媒体供給装置及び画像形成装置
【課題】媒体の供給不良を低減すること。
【解決手段】積載部材(11)に対向し且つ搬送方向に移動可能に支持された保持部材本体(23)と、気体吸引用の開口(31)と、吸引装置(HF)と、気体の吸引に伴って積載部材(31)から移動した媒体(S)が接触する接触部(24a+32+33+36b)とを有し、媒体(S)を吸着して保持する保持部材(21)と、保持部材(21)に吸着された媒体(S)を下流側に向けて搬送する搬送部材(Ra)と、接触部(24a+32+33+36b)を清掃可能な清掃部材(51,61)と、清掃時期(tb)になったと判別された場合に清掃部材(51,61)および保持部材(21)の少なくとも一方を制御して接触部(24a+32+33+36b)を清掃する清掃制御手段(C13)とを備えた媒体供給装置(U2)。
【解決手段】積載部材(11)に対向し且つ搬送方向に移動可能に支持された保持部材本体(23)と、気体吸引用の開口(31)と、吸引装置(HF)と、気体の吸引に伴って積載部材(31)から移動した媒体(S)が接触する接触部(24a+32+33+36b)とを有し、媒体(S)を吸着して保持する保持部材(21)と、保持部材(21)に吸着された媒体(S)を下流側に向けて搬送する搬送部材(Ra)と、接触部(24a+32+33+36b)を清掃可能な清掃部材(51,61)と、清掃時期(tb)になったと判別された場合に清掃部材(51,61)および保持部材(21)の少なくとも一方を制御して接触部(24a+32+33+36b)を清掃する清掃制御手段(C13)とを備えた媒体供給装置(U2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体供給装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
積載部材に積載された媒体を供給する媒体供給装置に関し、以下の特許文献1〜3に記載の技術が知られている。
特許文献1としての特開2002−19978号公報には、昇降する昇降式用紙トレイ(120)のスタック(56)上に積載された用紙を真空用紙接触面(122)に吸着した状態で供給方向前方に移動可能な用紙給送装置プレナム(58)が記載されている。また、特許文献1には、スタック(56)上の用紙に供給方向後方から空気を吹き付けて用紙どうしを分離する適応浮揚装置(140)が記載されている。
すなわち、特許文献1には、用紙供給時に、前記真空用紙接触面(122)が吸着する前の用紙の束に供給方向後方から空気を吹き付けて用紙を捌く構成が記載されている。
【0003】
また、特許文献2としての特開平7−89625号公報には、載置トレイ(2)上に積載された最上部のシート原稿(1)をエア吸引によって下面に吸着する給送ベルト(4)が記載されている。また、特許文献2には、積載された原稿に給送方向前方のエア吹出口(5)からエアを吹き付けて原稿どうしを分離する技術が記載されている。
すなわち、特許文献2には、原稿給送時に、給送ベルト(4)の下面が吸着する前の原稿の束に給送方向前方から空気を吹き付けて原稿を捌く構成が記載されている。
また、特許文献3としての特開2008−094603号公報には、積載されたシートの束の最上位のシートをエア吸引によって吸着する吸盤(201)が記載されている。また、特許文献3には、吸盤(201)を降下させて最上位のシートを吸着した際に、積載されたシートの束にシート搬送方向前方からエアを吹き付けてシートどうしを分離しながら吸盤(201)を上昇させる技術が記載されている。
すなわち、特許文献3には、シート搬送時に、吸盤(201)が最上位のシートを吸着した後のシートの束にシート搬送方向前方から空気を吹き付けて原稿を捌く構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−19978号公報(「0018」〜「0023」、「0029」、図14〜図18)
【特許文献2】特開平7−89625号公報(「0031」、図1〜図3)
【特許文献3】特開2008−094603号公報(「0066」、「0067」、図16)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、媒体の供給不良を低減することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記技術的課題を解決するために、請求項1に記載の発明の媒体供給装置は、
媒体が積載される積載部材と、
前記積載部材に対向して配置され且つ前記媒体の搬送方向に沿って移動可能に支持された保持部材本体と、前記保持部材本体に形成された気体吸引用の開口と、前記気体吸引用の開口に接続されて気体を吸引する吸引装置と、前記吸引装置が気体を吸引した場合に気体の吸引に伴って前記積載部材から移動した媒体が接触する接触部と、を有し、媒体を吸着して保持する保持部材と、
前記保持部材に対して前記媒体の搬送方向の下流側に配置され、前記保持部材に吸着された媒体を下流側に向けて搬送する搬送部材と、
前記接触部を清掃可能な清掃部材と、
前記接触部を清掃する予め設定された清掃時期になったか否かを判別する清掃時期の判別手段と、
前記清掃時期になったと判別された場合に、前記清掃部材および前記保持部材の少なくとも一方を制御して、前記接触部を清掃する清掃制御手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の媒体供給装置において、
前記接触部に気体を吹き付け可能な吹付装置によって構成された前記清掃部材と、
前記清掃時期になったと判別された場合に、前記吹付装置を制御して前記接触部に気体を吹き付けて、前記接触部を清掃する前記清掃制御手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の媒体供給装置において、
予め設定された吹付位置に気体を吹き付ける前記吹付装置と、
前記清掃時期になったと判別された場合に、前記保持部材を制御して前記接触部を前記搬送方向に沿って前記清掃部材側に移動させて、前記吹付位置に対応する前記接触部の被吹付位置を前記搬送方向に沿って変化させる前記清掃制御手段、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載の媒体供給装置において、
前記積載部材から前記保持部材に吸着される媒体を前記搬送方向の下流側に搬送する場合に、前記吹付装置を制御して媒体に気体を吹き付けて、媒体どうしを分離させる分離制御手段、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の媒体供給装置において、
前記積載部材上の媒体に対向し且つ前記媒体を吸着可能な吸着位置と、前記吸着位置よりも前記搬送方向の下流側に設定され且つ前記媒体を前記搬送部材に供給可能な供給位置と、前記吸着位置と前記供給位置との間の移動範囲の外側に設定された被清掃位置と、の間を移動可能に支持された前記保持部材と、
前記被清掃位置に対応して配置され、前記被清掃位置に移動される前記保持部材の前記接触部に接触して清掃する前記清掃部材と、
を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の媒体供給装置において、
前記搬送部材に対して前記搬送方向の下流側に予め設定された検知位置に配置され、前記搬送部材に搬送された媒体を検知する搬送検知部材と、
前記搬送検知部材によって媒体が検知された検知時期が、前記検知位置に媒体が到達する予め設定された到達時期より遅い場合に、前記清掃時期になったと判別する前記清掃時期の判別手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の媒体供給装置において、
前記保持部材に対して前記搬送方向の下流側に配置され、媒体の詰まりを検知する詰まり検知部材と、
前記詰まり検知部材の検知結果に基づいて、媒体の詰まりが発生していると判別された場合に、前記清掃時期になったと判別する前記清掃時期の判別手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項1ないし7のいずれかに記載の媒体供給装置において、
前記開口を囲むように配置されると共に前記保持部材本体から積載部材側に延び且つ前記積載部材に対して接近、離間する方向に移動可能に支持された囲み部材と、前記囲み部材の内部に形成され且つ前記囲み部材により周囲を囲まれた空間と、前記空間内の気体を吸引する前記吸引装置と、を有し、前記吸引装置の吸引に伴って前記囲み部材の積載部材側の一端に媒体を吸着して保持する前記保持部材と、
前記保持部材本体の前記気体吸引用の開口が形成された面と、前記囲み部材の積載部材側の一端と、を含む前記接触部と、
を備えたことを特徴とする。
【0014】
前記技術的課題を解決するために、請求項9に記載の発明の画像形成装置は、
