電池モジュール用導電材料は、上記構成を備えているので、太陽電池セルの電極と配線との電気的な接続に用いた場合に、接続が容易である。例えば、電極又は配線上に導電性粒子を1個ずつ配置せずに、電極又は配線上に導電材料を塗工するだけで、電極又は配線上に導電性粒子を配置できる。さらに、電極又は配線上に導電材料層を形成した後、該導電材料層に他の配線又は電極を積層するだけで、電極と配線とを電気的に接続できる。従って、太陽電池セルの電極と配線とが電気的に接続された太陽電池モジュールの製造効率を高めることができる。さらに、電極と配線との間には、導電性粒子だけでなくバインダー樹脂も存在するので、電極と配線とを強固に接着させることができ、接着信頼性を高めることができる。
【0030】
さらに、本発明に係る太陽電池モジュール用導電材料を電極と配線との接続に用いた場合に、導通信頼性が高くなる。導電性粒子における導電層の外側の表面層がはんだ層であるので、例えば、加熱によりはんだ層を溶融させることにより、はんだ層と電極との接触面積を大きくすることができる。従って、本発明に係る太陽電池モジュール用導電材料では、導電層の外側の表面層が金層又はニッケル層等のはんだ層以外の金属である導電性粒子を含む導電材料と比較して、導通信頼性を高めることができる。
【0031】
また、本発明に係る太陽電池モジュール用導電材料に含まれている導電性粒子の基材粒子が、ニッケルなどの金属又はガラスにより形成された粒子ではなく、樹脂により形成された樹脂粒子であるので、導電性粒子の柔軟性を高めることができる。このため、導電性粒子に接触した電極又は配線の損傷を抑制できる。さらに、樹脂粒子を有する導電性粒子を用いることにより、ニッケルなどの金属又はガラスにより形成された粒子を有する導電性粒子を用いた場合と比較して、該導電性粒子を介して電極と配線とが接続された太陽電池モジュールの耐衝撃性を高めることができる。
【0032】
さらに、本発明に係る太陽電池モジュール用導電材料の使用により、従来のはんだ接続法による接続のために必要とされていた銀電極を設ける必要がなく、容易にかつ低コストで太陽電池モジュールを製造できる。さらに、太陽電池モジュールを薄型化できる。
【0033】
以下、本発明に係る太陽電池モジュール用導電材料に含まれている材料、並びに導電材料及び太陽電池モジュールの詳細を説明する。
【0034】
(導電性粒子)
図1に、本発明の一実施形態に係る導電材料に含まれている導電性粒子を断面図で示す。
【0035】
図1に示すように、導電性粒子1は、樹脂粒子2と、該樹脂粒子2の表面2aを被覆している導電層3とを有する。導電性粒子1は、樹脂粒子2の表面2aが導電層3により被覆された被覆粒子である。従って、導電性粒子1は導電層3を表面1aに有する。
【0036】
導電層3は、樹脂粒子2の表面2aを被覆している第1の導電層4と、該第1の導電層4の表面4aを被覆しているはんだ層5(第2の導電層)とを有する。導電層3の外側の表面層が、はんだ層5である。このように、導電層3は、多層構造を有していてもよく、2層又は3層以上の多層構造を有していてもよい。
【0037】
上記のように、導電層3は2層構造を有する。図2に示す変形例のように、導電性粒子11は、単層の導電層として、はんだ層12を有していてもよい。導電性粒子11では、導電層の表面層がはんだ層12である。導電性粒子における導電層の少なくとも外側の表面層が、はんだ層であればよい。ただし、導電性粒子の作製が容易であるので、導電性粒子1と導電性粒子11とのうち、導電性粒子1が好ましい。
【0038】
樹脂粒子2の表面2aに導電層を形成する方法、並びに樹脂粒子2の表面2a又は導電層の表面にはんだ層を形成する方法は特に限定されない。導電層3及びはんだ層5,12を形成する方法としては、例えば、無電解めっきによる方法、電気めっきによる方法、物理的蒸着による方法、並びに金属粉末もしくは金属粉末とバインダーとを含むペーストを樹脂粒子の表面にコーティングする方法等が挙げられる。なかでも、無電解めっき又は電気めっきが好適である。上記物理的蒸着による方法としては、真空蒸着、イオンプレーティング及びイオンスパッタリング等の方法が挙げられる。
【0039】
はんだ層5,12を容易に形成できるので、はんだ層5,12を形成する方法は、電気めっきによる方法が好ましい。はんだ層5,12は、電気めっきにより形成されていることが好ましい。
【0040】
従来、導電層の外側の表面層にはんだ層を有する導電性粒子の粒子径は、数百μm程度であった。これは、粒子径が数十μmであり、かつ導電層の外側の表面層にはんだ層を有する導電性粒子を得ようとしても、はんだ層を均一に形成できなかったためである。これに対して、無電解めっき時に分散条件を最適化することによりはんだ層を形成した場合には、導電性粒子の粒子径が数十μm、特に粒子径が0.1〜50μmの導電性粒子を得る場合であっても、樹脂粒子の表面又は導電層の表面にはんだ層を均一に形成できる。
【0041】
はんだ層以外の導電層3は、金属により形成されていることが好ましい。はんだ層以外の導電層3を構成する金属は、特に限定されない。該金属として、例えば、金、銀、銅、白金、パラジウム、亜鉛、鉛、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム及びカドミウム、並びにこれらの合金等が挙げられる。また、上記金属としては、錫ドープ酸化インジウム(ITO)も用いることができる。上記金属は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0042】
第1の導電層4は、ニッケル層、パラジウム層、銅層又は金層であることが好ましく、ニッケル層又は金層であることがより好ましく、銅層であることが更に好ましい。導電性粒子は、ニッケル層、パラジウム層、銅層又は金層を有することが好ましく、ニッケル層又は金層を有することがより好ましく、銅層を有することが更に好ましい。これらの好ましい導電層を有する導電性粒子を電極と配線との接続に用いることにより、電極と配線との導通信頼性を高めることができる。また、これらの好ましい導電層の表面には、はんだ層をより一層容易に形成できる。なお、第1の導電層4は、はんだ層であってもよい。導電性粒子は、複数層のはんだ層を有していてもよい。
【0043】
はんだ層5,12の厚みは、5〜70,000nmの範囲内であることが好ましい。はんだ層5,12の厚みのより好ましい下限は10nm、更に好ましい下限は20nm、より好ましい上限は40,000nm、更に好ましい上限は500nm、特に好ましい上限は200nmである。はんだ層5,12の厚みが上記下限を満たすと、導電性を十分に高くすることができる。導電層の厚みが上記上限を満たすと、樹脂粒子2とはんだ層5,12との熱膨張率の差が小さくなり、はんだ層5,12の剥離が生じ難くなる。
【0044】
導電層が多層構造を有する場合には、導電層の合計厚みは、10〜100,000nmの範囲内であることが好ましい。上記導電層の厚みのより好ましい下限は20nm、更に好ましい下限は30nm、より好ましい上限は70,000nm、更に好ましい上限は40,000nm、特に好ましい上限は500nm、最も好ましい上限は200nmである。
【0045】
樹脂粒子2を形成するための樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン及びポリエーテルスルホン等が挙げられる。樹脂粒子2の硬度を好適な範囲に容易に制御できるので、樹脂粒子2を形成するための樹脂は、エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を1種又は2種以上重合させた重合体であることが好ましい。
【0046】
導電性粒子1,11の平均粒子径は、0.1μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。導電性粒子1,11の平均粒子径のより好ましい下限は1μm、より好ましい上限は80μm、更に好ましい上限は50μm、特に好ましい上限は40μmである。導電性粒子1,11の平均粒子径が上記下限及び上限を満たすと、導電性粒子1,11と電極及び配線との接触面積を充分に大きくすることができ、かつ導電層を形成する際に凝集した導電性粒子1,11が形成されにくくなる。また、導電性粒子1,11を介して接続された電極と配線との間隔が大きくなりすぎず、かつ導電層が樹脂粒子2の表面2aから剥離し難くなる。
【0047】
導電材料における導電性粒子に適した大きさであり、かつ電極と配線との間隔をより一層小さくすることができるので、導電性粒子1,11の平均粒子径は、0.1〜50μmの範囲内であることが特に好ましい。
【0048】
導電性粒子1,11の「平均粒子径」は、数平均粒子径を示す。導電性粒子1,11の平均粒子径は、任意の導電性粒子50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、平均値を算出することにより求められる。
【0049】
(導電材料)
本発明に係る太陽電池モジュール用導電材料は、太陽電池セルの電極と配線とを電気的に接続するために用いられる導電材料である。本発明に係る太陽電池モジュール用導電材料は、好ましくは、第1の太陽電池セルの電極及び第2の太陽電池セルの電極と配線とを電気的に接続するために用いられる導電材料である。
【0050】
