妨害電磁波低減装置
【課題】広帯域での電磁波逓減効果の期待できると共に、比較的スパイラル構造の小さい妨害電磁波低減装置を提供する。
【解決手段】電子機器よりの妨害電磁波を低減するための妨害電磁波低減装置であって、前記電子機器に対向して配設された2組のアルキメデススパイラル構造の導電性材料で構成された板と、前記導電性板の中心に前記導電性板と電気的に接合された抵抗体と、を具備する構成となっている。
【解決手段】電子機器よりの妨害電磁波を低減するための妨害電磁波低減装置であって、前記電子機器に対向して配設された2組のアルキメデススパイラル構造の導電性材料で構成された板と、前記導電性板の中心に前記導電性板と電気的に接合された抵抗体と、を具備する構成となっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複写機などの画像読取部において電子機器から発生する電磁波を低減するための妨害電磁波低減装置に関し、特に、広帯域での電磁波逓減効果の期待できると共に、比較的スパイラル構造の小さい妨害電磁波低減装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の電子機器の高機能化、高クロック化に伴い電子機器から発生する電磁波による障害が問題となってきている。特に複写機などの画像読取部においては高画質化のためにクロック数が高くなっており、漏洩する電磁波ノイズが重要な問題となってきている。
そこで、従来では強磁性体に金属板を密着させて、強磁性体に集まった磁界による誘導電流を金属板に発生させジュール熱により磁界エネルギーを吸収する電磁波吸収体が開示されている(特許文献1)。また、従来では、筐体の共振モードでの電流分布に着目してスリットを配置する技術が開示されている(特許文献2)。
【特許文献1】特開平11−261280号公報
【特許文献2】特開2003−115961公報
【非特許文献1】WARREN L. STUTZMAN, ANTENNA THEORY AND DESIGN, JON WILEY, P285)
【非特許文献2】佐治学「電気回路A」オーム社、P75
【非特許文献3】遠藤敬二 他「アンテナ工学」総合電子出版(1994)P71
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来技術のなかで特許文献1は一般に高周波では強磁性体の比透磁率は低下するので数百MHzの周波数で強磁性体としての効果は期待できない。また特許文献2では筐体の共振モードでの電流分布によって電磁波ノイズを低減するので、共振モード以外の周波数では電磁波ノイズの低減効果は期待できない。
本発明の目的は、前記従来の課題を解決することであり、広帯域での電磁波逓減効果が期待できる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、電子機器よりの妨害電磁波を低減するための妨害電磁波低減装置であって、前記電子機器に対向して配設された2組の等角スパイラル構造の導電性材料で構成された導電性板と、前記導電性板の中心に前記導電性板と電気的に接合された抵抗体と、を備えることを特徴とする。
また請求項2記載の発明は、電子機器よりの妨害電磁波を低減するための妨害電磁波低減装置であって、前記電子機器に対向して配設された2組のアルキメデススパイラル構造の導電性材料で構成された導電性板と、前記導電性板の中心に前記導電性板と電気的に接合された抵抗体と、を備えることを特徴とする。
【0005】
また請求項3記載の発明は、当該妨害電磁波低減装置の出力抵抗をR、リアクタンスをX、jを虚数として、Z1=R+jXとした場合、前記抵抗体の抵抗値をZ2=R−jXとすることを特徴とする。
また請求項4記載の発明は、前記導電性板が自己補対構造であることを特徴とする。
また請求項5記載の発明は、前記抵抗体の抵抗値が188Ωであることを特徴とする。
また請求項6記載の発明は、さらに筐体を有し、前記導電性板が、前記筐体の間隙に設けられていることを特徴とする。
また請求項7記載の発明は、前記間隙をルーバーとして使用することを特徴とする。
【0006】
また請求項8記載の発明は、前記導電性板が金属板であることを特徴とする。
また請求項9記載の発明は、前記導電性板が金属薄膜からなり、前記金属薄膜に粘着層が備えられていることを特徴とする。
また請求項10記載の発明は、前記導電性板のアームの寸法が、前記電子機器の妨害電磁波の半波長より大きいことを特徴とする。
また請求項11記載の発明は、前記導電性板及び抵抗体の近傍に誘電体を設けたことを特徴とする。
また請求項12記載の発明は、前記誘電体が前記抵抗体から離れた位置に設置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば2組の等角スパイラル構造の導電性材料で構成された導電性板と導電性板の中心に前記導電性板と電気的に接合された抵抗体とを備えた妨害電磁波低減装置を電子機器に対向して配設したことで、広い範囲の周波数で電磁波ノイズの逓減が可能となる。
また本発明によれば2組のアルキメデススパイラル構造の導電性材料で構成された導電性板と導電性板の中心に前記導電性板と電気的に接合された抵抗体とを備えた妨害電磁波低減装置を電子機器に対向して配設したことで、広い範囲の周波数で電磁波ノイズの逓減が可能となり、かつ等角スパイラルアンテナより寸法を小さくすることができる。
【0008】
また本発明によれば、出力抵抗をR、リアクタンスをX、jを虚数として、Z1=R+jXとした場合、抵抗体の抵抗値をZ2=R−jXとすることで、電磁波ノイズのより高い逓減が可能となる。
