説明

太陽電池用バックシートおよび太陽電池モジュール

【課題】太陽電池用バックシートにおいて、安価で、EVAとの接着性に優れた太陽電池用バックシートを提供する。
【解決手段】太陽電池の裏面保護に用いられるバックシートであって、(a)エポキシ変性ポリオレフィン系樹脂組成物からなるフィルムと(b)蒸着PETが積層されていることを特徴とする太陽電池用バックシートにより達成できる。特に(a)エポキシ変性ポリオレフィン系樹脂組成物が、(a−1)ポリオレフィン系樹脂に対して、ラジカル重合開始剤の存在下、(a−2)エポキシ基含有ビニル単量体および(a−3)芳香族ビニル単量体を溶融混練して得られたものであることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エポキシ変性ポリオレフィン系樹脂組成物と蒸着PETが積層された太陽電池用バックシートおよび太陽電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、資源の有効利用や環境汚染の防止などの観点から、太陽光を電気エネルギーに直接変換する太陽電池に関する注目が高まっており、さらなる研究が進められている。
【0003】
太陽電池には、種々の形態があり、代表的なものとして、アモルファスシリコン系太陽電池、結晶シリコン系太陽電池、さらには色素増感型太陽電池などがある。
【0004】
シリコン系太陽電池は、一般に、表面保護材、シリコン発電素子、裏面封止材、バックシート(裏面保護シート)などから構成される。
【0005】
アモルファスシリコン系太陽電池は、シリコンなどの使用量が少ないという利点を有するものの、湿度の影響を受けやすいため、高湿度下においては、水蒸気の浸入により、出力が低下するといった課題があった。この問題を解消するために、耐湿性に優れたバックシートが開発されている。
【0006】
バックシートには、耐湿性を付与し、シリコン発電素子とリード線などの内容物を保護することに加え、耐候性、耐熱性、耐水性、絶縁性、耐腐食性、さらには、裏面封止材として通常使用されるエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)との接着性などが求められる。
【0007】
このようなバックシートとしては、例えば、ポリフッ化ビニル(PVF)/アルミニウム箔/ポリフッ化ビニル(PVF)の3層構造のバックシートが知られ、長年に渡り用いられている(特許文献1)。アルミニウム箔の高い水蒸気バリア性を利用し、ポリフッ化ビニル(PVF)フィルムで、耐候性、絶縁性を付与した構造のバックシートである。しかしながら、ポリフッ化ビニル(PVF)は、裏面封止材として使用されるエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)との接着性に乏しく、また、ポリフッ化ビニル(PVF)が高価であるため、低価格化しにくいという課題があった。また、各フィルムの接着には、接着剤が使用され、コーティング等の加工が必要になり、コストアップの要因の1つになっていた。
【0008】
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム/金属酸化物を蒸着した樹脂フィルム/ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが積層されたバックシートが提案されている(特許文献2)。しかしながら、PETフィルムは、裏面封止材として使用されるエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)との接着性に乏しいという課題があった。裏面封止材として使用されるEVAとの接着性を改善するために、バックシートにプライマーを予め塗布する試みが検討されているが、バックシートのコストアップの要因の1つとなっている。
【0009】
また蒸着PETを使用した場合には、蒸着した金属酸化物の表面に高分子系皮膜層を設けるため、その高分子系皮膜層との接着性が問題となる場合があった。
【0010】
無水マレイン酸変性したポリオレフィン樹脂を接着層としたバックシートが提案されている(特許文献3)。ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂との接着性には優れているが、EVAや蒸着PETとの接着性には、改善の余地があった。
【0011】
一方、接着性に優れた組成物として、エポキシ変性ポリオレフィン系樹脂組成物が知られている(特許文献4)。しかし、無水マレイン酸変性ポリオレフィン系樹脂組成物(特許文献3)の水蒸気バリア性は低く、極性基の導入により、水蒸気バリア性は低下すると予想されることから、高い耐湿性が要求されるバックシートへの適用はいままで検討がなされていなかった。さらに、エポキシ変性ポリオレフィン系樹脂組成物は、接着剤のように塗布して使用するには難易度が高く、バックシートの生産性の低下、コストアップを招くことが予測された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2008−235882号公報
【特許文献2】特開2002−100788号公報
【特許文献3】特開2008−270685号公報
【特許文献4】特開2009−24136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
