説明

太陽電池回路

【課題】直列接続された太陽電池に作用する光が遮られたときに電力出力が大きく低減するのを防止する。
【解決手段】太陽電池回路50は直列に接続される複数の太陽電池12を含む。少なくとも1つのスイッチング装置42が1以上の太陽電池12のグループの端部間で分路される。スイッチング装置42は、スイッチング装置42が分路される1以上の太陽電池12に作用する光が遮られたとき、回路50のための電流路を与える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広く太陽電池回路に関し、特に、排他的でなく、太陽エネルギを電気エネルギに変換するビルディングの屋根上に使用されるためのものである。
【背景技術】
【0002】
特定の装置のために要求される電圧をつくるために複数の太陽電池が連続して接続される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
木の葉や鳥の排泄物のような異物が、これらの太陽電池の1つ以上を、作用する光から隠すという可能性がある。このような状況において、及び太陽電池の直列接続のために、達成可能な複数の太陽電池の電力出力が大きく低減される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の特徴に関して、ここでは、直列に接続される複数の太陽電池、及び、1以上の太陽電池のグループの端部間に分路される少なくとも1つのスイッチング装置を含み、スイッチング装置は、スイッチング装置が分路される1以上の太陽電池に作用する光が遮られたときに、回路についての電流路を与える太陽電池回路が与えられる。
【0005】
スイッチング装置は、複数のスイッチ装置の1つを含み、各スイッチング装置は1以上の太陽電池の各グループの端部間で分路される。少なくとも1つのスイッチング装置は、ダイオードであり得る。少なくとも1つのダイオードは、0.7V以下の順電圧降下を有し得る。
【0006】
分路される1以上の太陽電池によってダイオードに逆バイアスがかかるように、少なくとも1つダイオードが1以上の太陽電池の端部間で分路されるように、太陽電池が配置され得る。
【0007】
1以上の太陽電池のグループは、太陽エネルギの収集及び太陽エネルギから電気エネルギへの変換のために屋根に配置され得る。
【0008】
少なくとも1つのダイオードは、少なくとも1つのダイオードの漏れ電流を低減するために断熱され得る。
【0009】
少なくとも1つのダイオードは、ダイオードと作用する光との間に配置される断熱材料の層によって、光への露出による熱から断熱され得る。
【0010】
本発明の更なる特徴に関し、複数の太陽電池を直列に接続すること、及び、1以上の太陽電池のグループの端部間で少なくとも1つのスイッチング装置を分路すること、を含む太陽電池回路の接続方法が与えられる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、太陽電池回路の斜視図を示す。
【図2】図2は、作用する光から遮られた多数の太陽電池の機能としての太陽電池回路の開回路電圧のグラフを示す。
【図3】図3は、図1の太陽電池回路の回路図を示す。
【図4】図4は、本発明の実施形態に関する太陽電池回路の回路図を示す。
【図5】図5は、作用する光から遮られた太陽電池を有する図4の太陽電池回路の回路図を示す。
【図6】図6は、本発明の更なる実施形態に関する太陽電池回路の回路図である。
【図7】図7は、図6に示すタイプの2つの太陽電池回路の直列接続を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、複数の太陽電池12a−12i(以下、一般に「太陽電池12」又は「電池12」と参照する)を含む光起電性タイル2を示す。太陽電池に接続される最初及び最後のシリーズは、各バスバー6a及び6bによって、電気ターミナル8a及び8bに接続される。電池12に接続されるシリーズは、太陽電池回路10を構成する。
【0013】
図2は、作用する光源から隠される多くの太陽電池の機能としての太陽電池回路10の開回路電圧22を示すグラフ20を示す。開回路電圧22が、太陽電池が次第に隠されるような実質的に線形方式で減少するということがわかる。
【0014】
図3は、図1に示される太陽電池回路10を構成する太陽電池12の直列接続のためのテスト回路30を示す。テスト回路30は、直列接続された抵抗32及び抵抗32、故に流れる電流を測定するための第1のマルチメータ34、を含む。第2のマルチメータ36が、抵抗32の端部間の電圧を測定するために、抵抗32と並列に接続される。
【0015】
テスト回路30は、作用する光から太陽電池が隠されることの効果をテストするように導かれる実験おいて使用された。流れる電流及び抵抗32を横切る電圧降下は、第1及び第2のマルチメータ34,36のそれぞれによって測定される。これらの測定から、抵抗32による電力低下が計算される。この例及び以下の例において、抵抗は33.3Ωであった。
【0016】
第1のテストにおいて、作用する光から隠れる太陽電池12はなかった。電流、電圧、及び抵抗32の電力は以下のようになった(表1)。
【表1】