本発明に係る太陽電池モジュール用導電材料は、上述した導電性粒子と、バインダー樹脂とを含む。すなわち、本発明に係る太陽電池モジュール用導電材料に含まれている導電性粒子は、樹脂粒子と、該樹脂粒子の表面を被覆している導電層とを有し、かつ導電層の少なくとも外側の表面層が、はんだ層である。本発明に係る太陽電池モジュール用導電材料は、液状であることが好ましく、導電ペーストであることが好ましい。
【0051】
上記バインダー樹脂は特に限定されない。上記バインダー樹脂として、例えば、絶縁性の樹脂が用いられる。上記バインダー樹脂としては、例えば、ビニル樹脂、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂、熱可塑性ブロック共重合体及びエラストマー等が挙げられる。上記バインダー樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0052】
上記ビニル樹脂の具体例としては、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂及びスチレン樹脂等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリオレフィン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びポリアミド樹脂等が挙げられる。上記硬化性樹脂の具体例としては、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。なお、上記硬化性樹脂は、常温硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、光硬化型樹脂又は湿気硬化型樹脂であってもよい。上記熱可塑性ブロック共重合体の具体例としては、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物、及びスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の水素添加物等が挙げられる。上記エラストマーの具体例としては、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、及びアクリロニトリル−スチレンブロック共重合ゴム等が挙げられる。
【0053】
上記バインダー樹脂は、熱硬化性樹脂であることが好ましい。この場合には、電極と配線とを電気的に接続する際の加熱により、導電性粒子のはんだ層を溶融させるとともに、バインダー樹脂を硬化させることができる。このため、接続部において、導電性粒子におけるはんだ層と電極及び配線との電気的な接続、バインダー樹脂と電極との接着並びにバインダー樹脂と配線との接着とを同時に行うことができる。
【0054】
本発明に係る太陽電池モジュール用導電材料は、バインダー樹脂を硬化させるために、硬化剤を含むことが好ましい。
【0055】
上記硬化剤は特に限定されない。上記硬化剤としては、イミダゾール硬化剤、アミン硬化剤、フェノール硬化剤、ポリチオール硬化剤及び酸無水物硬化剤等が挙げられる。硬化剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0056】
本発明に係る太陽電池モジュール用導電材料は、フラックスをさらに含むことが好ましい。フラックスの使用により、はんだ層の表面に酸化被膜が形成され難くなり、さらに、はんだ層、電極又は配線の表面に形成された酸化被膜を効果的に除去できる。
【0057】
上記フラックスは特に限定されない。フラックスとして、はんだ接合等に一般的に用いられているフラックスを使用できる。フラックスとしては、例えば、塩化亜鉛、塩化亜鉛と無機ハロゲン化物との混合物、塩化亜鉛と無機酸との混合物、溶融塩、リン酸、リン酸の誘導体、有機ハロゲン化物、ヒドラジン、有機酸及び松脂等が挙げられる。フラックスは1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0058】
上記溶融塩として、塩化アンモニウム等が挙げられる。上記有機酸として、乳酸、クエン酸、ステアリン酸、グルタミン酸及びヒドラジン等が挙げられる。上記松脂として、活性化松脂及び非活性化松脂等が挙げられる。上記フラックスは、松脂であることが好ましい。松脂の使用により、電極と配線との導通信頼性を高めることができ、更に接続抵抗を低くすることができる。
【0059】
上記松脂はアビエチン酸を主成分とするロジン類である。フラックスは、ロジン類であることが好ましく、アビエチン酸であることがより好ましい。この好ましいフラックスの使用により、電極と配線との導通信頼性をより一層高めることができ、更に接続抵抗をより一層低くすることができる。
【0060】
上記フラックスは、バインダー樹脂中に分散されていてもよく、導電性粒子の表面上に付着していてもよい。
【0061】
本発明に係る太陽電池モジュール用導電材料は、フラックスの活性度を調整するために、塩基性有機化合物を含んでいてもよい。上記塩基性有機化合物として、塩酸アニリン及び塩酸ヒドラジン等が挙げられる。
【0062】
上記導電性粒子の比重と上記バインダー樹脂の比重との差は、6.0以下であることが好ましい。この場合には、太陽電池モジュール用導電材料の保管時に、導電性粒子が沈降するのを抑制できる。従って、電極と配線との間に導電材料中の導電性粒子をより一層確実に配置させることができ、電極と配線との導通信頼性を高めることができる。さらに、凝集した導電性粒子による電極と配線との間隔が部分的に大きくなることを抑制でき、更に接続後に導電材料により形成された接続部と電極及び配線との接着信頼性を高めることができる。
【0063】
上記導電性粒子の比重が1.0〜7.0であり、かつ上記バインダー樹脂の比重が0.8〜2.0であることが好ましい。この場合にも、導電材料の保管時に、導電性粒子が沈降するのを抑制できる。このため、電極と配線との間に導電材料中の導電性粒子をより一層確実に配置させることができ、電極と配線との導通信頼性をより一層高めることができる。さらに、凝集した導電性粒子によって、電極と配線との間隔が部分的に大きくなることを抑制でき、更に接続後に導電材料により形成された接続部と電極及び配線との接着信頼性を高めることができる。
【0064】
上記導電性粒子の比重と上記バインダー樹脂の比重との差が6.0以下であり、上記導電性粒子の比重が1.0〜7.0であり、かつ上記バインダー樹脂の比重が0.8〜2.0であることが特に好ましい。
【0065】
導電材料の保管時に、導電性粒子が沈降するのをより一層抑制する観点からは、導電材料100重量%中、上記バインダー樹脂の含有量は30〜99.99重量%の範囲内であることが好ましい。上記バインダー樹脂の含有量のより好ましい下限は50重量%、更に好ましい下限は80重量%、より好ましい上限は99重量%である。上記バインダー樹脂の含有量が上記下限及び上限を満たすと、導電性粒子の沈降がより一層生じ難くなり、かつ導電材料により接続された電極と配線との導通信頼性がより一層高くなる。
【0066】
硬化剤を用いる場合には、上記バインダー樹脂100重量部に対して、上記硬化剤の含有量は0.01〜100重量部の範囲内であることが好ましい。上記硬化剤の含有量のより好ましい下限は0.1重量部、より好ましい上限は50重量部である。上記硬化剤の含有量が上記下限及び上限を満たすと、上記バインダー樹脂を十分に硬化させることができ、更に硬化後に硬化剤に由来する残渣が生じ難くなる。
【0067】
導電材料100重量%中、上記導電性粒子の含有量は0.01〜20重量%の範囲内であることが好ましい。上記導電性粒子の含有量のより好ましい下限は0.1重量%、より好ましい上限は10重量%である。上記導電性粒子の含有量が上記下限及び上限を満たすと、導電性粒子の沈降がより一層生じ難くなり、かつ電極と配線との導通信頼性をより一層高めることができる。
【0068】
導電材料100重量%中、フラックスの含有量は0〜30重量%の範囲内であることが好ましい。導電材料は、フラックスを含んでいなくてもよい。フラックスの含有量のより好ましい下限は0.5重量%、より好ましい上限は25重量%である。フラックスの含有量が上記下限及び上限を満たすと、はんだ層の表面に酸化被膜がより一層形成され難くなり、さらに、はんだ層又は電極表面に形成された酸化被膜をより一層効果的に除去できる。
【0069】
本発明に係る導電材料は、例えば、充填剤、増量剤、軟化剤、可塑剤、重合触媒、硬化触媒、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤又は難燃剤等の各種添加剤をさらに含んでいてもよい。
【0070】
上記バインダー樹脂中に導電性粒子を分散させる方法は特に限定されず、従来公知の分散方法を用いることができる。上記バインダー樹脂中に導電性粒子を分散させる方法として、例えば、バインダー樹脂中に導電性粒子を添加した後、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法、導電性粒子を水又は有機溶剤中にホモジナイザー等を用いて均一に分散させた後、バインダー樹脂中へ添加し、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法、又はバインダー樹脂を水又は有機溶剤等で希釈した後、導電性粒子を添加し、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法等が挙げられる。