すなわち、本発明が解決しようとする課題は、安価で、封止材であるEVAとの接着性に優れた太陽電池用バックシートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、本発明のエポキシ変性ポリオレフィンの相構造が、ポリオレフィン系樹脂のマトリックス中に、エポキシ基を含むグラフト鎖がサブミクロンオーダーのドメインを形成していることに着目し、水蒸気バリア性が低下しないことを見出し、さらにはエポキシ変性ポリオレフィン系樹脂組成物をフィルムとして使用することで、EVA、PET、及び蒸着PETとの接着性に優れ、さらにバックシートの生産性を低下させず、コストダウンできる生産方法を見出し、本発明を完成させた。
【0015】
本願発明は以下の構成を有するものである。
【0016】
本発明は、太陽電池の裏面保護に用いられるバックシートであって、(a)エポキシ変性ポリオレフィン系樹脂組成物と(b)蒸着ポリエステル系フィルムが積層されていることを特徴とする太陽電池用バックシートに関する。
【0017】
好ましい実施態様としては、(a)エポキシ変性ポリオレフィン系樹脂組成物が、(a−1)ポリオレフィン系樹脂に対して、ラジカル重合開始剤の存在下、(a−2)エポキシ基含有ビニル単量体および(a−3)芳香族ビニル単量体を溶融混練して得られることを特徴とする太陽電池用バックシートに関する。
【0018】
好ましい実施態様としては、(a)エポキシ変性ポリオレフィン系樹脂組成物が、(a−1)ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、ラジカル重合開始剤の存在下、(a−2)エポキシ基含有ビニル単量体1〜30重量部、および(a−3)芳香族ビニル単量体1〜30重量部を溶融混練して得られることを特徴とする太陽電池用バックシートに関する。
【0019】
好ましい実施態様としては、(a−1)ポリオレフィン系樹脂が、ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする太陽電池用バックシートに関する。
【0020】
好ましい実施態様としては、(a−1)ポリオレフィン系樹脂が、エチレン含有量が5〜15wt%であるプロピレン−エチレン共重合体であることを特徴とする太陽電池用バックシートに関する。
【0021】
好ましい実施態様としては、(a−2)エポキシ基含有ビニル単量体が、メタクリル酸グリシジルであることを特徴とする太陽電池用バックシートに関する。
【0022】
好ましい実施態様としては、(a−3)芳香族ビニル単量体が、スチレンであることを特徴とする太陽電池用バックシートに関する。
【0023】
好ましい実施態様としては、(b)蒸着ポリエステル系フィルムが、シリカ及び/またはアルミナからなる蒸着層を含有し、水蒸気透過度(40℃、90%RH)が0.0001〜1.0g/(m2・day)であることを特徴とする太陽電池用バックシートに関する。
【0024】
好ましい実施態様としては、(b)蒸着ポリエステル系フィルムが、シリカ及び/またはアルミナからなる蒸着層に、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する高分子系皮膜層を積層したものであることを特徴とする太陽電池用バックシートに関する。
【0025】
好ましい実施態様としては、さらに(c)耐候性フィルムを積層してなる太陽電池用バックシートに関する。
【0026】
好ましい実施態様としては、(c)耐候性フィルムが、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンフルオライド、ポリエチレンジフルオライド、ポリメタクリル酸メチル、アクリル系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂からなるフィルムであることを特徴とする太陽電池用バックシートに関する。
【0027】
さらに本発明は、上記記載の太陽電池用バックシートを用いた太陽電池モジュールに関する。
【0028】
好ましい実施態様としては、上記記載の太陽電池用バックシートと、エチレン−酢酸ビニル共重合体からなる封止材を用いたことを特徴とする太陽電池モジュールに関する。
【発明の効果】
【0029】
エポキシ変性ポリオレフィン系樹脂組成物は、EVA、PET、及び蒸着PETとの接着性に優れているため、皺等の欠陥がなく、信頼性が高く、また封止材であるEVAとの接着性にも優れた太陽電池用バックシートを提供できる。さらには、プライマーを使用する必要がないため、安価であるという利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施例3、4に係るバックシートの図である。
【図2】本発明の実施例5に係るバックシートの図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0032】
本発明の太陽電池用バックシートは、(a)エポキシ変性ポリオレフィン系樹脂組成物と(b)蒸着ポリエステル系フィルムが積層されていることを特徴とする。(a)エポキシ変性ポリオレフィン系樹脂組成物としては、エポキシ基を含有する化合物により変性したものであれば特に制限はなく、メタクリル酸グリシジル変性ポリオレフィンなどがあげられる。