また本発明によれば、導電性板を自己補対構造とすることで、より安価、簡便に電磁波ノイズの逓減が可能となる。
また本発明によれば、抵抗体の抵抗値が188Ωとしたことで、電磁波ノイズのより高い逓減効果が可能となる。
【0009】
また本発明によれば、導電性板を筐体の間隙に設けることで、電磁波が漏洩するの対数周期構造の間隙だけでとなり、電磁波ノイズのより高い逓減効果が可能となる。
また本発明によれば、間隙をルーバーとして使用することで、電磁波逓減効果に加え放熱効果も可能となる。
また本発明によれば、導電性板を金属板とすることで、同等の電磁波逓減効果をより安価に提供する事が可能となる。
また本発明によれば、導電性板が金属薄膜からなり、前記金属薄膜に粘着層を備えるようにしたことで、プラスチック筐体でも同等の電磁波逓減効果を提供する事が可能となる。
【0010】
また本発明によれば、導電性板のアームの寸法を電子機器の妨害電磁波の半波長より大きくすることにより、確実に電磁波逓減効果が得られるようになる。
また本発明によれば、導電性板及び抵抗体の近傍に誘電体を設けることにより、導電性板の寸法が小さくても低い周波数の電磁波ノイズの低減が可能となる。
また、本発明によれば、誘電体を抵抗体から離れた位置に設置することにより、導電性板の寸法が小さくてもより低い周波数の電磁波ノイズの低減が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に添付の図を参照してこの発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明による妨害電磁波低減装置の一実施形態の全体概略図である。
本発明では、アルキメデス(Archimedean)スパイラル構造アンテナが広帯域でインピーダンスが一定である事とスパイラル形状の半径が角度の比例関数となっておりスパイラルのアームの長さを長くしてもスパイラル構造が極端に大きくならない事に着目し、そのインピーダンスに整合する抵抗体をつけて広帯域での電磁波逓減効果の期待できると共に、比較的スパイラル構造の小さい妨害電磁波低減装置を提供するようにしている。
図1に示すように、本実施形態では、給電部3bを有する電子機器を模したアルキメデススパイラルアンテナ3に対して、2組のアルキメデススパイラル構造の導電性材料からなる導電性板1と導電性板1の中心に導電性板1と電気的に接合された抵抗体2とからなる妨害電磁波低減装置を設けた構成となっている。なお、ここで、アルキメデススパイラル構造の導電性板1が金属板となっている。これにより同等の電磁波逓減効果をより安価に提供する事が可能となる。
【0012】
図2(a)、(b)において、アルキメデススパイラル構造とした導電性板1のX,Y方向の寸法をa1,b1とし、電子機器を模したアルキメデススパイラルアンテナ3のX,Y方向の寸法をa2,b2として、導電性板1までの距離をdとする。図2は、図1に示した導電性板1及び電子機器3の寸法を示す説明図である。
ここで、非特許文献1(WARREN L. STUTZMAN, ANTENNA THEORY AND DESIGN, JON WILEY, P285)に記載されているように、アンテナについて金属部分がアルキメデススパイラル構造ならば、そのアンテナのインピーダンスは周波数に依存しないことが示されている。実際にはアルキメデススパイラル構造のアームの長さと抵抗体近傍の工作精度でインピーダンスが一定な範囲は決まってしまうが実用上問題ない。
そこで、図1、図2に示すように、妨害電磁波低減装置の導電性板1を、自己補対構造となる2組のアルキメデススパイラル構造とすれは、アルキメデススパイラルアンテナ3からの放射電磁波について広範囲の周波数で共振して、抵抗体2に電圧が発生する。その時、抵抗体2に電流が流れることにより、ジュール熱が発生し、広い範囲の周波数で電磁波ノイズの逓減が可能となる。
【0013】
次に、上記構成からなる妨害電磁波低減装置により得られた効果を数値シミュレーションにより検証する。
まず、図1、図2に示すように、アルキメデススパイラルアンテナ3の上にアルキメデススパイラル構造の導電性板1を置いた場合(CASE1)と、図3に示すように、アルキメデススパイラルアンテナ3だけの場合(CASE2)について放射電界強度を計算する。図3は、アルキメデススパイラルアンテナ3だけの場合の概略図である。
なお、ここでは、図2に示す寸法形状において、a1=60mm,b1=62mm,a2=24mm,b2=31mm,d=50mmとし、抵抗体の抵抗値は100[Ω]とする。
また、ここではFDTD法(有限差分時間領域法)といわれる計算解析手法によるシミュレーションによって放射電界の評価を行う。この解析では、解析空間を格子状に分割して、Maxwell方程式を差分して時間領域で解く。具体的には、入力点であるダイポールアンテナの入力端に広い範囲の周波数成分を含んだガウシアンパルスを入力し、抵抗体からx方向に30mm,y方向に0mm,z方向に10mm離れた位置での時間領域での電界情報を取り込む。そして、この電界情報を周波数変換して周波数領域での電界情報を得る。
【0014】
図1に示すCASE1と、図3に示すCASE2(比較例)との場合における放射電界強度を図4に示す。図4において、例えば周波数794MHzについてCASE2は0.996[mv/m]に対してCASE1は0.148[mv/m]と7倍程度の逓減効果がある。そして周波数198MHz以上では逓減効果が見られる。
【0015】