【0071】
本発明に係る導電材料は、導電ペースト、導電インク、導電粘接着剤、導電フィルム、又は導電シート等として使用できる。本発明の導電性粒子を含む導電材料が、導電フィルム又は導電シート等のフィルム状の接着剤として使用される場合には、該導電性粒子を含むフィルム状の接着剤に、導電性粒子を含まないフィルム状の接着剤が積層されていてもよい。ただし、上述のように、本発明に係る導電材料は、液状であることが好ましく、導電ペーストであることが好ましい。
【0072】
(太陽電池モジュール)
本発明に係る太陽電池モジュール用導電材料を用いて、太陽電池セルの電極と配線とを電気的に接続することにより、太陽電池モジュールを得ることができる。
【0073】
上記太陽電池モジュールは、電極を有する太陽電池セルと、配線と、太陽電池セルの電極と配線とを電気的に接続している接続部とを備え、該接続部が本発明に係る太陽電池モジュール用導電材料により形成されていることが好ましい。上記太陽電池モジュールは、電極を有する第1の太陽電池セルと、電極を有する第2の太陽電池セルと、配線と、第1の太陽電池セルの電極と配線とを電気的に接続している第1の接続部と、第2の太陽電池セルの電極と配線とを電気的に接続している第2の接続部とを備えとを備え、該第1,第2の接続部が本発明に係る太陽電池モジュール用導電材料により形成されていることが好ましい。
【0074】
図3に、本発明の一実施形態に係る太陽電池モジュールの一例を模式的に部分切欠正面断面図で示す。
【0075】
図3に示す太陽電池モジュール21は、太陽電池セル22A,22Bと、配線23と、接続部24A,24Bとを備える。太陽電池セルは太陽電池素子とも呼ばれている。図3では、2つの太陽電池セル22A,22Bが示されている。図3に図示しないが、太陽電池モジュール21では、太陽電池セル22A,22Bを含む複数の太陽電池セルがマトリックス状に配置されている。
【0076】
太陽電池セル22A,22Bはそれぞれ、p型シリコン基板31と、p型シリコン基板31の表面である受光面側にn型拡散層32と、p型シリコン基板31の裏面側にP+層(BSF層)33とを有する。また、太陽電池セル22A,22Bは第1の表面に、n型拡散層32に接するように表面電極34を有する。太陽電池セル22A,22Bは第1の面とは反対側の第2の表面に、P+層33に接するように裏面電極35を有する。なお、太陽電池セルは上述の太陽電池セル22A,22Bに限られず、従来公知の電極を有する太陽電池セルを使用可能である。
【0077】
太陽電池セル22Aの第1の表面に設けられた表面電極34が、接続部24Aを介して配線23の一端23aに接続されている。太陽電池セル22Bの第2の表面に設けられた裏面電極35が、接続部24Bを介して配線23の一端23aとは反対側の他端23bに接続されている。なお、複数の太陽電池セルの各電極と配線との接続形態は、図3の形態に限定されず、適宜変更可能である。
【0078】
表面電極34及び裏面電極35は、銀電極であってもよく、アルミニウム電極上に銀電極が設けられた電極であってもよい。また、これらの電極以外の電極であってもよい。
【0079】
接続部24A,24Bは、は、導電性粒子1とバインダー樹脂とを含む導電材料を硬化させることにより形成されている。なお、図3では、導電性粒子1は、図示の便宜上、略図的に示されている。太陽電池セル22Aの表面電極34と配線23とが、接続部24Aにおいて、1つ又は複数の導電性粒子1により電気的に接続されている。太陽電池セル22Bの裏面電極35と配線23とが、接続部24Bにおいて、1つ又は複数の導電性粒子1により電気的に接続されている。太陽電池モジュール21では、太陽電池セル22A,22Bを含む複数の太陽電池セルが配線23及び他の配線により接続されている。
【0080】
配線23を含む配線の材料としては、たとえは、銀、銅、アルミニウム及び鉄等が挙げられる。なかでも、銅が好ましい。
【0081】
上記太陽電池モジュールの製造方法は特に限定されない。太陽電池モジュールの製造方法の一例として、太陽電池モジュールの電極と配線との間に上記導電材料を配置した後、加熱及び加圧する方法等が挙げられる。加熱及び加圧により、導電性粒子1のはんだ層5が溶融して、該導電性粒子1により電極と配線とが電気的に接続される。さらに、バインダー樹脂が熱硬化性樹脂である場合には、バインダー樹脂が硬化して、硬化したバインダー樹脂と電極とが接着され、かつ硬化したバインダー樹脂と配線とが接着される。
【0082】
上記加圧の圧力は9.8×104〜4.9×106Pa程度である。上記加熱の温度は、120〜220℃程度である。また、本発明に係る太陽電池モジュール用導電材料では、低い荷重でも、電極と配線との電気的な接続が可能である。例えば、圧力が2.0×106Pa以下の低い荷重であっても、太陽電池セルの電極と配線とを充分に電気的に接続できる。このため、太陽電池セルの破損を抑制できる。
【0083】
図4は、図3に示す太陽電池モジュール21における導電性粒子1と表面電極34及び配線23との接続部分を拡大して示す図である。図4に示すように、太陽電池モジュール21では、加熱及び加圧することにより、導電性粒子1のはんだ層5が溶融した後、溶融したはんだ層部分5aが表面電極34及び配線23と十分に接触する。表面層がはんだ層5である導電性粒子を用いることにより、導電層の表面層がニッケル、金又は銅等の金属である導電性粒子を用いた場合と比較して、導電性粒子1と表面電極34及び配線23との接触面積を大きくすることができる。このため、太陽電池モジュール21における電極と配線との導通信頼性を高めることができる。なお、加熱により、一般にフラックスは次第に失活する。
【0084】
図3に示す太陽電池モジュール21では、太陽電池セル22A,22Bと、配線23と、接続部24A,24Bとの接続構造体は封止材により封止されていない。この接続構造体が、透明部材と透明部材又は非透明部材との間に配置され、接続構造体が封止材により封止され、太陽電池モジュールが構成されていてもよい。ただし、上記接続構造体は、電極と配線との接着信頼性が高いので、封止材により封止されていなくてもよい。
【0085】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
【0086】
(実施例1)
(1)導電性粒子の作製
平均粒子径20μmのジビニルベンゼン樹脂粒子(積水化学工業社製、ミクロパールSP−220)を無電解ニッケルめっきし、樹脂粒子の表面に厚さ0.3μmの下地ニッケルめっき層を形成した。次いで、下地ニッケルめっき層が形成された樹脂粒子を電解銅めっきし、厚さ1μmの銅層を形成した。更に、錫及びビスマスを含有する電解めっき液を用いて、電解めっきし、厚さ1μmのはんだ層を形成した。このようにして、樹脂粒子の表面上に厚み1μmの銅層が形成されており、該銅層の表面に厚み1μmのはんだ層(錫:ビスマス=43重量%:57重量%)が形成されている導電性粒子を作製した。
【0087】
(2)導電材料の作製
バインダー樹脂としてYD−128(東都化成社製)80重量部及びYD−011(東都化成社製)20重量部と、硬化剤としてTEP−2E4MZ(日本曹達社製)15重量部と、ステアリン酸5重量部とを配合し、さらに得られた導電性粒子10重量部を添加した後、遊星式攪拌機を用いて2000rpmで5分間攪拌することにより、導電ペーストである導電材料を得た。
【0088】
(実施例2)
錫及びビスマスを含有する電解めっき液を用いて、電解めっきし、はんだ層の厚みを3μmに変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子及び導電材料を得た。
【0089】
(実施例3)
錫及びビスマスを含有する電解めっき液を用いて、電解めっきし、はんだ層の厚みを5μmに変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子及び導電材料を得た。
【0090】
(実施例4)
樹脂粒子を、平均粒子径30μmのジビニルベンゼン樹脂粒子(積水化学工業社製、ミクロパール−SP230)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子及び導電材料を得た。
【0091】
(実施例5)
樹脂粒子を、平均粒子径30μmのジビニルベンゼン樹脂粒子(積水化学工業社製、ミクロパールSP−230)に変更したこと以外は実施例2と同様にして、導電性粒子及び導電材料を得た。
【0092】
(実施例6)
樹脂粒子を、平均粒子径30μmのジビニルベンゼン樹脂粒子(積水化学工業社製、ミクロパールSP−230)に変更したこと以外は実施例3と同様にして、導電性粒子及び導電材料を得た。
【0093】
(比較例1)
はんだ粒子(錫:ビスマス=43重量%:57重量%、平均粒子径15μm)を用意し、上記はんだ粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、導電材料を得た。
【0094】
(比較例2)
平均粒子径20μmのジビニルベンゼン樹脂粒子(積水化学工業社製、ミクロパールSP−220)の表面に厚み2μmのニッケル層が形成されているニッケル被覆導電性粒子を用意し、該ニッケル被覆導電性粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、導電材料を得た。
