説明

太陽電池モジュール積載具及び太陽電池モジュール梱包体

【課題】太陽電池モジュールの荷崩れの発生を防止する。
【解決手段】太陽電池モジュール積載具は、矩形状のパレット2と、パレット2の4つの各隅部に配置され太陽電池モジュールの4つの各角部をそれぞれ支持する支持部材1と、を備え、パレット2は、当該パレット2の4つの各隅部に、それぞれ、四角錐台状の凹部21が形成されており、支持部材1は、パレット2の上面に当接して支持され、太陽電池モジュールの角部の下面を支持する板状の基体部11と、基体部11の外周側端部において上方に向けて立設され、太陽電池モジュールの角部の水平方向の移動を規制する板状の規制部12と、基体部11の略中央位置において下方に向けて立設され、パレット2に形成された凹部21に嵌合して係止される四角錐台状の嵌合凸部13と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送等の際に、太陽電池モジュールを水平に積み重ねる積載具及び太陽電池モジュール梱包体に関する。特に、フレームレス構造の太陽電池モジュールを多段に積載する積載具及び太陽電池モジュール梱包体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光起電力モジュール(以下、太陽電池モジュールともいう)を輸送する際に、太陽電池モジュールを水平に積み重ねる差込みシステムが知られている(特許文献1参照)。この差込みシステムでは、図6に示す成形品部材4を用いて、太陽電池モジュールを水平に積み重ねて梱包する。
【0003】
簡単に説明すると、図6に示す成形品部材4は、円筒状に形成された支柱部47と、この支柱部47の周側壁から水平に延設された太陽電池モジュールの角部を横から嵌め込んで挟持するための横方向に開口した挟持部45とを備えている。また、支柱部47の上端面及び下端面には、それぞれ、上下に隣接配置される別の成形品部材4と順次嵌合するための、嵌合凹部48及び嵌合突部46が設けられている。
【0004】
この成形品部材4を用いて太陽電池モジュールを水平に積み重ねる場合、まず、太陽電池モジュールの各角部に、それぞれ成形品部材4の挟持部45を嵌め込み、この状態で1段目の太陽電池モジュールをパレット上に載置する。次に、同様にして、2段目の太陽電池モジュールの各角部に、それぞれ成形品部材4の挟持部45を嵌め込む。
【0005】
そして、パレット上に載置した1段目の太陽電池モジュールの角部に嵌め込んだ成形品部材4と、2段目の太陽電池モジュールの角部に嵌め込んだ成形品部材4とを上下に対向配置させ、下側の成形品部材4の嵌合突部46に上側の成形品部材4の嵌合凹部48を嵌合して、2段目の太陽電池モジュールを積み重ねる。このような手順を所定段数繰り返して、太陽電池モジュールを水平に積み重ねる。
【0006】
このように、特許文献1では、図6に示す成形品部材4は、枠部材を有しないフレームレス構造の太陽電池モジュールを積載する際に好適に用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−32978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に係る成形品部材4では、1段目の太陽電池モジュールを支持する成形品部材4が、パレットの4つの隅部上に載置されるため、輸送中の振動等によって、この成形品部材4が前後又は左右方向に位置ズレし、パレット上面から脱落して荷崩れが生じる虞がある。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、太陽電池モジュールの荷崩れの発生を防止することの可能な太陽電池モジュール積載具及び太陽電池モジュール梱包体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明に係る太陽電池モジュール積載具及び太陽電池モジュール梱包体は、以下のように構成されている。
【0011】