【0017】
第2のテストにおいて、太陽電池12aは、作用する光から隠された。これらの状況下で、電流、電圧及び抵抗32の電力は、以下のようになった(表2)。
【表2】

【0018】
第2のテストにおいて、1つの太陽電池12を隠すことは、いずれの太陽電池12をも隠されていないときの電力出力の0.76%の電力出力の低下をもたらした。
【0019】
図4は、同じテスト回路30に接続される本発明の実施形態に関する太陽電池回路40を示す。太陽電池回路40は、直列に接続される複数の太陽電池12と、太陽電池12aに並列に接続されるダイオード42の形式のスイッチング装置とを含む。この例において、ダイオード42は、関係する太陽電池12aに逆バイアスがかけられる。もし、太陽電池12aが作用する光から隠された場合には、太陽電池12aは、実質的な開回路として作用するが、ダイオード42は、図5に示すように回路を流れる電流のための代替経路を与える。これは、太陽電池12aが作用する光から隠され、ダイオード又は他のスイッチング装置が存在しない図3を参照して記述される状態よりも少ない電力損失を導く。
【0020】
発明の実施形態の効果は、テスト回路30を用いて以下に説明される。最初は、作用する光から隠れた太陽電池回路40の太陽電池12はなかった。電流及び電圧の測定は、第1及び第2のマルチメータ34,36のそれぞれによってなされた。抵抗32の電流、電圧及び電力は以下の通りである(表3)。
【表3】

【0021】
図5は、太陽電池12aが作用する光から隠された図4の太陽電池回路40を示す。これは、太陽電池12aが開回路13になることをもたらす。この状況において、ダイオード42は、関係する残りの8つの太陽電池12に順バイアスがかけられ、そして電流は、ダイオード42を流れることができる。抵抗32の電流、電圧及び電力は以下の通りである(表4)。
【表4】

【0022】
これは、作用する光から隠された太陽電池12がなく、ダイオードが存在しない構成と比較して41.4%の電力出力を表す。
【0023】
さらに、実験では、様々な太陽電池12がどこで作用する光から隠され、ダイオード42がどこで様々な太陽電池12に並列に接続されるかが導かれる。これらのいくつかの実験結果を示す結果の表が以下に示される(表5)。
【表5】