【0095】
(評価)
(1)太陽電池モジュールの作製
図3に示す太陽電池モジュールを作製した。
【0096】
表面電極と、n型拡散層と、p型シリコン基板と、P+層(BSF層)と、裏面電極とがこの順で積層された太陽電池セルを用意した。太陽電池セルの表面電極の上面に、得られた導電材料を厚さ50μmとなるように塗工し、導電材料層を形成した。
【0097】
次に、導電材料層の上面に、銅により形成された配線を積層した。その後、導電材料層の温度が200℃となるようにヘッドの温度を調整しながら、配線の上面に加圧加熱ヘッドを載せ、太陽電池セルが破損しないように低い荷重である1.0MPaの圧力をかけて、はんだを溶融させ、かつ導電材料層を185℃で硬化させ、太陽電池モジュール(撹拌前の導電材料を用いた太陽電池モジュール)を得た。
【0098】
(2)低い荷重での接続の可否
上記(1)太陽電池モジュールの作製により得られた20個の太陽電池モジュールにおいて、電極と配線とが電気的に接続されているかを確認した。電極と配線とが電気的に接続されていない太陽電池モジュールが無い場合を「○」、電極と配線とが電気的に接続されていない太陽電池モジュールが1つ以上ある場合を「×」、評価しなかった場合を「−」として下記の表1に示した。
【0099】
(3)樹脂の充填性(接着信頼性)
上記(1)太陽電池モジュールの作製により得られた20個の太陽電池モジュールにおいて、電極と配線との間の間隔(接続部の厚み)を評価した。電極と配線との間の間隔が接続前の導電性粒子の粒子径の50%未満である太陽電池モジュールが無い場合を「○」、電極と配線との間の間隔が接続前の導電性粒子の粒子径の50%未満である太陽電池モジュールが1つ以上ある場合を「×」、評価しなかった場合を「−」として結果を下記の表1に示した。
【0100】
【表1】
【0101】
なお、比較例1の導電材料を用いて得られ、かつ上記(3)の評価において電極と配線との間の間隔が接続前の導電性粒子の粒子径の50%未満である太陽電池モジュールでは、接続部と電極及び配線との間に樹脂が充分に充填されておらず、接続部と電極及び接続部と配線との接着力が低かった。
【符号の説明】
【0102】
1…導電性粒子
1a…表面
2…樹脂粒子
2a…表面
3…導電層
4…第1の導電層
4a…表面
5…はんだ層
5a…溶融したはんだ層部分
11…導電性粒子
12…はんだ層
21…太陽電池モジュール
22A,22B…太陽電池セル
23…配線
23a…一端
23b…他端
24A,24B…接続部
31…p型シリコン基板
32…n型拡散層
33…P+層(BSF層)
34…表面電極
35…裏面電極
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池セルの電極と配線とを電気的に接続するために用いられる導電材料に関し、より詳細には、はんだ層を有する導電性粒子を含む太陽電池モジュール用導電材料、並びに該太陽電池モジュール用導電材料を用いた太陽電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の太陽電池セルの電極が金属配線を介して電気的に接続されている太陽電池モジュールが知られている。
【0003】
例えば、下記の特許文献1には、図5に示す構造を有する太陽電池モジュール101が開示されている。太陽電池モジュール101は、複数の太陽電池セルを構成する複数のシリコン基板102A,102Bと、配線103とを備える。シリコン基板102A,102Bはそれぞれ、p型シリコン基板111と、p型シリコン基板111の表面である受光面側にn型拡散層112と、p型シリコン基板111の裏面側にP+層(BSF層)113とを有する。シリコン基板102A,102Bの一方の面に、n型拡散層112に接するように表面電極104が設けられている。シリコン基板102A,102Bの他方の面に、P+層113に接するように裏面電極105が設けられている。シリコン基板102A,102Bの一方の面に設けられた表面電極104が、接着部106Aを介して配線103に接続されている。シリコン基板102Bの他方の面に設けられた裏面電極105が、接着部106Bを介して配線103に接続されている。
【0004】
図5では図示を省略しているが、太陽電池モジュールでは、一般に、配線により接続された複数の太陽電池セルは、透明部材と透明部材又は非透明部材との間に配置され、エチレン−酢酸ビニル共重合体又はエポキシ樹脂等を含む封止材により封止されている。
【0005】
特許文献1では、接着部106A,106Bは、接着剤により形成されている。また、ここでは、導電性粒子を含む接着剤を用いることで、接着部106A,106B自体により表面電極104と配線103及び裏面電極105と配線103との電気的な接続が可能であることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】登録実用新案第3123842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1では、接着部106A,106Bを形成するための接着剤に含まれる導電性粒子に関して、銀粉末、銅粉末、ニッケル粉末、はんだ粉末、金コート樹脂粉末及びニッケルコート樹脂粉末等の金属粉末等を用いることができる旨が記載されている。また、ボイドの発生を抑制する効果及びアンカー効果等を十分に得る観点からは、導電性粒子としてニッケル粉末が好適に用いられること、並びに導電性粒子としてはんだ粉末を使用する場合には、ハンダ粉末が加熱により表面電極、裏面電極又は配線と共晶接合を形成し、より確実な接続が得られることも記載されている。
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載のように、接着剤に含まれる導電性粒子として、銀粉末、銅粉末、ニッケル粉末、金コート樹脂粉末又はニッケルコート樹脂粉末を用いた場合には、太陽電池セルの電極と配線とを低い荷重で接続すると、電気的な接続を確実に行えないことがある。一方で、電気的な接続を確実に行うために、太陽電池セルの電極と高い荷重で接続すると、太陽電池セルが破損しやすい。
【0009】
さらに、特許文献1に記載のように、接着剤に含まれる導電性粒子として、はんだ粉末を用いた場合には、接続時の加熱によりはんだ粉末全体が溶融可能であるので、接続後に電極と配線との間隔を高精度に制御することは困難である。このため、電極と配線との間に接着部が充分に存在せずに、接着部と電極及び接着部と配線との接着信頼性が低いことがある。
【0010】
本発明の目的は、太陽電池セルの電極と配線とを低い荷重で電気的に接続でき、更に接続後に導電材料により形成された接続部と電極及び配線との接着信頼性を高めることができる太陽電池モジュール用導電材料、及び該太陽電池モジュール用導電材料を用いた太陽電池モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の広い局面によれば、太陽電池セルの電極と配線とを電気的に接続するために用いられる導電材料であって、樹脂粒子と、該樹脂粒子の表面を被覆している導電層とを有する導電性粒子と、バインダー樹脂とを含み、上記導電層の少なくとも外側の表面層が、はんだ層である、太陽電池モジュール用導電材料が提供される。
【0012】
本発明に係る太陽電池モジュール用導電材料のある特定の局面では、上記導電性粒子の平均粒子径は、0.1〜50μmである。
【0013】
本発明に係る太陽電池モジュール用導電材料の他の特定の局面では、フラックスがさらに含まれている。
【0014】
本発明に係る太陽電池モジュールは、電極を有する太陽電池セルと、配線と、該太陽電池セルの電極と配線とを電気的に接続している接続部とを備えており、該接続部が、本発明に従って構成された太陽電池モジュール用導電材料により形成されている。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る太陽電池モジュール用導電材料は、特定の上記導電性粒子とバインダー樹脂とを含むので、太陽電池セルの電極と配線とを容易に電気的に接続できる。さらに、上記導電性粒子が樹脂粒子と該樹脂粒子の表面を被覆している導電層とを有し、かつ該導電層の少なくとも外側の表面層がはんだ層であるので、太陽電池セルの電極と配線とを低い荷重で電気的に接続できる。さらに、接続後に導電材料により形成された接続部と電極及び配線との接着信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る導電材料に含まれている導電性粒子を示す断面図である。
【図2】図2は、導電性粒子の変形例を示す断面図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態に係る太陽電池モジュールの一例を模式的に示す部分切欠正面断面図である。
【図4】図4は、図3に示す太陽電池モジュールにおける導電性粒子と電極及び配線との接続部分を拡大して示す部分切欠正面断面図である。
【図5】図5は、従来の太陽電池モジュールを示す部分切欠正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の詳細を説明する。
【0018】
本発明に係る太陽電池モジュール用導電材料は、太陽電池セルの電極と配線とを電気的に接続するために用いられる導電材料である。本発明に係る太陽電池モジュール用導電材料は、導電性粒子とバインダー樹脂とを含む。該導電性粒子は、樹脂粒子と、該樹脂粒子の表面を被覆している導電層とを有する。導電性粒子における導電層の少なくとも外側の表面層は、はんだ層である。