すなわち、本発明に係る太陽電池モジュール積載具は、太陽電池モジュールを水平に積み重ねて積載する太陽電池モジュール積載具であって、矩形状のパレットと、前記パレットの4箇所に配置され、前記太陽電池モジュールをそれぞれ支持する支持部材と、を備え、前記パレットが、当該パレットの4箇所に、それぞれ、凹部が形成されており、前記支持部材が、前記パレットの上面に当接して支持され、前記太陽電池モジュールの下面を支持する基体部と、前記基体部の外周側端部において上方に向けて立設され、前記太陽電池モジュールの水平方向の移動を規制する規制部と、前記基体部の略中央位置において下方に向けて立設され、前記パレットに形成された凹部に嵌合して係止される凸部と、を備えることを特徴としている。
【0012】
かかる構成を備える太陽電池モジュール積載具によれば、パレットの上面に当接して支持された基体部によって、太陽電池モジュールの下面が支持される。また、前記基体部の外周側端部において上方に向けて立設された規制部によって、前記太陽電池モジュールの水平方向の移動が規制される。更に、前記基体部の略中央位置において下方に向けて立設された凸部が、前記パレットに形成された凹部に嵌合して係止されるため、前記基体部の水平方向の移動が規制される。したがって、太陽電池モジュールの荷崩れの発生を防止することができる。
【0013】
すなわち、支持部材の基体部によって、太陽電池モジュールの下面が支持され、支持部材の規制部によって、太陽電池モジュールの水平方向の移動が規制される。このようにして太陽電池モジュールを支持すると共に水平方向の移動を規制する支持部材の凸部が、パレットの凹部に嵌合して係止されるため、太陽電池モジュールの荷崩れの発生を防止することができるのである。
【0014】
また、本発明に係る太陽電池モジュール積載具は、前記支持部材は、更に、前記規制部に前記基体部の上面と略平行に立設され、前記太陽電池モジュールの下面を支持する1つ又は複数の板状の支持部を備え、前記規制部は、前記支持部に支持された前記太陽電池モジュールの水平方向の移動を規制するべく、上方に向けて延設されている、ことが好ましい。
【0015】
かかる構成を備える太陽電池モジュール積載具によれば、前記規制部に前記基体部の上面と略平行に立設された1つ又は複数の板状の支持部によって、前記太陽電池モジュールの下面が支持される。そして、前記規制部は上方に向けて延設されているため、前記支持部に支持された前記太陽電池モジュールの水平方向の移動が規制される。よって、基体部によって支持された太陽電池モジュール及び支持部によって支持された太陽電池モジュール(複数の太陽電池モジュール)の荷崩れの発生を防止することができる。
【0016】
また、本発明に係る太陽電池モジュール積載具は、前記パレットの凹部が、当該パレットの4つの各隅部に形成されており、前記支持部材の凸部が係合することで、前記太陽電池モジュールの角部を支持することが好ましい。
【0017】
かかる構成を備える太陽電池モジュール積載具によれば、前記パレットの凹部が、当該パレットの4つの各隅部に形成されており、前記支持部材の凸部が係合することで、前記太陽電池モジュールの角部が支持されるため、太陽電池モジュールの水平方向の移動が確実に規制される。
【0018】
すなわち、前記基体部が、前記太陽電池モジュールの4つの角部の下面を支持し、前記基体部に立設された前記規制部によって、前記太陽電池モジュールの4つの角部の水平方向の移動が規制されるため、太陽電池モジュールの水平方向の移動が確実に規制されるのである。
【0019】
また、本発明に係る太陽電池モジュール積載具は、前記パレットが、4本の四角柱状部材が組み合わされた枠構造であって、前記支持部材が、更に、前記基体部の内周側端部において下方に向けて立設され、前記凸部が前記パレットに形成された凹部に嵌合して係止されるとき、前記パレットの内側の面に当接して係止される係止部を備える、ことが好ましい。
【0020】
かかる構成を備える太陽電池モジュール積載具によれば、前記パレットが、4本の四角柱状部材が組み合わされた枠構造であるため、前記パレットを簡素な構成で実現することができる。また、前記凸部が前記パレットに形成された凹部に嵌合して係止されるときに、前記基体部の内周側端部において下方に向けて立設された係止部が、前記パレットの内側の面に当接して係止されるため、前記支持部材の水平方向の移動を更に確実に規制することができる。
【0021】
また、本発明に係る太陽電池モジュール積載具は、前記係止部が、前記パレットの内周側の隣接する2つの面に当接して係止されることが好ましい。
【0022】