請求項1ないし8のいずれかに記載の媒体供給装置、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1、9に記載の発明によれば、清掃時期になったと判別された場合に接触部を清掃する構成を有しない場合に比べ、媒体の供給不良を低減することができる。
請求項2に記載の発明によれば、吹付装置が接触部に気体を吹き付けて、接触部を清掃することができる。
請求項3に記載の発明によれば、清掃時期になったと判別された場合に接触部を搬送方向に沿って清掃部材側に移動させる構成を有しない場合に比べ、接触部が清掃される範囲を広くすることができる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、媒体どうしを分離する分離部材と清掃部材とを共通化できる。
請求項5に記載の発明によれば、被清掃位置に移動させた保持部材の接触部を清掃部材に接触させて、接触部を清掃することができる。
請求項6に記載の発明によれば、媒体の搬送遅延が検知された場合に、接触部を清掃することができる。
請求項7に記載の発明によれば、媒体の詰まりが検知された場合に、接触部を清掃することができる。
請求項8に記載の発明によれば、気体吸引用の開口が形成された面と、囲み部材の積載部材側の一端とを清掃することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
【図2】図2は実施例1の給紙トレイの要部拡大図である。
【図3】図3は実施例1の給紙トレイの平面図である。
【図4】図4は実施例1の積載プレートの位置の説明図であり、図4Aは積載プレートが下降位置に移動した状態の説明図、図4Bは積載プレートが上昇位置に移動した状態の説明図である。
【図5】図5は実施例1の吸着ヘッドの説明図であり、図5Aは正面図、図5Bは平面図である。
【図6】図6は実施例1の吸着ヘッドを斜め下方から見た斜視図である。
【図7】図7は図5BのVII−VII線断面図である。
【図8】図8は実施例1の吸着ヘッドの位置の説明図であり、図8Aは吸着ヘッドが吸着位置に移動した状態の説明図、図8Bは吸着ヘッドが供給位置に移動した状態の説明図である。
【図9】図9は実施例1の画像形成装置の制御部の機能図、いわゆるブロック図である。
【図10】図10は実施例1のシート供給処理のフローチャートの説明図である。
【図11】図11は実施例1の清掃時期の判別処理のフローチャートの説明図である。
【図12】図12は実施例1のヘッド清掃処理のフローチャートであり、図11のST205およびST208のサブルーチンである。
【図13】図13は実施例1の作用説明図であり、図13Aは実施例1のシート供給処理の給紙装置の各部材の制御に関するタイミングチャートであり、図13Bは実施例1のヘッド清掃処理の給紙装置の各部材の制御に関するタイミングチャートである。
【図14】図14は実施例1の作用説明図であり、図14Aは実施例1のジョブ開始前の給紙トレイの状態の説明図、図14Bは図14Aに示す状態からジョブが開始されて積載プレートが上昇位置に移動された状態の説明図である。
【図15】図15は図14の続きの説明図であり、図15Aは図14Bに示す状態から排気ファンが作動されてシートが吸着ヘッドに吸着されると共にエア吹付機構によるエアの吹き付けでシートを捌く状態の説明図、図15Bは図15Aに示す状態から吸着ヘッドが供給位置に移動された状態の説明図である。
【図16】図16は図15の続きの説明図であり、図16Aは図15Bに示す状態から排気ファンの作動が停止されて搬送ロールがシートを搬送方向下流側に搬送する状態の説明図、図16Bは図16Aに示す状態から吸着ヘッドが吸着位置に復帰された状態の説明図である。
【図17】図17は実施例1の作用説明図であり、図17Aは実施例1のヘッド清掃処理の実行前の給紙トレイの状態の説明図、図17Bは図17Aに示す状態からエア吹付機構によって吹付範囲にエアの吹き付けながら吸着ヘッドを供給位置まで移動されて接触部を清掃する状態の説明図である。
【図18】図18は実施例1の図3に対応する説明図であり、実施例2の給紙トレイの平面図である。
【図19】図19は実施例1の図8に対応する説明図であって、実施例2の吸着ヘッドの位置の説明図であり、図19Aは吸着ヘッドが吸着位置に移動した状態の説明図、図19Bは吸着ヘッドが供給位置に移動した状態の説明図、図19Cは吸着ヘッドが被清掃位置に移動した状態の説明図である。
【図20】図20は実施例2の清掃ブラシの斜視拡大図である。
【図21】図21は実施例1の図9に対応する説明図であり、実施例2の画像形成装置の制御部のブロック図である。
【図22】図22は実施例1の図12に対応する説明図であり、実施例2のヘッド清掃処理のフローチャートであり、図21のST205およびST208のサブルーチンである。
【図23】図23は実施例1の図13Bに対応する説明図であって、実施例2の作用説明図であり、実施例2のヘッド清掃処理のヘッド駆動装置の制御に関するタイミングチャートである。
【図24】図24は実施例2の作用説明図であり、図24Aは被清掃位置に移動中の吸着ヘッドの左端が清掃ブラシに到達する前の状態の要部拡大説明図、図24Bは吸着ヘッドの左端部が清掃ブラシの傾斜部の上方まで移動した状態の要部拡大説明図、図24Cは被清掃位置に移動した吸着ヘッドの右端部が清掃ブラシの上方に配置された状態の要部拡大説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例(以下、実施例と記載する)を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、前後方向をX軸方向、左右方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とし、矢印X,−X,Y,−Y,Z,−Zで示す方向または示す側をそれぞれ、前方、後方、右方、左方、上方、下方、または、前側、後側、右側、左側、上側、下側とする。
また、図中、「○」の中に「・」が記載されたものは紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたものは紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
なお、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【実施例1】
【0019】
図1は実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
図1において、画像形成装置Uは、操作部の一例としてのユーザインタフェースUI、画像情報の入力装置の一例としてのイメージスキャナU1、媒体供給装置の一例としての給紙装置U2、画像形成装置本体U3、および用紙処理装置U4を有している。
前記ユーザインタフェースUIは、入力部の一例としてのコピースタートキー、コピー枚数設定キー、テンキー等の入力キーや表示部UI1を有している。
前記イメージスキャナU1は、原稿を自動的に搬送する自動原稿搬送装置および画像読取装置の一例としてのスキャナ本体等により構成されている。図1において、イメージスキャナU1では、図示しない原稿を読取って画像情報に変換し、画像形成装置本体U3に入力する。
前記給紙装置U2は、収容容器の一例であって、給紙部の一例としての複数の給紙トレイTR1,TR2と、前記各給紙トレイTR1,TR2から送り出された媒体の一例としてのシートSを画像形成装置本体U3に搬送する搬送路の一例としての給紙路SH1等を有している。
【0020】
図1において、前記画像形成装置本体U3は、前記給紙装置U2から搬送されたシートSに画像記録を行う画像記録部、現像剤の補給部の一例としてのトナーディスペンサー装置U3a、用紙搬送路SH2、用紙排出路SH3、用紙反転路SH4、用紙循環路SH6等を有している。なお、前記画像記録部については後述する。
また、画像形成装置本体U3は、制御部Cと、前記制御部Cにより制御される潜像書込用の駆動回路の一例としてのレーザ駆動回路Dと、前記制御部Cにより制御される電源回路E等とを有している。制御部Cにより作動を制御されるレーザ駆動回路Dは、前記イメージ入力装置U1から入力されたY:イエロー、M:マゼンタ、C:シアン、K:黒の画像情報に応じたレーザ駆動信号を予め設定された時期に、各色の潜像形成装置ROSy,ROSm,ROSc,ROSkに出力する。
【0021】
図1において、黒の像保持体ユニットUKは、像保持体の一例としての感光体Pk、帯電器CCk、および像保持体用の清掃器の一例としての感光体クリーナCLkを有している。また、他の色Y,M,Cの像保持体ユニットUY,UM,UCも、感光体Py,Pm,Pc、放電器の一例としての帯電器CCy,CCm,CCc、感光体クリーナCLy,CLm,CLcを有している。なお、実施例1では、使用頻度の高く表面の磨耗が多いK色の感光体Pkは、他の色の感光体Py,Pm,Pcに比べて大径に構成され、高速回転対応および長寿命化がされている。
