説明

太陽電池架台

【課題】多くの部品点数を必要とせず、太陽電池モジュールの傾斜角度を変更するための工具が不要で太陽電池モジュールの傾斜角度を変更する際の作業効率を向上させることができる太陽電池架台を提供する。
【解決手段】高さの異なる複数の支柱孔6が設けられた支柱1と、支柱1の上部に回動機構4を介して傾斜可能に取り付けられた、ブレード孔7が設けられた保持ブレード2と、複数の支柱孔6から任意に選択される1つの支柱孔とブレード孔7とに掛け渡されて保持ブレード2を所定の傾斜角度で固定する支持棒3と、を備え、支持棒3が複数の個所で屈曲されており、この支持棒3の支柱孔貫通部bが支柱孔6を貫通し、支持棒3のブレード孔貫通部dがブレード孔7を貫通するように構成されているものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池架台に関し、詳細には、太陽電池モジュールの傾斜角度を変えることができる太陽電池架台に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
従来、太陽光発電システムにおいて効率良く発電させるため、季節によって変化する太陽高度に応じて太陽電池モジュールの傾斜角度を変えることで、太陽からの入射光が多くなるように構成された太陽電池架台が知られている。
【0003】
このようなものとしては、例えば、支柱と支持棒とで構成されているものがある。支柱は、その支柱の長さ方向略中央位置に一対の側壁を持つブラケットが固着され、このブラケットの各側壁には高さの異なる複数の孔が設けられている。さらに、支柱の上部には回動機構を介して太陽電池モジュールが傾斜可能に取り付けられている。
【0004】
また、支持棒は、上端が太陽電池モジュールに傾斜可能に取り付けられており、下端には孔が設けられ、一対の側壁の間(すなわち、ブラケット内)に挿入される。
【0005】
このような構成により、太陽電池モジュールの傾斜角度を固定させる際には、支持棒の下端が一対の側壁の間に挿入された状態で、各側壁に設けられた高さの異なる複数の孔のうち任意の高さに設けられた孔を選び、この選ばれた孔の高さと支持棒の下端に設けられた孔の高さとを合わせて、これらの孔内に1本のボルトを貫通させる。そして、ボルトの先端にナットをねじ込むことにより支持棒をブラケットに連結させて太陽電池モジュールの傾斜角度を固定する。
【0006】
また、太陽電池モジュールの傾斜角度を変更する際には、ナットを外してボルトを抜き出し、各側壁に設けられた高さの異なる複数の孔のうち、他の高さの孔を選択する。そして、上記と同様に再び支持棒をブラケットに連結させる作業を行う(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−170790号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上述した特許文献1に提案されている太陽電池架台によれば、ブラケット、ボルト及びナット等の構成を設けることが必要となり、部品点数の増加やコストの上昇という問題がある。
【0009】
また、このように太陽電池モジュールの傾斜角度を固定するための部品点数が多いことや傾斜角度を変更するたびにボルトをしめたりゆるめたりするための工具を必要とすることは、太陽電池モジュールの傾斜角度を変更する度にこれらの部品を個々に取り外し、取り付けを行う必要があり、作業効率が低下するという問題がある。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、多くの部品点数を必要とせず工具も不要で、太陽電池モジュールの傾斜角度を変更する際の作業効率を向上させることができる太陽電池架台を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る太陽電池架台は、支持棒が複数の個所で屈曲されており、この支持棒の一部が支柱に設けられた孔(支柱孔)を貫通し、他の一部が太陽電池モジュールを保持する梁を支える部材である保持ブレードに設けられた孔(ブレード孔)を貫通するように構成されているため、ナットやボルトを用いることなく太陽電池モジュールの傾斜角度を固定することができ、さらに、傾斜角度を変更する際には工具を使わずに支持棒を回転させることで支柱孔から支持棒を外したり、支柱孔へ支持棒を貫通させたりすることができるものである。