かかる構成を備える太陽電池モジュール積載具によれば、前記係止部が、前記パレットの内周側の隣接する2つの面に当接して係止されるため、前記支持部材の水平方向の移動を更に確実に規制することができる。
【0023】
また、本発明に係る太陽電池モジュール積載具は、前記係止部が、前記パレットの内周側の隣接する2つの面にそれぞれ当接して係止される2枚の板状部材を有することが好ましい。
【0024】
かかる構成を備える太陽電池モジュール積載具によれば、前記係止部の2枚の板状部材が、前記パレットの内周側の隣接する2つの面にそれぞれ当接されて係止されるため、前記支持部材の水平方向の移動を更に確実に規制することができる。
【0025】
また、本発明に係る太陽電池モジュール積載具は、前記係止部の前記2枚の板状部材が、平面視略L字状に一体に形成されていることが好ましい。
【0026】
かかる構成を備える太陽電池モジュール積載具によれば、前記係止部の前記2枚の板状部材が、平面視略L字状に一体に形成されているため、前記係止部の強度を確保することができる。
【0027】
また、本発明に係る太陽電池モジュール積載具は、前記基体部が、前記嵌合凸部と前記係止部との間において、皿ネジ及び皿ビスの少なくとも一方によって前記パレットに固定可能な孔が形成されていることが好ましい。
【0028】
かかる構成を備える太陽電池モジュール積載具によれば、前記基体部が、前記規制部と前記係止部との間において、皿ネジ及び皿ビスの少なくとも一方によって前記パレットに固定され得るため、前記支持部材の水平方向の移動を更に確実に規制することが可能となる。
【0029】
また、本発明に係る太陽電池モジュール積載具は、前記支持部材が、前記太陽電池モジュールの角部を支持する前記基体部の角部と、前記嵌合凸部の上下方向の中心軸を含む平面に対して面対称に構成されていることが好ましい。
【0030】
かかる構成を備える太陽電池モジュール積載具によれば、前記支持部材が、面対称に構成されているため、前記太陽電池モジュールの4つの各角部をそれぞれ支持する支持部材を、同一の構成で実現することができるので、前記支持部材の製造コストを低減することができると共に、利便性を向上することができる。
【0031】
また、本発明に係る太陽電池モジュール積載具は、前記パレットの前記凹部、及び、前記支持部材の前記嵌合凸部が、下方に向かう程、先窄まりの略円錐台状、又は、略四角錐台状に形成されていることが好ましい。
【0032】
かかる構成を備える太陽電池モジュール積載具によれば、前記パレットの前記凹部、及び、前記支持部材の前記嵌合凸部が、下方に向かう程、先窄まりの略円錐台状、又は、略四角錐台状に形成されているため、前記嵌合凸部を、前記パレットに形成された凹部に容易に嵌合させることができる。
【0033】
また、本発明に係る太陽電池モジュール積載具は、前記パレットが、木製であることが好ましい。
【0034】
かかる構成を備える太陽電池モジュール積載具によれば、前記パレットが、木製であるため、必要とされる強度を有するパレットを比較的安価に生産することができる。
【0035】
また、本発明に係る太陽電池モジュール積載具は、前記支持部材が、樹脂製であって一体成形されることが好ましい。
【0036】
かかる構成を備える太陽電池モジュール積載具によれば、前記支持部材が、樹脂製であって一体成形されるため、必要とされる強度を有すると共に、摺動、当接等によって太陽電池モジュールを損傷する虞の少ない支持部材を比較的安価に生産することができる。
【0037】
また、本発明に係る太陽電池モジュール積載具は、前記パレットの凹部が、当該パレットを上下方向に貫通して形成されていることが好ましい。
【0038】
かかる構成を備える太陽電池モジュール積載具によれば、前記パレットの凹部が、当該パレットを上下方向に貫通して形成されているため、前記パレットの凹部を容易に形成することができる。
【0039】
また、本発明に係る太陽電池モジュール梱包体は、上記いずれかの太陽電池モジュール積載具を備え、前記太陽電池モジュールが梱包されていることが好ましい。
【0040】
かかる構成を備える太陽電池モジュール梱包体によれば、太陽電池モジュールの荷崩れの発生を防止することができる。
【発明の効果】
【0041】