【0019】
本発明に係る太陽電池モジュール用導電材料では、上記導電性粒子が樹脂粒子と該樹脂粒子の表面を被覆している導電層とを有し、かつ該導電層の少なくとも外側の表面層がはんだ層であるので、太陽電池セルの電極と配線とを低い荷重で電気的に接続できる。なお、太陽電池セルの電極と配線とを高い荷重で電気的に接続すると、太陽電池セルが破損することがある。太陽電池モジュールにおいては、太陽電池セルの破損が特に問題となる。本発明に係る太陽電池モジュール用導電材料の使用により、太陽電池セルの破損を効果的に抑制できる。従って、上記導電材料は、太陽電池セルの電極の接続に特に有利である。
【0020】
また、本発明に係る太陽電池モジュール用導電材料では、上記導電性粒子が樹脂粒子を有し、該樹脂粒子が電極と配線との接続時に溶融し難いので、はんだのみにより形成されたはんだ粒子を用いた場合と比べて、接続後に電極と配線との間隔を高精度に制御できる。このため、接続後に導電材料により形成された接続部と電極及び配線との接着信頼性を高めることができる。
【0021】
ところで、従来、特許第2769491号公報に記載のように、ニッケル又はガラスにより形成された基材粒子と、該基材粒子の表面を被覆しているはんだ層とを有する導電性粒子は知られていた。特許第2769491号公報では、導電性粒子は、ポリマーマトリックスと混合され、導電材料として用いられている。
【0022】
しかしながら、特許第2769491号公報では、導電性粒子における基材粒子の材料がガラス又はニッケルである構成が記載されているにすぎず、具体的には、基材粒子をニッケルのような強磁性金属により形成することが記載されているにすぎない。
【0023】
さらに、特許第2769491号公報に記載の導電性粒子では、導電性粒子における基材粒子の材料がガラス又はニッケルであるため、ポリマーマトリックスを含む導電材料中で、導電性粒子が沈降することがある。このため、導電接続の際に、導電材料を均一に塗工できず、塗工後の導電材料層に導電性粒子が含まれなかったり、含まれていても導電性粒子の含有量が少なすぎたりすることがある。このため、導通信頼性が低いことがある。さらに、凝集した導電性粒子によって、塗工後の導電材料層の厚みにばらつきが生じることがある。このため、ポリマーマトリックスにより接着されていない部分が生じやすい。
【0024】
また、従来、特開平9−306231号公報に記載のように、樹脂粒子と、該樹脂粒子の表面を被覆しているニッケルめっき層と、該ニッケルめっき層の表面を被覆しているはんだ層とを有する導電性粒子も知られていた。
【0025】
しかしながら、特開平9−306231号公報に記載の導電性粒子は、バインダー樹脂に分散されて用いられていない。これは、導電性粒子の粒子径が大きいので、該導電性粒子は、バインダー樹脂に分散された導電材料として用いるには好ましくないためである。特開平9−306231号公報の実施例では、粒子径が650μmの樹脂粒子の表面を導電層で被覆しており、粒子径が数百μmの導電性粒子を得ており、この導電性粒子は、バインダー樹脂と混合された導電材料として用いられていない。
【0026】
また、特開平9−306231号公報では、導電性粒子を用いて半導体等の素子及び電極基板などを導通接続する際には、1つの電極上に1つの導電性粒子を置き、次に導電性粒子上に電極を置いた後、加熱している。加熱により、はんだ層は、溶融して電極と接合する。しかしながら、このように、電極上に導電性粒子を置く作業は煩雑であった。また、接続された部材間には、樹脂層が存在しないため、接着信頼性が低かった。
【0027】
さらに、特許第2769491号公報及び特開平9−306231号公報のいずれにも、導電性粒子を太陽電池セルの電極と配線とを電気的に接続するために用いることについては全く記載されておらず、示唆すらされていない。
【0028】
すなわち、特許第2769491号公報及び特開平9−306231号公報は、本願発明の太陽電池モジュール用導電材料の用途と全く異なる用途に用いられる導電性粒子を開示しているにすぎない。
【0029】
これに対して、本発明に係る太陽電池モジュール用導電材料は、上記構成を備えているので、太陽電池セルの電極と配線との電気的な接続に用いた場合に、接続が容易である。例えば、電極又は配線上に導電性粒子を1個ずつ配置せずに、電極又は配線上に導電材料を塗工するだけで、電極又は配線上に導電性粒子を配置できる。さらに、電極又は配線上に導電材料層を形成した後、該導電材料層に他の配線又は電極を積層するだけで、電極と配線とを電気的に接続できる。従って、太陽電池セルの電極と配線とが電気的に接続された太陽電池モジュールの製造効率を高めることができる。さらに、電極と配線との間には、導電性粒子だけでなくバインダー樹脂も存在するので、電極と配線とを強固に接着させることができ、接着信頼性を高めることができる。
【0030】
さらに、本発明に係る太陽電池モジュール用導電材料を電極と配線との接続に用いた場合に、導通信頼性が高くなる。導電性粒子における導電層の外側の表面層がはんだ層であるので、例えば、加熱によりはんだ層を溶融させることにより、はんだ層と電極との接触面積を大きくすることができる。従って、本発明に係る太陽電池モジュール用導電材料では、導電層の外側の表面層が金層又はニッケル層等のはんだ層以外の金属である導電性粒子を含む導電材料と比較して、導通信頼性を高めることができる。
【0031】
また、本発明に係る太陽電池モジュール用導電材料に含まれている導電性粒子の基材粒子が、ニッケルなどの金属又はガラスにより形成された粒子ではなく、樹脂により形成された樹脂粒子であるので、導電性粒子の柔軟性を高めることができる。このため、導電性粒子に接触した電極又は配線の損傷を抑制できる。さらに、樹脂粒子を有する導電性粒子を用いることにより、ニッケルなどの金属又はガラスにより形成された粒子を有する導電性粒子を用いた場合と比較して、該導電性粒子を介して電極と配線とが接続された太陽電池モジュールの耐衝撃性を高めることができる。
【0032】
さらに、本発明に係る太陽電池モジュール用導電材料の使用により、従来のはんだ接続法による接続のために必要とされていた銀電極を設ける必要がなく、容易にかつ低コストで太陽電池モジュールを製造できる。さらに、太陽電池モジュールを薄型化できる。
【0033】
以下、本発明に係る太陽電池モジュール用導電材料に含まれている材料、並びに導電材料及び太陽電池モジュールの詳細を説明する。
【0034】
(導電性粒子)
図1に、本発明の一実施形態に係る導電材料に含まれている導電性粒子を断面図で示す。
【0035】
図1に示すように、導電性粒子1は、樹脂粒子2と、該樹脂粒子2の表面2aを被覆している導電層3とを有する。導電性粒子1は、樹脂粒子2の表面2aが導電層3により被覆された被覆粒子である。従って、導電性粒子1は導電層3を表面1aに有する。
【0036】
導電層3は、樹脂粒子2の表面2aを被覆している第1の導電層4と、該第1の導電層4の表面4aを被覆しているはんだ層5(第2の導電層)とを有する。導電層3の外側の表面層が、はんだ層5である。このように、導電層3は、多層構造を有していてもよく、2層又は3層以上の多層構造を有していてもよい。
【0037】
上記のように、導電層3は2層構造を有する。図2に示す変形例のように、導電性粒子11は、単層の導電層として、はんだ層12を有していてもよい。導電性粒子11では、導電層の表面層がはんだ層12である。導電性粒子における導電層の少なくとも外側の表面層が、はんだ層であればよい。ただし、導電性粒子の作製が容易であるので、導電性粒子1と導電性粒子11とのうち、導電性粒子1が好ましい。
【0038】
樹脂粒子2の表面2aに導電層を形成する方法、並びに樹脂粒子2の表面2a又は導電層の表面にはんだ層を形成する方法は特に限定されない。導電層3及びはんだ層5,12を形成する方法としては、例えば、無電解めっきによる方法、電気めっきによる方法、物理的蒸着による方法、並びに金属粉末もしくは金属粉末とバインダーとを含むペーストを樹脂粒子の表面にコーティングする方法等が挙げられる。なかでも、無電解めっき又は電気めっきが好適である。上記物理的蒸着による方法としては、真空蒸着、イオンプレーティング及びイオンスパッタリング等の方法が挙げられる。
【0039】
はんだ層5,12を容易に形成できるので、はんだ層5,12を形成する方法は、電気めっきによる方法が好ましい。はんだ層5,12は、電気めっきにより形成されていることが好ましい。
【0040】
従来、導電層の外側の表面層にはんだ層を有する導電性粒子の粒子径は、数百μm程度であった。これは、粒子径が数十μmであり、かつ導電層の外側の表面層にはんだ層を有する導電性粒子を得ようとしても、はんだ層を均一に形成できなかったためである。これに対して、無電解めっき時に分散条件を最適化することによりはんだ層を形成した場合には、導電性粒子の粒子径が数十μm、特に粒子径が0.1〜50μmの導電性粒子を得る場合であっても、樹脂粒子の表面又は導電層の表面にはんだ層を均一に形成できる。
【0041】