【0033】
(a)エポキシ変性ポリオレフィン系樹脂組成物は、(a−1)ポリオレフィン系樹脂に対して、ラジカル重合開始剤の存在下、(a−2)エポキシ基含有ビニル単量体および(a−3)芳香族ビニル単量体を溶融混練して得られるエポキシ変性ポリオレフィン系樹脂組成物であることが好ましい。
【0034】
(a−1)ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリイソブチレン、ポリメチルペンテン、プロピレン−エチレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、エチレン/ブテン−1共重合体、エチレン/オクテン共重合体などのポリオレフィン、シクロペンタジエンとエチレンおよび/またはプロピレンとの共重合体などの環状ポリオレフィン、エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン/アクリル酸エチル共重合体(EEA)、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体などの極性基が導入されたポリオレフィン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、マレイン酸変性ポリプロピレン、アクリル酸変性ポリプロピレンなどの酸変性ポリプロピレンなどが挙げられる。中でも、変性反応が容易であることから、ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体が好ましく、ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体がより好ましく、プロピレン−エチレン共重合体であって、エチレン含有量が5〜15wt%であることが特に好ましい。ポリプロピレン含有量が高すぎると、接着に適した温度領域が高くなる傾向があり、エチレン含有量が高すぎると、変性反応がやや困難となる傾向がある。
【0035】
(a−2)エポキシ基含有ビニル単量体としては、メタクリル酸グリシジル(GMA)、アクリル酸グリシジル、マレイン酸モノグリシジル、マレイン酸ジグリシジル、イタコン酸モノグリシジル、イタコン酸ジグリシジル、アリルコハク酸モノグリシジル、アリルコハク酸ジグリシジル、p−スチレンカルボン酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、メタクリルグリシジルエーテル、スチレン−p−グリシジルエーテル、p−グリシジルスチレン、3,4−エポキシ−1−ブテン、3,4−エポキシ−3−メチル−1−ブテンなどのエポキシオレフィン、ビニルシクロヘキセンモノオキシド等が挙げられる。これらの中でも、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸グリシジルが安価という点で好ましく、特にメタクリル酸グリシジルが好ましい。上記のエポキシ基含有ビニル単量体は、単独または2種以上を混合して用いることができる。
【0036】
(a−2)エポキシ基含有ビニル単量体の添加量は、(a−1)ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、0.1〜50重量部であることが好ましく、1〜30重量部であることがより好ましい。添加量が少なすぎると接着性が充分に発現せず、好ましくない。
添加量が多すぎると得られるエポキシ変性ポリオレフィン系樹脂組成物の耐熱性が低下したり、メルトフローレート(MFR)が低下しすぎてフィルム化が困難となるため、好ましくない。
【0037】
(a−3)芳香族ビニル単量体としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレンなどのメチルスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、α−クロロスチレン、β−クロロスチレン、ジクロロスチレン、トリクロロスチレンなどのクロロスチレン、o−ブロモスチレン、m−ブロモスチレン、p−ブロモスチレン、ジブロモスチレン、トリブロモスチレンなどのブロモスチレン、o−フルオロスチレン、m−フルオロスチレン、p−フルオロスチレン、ジフルオロスチレン、トリフルオロスチレンなどのフルオロスチレン、o−ニトロスチレン、m−ニトロスチレン、p−ニトロスチレン、ジニトロスチレン、トリニトロスチレンなどのニトロスチレン、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、ジヒドロキシスチレン、トリヒドロキシスチレンなどのビニルフェノール、o−ジビニルベンゼン、m−ジビニルベンゼン、p−ジビニルベンゼンなどのジビニルベンゼン、o−ジイソプロペニルベンゼン、m−ジイソプロペニルベンゼン、p−ジイソプロペニルベンゼンなどのジイソプロペニルベンゼンなどが挙げられる。これらの中でも、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン単量体またはジビニルベンゼン異性体混合物が安価であるという点で好ましく、特にスチレンが好ましい。上記の芳香族ビニル単量体は、単独または2種以上を混合して用いることができる。
【0038】