本発明に係る太陽電池モジュール積載具及び太陽電池モジュール梱包体によれば、パレットの上面に当接して支持された基体部によって、太陽電池モジュールの下面が支持される。また、前記基体部の外周側端部において上方に向けて立設された規制部によって、前記太陽電池モジュールの水平方向の移動が規制される。更に、前記基体部の略中央位置において下方に向けて立設された凸部が、前記パレットに形成された凹部に嵌合して係止されるため、前記基体部の水平方向の移動が規制される。したがって、太陽電池モジュールの荷崩れの発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】太陽電池モジュール積載具の一例(第一実施形態)を示す全体斜視図である。
【図2】図1に示す支持部材及びパレットの部分斜視図である。
【図3】図1に示す支持部材の底面図及び側面図である。
【図4】図1に示すパレットの平面図及び側面図である。
【図5】太陽電池モジュール積載具の他の一例(第二実施形態)を示す部分斜視図である。
【図6】太陽電池モジュールの従来の多段積載方法に用いられる保持部材の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0044】
本発明に係る太陽電池モジュール積載具100は、アルミニウム製の枠部材を有しないフレームレス構造の太陽電池モジュール3を多段に水平に積み重ねる多段積載に好適に用いられる。したがって、以下の実施形態では、フレームレス構造の太陽電池モジュール3を多段に積載する場合について説明する。なお、本発明に係る太陽電池モジュール梱包体は、太陽電池モジュール3が太陽電池モジュール積載具100によって多段に水平に積み重ねられたものである。
【0045】
−第一実施形態−
図1は、太陽電池モジュール積載具100の一例(第一実施形態)を示す全体斜視図である。図1の矢印Zは、上下方向を示すものである。図1に示すように、太陽電池モジュール積載具100は、支持部材1及びパレット2を備えている。支持部材1は、下面がパレット2に係合されると共に、太陽電池モジュール3の4つの各角部をそれぞれ支持するものである。また、図2を用いて後述するように、パレット2の4つの隅部に支持部材1が固定され、支持部材1に形成された基体部11又は支持部15で四隅が支持されて太陽電池モジュール3が多段に水平に積み重ねられる。
【0046】
次に、図2〜図4を参照して、支持部材1及びパレット2の構造について詳細について説明する。図2は、図1に示す支持部材1及びパレット2の部分斜視図である。図3は、図1に示す支持部材1の底面図及び側面図である。図3(a)が、支持部材1の底面図であって、図3(b)が、支持部材1の側面図である。図4は、図1に示すパレット2の平面図及び側面図である。図4(a)が、パレット2の平面図であって、図4(b)が、パレット2の側面図である。
【0047】
−パレット2の構造−
まず、図2及び図4を参照して、パレット2の構造について説明する。図4に示すようにパレット2は、木製であって、4本の四角柱状部材が組み合わされた枠構造である。また、パレット2の4つの各隅部には、それぞれ、凹部21が形成されいる。凹部21は、支持部材1の嵌合凸部13(図2参照)が嵌合して係止されるものであって、図4に示すように、例えば、下方に向かう程、先窄まりの四角錐台状に形成されていても良い。また、凹部21は、パレット2を上下方向に貫通して形成されている。
【0048】
このように、パレット2が、4本の四角柱状部材が組み合わされた枠構造であるため、パレット2を簡素な構成で実現することができる。また、パレット2は、木製であるため、必要とされる強度を有するパレット2を比較的安価に生産することができる。更に、パレット2の凹部21が、パレット2を上下方向に貫通して形成されているため、パレット2の凹部21を容易に形成することができる。
【0049】
−支持部材1の構造−
次に、図2及び図3を参照して、支持部材1の構造について説明する。支持部材1は、基体部11、規制部12、嵌合凸部13、係止部14、支持部15、及び、皿ネジ16を備え、樹脂製であって、一体成形されている。
【0050】
このようにして、支持部材1が、樹脂製であって一体成形されるため、必要とされる強度を有すると共に、摺動、当接等によって太陽電池モジュール3を損傷する虞の少ない支持部材1を比較的安価に生産することができる。
【0051】