はんだ層以外の導電層3は、金属により形成されていることが好ましい。はんだ層以外の導電層3を構成する金属は、特に限定されない。該金属として、例えば、金、銀、銅、白金、パラジウム、亜鉛、鉛、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム及びカドミウム、並びにこれらの合金等が挙げられる。また、上記金属としては、錫ドープ酸化インジウム(ITO)も用いることができる。上記金属は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0042】
第1の導電層4は、ニッケル層、パラジウム層、銅層又は金層であることが好ましく、ニッケル層又は金層であることがより好ましく、銅層であることが更に好ましい。導電性粒子は、ニッケル層、パラジウム層、銅層又は金層を有することが好ましく、ニッケル層又は金層を有することがより好ましく、銅層を有することが更に好ましい。これらの好ましい導電層を有する導電性粒子を電極と配線との接続に用いることにより、電極と配線との導通信頼性を高めることができる。また、これらの好ましい導電層の表面には、はんだ層をより一層容易に形成できる。なお、第1の導電層4は、はんだ層であってもよい。導電性粒子は、複数層のはんだ層を有していてもよい。
【0043】
はんだ層5,12の厚みは、5〜70,000nmの範囲内であることが好ましい。はんだ層5,12の厚みのより好ましい下限は10nm、更に好ましい下限は20nm、より好ましい上限は40,000nm、更に好ましい上限は500nm、特に好ましい上限は200nmである。はんだ層5,12の厚みが上記下限を満たすと、導電性を十分に高くすることができる。導電層の厚みが上記上限を満たすと、樹脂粒子2とはんだ層5,12との熱膨張率の差が小さくなり、はんだ層5,12の剥離が生じ難くなる。
【0044】
導電層が多層構造を有する場合には、導電層の合計厚みは、10〜100,000nmの範囲内であることが好ましい。上記導電層の厚みのより好ましい下限は20nm、更に好ましい下限は30nm、より好ましい上限は70,000nm、更に好ましい上限は40,000nm、特に好ましい上限は500nm、最も好ましい上限は200nmである。
【0045】
樹脂粒子2を形成するための樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン及びポリエーテルスルホン等が挙げられる。樹脂粒子2の硬度を好適な範囲に容易に制御できるので、樹脂粒子2を形成するための樹脂は、エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を1種又は2種以上重合させた重合体であることが好ましい。
【0046】
導電性粒子1,11の平均粒子径は、0.1μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。導電性粒子1,11の平均粒子径のより好ましい下限は1μm、より好ましい上限は80μm、更に好ましい上限は50μm、特に好ましい上限は40μmである。導電性粒子1,11の平均粒子径が上記下限及び上限を満たすと、導電性粒子1,11と電極及び配線との接触面積を充分に大きくすることができ、かつ導電層を形成する際に凝集した導電性粒子1,11が形成されにくくなる。また、導電性粒子1,11を介して接続された電極と配線との間隔が大きくなりすぎず、かつ導電層が樹脂粒子2の表面2aから剥離し難くなる。
【0047】
導電材料における導電性粒子に適した大きさであり、かつ電極と配線との間隔をより一層小さくすることができるので、導電性粒子1,11の平均粒子径は、0.1〜50μmの範囲内であることが特に好ましい。
【0048】
導電性粒子1,11の「平均粒子径」は、数平均粒子径を示す。導電性粒子1,11の平均粒子径は、任意の導電性粒子50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、平均値を算出することにより求められる。
【0049】
(導電材料)
本発明に係る太陽電池モジュール用導電材料は、太陽電池セルの電極と配線とを電気的に接続するために用いられる導電材料である。本発明に係る太陽電池モジュール用導電材料は、好ましくは、第1の太陽電池セルの電極及び第2の太陽電池セルの電極と配線とを電気的に接続するために用いられる導電材料である。
【0050】
本発明に係る太陽電池モジュール用導電材料は、上述した導電性粒子と、バインダー樹脂とを含む。すなわち、本発明に係る太陽電池モジュール用導電材料に含まれている導電性粒子は、樹脂粒子と、該樹脂粒子の表面を被覆している導電層とを有し、かつ導電層の少なくとも外側の表面層が、はんだ層である。本発明に係る太陽電池モジュール用導電材料は、液状であることが好ましく、導電ペーストであることが好ましい。
【0051】
上記バインダー樹脂は特に限定されない。上記バインダー樹脂として、例えば、絶縁性の樹脂が用いられる。上記バインダー樹脂としては、例えば、ビニル樹脂、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂、熱可塑性ブロック共重合体及びエラストマー等が挙げられる。上記バインダー樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0052】
上記ビニル樹脂の具体例としては、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂及びスチレン樹脂等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリオレフィン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びポリアミド樹脂等が挙げられる。上記硬化性樹脂の具体例としては、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。なお、上記硬化性樹脂は、常温硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、光硬化型樹脂又は湿気硬化型樹脂であってもよい。上記熱可塑性ブロック共重合体の具体例としては、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物、及びスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の水素添加物等が挙げられる。上記エラストマーの具体例としては、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、及びアクリロニトリル−スチレンブロック共重合ゴム等が挙げられる。
【0053】
上記バインダー樹脂は、熱硬化性樹脂であることが好ましい。この場合には、電極と配線とを電気的に接続する際の加熱により、導電性粒子のはんだ層を溶融させるとともに、バインダー樹脂を硬化させることができる。このため、接続部において、導電性粒子におけるはんだ層と電極及び配線との電気的な接続、バインダー樹脂と電極との接着並びにバインダー樹脂と配線との接着とを同時に行うことができる。
【0054】
本発明に係る太陽電池モジュール用導電材料は、バインダー樹脂を硬化させるために、硬化剤を含むことが好ましい。
【0055】
上記硬化剤は特に限定されない。上記硬化剤としては、イミダゾール硬化剤、アミン硬化剤、フェノール硬化剤、ポリチオール硬化剤及び酸無水物硬化剤等が挙げられる。硬化剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0056】
本発明に係る太陽電池モジュール用導電材料は、フラックスをさらに含むことが好ましい。フラックスの使用により、はんだ層の表面に酸化被膜が形成され難くなり、さらに、はんだ層、電極又は配線の表面に形成された酸化被膜を効果的に除去できる。
【0057】
上記フラックスは特に限定されない。フラックスとして、はんだ接合等に一般的に用いられているフラックスを使用できる。フラックスとしては、例えば、塩化亜鉛、塩化亜鉛と無機ハロゲン化物との混合物、塩化亜鉛と無機酸との混合物、溶融塩、リン酸、リン酸の誘導体、有機ハロゲン化物、ヒドラジン、有機酸及び松脂等が挙げられる。フラックスは1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0058】
上記溶融塩として、塩化アンモニウム等が挙げられる。上記有機酸として、乳酸、クエン酸、ステアリン酸、グルタミン酸及びヒドラジン等が挙げられる。上記松脂として、活性化松脂及び非活性化松脂等が挙げられる。上記フラックスは、松脂であることが好ましい。松脂の使用により、電極と配線との導通信頼性を高めることができ、更に接続抵抗を低くすることができる。
【0059】
上記松脂はアビエチン酸を主成分とするロジン類である。フラックスは、ロジン類であることが好ましく、アビエチン酸であることがより好ましい。この好ましいフラックスの使用により、電極と配線との導通信頼性をより一層高めることができ、更に接続抵抗をより一層低くすることができる。
【0060】
上記フラックスは、バインダー樹脂中に分散されていてもよく、導電性粒子の表面上に付着していてもよい。
【0061】
本発明に係る太陽電池モジュール用導電材料は、フラックスの活性度を調整するために、塩基性有機化合物を含んでいてもよい。上記塩基性有機化合物として、塩酸アニリン及び塩酸ヒドラジン等が挙げられる。
【0062】