前記各像保持体ユニットUY,UM,UC,UKと現像ロールR0を有する現像器GY,GM,GC,GKとによりトナー像形成部材UY+GY,UM+GM,UC+GC,UK+GKが構成されている。
【0022】
図1において、感光体Py,Pm,Pc,Pkは、それぞれ帯電器CCy,CCm,CCc,CCkにより一様に帯電された後、前記潜像形成装置ROSy,ROSm,ROSc,ROSkの出力する潜像書込光の一例としてのレーザビームLy,Lm,Lc,Lkによりその表面に静電潜像が形成される。前記感光体Py,Pm,Pc,Pk表面の静電潜像は、現像器GY,GM,GC,GKにより、Y:イエロー、M:マゼンタ、C:シアン、K:黒の色の可視像の一例としてのトナー像に現像される。
前記感光体Py,Pm,Pc,Pk表面上のトナー像は、1次転写器の一例としての1次転写ロールT1y,T1m,T1c,T1kにより、中間転写体の一例としての中間転写ベルトB上に順次重ねて転写され、中間転写ベルトB上に多色画像、いわゆる、カラー画像が形成される。中間転写ベルトB上に形成されたカラー画像は、画像記録領域の一例としての2次転写領域Q4に搬送される。
なお、黒画像データのみの場合はK:黒の感光体Pkおよび現像器GKのみが使用され、黒のトナー像のみが形成される。
1次転写後、感光体Py〜Pk表面の残留トナーは感光体クリーナCLy〜CLkによりクリーニングされる。
【0023】
像保持体ユニットUY〜UKの下方には、中間転写装置の一例としてのベルトモジュールBMが配置されている。前記ベルトモジュールBMは、中間転写体の一例としての中間転写ベルトBと、中間転写体の支持部材の一例としてのベルト支持ロールRd,Rt,Rw,Rf,T2aと、前記1次転写ロールT1y〜T1kとを有している。ベルト支持ロールRd,Rt,Rw,Rf,T2aは、駆動部材の一例としてのベルト駆動ロールRd、張力付与部材の一例としてのテンションロールRt、蛇行防止部材の一例としてのウォーキングロールRw、従動部材の一例としての複数のアイドラロールRfおよび2次転写対向部材の一例としてのバックアップロールT2aを有する。そして、前記中間転写ベルトBは前記ベルト支持ロールRd,Rt,Rw,Rf,T2aにより矢印Ya方向に回転移動可能に支持されている。
【0024】
前記バックアップロールT2aの下方には2次転写ユニットUtが配置されている。2次転写ユニットUtの2次転写部材の一例としての2次転写ロールT2bは、前記中間転写ベルトBを挟んでバックアップロールT2aに離隔および接触可能に配置されており、前記2次転写ロールT2bが中間転写ベルトBと圧接する領域により2次転写領域Q4が形成されている。また、前記バックアップロールT2aには電圧印加用接触部材の一例としてのコンタクトロールT2cが当接しており、前記ロールT2a〜T2cにより2次転写器T2が構成されている。
前記コンタクトロールT2cには制御部Cにより制御される電源回路から、予め設定された時期に、トナーの帯電極性と同極性の2次転写電圧が印加される。
【0025】
前記ベルトモジュールBM下方には用紙搬送路SH2が配置されている。前記給紙装置U2の給紙路SH1から給紙されたシートSは、搬送部材の一例としての搬送ロールRaにより、用紙搬送路SH2に搬送され、送出時期の調節部材の一例としてのレジロールRrにより、トナー像が2次転写領域Q4に搬送される時期に合わせて、媒体案内部材SGr、転写前の媒体案内部材SG1を通って2次転写領域Q4に送り出される。前記中間転写ベルトB上のトナー像は、前記2次転写領域Q4を通過する際に前記2次転写器T2により前記シートSに転写される。なお、フルカラー画像の場合は中間転写ベルトB表面に重ねて1次転写されたトナー像が一括してシートSに2次転写される。
【0026】
2次転写後の前記中間転写ベルトBは、中間転写体の清掃器の一例としてのベルトクリーナCLBにより清掃、すなわち、クリーニングされる。なお、前記2次転写ロールT2Bは、中間転写ベルトBに対して離隔および接触可能に支持されている。
前記1次転写ロールT1y〜T1k、中間転写ベルトB、2次転写器T2、ベルトクリーナCLB等により、感光体Py〜Pk表面の画像をシートSに転写する転写装置T1+B+T2+CLBが構成されている。
前記感光体Py,Pm,Pc,Pk、前記現像器GY,GM,GC,GK、前記転写装置T1+B+T2+CLB等により、実施例1の画像記録装置の一例としてのプリンタ部U3bが構成されている。
【0027】
トナー像が2次転写された前記シートSは、転写後の媒体案内部材SG2、定着前の媒体搬送部材の一例としての用紙搬送ベルトBHを通って定着装置Fに搬送される。前記定着装置Fは、加熱定着部材の一例としての加熱ロールFhと、加圧定着部材の一例としての加圧ロールFpとを有し、加熱ロールFhと加圧ロールFpとが圧接する領域により定着領域Q5が形成されている。
前記シートS上のトナー像は定着領域Q5を通過する際に定着装置Fにより加熱定着される。前記定着装置Fの下流側には搬送路の切替部材の一例としての第1ゲートGT1が設けられている。前記第1ゲートGT1は用紙搬送路SH2を搬送されて定着領域Q5で加熱定着されたシートSを、用紙処理装置U4の用紙排出路SH3または用紙反転路SH4に選択的に切り替える。前記用紙排出路SH3に搬送されたシートSは、用紙処理装置U4の用紙搬送路SH5に搬送される。
【0028】
用紙搬送路SH5の途中には、湾曲補正装置の一例としてのカール補正装置U4aが配置されており、前記用紙搬送路SH5には搬送路の切替部材の一例としてのカール切替ゲートG4が配置されている。前記カール切替ゲートG4は、前記画像形成装置本体U3の用紙搬送路SH3から搬送されたシートSを、湾曲、いわゆる、カールの方向に応じて、第1カール補正部材h1または第2カール補正部材h2の側に搬送する。前記第1カール補正部材h1または第2カール補正部材h2に搬送されたシートSは、通過時にカールが補正される。カールが補正されたシートSは、排出部材の一例としての排出ロールRhから用紙処理装置U4の排出部の一例としての排出トレイTH1に用紙の画像定着面が上向きの状態、いわゆる、フェイスアップ状態で排出される。
【0029】
前記第1ゲートGT1により画像形成装置本体U3の前記用紙反転路SH4側に搬送されたシートSは、弾性薄膜状の部材により構成された搬送方向の規制部材の一例としての第2ゲートGT2を押しのける形で通過して、画像形成装置本体U3の前記用紙反転路SH4に搬送される。
前記画像形成装置本体U3の用紙反転路SH4の下流端には、用紙循環路SH6および用紙反転路SH7が接続されており、その接続部にも、搬送方向の規制部材の一例としての第3ゲートGT3が配置されている。前記第1ゲートGT1を通って用紙搬送路SH4に搬送された用紙は、前記第3ゲートGT3を通過して前記用紙処理装置U4の用紙反転路SH7側に搬送される。両面印刷を行う場合には、用紙反転路SH4を搬送されてきたシートSは、前記第3ゲートGT3をそのまま一旦通過して、用紙反転路SH7に搬送された後、逆方向に搬送、いわゆる、スイッチバックさせられると、第3ゲートGT3により搬送方向が規制され、スイッチバックしたシートSが用紙循環路SH6側に搬送される。前記用紙循環路SH6に搬送されたシートSは前記給紙路SH1を通って前記2次転写領域Q4に再送される。
【0030】
一方、用紙反転路SH4を搬送されるシートSを、シートSの媒体搬送方向後端が第2ゲートGT2を通過後、第3ゲートGT3を通過する前に、スイッチバックすると、第2ゲートGT2によりシートSの搬送方向が規制され、シートSは表裏が反転された状態で用紙搬送路SH5に搬送される。表裏が反転されたシートSは、カール補正部材U4aによりカールが補正された後、前記用紙処理装置U4の用紙排出トレイTH1に、シートSの画像定着面が下向きの状態、いわゆる、フェイスダウン状態で排出することができる。
前記符号SH1〜SH7で示された要素により用紙搬送路SHが構成されている。また、前記符号SH,Ra,Rr,Rh,SGr,SG1,SG2,BH、GT1〜GT3等で示された要素により媒体搬送系SUが構成されている。
【0031】
(実施例1の給紙装置U2の説明)
図2は実施例1の給紙トレイの要部拡大図である。
ここで、実施例1の前記各給紙トレイTR1、TR2については、第2給紙トレイTR2についてのみ詳細に説明し、その他の前記各給紙トレイTR1については、前記第2給紙トレイTR2と同様の構成であるため、詳細な説明を省略する。
【0032】
(実施例1の第2給紙トレイTR2の説明)
