説明

媒体供給装置およびチケット発行装置

【課題】容易に媒体を保持すること。
【解決手段】媒体供給部11は、一対のローラ(駆動ローラ112c、ピンチローラ112d)と、回転抑制部116とを有している。駆動ローラ112c、ピンチローラ112dは、図示しない媒体を挟み込んで支持する。回転抑制部116は、駆動ローラ112c、支持する軸112aの端部に当接する当接部を有し、この当接部と軸とに生じる摩擦力により軸の軸方向の回転を抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は媒体供給装置およびチケット発行装置に関し、特に、媒体を供給する媒体供給装置およびチケットを発行するチケット発行装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の自動処理技術の進展に伴い、搭乗券や乗車券等の各種チケットの発行のため、チケットを自動で発行するチケット発行装置が利用されている。近年、このような券類を自動処理するため、券類に、印字の他に、磁気データ等の読み取り可能なデータを記録することが行われている。
【0003】
この要求により、チケット発行装置は、磁気データ領域を持つ券類の媒体を使用し、この媒体に、データ(例えば、搭乗券では、搭乗日、搭乗便名、搭乗時刻、座席番号、搭乗者名等)を記録し、且つ視認可能にこれらを印字して、発行する。近年、このチケット発行装置で、複数種類の(例えば、各航空会社の)チケットを取り扱う要求がある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
図13は、従来のチケット発行装置の内部構造の一部を示す図である。
図13に示すように、複数の異なる種別のファンフォールド連続紙(媒体)81、82、83が、チケット発行装置90と離れた床の上等に設置される。
【0005】
チケット発行装置90は、媒体供給機構91と、カッター92と、磁気ヘッド93と、印字部94とを有している。
媒体供給機構91は、ファンフォールド連続紙81、82、83それぞれを保持し、カッター92に搬送するためのローラ(図示せず)を有している。媒体供給機構91は、このローラをそれぞれ独立したモータによって駆動したり、または、一つのモータによってクラッチ等を介して駆動を伝達するローラを切り替えたりすることによって媒体の供給を行う。
【0006】
そして、発行するチケットの種別に応じて適当なファンフォールド連続紙81、82、83のいずれか1つを選択し、カッター92に搬送する。
カッター92は、搬送されたファンフォールド連続紙を切断して一枚のチケットにする。
【0007】
磁気ヘッド93は、切断されたチケットの磁気記録や読取りを行う。
印字部94は、チケットに所定の情報を印字する。例えば航空券であれば、航空会社、搭乗日、搭乗便名、搭乗口、搭乗時刻、座席番号等を印字する。
【0008】
印字が行われたチケットは、チケット発行装置90から排出される。
【特許文献1】特開2005−346196号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
媒体供給機構91は、保持したファンフォールド連続紙81、82、83の媒体のうち、チケット発行装置90に供給を行わないもう一方の媒体は搬送用のローラによって保持したままの状態を続ける必要がある。
【0010】
しかしながら、外部からの振動や、ファンフォールド連続紙81、82、83の自重や、供給されるもう一方の媒体との干渉等により、保持したファンフォールド連続紙81、82、83が動いたり、または、媒体供給機構91から落下したりすることがある。このため、これを防止するために搬送用のローラの回転を固定する必要がある。
【0011】
この固定方法としては、それぞれのローラに専用の駆動モータを配し、これをロックしたり、または、ローラ自体を何らかの方法によってロックしたりする等の方法が考えられるが、機構が複雑になったり、部品点数が増えてコストがかかる等の問題がある。
【0012】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、容易に媒体を保持することができる媒体供給装置およびチケット発行装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、媒体を供給する媒体供給装置が提供される。この媒体供給装置は、一対のローラと、回転抑制部とを有している。
一対のローラは、媒体を挟み込んで支持する。
【0014】
回転抑制部は、一対のローラをそれぞれ支持する軸のうち、少なくとも一方の軸の端部に当接する当接部を有し、この当接部と軸とに生じる摩擦力により軸の軸方向の回転を抑制する。
【0015】
このような媒体供給装置によれば、回転抑制部が有する当接部と軸とに生じる摩擦力により、軸の軸方向の回転が抑制される。
