説明

媒体ダイバータ装置

【課題】ゲートが所望の位置に到着する前のシートが到着し、ゲート端部に接してしまうのを防止する。
【解決手段】生産性を最大化する複数位置レターボックス媒体ダイバータ60は、斧のように構成されたゲート60を含んでいる。斧によって、十分な空間をあけてシートの後端がゲートの先端を通過した直後に動作するために、ダイバータに十分な空間が与えられ、これにより、ゲート作動時間を向上させることができる。インバータの可逆的な駆動部は、シート7を双方向通信経路に方向付けるために用いられ、もう1つのシート6は、同時に、ゲートの下端に一体化されたバッフル部分13〜16によって排出トレイに随時方向付けられる。従って、シートが、シート方向を反転させる前にインバータ経路に位置するために必要な時間を削減し、これにより、所要移送速度の低下を実現できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、広範に、ゼログラフィックプリンタ、特に、ゼログラフィックプリンタおよび他の同様の機械において用いられる改善されたダイバータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機の分野では、多くの場合、特に機械が単方向通信(片側)シートおよび双方向通信(両面)シートを選択的に作り出すことができる場合、2つの選択的な経路のうちの1つに沿って、機械のプロセスから出るコピーシートを送り込む必要がある。単方向通信シートは、排出トレイに直接送り込まれてもよい。その一方で、双方向通信シートはインバータ挟み込み部に移動してもよい。インバータ挟み込み部とは、単方向通信シートの動きの方向を自動的に反転させ、反転した単方向通信シートをプロセッサに返し、これにより、適切なデータがシートの第2面に供給され得るものである。このような例が、互いに摩擦によってまたは噛み合わさって接触している3つのローラを含み、間隔を空けた2つの挟み込み部を提供する米国特許番号第4,359,217号に示されている。2つの挟み込み部のうちの1つは、下流のシートポケットへの入力挟み込み部であり、もう1つは、ポケットから各シートを抽出するための出力挟み込み部である。
【0003】
さらに、知られている印刷システムが、通例、ある点で互いから方向転換し、他の点で互いに交わる2つ以上の媒体移送経路を含んでいる。従って、媒体の所定のシートは、通常、知られている印刷システムを介して色々な移送経路のうちの任意の1つに沿って移送され得る。分岐部に達した場合、媒体のシートは、それ自体では、それに沿って動くことが望ましい適切な媒体移送経路を選択しないだろう。そのため、機械的なダイバータが、通常、上記の分岐する移送経路の直前に提供され所望の進路に沿ってシートをそらせるために。このような知られている機械的なダイバータの一例として、移送経路の分岐部の直前に媒体移送経路にわたるゲートが挙げられる。ゲートは、上流の端部および下流の端部を含み、下流の端部が移送進路の分岐部付近において旋回可能に支持されるように、移送経路に沿って方向付けられている。従って、ゲートは、第1移送経路および第2移送経路に沿った媒体のシートの方向転換に相当する、第1位置と第2位置との間で動かすことができる進路にわたって対角線上に伸びる閉塞部を生成する。
【0004】
これらのタイプのダイバータゲートは、印刷システムの性能は向上するものであると考えると、媒体の第1シートの通過と、異なる位置へのゲートの移動と、媒体の第2シートの到着との間のタイミングに関して、不都合な点を有している。つまり、所定の印刷システムでは、あらかじめ定められた文書間の隙間(IDG)を用いて動作することになる。隙間は、一般に、媒体の第1シートの後端と媒体の第2シートの先端との間の間隔のことである。しかし、印刷システムの出力性能が改善され続けると、次第に小さなIDGが用いられることが期待される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ゲートが所望の位置に到着する前に分岐部に媒体の第2シートが到着することにより、シート材料の先端がゲートの上流の端部と接してしまい、これにより、紙詰まりまたは他の望ましくない状態が生じる、ということがよく知られている。そして、次第に小さくなるIDGが用いられると、一方の位置から他方の位置へ移動するためのゲートに用いられる時間が少なくなるということを理解されたい。そのため、ゲートの動作速度を上げることによって、所望の反応時間を得ることができる。しかし、結局のところ、実用的な性能閾値に達することが期待され、この性能閾値を越えて、ゲート速度をほんのわずかに上げることを、実用的なゲート構成を用いて達成できるだろう。
【0006】
従って、ダイバータアセンブリの反応時間を向上させると同時に、上述のおよび他の問題および困難を克服するダイバータアセンブリが、なおも求められる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
それゆえに、生産性を最大化する改善された複数位置レターボックス媒体ダイバータが開示される。ダイバータは、アームに取り付けられ、斧のように構成されたゲートを含み、シートの後端がゲートの先端を通過した直後に動作するために、ゲートに十分な空間が与えられ、これにより、ゲート作動時間を向上させることができる。インバータの可逆的な駆動部は、シートを双方向通信経路に方向付けるために用いられ、もう1つのシートは、同時に、ゲートの下端に一体化されたバッフル部分によって排出トレイに随時方向付けられる。従って、シートが、シート方向を反転させる前にインバータ経路に位置するために必要な時間を削減し、これにより、所要移送速度の低下を実現できる。