次に、等角スパイラルアンテナに対するアルキメデススパイラルアンテナの寸法の優位性を示す。一般にアームの長さで共振する最小周波数は決まるので、アームの長さが長く、アンテナの外形寸法は小さい方が望ましい。
ここで、等角スパイラルアンテナのアームの半径をr1、比例定数をa1、角度をth1とすると、以下の1式の関係になる。
r1=a1**th1(**はべき乗)・・・(1)
製作精度の関係から、th1=0°でr1=1mm、th1=360°でr1=7mmとすると、a1=1.363となる。これからアームの長さを500mmにした等角スパイラルアンテナの1つのアーム外形を図5(a)に示し、角度に対するアームの半径とアームの長さを図5(b)に示す。アームの長さを500mmとするとアームの半径は150mmとなり、2つのアームでは300mmとなる。図5は、アームの長さを500mmにした等角スパイラルアンテナの1つのアーム外形を示す説明図である。
【0016】
それに対し、アルキメデススパイラルアンテナのアームの半径をr2、比例定数をa2、角度をth2とすると、以下の2式の関係になる。
r2=a2*th2 ・・・(2)
製作精度の関係からth1=0°でr1=1mm、th1=360°でr1=7mmとするとa1=1となる。これからアームの長さを500mmにしたアルキメデススパイラルアンテナの1つのアーム外形を図6(a)に示し、角度に対するアームの半径とアームの長さを図6(b)に示す。アームの長さを500mmとするとアームの半径は31mmとなり、2つのアームでは62mmとなる。図6は、アームの長さを500mmにしたアルキメデススパイラルアンテナの1つのアーム外形を示す説明図である。
以上の説明からアルキメデススパイラルアンテナの方が同じアームの長さで寸法は等角スパイラルアンテナの1/5倍で良い事が分かる。
また本実施形態では、導電性板のアーム部分を等角スパイラル構造としても、スパイラル形状の半径が角度のべき乗の関数となっており、上記数値計算で検証しても同様な低減効果が可能となる。
【0017】
また本実施形態では、抵抗体2を接続する部分のインピーダンスをインピーダンスアナライザあるいは数値計算により求めている。この抵抗体2を接続する部分のインピーダンス(妨害電磁波低減装置の出力抵抗)を、抵抗R、リアクタンスをX、jを虚数として、Z1=R+jXとした場合に、抵抗体2のインピーダンスをZ2=R−jXとする。
このようにすると非特許文献2(佐治学「電気回路A」オーム社、P75)に示されているように、最大電力供給の定理から電力が抵抗体2に一番効果的に消費される。これから電磁波ノイズのより高い低減効果が可能となる。
【0018】
また本実施形態では、導電性板1をアルキメデススパイラル構造でかつ自己補対構造(板とその空隙部分が線対称あるいは点対称であるもの)とする。
このようにすると非特許文献3(遠藤敬二 他「アンテナ工学」総合電子出版(1994)p71)に記載のように、アンテナについて金属部分が無限に大きくかつ金属部分と空間部分の形状が、移動することで同一となる自己補対構造ならば、そのアンテナのインピーダンスはインダクタンス成分をもたず純抵抗値になり、周波数、アンテナの形状に依存しないようになる。実際には、アンテナの寸法は有限なので低域の周波数でアンテナのインピーダンスは一定ではないが、高い周波数では一定である。また自己補対構造であるならば、周波数に関係なくアンテナのインピーダンスは一定の60π(=188Ω、πは円周率)である事が示されている。これから抵抗体の抵抗値にリアクタンス成分は必要なく、より安価、簡便で電磁波ノイズの低減効果が可能となる。
【0019】
また、本実施形態において抵抗体2の抵抗値を188[Ω]とする。これにより、導電性板1のインピーダンスと抵抗体2が整合する事により電磁波ノイズのより高い低減効果が可能となる。
図7は、本発明による妨害電磁波低減装置の他の実施形態の全体概略図である。図7に示すように、この妨害電磁波低減装置は、電子機器を模したアルキメデススパイラルアンテナ3を囲う筐体4にアルキメデススパイラル構造の間隙5を形成したものである。このようにアルキメデススパイラルアンテナ3を筐体4で囲うことで、電磁波が漏洩するのはアルキメデススパイラル構造の間隙5だけであり、ノイズ源であるアルキメデススパイラルアンテナ3からの電磁波放射はより減少する。また、アルキメデススパイラル構造の間隙5も広帯域の電磁波に共振するので電磁波ノイズのより高い逓減効果が可能となる。
なお、ここで、図7に示したアルキメデススパイラル構造の間隙5を放熱用の開口部(ルーバー)として、開口部の近傍にファンを設置して、ファンの排風や換気を行う場合に使うようにしても良い。これにより電磁波逓減効果に加え、放熱効果も可能となる。
【0020】
図8は、本発明による妨害電磁波低減装置の他の実施形態の全体概略図である。図8(a)、(b)に示す妨害電磁波低減装置である電磁波逓減構造体9は、アルキメデススパイラル構造の間隙5を形成した薄膜金属7及び粘着層8から構成される。このような電磁波逓減構造体9を、電子機器を模したアルキメデススパイラルアンテナ3を囲うプラスチック筐体に貼ることで、導電性でないプラスチック筐体でも、安価、容易に電磁波逓減が可能となる。なお、図8においては金属薄膜7にアルキメデススパイラル構造の間隙5を形成する場合を例に挙げて説明したが、これはあくまでも一例であり、電磁波逓減構造体9としては金属薄膜7の一部にアルキメデススパイラル構造のパターンを形成するようにしても良い。
【0021】