図2において、前記第2給紙トレイTR2の左右両端の外方にはそれぞれ、前後方向、すなわち、X軸方向に延びる案内部材の一例としてのレール1,1が配置されている。前記レール1,1の下面下側にはそれぞれ回転部材の一例としてのローラ2,2が回転可能に支持されている。前記ローラ2,2の上部は、レール1,1の下面に形成された孔からレール1,1の上方に突出している。
また、前記第2給紙トレイTR2の左右両側の下部にはそれぞれ、外方に膨出する被案内部材の一例としての被ガイドレール3,3が前後に延びて設けられており、前記被ガイドレール3,3は前記レール1下面の前記ローラ2,2上面に支持されている。したがって、前記第2給紙トレイTR2は、前記左右の各レール1,1に沿って前後方向に出入可能に構成されている。すなわち、前記第2給紙トレイTR2は、前記給紙装置U2から引出された引出位置と、前記給紙装置U2に挿入された挿入位置との間で移動可能に構成されている。
【0033】
図3は実施例1の給紙トレイの平面図である。
図2、図3において、第2給紙トレイTR2は、底板4と、底板4の前後左右を囲むように上方に延びる前壁6、後壁7、左壁8および右壁9と、を有する。図3において、前記第2給紙トレイTR2の底板4の左部には、第1の案内部の一例として、左右方向に延びる溝状のエンドガイド溝4aが形成されており、底板4の右部には、第2の案内部の一例として、前後方向に延びる溝状のサイドガイド溝4bが形成されている。図2、図3において、前記右壁9の上端部には、上方に行くほど左方に傾斜する傾斜部9aが形成されており、傾斜部9aは送り出されるシートSを搬送ロールRaに案内する。また、実施例1では、傾斜部9aの前後方向中央部には、下方に切り欠かれた切欠部9bが形成されている。
【0034】
(実施例1の積載プレート11および昇降機構SKの説明)
図4は実施例1の積載プレートの位置の説明図であり、図4Aは積載プレートが下降位置に移動した状態の説明図、図4Bは積載プレートが上昇位置に移動した状態の説明図である。
前記底板4の上面には、積載部材の一例として、シートSが積載される平板状の積載プレート11が配置されている。前記積載プレート11には、前記エンドガイド溝4aに対応して、左方から中央部に向けて延びる左開口11aと、サイドガイド溝4bに対応して前後両端から中央部に向けて延びる前開口11bおよび後開口11cと、が形成されている。実施例1の積載プレート11は、積載部材の移動機構の一例として、図示しない線状部材の一例としてのワイヤを用いた昇降機構SKにより、上昇および下降可能に構成されている。すなわち、積載プレート11は、退避位置の一例として、下降してシートSを積載可能な図4Aに示す下降位置と、被吸着位置の一例として、シートSを送り出すために上昇した図4Bに示す上昇位置との間で昇降可能に構成されている。なお、ワイヤを利用したシートSの昇降機構SKは、例えば、特開2010−143658号公報や特開2010−149982号公報等に記載されているように従来公知であり、従来公知の種々の構成を採用可能であるため、詳細な説明は省略する。
【0035】
前記エンドガイド溝4aには、第1の揃え部材の一例としてのエンドガイド12がエンドガイド溝4aに沿って左右方向に移動可能に支持されている。前記エンドガイド12は、底板4に沿った平板状の揃え部材本体の一例としてのスライド部12aと、スライド部12aの左端から上方に延びる揃え用の接触部12bとを有し、前方から見た場合に略L字形状に形成されている。前記接触部12bの右側面には、積載プレート11上に積載されるシートSの端縁である左端に接触可能な接触面12cが形成されており、シートSの左端が接触すると、シートSの束の左端が揃えられる。
【0036】
前記サイドガイド溝4bには、第2の揃え部材の一例として、前後一対のサイドガイド13が、サイドガイド溝4bに沿って前後方向に移動可能に支持されている。なお、一対のサイドガイド13は、図示しない歯車の一例としてのピニオンギアと平板に歯車が形成されたラックとにより、互いに接近、離間する方向に連動して移動可能に構成されている。なお、ピニオンギアやラックギアにより互いに接近、離間する方向に連動して移動する構成は、例えば、特開2007−106567号公報や特開2010−24057号公報等に記載されており、従来公知の種々の構成を採用可能であるため、詳細な説明は省略する。
【0037】
(実施例1のシート取出装置21の説明)
図5は実施例1の吸着ヘッドの説明図であり、図5Aは正面図、図5Bは平面図である。
図6は実施例1の吸着ヘッドを斜め下方から見た斜視図である。
図7は図5BのVII−VII線断面図である。
図2、図4〜図7において、前記第2給紙トレイTR2の上方には、媒体の取出部材の一例としてのシート取出装置21が配置されている。前記シート取出装置21は、保持部材の一例として、積載プレート11上のシートSを吸着して保持可能な吸着ヘッド22を有する。
【0038】
(実施例1の吸着ヘッド22の説明)
前記吸着ヘッド22は、保持部材本体の一例として箱形のヘッド本体23を有する。前記ヘッド本体23は、平板状の底板部24と、底板部24の前後左右から上下方向に延びる側壁26,27,28,29とを有する。前記底板部24は、気体吸引用の開口が形成された面の一例としての下面24aを有する。また、前記底板部24には、気体吸引用の開口の一例として、上下方向に貫通する吸気口31が複数形成されている。前記下面24aの右部には、湾曲付与部の一例として、右方に行くほど下方に傾斜すると共に前後方向中央部に行くほど左方に傾斜する傾斜面32が形成されている。また、前記下面24aの前後両端部には、湾曲付与部の一例として、下方に延びる板状のリブ33が間隔をあけて複数形成されている。
図5A、図7において、前記各側壁26〜29の外表面には、囲み支持部材の一例として、外方に突出するピン34が複数支持されている。
【0039】
(実施例1の封止スカート36の説明)
図5A、図6、図7において、ヘッド本体23の外表面には、囲み部材の一例として、下方に延びる板状の封止スカート36が外周を囲むように配置されている。前記封止スカート36には、ピン34に対応する位置に、上下方向に延びる長孔36aが形成されており、長孔36aには、ピン34が貫通した状態で支持されている。したがって、実施例1の封止スカート36は、ヘッド本体23に対して、上下方向、すなわち、積載プレート11や積載されたシートSに対して接近、離間する方向に移動可能に支持されている。
また、前記封止スカート36は、積載部材側の一端の一例としての下面36bを有する。したがって、前記封止スカート36や側壁26〜29により囲まれた内側に、吸気口31が配置されており、前記封止スカート36や底板部24の下面24a、側壁26〜29により囲まれた空間により、実施例1の吸気空間37が構成されている。
【0040】
(実施例1のポジションセンサSN1の説明)
図5〜図7において、ヘッド本体23の上部には、覆い部材の一例として、蓋状のカバー部39が支持されている。前記カバー部39は、底板部24および側壁26〜29で囲まれた空間の上方を塞ぐ板状の上板部39aと、上板部39aの前後左右から下方に延びる側板部39b,39c,39d,39eとを有する。前記上板部39aの後部上面には、保持部材の移動用の被検出部の一例として、上方に突出するヘッド遮光部39a1が形成されている。前記ヘッド遮光部39a1は、保持部材の位置検出部材の一例として、給紙装置U2の本体に支持されたポジションセンサSN1により検出される。
【0041】
(実施例1の排気ファンHFの説明)
図4B、図5において、前側の側板部39bの右部には、接続部の一例として、前方に延びる排気ダクト39fが形成されている。前記排気ダクト39fには、可撓性部材の一例としての蛇腹40の一端が接続されており、蛇腹40の他端には、図5Bに示す吸引装置の一例としての排気ファンHFが接続されている。
したがって、前記前側の側壁26に形成された開口の一例としての排気口26aや排気ダクト39f、蛇腹40を介して、排気ファンHFが吸気口31に接続されており、排気ファンHFが作動すると、吸気口31から吸気空間37内の気体、空気が排気される。
前記符号23〜39を付した部材等により、実施例1の吸着ヘッド22が構成されている。
【0042】
図3〜図7において、前記カバー部39の右側板部39eには、前端支持部の一例として、右方に延びる板状のシート前端ガイド39gが支持されている。実施例1の前記シート前端ガイド39gは、シートSの搬送方向前端に接触する面の一例としての下面39hを有し、前後方向に間隔を空けて配置された搬送ロールRaの間を通過できるように、前後方向の長さが設定されている。
なお、実施例1では、前記搬送ロールRaは、ヘッド本体23の前後方向の外端よりも内側に、少なくともローラの一部が差し掛かるように配置されており、搬送ロールRaの内端どうしの間隔が、最小サイズのシートSの幅よりも狭い間隔に設定されている。したがって、最小サイズのシートSを供給する場合でも、搬送ロールRaがシートSを挟んで下流側に搬送可能となっている。