【0008】
上述のおよび他の様々な特徴および利点は、特定の装置およびその動作または以下に例示する方法、および、特許請求の範囲から、当業者に明らかであろう。従って、特徴および利点は、(ほぼ縮尺通りに縮小した)図面を含むこれらの特定の実施形態の記載から、よりよく理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本開示に従った、第1位置または定位置における改善されたレターボックスダイバータを組み込んだプリンタ装置の部分的な正面図である。
【図2】図2は、第2位置または作動位置において改善されたレターボックスダイバータを示す、図1のプリンタ装置の部分的な正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここで、図面を参照するが、この提示は、模式的な実施形態を図示するためであり、制限することを意図したものではない。図1は、二重位置調整レターボックス媒体ダイバータを用いて単方向通信(片側)媒体および双方向通信(両面)媒体の印刷を実現するための複数の媒体経路を有するプリンタ装置5の部分正面図を示している。
【0011】
図1に示したように、媒体のシート6は、定着器ロール10および補助ロール12を含む定着器挟み込み部から出て、バッフル13、14およびバッフル15、16を介して、駆動ロール18と遊びロール20との間に形成された定着器後挟み込み部に移送され、次に、レターボックス媒体ダイバータ60に移送されたところである。レターボックスダイバータまたはゲート60は、図1に示した第1位置または定位置にあるとき、シート6を矢印Aの方向である単方向通信経路に方向付けると同時にシート7を矢印Cの方向である双方向通信経路に導く、複数位置調整ダイバータである。図1のシート6は、レターボックスダイバータ器60によってその定位置または第1位置に送られ、矢印Aの方向において、続いて排出トレイに送るための駆動ロール22と遊びロール24との間に形成された第1出力挟み込み部に方向転換されている。この定位置にある間、レターボックスダイバータ器60は、ダイバータの上面64に位置するシート7を、矢印Cの方向において双方向通信媒体経路に、および、搬送ロール43と44との間に形成された挟み込み部に方向付ける。可逆ロール41および42を逆転させてシートを反転させることができるように、シート6の後端がダイバータ60の先端部分を通過した直後に、ダイバータは第2位置へと作動し、次のシートを図2に示した反転経路Bに方向付ける。
【0012】
レターボックスダイバータ60は、双方向通信される媒体の上面を制御するバッフルの上半端65を含む3つの部分ゲートを含んでいる。アーム63は、旋回軸69との接続位置として機能すると共に、反転経路の間、バッフルの下半端として機能する。さらに、回転アーム63は、双方向通信される媒体の下面を制御する。塊状部材61は、アーム63に接続され、ゲートの斧の形状をした部分(つまり、塊状部材61から旋回軸69に伸びる広い領域または空間)を形成する。この構成により、ゲートが、反転した次のシートの受信するためにリセットするとき、ゲートが出て行くシートを妨げないということが保証される。さらに、ゲートは、小さな空間の覆いの中でシートの反転を完成させ、方向を反転させる時間を短縮し、プロセスの速度時間を短縮し、ガイドバッフルの追加の必要がなくなる。ゲートの斧の形状をした部分の上端64は、双方向通信される媒体の下面を制御する。ゲートの斧の形状をした部分の下端62は、プリンタから出る媒体の上面を制御する。上端出口バッフル67および下端出口バッフル68は、それぞれ、プリンタから出る媒体の上面および下面を制御する。図1では、ゲート60は、上方位置において示されている。位置は、この出口経路から出る位置であると共に、シートが反転後に双方向通信経路に移動するために用いられる位置である。シート7が、反転挟み込み部から出ることが示されており、同時に、シート6がプリンタから出ることが示されている。
【0013】
図1をさらに参照すると、反転用および続く双方向通信用に可逆ロール41と42との間に形成された挟み込み部に捕らえられたシート7が、双方向通信経路へと送られ、駆動ロール43と遊びロール44との間に形成された挟み込み部を介して、二重位置調整そらせ板装置50へと送られることが示されている。そらせ板装置は、第1位置において、第2排出トレイ48へとシートを順に促す第2出力挟み込み部46へとシートをそらせるものである。そらせ板装置50は、第2位置で、シートの裏側に画像が転写される転写位置(図示せず)に移送するための挟み込み部48を介して、点で描かれた双方向通信経路Dに沿ってシートをそらせる。さきほど双方向通信された画像は、次に、定着ロール10によって定着され、排出トレイに移送される。
【0014】
レターボックスダイバータ60が、その定位置において、シート6を駆動ロール22と遊びロール24との間に形成された挟み込み部へと送り込むと同時に、シート7をダイバータ器から双方向通信経路Cを介して移送することが、図1に示されている。ダイバータは、図1の定位置と、駆動ロール41と遊びロール42との間に形成された反転挟み込み部にシートを送り込むための、図2に示された第2位置との間で軸69によって回転される。定位置から作動位置へのダイバータの動きは、ダイバータ内にあるシートの後端の位置によって始動される。