【発明の効果】
【0016】
開示の媒体供給装置によれば、軸の軸方向の回転が抑制されるため、一対のローラは容易に媒体を支持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1および図2は、実施の形態のチケット発行装置の概要を示す図である。
図1に示すように、チケット発行装置1は、中空の基台10上に設置される。
【0018】
基台10内には、チケット(例えば、乗車券や航空券等)となるファンフォールド連続紙(折りたたみ連続紙)51、52を収納したホッパ53、54が設置されている。ファンフォールド連続紙51、52には、所定間隔で多数のミシン目が形成されている。
【0019】
これらファンフォールド連続紙51、52は、テンションローラ等を備えるガイド機構61、62を介してチケット発行装置1の背面側に導かれる。
なお、直接ファンフォールド連続紙51、52をチケット発行装置1の背面側に導くようになっていてもよい。
【0020】
図2に示すように、チケット発行装置1の前面には、チケット発行装置1の動作状態を表示するインジケータ群2と、チケット発行装置1を操作するための入力キー群3と、発行されたチケットが排出される排出スタッカ4と、チケットを挿入するチケット挿入口5とが設けられている。
【0021】
図3は、チケット発行装置の内部構造を示す図である。
チケット発行装置1は、ファンフォールド連続紙51、52の取込側からチケットの排出側に向かって、媒体供給部11と、カッター12と、リング搬送部13と、熱転写印字ヘッド14と、ゲート15と、リジェクトスタッカ16とを有している。
【0022】
媒体供給部11は、図示しない制御部の指示により、ファンフォールド連続紙51またはファンフォールド連続紙52を選択し、カッター12に供給する。この供給速度は、特に限定されないが、例えば1m/s程度である。
【0023】
カッター12は、媒体供給部11から供給された一方のファンフォールド連続紙51またはファンフォールド連続紙52を前述したミシン目で切断して分離し、1枚のチケットにする。
【0024】
チケットは金券の一種であるため、各チケットには、偽造防止等の目的でチケットを管理する番号が記録されている。
リング搬送部13は、磁気ヘッド131と、円柱上のリング132と、リング132の周囲を囲むように設けられたローラ133、134、135とを有している。
【0025】
磁気ヘッド131は、下部に位置したチケットにデータ(認定番号等)を磁気記録したり、記録したデータをリードし、書き込んだデータと読み取ったデータとが一致しているか否かを照合したりする。
【0026】
ローラ133、134、135は、それぞれリング132とローラ133、134、135の外周に巻かれたベルトとの間にチケットを挟みこんで支持(挟持)する。そして、制御部の指示により、所定のローラが駆動されることにより、チケットをリング132の外周に沿って移動させる。
【0027】
熱転写印字ヘッド14は、磁気ヘッド131の照合結果に基づいて、搬送されたチケットに航空会社、搭乗日、搭乗便名、搭乗口、搭乗時刻、座席番号等を印字する。具体的には、照合した結果、データが一致していれば、印字を行いゲート15に搬送する。一方、データが一致していなければ、印字を行わずゲート15に搬送する。
【0028】
ゲート15は、搬送されたチケットのうち、熱転写印字ヘッド14が印字を行ったチケット100については排出スタッカ4に排出する。一方、熱転写印字ヘッド14が印字を行わなかったチケット101についてはリジェクトスタッカ16に収容する。
【0029】
このようなチケット発行装置1によれば、カッター12によって切断されたチケットは、リング搬送部13に導かれる。すると、リング搬送部13のローラ133が駆動され、チケットがリング132とローラ133に巻かれたベルトとの間に挟持される。そして、挟持されたチケットは、リング132の外周に沿って移動され、磁気ヘッド131の下部に位置する。
【0030】
このとき、磁気ヘッド131により、チケットにデータが磁気記録される。その後、ローラ133、134が駆動され、リング132とローラ133、134に巻かれたベルトとの間にチケットが挟持され、チケットは、一度磁気ヘッド131の右方向に移動する。
【0031】
その後、ローラ133、134が駆動され、再度磁気ヘッド131の下部にチケットが導かれる。磁気ヘッド131により、磁気記録されたデータがリードされ、書き込んだデータと読み取ったデータとが一致しているか否かが照合される。その後、ローラ135が駆動され、リング132とローラ135に巻かれたベルトとの間にチケットが挟持され、チケットが熱転写印字ヘッド14に搬送される。
【0032】
その後、熱転写印字ヘッド14により、磁気ヘッド131の照合結果に基づいて、搬送されたチケットに航空会社、搭乗日、搭乗便名、搭乗口、搭乗時刻、座席番号等が印字されゲート15に搬送される。
