説明

太陽電池付電子機器

【課題】ソーラーパネルの損傷を防止でき、且つ防水検査の精度を向上させることができる太陽電池付電子機器を提供する。
【解決手段】外装ケース2のケース開口部4に、ガラスパッキン15を介して内嵌されるカバーガラス5と、カバーガラス5の背面に、このカバーガラス5と所定間隔をあけて配置されるソーラーパネル6とを有し、ケース開口部4の内周に、カバーガラス5の外周部を載置可能、且つソーラーパネル6の面方向の位置決め可能な台座部9を形成し、ガラスパッキン15は、ケース開口部4とカバーガラス5との間に介装されるパッキン本体16と、パッキン本体16の台座部9側の端部から延出され、カバーガラス5と台座部9との間に介装されるフランジ部17とを有し、台座部9に、少なくともフランジ部17の一部が露出する台座開口部14aを形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、太陽電池付電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、太陽電池付電子機器としては、ソーラーパネルが取り付けられたデジタル腕時計がある。この種のデジタル腕時計は、外装ケースの表側に液晶表示部が取付けられ、この液晶表示部の上からカバーガラスが取付けられている。そして、カバーガラスの背面に、ソーラーパネルが取付けられている。
【0003】
ソーラーパネルは、腕時計の外部から受ける衝撃がカバーガラスを介して伝達されることを抑制するために、カバーガラスから所定間隔をあけて配置される。また、ソーラーパネルは、受光面積を大きく確保できるようにカバーガラスの面方向中央の大部分に亘って配置される場合がある。
さらに、カバーガラスは、外装ケースから単体で取り外せるように構成してある場合が多い。このような場合、外装ケースとカバーガラスとの間には、シール性を確保するためにパッキンが介装されている。
【0004】
このように構成することで、例えばカバーガラスが損傷した際、カバーガラスのみを交換するだけでよく、使用者の経済的負担を軽減できる。また、外装ケースとカバーガラスとの間にパッキンを介装することで外装ケース内への塵埃等の浸入を防止できる。例え、デジタル腕時計の組立工程の途中で、外装ケースとソーラーパネルの間に塵埃等が混入した場合であっても、カバーガラスを取り外して塵埃を取り除いた後、再度組立て作業を行うことができ、製品歩留まりを向上させることも可能になる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−337670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述の従来技術にあっては、外装ケースからカバーガラスを取り外す場合、外装ケースの内側からカバーガラスを外側に向かって押圧して取り外すことになる。このとき、カバーガラスの背面の大部分にソーラーパネルが配置されているので、カバーガラスを直接押圧することが困難で、ソーラーパネルを直接押圧し、このソーラーパネルごとカバーガラスを押圧することになる。また、外装ケースとカバーガラスとの間にパッキンが介装されているので、この分カバーガラスを取り外す際に大きな押圧力が必要になる。
このため、カバーガラスを取り外す際、ソーラーパネルを損傷する虞があるという課題がある。
【0007】
さらに、カバーガラスの背面にソーラーパネルが配置されることにより、これらカバーガラスとソーラーパネルとにより取り囲まれて形成される空間と、ソーラーパネルと外装ケースの裏側に取付けられる裏蓋とにより取り囲まれて形成される空間とが、ソーラーパネルにより遮断される。
【0008】
ここで、腕時計の防水検査の方法として、裏蓋を取り付けた完成状態の外装ケースを温めて外装ケース内の温度を上昇させ、内部に侵入した微量の水分を気化させ、その後カバーガラス表面を冷却し、カバーガラスの内面に結露が発生するか否かを確認することにより、外装ケース内に水が侵入したか否かを判断する方法がある。このような方法により防水検査を行う場合、ソーラーパネルによって外装ケース内の空間が分断されてしまうと、外装ケース内の空気の移動が制限されてしまい、精度よく防水検査を行うことが困難になるという課題がある。
【0009】