【0012】
すなわち、本発明に係る太陽電池架台は、高さの異なる複数の支柱孔が設けられた支柱と、前記支柱の上部に回動機構を介して傾斜可能に取り付けられた、ブレード孔が設けられた保持ブレードと、前記複数の支柱孔から任意に選択される1つの支柱孔と前記ブレード孔とに掛け渡されて前記保持ブレードを所定の傾斜角度で固定する支持棒と、を備え、前記支持棒は、先端部と、前記先端部に対して略直角であり、前記支柱孔のうちの1つを貫通する支柱孔貫通部と、前記支柱孔貫通部および前記先端部に対して略直角である第1連結部と、前記第1連結部に対して略直角であり、前記ブレード孔を貫通するブレード孔貫通部と、前記ブレード孔貫通部に対して略直角である第2連結部と、を有し、前記支柱孔貫通部と前記ブレード孔貫通部とは略平行であることを特徴とする。
【0013】
このように構成された本発明に係る太陽電池架台によれば、支柱孔貫通部と先端部とが略直角であり、支柱孔貫通部と第1連結部とが略直角であるため、風荷重を受けても、支柱孔貫通部に隣接する先端部あるいは第1連結部が支柱の面に当たるため、これにより、支柱孔貫通部が支柱孔から外れてしまうのを防ぐことができる。
【0014】
また、ブレード孔貫通部と第1連結部とが略直角であり、ブレード孔貫通部と第2連結部とが略直角であるため、風荷重を受けても、ブレード孔貫通部に隣接する第1連結部あるいは第2連結部が保持ブレードの面に当たるため、ブレード孔貫通部がブレード孔から外れてしまうのを防ぐことができる。
【0015】
このため、ナットやボルトを用いることなく支持棒を支柱および保持ブレードに自立的に保持固定することが可能であり、多くの部品点数を必要とせず、太陽電池モジュールの傾斜角度を変更する際の作業効率を向上させることができる。
【0016】
さらに、支柱孔貫通部とブレード孔貫通部とが略平行であること、また、先端部が支柱孔貫通部および第1連結部と略直角であることにより、保持ブレードの傾斜角度を変更するために支持棒を第1連結部を回転軸として回転させ、支柱孔から支柱貫通部および先端部を外す場合や、支柱孔へ支柱孔貫通部および先端部を貫通させる場合に、先端部やブレード孔に貫通しているブレード孔貫通部によって支持棒の動きが妨げられるのを防止することができる。
【0017】
また、本発明に係る太陽電池架台においては、前記支持棒は、前記第2連結部に対して略直角であるハンドル部を有し、前記先端部は水平方向よりも上向きに曲げられており、前記ブレード孔貫通部と前記ハンドル部とは、前記第2連結部に対して互いに反対方向に曲げられ、前記支柱孔貫通部と前記ブレード孔貫通部とは、前記第1連結部に対して互いに反対方向に曲げられている構成とすることが好ましい。
【0018】
このように構成された本発明に係る太陽電池架台によれば、第2連結部に対して略直角であるハンドル部が設けられていることにより、支柱孔貫通部が支柱孔に貫通し、ブレード孔貫通部がブレード孔に貫通している状態においては、ハンドル部の質量により、第1連結部を回転軸として、ハンドル部の端のうち第2連結部と反対側の端が下がる方向にトルクが発生する。
【0019】
そして、ブレード孔貫通部とハンドル部とが第2連結部に対して互いに反対方向に曲げられているため、ブレード孔貫通部には、第1連結部と反対側(第2連結部側)の端が下がる方向にトルクが働く。
【0020】
また、支柱孔貫通部とブレード孔貫通部とは、第1連結部に対して互いに反対方向に曲げられているため、支柱孔貫通部には、第1連結部と反対側(先端部側)の端が上がる方向にトルクが働く。
【0021】
これにより、水平方向よりも上向きに曲げられている先端部には、この先端部の上端が支柱に押しつけられる方向に力が働くため、支柱孔から支柱孔貫通部が外れてしまうことを一層防止することができる。
【0022】