【0024】
図6は、複数の直列接続された電池12を含み、複数の電池12を端部間に並列に接続されるダイオード42を有する太陽電池回路50の例を示す。図2を参照すると、この回路は、ダイオード42を光起電性タイル2のターミナル8a及び8bを端部間に配置されるダイオード42によって実現される。ダイオード42は、各太陽電池12に逆バイアスがかけられる。結果として、1以上の電池が作用する光から隠され、ダイオード42は電流が流れる代替経路を与えることができる。これは、複数の太陽電池回路50、及び特別に複数の光起電性タイル2が以下に記述されるように直列に接続されたときに特に有利である。
【0025】
太陽電池回路50は、図7に示すように、さらに太陽電池回路50に直列に接続され得る。これは、光起電性タイル2が各ターミナル8a,8bを端部間のダイオード42を有する光起電性タイル2の直列接続と等しい。もし、1つの太陽電池回路50からの電池12が作用する光から隠された場合、各太陽電池回路50の各ダイオード42は、電流が流れる代替経路を与えることができる。この方法において、1以上の電池12を作用する光から隠すことは、ダイオード又は他のスイッチング装置が各太陽電池回路50を端部間に接続されていない場合の電力損失と同じ大きさの結果とはならない。
【0026】
もう1つの実施形態において、ダイオード42は、複数の太陽電池12、例えば、太陽エネルギシステムが取り付けられた屋根における光起電性タイル2の配列の端部間に適用され得る。これは、構成要素である太陽電池12が、作用する太陽光から遮られたときに、電圧降下に打ち勝つための高い電圧を得ることができるという有利性を与え得る。
【0027】
各太陽電池回路50のダイオード42の並列接続は、作用する光から遮られている各太陽電池回路50の1以上の電池12の逆の効果をローカライズする。もし、太陽電池回路50の直列接続が、例えば100V以上の範囲の充分な高電圧をつくっているときは、ダイオードの端部間の電圧降下を無視できるであろう。これは、例えば、作用する1以上の電池12からの光の遮断が、もし、ダイオードが存在しないか、又は他のスイッチング装置が存在する場合と同じ達成可能な電圧を低下させない手段が与えられる間、インバータを作動させるのに十分な高い電圧をつくるように使用されることを複数の直列接続された太陽電池回路50(例えば光起電性タイル2)に許容する。
【0028】
詳細な例において、ダイオード42は、太陽システムが取り付けられた屋根に連動して使用され得る。特に、屋根が、直列に接続される複数の光起電性タイル2に取り付けられるように配置されるとき、ダイオード42は、1以上の太陽電池12が作用する光から遮られる場合の逆の効果を低減するために、いかなる太陽電池12の組み合わせにも並列で接続され得る。
【0029】
ある実施形態において、ダイオード42は、例えば、作用する太陽光の熱から断熱される。この方法において、ダイオード42の温度に依存するダイオード42の漏れ電流は、ある程度低減され得る。光起電性タイル2が屋根に取り付けられるか、又は屋根の太陽エネルギシステムの部分を形成するとき、ダイオード42は、ダイオード42と作用する太陽光との間に配置される層によって、作用する太陽光の熱から断熱され得る。層は、例えば、光起電性タイル2の要素間のエアーギャップ又は他の断熱手段のような、1又は複数の断熱材料であり得る。いかなる形式の効果的な断熱をも、ダイオード42の漏れ電流を低減するために使用され得る。例えば、冷却装置、フィンを有する金属性のラジエータやファンのようなダイオード42からの熱放射を放出するために配置される装置のような他の装置が、ダイオード42を冷却するために使用され得る。
【0030】
本発明は、詳細な例を参照して記述されたが、多くの他の形式によって本発明が具体化され得るということが当業者に理解されるであろう。例えば、他のタイプのスイッチング装置が、太陽電池が作用する光から遮られた場合に、電流が流れるための代替経路を与えるために太陽電池を端部間で分路され得る。このような装置は、アンチヒューズ又はトランジスタスイッチング装置を含み得る。
【0031】
また、太陽電池回路40は、1つの分路されたスイッチング装置を伴う直列接続された回路として記述されたが、本発明はまた、並列接続された太陽電池回路、又は、スイッチング装置が多数の太陽電池の端部間に配置される、直列及び並列の両方の回路の組み合わせに適用される。代わりに、スイッチング装置は、各太陽電池の端部間に配置され、又は複数の電池の端部間に配置されるスイッチング装置の組み合わせにおいて配置され得る。
さらに、例示された実施形態は、0.7V以下の順電圧降下を伴うダイオードタイプのスイッチング装置を包含するが、順電圧降下が存在しないか、又は類似の順電圧降下を伴うアンチヒューズ又はトランジスタスイッチング装置のような、代わりのスイッチング装置が使用され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列に接続される複数の太陽電池、及び、1以上の太陽電池のグループの端部間に分路される少なくとも1つのスイッチング装置を含み、スイッチング装置は、スイッチング装置が分路される1以上の太陽電池に作用する光が遮られたときに、回路についての電流路を与える太陽電池回路。
【請求項2】
スイッチング装置は、複数のスイッチング装置であり、各スイッチング装置が1以上の太陽電池の各グループの端部間で分路される請求項1に記載の太陽電池回路。
【請求項3】
少なくとも1つのスイッチング装置がダイオードである請求項1又は2に記載の太陽電池回路。
【請求項4】
少なくとも1つのダイオードが0.7V以下の順電圧降下を有する請求項3に記載の太陽電池回路。
【請求項5】
少なくとも1つのスイッチング装置がアンチヒューズ又はトランジスタスイッチング装置である請求項3に記載の太陽電池回路。
【請求項6】
少なくとも1つのダイオードが、ダイオードが分路された1以上の太陽電池によって逆バイアスがかけられるような方式で、1以上の太陽電池の端部間で分路される請求項3から5のいずれか1項に記載の太陽電池。
【請求項7】
1以上の太陽電池のグループが太陽エネルギの収集及び太陽エネルギの電気エネルギへの変換のために屋根に配置される請求項1から6のいずれか1項に記載の太陽電池回路。
【請求項8】
少なくとも1つのダイオードが、少なくとも1つのダイオードの漏れ電流を低減するために、断熱される請求項1から7のいずれか1項に記載の太陽電池回路。
【請求項9】
少なくとも1つのダイオードが、ダイオードと作用する光との間に設けられる断熱材料の層によって、光への露出による熱から断熱される請求項8に記載の太陽電池回路。
【請求項10】
複数の太陽電池を直列に接続すること、及び、1以上の太陽電池のグループの端部間の少なくとも1つのスイッチング装置を分路すること、を含む太陽電池回路の接続方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−67945(P2010−67945A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−111378(P2009−111378)
【出願日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(509123921)オルターナティブ エナジー テクノロジー ピーティーイー. リミテッド. (1)
【氏名又は名称原語表記】ALTERNATIVE ENERGY TECHNOLOGY PTE.LTD.
【住所又は居所原語表記】158 Cecil Street#07−00, The Spazio, Singapore 069545
【Fターム(参考)】