実施例1では、底板部24や封止スカート36やシート前端ガイド39gの各下面24a,36b,39hや傾斜面32やリブ33により、接触部24a+32+33+36b+39hが構成されている。
【0043】
(実施例1のヘッド駆動装置46〜50の説明)
前記カバー部39の上面には、被案内部の一例としてのシャフトガイド部41が支持されている。前記シャフトガイド部41は、案内部材の一例として、給紙装置U2の本体に支持され且つ媒体の搬送方向である左右方向に沿って延びるガイドシャフト42が貫通した状態で支持されている。実施例1のシャフトガイド部41は、軸受け部材の一例としてのリニアボールベアリング43を介して、ガイドシャフト42に沿って左右方向に移動可能且つ回転不能な状態で支持されている。
前記シャフトガイド部41の上面には、連結部材の一例としてのワイヤ固定部44が支持されている。
【0044】
図8は実施例1の吸着ヘッドの位置の説明図であり、図8Aは吸着ヘッドが吸着位置に移動した状態の説明図、図8Bは吸着ヘッドが供給位置に移動した状態の説明図である。
前記ワイヤ固定部44には、線材の一例としてのワイヤ46が固定支持されている。前記ワイヤ46は、支持部材の一例として、ワイヤ固定部44の左右に配置された一対のプーリ47や駆動プーリ48、従動プーリ49に張架されており、駆動プーリ48には、駆動源の一例としての正逆回転可能なモータ50から回転が伝達される。したがって、モータ50の正逆回転に伴って、ワイヤ46が図4Bにおいて時計回りまたは反時計回りに回転し、吸着ヘッド22が、ガイドシャフト42に沿って左右方向に移動可能に構成されている。
【0045】
よって、前記吸着ヘッド22は、上昇位置に移動した積載プレート11上のシートSに対向し且つ前記シートSを吸着可能な図8Aに示す吸着位置と、前記吸着位置よりもシートSの搬送方向の下流側に設定された図8Bに示す供給位置との間で移動する。なお、実施例1では、前記吸着位置において、ポジションセンサSN1がヘッド遮光部39a1を検出するように設定されており、ポジションセンサSN1がヘッド遮光部39a1を検出することで、前記吸着ヘッド22がホームポジションである吸着位置に移動したと判別する。また、前記切欠部9bの前後方向の幅は、吸着ヘッド22の幅よりも広く設定されており、前記切欠部9bの下端は、下降した封止スカート36の下面36bより低く設定されている。このため、実施例1では、封止スカート36が下降した状態で吸着ヘッド22を移動させても封止スカート36が傾斜部9aに干渉しないようになっている。
前記ワイヤ46やプーリ47〜49、モータ50等により、保持部材の移動機構の一例として、実施例1のヘッド駆動装置46〜50が構成されている。また、前記吸着ヘッド22、蛇腹40、排気ファンHF、ヘッド駆動装置46〜50等により実施例1のシート取出装置21が構成されている。
【0046】
(実施例1のエア吹付機構51の説明)
図2において、前記給紙装置U2の本体には、挿入位置に挿入された給紙トレイTR1,TR2の右側に対応して、清掃部材の一例であって、吹付装置の一例であって、媒体捌き機構の一例としてのエア吹付機構51が設置されている。前記エア吹付機構51は、捌き用の気体の一例としての空気、いわゆる、エアを、図3に示すように、吸着ヘッド22の右斜め下方から左斜め上方の吸着ヘッド22に吸着されたシートSの搬送方向前端に予め設定された吹付位置の一例としての吹付範囲AR1に吹き付ける。この結果、複数のシートSが吸着されている場合に、エアで分離して捌かれる。実施例1では、前記吹付範囲AR1が、シートSの幅方向、すなわち、前後方向に延びて設定されており、前記エア吹付機構51は、シートSの幅方向両端である前端から後端までエアを吹き付け可能となっている。
なお、前記エア吹付機構51は、従来公知であり、例えば、特開2005−194027号公報、2008−94603号公報等に記載されている構成を適用可能であるため、詳細な説明は省略する。
【0047】
(実施例1の給紙路SH1および搬送ロールRaの説明)
図2、図8において、前記吸着ヘッド22の右方には、媒体供給路の一例として、供給位置に移動した吸着ヘッド22から供給されたシートSを画像形成装置本体U3に搬送する給紙路SH1が形成されている。前記給紙路SH1には、吸着ヘッド22がシートSを吸着して供給位置に移動した場合に、前記吸着ヘッド22に吸着されたシートSの搬送方向前端を挟持可能な位置に、搬送ロールRaが配置されている。前記搬送ロールRaは、供給位置に移動した吸着ヘッド22から供給されたシートSを画像形成装置本体U3に搬送する。なお、前記搬送ロールRaの搬送方向下流側に設定された検知位置P2には、詰まり検知部材の一例であって、搬送検知部材の一例としてのシートセンサSN2が配置されている。前記シートセンサSN2は、吸着ヘッド22から搬送ロールRaに受け渡されたシートSを検知する。
前記積載プレート11、昇降機構SK、シート取出装置21、エア吹付機構51、搬送ロールRa、給紙路SH1等により、実施例1の給紙装置U2が構成されている。
【0048】
(実施例1の制御部の説明)
図9は実施例1の画像形成装置の制御部の機能図、いわゆるブロック図である。
図9において、前記制御部Cは、外部との信号の入出力等を行う入出力インターフェースI/O、必要な処理を行うためのプログラムおよび情報等が記憶されたROM:リードオンリーメモリ、必要なデータを一時的に記憶するためのRAM:ランダムアクセスメモリ、前記ROMに記憶されたプログラムに応じた処理を行うCPU:中央演算処理装置、ならびに発振器等を有する小型情報処理装置、いわゆるマイクロコンピュータにより構成されており、前記ROMに記憶されたプログラムを実行することにより種々の機能を実現することができる。
【0049】
(実施例1の制御部Cに接続された信号出力要素)
前記制御部Cは、ユーザインタフェースUIや各センサSN1,SN2等の信号出力要素からの出力信号が入力されている。
前記ユーザインタフェースUIは、表示部UI1、電源釦UI2、入力釦の一例としてのコピースタートキーUI3やテンキーUI4等を備えている。
ポジションセンサSN1は、ヘッド遮光部39a1の有無を検知して、吸着ヘッド22がホームポジションである吸着位置に移動しているか否かを検知する。
シートセンサSN2は、吸着ヘッド22から搬送ロールRaに受け渡されたシートSの有無を検知する。
【0050】
(実施例1の制御部Cに接続された被制御要素)
また、制御部Cは、レーザ駆動回路D、主駆動源の駆動回路の一例としてのメインモータ駆動回路D1、電源回路E、その他の図示しない制御要素に接続されており、それらの作動制御信号を出力している。
レーザ駆動回路Dは、潜像形成装置ROSy〜ROSkを駆動して、感光体Py〜Pkの表面に潜像を形成する。
メインモータ駆動回路D1は、主駆動源の一例としてのメインモータM1を介して感光体Py〜Pkや中間転写ベルトB等を回転駆動する。
E:電源回路
電源回路Eは、現像用電源回路Ea、帯電用電源回路Eb、転写用電源回路Ecと定着用電源回路Edとを有している。
現像用電源回路Eaは、現像器GY〜GKの現像ロールR0に現像電圧を印加する。
帯電用電源回路Ebは、帯電器CCy〜CCkに帯電電圧を印加する。
転写用電源回路Ecは、転写装置T1+B+T2+CLBの各ロールT1y〜T1k,T2cに転写電圧を印加する。
定着用電源回路Edは、定着装置Fの加熱ロールFhの加熱部材の一例としてのヒータに加熱用の電力を印加する。
【0051】
(実施例1の制御部Cの機能)
前記制御部Cは、各信号出力要素UI,SN1,SN2の出力信号に応じて各被制御要素D1,Eの動作を制御するためのプログラムにより、次の機能実現手段を有している。C1:ジョブ制御手段
画像形成動作の制御手段の一例としてのジョブ制御手段C1は、コピースタートキーUI3の入力に応じて、潜像形成装置ROSy〜ROSk、トナー像形成部材UY+GY〜UK+GK、定着装置F、媒体搬送系SU等を制御して、画像形成動作の一例としてのジョブを実行する。
C2:メインモータ制御手段
主駆動源の駆動制御手段の一例としてのメインモータ制御手段C2は、メインモータ駆動回路D1を介してメインモータM1の回転を制御して、感光体Py〜Pk、現像器GY〜GKの現像ロールR0、定着装置Fの加熱ロールFh、搬送ロールRa等の回転駆動を制御する。
【0052】
C3:電源制御手段
電源制御手段C3は、現像電圧の制御手段C3Aと、帯電電圧の制御手段C3Bと、転写電圧の制御手段C3Cと、定着電源の制御手段C3Dとを有し、電源回路Eの作動を制御して、各部材への電圧印加や電源供給を制御する。