本実施形態では、支持部材1が樹脂製である場合について説明するが、支持部材1がその他の材料(例えば、ゴム等)からなる形態でもよい。
【0052】
基体部11は、パレット2の上面に当接して支持され、最も下側(パレット2に近接する側)に載置される太陽電池モジュール3の角部の下面を支持する板状の部材である。また、基体部11は、皿ネジ16を挿通する2つのネジ孔111が形成されている。
【0053】
ネジ孔111は、基体部11と規制部12との接続位置(図3(a)における右端位置及び下端位置)と、基体部11と係止部14と接続位置(図3(a)における左上端位置及び左端位置)との間に形成されている。皿ネジ16は、ネジ孔111を貫通してパレット2に螺合して、基体部11をパレット2に固定するものである。
【0054】
規制部12は、基体部11の外周側端部において上方に向けて立設され、太陽電池モジュール3の角部の水平方向の移動を規制する板状の部材である。図2に示すように、規制部12は、互いに直交する第一規制部121及び第二規制部122を備えている。第一規制部121及び第二規制部122は、平面視L字状に一体成形されている。また、第一規制部121及び第二規制部122は、支持部15のうち、最上端の支持部15の上面より更に所定長さ(例えば、50mm)以上突出するように延設されている。
【0055】
このように、第一規制部121及び第二規制部122が平面視L字状に一体成形されているため、簡素な構成で規制部12の強度を確保することができる。また、第一規制部121及び第二規制部122が、支持部15のうち、最上端の支持部15の上面より更に所定長さ(例えば、50mm)以上突出するように延設されているため、最上端の支持部15の上面に載置された太陽電池モジュール3が振動する場合であっても、規制部12によってこの太陽電池モジュール3の角部の水平方向の移動を確実に規制することができる。
【0056】
嵌合凸部13は、基体部11の略中央位置において下方に向けて立設され、パレット2に形成された凹部21に嵌合して係止される四角錐台状の部材である。ここで、嵌合凸部13は、特許請求の範囲に記載の「凸部」に相当する。基体部11の略中央位置において下方に向けて立設された嵌合凸部13が、パレット2に形成された凹部21に嵌合して係止されるため、基体部11の水平方向の移動が規制される。また、嵌合凸部13及び凹部21は、下方に向かう程、先窄まりの四角錐台状に形成されている。
【0057】
このようにして、支持部材1の基体部11によって、最も下側に載置される太陽電池モジュール3の角部の下面が支持され、支持部材1の規制部12によって、太陽電池モジュール3の水平方向の移動が規制される。このようにして太陽電池モジュール3を支持すると共に水平方向の移動を規制する支持部材1の嵌合凸部13が、パレット2の凹部21に嵌合して係止されるため、最も下側に載置される太陽電池モジュール3の荷崩れの発生を防止することができる。
【0058】
また、嵌合凸部13及び凹部21が下方に向かう程、先窄まりの四角錐台状に形成されているため、嵌合凸部13を容易に凹部21に挿入して嵌合させることができると共に、支持部材1の基体部11は、嵌合凸部13を中心として回転することを効果的に規制することができる。
【0059】
本実施形態では、嵌合凸部13及び凹部21が四角錐台状に形成されている場合について説明したが、嵌合凸部13及び凹部21が下方に向かう程、先窄まりの円錐台状(又は円錐状)に形成されている形態でもよい。この場合には、嵌合凸部13を更に容易に凹部21に挿入して嵌合させることができる。
【0060】
係止部14は、パレット2の内周側の隣接する2つの面に当接して係止される部材である。具体的には、係止部14は、パレット2の内周側の隣接する2つの面にそれぞれ当接して係止される2枚の板状部材141,142を有している。更に、係止部14の2枚の板状部材141,142は、平面視略L字状に一体に形成されている。
【0061】
このようにして、基体部11の内周側端部において下方に向けて立設された係止部14が、パレット2の内側の面に当接して係止されるため、支持部材1の水平方向の移動を更に確実に規制することができる。また、係止部14の2枚の板状部材141,142が、パレット2の内周側の隣接する2つの面にそれぞれ当接されて係止されるため、支持部材1の水平方向の移動を更に確実に規制することができる。更に、係止部14の2枚の板状部材141,142が、平面視略L字状に一体に形成されているため、係止部14の強度を確保することができる。