図9は、本発明による妨害電磁波低減装置の他の実施形態の全体概略図である。図9に示すように、この妨害電磁波低減装置は、アルキメデススパイラル構造導電性板1のアームの寸法を、電磁波の半波長に相当する長さより長いcとするようにしている。一般に、アルキメデススパイラル構造は無限大に大きければ低い周波数までインピーダンスは一定であるが、実際は寸法に限りがあるので低い周波数ではインピーダンスは一定にならず、電磁波逓減効果が低下する。ここで電磁波逓減効果が減少する周波数は半波長に相当する。そこで、予め逓減する最低周波数を決めてその半波長より寸法cを大きくすることにより確実な電磁波逓減効果が可能となる。
【0022】
図10は、本発明による妨害電磁波低減装置の他の実施形態の全体概略図である。図10に示すように、この妨害電磁波低減装置は、アルキメデススパイラル構造の導電性板1及び抵抗体2の近傍に誘電体板10を設けた構成となっている。このようにすれば、誘電体板10により一般に誘電体近傍の線路では波長短縮が起るので、導電性板1の寸法が小さくても波長短縮分だけ低い周波数の電磁波ノイズの低減が可能となる。
【0023】
図11は、本発明による妨害電磁波低減装置の他の実施形態の全体概略図である。図11に示すように、この妨害電磁波低減装置は、アルキメデススパイラル構造の導電性板1及び抵抗体2から所定距離だけ離れた位置に誘電体板11を設けた構成となっている。一般に、高い周波数では抵抗体の近傍で共振するが、低い周波数では抵抗体から離れた位置で共振する。そのため、誘電体11を抵抗体から離れた位置に置くことにより、導電性板の寸法が小さくてもより低い周波数で効果的に共振して電磁波逓減効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明による妨害電磁波低減装置の一実施形態の全体概略図である。
【図2】図1に示した導電性板1及び電子機器3の寸法を示す説明図である。
【図3】アルキメデススパイラルアンテナ3だけの場合の概略図である。
【図4】図1に示すCASE1と、図3に示すCASE2(比較例)との場合における放射電界強度を示すグラフ図である。
【図5】アームの長さを500mmにした等角スパイラルアンテナの1つのアーム外形を示す説明図である。
【図6】アームの長さを500mmにしたアルキメデススパイラルアンテナの1つのアーム外形を示す説明図である。
【図7】本発明による妨害電磁波低減装置の他の実施形態の全体概略図である。
【図8】本発明による妨害電磁波低減装置の他の実施形態の全体概略図である。
【図9】本発明による妨害電磁波低減装置の他の実施形態の全体概略図である。
【図10】本発明による妨害電磁波低減装置の他の実施形態の全体概略図である。
【図11】本発明による妨害電磁波低減装置の他の実施形態の全体概略図である。
【符号の説明】
【0025】
1…導電性板、2…抵抗体、3…アルキメデススパイラルアンテナ、3b…給電部、4…筐体、5…間隙、7…薄膜金属、8…粘着層、9…電磁波逓減構造体、10…誘電体板、11…誘電体
【技術分野】
【0001】
この発明は、複写機などの画像読取部において電子機器から発生する電磁波を低減するための妨害電磁波低減装置に関し、特に、広帯域での電磁波逓減効果の期待できると共に、比較的スパイラル構造の小さい妨害電磁波低減装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の電子機器の高機能化、高クロック化に伴い電子機器から発生する電磁波による障害が問題となってきている。特に複写機などの画像読取部においては高画質化のためにクロック数が高くなっており、漏洩する電磁波ノイズが重要な問題となってきている。
そこで、従来では強磁性体に金属板を密着させて、強磁性体に集まった磁界による誘導電流を金属板に発生させジュール熱により磁界エネルギーを吸収する電磁波吸収体が開示されている(特許文献1)。また、従来では、筐体の共振モードでの電流分布に着目してスリットを配置する技術が開示されている(特許文献2)。
【特許文献1】特開平11−261280号公報
【特許文献2】特開2003−115961公報
【非特許文献1】WARREN L. STUTZMAN, ANTENNA THEORY AND DESIGN, JON WILEY, P285)
【非特許文献2】佐治学「電気回路A」オーム社、P75
【非特許文献3】遠藤敬二 他「アンテナ工学」総合電子出版(1994)P71
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来技術のなかで特許文献1は一般に高周波では強磁性体の比透磁率は低下するので数百MHzの周波数で強磁性体としての効果は期待できない。また特許文献2では筐体の共振モードでの電流分布によって電磁波ノイズを低減するので、共振モード以外の周波数では電磁波ノイズの低減効果は期待できない。
本発明の目的は、前記従来の課題を解決することであり、広帯域での電磁波逓減効果が期待できる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、電子機器よりの妨害電磁波を低減するための妨害電磁波低減装置であって、前記電子機器に対向して配設された2組の等角スパイラル構造の導電性材料で構成された導電性板と、前記導電性板の中心に前記導電性板と電気的に接合された抵抗体と、を備えることを特徴とする。
また請求項2記載の発明は、電子機器よりの妨害電磁波を低減するための妨害電磁波低減装置であって、前記電子機器に対向して配設された2組のアルキメデススパイラル構造の導電性材料で構成された導電性板と、前記導電性板の中心に前記導電性板と電気的に接合された抵抗体と、を備えることを特徴とする。