【0033】
ゲート15により、熱転写印字ヘッド14によって印字が行われたチケットについては排出スタッカ4に排出される。一方、熱転写印字ヘッド14によって印字が行われなかったチケットについてはリジェクトスタッカ16に収容される。
【0034】
次に、媒体供給部11の構成を詳しく説明する。
図4は、媒体供給部の構成を示す斜視図である。
媒体供給部11は、左右に設けられたフレーム111a、111bと、チケット挟持部112、113と、モータ114と、クラッチ機構部115と、回転抑制部116とを有している。
【0035】
フレーム111a、111bは、ファンフォールド連続紙51、52のカッター12への供給方向を一定とするガイド機構の役割を果たしている。フレーム111a、111bの間隔は、ファンフォールド連続紙51、52の幅よりも若干広くなっている。
【0036】
チケット挟持部112は、フレーム111a、111bによって支持される軸112a、112bと、軸112aに取り付けられた駆動ローラ112cと、軸112bに取り付けられたピンチローラ112dとを有している。駆動ローラ112cとピンチローラ112dとによって、図4中下部から挿入されるファンフォールド連続紙51が挟持される。
【0037】
チケット挟持部113は、フレーム111a、111bによって支持される軸113a、113bと、軸113aの周りを空転可能に設けられた駆動ローラ113cと、軸113bに取り付けられたピンチローラ113dとを有している。駆動ローラ113cとピンチローラ113dとによって、図4中下部から挿入されるファンフォールド連続紙52が挟持される。
【0038】
また、駆動ローラ113cの左側(フレーム111b側)には、クラッチ機構部115の後述するクラッチギアと噛み合うギアが設けられている。
モータ114は、フレーム111bに取り付けられており、駆動ローラ112cまたは駆動ローラ113cを選択的に駆動する(回転させる)。なお、この回転数は、特に限定されないが、例えば960rpm程度である。
【0039】
このモータ114にはベルト駆動ローラ114aが取り付けられており、モータ114の駆動力は、このベルト駆動ローラ114aを通じてタイミングベルト117に伝達する。タイミングベルト117が回転(循環駆動)することでクラッチ機構部115に駆動力が伝達する。
【0040】
クラッチ機構部115は、制御部の制御信号に従って、駆動させる駆動ローラ112cと駆動ローラ113cとを切り替える。
回転抑制部116は、フレーム111aに取り付けられており、駆動ローラ112cを軸方向に付勢して、駆動ローラ112cが取り付けられた軸112aの回転を抑制する。
【0041】
図5および図6は、媒体供給部の駆動機構の構成を示す正面図である。
以下の説明では、図5中の右側を「右」、左側を「左」という。
クラッチ機構部115は、軸113aに取り付けられたクラッチギア部115aと、軸115bに取り付けられ、クラッチギア部115aと噛み合い、駆動させる駆動ローラ112cと駆動ローラ113cとを切り替えるクラッチ115cと、軸113aに取り付けられ駆動ローラ112cを駆動させるギア部115dとを有している。
【0042】
クラッチギア部115aは軸113aと直結して回転する。このクラッチギア部115aは、ギア部115dと噛み合うギア1151aと、駆動ローラ113cのギアと噛み合うギア1152aとを有している。
【0043】
クラッチ115cは、軸115bに沿って図5中左右方向に移動可能に設けられている。クラッチギア部115aは、クラッチ115cの左右方向への動きに連動して軸113a上を左右に移動する。
【0044】
ギア部115dは、軸113aの周りを空転可能に設けられている。このギア部115dの右側の端部には、ギア1151aと噛み合うギア1151dが設けられている。また、ギア部115dの左側の端部には、ギア112eに駆動力を伝えるギア1152dが設けられている。
【0045】
このような媒体供給部11によれば、モータ114に取り付けられたベルト駆動ローラ114aによって、モータの駆動力をタイミングベルト117に伝達する。タイミングベルト117が回転することで軸113aに駆動力が伝達する。
【0046】
図5に示すように、クラッチ115cが左方向に位置しているときは、クラッチギア部115aのギア1151aがギア部115dのギア1151dと噛み合う。この状態では、モータ114の駆動力は、タイミングベルト117、軸113a、クラッチギア部115a、ギア部115d、ギア112e、駆動ローラ112cの順に伝達される。
【0047】
これにより、駆動ローラ112cが図5中手前側に回転し、ピンチローラ112dとの間に挟まれたファンフォールド連続紙51が、カッター12に搬送される。