【0062】
本実施形態においては、パレット2の4つの隅部に固定される4つの支持部材1が、それぞれ、係止部14を備えている場合について説明するが、4つの支持部材1のうち、少なくとも1つの支持部材1が係止部14を備えている形態でもよい。
【0063】
また、本実施形態においては、係止部14が、板状部材141,142を備えている場合について説明するが、係止部14が、例えば、パレット2の内周側の隣接する2つの面の交点位置に配設される棒状部材である形態でもよい。
【0064】
支持部15は、規制部12に基体部11の上面と平行に立設され、最も下側に載置される太陽電池モジュール3を除く太陽電池モジュール3の角部の下面を支持する1つ又は複数の(図2では、10個の)板状の部材である。この支持部15の枚数がN枚であるとすると、最大(N+1)枚の太陽電池モジュール3を載置することができる。
【0065】
すなわち、規制部12に基体部11の上面と平行に立設された1つ又は複数の板状の支持部15によって、太陽電池モジュール3の角部の下面が支持される。そして、規制部12は上方に向けて延設されているため、支持部15に支持された太陽電池モジュール3の角部の水平方向の移動が規制される。よって、基体部11によって支持された太陽電池モジュール3及び支持部15によって支持された太陽電池モジュール3の荷崩れの発生を防止することができる。
【0066】
本実施形態では、支持部15が、10個形成されている場合について説明するが、支持部15が1個以上形成されている形態であればよい。また、本実施形態では、支持部15が、矩形の板状部材である場合について説明するが、支持部15の形状は矩形以外の形状であってもよい。例えば、部分円弧状であってもよい。
【0067】
皿ネジ16は、ネジ孔111を貫通してパレット2に螺合して、基体部11をパレット2に固定するものである。このようにして、皿ネジ16によって、基体部11がパレット2に固定されるため、支持部材1の水平方向の移動を更に確実に規制することができる。
【0068】
本実施形態では、皿ネジ16が基体部11をパレット2に固定する場合について説明するが、皿ネジ16又は皿ビスの少なくとも一方によって、基体部11をパレット2に固定する形態であればよい。
【0069】
また、図3に示すように支持部材1は、太陽電池モジュール3の角部を支持する基体部11の角部(図3(a)の右下端)と、嵌合凸部13の上下方向の中心軸を含む平面(図3(a)の一点鎖線で示す平面)に対して面対称に構成されている。
【0070】
このように、支持部材1が、面対称に構成されているため、太陽電池モジュール3の4つの各角部をそれぞれ支持する支持部材1を、同一の構成で実現することができるので、支持部材1の製造コストを低減することができると共に、利便性を向上することができる。
【0071】
−太陽電池モジュール積載具100を用いた積載手順−
図1〜図4を参照して上述した太陽電池モジュール積載具100を用いて、太陽電池モジュール3をパレット2上に多段に水平に積み重ねる手順について説明する。まず、パレット2の隣接する2辺において、それぞれ支持部材1の嵌合凸部13をパレット2の凹部21に挿入する。次に、皿ネジ16をネジ孔111に挿通し、パレット2にねじ込む。このようにして、パレット2上に支持部材1を固定する。
【0072】
次に、複数枚(例えば、10枚)の太陽電池モジュール3の隣接する2辺を、それぞれ、パレット2上に固定された2つの支持部材1の基体部11及び支持部15の上面に載置する。このとき、太陽電池モジュール3の他の2辺は、装置のフォーク等によって支持されている。
【0073】
そして、太陽電池モジュール3の残る2辺を、それぞれ、2つの支持部材1の基体部11及び支持部15の上面に載置して、この2つの支持部材1の嵌合凸部13をパレット2の凹部21に挿入する。
【0074】
このようにして、複数枚(例えば、10枚)の太陽電池モジュール3をパレット2上に水平に積み重ねて積載することができる。なお、上記載置手順では、2つの支持部材1は、パレット2に皿ネジ16で固定されていないが、必ずしも全ての支持部材1がパレット2に皿ネジ16で固定されている必要はない。