【0005】
また請求項3記載の発明は、当該妨害電磁波低減装置の出力抵抗をR、リアクタンスをX、jを虚数として、Z1=R+jXとした場合、前記抵抗体の抵抗値をZ2=R−jXとすることを特徴とする。
また請求項4記載の発明は、前記導電性板が自己補対構造であることを特徴とする。
また請求項5記載の発明は、前記抵抗体の抵抗値が188Ωであることを特徴とする。
また請求項6記載の発明は、さらに筐体を有し、前記導電性板が、前記筐体の間隙に設けられていることを特徴とする。
また請求項7記載の発明は、前記間隙をルーバーとして使用することを特徴とする。
【0006】
また請求項8記載の発明は、前記導電性板が金属板であることを特徴とする。
また請求項9記載の発明は、前記導電性板が金属薄膜からなり、前記金属薄膜に粘着層が備えられていることを特徴とする。
また請求項10記載の発明は、前記導電性板のアームの寸法が、前記電子機器の妨害電磁波の半波長より大きいことを特徴とする。
また請求項11記載の発明は、前記導電性板及び抵抗体の近傍に誘電体を設けたことを特徴とする。
また請求項12記載の発明は、前記誘電体が前記抵抗体から離れた位置に設置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば2組の等角スパイラル構造の導電性材料で構成された導電性板と導電性板の中心に前記導電性板と電気的に接合された抵抗体とを備えた妨害電磁波低減装置を電子機器に対向して配設したことで、広い範囲の周波数で電磁波ノイズの逓減が可能となる。
また本発明によれば2組のアルキメデススパイラル構造の導電性材料で構成された導電性板と導電性板の中心に前記導電性板と電気的に接合された抵抗体とを備えた妨害電磁波低減装置を電子機器に対向して配設したことで、広い範囲の周波数で電磁波ノイズの逓減が可能となり、かつ等角スパイラルアンテナより寸法を小さくすることができる。
【0008】
また本発明によれば、出力抵抗をR、リアクタンスをX、jを虚数として、Z1=R+jXとした場合、抵抗体の抵抗値をZ2=R−jXとすることで、電磁波ノイズのより高い逓減が可能となる。
また本発明によれば、導電性板を自己補対構造とすることで、より安価、簡便に電磁波ノイズの逓減が可能となる。
また本発明によれば、抵抗体の抵抗値が188Ωとしたことで、電磁波ノイズのより高い逓減効果が可能となる。
【0009】
また本発明によれば、導電性板を筐体の間隙に設けることで、電磁波が漏洩するの対数周期構造の間隙だけでとなり、電磁波ノイズのより高い逓減効果が可能となる。
また本発明によれば、間隙をルーバーとして使用することで、電磁波逓減効果に加え放熱効果も可能となる。
また本発明によれば、導電性板を金属板とすることで、同等の電磁波逓減効果をより安価に提供する事が可能となる。
また本発明によれば、導電性板が金属薄膜からなり、前記金属薄膜に粘着層を備えるようにしたことで、プラスチック筐体でも同等の電磁波逓減効果を提供する事が可能となる。
【0010】
また本発明によれば、導電性板のアームの寸法を電子機器の妨害電磁波の半波長より大きくすることにより、確実に電磁波逓減効果が得られるようになる。
また本発明によれば、導電性板及び抵抗体の近傍に誘電体を設けることにより、導電性板の寸法が小さくても低い周波数の電磁波ノイズの低減が可能となる。
また、本発明によれば、誘電体を抵抗体から離れた位置に設置することにより、導電性板の寸法が小さくてもより低い周波数の電磁波ノイズの低減が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に添付の図を参照してこの発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明による妨害電磁波低減装置の一実施形態の全体概略図である。
本発明では、アルキメデス(Archimedean)スパイラル構造アンテナが広帯域でインピーダンスが一定である事とスパイラル形状の半径が角度の比例関数となっておりスパイラルのアームの長さを長くしてもスパイラル構造が極端に大きくならない事に着目し、そのインピーダンスに整合する抵抗体をつけて広帯域での電磁波逓減効果の期待できると共に、比較的スパイラル構造の小さい妨害電磁波低減装置を提供するようにしている。
図1に示すように、本実施形態では、給電部3bを有する電子機器を模したアルキメデススパイラルアンテナ3に対して、2組のアルキメデススパイラル構造の導電性材料からなる導電性板1と導電性板1の中心に導電性板1と電気的に接合された抵抗体2とからなる妨害電磁波低減装置を設けた構成となっている。なお、ここで、アルキメデススパイラル構造の導電性板1が金属板となっている。これにより同等の電磁波逓減効果をより安価に提供する事が可能となる。
【0012】
図2(a)、(b)において、アルキメデススパイラル構造とした導電性板1のX,Y方向の寸法をa1,b1とし、電子機器を模したアルキメデススパイラルアンテナ3のX,Y方向の寸法をa2,b2として、導電性板1までの距離をdとする。図2は、図1に示した導電性板1及び電子機器3の寸法を示す説明図である。
ここで、非特許文献1(WARREN L. STUTZMAN, ANTENNA THEORY AND DESIGN, JON WILEY, P285)に記載されているように、アンテナについて金属部分がアルキメデススパイラル構造ならば、そのアンテナのインピーダンスは周波数に依存しないことが示されている。実際にはアルキメデススパイラル構造のアームの長さと抵抗体近傍の工作精度でインピーダンスが一定な範囲は決まってしまうが実用上問題ない。