このとき、モータ114の駆動力が伝達されない駆動ローラ113cはフリーの状態となる。しかし、ファンフォールド連続紙52は、駆動ローラ113cおよびピンチローラ113dによって挟持されている状態で所定角度傾斜しているため、その自重を越える相当の外力を加えない限り、駆動ローラ113cおよびピンチローラ113d間に生じる摩擦力により静止状態(保持された状態)を維持する。すなわち、ファンフォールド連続紙52は、その自重により駆動ローラ113cに対し移動することはなく、さらには、ある程度の揺動、振動が加えられたとしても、駆動ローラ113cおよびピンチローラ113d間で静止状態を維持する。
【0048】
他方、図6に示すように、クラッチ115cが右方向に位置しているときは、クラッチギア部115aのギア1152aが駆動ローラ113cのギアと噛み合う。この状態では、モータ114の駆動力はタイミングベルト117、軸113a、クラッチギア部115a、駆動ローラ113cの順に伝達される。
【0049】
これにより、駆動ローラ113cが図6中手前側に回転し、ピンチローラ113dとの間に挟まれたファンフォールド連続紙52が、カッター12に搬送される。このとき、モータ駆動の伝達されない駆動ローラ112cは、回転抑制部116によってその回転が抑制される。これにより、ファンフォールド連続紙51が自重により落下してしまうことを容易に防止することができる。
【0050】
図7は、回転抑制部の構成を示す斜視図であり、図8は、回転抑制部の構成を示す側面断面図である。
回転抑制部116は、抑え部材116aと、ストッパ(当接部)116bと、板バネ(付勢部材)116cとを有している。
【0051】
抑え部材116aは、例えば表面がメッキ処理された処理鋼板等で構成されている。この抑え部材116aは、ストッパ116bおよび板バネ116cを覆う形状をなしており、ストッパ116bと、板バネ116cとが内部に配置された状態で図示しないネジによってフレーム111aに固定されている。この状態で、抑え部材116aはストッパ116bと板バネ116cとを、それぞれ軸112aの回転方向に回転しないように支持する。
【0052】
ストッパ116bは、例えばポリアセタール(POM)等の比較的耐磨耗性の高い樹脂で構成されている。このストッパ116bは、ほぼ矩形状をなしており、軸112aの端部に当接している。
【0053】
板バネ116cは、例えばステンレス鋼等で構成されており、抑え部材116aによってストッパ116bとの間に押しつぶされた状態で挟み込まれている。この板バネ116cは、板バネ116c自身の復元力によりストッパ116bを図8中左方向に付勢する。より詳しくは、板バネ116cの作用によってストッパ116bの軸112aとの当接面を常に付勢している。ストッパ116bと軸112aの端部とに生じる摩擦力により、ファンフォールド連続紙51のカッター12への搬送路を妨げることなく軸112aの回転を抑制(ブレーキ)することができる。
【0054】
なお、ストッパ116bの、軸112aの端部に対する付勢力(板バネ116cの、ストッパ116bに対する付勢力)は特に限定されないが、例えば、3.9N〜5.9Nであるのが好ましい。このような付勢力で付勢することにより、ストッパ116bの摩耗を防止し、軸112aの回転を長期間抑制することができる。
【0055】
また、ストッパ116bの材質や板バネ116cの付勢力を変えることによって軸112aへの回転抑制力を変えることができる。
以上述べたように、チケット発行装置1によれば、比較的高速に回転する軸(駆動ローラ軸)112aの側面に、樹脂性のストッパ116bを押し付け、また、押し付けるための板バネ116cや抑え部材116aを配置した。
【0056】
これにより、駆動力が伝達されていないときの駆動ローラ112cの回転を容易に、かつ、必要に応じた負荷で常に抑制することが可能となる。
従って、クラッチ機構部115によって、軸112aがモータ114の駆動から切り離された場合であっても、駆動ローラ112cが自由に回転してしまうことを複雑なロック機構等の追加なしに比較的簡素化された機構、低コストの方法にて抑制することができる。これにより、保持したファンフォールド連続紙51の落下を防ぐことができる。
【0057】
次に、第2の実施の形態のチケット発行装置について説明する。
以下、第2の実施の形態のチケット発行装置について、前述した第1の実施の形態のチケット発行装置1との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0058】
第2の実施の形態のチケット発行装置1は、媒体供給部の構成が第1の実施の形態と異なっている。
図9は、第2の実施の形態の媒体供給部を示す側面断面図である。
【0059】
媒体供給部11aは、回転抑制部118を有している。
回転抑制部118は、さらに、板バネ116cの付勢力を調整する付勢力調整部116dを有している。
【0060】