(a−3)芳香族ビニル単量体の添加量は、(a−1)ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、0.1〜50重量部であることが好ましく、1〜30重量部であることがより好ましい。添加量が少なすぎるとポリオレフィン系樹脂に対するエポキシ基含有ビニル単量体のグラフト率が劣る傾向があり、好ましくない。添加量が多すぎるとエポキシ基含有ビニル単量体のグラフト効率が飽和域に達するので、50重量部を上限とすることが好ましい。
【0039】
ラジカル開始剤としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタンなどのパーオキシケタール、パーメタンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイドなどのハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、α,α´−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3などのジアルキルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−メトキシブチルパーオキシジカーボネートなどのパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシオクテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレートなどのパーオキシエステルなどが挙げられる。
【0040】
中でも、水素引き抜き能が高いことから、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタンなどのパーオキシケタール、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、α,α´−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3などのジアルキルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド;t−ブチルパーオキシオクテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレートなどを用いることが好ましい。上記のラジカル開始剤は、単独または2種以上を混合して用いることができる。
【0041】
ラジカル重合開始剤の添加量は、(a−1)ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、0.01〜10重量部であることが好ましく、0.2〜5重量部であることがより好ましい。0.01重量部未満では変性反応が充分に進行せず、好ましくない。10重量部を超えると、得られるエポキシ変性ポリオレフィン系樹脂組成物の流動性、機械的特性が低下するため、好ましくない。
【0042】
本発明のエポキシ変性ポリオレフィン系樹脂組成物には、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲内で、熱可塑性樹脂、エラストマー、粘着付与剤(タッキファイヤー)、可塑剤などを添加してもよい。
【0043】
熱可塑性樹脂としては、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体およびその水素化物、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリメタクリル酸メチル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリ乳酸などが挙げられる。
【0044】
エラストマーとしては、スチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、ブチルゴム、アクリルゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴムなどが挙げられる。
【0045】
粘着付与剤としては、数平均分子量300〜3000、JISK−2207に定められた環球法に基づく軟化点が60〜150℃である低分子の樹脂であって、ロジンおよびロジン誘導体、ポリテルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂およびそれらの水素化物、テルペンフェノール樹脂、クマロン・インデン樹脂、脂肪族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂およびその水素化物、芳香族系石油樹脂およびその水素化物、脂肪族芳香族共重合系石油樹脂、ジシクロペンタジエン系石油樹脂およびその水素化物、スチレンまたは置換スチレンの低分子量重合体が例示される。
【0046】
可塑剤としては、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイルなどの石油系プロセスオイル、シリコーン系オイル、液状ポリブテン、液状ポリイソプレンなどの低分子量液状ポリマーが例示される。
【0047】
さらに、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、連鎖移動剤、核剤、滑剤、充填材、顔料、難燃剤、帯電防止剤などの添加剤を本発明の効果を損なわない範囲内で添加してもよい。