さらに、本発明に係る太陽電池架台においては、第1連結部を回転軸としたときの、ハンドル部、第2連結部およびブレード孔貫通部の質量による回転モーメントが、支柱孔貫通部および先端部の質量による回転モーメントより大きくなるように、各部分の質量や長さが設定されていることが好ましい。
【0023】
このように構成された本発明に係る太陽電池架台によれば、ブレード孔貫通部の第2連結部側の端が下がる方向のモーメントの方が、支柱孔貫通部の先端部側の端が下がる方向のモーメントよりも大きくなるため、支柱孔から支柱孔貫通部が外れてしまうことをより確実に防止することができる。
【0024】
なお、先端部を水平面より下向に曲げている場合は、ハンドル部を第2連結部に対してブレード孔貫通部と同じ方向に曲げることで、同じ効果を生むことができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る太陽電池架台によれば、多くの部品点数を必要とせず、太陽電池モジュールの傾斜角度を変更する際にも工具が不要であることから作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本実施例の太陽電池架台100の保持ブレード2が夏季用の傾斜角度に固定された状態を示す側面図である。
【図2】本実施例の太陽電池架台100の保持ブレード2が冬季用の傾斜角度に固定された状態を示す側面図である。
【図3】図1、図2の支持棒3の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図1〜図3に基づいて本発明の最良の実施形態としての太陽電池架台100について説明する。
【0028】
図1は、本実施例の太陽電池架台100の保持ブレード2が夏季用の傾斜角度に固定された状態を示す側面図であり、図2は、本実施例の太陽電池架台100の保持ブレード2が冬季用の傾斜角度に固定された状態を示す側面図であり、図3は、図1、図2の支持棒3の構成を示す斜視図である。
【0029】
本実施例の太陽電池架台100は、図1、2に示すように、支柱1と、保持ブレード2と、支持棒3と、を備えている。
【0030】
支柱1は、例えば、コの字形のものであり、その下部が地中に埋め込まれて固定されている。また、支柱1には、地表面からの高さの異なる(すなわち、後述するピン4からの距離が異なる)2つの支柱孔6(6a、6b)が設けられており、これら支柱孔6a、6bの内径はいずれも支持棒3の外径より大きい。
【0031】
保持ブレード2は、太陽電池モジュール8を保持する複数の梁5(本例では、コ字状断面を有するもの)を支える部材(本例では、L字状断面を有するもの)である。この保持ブレード2は、支柱1に対して回動可能に軸支されていて、支柱1の上部に設けられたピン(回動機構)4を介して支柱1に対して傾斜可能に取り付けられている(ピン構造)。また、この保持ブレード2の一部には、ブレード孔7が設けられており、このブレード孔7の径は支持棒3の径より大きい。
【0032】
支持棒3は、図3に示すように、略均一の太さである1本の棒を複数の個所で屈曲させたものであり、先端部aと、支柱孔貫通部bと、第1連結部cと、ブレード孔貫通部dと、第2連結部eと、ハンドル部fと、を有している。
【0033】
そして、支柱孔貫通部bは先端部aに対して略直角であり、第1連結部cは支柱孔貫通部bおよび先端部aに対して略直角であり、ブレード孔貫通部dは第1連結部cに対して略直角であり、第2連結部eはブレード孔貫通部dに対して略直角であり、ハンドル部fは第2連結部eに対して略直角である。
【0034】
また、第1連結部cと第2連結部eとは、支柱孔貫通部bを支柱孔6に貫通させ、ブレード孔貫通部dをブレード孔7に貫通させた場合に第2連結部eおよびハンドル部fが太陽電池モジュール8や梁5に当たらないように、所定の角度で曲げられている。
【0035】
さらに、ブレード孔貫通部dとハンドル部fとは、第2連結部eに対して互いに反対方向に曲げられている。上記のように、ブレード孔貫通部dと第2連結部eとは略直角であって、第2連結部eとハンドル部fとは略直角であるため、ブレード孔貫通部dとハンドル部fとは略平行の位置関係となっている。