そこで、図1、図2に示すように、妨害電磁波低減装置の導電性板1を、自己補対構造となる2組のアルキメデススパイラル構造とすれは、アルキメデススパイラルアンテナ3からの放射電磁波について広範囲の周波数で共振して、抵抗体2に電圧が発生する。その時、抵抗体2に電流が流れることにより、ジュール熱が発生し、広い範囲の周波数で電磁波ノイズの逓減が可能となる。
【0013】
次に、上記構成からなる妨害電磁波低減装置により得られた効果を数値シミュレーションにより検証する。
まず、図1、図2に示すように、アルキメデススパイラルアンテナ3の上にアルキメデススパイラル構造の導電性板1を置いた場合(CASE1)と、図3に示すように、アルキメデススパイラルアンテナ3だけの場合(CASE2)について放射電界強度を計算する。図3は、アルキメデススパイラルアンテナ3だけの場合の概略図である。
なお、ここでは、図2に示す寸法形状において、a1=60mm,b1=62mm,a2=24mm,b2=31mm,d=50mmとし、抵抗体の抵抗値は100[Ω]とする。
また、ここではFDTD法(有限差分時間領域法)といわれる計算解析手法によるシミュレーションによって放射電界の評価を行う。この解析では、解析空間を格子状に分割して、Maxwell方程式を差分して時間領域で解く。具体的には、入力点であるダイポールアンテナの入力端に広い範囲の周波数成分を含んだガウシアンパルスを入力し、抵抗体からx方向に30mm,y方向に0mm,z方向に10mm離れた位置での時間領域での電界情報を取り込む。そして、この電界情報を周波数変換して周波数領域での電界情報を得る。
【0014】
図1に示すCASE1と、図3に示すCASE2(比較例)との場合における放射電界強度を図4に示す。図4において、例えば周波数794MHzについてCASE2は0.996[mv/m]に対してCASE1は0.148[mv/m]と7倍程度の逓減効果がある。そして周波数198MHz以上では逓減効果が見られる。
【0015】
次に、等角スパイラルアンテナに対するアルキメデススパイラルアンテナの寸法の優位性を示す。一般にアームの長さで共振する最小周波数は決まるので、アームの長さが長く、アンテナの外形寸法は小さい方が望ましい。
ここで、等角スパイラルアンテナのアームの半径をr1、比例定数をa1、角度をth1とすると、以下の1式の関係になる。
r1=a1**th1(**はべき乗)・・・(1)
製作精度の関係から、th1=0°でr1=1mm、th1=360°でr1=7mmとすると、a1=1.363となる。これからアームの長さを500mmにした等角スパイラルアンテナの1つのアーム外形を図5(a)に示し、角度に対するアームの半径とアームの長さを図5(b)に示す。アームの長さを500mmとするとアームの半径は150mmとなり、2つのアームでは300mmとなる。図5は、アームの長さを500mmにした等角スパイラルアンテナの1つのアーム外形を示す説明図である。
【0016】
それに対し、アルキメデススパイラルアンテナのアームの半径をr2、比例定数をa2、角度をth2とすると、以下の2式の関係になる。
r2=a2*th2 ・・・(2)
製作精度の関係からth1=0°でr1=1mm、th1=360°でr1=7mmとするとa1=1となる。これからアームの長さを500mmにしたアルキメデススパイラルアンテナの1つのアーム外形を図6(a)に示し、角度に対するアームの半径とアームの長さを図6(b)に示す。アームの長さを500mmとするとアームの半径は31mmとなり、2つのアームでは62mmとなる。図6は、アームの長さを500mmにしたアルキメデススパイラルアンテナの1つのアーム外形を示す説明図である。
以上の説明からアルキメデススパイラルアンテナの方が同じアームの長さで寸法は等角スパイラルアンテナの1/5倍で良い事が分かる。
また本実施形態では、導電性板のアーム部分を等角スパイラル構造としても、スパイラル形状の半径が角度のべき乗の関数となっており、上記数値計算で検証しても同様な低減効果が可能となる。
【0017】
また本実施形態では、抵抗体2を接続する部分のインピーダンスをインピーダンスアナライザあるいは数値計算により求めている。この抵抗体2を接続する部分のインピーダンス(妨害電磁波低減装置の出力抵抗)を、抵抗R、リアクタンスをX、jを虚数として、Z1=R+jXとした場合に、抵抗体2のインピーダンスをZ2=R−jXとする。
このようにすると非特許文献2(佐治学「電気回路A」オーム社、P75)に示されているように、最大電力供給の定理から電力が抵抗体2に一番効果的に消費される。これから電磁波ノイズのより高い低減効果が可能となる。
【0018】
また本実施形態では、導電性板1をアルキメデススパイラル構造でかつ自己補対構造(板とその空隙部分が線対称あるいは点対称であるもの)とする。
このようにすると非特許文献3(遠藤敬二 他「アンテナ工学」総合電子出版(1994)p71)に記載のように、アンテナについて金属部分が無限に大きくかつ金属部分と空間部分の形状が、移動することで同一となる自己補対構造ならば、そのアンテナのインピーダンスはインダクタンス成分をもたず純抵抗値になり、周波数、アンテナの形状に依存しないようになる。実際には、アンテナの寸法は有限なので低域の周波数でアンテナのインピーダンスは一定ではないが、高い周波数では一定である。また自己補対構造であるならば、周波数に関係なくアンテナのインピーダンスは一定の60π(=188Ω、πは円周率)である事が示されている。これから抵抗体の抵抗値にリアクタンス成分は必要なく、より安価、簡便で電磁波ノイズの低減効果が可能となる。