上記導電性粒子の比重と上記バインダー樹脂の比重との差は、6.0以下であることが好ましい。この場合には、太陽電池モジュール用導電材料の保管時に、導電性粒子が沈降するのを抑制できる。従って、電極と配線との間に導電材料中の導電性粒子をより一層確実に配置させることができ、電極と配線との導通信頼性を高めることができる。さらに、凝集した導電性粒子による電極と配線との間隔が部分的に大きくなることを抑制でき、更に接続後に導電材料により形成された接続部と電極及び配線との接着信頼性を高めることができる。
【0063】
上記導電性粒子の比重が1.0〜7.0であり、かつ上記バインダー樹脂の比重が0.8〜2.0であることが好ましい。この場合にも、導電材料の保管時に、導電性粒子が沈降するのを抑制できる。このため、電極と配線との間に導電材料中の導電性粒子をより一層確実に配置させることができ、電極と配線との導通信頼性をより一層高めることができる。さらに、凝集した導電性粒子によって、電極と配線との間隔が部分的に大きくなることを抑制でき、更に接続後に導電材料により形成された接続部と電極及び配線との接着信頼性を高めることができる。
【0064】
上記導電性粒子の比重と上記バインダー樹脂の比重との差が6.0以下であり、上記導電性粒子の比重が1.0〜7.0であり、かつ上記バインダー樹脂の比重が0.8〜2.0であることが特に好ましい。
【0065】
導電材料の保管時に、導電性粒子が沈降するのをより一層抑制する観点からは、導電材料100重量%中、上記バインダー樹脂の含有量は30〜99.99重量%の範囲内であることが好ましい。上記バインダー樹脂の含有量のより好ましい下限は50重量%、更に好ましい下限は80重量%、より好ましい上限は99重量%である。上記バインダー樹脂の含有量が上記下限及び上限を満たすと、導電性粒子の沈降がより一層生じ難くなり、かつ導電材料により接続された電極と配線との導通信頼性がより一層高くなる。
【0066】
硬化剤を用いる場合には、上記バインダー樹脂100重量部に対して、上記硬化剤の含有量は0.01〜100重量部の範囲内であることが好ましい。上記硬化剤の含有量のより好ましい下限は0.1重量部、より好ましい上限は50重量部である。上記硬化剤の含有量が上記下限及び上限を満たすと、上記バインダー樹脂を十分に硬化させることができ、更に硬化後に硬化剤に由来する残渣が生じ難くなる。
【0067】
導電材料100重量%中、上記導電性粒子の含有量は0.01〜20重量%の範囲内であることが好ましい。上記導電性粒子の含有量のより好ましい下限は0.1重量%、より好ましい上限は10重量%である。上記導電性粒子の含有量が上記下限及び上限を満たすと、導電性粒子の沈降がより一層生じ難くなり、かつ電極と配線との導通信頼性をより一層高めることができる。
【0068】
導電材料100重量%中、フラックスの含有量は0〜30重量%の範囲内であることが好ましい。導電材料は、フラックスを含んでいなくてもよい。フラックスの含有量のより好ましい下限は0.5重量%、より好ましい上限は25重量%である。フラックスの含有量が上記下限及び上限を満たすと、はんだ層の表面に酸化被膜がより一層形成され難くなり、さらに、はんだ層又は電極表面に形成された酸化被膜をより一層効果的に除去できる。
【0069】
本発明に係る導電材料は、例えば、充填剤、増量剤、軟化剤、可塑剤、重合触媒、硬化触媒、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤又は難燃剤等の各種添加剤をさらに含んでいてもよい。
【0070】
上記バインダー樹脂中に導電性粒子を分散させる方法は特に限定されず、従来公知の分散方法を用いることができる。上記バインダー樹脂中に導電性粒子を分散させる方法として、例えば、バインダー樹脂中に導電性粒子を添加した後、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法、導電性粒子を水又は有機溶剤中にホモジナイザー等を用いて均一に分散させた後、バインダー樹脂中へ添加し、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法、又はバインダー樹脂を水又は有機溶剤等で希釈した後、導電性粒子を添加し、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法等が挙げられる。
【0071】
本発明に係る導電材料は、導電ペースト、導電インク、導電粘接着剤、導電フィルム、又は導電シート等として使用できる。本発明の導電性粒子を含む導電材料が、導電フィルム又は導電シート等のフィルム状の接着剤として使用される場合には、該導電性粒子を含むフィルム状の接着剤に、導電性粒子を含まないフィルム状の接着剤が積層されていてもよい。ただし、上述のように、本発明に係る導電材料は、液状であることが好ましく、導電ペーストであることが好ましい。
【0072】
(太陽電池モジュール)
本発明に係る太陽電池モジュール用導電材料を用いて、太陽電池セルの電極と配線とを電気的に接続することにより、太陽電池モジュールを得ることができる。
【0073】
上記太陽電池モジュールは、電極を有する太陽電池セルと、配線と、太陽電池セルの電極と配線とを電気的に接続している接続部とを備え、該接続部が本発明に係る太陽電池モジュール用導電材料により形成されていることが好ましい。上記太陽電池モジュールは、電極を有する第1の太陽電池セルと、電極を有する第2の太陽電池セルと、配線と、第1の太陽電池セルの電極と配線とを電気的に接続している第1の接続部と、第2の太陽電池セルの電極と配線とを電気的に接続している第2の接続部とを備えとを備え、該第1,第2の接続部が本発明に係る太陽電池モジュール用導電材料により形成されていることが好ましい。
【0074】
図3に、本発明の一実施形態に係る太陽電池モジュールの一例を模式的に部分切欠正面断面図で示す。
【0075】
図3に示す太陽電池モジュール21は、太陽電池セル22A,22Bと、配線23と、接続部24A,24Bとを備える。太陽電池セルは太陽電池素子とも呼ばれている。図3では、2つの太陽電池セル22A,22Bが示されている。図3に図示しないが、太陽電池モジュール21では、太陽電池セル22A,22Bを含む複数の太陽電池セルがマトリックス状に配置されている。
【0076】
太陽電池セル22A,22Bはそれぞれ、p型シリコン基板31と、p型シリコン基板31の表面である受光面側にn型拡散層32と、p型シリコン基板31の裏面側にP+層(BSF層)33とを有する。また、太陽電池セル22A,22Bは第1の表面に、n型拡散層32に接するように表面電極34を有する。太陽電池セル22A,22Bは第1の面とは反対側の第2の表面に、P+層33に接するように裏面電極35を有する。なお、太陽電池セルは上述の太陽電池セル22A,22Bに限られず、従来公知の電極を有する太陽電池セルを使用可能である。
【0077】
太陽電池セル22Aの第1の表面に設けられた表面電極34が、接続部24Aを介して配線23の一端23aに接続されている。太陽電池セル22Bの第2の表面に設けられた裏面電極35が、接続部24Bを介して配線23の一端23aとは反対側の他端23bに接続されている。なお、複数の太陽電池セルの各電極と配線との接続形態は、図3の形態に限定されず、適宜変更可能である。
【0078】
表面電極34及び裏面電極35は、銀電極であってもよく、アルミニウム電極上に銀電極が設けられた電極であってもよい。また、これらの電極以外の電極であってもよい。
【0079】
接続部24A,24Bは、は、導電性粒子1とバインダー樹脂とを含む導電材料を硬化させることにより形成されている。なお、図3では、導電性粒子1は、図示の便宜上、略図的に示されている。太陽電池セル22Aの表面電極34と配線23とが、接続部24Aにおいて、1つ又は複数の導電性粒子1により電気的に接続されている。太陽電池セル22Bの裏面電極35と配線23とが、接続部24Bにおいて、1つ又は複数の導電性粒子1により電気的に接続されている。太陽電池モジュール21では、太陽電池セル22A,22Bを含む複数の太陽電池セルが配線23及び他の配線により接続されている。
【0080】
配線23を含む配線の材料としては、たとえは、銀、銅、アルミニウム及び鉄等が挙げられる。なかでも、銅が好ましい。
【0081】
上記太陽電池モジュールの製造方法は特に限定されない。太陽電池モジュールの製造方法の一例として、太陽電池モジュールの電極と配線との間に上記導電材料を配置した後、加熱及び加圧する方法等が挙げられる。加熱及び加圧により、導電性粒子1のはんだ層5が溶融して、該導電性粒子1により電極と配線とが電気的に接続される。さらに、バインダー樹脂が熱硬化性樹脂である場合には、バインダー樹脂が硬化して、硬化したバインダー樹脂と電極とが接着され、かつ硬化したバインダー樹脂と配線とが接着される。
【0082】
上記加圧の圧力は9.8×104〜4.9×106Pa程度である。上記加熱の温度は、120〜220℃程度である。また、本発明に係る太陽電池モジュール用導電材料では、低い荷重でも、電極と配線との電気的な接続が可能である。例えば、圧力が2.0×106Pa以下の低い荷重であっても、太陽電池セルの電極と配線とを充分に電気的に接続できる。このため、太陽電池セルの破損を抑制できる。
【0083】