【0036】
そして、支柱孔貫通部bとブレード孔貫通部dとは、第1連結部cに対して互いに反対方向に曲げられている。上記のように、支柱孔貫通部bと第1連結部cとは略直角であって、第1連結部cとブレード孔貫通部dとは略直角であるため、支柱孔貫通部bとブレード孔貫通部dとは略平行の位置関係となっている。
【0037】
また、第1連結部cを回転軸として、ハンドル部f、第2連結部eおよびブレード孔貫通部dの質量による回転モーメントは、支柱孔貫通部bおよび先端部aの質量による回転モーメントより十分大きくなるように、各部分の質量や長さが設定されている。
【0038】
次に、太陽電池架台100による作用を[傾斜角度を変更する際の作用]と[通常時の作用]とに分けて説明する。
[傾斜角度を変更する際の作用]
まず、支柱孔6aに先端部aおよび支柱孔貫通部bを貫通させる場合について説明する。支持棒3のブレード孔貫通部dは予めブレード孔7に貫通されており、この状態からハンドル部fを持ち、図3に示すように、ハンドル部fの端のうち第2連結部eと反対側の端f1を上方へ持ち上げるように、第1連結部cを回転軸として支持棒3を矢印g1の回転方向に回転させる。
【0039】
そして、ハンドル部fの傾きが略垂直になるまで支持棒3を回転させると、ハンドル部fと略平行である支柱孔貫通部bおよびブレード孔貫通部dの傾きもまた略垂直になり、先端部aの傾きは略水平になる。さらに、ハンドル部fを上下に動かして、先端部aの端a1の高さを支柱孔6aの高さに合わせる。
【0040】
その後、先端部aを支柱孔6aへ貫通させるとともに、ハンドル部fの端f1を下げてハンドル部fの傾きが略水平になるように、第1連結部cを回転軸として支持棒3を矢印g2の回転方向(矢印g1と反対方向)に回転させる。
【0041】
これにより、先端部aが支柱孔6aへ貫通し、この先端部aの端a1が水平方向よりも上向きとなる。また、傾きが略水平となった支柱孔貫通部bが支柱孔6aへ貫通する。
【0042】
次に、支柱孔6aから先端部aおよび支柱孔貫通部bを外す場合について説明する。この場合には、傾きが略水平であるハンドル部fを持ち、図3に示すように、第1連結部cを回転軸として、ハンドル部fの傾きが略90度回転するよう、支持棒3を矢印g1の回転方向に回転させる。
【0043】
これにより、支柱孔貫通部bの傾きが略90度回転して支柱孔6aから外れ、さらに、傾きが略水平となった先端部aが支柱孔6aから外れる。
【0044】
上記のような作用は、先端部aおよび支柱孔貫通部bを支柱孔6aへ貫通させる場合や支柱孔6aから外す場合に限らず、先端部aおよび支柱孔貫通部bを支柱孔6bへ貫通させる場合や支柱孔6bから外す場合においても同様である。
【0045】
なお、先端部aが支柱孔貫通部bおよび第1連結部cと略直角であることにより、支持棒3を第1連結部cを回転軸として変位(回転)させる際、回転させる前の支柱孔6とブレード孔7との間の距離(支柱孔貫通部bとブレード孔貫通部dと間の距離)と、略90度回転させた後の支柱孔6とブレード孔7との間の距離(先端部aの端a1とブレード孔貫通部dと間の距離)と、の差が少ない(距離の変化が少ない)ので、先端部aや支柱孔貫通部bを支柱孔6a、6bに貫通させる際や、先端部aや支柱孔貫通部bを支柱孔6a、6bから外す際に、ブレード孔7にブレード孔貫通部dが予め貫通されていても支持棒3の動きが妨げられるのを防止することができる(支持棒3の変位を大きくすることなく脱着できる)。
【0046】
また、ブレード孔7がピン4より南側(南半球では北側)に設けられている場合は、夏季には、図1に示すように、先端部aおよび支柱孔貫通部bを支柱孔6aに貫通させて太陽電池モジュール8の水平に対する傾斜角度を小さくし、冬季には、図2に示すように、先端部aおよび支柱孔貫通部bを支柱孔6bに貫通させて太陽電池モジュール3の水平に対する傾斜角度を大きくすることが好ましい。
【0047】