そこで、この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、カバーガラスを外装ケースから外す際にもソーラーパネルの損傷を防止でき、且つ防水検査の精度を向上させることができる太陽電池付電子機器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明に係る太陽電池付電子機器は、ケース開口部を有する外装ケースと、前記ケース開口部に装着されるパッキンと、前記ケース開口部に前記パッキンを介して内嵌され、前記ケース開口部を閉塞するように前記外装ケースに取付けられるカバーガラスと、前記カバーガラスの背面に、このカバーガラスの面方向中央の大部分に亘って配置され、且つ前記カバーガラスと所定間隔をあけて配置されるソーラーパネルとを有し、前記ケース開口部の内周に、前記カバーガラスの外周部を載置可能、且つ前記ソーラーパネルの面方向の位置決め可能な台座部を形成し、前記パッキンは、前記ケース開口部と前記カバーガラスとの間に介装される本体部と、前記本体部の前記台座部側の端部から延出され、前記カバーガラスと前記台座部との間に介装されるフランジ部とを有し、前記台座部に、少なくとも前記パッキンの前記フランジ部の一部が露出する台座開口部を形成したことを特徴とする。
【0011】
このように構成することで、カバーガラスの面方向中央の大部分にソーラーパネルが配置されている太陽電池付電子機器において、外装ケースの内側から台座開口部を介してカバーガラスの外周部を外側に向かって押圧することができる。このため、カバーガラスを取り外す際、ソーラーパネルを直接押圧する必要がなく、ソーラーパネルの損傷を防止できる。
【0012】
本発明に係る太陽電池付電子機器は、前記パッキンの一部に、前記フランジ部を切除した切除部を形成したことを特徴とする。
【0013】
このように構成することで、切除部を介し、ソーラーパネルを挟んで両側に存在する空間を連通させることができる。これにより、外装ケース内の空気の移動が制限されることがなくなり、防水検査を高精度に行うことが可能になる。
【0014】
本発明に係る太陽電池付電子機器は、前記切除部に対応する箇所に、前記台座開口部を形成したことを特徴とする。
【0015】
このように構成することで、ソーラーパネルを挟んで両側に存在する空間をより確実に連通させることができるので、防水検査の精度をより確実に向上させることが可能になる。
また、台座開口部を介してカバーガラスを露出させることができるので、このカバーガラスの外周部を直接押圧することが可能になる。このため、カバーガラスに押圧力が効率よく伝達され、さらに容易にカバーガラスを取り外すことが可能になる。
【0016】
本発明に係る太陽電池付電子機器は、前記パッキンの前記台座開口部に対応する部位に、この台座開口部に臨まされる凸部を形成したことを特徴とする。
【0017】
このように構成することで、台座開口部を介してパッキンを押圧する際、パッキンに荷重をかけ易くなり、パッキンを介してカバーガラスに押圧力を伝達し易くなる。このため、さらに容易にカバーガラスを取り外すことができる。
【0018】
本発明に係る太陽電池付電子機器は、前記台座開口部を少なくとも2つ形成し、各台座開口部を、前記カバーガラスの面方向中央部を中心にして振り分け配置したことを特徴とする。
【0019】
このように構成することで、カバーガラスの外周部にバランスよく荷重をかけることができる。このため、カバーガラスを取り外す際、このカバーガラスが損傷してしまうことを確実に防止できると共に、さらに容易にカバーガラスを取り外すことが可能になる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、カバーガラスの面方向中央の大部分にソーラーパネルが配置されている太陽電池付電子機器において、外装ケースの内側から台座開口部を介してカバーガラスの外周部を外側に向かって押圧することができる。このため、カバーガラスを取り外す際、ソーラーパネルを直接押圧する必要がなく、ソーラーパネルの損傷を防止できる。
また、切除部を介し、ソーラーパネルを挟んで両側に存在する空間を連通させることができる。これにより、外装ケース内の空気の移動が制限されることがなくなり、防水検査を高精度に行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態における太陽電池付腕時計の正面図である。