付勢力調整部116dは、固定ナット1161dと調整ネジ1162dとを有している。
また、回転抑制部118の抑え部材116aの面1161aの中央部には、ネジ孔1162aが設けられている。
【0061】
固定ナット1161dは、その孔が、ネジ孔1162aに重ね合わされた状態で、抑え部材116aに固着されている。
調整ネジ1162dは、固定ナット1161dに螺合することで、図9中左方向に挿入され、ネジ孔1162aを挿通して板バネ116cを抑圧(圧接)する。この挿入距離を調整することで、付勢力を容易に調整することができる。
【0062】
この第2の実施の形態の媒体供給部11aによれば、第1の実施の形態の媒体供給部11と同様の効果が得られる。
そして、第2の実施の形態の媒体供給部11aによれば、さらに、付勢力を調整することで、回転抑制力を容易に調整することができる。
【0063】
<応用例>
例えば、前述した回転抑制力を調整できる機構等を用いて、回転抑制力を制御することもできる。
【0064】
図10は、チケット発行装置が回転抑制力を制御するためのハードウェア機能を示す図である。
チケット発行装置1は、CPU(Central Processing Unit)21と、RAM(Random Access Memory)22と、ROM(Read Only Memory)23と、エンコーダ24とを有している。
【0065】
CPU21は、チケット発行装置1全体の動作を制御する。
RAM22には、CPU21に実行させるアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、RAM22には、CPU21による処理に必要な各種データが格納される。ROM23には、アプリケーションプログラムが格納される。
【0066】
エンコーダ24は、軸112aの回転を検出する。
図11は、CPUの機能を示す図である。
CPU21は、エンコーダ監視部21aと、媒体検出部21bと、モータ駆動部21cと、付勢力調整部21dとを有している。
【0067】
エンコーダ監視部21aは、エンコーダ24が軸112aの回転を検出した検出信号を取得する。
媒体検出部21bは、ファンフォールド連続紙52が、駆動ローラ112cとピンチローラ112dによって挟持されているか否かを検出するセンサを備えている。
【0068】
モータ駆動部21cは、モータ114に対し、駆動信号を供給する。
付勢力調整部21dは、エンコーダ監視部21aが取得した検出信号、媒体検出部21bの検出信号およびモータ駆動部21cの駆動信号に応じてストッパ116bの軸112aへの付勢力を調整する。以下、付勢力調整部21dの処理について詳しく説明する。
【0069】
図12は、付勢力調整部の処理を示すフローチャートである。
まず、付勢力調整部21dは、媒体検出部21bからの検出信号に基づいて、ファンフォールド連続紙52が、駆動ローラ112cとピンチローラ112dによって挟持されているか否かを判断する(ステップS1)。
【0070】
ファンフォールド連続紙52が、駆動ローラ112cとピンチローラ112dによって挟持されていない場合(ステップS1のNo)、処理を終了する。
一方、ファンフォールド連続紙52が、駆動ローラ112cとピンチローラ112dによって挟持されている場合(ステップS1のYes)、付勢力調整部21dは、エンコーダ監視部21aからのエンコーダ24の検出信号を取得し(ステップS2)、軸112aが回転しているか否かを判断する(ステップS3)。
【0071】
軸112aが回転していない場合(ステップS3のNo)、ステップS1に移行し、ステップS1以降の処理を継続して行う。
一方、軸112aが回転している場合(ステップS3のYes)、付勢力調整部21dは、モータ駆動部21cからの駆動信号を取得し、軸112aがモータ114により駆動されているか否かを判断する(ステップS4)。
【0072】
軸112aが、駆動されている場合(ステップS4のYes)、付勢力調整部21dは、ストッパ116bの付勢を解除する(ステップS5)。その後、ステップS1に移行し、ステップS1以降の処理を継続して行う。
【0073】
一方、軸112aが、駆動されていない場合(ステップS4のNo)、付勢力調整部21dは、ストッパ116bを軸112aに付勢する(ステップS6)。その後、ステップS1に移行し、ステップS1以降の処理を継続して行う。
【0074】
以上で処理の説明を終了する。これにより、必要なときだけ軸112aの回転を抑制することができる。
以上、本発明の媒体供給装置およびチケット発行装置を、図示の実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物や工程が付加されていてもよい。
【0075】
また、本発明は、前述した各実施の形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】実施の形態のチケット発行装置の概要を示す図である。