【0019】
また、本実施形態において抵抗体2の抵抗値を188[Ω]とする。これにより、導電性板1のインピーダンスと抵抗体2が整合する事により電磁波ノイズのより高い低減効果が可能となる。
図7は、本発明による妨害電磁波低減装置の他の実施形態の全体概略図である。図7に示すように、この妨害電磁波低減装置は、電子機器を模したアルキメデススパイラルアンテナ3を囲う筐体4にアルキメデススパイラル構造の間隙5を形成したものである。このようにアルキメデススパイラルアンテナ3を筐体4で囲うことで、電磁波が漏洩するのはアルキメデススパイラル構造の間隙5だけであり、ノイズ源であるアルキメデススパイラルアンテナ3からの電磁波放射はより減少する。また、アルキメデススパイラル構造の間隙5も広帯域の電磁波に共振するので電磁波ノイズのより高い逓減効果が可能となる。
なお、ここで、図7に示したアルキメデススパイラル構造の間隙5を放熱用の開口部(ルーバー)として、開口部の近傍にファンを設置して、ファンの排風や換気を行う場合に使うようにしても良い。これにより電磁波逓減効果に加え、放熱効果も可能となる。
【0020】
図8は、本発明による妨害電磁波低減装置の他の実施形態の全体概略図である。図8(a)、(b)に示す妨害電磁波低減装置である電磁波逓減構造体9は、アルキメデススパイラル構造の間隙5を形成した薄膜金属7及び粘着層8から構成される。このような電磁波逓減構造体9を、電子機器を模したアルキメデススパイラルアンテナ3を囲うプラスチック筐体に貼ることで、導電性でないプラスチック筐体でも、安価、容易に電磁波逓減が可能となる。なお、図8においては金属薄膜7にアルキメデススパイラル構造の間隙5を形成する場合を例に挙げて説明したが、これはあくまでも一例であり、電磁波逓減構造体9としては金属薄膜7の一部にアルキメデススパイラル構造のパターンを形成するようにしても良い。
【0021】
図9は、本発明による妨害電磁波低減装置の他の実施形態の全体概略図である。図9に示すように、この妨害電磁波低減装置は、アルキメデススパイラル構造導電性板1のアームの寸法を、電磁波の半波長に相当する長さより長いcとするようにしている。一般に、アルキメデススパイラル構造は無限大に大きければ低い周波数までインピーダンスは一定であるが、実際は寸法に限りがあるので低い周波数ではインピーダンスは一定にならず、電磁波逓減効果が低下する。ここで電磁波逓減効果が減少する周波数は半波長に相当する。そこで、予め逓減する最低周波数を決めてその半波長より寸法cを大きくすることにより確実な電磁波逓減効果が可能となる。
【0022】
図10は、本発明による妨害電磁波低減装置の他の実施形態の全体概略図である。図10に示すように、この妨害電磁波低減装置は、アルキメデススパイラル構造の導電性板1及び抵抗体2の近傍に誘電体板10を設けた構成となっている。このようにすれば、誘電体板10により一般に誘電体近傍の線路では波長短縮が起るので、導電性板1の寸法が小さくても波長短縮分だけ低い周波数の電磁波ノイズの低減が可能となる。
【0023】
図11は、本発明による妨害電磁波低減装置の他の実施形態の全体概略図である。図11に示すように、この妨害電磁波低減装置は、アルキメデススパイラル構造の導電性板1及び抵抗体2から所定距離だけ離れた位置に誘電体板11を設けた構成となっている。一般に、高い周波数では抵抗体の近傍で共振するが、低い周波数では抵抗体から離れた位置で共振する。そのため、誘電体11を抵抗体から離れた位置に置くことにより、導電性板の寸法が小さくてもより低い周波数で効果的に共振して電磁波逓減効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明による妨害電磁波低減装置の一実施形態の全体概略図である。
【図2】図1に示した導電性板1及び電子機器3の寸法を示す説明図である。
【図3】アルキメデススパイラルアンテナ3だけの場合の概略図である。
【図4】図1に示すCASE1と、図3に示すCASE2(比較例)との場合における放射電界強度を示すグラフ図である。
【図5】アームの長さを500mmにした等角スパイラルアンテナの1つのアーム外形を示す説明図である。
【図6】アームの長さを500mmにしたアルキメデススパイラルアンテナの1つのアーム外形を示す説明図である。
【図7】本発明による妨害電磁波低減装置の他の実施形態の全体概略図である。
【図8】本発明による妨害電磁波低減装置の他の実施形態の全体概略図である。
【図9】本発明による妨害電磁波低減装置の他の実施形態の全体概略図である。
【図10】本発明による妨害電磁波低減装置の他の実施形態の全体概略図である。
【図11】本発明による妨害電磁波低減装置の他の実施形態の全体概略図である。
【符号の説明】
【0025】
1…導電性板、2…抵抗体、3…アルキメデススパイラルアンテナ、3b…給電部、4…筐体、5…間隙、7…薄膜金属、8…粘着層、9…電磁波逓減構造体、10…誘電体板、11…誘電体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器よりの妨害電磁波を低減するための妨害電磁波低減装置であって、前記電子機器に対向して配設された2組の等角スパイラル構造の導電性材料で構成された導電性板と、前記導電性板の中心に前記導電性板と電気的に接合された抵抗体と、を備えることを特徴とする妨害電磁波低減装置。
【請求項2】