【図2】本発明の第1実施形態における外装ケースを背面側からみた平面図であって、裏蓋を取り外した状態を示す。
【図3】図1のA−A線に沿う断面図である。
【図4】図1のB−B線に沿う断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態におけるガラスパッキンの平面図である。
【図6】図1のC−C線に沿う断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態における太陽電池付腕時計の部分縦断面図である。
【図8】本発明の第2実施形態におけるガラスパッキンの平面図である。
【図9】本発明の第3実施形態における太陽電池付腕時計の部分縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1実施形態)
(太陽電池付腕時計)
次に、この発明の第1実施形態を図1〜図6に基づいて説明する。
図1は、太陽電池付腕時計1の正面図である。図2は、外装ケース2を背面側からみた平面図であって、裏蓋19を取り外した状態を示す。図3は、図1のA−A線に沿う断面図である。図4は、図1のB−B線に沿う断面図である。
尚、以下の説明において、ユーザが太陽電池付腕時計1を装着した状態で、ユーザの腕に接する面を背面側、この背面側とは反対側であって、かつ外方に向く側の面を正面側などと表現して説明する。
【0023】
図1〜図4に示すように、太陽電池付電子機器である太陽電池付腕時計1は、外装ケース2と、この外装ケース2内に収納された時計ムーブメント3と、外装ケース2の中央の大部分に形成され、且つ外装ケース2の厚さ方向に貫通するように形成されたケース開口部4を、表面側(図3、図4における左側)から閉塞するカバーガラス5と、このカバーガラス5の背面側(図3、図4における右側)に取付けられた太陽電池であるソーラーパネル6とを備えている。
【0024】
外装ケース2の側面には、6時側と12時側とにそれぞれ時計バンド(不図示)を取り付けるためのバンド取付け部7a,7bが形成されている。また、外装ケース2の側面には、4つの切替えスイッチ8a〜8dが設けられていると共に、外装ケース2の正面側(図3、図4における左側)であって、且つ6時側には、切替えスイッチ8eが設けられている。これら切替えスイッチ8a〜8eは、後述の液晶パネル21に表示される内容を切替えるためのスイッチである。
【0025】
外装ケース2のケース開口部4には、正面側寄りの内周面に、径方向内側に向かって突出する台座部9が全周に亘って形成されている。これにより、ケース開口部4と台座部9の上面9aとによりカバーガラス収納部10が形成される。このカバーガラス収納部10には、ガラスパッキン15を介してカバーガラス5が嵌め込まれる。
【0026】
(ガラスパッキン)
図5は、ガラスパッキン15の平面図である。
図3〜図5に示すように、ガラスパッキン15は、平面視でケース開口部4に対応するように略リング状に形成され、且つ断面略L字状に形成されたものである。すなわち、ガラスパッキン15は、ケース開口部4の内周面に沿って配置されるパッキン本体16と、このパッキン本体16の背面側端から径方向内側に向かって屈曲延出するフランジ部17とにより構成されている。そして、パッキン本体16は、カバーガラス5の側面5aとケース開口部4の内周面との間に介在し、両者5a,4により僅かに圧縮変形する。
【0027】
また、台座部9には、カバーガラス5の外周部5bが載置される。このため、この外周部5bの背面と、台座部9の上面9aとの間にガラスパッキン15のフランジ部17が介在し、カバーガラス5と台座部9とによりフランジ部17が圧縮変形する。これにより、外装ケース2とカバーガラス5との間のシール性が確実に確保される。
【0028】
図1〜図4に戻り、台座部9の内周部側全周には、正面側に凹部11が形成されている。この凹部11には、ソーラーパネル6の外周部が載置される。
ソーラーパネル6は、ガラス基板12を有している。ガラス基板12は、この投影面積がカバーガラス5の投影面積よりもやや小さくなる程度に形成され、カバーガラス5の面方向中央の大部分に亘って配置されている。換言すれば、ガラス基板12は、凹部11の外形状に対応するように形成されている。このため、凹部11にガラス基板12が載置されることによって、ガラス基板12の厚さ方向、面方向の位置決めが行われる。