【0048】
これらの添加剤は、予めポリオレフィン系樹脂に添加しておいてもよく、ポリオレフィン樹脂を溶融するときに添加してもよく、またエポキシ変性ポリオレフィン系樹脂組成物を製造した後に添加してもよい。
【0049】
溶融混練時の添加方法については、ポリオレフィン系樹脂とラジカル重合開始剤を溶融混練した混合物に、エポキシ基含有ビニル単量体、芳香族ビニル単量体を加え溶融混練することが好ましい。この場合、グラフトに寄与しない低分子量体の生成を抑制することができる。
【0050】
溶融混練時の加工温度は、130〜300℃であることが好ましい。130℃〜300℃の場合、ポリオレフィン系樹脂が充分に溶融し、また、熱分解しにくい。
【0051】
また、混練時間、すなわち、ラジカル重合開始剤を混合してからの時間は、通常30秒間〜60分間であることが好ましい。
【0052】
溶融混練には、押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ミル、加熱ロールなどを使用することができる。生産性という観点から、単軸または2軸の押出機を用いることが好ましい。また、各種原料の混和性や分散性を高めるために、前記の溶融混練装置を併用してもよい。
【0053】
本発明のエポキシ変性ポリオレフィン系樹脂組成物は、ポリオレフィン系樹脂から成る相中にエポキシ基含有ビニル単量体および芳香族ビニル単量体から成る相が微分散した多相構造を形成するため、接着性に優れている。
【0054】
ポリオレフィン系樹脂から成る相中のエポキシ基含有ビニル単量体および芳香族ビニル単量体から成る相が平均1μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることがさらに好ましく、0.3μm以下であることが特に好ましい。エポキシ基含有ビニル単量体および芳香族ビニル単量体から成る相が微分散しているほど、接着性が向上する傾向がある。
【0055】
エポキシ変性ポリオレフィン系樹脂組成物の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、エポキシ変性ポリオレフィン系樹脂組成物を各種の押出成形機、カレンダー成形機、インフレーション成形機、ロール成形機、あるいは加熱プレス成形機などを用いてフィルム状に成形加工することができる。
【0056】
(a)エポキシ変性ポリオレフィン系樹脂組成物の厚みは、10〜500μmであることが好ましく、50〜200μmであることがより好ましい。10μmよりも薄いと、十分な絶縁性が得られず、厚すぎると、コスト的に好ましくない。
【0057】
(b)蒸着ポリエステル系フィルムとしては、基材ポリエステル系フィルムの上に無機薄膜または無機酸化物からなる蒸着層が積層されたものが例示される。
【0058】
基材ポリエステル系フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)からなるフィルムが例示される。この中で、ポリエチレンテレフタレートから形成された二軸延伸フィルムを用いることが好ましい。
【0059】
無機薄膜または無機酸化物からなる蒸着層としては、酸化アルミニウム、酸化珪素薄膜を用いることができる。酸化アルミニウムは、Al、AlO、Al2O3などの混合物から成り立っていると考えられ、これらの比率は製造条件に依存する。酸化珪素としては、Si、SiO、SiO2などの混合物から成り立っていると考えられ、これらの比率は製造条件に依存する。また、酸化アルミニウムと酸化珪素を混合して用いても良く、一般に、二元蒸着と呼ばれる。また、SiN、SiONを用いることができる。無機薄膜または無機酸化物からなる蒸着層の厚みは、ガスバリア性と可撓性の観点から、1〜500nmであることが好ましく、5〜300nmであることがより好ましい。蒸着層の形成には、真空蒸着法、スパッター法、イオンプレーティングなどのPVD法(物理蒸着法)、あるいは、CVD法(化学蒸着法)などを用いることができる。
【0060】
(b)蒸着ポリエステル系フィルムとしては、無機薄膜または無機酸化物からなる蒸着層のさらに上に、高分子系皮膜層(樹脂コート層ともいう)が積層されたものを用いることができる。高分子皮膜層としては、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体などが例示される。これらは、単独で用いても良く、混合して用いても良い。高分子皮膜層を積層することにより、封止材であるEVAとの接着性を改善することができる。
【0061】
(b)蒸着ポリエステル系フィルムのより好ましい態様としては、シリカ及び/またはアルミナからなる蒸着層を含有し、水蒸気透過度(40℃、90%RH)が0.0001〜1.0g/(m2・day)である蒸着ポリエステル系フィルムがある。さらに好ましい態様としては、シリカ及び/またはアルミナからなる蒸着層に、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する高分子系皮膜層を積層したものである蒸着ポリエステル系フィルムがある。このような蒸着ポリエステル系フィルムは、水蒸気バリア性、屈曲性、耐熱性に特に優れている。
【0062】
水蒸気透過度(40℃、90%RH)の測定方法としては、JIS K 7129に記載の方法がある。