現像電圧の制御手段C3Aは、現像用電源回路Eaを制御して、現像装置GY〜GYの現像ロールR0に印加する現像電圧を制御する。
帯電電圧の制御手段C3Bは、帯電用電源回路Ebを制御して、帯電器CCy〜CCkに印加する帯電電圧を制御する。
転写電圧の制御手段C3Cは、転写用電源回路Ecを制御して、転写装置T1+B+T2+CLBの各ロールT1y〜T1k,T2cに印加する転写電圧を制御する。
定着電源の制御手段C3Dは、定着用電源回路Edを制御して、定着装置Fの加熱ロールFhのヒータの温度制御、すなわち、定着温度の制御を行う。
【0053】
C4:潜像形成制御手段
潜像形成制御手段C4は、レーザ駆動回路Dを介して潜像形成装置ROSy〜ROSkを制御し、感光体Py〜Pk表面に静電潜像を形成する。
C5:プレート昇降手段
積載部材の昇降機構の制御手段の一例としてのプレート昇降手段C5は、昇降機構SKを制御して、図4Aに示す下降位置と図4Bに示す上昇位置との間での積載プレート11の昇降を制御する。実施例1の前記プレート昇降手段C5は、ジョブ開始時に積載プレート11を下降位置から上昇位置まで移動させると共に、ジョブ終了時に積載プレート11を上昇位置から下降位置まで移動させる。
【0054】
C6:ヘッド移動手段
保持部材の移動機構の制御手段の一例としてのヘッド移動手段C6は、ポジションセンサSN1によってヘッド遮光部39a1を検出したか否かを判別することで吸着ヘッド22が吸着位置に移動したか否かを判別する吸着位置の判別手段C6Aを有する。前記ヘッド移動手段C6は、ヘッド駆動装置46〜50のモータ50の正逆回転を制御して、図8Aに示す吸着位置と図8Bに示す供給位置との間での吸着ヘッド22の移動を制御する。
C7:エア吸引手段
吸引装置の制御手段の一例としてのエア吸引手段C7は、シート取出装置21の排気ファンHFの作動を制御して、排気口26a、排気ダクト39f、蛇腹40を介して、吸着ヘッド22の吸気口31からのエアの吸引を制御する。
C8:エア吹付手段
清掃部材の制御手段の一例であって、吹付装置の制御手段の一例であって、媒体捌き機構の制御手段の一例としてのエア吹付手段C8は、エア吹付機構51を制御して、図3に示す吹付範囲AR1へのエアの吹き付けを制御する。
【0055】
C9:シート吸着手段
媒体吸着手段の一例としてのシート吸着手段C9は、吸着開始の判別手段C9Aと、吸着終了の判別手段C9Bとを有し、前記エア吸引手段C7を介して、シートSを吸着ヘッド22に吸着する。実施例1の前記シート吸着手段C9は、シートSの吸着を開始する吸着時期taになったと判別された場合に、排気ファンHFによって吸気口31からエアを吸引することにより、吸気空間37を低圧状態にして、封止スカート36の下面36bにシートSを吸着させる。そして、シートSにより下端がほぼ密閉された吸気空間37がさらに排気されると、積載プレート11上の最上位のシートSが封止スカート36と共に上昇して、前記シートSが吸着ヘッド22に吸着する。
【0056】
なお、実施例1では、吸着ヘッド22に吸着されたシートSは、傾斜面32やリブ33に接触して、傾斜面32やリブ33に沿って撓み、波打った状態となる。前記シート吸着手段C9は、トナー像が2次転写領域Q4に到達する転写時期から逆算された前記吸着時期taになったと判別された場合に、排気ファンHFによって吸気口31からエアを吸引することにより、吸着ヘッド22にシートSを吸着させる。また、前記シート吸着手段C9は、前記吸着時期taにエアの吸引が開始されてから、吸着ヘッド22が供給位置に移動して吸着されたシートSが搬送ロールRaに受け渡されるまでの供給時間t1が経過した場合に、エアの吸引を停止して吸着ヘッド22へのシートSの吸着を停止する。
【0057】
C9A:吸着開始の判別手段
吸着時期の判別手段C9Aは、前記吸着時期taになったか否かを判別することにより、シートSの吸着を開始するか否かを判別する。
C9B:吸着終了の判別手段
吸着終了の判別手段C9Bは、前記吸着時期taから前記供給時間t1が経過したか否かを判別することにより、シートSの吸着を終了するか否かを判別する。
【0058】
C10:シート捌き手段
分離制御手段の一例であって、媒体捌き手段の一例としてのシート捌き手段C10は、分離開始の判別手段C10Aと、分離終了の判別手段C10Bとを有する。前記シート捌き手段C10は、前記エア吹付手段C8を介して、吸着ヘッド22に吸着されたシートSにエアを吹き付けて、静電気等で吸着ヘッド22に複数枚のシートSが吸着されている場合に、シートSを分離して捌く。実施例1では、最上位のシートSは、吸着ヘッド22に吸着されて波打っており、2枚以上吸着されると、上から2枚目以降のシートSとの間で波打ちの大きさに差が発生し、シートSどうしの間に隙間が形成される。そして、実施例1では、吸着位置に配置された吸着ヘッド22に吸着されたシートSの搬送方向前端に対応する範囲が吹付範囲AR1に設定されている。すなわち、前記隙間の搬送方向前端が吹付範囲AR1に配置されている。
【0059】
このため、実施例1の前記シート捌き手段C10は、前記吸着時期taから、シートSが封止スカート36と共に上昇して傾斜面32やリブ33に沿って撓んで波打った状態で吸着される吸着時間t2が経過したと判別された場合に、吹付範囲AR1に配置された前記隙間にエアを吹き付けることにより、吸着された最上位のシートSと上から2枚目以降のシートSとを分離して捌く。また、前記シート捌き手段C10は、分離開始から、エアを吹き付けてシートSどうしを分離する分離時間t3の間、エアの吹き付けを行い、前記分離時間t3が経過した場合に、エアの吹き付けを停止してシートSの捌きを停止する。
【0060】
C10A:分離開始の判別手段
分離開始の判別手段C10Aは、前記吸着時期taから前記吸着時間t2が経過したか否かを判別することにより、シートSの分離を開始するか否かを判別する。なお、実施例1の前記吸着時間t2は、排気ファンHF等によるエアの吸引力に応じて、シートSが傾斜面32やリブ33に接触して波打った状態となるのに十分な時間が実験等により予め設定されている。
C10B:分離終了の判別手段
分離終了の判別手段C10Bは、分離開始から前記分離時間t3が経過したか否かを判別することにより、シートSの分離を終了するか否かを判別する。なお、実施例1の前記分離時間t3は、エア吹付機構51によって吹き付けられるエアの風力に応じて、シートSが分離するのに十分な時間が実験等により予め設定されている。
【0061】
C11:シート供給手段
媒体供給手段の一例としてのシート供給手段C11は、供給開始の判別手段C11Aと供給終了の判別手段C11Bとを有し、前記ヘッド移動手段C6を介して、吸着ヘッド22に吸着されたシートSを搬送方向下流側の搬送ロールRaに受け渡す。実施例1の前記シート供給手段C11は、エアの吹き付けを終了したと判別された場合に、ヘッド駆動装置46〜50のモータ50を正回転させて吸着ヘッド22を吸着位置から供給位置に移動させることにより、吸着ヘッド22に吸着されたシートSを搬送ロールRaに受け渡す。また、前記シート供給手段C11は、前記供給時間t1が経過した場合、すなわち、シートSが搬送ロールRaに受け渡された場合に、前記吸着位置の判別手段C6AによってポジションセンサSN1がヘッド遮光部39a1を検出するまで前記モータ50を逆回転させて吸着ヘッド22を供給位置から吸着位置に復帰させる。
【0062】
C11A:供給開始の判別手段
供給開始の判別手段C11Aは、前記分離停止の判別手段C10Bによってエアの吹き付けを終了したか否かを判別することにより、吸着ヘッド22の供給位置への移動を開始するか否かを判別する。
C11B:供給終了の判別手段
供給終了の判別手段C11Bは、前記吸着終了の判別手段C9Bによって前記供給時間t1が経過したか否かを判別することにより、吸着ヘッド22の供給位置への移動を終了するか否かを判別する。
【0063】
C12:清掃判別手段
清掃時期の判別手段の一例としての清掃判別手段C12は、ジョブが終了したか否かを判別するジョブ終了の判別手段C12Aと、搬送遅延の判別手段C12Bと、ジャム判別手段C12Cとを有し、吸着ヘッド22の接触部24a+32+33+36b+39hを清掃する清掃時期tbになったか否かを判別する。実施例1の清掃判別手段C12は、ジョブが終了した場合や、シートセンサSN2の検知信号に基づいて、シートSの搬送が遅延していると判別された場合や、シートSの詰まり、いわゆる、ジャムが発生していると判別された場合に、前記清掃時期tbになったと判別する。
【0064】
C12B:搬送遅延の判別手段
搬送遅延の判別手段C12Bは、シートSの搬送が遅延しているか否かを判別する。実施例1の前記搬送遅延の判別手段C12Bは、シートセンサSN2によってシートSが検知された検知時期が、シートセンサSN2が配置された検知位置P2にシートSが到達する予定の到達時期より遅いか否かを判別する。なお、実施例1の前記到達時期は、前記吸着時期taと同様に、前記転写時期から逆算された時期と許容可能な範囲の時間の誤差、いわゆる、マージンとに基づいて予め設定されている。