【0029】
ガラス基板12の外周部はセル形成領域13に設定されており、このセル形成領域13の一面(図3における右側の面)に、複数の太陽電池セル13aが周方向全体に亘って配置されている。各太陽電池セル13aは、内部にPN接合やPIN接合などの半導体接合を有し、単結晶シリコンや多結晶シリコン、アモルファスシリコンなどのシリコン半導体材料、GaAsやCuInSeなどの化合物系半導体材料、色素増感系など一般的な太陽電池材料などからなるものが用いられる。
尚、図1、図2においては、ガラス基板12のセル形成領域13のみ図示し、太陽電池セル13aの図示を省略している。
【0030】
ここで、ガラス基板12が載置されている凹部11の深さは、ガラス基板12の厚さと略一致するように設定されている。これにより、凹部11にガラス基板12を載置した状態では、このガラス基板12と台座部9の上面9aとがほぼ面一になる。一方、台座部9の上面9aとカバーガラス5との間には、ガラスパッキン15のフランジ部17が介在しているので、カバーガラス5とソーラーパネル6との間には、所定の間隙K1が形成される。この、間隙K1は、周囲がカバーガラス5、ソーラーパネル6、台座部9、及びガラスパッキン15によって閉塞される。
【0031】
また、台座部9には、この台座部9を厚さ方向に貫通するように形成された5つの台座開口部14a〜14eがケース開口部4の中央部を中心にして振り分け配置されている。
より具体的には、台座開口部14a〜14eは、台座部9の周方向に沿って長くなるように略長円形状に形成されており、12時側、3時側、5時側、7時側、及び9時側の方向にそれぞれ形成されている。そして、台座部9の背面側は、台座開口部14a〜14eを介してガラスパッキン15のフランジ部17が露出した状態になる。
【0032】
すなわち、12時側に形成された台座開口部14aからは、この短手方向中央から一側に至る領域R1(図1におけるハッチ部の領域R1)に、ケース開口部4の内周面、つまり、ガラスパッキン15を構成するパッキン本体16の外周縁から、ガラスパッキン15を構成するフランジ部17の内周縁に至る間の領域が露出した状態になる。
【0033】
また、3時側に形成された台座開口部14b、5時側に形成された台座開口部14c、7時側に形成された台座開口部14d、及び9時側に形成された台座開口部14eからは、それぞれこれら短手方向両側の間のほぼ全体の領域R2、R3,R4,R5(図1におけるハッチ部の領域R2,R3,R4,R5)に、ガラスパッキン15におけるパッキン本体16の外周縁からフランジ部17の内周縁に至る間の領域が露出した状態になる。
尚、各台座開口部14a〜14eの形状は、これら台座開口部14a〜14eからガラスパッキン15のフランジ部17の一部が露出可能な形状であればよく、上述のように、図1、図2に示す形状に限られるものではない。
【0034】
さらに、外装ケース2の背面側には、ケース開口部4の周囲を取り囲むようにパッキン溝18が形成されている。このパッキン溝18に不図示の裏蓋パッキンを装着した上から、ケース開口部4の背面側を閉塞するように裏蓋19が設けられている。そして、外装ケース2内の裏蓋19と、台座部9との間の空間AR1に、時計ムーブメント3が配置されている。
【0035】
時計ムーブメント3は、略リング状に形成されたパネル枠20を有している。外装ケース2に形成されている台座部9は背面側が時計ムーブメント受け面9bとされ、この時計ムーブメント受け面9bに、パネル枠20が取り付けられている。
パネル枠20には、正面側に液晶パネル21が保持されている。すなわち、液晶パネル21は、パネル枠20を介して外装ケース2に取り付けられた状態になっている。
【0036】
液晶パネル21は、一対のガラス基板22a,22b間に液晶が封入されたものであって、時刻表示等を行う。また、液晶パネル21の背面側には、この液晶パネル21を背面側から証明するEL(Electroluminescence)パネル23が設けられている。
【0037】