【0075】
−第二実施形態−
図5は、太陽電池モジュール積載具100Aの一例(第二実施形態)を示す全体斜視図である。図5に示す太陽電池モジュール積載具100Aは、図1〜図4に示す太陽電池モジュール積載具100と、以下の点において相違している。図1〜図4に示す太陽電池モジュール積載具100は、複数の太陽電池モジュール3を載置するために、支持部材1が支持部15を備えているが、図5に示す太陽電池モジュール積載具100Aに係る支持部材1Aは、支持部を有していない点において相違している。なお、図5においては、太陽電池モジュール積載具100の支持部材1に対応する部材には、支持部材1において付与した参照符合の末尾にAを付加して記載している。
【0076】
すなわち、太陽電池モジュール積載具100は、支持部15の枚数がN枚であるとすると、最大(N+1)枚の太陽電池モジュール3を載置することができるのに対して、太陽電池モジュール積載具100Aは1枚の太陽電池モジュール3を載置するものである。
【0077】
−変形例−
第一実施形態及び第二実施形態では、皿ネジ16、16Aによって支持部材1、1Aの基体部11、11Aをパレット2に固定する場合について説明するが、その他の方法で(例えば、接着剤等で)支持部材1の基体部11をパレット2に固定する形態でもよい。
【0078】
第一実施形態及び第二実施形態では、フレームレス構造の太陽電池モジュールを積載する場合について説明したが、フレームを有する太陽電池モジュールを積載する形態でもよい。
【0079】
第一実施形態及び第二実施形態では、嵌合凸部13及び凹部21が下方に向かう程、先窄まりの四角錐台状に形成されている場合について説明したが、嵌合凸部13及び凹部21が先窄まりに形成されていなくてもよい。例えば、嵌合凸部13及び凹部21が、四角柱状又は円柱状に形成されている形態でもよい。この場合には凹部21の加工費を低減することができる。
【0080】
第一実施形態及び第二実施形態では、パレット2の凹部21が、パレット2の4つの各隅部に形成されており、支持部材1、1Aの嵌合凸部13、13Aが係合することで、太陽電池モジュール3の角部を支持する場合について説明したが、パレット2の凹部21が、パレット2の4箇所に形成されている形態であればよい。例えば、パレット2の凹部が、パレット2を構成する4本の四角柱状部材の長手方向の略中央位置に形成されている形態でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、搬送等の際に、太陽電池モジュールを水平に積み重ねる積載具及び太陽電池モジュール梱包体に利用することができる。特に、フレームレス構造の太陽電池モジュールを多段に積載する積載具及び太陽電池モジュール梱包体に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0082】
100、100A 太陽電池モジュール積載具
1 支持部材
1、1A 支持部材
11、11A 基体部
111、111A ネジ孔
12、12A 規制部
121、121A 第一規制部
122、122A 第二規制部
13、13A 嵌合凸部(凸部)
14、14A 係止部
141、142、141A、142A 板状部材
15 支持部
16、16A 皿ネジ
2 パレット
21 凹部
3 太陽電池モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池モジュールを水平に積み重ねて積載する太陽電池モジュール積載具であって、
矩形状のパレットと、
前記パレットの4箇所に配置され、前記太陽電池モジュールをそれぞれ支持する支持部材と、を備え、
前記パレットは、当該パレットの4箇所に、それぞれ、凹部が形成されており、
前記支持部材は、
前記パレットの上面に当接して支持され、前記太陽電池モジュールの下面を支持する基体部と、
前記基体部の外周側端部において上方に向けて立設され、前記太陽電池モジュールの水平方向の移動を規制する規制部と、
前記基体部の略中央位置において下方に向けて立設され、前記パレットに形成された凹部に嵌合して係止される凸部と、を備えることを特徴とする太陽電池モジュール積載具。
【請求項2】
請求項1に記載の太陽電池モジュール積載具であって、
前記支持部材は、更に、