【図2】実施の形態のチケット発行装置の概要を示す図である。
【図3】チケット発行装置の内部構造を示す図である。
【図4】媒体供給部の構成を示す斜視図である。
【図5】媒体供給部の駆動機構の構成を示す正面図である。
【図6】媒体供給部の駆動機構の構成を示す正面図である。
【図7】回転抑制部の構成を示す斜視図である。
【図8】回転抑制部の構成を示す側面断面図である。
【図9】第2の実施の形態の媒体供給部を示す側面断面図である。
【図10】チケット発行装置が回転抑制力を制御するためのハードウェア機能を示す図である。
【図11】CPUの機能を示す図である。
【図12】付勢力調整部の処理を示すフローチャートである。
【図13】従来のチケット発行装置の内部構造の一部を示す図である。
【符号の説明】
【0077】
1 チケット発行装置
2 インジケータ群
3 入力キー群
4 排出スタッカ
5 チケット挿入口
10 基台
11、11a 媒体供給部
12 カッター
13 リング搬送部
14 熱転写印字ヘッド
15 ゲート
16 リジェクトスタッカ
21a エンコーダ監視部
21b 媒体検出部
21c モータ駆動部
21d 付勢力調整部
24 エンコーダ
51、52 ファンフォールド連続紙
53、54 ホッパ
61、62 ガイド機構
111a、111b フレーム
112、113 チケット挟持部
112a、112b、113a、113b、115b 軸
112c、113c 駆動ローラ
112d、113d ピンチローラ
112e、1151a、1152a、1151d、1152d ギア
114 モータ
114a ベルト駆動ローラ
115 クラッチ機構部
115a クラッチギア部
115c クラッチ
115d ギア部
116、118 回転抑制部
116a 抑え部材
116b ストッパ
116c 板バネ
116d 付勢力調整部
1161a 面
1162a ネジ孔
1161d 固定ナット
1162d 調整ネジ
117 タイミングベルト
131 磁気ヘッド
132 リング
133、134、135 ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を供給する媒体供給装置において、
前記媒体を挟み込んで支持する一対のローラと、
前記一対のローラをそれぞれ支持する軸のうち、少なくとも一方の軸の端部に当接する当接部を有し、前記当接部と前記軸とに生じる摩擦力により前記軸の軸方向の回転を抑制する回転抑制部と、
を有することを特徴とする媒体供給装置。
【請求項2】
前記軸に駆動力を伝達するモータをさらに有し、
前記回転抑制部は、前記モータによって前記軸に駆動力が伝達されていないときのローラの回転を抑制することを特徴とする請求項1記載の媒体供給装置。
【請求項3】
前記回転抑制部は、前記当接部を前記軸の端部に当接する方向に付勢する付勢部材を有することを特徴とする請求項1記載の媒体供給装置。
【請求項4】
前記回転抑制部は、前記当接部と前記付勢部材とを、それぞれ前記軸の回転方向に回転しないように固定する固定部材を有することを特徴とする請求項3記載の媒体供給装置。
【請求項5】
前記付勢部材の付勢力を調整する調整部を有することを特徴とする請求項3記載の媒体供給装置。
【請求項6】
前記付勢部材は、板バネを有しており、前記調整部は、前記板バネの板部に当接するネジと、前記固定部材に固定され、前記ネジと螺合するナットとを有していることを特徴とする請求項5記載の媒体供給装置。
【請求項7】
前記軸の回転数を検出するエンコーダと、
前記一対のローラ間に前記媒体が挟み込まれているか否かを検出する媒体検出部と、
前記モータに駆動信号を供給するモータ駆動部と、
前記エンコーダの検出結果と前記媒体検出部の検出結果と前記モータ駆動部の前記駆動信号の供給状況とに応じて前記付勢部材の付勢力を調整する調整部を有することを特徴とする請求項3記載の媒体供給装置。
【請求項8】
前記調整部は、前記エンコーダの検出結果により前記回転軸が回転していると判断した場合、前記モータ駆動部の前記駆動信号の供給状況を判断することを特徴とする請求項7記載の媒体供給装置。
【請求項9】
チケットを発行するチケット発行装置において、
前記チケットとなる媒体を挟み込んで支持する一対のローラと、
前記一対のローラを支持する少なくとも一方の軸の端部に当接する当接部を有し、前記当接部に生じる摩擦力により前記軸の軸方向の回転を抑制する回転抑制部と、
を有する媒体供給部と、
前記一対のローラが回転することにより前記媒体供給部により供給された前記媒体から前記チケットを作成するチケット作成部と、
を有することを特徴とするチケット発行装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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