なお、本実施例においては、支柱孔6が高さの異なる2個所に設けられているが、この支柱孔6が設けられる位置は2個所に限られず、高さの異なる3個所以上に設けられていてもよく、例えば、支柱孔6aと支柱孔6bとの間に春季および秋季用の支柱孔6c(図示せず)を設けるように構成することも可能である。
[通常時の作用]
支柱孔貫通部bとブレード孔貫通部dが、第1連結部cに略直角であって、かつ、互いに平行であるため、支持棒3にかかる引張りや圧縮の力を、支柱孔貫通部bやブレード孔貫通部dで垂直に受けることができ、保持ブレード2の傾斜角度を確実に保持できる。
【0048】
さらに、支柱孔貫通部bが支柱孔6(6aあるいは支柱孔6bのいずれか一方)に貫通し、ブレード孔貫通部dがブレード孔7に貫通し、保持ブレード2の傾斜角度が固定されている状態(通常時)において、傾斜角度が略水平である支柱孔貫通部bと先端部aとが略直角であり、かつ、支柱孔貫通部bと第1連結部cとが略直角であるため、支柱孔貫通部bが支柱孔6から外れる方向への動きが規制される。
【0049】
また、傾斜角度が略水平であるブレード孔貫通部dと第1連結部cとが略直角であり、かつ、ブレード孔貫通部dと第2連結部eとが略直角であるため、ブレード孔貫通部dがブレード孔7から外れる方向への動きが規制される。
【0050】
さらに、図3に示すように、通常時においては、ハンドル部fの質量により、第1連結部cを回転軸として、ハンドル部fの端f1が下がる方向にトルクg2が発生する。このトルクg2により、ブレード孔貫通部dには、第1連結部cと反対側(第2連結部e側)の端が下がる方向にトルクが働き、支柱孔貫通部bには、第1連結部cと反対側(先端部a側)の端が上がる方向にトルクが働く。
【0051】
そして、水平方向よりも上向きに曲げられている先端部aには、この先端部aの端(上端)a1が支柱1に押しつけられる方向(図1および図2においては、手前から奥に向かう方向)に力が働き、支柱孔6から先端部aおよび支柱孔貫通部bが外れてしまうことを防ぐ。
【0052】
特に、第1連結部cを回転軸として、ハンドル部f、第2連結部eおよびブレード孔貫通部dの質量による回転モーメントが、支柱孔貫通部bおよび先端部aの質量による回転モーメントより十分大きくなるように設定することで、ブレード貫通孔dの第2連結部e側の端が下がる方向のモーメント(回転中心は第1連結部c)の方が、支柱孔貫通部bの先端部a側の端が下がる方向のモーメントよりも確実に大きくなり、支柱孔6から先端部aおよび支柱孔貫通部bが外れてしまうことをより確実に防止することができる。
【0053】
このように構成された本実施例に係る太陽電池架台100によれば、支柱孔貫通部bと先端部aとが略直角であり、支柱孔貫通部bと第1連結部cとが略直角であるため、風荷重を受けても、支柱孔貫通部bに隣接する先端部aあるいは第1連結部cが支柱1の面に当たるため、支柱孔6から支柱孔貫通部bが一方に容易に滑るのを防止することができ、これにより、支柱孔貫通部bが支柱孔6から外れてしまうのを防ぐことができる。
【0054】
また、ブレード孔貫通部dと第1連結部cとが略直角であり、ブレード孔貫通部dと第2連結部eとが略直角であるため、風荷重を受けても、ブレード孔貫通部dに隣接する第1連結部cあるいは第2連結部eが保持ブレード2の面に当たるため、ブレード孔7からブレード孔貫通部dが一方に容易に滑るのを防止することができ、これにより、ブレード孔貫通部dがブレード孔7から外れてしまうのを防ぐことができる。
【0055】
このため、ナットやボルトを用いることなく支持棒3を支柱1および保持ブレード2に自立的に保持固定することが可能であり、多くの部品点数を必要とせず、工具を用いずに傾斜角度を変更することが可能になることから、太陽電池モジュール8の傾斜角度を変更する際の作業効率を向上させることができる。
【0056】
さらに、先端部aが支柱孔貫通部bおよび第1連結部cに略直角であることにより、支持棒3を第1連結部cを回転軸として変位させたとき、支柱孔貫通部bおよび先端部aとブレード孔貫通部dとの距離の変化が少なく、支柱孔6から先端部aおよび支柱貫通部bを外す際や、支柱孔6へ先端部aおよび支柱孔貫通部bを貫通させる際に、ブレード孔7にブレード孔貫通部dが予め貫通されているとしても、支持棒3の動きが妨げられるのを防止することができる。