図4は、図3に示す太陽電池モジュール21における導電性粒子1と表面電極34及び配線23との接続部分を拡大して示す図である。図4に示すように、太陽電池モジュール21では、加熱及び加圧することにより、導電性粒子1のはんだ層5が溶融した後、溶融したはんだ層部分5aが表面電極34及び配線23と十分に接触する。表面層がはんだ層5である導電性粒子を用いることにより、導電層の表面層がニッケル、金又は銅等の金属である導電性粒子を用いた場合と比較して、導電性粒子1と表面電極34及び配線23との接触面積を大きくすることができる。このため、太陽電池モジュール21における電極と配線との導通信頼性を高めることができる。なお、加熱により、一般にフラックスは次第に失活する。
【0084】
図3に示す太陽電池モジュール21では、太陽電池セル22A,22Bと、配線23と、接続部24A,24Bとの接続構造体は封止材により封止されていない。この接続構造体が、透明部材と透明部材又は非透明部材との間に配置され、接続構造体が封止材により封止され、太陽電池モジュールが構成されていてもよい。ただし、上記接続構造体は、電極と配線との接着信頼性が高いので、封止材により封止されていなくてもよい。
【0085】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
【0086】
(実施例1)
(1)導電性粒子の作製
平均粒子径20μmのジビニルベンゼン樹脂粒子(積水化学工業社製、ミクロパールSP−220)を無電解ニッケルめっきし、樹脂粒子の表面に厚さ0.3μmの下地ニッケルめっき層を形成した。次いで、下地ニッケルめっき層が形成された樹脂粒子を電解銅めっきし、厚さ1μmの銅層を形成した。更に、錫及びビスマスを含有する電解めっき液を用いて、電解めっきし、厚さ1μmのはんだ層を形成した。このようにして、樹脂粒子の表面上に厚み1μmの銅層が形成されており、該銅層の表面に厚み1μmのはんだ層(錫:ビスマス=43重量%:57重量%)が形成されている導電性粒子を作製した。
【0087】
(2)導電材料の作製
バインダー樹脂としてYD−128(東都化成社製)80重量部及びYD−011(東都化成社製)20重量部と、硬化剤としてTEP−2E4MZ(日本曹達社製)15重量部と、ステアリン酸5重量部とを配合し、さらに得られた導電性粒子10重量部を添加した後、遊星式攪拌機を用いて2000rpmで5分間攪拌することにより、導電ペーストである導電材料を得た。
【0088】
(実施例2)
錫及びビスマスを含有する電解めっき液を用いて、電解めっきし、はんだ層の厚みを3μmに変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子及び導電材料を得た。
【0089】
(実施例3)
錫及びビスマスを含有する電解めっき液を用いて、電解めっきし、はんだ層の厚みを5μmに変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子及び導電材料を得た。
【0090】
(実施例4)
樹脂粒子を、平均粒子径30μmのジビニルベンゼン樹脂粒子(積水化学工業社製、ミクロパール−SP230)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電性粒子及び導電材料を得た。
【0091】
(実施例5)
樹脂粒子を、平均粒子径30μmのジビニルベンゼン樹脂粒子(積水化学工業社製、ミクロパールSP−230)に変更したこと以外は実施例2と同様にして、導電性粒子及び導電材料を得た。
【0092】
(実施例6)
樹脂粒子を、平均粒子径30μmのジビニルベンゼン樹脂粒子(積水化学工業社製、ミクロパールSP−230)に変更したこと以外は実施例3と同様にして、導電性粒子及び導電材料を得た。
【0093】
(比較例1)
はんだ粒子(錫:ビスマス=43重量%:57重量%、平均粒子径15μm)を用意し、上記はんだ粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、導電材料を得た。
【0094】
(比較例2)
平均粒子径20μmのジビニルベンゼン樹脂粒子(積水化学工業社製、ミクロパールSP−220)の表面に厚み2μmのニッケル層が形成されているニッケル被覆導電性粒子を用意し、該ニッケル被覆導電性粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、導電材料を得た。
【0095】
(評価)
(1)太陽電池モジュールの作製
図3に示す太陽電池モジュールを作製した。
【0096】
表面電極と、n型拡散層と、p型シリコン基板と、P+層(BSF層)と、裏面電極とがこの順で積層された太陽電池セルを用意した。太陽電池セルの表面電極の上面に、得られた導電材料を厚さ50μmとなるように塗工し、導電材料層を形成した。
【0097】
次に、導電材料層の上面に、銅により形成された配線を積層した。その後、導電材料層の温度が200℃となるようにヘッドの温度を調整しながら、配線の上面に加圧加熱ヘッドを載せ、太陽電池セルが破損しないように低い荷重である1.0MPaの圧力をかけて、はんだを溶融させ、かつ導電材料層を185℃で硬化させ、太陽電池モジュール(撹拌前の導電材料を用いた太陽電池モジュール)を得た。
【0098】
(2)低い荷重での接続の可否
上記(1)太陽電池モジュールの作製により得られた20個の太陽電池モジュールにおいて、電極と配線とが電気的に接続されているかを確認した。電極と配線とが電気的に接続されていない太陽電池モジュールが無い場合を「○」、電極と配線とが電気的に接続されていない太陽電池モジュールが1つ以上ある場合を「×」、評価しなかった場合を「−」として下記の表1に示した。
【0099】
(3)樹脂の充填性(接着信頼性)
上記(1)太陽電池モジュールの作製により得られた20個の太陽電池モジュールにおいて、電極と配線との間の間隔(接続部の厚み)を評価した。電極と配線との間の間隔が接続前の導電性粒子の粒子径の50%未満である太陽電池モジュールが無い場合を「○」、電極と配線との間の間隔が接続前の導電性粒子の粒子径の50%未満である太陽電池モジュールが1つ以上ある場合を「×」、評価しなかった場合を「−」として結果を下記の表1に示した。
【0100】
【表1】
【0101】
なお、比較例1の導電材料を用いて得られ、かつ上記(3)の評価において電極と配線との間の間隔が接続前の導電性粒子の粒子径の50%未満である太陽電池モジュールでは、接続部と電極及び配線との間に樹脂が充分に充填されておらず、接続部と電極及び接続部と配線との接着力が低かった。
【符号の説明】
【0102】
1…導電性粒子
1a…表面
2…樹脂粒子
2a…表面
3…導電層
4…第1の導電層
4a…表面
5…はんだ層
5a…溶融したはんだ層部分
11…導電性粒子
12…はんだ層
21…太陽電池モジュール
22A,22B…太陽電池セル
23…配線
23a…一端
23b…他端
24A,24B…接続部
31…p型シリコン基板
32…n型拡散層
33…P+層(BSF層)
34…表面電極
35…裏面電極
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池セルの電極と配線とを電気的に接続するために用いられる導電材料であって、
樹脂粒子と、該樹脂粒子の表面を被覆している導電層とを有する導電性粒子と、
バインダー樹脂とを含み、
前記導電層の少なくとも外側の表面層が、はんだ層である、太陽電池モジュール用導電材料。
【請求項2】
前記導電性粒子の平均粒子径が、0.1〜50μmである、請求項1に記載の太陽電池モジュール用導電材料。
【請求項3】
フラックスをさらに含む、請求項1又は2に記載の太陽電池モジュール用導電材料。
【請求項4】
電極を有する太陽電池セルと、
配線と、
前記太陽電池セルの電極と配線とを電気的に接続している接続部とを備え、
前記接続部が、請求項1〜3のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール用導電材料により形成されている、太陽電池モジュール。
【請求項1】
太陽電池セルの電極と配線とを電気的に接続するために用いられる導電材料であって、
樹脂粒子と、該樹脂粒子の表面を被覆している導電層とを有する導電性粒子と、
バインダー樹脂とを含み、
前記導電層の少なくとも外側の表面層が、はんだ層である、太陽電池モジュール用導電材料。
【請求項2】
前記導電性粒子の平均粒子径が、0.1〜50μmである、請求項1に記載の太陽電池モジュール用導電材料。
【請求項3】
フラックスをさらに含む、請求項1又は2に記載の太陽電池モジュール用導電材料。
【請求項4】
電極を有する太陽電池セルと、
配線と、
前記太陽電池セルの電極と配線とを電気的に接続している接続部とを備え、
前記接続部が、請求項1〜3のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール用導電材料により形成されている、太陽電池モジュール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2012−9753(P2012−9753A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−146327(P2010−146327)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】
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