【0063】
(b)蒸着ポリエステル系フィルムの水蒸気透過度は、0.0001〜1.0g/(m2・day)であることが好ましく、0.0001〜0.1g/(m2・day)であることが、より好ましく、0.0001〜0.01g/(m2・day)であることが更に好ましい。水蒸気透過度が高いと、セルへの水分浸入を抑止できず、劣化を引き起こすため、好ましくない。
【0064】
(b)蒸着ポリエステル系フィルムの厚みは、1〜400μmであることが好ましく、5〜200μmであることがより好ましい。1μmよりも薄いと、水蒸気バリア性が不足することがあり、400μmよりも厚いと屈曲性が低下し好ましくない。
【0065】
(b)蒸着ポリエステル系フィルムは、市販のものを使用することができ、例えば、シリカ蒸着PET(製品名:テックバリア、三菱化学株式会社製)、アルミナ蒸着PET(製品名:ファインバリア、株式会社麗光製)、二元蒸着PET(製品名:エコシアールVE500、東洋紡績株式会社製)、PVDCコートされたシリカ蒸着PET(製品名:KET VS−10、ダイセルバリューコーティング株式会社製)、などが例示される。
【0066】
さらに本発明は、(c)耐候性フィルムを積層することが好ましい。(c)耐候性フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、アクリル系グラフト共重合体とメタクリル系重合体からなるアクリル系樹脂組成物、ポリイミド、ポリエチレンフルオライド、ポリエチレンジフルオライド、から選ばれる少なくとも1種の樹脂からなるフィルムが挙げられる。これらの中でもポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンフルオライド、ポリエチレンジフルオライド、ポリメタクリル酸メチル、アクリル系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂からなるフィルムが好ましい。バックシートは、直接屋外に暴露されるため、耐候性(耐UV光、耐湿、耐熱、耐塩害等)が要求されるが、これらの耐候性フィルムを用いることで、バックシートに耐候性を付与することができる。
【0067】
本発明の太陽電池用バックシートの具体的形態としては、例えば、(a)エポキシ変性ポリオレフィン系樹脂/(b)蒸着ポリエステル系フィルム、(c)耐候性フィルム/(a)エポキシ変性ポリオレフィン系樹脂/(b)蒸着ポリエステル系フィルム、(c)耐候性フィルム/(a)エポキシ変性ポリオレフィン系樹脂/(b)蒸着ポリエステル系フィルム/(a)エポキシ変性ポリオレフィン系樹脂などが例示される。(a)エポキシ変性ポリオレフィン系樹脂と(b)蒸着ポリエステル系フィルムを積層する場合、(a)エポキシ変性ポリオレフィン系樹脂が、(b)蒸着ポリエステル系フィルムの蒸着面もしくは高分子皮膜層面と接するように積層してもよく、また(b)蒸着ポリエステル系フィルムのポリエステル系フィルム面と接すように積層してもよい。特に(a)エポキシ変性ポリオレフィン系樹脂は、接着性に優れているため、(a)エポキシ変性ポリオレフィン系樹脂/(b)蒸着ポリエステル系フィルムの形態の場合は、(a)エポキシ変性ポリオレフィン系樹脂が、(b)蒸着ポリエステル系フィルムの蒸着面もしくは高分子皮膜層面と接するように積層するのが好ましく、また(c)耐候性フィルム/(a)エポキシ変性ポリオレフィン系樹脂/(b)蒸着ポリエステル系フィルムの形態の場合は、(a)エポキシ変性ポリオレフィン系樹脂が、(b)蒸着ポリエステル系フィルムのポリエステル系フィルム面と接すように積層するのが好ましい。
【0068】
本発明の太陽電池用バックシートの製造方法は、公知の方法を用いることができ、ドライラミネート、ウエットラミネート、ノンソルベントラミネート、押出ラミネート等の公知の手法により貼り合わせることができる。
【0069】
本発明のバックシートは、いずれの太陽電池にも好適に使用できるが、特にアモルファスシリコン系太陽電池、結晶シリコン系太陽電池、ハイブリッド太陽電池などに好適に用いることができる。また、太陽電池の設置場所としては、屋根上、ビル・工場・学校・公共施設などの屋上、壁面、海岸、砂漠地帯などが例示される。
【実施例】
【0070】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。尚、本発明は、これらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0071】
(製造例1)エポキシ変性ポリオレフィン系樹脂組成物のフィルムA−1の製造方法 (a−1)プロピレン−エチレン共重合体(バーシファイ3401、MFR8、ダウ・ケミカル製)100重量部、1,3−ジ(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(日本油脂株式会社製:パーブチルP、1分間半減期175℃)0.5重量部を200℃に設定した2軸押出機(TEX30:L/D=28、日本製鋼所製)に供給して溶融混練した後、次いで、シリンダー途中より(a−2)メタクリル酸グリシジル5重量部、(a−3)スチレン5重量部を加え溶融混練してエポキシ変性ポリオレフィン系樹脂組成物からなるペレットを得た。変性後のMFRは6であった。得られた樹脂組成物をTダイに供給し、厚み100μmのフィルムを得た。