【0057】
また、このように構成された本実施例に係る太陽電池架台100によれば、ハンドル部fの質量により、第1連結部cを回転軸として、ハンドル部fの端f1が下がる方向にトルクが発生するため、水平方向よりも上向きに曲げられている先端部aには、この先端部aの上端a1が支柱1に押しつけられる方向に力が働き、支柱孔6から支柱孔貫通部bが外れてしまうことを一層防止することができる。
【0058】
さらに、このように構成された本実施例に係る太陽電池架台100によれば、第1連結部cを回転軸としたとき、ハンドル部f、第2連結部eおよびブレード孔貫通部dの質量による回転モーメントが、支柱孔貫通部bおよび先端部aの質量による回転モーメントより十分大きくなるようにすることで、支柱孔6から支柱孔貫通部bが外れてしまうことをより確実に防止することができる。
【0059】
なお、本発明に係る太陽電池架台は上述のような形態に限定されず、例えば、先端部aを水平面より下向に曲げている場合は、第2連結部eに対してハンドル部fをブレード孔貫通部dと同じ方向に曲げることで、先端部aの端a1が支柱1に押しつけられる方向にモーメントが大きく発生する構成であればよい。
【0060】
また、保持ブレード孔と支柱孔の役割を入れ代え、支柱孔を1つにし、保持ブレード孔を複数個にし、支持棒も逆に差し込むことでも同じ機能を実現できる。
【0061】
以上、本発明の太陽電池架台を実施例に基づき説明してきたが、具体的な構成については、本実施例に限られるものではない。
【符号の説明】
【0062】
1 支柱
2 保持ブレード
3 支持棒
4 ピン(回動機構)
5 梁
6 支柱孔
7 ブレード孔
8 太陽電池モジュール
100 太陽電池架台



【特許請求の範囲】
【請求項1】
高さの異なる複数の支柱孔が設けられた支柱と、
前記支柱の上部に回動機構を介して傾斜可能に取り付けられた、ブレード孔が設けられた保持ブレードと、
前記複数の支柱孔から任意に選択される1つの支柱孔と前記ブレード孔とに掛け渡されて前記保持ブレードを所定の傾斜角度で固定する支持棒と、を備え、
前記支持棒は、先端部と、前記先端部に対して略直角であり、前記支柱孔のうちの1つを貫通する支柱孔貫通部と、前記先端部および前記支柱孔貫通部に対して略直角である第1連結部と、前記第1連結部に対して略直角であり、前記ブレード孔を貫通するブレード孔貫通部と、前記ブレード孔貫通部に対して略直角である第2連結部と、を有し、
前記支柱孔貫通部と前記ブレード孔貫通部とは略平行であることを特徴とする太陽電池架台。
【請求項2】
前記支持棒は、前記第2連結部に対して略直角であるハンドル部を有し、
前記先端部は水平方向よりも上向きに曲げられており、前記ブレード孔貫通部と前記ハンドル部とは、前記第2連結部に対して互いに反対方向に曲げられ、前記支柱孔貫通部と前記ブレード孔貫通部とは、前記第1連結部に対して互いに反対方向に曲げられていることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池架台。
【請求項3】
前記第1連結部を回転軸として、前記ハンドル部、前記第2連結部および前記ブレード孔貫通部の質量による回転モーメントが、前記支柱孔貫通部および前記先端部の質量による回転モーメントより大きく設定されていることを特徴とする請求項2に記載の太陽電池架台。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2011−82433(P2011−82433A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−235157(P2009−235157)
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【出願人】(000144991)株式会社四国総合研究所 (116)
【Fターム(参考)】