【0015】
図2では、ゲート60は、その下方位置にある。この位置は、双方向通信経路を方向変換するために、反転挟み込み部に入るシートに用いられる位置である。紙がゲートの入り口端部(点線9)を通過するとすぐに、紙は、シートがまだ内部にあるにもかかわらず、位置に向きを変え始めることができる。これにより、シートが機械からより速く抜け出るためにゲートをリセットすることができると共に、双方向通信紙経路をより短くすることができる。シートは、ミリメートル単位の距離であっても、ゲートをさらに上方に移動する必要はない。シートはまたゲートを下方に戻す必要がないので、双方向通信経路の長さが2mm短くなる。
【0016】
さて、文書間の隙間が短くなり、ゲートへの移行時間を速くすることによってプリンタの生産性を上げる、改善されたダイバータの構成が開示されているということが、理解される必要がある。さらに、ゲートの先端において密集することが減り、これにより、従来用いられてきたゲートよりも、ゲートを回転させるために必要とされるトルクを低減できる。これらの性能強化が、シートの後端がゲートの入り口端部を通過した直後にダイバータを動作することができる、レターボックスダイバータ構成を用いることによって、成し遂げられる。レターボックスのゲートは、シートを反転経路に方向付けるように移動し、これにより、インバータの反転駆動部を作動することができる。これにより、シート方向を反転させる前にシートがインバータ経路内に位置するために必要な時間を低減する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単方向通信媒体および双方向通信媒体を出力位置に方向付けるための第1経路と、
単方向通信媒体をインバータに方向付けるための第2経路と、
画像を、前記画像の描かれていない側で受信するために、反転した単方向通信媒体を方向付けるための双方向通信経路と、
マルチモードダイバータであって、第1モードにおいて前記第1経路から前記単方向通信媒体を受信し、マルチモードダイバータの上面部分によって、反転した単方向通信媒体を前記双方向通信経路に方向付けると同時に、前記単方向通信媒体を前記出力位置に方向付けるとき、および、第2モードにおいて前記単方向通信媒体を前記マルチモードダイバータの前記部分によって前記インバータに方向付けるときに、適合する前記マルチモードダイバータであり、前記ゲートが、反転する次の媒体の受信をリセットするときに前記ゲートが出て行く媒体を妨げないことを保証するために、前記マルチモードダイバータは、軸を備え付けた回転可能なアームによって支持された頭状部材および前記頭状部材と前記軸との間に配置された前記マルチモードダイバータの空間部分を含むように構成されたゲート部材を含み、これにより、前記ダイバータの反応時間が長くなる、前記マルチモードダイバータとを含む、複写装置。
【請求項2】
前記マルチモードダイバータは、前記マルチモードダイバータを介する通信路を形成するために、前記上面部分を補完する上部を含む、請求項1に記載の複写装置。
【請求項3】
前記頭状部材は、不等辺四辺形の形状をした塊である、請求項2に記載の複写装置。
【請求項4】
前記塊状部材は、単方向通信媒体および双方向通信媒体を前記出力位置に方向付けるためのバッフルとして機能する下面部分を含む、請求項3に記載の複写装置。
【請求項5】
前記マルチモードダイバータは、複合的な3つの部分部材である、請求項1に記載の複写装置。
【請求項6】
シートを複数の方向に方向付けるための複写装置において用いられる二重位置調整可能ダイバータであって、
複合的な上部および下部であって、前記下部は、回転運動のために前記上部および前記下部と一体になったアームによって支持されており、前記上部および前記下部は、前記上部および前記下部を介してシートを通すための前記上部と前記下部との間に伸びる通信路を形成している、前記上部および下部と、前記ダイバータ器が定位置から起動位置に回転するために備え付けられている回転可能な軸とを含み、前記下部および前記アームは、前記下部と前記軸との間に空洞を提供するように構成されており、これにより、シートが前記ダイバータの入り口地点を通過するとすぐに、前記ダイバータは、前記定位置から前記起動位置に移動されることができる、前記ダイバータ。
【請求項7】
前記ダイバータは、シートを出力挟み込み部に導くときに前記定位置にあると同時に、もう1つのシートをインバータから離れて双方向通信経路に導く、請求項6に記載の二重位置調整可能ダイバータ。
【請求項8】
前記ダイバータ器は、シートを前記インバータに導くときに前記起動位置にある、請求項7に記載の二重位置調整可能ダイバータ。
【請求項9】
前記ダイバータは、シートの後端が前記入り口地点を通過した直後に、前記定位置から前記起動位置に移動される、請求項8に記載の二重位置調整可能ダイバータ。
【請求項10】
前記ハウジングの前記下部の上面が、シートを前記インバータの挟み込み部および前記双方向通信経路に導く、請求項9に記載の二重位置調整可能ダイバータ。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−62198(P2012−62198A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−193170(P2011−193170)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】