ここで、液晶パネル21の正面側に、この液晶パネル21の正面全体を覆うようにソーラーパネル6が配置され、ユーザからは液晶パネル21の前面がソーラーパネル6により遮られることになる。しかしながら、ソーラーパネル6は、ガラス基板12と、ガラス基板12の一面に形成された太陽電池セル13aとを備えた構成になっており、太陽電池セル13aは、ガラス基板12の外周部に設定されているセル形成領域13に形成されている。このため、ユーザは、ソーラーパネル6を介して液晶パネル21の表示内容を視認することができる。
【0038】
パネル枠20のELパネル23よりも背面側には、回路基板24が設けられている。回路基板24の表面には、所定の配線パターンが形成されている。この配線パターンの所定の位置には、それぞれ電子部品が実装されている。電子部品としては、液晶パネル21に表示する内容や時刻の発振を司るICチップやコンデンサ等が挙げられる。
また、回路基板24の正面側であって、かつ液晶パネル21の外周部に対応する位置には、回路基板24と液晶パネル21とに跨るように、導電性ゴム25が設けられている。
この導電性ゴム25を介して、回路基板24と液晶パネル21とが電気的に接続される。
【0039】
ここで、回路基板24、及びソーラーパネル6も互いに電気的に接続されている。
図6は、図1のC−C線に沿う断面図である。
図1、図6に示すように、回路基板24の12時側には、回路基板24とソーラーパネル6とに跨る接続端子26が2つ立設されている。接続端子26は、例えばコイルバネからなる導電部材である。外装ケース2の接続端子26に対応する部位には、それぞれ接続端子26を挿通可能な挿通孔9bが形成されている。この挿通孔9bを介して接続端子26の一端が回路基板24に接続されると共に、他端がソーラーパネル6の太陽電池セル13aに接続されている。これにより、回路基板24と太陽電池セル13aとが電気的に接続される。尚、接続端子26は、コイルバネに限られるものではなく、例えば導電性ゴムを使用してもよい。
【0040】
図3に示すように、回路基板24の背面側には、各電子部品の駆動電源となるボタン型の二次電池27が実装されている。回路基板24の背面側には電池端子27aが設けられており、この電池端子27aを介して二次電池27と回路基板24とが電気的に接続される。また、二次電池27は、回路基板24に固定されている電池枠28に保持されている。
また、回路基板24の外周縁には、外装ケース2の側面に設けられている4つの切替えスイッチ8a〜8dが電気的に接続されている。これにより、切替えスイッチ8a〜8dの操作に基づいて液晶パネル21の表示が切り替わる。
【0041】
さらに、回路基板24の6時側には、サブ基板33が設けられている。このサブ基板33は、外装ケース2の6時側に設けられている切替えスイッチ8eと回路基板24とを電気的に接続するためのものである。切替えスイッチ8eは、ラバースイッチ29を介してサブ基板33に接触・離反するようになっている。また、サブ基板33と回路基板24との間には、両者28,24に跨るコネクタ端子30が設けられている。コネクタ端子30は、導電性ゴムやコイルバネ等からなるものであって、サブ基板33と回路基板24とを電気的に接続している。これにより、切替えスイッチ8eの操作に基づいて液晶パネル21の表示が切り替わる。
【0042】
また、裏蓋19の内面には、圧電ブザー31が設けられている。圧電ブザー31は、厚み方向に分極された圧電セラミックス薄板(圧電素子)と薄い金属(又は樹脂)振動板とを貼り合わせたものである。
ここで、時計ムーブメント3には、裏蓋19側に向かって裏蓋押さえ32が突設されている。この裏蓋押さえ32によって、裏蓋19のばたつきが抑えられるようになっている。
【0043】
(カバーガラス取り外し方法)
次に、外装ケース2からのカバーガラス5の取り外し方法について説明する。
まず、外装ケース2から裏蓋19を取り外し、さらに、時計ムーブメント3を取り外す。このとき、外装ケース2の背面側は、中央の大部分にソーラーパネル6が露出した状態になると共に、各台座開口部14a〜14eが露出した状態になる。さらに、各台座開口部14a〜14eを介し、ガラスパッキン15のフランジ部17が露出した状態になる(図1における領域R1〜R5参照)。
【0044】
このため、各台座開口部14a〜14eを介して不図示の治具等を用いてガラスパッキン15のフランジ部17を直接押圧し、カバーガラス5を外側へと押出すことができる。