【0072】
(製造例2)エポキシ変性ポリオレフィン系樹脂組成物のフィルムA−2の製造方法
(a−1)ホモポリプロピレン(S119、MFR60、株式会社プライムポリマー製)100重量部、1,3−ジ(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(日本油脂株式会社製:パーブチルP、1分間半減期175℃)0.5重量部を200℃に設定した2軸押出機(TEX30:L/D=28、日本製鋼所製)に供給して溶融混練した後、次いで、シリンダー途中より(a−2)メタクリル酸グリシジル5重量部、(a−3)スチレン5重量部を加え溶融混練してエポキシ変性ポリオレフィン系樹脂組成物からなるペレットを得た。変性後のMFRは88であった。得られた樹脂組成物をTダイに供給し、厚み100μmのフィルムを得た。
【0073】
(実施例1)
エポキシ変性ポリオレフィン系樹脂組成物のフィルムA−1と蒸着PET−1または蒸着PET−2を重ねた状態で、熱プレスし、積層フィルムを得た。尚、フィルムA−1と、蒸着PETの樹脂コート層側(基材PET側とは反対側)が接するように重ねた。対EVA接着性を調べるために、同様にして、エポキシ変性ポリオレフィン系樹脂組成物のフィルムA−1と厚み0.4mm厚のEVAシートを重ねた状態で、熱プレスし、積層フィルムを得た。尚、熱プレス条件は、170℃または200℃、圧力5MPa、プレス時間3分(無圧1分、加圧2分)とした。
【0074】
蒸着PET−1:KET VS−1、PVDCコートされたシリカ蒸着PET、水蒸気透過度(40℃、90%RH)0.3g/(m2・day)、厚み14μm、ダイセルバリューコーティング製
蒸着PET−2:エコシアールVE500、二元蒸着PET(シリカ/アルミナ蒸着)、水蒸気透過度(40℃、90%RH)0.9g/(m2・day)、厚み12μm、東洋紡績株式会社製
【0075】
(実施例2)
エポキシ変性ポリオレフィン系樹脂組成物のフィルムA−1をエポキシ変性ポリオレフィン系樹脂組成物のフィルムA−2に変えた以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
【0076】
(比較例1)
エポキシ変性ポリオレフィン系樹脂組成物のフィルムA−1を厚み100μmのプロピレン−エチレン共重合体(バーシファイ3401、MFR=8、ダウ・ケミカル製)フィルムに変えた以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
【0077】
(比較例2)
エポキシ変性ポリオレフィン系樹脂組成物のフィルムA−1を厚み100μmのホモポリプロピレン(S119、MFR60、株式会社プライムポリマー製)フィルムに変えた以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
【0078】
(1)接着性の評価方法
上記の方法により得られた積層フィルムの端部を手で掴み、手で剥がせるか否かを調べた。○手では剥がれない。×手で容易に剥がせる。
【0079】
【表1】

【0080】
実施例1および2は、エポキシ変性ポリオレフィン系樹脂組成物のフィルムを使用しているため、蒸着ポリエステル系フィルムおよびEVAとの接着性に優れている。一方、比較例1および2は、ポリオレフィン系樹脂である。エポキシ基含有ビニル単量体および芳香族ビニル単量体によって変性されていないため、蒸着ポリエステル系フィルムおよびEVAとの接着性が不十分である。
【0081】
(製造例3)バックシートBS−1の製造方法
エポキシ変性ポリオレフィン系樹脂組成物のフィルムA−1、蒸着PET−1を重ねた状態で、170℃に加熱された6インチロール(テストミキシングロール191−TM、株式会社安田精機製作所製)を用いて、ラミネートし、バックシートを得た。尚、フィルムA−1と、蒸着PETの樹脂コート層側(基材PET側とは反対側)が接するように重ねた。
【0082】
(製造例4)バックシートBS−2の製造方法
エポキシ変性ポリオレフィン系樹脂組成物のフィルムA−1、蒸着PET−2を重ねた状態で、170℃に加熱された6インチロール(テストミキシングロール191−TM、株式会社安田精機製作所製)を用いて、ラミネートし、バックシートを得た。尚、フィルムA−1と、蒸着PETの樹脂コート層側(基材PET側とは反対側)が接するように重ねた。
【0083】
(製造例5)バックシートBS−3の製造方法
PETフィルム(ルミラーS10、東レ株式会社製)、エポキシ変性ポリオレフィン系樹脂組成物のフィルムA−1、蒸着PET−2を重ねた状態で、170℃に加熱された6インチロール(テストミキシングロール191−TM、株式会社安田精機製作所製)を用いて、ラミネートし、バックシートを得た。尚、フィルムA−1と、蒸着PETの基材PET側が接するように重ねた。
【0084】
(実施例3)
前もって、配線接続した5インチサイズのアモルファスシリコン系太陽電池セルの裏面に厚み0.4mmのEVAシート、バックシートBS−1を重ね、170℃、7分間、真空ラミネート成形した後、150℃のオーブンで、120分間、加熱することにより、太陽電池モジュール(5インチ)を作製した。
【0085】
(実施例4)
バックシートBS−1をバックシートBS−2に変えた以外は実施例3と同様にして太陽電池モジュール(5インチ)を作製した。