電子機器よりの妨害電磁波を低減するための妨害電磁波低減装置であって、前記電子機器に対向して配設された2組のアルキメデススパイラル構造の導電性材料で構成された導電性板と、前記導電性板の中心に前記導電性板と電気的に接合された抵抗体と、を備えることを特徴とする妨害電磁波低減装置。
【請求項3】
当該妨害電磁波低減装置の出力抵抗をR、リアクタンスをX、jを虚数として、Z1=R+jXとした場合、前記抵抗体の抵抗値をZ2=R−jXとすることを特徴とする請求項1又は2に記載の妨害電磁波低減装置。
【請求項4】
前記導電性板が自己補対構造であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の妨害電磁波低減装置。
【請求項5】
前記抵抗体の抵抗値が188Ωであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の妨害電磁波低減装置。
【請求項6】
さらに筐体を有し、前記導電性板が、前記筐体の間隙に設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の妨害電磁波低減装置。
【請求項7】
前記間隙をルーバーとして使用することを特徴とする請求項6に記載の妨害電磁波低減装置。
【請求項8】
前記導電性板が金属板であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の妨害電磁波低減装置。
【請求項9】
前記導電性板が金属薄膜からなり、前記金属薄膜に粘着層が備えられていることを特徴とする請求項8に記載の妨害電磁波低減装置。
【請求項10】
前記導電性板のアームの寸法が、前記電子機器の妨害電磁波の半波長より大きいことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の妨害電磁波低減装置。
【請求項11】
前記導電性板及び抵抗体の近傍に誘電体を設けたことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の妨害電磁波低減装置。
【請求項12】
前記誘電体が前記抵抗体から離れた位置に設置されることを特徴とする請求項11に記載の妨害電磁波低減装置。
【請求項1】
電子機器よりの妨害電磁波を低減するための妨害電磁波低減装置であって、前記電子機器に対向して配設された2組の等角スパイラル構造の導電性材料で構成された導電性板と、前記導電性板の中心に前記導電性板と電気的に接合された抵抗体と、を備えることを特徴とする妨害電磁波低減装置。
【請求項2】
電子機器よりの妨害電磁波を低減するための妨害電磁波低減装置であって、前記電子機器に対向して配設された2組のアルキメデススパイラル構造の導電性材料で構成された導電性板と、前記導電性板の中心に前記導電性板と電気的に接合された抵抗体と、を備えることを特徴とする妨害電磁波低減装置。
【請求項3】
当該妨害電磁波低減装置の出力抵抗をR、リアクタンスをX、jを虚数として、Z1=R+jXとした場合、前記抵抗体の抵抗値をZ2=R−jXとすることを特徴とする請求項1又は2に記載の妨害電磁波低減装置。
【請求項4】
前記導電性板が自己補対構造であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の妨害電磁波低減装置。
【請求項5】
前記抵抗体の抵抗値が188Ωであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の妨害電磁波低減装置。
【請求項6】
さらに筐体を有し、前記導電性板が、前記筐体の間隙に設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の妨害電磁波低減装置。
【請求項7】
前記間隙をルーバーとして使用することを特徴とする請求項6に記載の妨害電磁波低減装置。
【請求項8】
前記導電性板が金属板であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の妨害電磁波低減装置。
【請求項9】
前記導電性板が金属薄膜からなり、前記金属薄膜に粘着層が備えられていることを特徴とする請求項8に記載の妨害電磁波低減装置。
【請求項10】
前記導電性板のアームの寸法が、前記電子機器の妨害電磁波の半波長より大きいことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の妨害電磁波低減装置。
【請求項11】
前記導電性板及び抵抗体の近傍に誘電体を設けたことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の妨害電磁波低減装置。
【請求項12】
前記誘電体が前記抵抗体から離れた位置に設置されることを特徴とする請求項11に記載の妨害電磁波低減装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−47839(P2008−47839A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−224593(P2006−224593)
【出願日】平成18年8月21日(2006.8.21)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月21日(2006.8.21)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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