ここで、各台座開口部14a〜14eは、ケース開口部4の中央部を中心にして、つまり、カバーガラス5の面方向中央部を中心にして振り分け配置されている。より具体的には、台座開口部14a〜14eは、台座部9の周方向に沿って長くなるように略長円形状に形成されており、12時側、3時側、5時側、7時側、及び9時側の方向にそれぞれ形成されている。このため、カバーガラス5の外周部全体に亘ってバランスよく荷重をかけながらカバーガラス5を外側へと押出し、カバーガラス5を取り外すことができる。
【0045】
また、カバーガラス5は、ガラスパッキン15を僅かに押し潰すように圧縮変形させた状態で外装ケース2のカバーガラス収納部10に嵌まり込んでいる。このため、カバーガラス5を外側へと押出すために必要な押圧力は、例えば、10kgf〜20kgf程度になる。しかしながら、ガラスパッキン15を押圧するので、ソーラーパネル6に押圧力が伝達されることなく、カバーガラス5を取り外すことができる。
【0046】
したがって、上述の第1実施形態によれば、カバーガラス5を取り外す際、ソーラーパネル6の損傷を防止できる。
また、各台座開口部14a〜14eを、カバーガラス5の中央部を中心にして振り分け配置することにより、カバーガラス5の外周部全体に亘ってバランスよく荷重をかけながらカバーガラス5を外側へと押出し、カバーガラス5を取り外すことができる。このため、カバーガラス5に局所的な荷重がかかり、カバーガラス5が損傷してしまうことを防止できると共に、容易にカバーガラス5を取り外すことが可能になる。
【0047】
(第2実施形態)
次に、この発明の第2実施形態を図7、図8に基づいて説明する。尚、第1実施形態と同一態様には、同一符号を付して説明する(以下の実施形態についても同様)。
図7は、太陽電池付腕時計101の部分縦断面図であって、図3の一部と対応している。図8は、ガラスパッキン115の平面図である。
【0048】
この第2実施形態において、太陽電池付腕時計101は、外装ケース2と、この外装ケース2内に収納された時計ムーブメント3と、外装ケース2の中央の大部分に外装ケースの厚さ方向に貫通するように形成されたケース開口部4を、表面側(図8における左側)から閉塞するカバーガラス5と、このカバーガラス5の背面側(図8における右側)に取付けられた太陽電池であるソーラーパネル6とを備えている点、外装ケース2のケース開口部4には、表面側寄りの内周面に、径方向内側に向かって突出する台座部9が全周に亘って形成されており、この台座部9のカバーガラス収納部10にガラスパッキン115を介してカバーガラス5が取付けられていると共に、台座部9に形成されている凹部11にソーラーパネル6が取付けられている点等の基本的構成は、前述した第1実施形態と同様である(以下の実施形態についても同様)。
【0049】
ここで、前述の第1実施形態とこの第2実施形態の相違点は、第1実施形態のガラスパッキン15と第2実施形態のガラスパッキン115との形状が異なる点にある。
より詳しくは、図7、図8に示すように、第2実施形態のガラスパッキン115には、台座部9に形成されている台座開口部14a〜14eに対応する箇所に、フランジ部17を切除した切除部41が形成されている。すなわち、切除部41は、フランジ部17における12時側、3時側、5時側、7時側、及び9時側の方向にそれぞれ形成されている。
【0050】
このように構成されたガラスパッキン115は、切除部41が形成されている箇所が断面略I字状になる。このため、台座開口部14a〜14eを介してカバーガラス5の外周部が直接露出する。
また、図7に詳示するように、切除部41が形成されることにより、台座開口部14a〜14eと、カバーガラス5とソーラーパネル6との間に形成されている間隙K1とが連通される。すなわち、台座開口部14a〜14eを介して間隙K1と、裏蓋19と台座部9との間に形成されている空間AR1とが連通される。
【0051】
このような構成のもと、間隙K1と空間AR1との間で台座開口部14a〜14eを介して空気が移動する。つまり、例えば外装ケース2内の空間AR1に水が侵入した場合、水分を含んだ空気が台座開口部14a〜14eを介して間隙K1側へと流通される(図7における矢印Y1参照)。