【0086】
(実施例5)
バックシートBS−1をバックシートBS−3に変えた以外は実施例3と同様にして太陽電池モジュール(5インチ)を作製した。
【0087】
(2)モジュール外観の評価方法
成形後のモジュール外観を目視で判定した。気泡:○なし、×あり、皺:○なし、×あり、着色:○なし、×あり。
【0088】
(3)接着性(対EVA)の評価方法
EVAとの接着性を簡易評価した。○手で容易に剥がれない、×手で容易に剥がれる。
【0089】
(4)Pmax(最大出力)の評価方法
Pmaxは二灯式ソーラーシミュレータを用いて測定した。
【0090】
【表2】

【0091】
実施例3〜5は、エポキシ変性ポリオレフィン系樹脂組成物のフィルム、蒸着ポリエステル系フィルムを含有するバックシートである。エポキシ変性ポリオレフィン系樹脂組成物のフィルムを使用しているため、モジュール外観、Pmax(初期値)は良好であった。
【符号の説明】
【0092】
a1.エポキシ変性ポリオレフィン系樹脂組成物のフィルム
b1.蒸着PETフィルム
b11.基材PET
b12.蒸着層
b13.樹脂コート層
c1.PETフィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池の裏面保護に用いられるバックシートであって、(a)エポキシ変性ポリオレフィン系樹脂組成物と(b)蒸着ポリエステル系フィルムが積層されていることを特徴とする太陽電池用バックシート。
【請求項2】
(a)エポキシ変性ポリオレフィン系樹脂組成物が、(a−1)ポリオレフィン系樹脂に対して、ラジカル重合開始剤の存在下、(a−2)エポキシ基含有ビニル単量体および(a−3)芳香族ビニル単量体を溶融混練して得られることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池用バックシート。
【請求項3】
(a)エポキシ変性ポリオレフィン系樹脂組成物が、(a−1)ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、ラジカル重合開始剤の存在下、(a−2)エポキシ基含有ビニル単量体1〜30重量部、および(a−3)芳香族ビニル単量体1〜30重量部を溶融混練して得られることを特徴とする請求項1または2に記載の太陽電池用バックシート。
【請求項4】
(a−1)ポリオレフィン系樹脂が、ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の太陽電池用バックシート。
【請求項5】
(a−1)ポリオレフィン系樹脂が、エチレン含有量が5〜15wt%であるプロピレン−エチレン共重合体であることを特徴とする請求項4に記載の太陽電池用バックシート。
【請求項6】
(a−2)エポキシ基含有ビニル単量体が、メタクリル酸グリシジルであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の太陽電池用バックシート。
【請求項7】
(a−3)芳香族ビニル単量体が、スチレンであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の太陽電池用バックシート。
【請求項8】
(b)蒸着ポリエステル系フィルムが、シリカ及び/またはアルミナからなる蒸着層を含有し、水蒸気透過度(40℃、90%RH)が0.0001〜1.0g/(m2・day)であることを特徴とする請求項1〜7に記載の太陽電池用バックシート。
【請求項9】
(b)蒸着ポリエステル系フィルムが、シリカ及び/またはアルミナからなる蒸着層に、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する高分子系皮膜層を積層したものであることを特徴とする請求項8に記載の太陽電池用バックシート。
【請求項10】
さらに(c)耐候性フィルムを積層してなる請求項1〜9のいずれかに記載の太陽電池用バックシート。
【請求項11】
(c)耐候性フィルムが、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンフルオライド、ポリエチレンジフルオライド、ポリメタクリル酸メチル、アクリル系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂からなるフィルムであることを特徴とする請求項10に記載の太陽電池用バックシート。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載の太陽電池用バックシートを用いた太陽電池モジュール。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれかに記載の太陽電池用バックシートと、エチレン−酢酸ビニル共重合体からなる封止材を用いたことを特徴とする太陽電池モジュール。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−139022(P2011−139022A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−203520(P2010−203520)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】