C12C:ジャム判別手段
媒体詰まりの判別手段の一例としてのジャム判別手段C12Cは、ジャムが発生しているか否かを判別する。実施例1の前記ジャム判別手段C12Cは、シートセンサSN2がシートSの搬送方向前端を検知してオンの状態となる前記検知時期から、シートSの搬送方向後端が検知位置P2を通過してシートセンサSN2がシートSを検知しないオフの状態となる予定の検知時間を超えた場合に、ジャムが発生したと判別する。また、前記ジャム判別手段C12Cは、図示しない開閉検知部材によって給紙装置U2の図示しないフロントパネルの開閉が検知され且つシートセンサSN2がオフの状態となった場合に、詰まったシートSが取り除かれてジャムが解消されたと判別する。
【0065】
C13:ヘッド清掃手段
清掃制御手段の一例としてのヘッド清掃手段C13は、清掃開始の判別手段C13Aと、タイマTMと、清掃終了の判別手段C13Bとを有し、吸着ヘッド22の接触部24a+32+33+36b+39hを清掃する。実施例1の前記ヘッド清掃手段C13は、前記清掃時期tbになったと判別された場合に、前記エア吹付手段C8を介して、吹付範囲AR1にエアを吹き付けると共に、前記ヘッド移動手段C6を介して、吸着ヘッド22を吸着位置から供給位置に移動させる。また、前記ヘッド清掃手段C13は、吸着ヘッド22が供給位置に移動した場合に、吸着ヘッド22を供給位置から吸着位置に復帰させる。そして、前記ヘッド清掃手段C13は、吸着ヘッド22が吸着位置に戻ると、エアを吹き付けが停止される。
すなわち、実施例1の前記ヘッド清掃手段C13は、吸着ヘッドを吸着位置と供給位置との間を1往復させながらエアを吹き付けることにより、接触部24a+32+33+36b+39hを清掃する。
なお、実施例1の前記ヘッド清掃手段C13では、吸着ヘッド22の清掃時の移動速度が、ジョブ実行時の移動速度より遅く設定されており、清掃時の移動速度が高速の場合に比べ、接触部24a+32+33+36b+39hを清掃し易くなっている。
【0066】
C13A:清掃開始の判別手段
清掃開始の判別手段C13Aは、前記清掃判別手段C12によって前記清掃時期tbになったと判別された場合に、接触部24a+32+33+36b+39hの清掃を開始する時期になったと判別する。
TM:タイマ
折り返し時間の計時手段の一例としてのタイマTMは、前記清掃開始の判別手段C13Aによって接触部24a+32+33+36b+39hの清掃を開始する時期になったと判別された場合に、吸着ヘッド22が吸着位置から供給位置を折り返すまでの折り返し時間を計時する。なお、実施例1では、ジョブ実行時よりも遅い清掃時の移動速度で吸着ヘッド22が1往復する時間に対応する時間としての清掃時間t4が予め設定されており、実施例1の前記タイマTMは、前記清掃時間t4の半分の時間(t4/2)を前記折り返し時間として計時する。
【0067】
C13B:清掃終了の判別手段
清掃終了の判別手段C13Bは、前記吸着ヘッド22の供給位置から吸着位置への復帰が終了したか否かを判別することにより、接触部24a+32+33+36b+39hの清掃を終了するか否かを判別する。実施例1の前記清掃終了の判別手段C13Bは、前記吸着位置の判別手段C6AによってポジションセンサSN1がヘッド遮光部39a1を検出したか否かを判別することにより、清掃を終了するか否かを判別する。
C14:ジョブ中断制御手段
画像形成動作の中断制御手段の一例としてのジョブ中断制御手段C14は、前記ジョブ制御手段C1を介して、ジョブの中断を制御する。実施例1の前記ジョブ中断制御手段C14は、前記清掃開始の判別手段C13Aによって清掃を開始すると判別されてから、前記清掃終了の判別手段C13Bによって清掃を終了すると判別されるまで、ジョブを中断する。また、前記ジョブ中断制御手段C14は、前記ジャム判別手段C12Cにより、ジャムが発生していると判別されると、ジャムが解消されたと判別されるまで、ジョブを中断する。
【0068】
(実施例1の流れ図の説明)
次に、実施例1の画像形成装置Uにおける制御の流れを流れ図、いわゆるフローチャートを使用して説明する。
(実施例1のシート供給処理のフローチャートの説明)
図10は実施例1のシート供給処理のフローチャートの説明図である。
図10のフローチャートの各ステップSTの処理は、画像形成装置Uの制御部Cに記憶されたプログラムに従って行われる。また、この処理は画像形成装置Uの他の各種処理と並行して実行される。
図10に示すフローチャートは画像形成装置Uの電源投入により開始される。
【0069】
図10のST101において、ジョブが開始されたか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST102に移り、ノー(N)の場合はST101を繰り返す。
【0070】
ST102において、昇降機構SKを制御して、積載プレート11を下降位置から上昇位置まで移動させる。そして、ST103に移る。
ST103において、シートSの吸着を開始する吸着時期taになったか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST104に移り、ノー(N)の場合はST103を繰り返す。
ST104において、以下の(1)〜(3)の処理を実行し、ST105に移る。
(1)排気ファンHFを作動して、シートSの吸着を開始する。
(2)吸着時期taにエアの吸引が開始されてから吸着ヘッド22が供給位置に移動して吸着されたシートSが搬送ロールRaに受け渡されるまでの供給時間t1の計時を開始する。
(3)シートSが封止スカート36と共に上昇して傾斜面32やリブ33に沿って撓んで波打った状態で吸着される吸着時間t2の計時を開始する。
【0071】
ST105において、吸着時期taから吸着時間t2を経過したか否かを判別することにより、シートSの分離を開始するか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST106に移り、ノー(N)の場合はST105を繰り返す。
ST106において、以下の(1),(2)の処理を実行し、ST107に移る。
(1)エア吹付機構51を制御して、吹付範囲AR1にエアの吹き付けを開始する。すなわち、シートSの捌きを開始する。
(2)エアを吹き付けてシートSどうしを分離する分離時間t3の計時を開始する。
ST107において、分離開始から分離時間t3を経過したか否かを判別することにより、吸着ヘッド22の供給位置への移動を開始するか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST108に移り、ノー(N)の場合はST107を繰り返す。
ST108において、以下の(1),(2)の処理を実行し、ST109に移る。
(1)モータ50を正回転して、吸着ヘッド22の吸着位置から供給位置への移動を開始する。
(2)エア吹付機構51を制御を停止して、エアの吹き付けを終了する。すなわち、シートSの捌きを終了する。
【0072】
ST109において、移動開始から供給時間t1を経過したか否かを判別することにより、吸着ヘッド22の供給位置への移動を終了して吸着位置への復帰を開始するか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST110に移り、ノー(N)の場合はST109を繰り返す。
ST110において、以下の(1),(2)の処理を実行し、ST111に移る。
(1)モータ50を逆回転して、吸着ヘッド22の供給位置から吸着位置への復帰を開始する。
(2)排気ファンHFの作動を停止して、シートSの吸着を終了する。
【0073】
ST111において、ポジションセンサSN1がヘッド遮光部39a1を検出したか否かを判別することにより、吸着ヘッド22の供給位置から吸着位置への復帰が終了したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST112に移り、ノー(N)の場合はST111を繰り返す。
ST112において、モータ50を停止して、吸着ヘッド22の吸着位置への復帰を終了する。そして、ST113に移る。
ST113において、ジョブを終了したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST114に移り、ノー(N)の場合はST103に戻る。
ST114において、昇降機構SKを制御して、積載プレート11を上昇位置から下降位置まで移動させる。そして、ST101に戻る。
【0074】
(実施例1の清掃時期の判別処理のフローチャートの説明)
図11は実施例1の清掃時期の判別処理のフローチャートの説明図である。