このような状態で、太陽電池付腕時計101の防水検査を行うにあたって外装ケース2内の温度を上昇させると、間隙K1に流通した水分がカバーガラス5に付着したときにこのカバーガラス5の背面で結露する。このため、外装ケース2内に水が浸入したことを確認することができる。
【0052】
ここで、間隙K1と空間AR1とが台座開口部14a〜14eを介して連通していない場合、間隙K1、及び空間AR1の空気の移動が制限されてしまう。つまり、例えば外装ケース2内の空間AR1に水が侵入した場合であっても、水分を含んだ空気が間隙K1へと流通することがない。このため、外装ケース2内の温度を上昇させた場合であってもカバーガラス5が結露することがない。
【0053】
したがって、上述の第2実施形態によれば、ガラスパッキン115のフランジ部17に切除部41を形成することにより、カバーガラス5とソーラーパネル6との間に形成されている間隙K1と、裏蓋19と台座部9との間に形成されている空間AR1との間の空気の移動をスムーズに行うことができる。このため、防水検査を高精度に行うことが可能になる。
【0054】
しかも、ガラスパッキン115の切除部41は、台座部9の台座開口部14a〜14eに対応する位置に形成されているので、この分、台座開口部14a〜14eをガラスパッキン115のフランジ部17が塞ぐこともなく、台座開口部14a〜14eを大きく開口させることができる。このため、確実に間隙K1と空間AR1との間の空気の移動をスムーズに行うことが可能になる。
【0055】
また、台座開口部14a〜14eを介してカバーガラス5の外周部が直接露出するので、このカバーガラス5の外周部を直接押圧することが可能になる。このため、カバーガラス5に押圧力が効率よく伝達され、さらに容易にカバーガラス5を取り外すことが可能になる。
【0056】
尚、上述の第2実施形態では、ガラスパッキン115のフランジ部17には、台座部9に形成されている台座開口部14a〜14eに対応する箇所に、フランジ部17を切除した切除部41を形成した場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、フランジ部17の台座開口部14a〜14eを避けた位置に切除部41を形成してもよい。このような場合であっても、各台座開口部14a〜14eの開口面積を、ガラスパッキン115のフランジ部17によって完全に閉塞されない大きさに設定すればよい。
【0057】
(第3実施形態)
次に、この発明の第3実施形態を図9に基づいて説明する。
図9は、太陽電池付腕時計201の部分縦断面図であって、図3の一部と対応している。
ここで、前述の第1実施形態とこの第3実施形態の相違点は、第1実施形態のガラスパッキン15と第3実施形態のガラスパッキン215との形状が異なる点にある。
【0058】
より詳しくは、図9に示すように、ガラスパッキン215は、外装ケース2のケース開口部4の内周面に沿って配置されるパッキン本体16と、このパッキン本体16の背面側端から径方向内側に向かって屈曲延出するフランジ部17とにより構成されている点は、前述の第1実施形態のガラスパッキン15と同一であるが、フランジ部17の台座開口部14a〜14eに対応する箇所に、これら台座開口部14a〜14eに向かって臨まされる凸部51が立設されている。
【0059】
このような構成のもと、外装ケース2からカバーガラス5を取り外す際、台座開口部14a〜14eに臨まされた凸部51を不図示の治具等を用いて押圧する。これにより、カバーガラス5を外側へと押出し、取り外すことができる。
【0060】
したがって、上述の第3実施形態によれば、ガラスパッキン215に、それぞれ台座開口部14a〜14eに臨まされた凸部51が立設されているので、台座開口部14a〜14eを介してガラスパッキン215を押圧する際、このガラスパッキン215に荷重をかけ易くすることができる。すなわち、ガラスパッキン215を介したカバーガラス5への押圧力の伝達を容易にすることができる。このため、凸部51が形成されていない場合と比較して、カバーガラス5の取り外し作業を容易に行うことが可能になる。
【0061】
尚、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