前記規制部に前記基体部の上面と略平行に立設され、前記太陽電池モジュールの下面を支持する1つ又は複数の板状の支持部を備え、
前記規制部は、前記支持部に支持された前記太陽電池モジュールの水平方向の移動を規制するべく、上方に向けて延設されている、ことを特徴とする太陽電池モジュール積載具。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の太陽電池モジュール積載具であって、
前記パレットの凹部は、当該パレットの4つの各隅部に形成されており、前記支持部材の凸部が係合することで、前記太陽電池モジュールの角部を支持することを特徴とする太陽電池モジュール積載具。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の太陽電池モジュール積載具であって、
前記パレットは、4本の四角柱状部材が組み合わされた枠構造であって、
前記支持部材は、更に、
前記基体部の内周側端部において下方に向けて立設され、前記凸部が前記パレットに形成された凹部に嵌合して係止されるとき、前記パレットの内側の面に当接して係止される係止部を備える、ことを特徴とする太陽電池モジュール積載具。
【請求項5】
請求項4に記載の太陽電池モジュール積載具であって、
前記係止部は、前記パレットの内周側の隣接する2つの面に当接して係止されることを特徴とする太陽電池モジュール積載具。
【請求項6】
請求項5に記載の太陽電池モジュール積載具であって、
前記係止部は、前記パレットの内周側の隣接する2つの面にそれぞれ当接して係止される2枚の板状部材を有することを特徴とする太陽電池モジュール積載具。
【請求項7】
請求項6に記載の太陽電池モジュール積載具であって、
前記係止部の前記2枚の板状部材は、平面視略L字状に一体に形成されていることを特徴とする太陽電池モジュール積載具。
【請求項8】
請求項4から請求項7のいずれか1つに記載の太陽電池モジュール積載具であって、
前記基体部は、前記規制部と前記係止部との間において、皿ネジ及び皿ビスの少なくとも一方によって前記パレットに固定可能な孔が形成されていることを特徴とする太陽電池モジュール積載具。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1つに記載の太陽電池モジュール積載具であって、
前記支持部材は、前記太陽電池モジュールの角部を支持する前記基体部の角部と、前記凸部の上下方向の中心軸を含む平面に対して面対称に構成されていることを特徴とする太陽電池モジュール積載具。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1つに記載の太陽電池モジュール積載具であって、
前記パレットの前記凹部、及び、前記支持部材の前記凸部は、下方に向かう程、先窄まりの略円錐台状、又は、略四角錐台状に形成されていることを特徴とする太陽電池モジュール積載具。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか1つに記載の太陽電池モジュール積載具であって、
前記パレットは、木製であることを特徴とする太陽電池モジュール積載具。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか1つに記載の太陽電池モジュール積載具であって、
前記支持部材は、樹脂製であって一体成形されることを特徴とする太陽電池モジュール積載具。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれか1つに記載の太陽電池モジュール積載具であって、
前記パレットの凹部は、当該パレットを上下方向に貫通して形成されていることを特徴とする太陽電池モジュール積載具。
【請求項14】
請求項1から請求項13のいずれか1つに記載の太陽電池モジュール積載具を備え、前記太陽電池モジュールが梱包された太陽電池モジュール梱包体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−63787(P2013−63787A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202315(P2011−202315)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】