例えば、上述の実施形態では、太陽電池付電子機器として、太陽電池付腕時計1,101,201に本発明を適用した場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、カバーガラスの背面にソーラーパネルを配置し、外装ケースの開口部をカバーガラスにより閉塞するように構成されたさまざまな太陽電池付電子機器に本発明を適用することが可能である。
【0062】
また、上述の実施形態では、外装ケース2の台座部9には、12時側、3時側、5時側、7時側、及び9時側に、それぞれ台座開口部14a〜14eが5つ形成されている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、ケース開口部4の中央部を中心にして、つまり、カバーガラス5の面方向中央部を中心にして振り分け配置されていればよい。換言すれば、例えば、各台座開口部14a〜14eを線で結んで囲まれる領域内に、カバーガラス5の面方向中央部が存在するように、それぞれ台座開口部14a〜14eを配置すればよい。
【0063】
さらに、台座開口部14a〜14eを5つ形成する必要はなく、少なくとも1つ、好ましくは2つ以上台座開口部が形成されていればよい。
台座開口部を2つ以上形成する場合、各台座開口部を、カバーガラス5の面方向中央部を中心にして振り分け配置すればよい。すなわち、例えば、台座開口部を2つに設定した場合、これら2つの台座開口部は、カバーガラス5の面方向中央部を挟んで両側に配置するように構成すればよい。
また、台座開口部を3つ以上に設定した場合、各台座開口部を線で結んで囲まれる領域内に、カバーガラス5の面方向中央部が存在するように、各台座開口部を配置すればよい。
【符号の説明】
【0064】
1,101,201 太陽電池付腕時計(太陽電池付電子機器)
2 外装ケース
4 ケース開口部
5 カバーガラス
6 ソーラーパネル
9 台座部
14a〜14e 台座開口部
15,115,215 ガラスパッキン(パッキン)
16 パッキン本体(本体部)
17 フランジ部
41 切除部
51 凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース開口部を有する外装ケースと、
前記ケース開口部に装着されるパッキンと、
前記ケース開口部に前記パッキンを介して内嵌され、前記ケース開口部を閉塞するように前記外装ケースに取付けられるカバーガラスと、
前記カバーガラスの背面に、このカバーガラスの面方向中央の大部分に亘って配置され、且つ前記カバーガラスと所定間隔をあけて配置されるソーラーパネルとを有し、
前記ケース開口部の内周に、前記カバーガラスの外周部を載置可能、且つ前記ソーラーパネルの面方向の位置決め可能な台座部を形成し、
前記パッキンは、
前記ケース開口部と前記カバーガラスとの間に介装される本体部と、
前記本体部の前記台座部側の端部から延出され、前記カバーガラスと前記台座部との間に介装されるフランジ部とを有し、
前記台座部に、少なくとも前記パッキンの前記フランジ部の一部が露出する台座開口部を形成したことを特徴とする太陽電池付電子機器。
【請求項2】
前記パッキンの一部に、前記フランジ部を切除した切除部を形成したことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池付電子機器。
【請求項3】
前記切除部に対応する箇所に、前記台座開口部を形成したことを特徴とする請求項2に記載の太陽電池付電子機器。
【請求項4】
前記パッキンの前記台座開口部に対応する部位に、この台座開口部に臨まされる凸部を形成したことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載の太陽電池付電子機器。
【請求項5】
前記台座開口部を少なくとも2つ形成し、各台座開口部を、前記カバーガラスの面方向中央部を中心にして振り分け配置したことを特徴とする請求項1〜請求項4の何れかに記載の太陽電池付電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−2920(P2013−2920A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−133530(P2011−133530)
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】