図11のフローチャートの各ステップSTの処理は、画像形成装置Uの制御部Cに記憶されたプログラムに従って行われる。また、この処理は画像形成装置Uの他の各種処理と並行して実行される。
図11に示すフローチャートは画像形成装置Uの電源投入により開始される。
【0075】
図11のST201において、ジョブが開始されたか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST202に移り、ノー(N)の場合はST201を繰り返す。
ST202において、検知位置P2でシートセンサSN2によってシートSが検知された検知時期が、検知位置P2にシートSが到達する予定の到達時期より遅いか否かを判別する。ノー(N)の場合はST203に移り、イエス(Y)の場合はST204に移る。
ST203において、検知時期からシートセンサSN2がオフの状態となる予定の検知時間を超えたか否かを判別することにより、ジャムが発生したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST204に移り、ノー(N)の場合はST207に移る。
【0076】
ST204において、吸着ヘッド22の清掃を開始してから終了するまでジョブを中断するジョブ中断処理を実行する。そして、ST205に移る。なお、前記ジョブ中断処理は、後述する図12に示すヘッド清掃処理を実行するまでジョブを中断し、ジャムが発生した場合には、ジャムが解消されるまでジョブを中断するだけであるため、図示および詳細な説明については省略する。
ST205において、後述する図12に示すヘッド清掃処理を実行する。そして、ST206に移る。
ST206において、中断されたジョブを再開するジョブ再開処理を実行する。そして、ST207に移る。
ST207において、ジョブを終了したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST208に移り、ノー(N)の場合はST202に戻る。
ST208において、後述する図12に示すヘッド清掃処理を実行する。そして、ST201に戻る。
【0077】
図12は実施例1のヘッド清掃処理のフローチャートであり、図11のST205およびST208のサブルーチンである。
図12のST251において、以下の(1)〜(3)の処理を実行し、ST252に移る。
(1)エア吹付機構51を制御して、吹付範囲AR1にエアの吹付を開始する。すなわち、接触部24a+32+33+36b+39hの清掃を開始する。
(2)モータ50を正回転して、吸着ヘッド22の吸着位置から供給位置への移動を開始する。
(3)タイマTMに清掃時間t4の半分の時間である折り返し時間(t4/2)をセットする。
ST252において、タイマTMがタイムアップして移動開始から折り返し時間(t4/2)が経過したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST253に移り、ノー(N)の場合はST252を繰り返す。
【0078】
ST253において、モータ50を逆回転して、吸着ヘッド22の供給位置から吸着位置への復帰を開始する。そして、ST254に移る。
ST254において、ポジションセンサSN1がヘッド遮光部39a1を検出したか否かを判別することにより、吸着ヘッド22の供給位置から吸着位置への復帰が終了したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST255に移り、ノー(N)の場合はST254を繰り返す。
ST255において、以下の(1),(2)の処理を実行し、ヘッド清掃処理を終了して、図11のST205またはST208に戻る。
(1)エア吹付機構51の制御を停止して、エアの吹付を終了する。
(2)モータ50を停止して、吸着ヘッド22の吸着位置への復帰を終了する。
【0079】
(実施例1の作用)
図13は実施例1の作用説明図であり、図13Aは実施例1のシート供給処理の給紙装置の各部材の制御に関するタイミングチャートであり、図13Bは実施例1のヘッド清掃処理の給紙装置の各部材の制御に関するタイミングチャートである。
図14は実施例1の作用説明図であり、図14Aは実施例1のジョブ開始前の給紙トレイの状態の説明図、図14Bは図14Aに示す状態からジョブが開始されて積載プレートが上昇位置に移動された状態の説明図である。
前記構成を備えた本発明の実施例1の画像形成装置Uでは、ジョブが開始されると、シート供給処理が実行され、給紙トレイTR1,TR2の積載プレート11上のシートSが、給紙路SH1を介して、画像形成装置本体U3に供給される。実施例1のシート供給処理では、図13A、図14に示すように、ジョブが開始されると、積載プレート11が下降位置から上昇位置に移動される。このとき、図14Bに示すように、封止スカート36の下面36bと積載プレート11上のシートSの束の最上位のシートSとが近接する。
【0080】
図15は図14の続きの説明図であり、図15Aは図14Bに示す状態から排気ファンが作動されてシートが吸着ヘッドに吸着されると共にエア吹付機構によるエアの吹き付けでシートを捌く状態の説明図、図15Bは図15Aに示す状態から吸着ヘッドが供給位置に移動された状態の説明図である。
また、図13Aに示す吸着時期taになると、排気ファンHFによって吸気空間37内のエアが吸引されて下面36bにシートSが吸着される。そして、エアの吸引に伴って、図15Aに示すように、吸着ヘッド22に吸着された最上位のシートSが封止スカート36と共に上昇する。
そして、吸着時間t2が経過すると、吸着されたシートSの搬送方向前端に対応する吹付範囲AR1に、エア吹付機構51がエアを吹き付ける。この結果、図15Aに示すように、2枚以上のシートSが吸着された場合には、上から2枚目以降のシートS2が最上位のシートS1から分離され、シートSの束の上に落下して捌かれる。
【0081】
なお、実施例1では、エアがシートSに吹き付けられても、シートSの搬送方向前端部の上面がシート前端ガイド39gで支持され、シートSが上方に捲れたり、湾曲したりすることが低減されている。
また、分離時間t3が経過すると、ヘッド駆動装置46〜50のモータ50が正回転され、吸着ヘッド22が吸着位置から供給位置に移動される。この結果、図15Bに示すように、吸着ヘッド22に吸着されたシートSの搬送方向前端が、シート前端ガイド39gに案内されながら搬送ロールRaに到達し、搬送ロールRaに到達したシートSが供給路SH1に搬送される。
【0082】
図16は図15の続きの説明図であり、図16Aは図15Bに示す状態から排気ファンの作動が停止されて搬送ロールがシートを搬送方向下流側に搬送する状態の説明図、図16Bは図16Aに示す状態から吸着ヘッドが吸着位置に復帰された状態の説明図である。
また、供給時間t1が経過すると、図16Aに示すように、排気ファンHFによるエアの吸引が停止されると共に、モータ50が逆回転され、吸着ヘッド22が供給位置から吸着位置に向けて移動する。そして、ポジションセンサSN1がヘッド遮光部39a1を検出すると、モータ50が停止され、吸着ヘッド22が吸着位置に復帰する。
なお、搬送ローラRaに搬送されるシートSの搬送方向上流端が封止スカート36の搬送方向上流端を通過すると、吸気空間37の密封状態が解除され、図16Bに示すように、封止スカート36が重力で下降し、下面36bと次のシートS2とが近接する。よって、最上面のシートSとなった次のシートS2に対して、次の吸着時期taになると、エアが吸引されて下面36bに吸着される。したがって、図13A、図14〜図16の工程が繰り返され、シートSが供給される。
【0083】
図17は実施例1の作用説明図であり、図17Aは実施例1のヘッド清掃処理の実行前の給紙トレイの状態の説明図、図17Bは図17Aに示す状態からエア吹付機構によって吹付範囲にエアの吹き付けながら吸着ヘッドを供給位置まで移動されて接触部を清掃する状態の説明図である。
また、実施例1では、ジョブが終了した場合、ヘッド清掃処理、いわゆる、クリーニングモードが実行される。実施例1のヘッド清掃処理では、図13B、図17に示すように、ジョブが終了して清掃時期tbになると、エア吹付機構51が吹付範囲AR1にエアを吹き付けながら、吸着ヘッド22が吸着位置と供給位置との間を1往復される。よって、実施例1の画像形成装置Uでは、吹付範囲AR1に対応する接触部24a+32+33+36b+39hの位置を変化させながらエアを吹き付けて、吹付範囲AR1に対応する位置に付着した紙粉等が吹き飛ばされて、接触部24a+32+33+36b+39hの広い範囲を清掃することが可能となっている。
【0084】
ここで、ジョブ実行時にシートSを吸着する構成では、シートSを供給すると、接触部24a+32+33+36b+39hに紙粉等が付着する可能性がある。特に、裁断等により切り分けられたシートSの切断部に紙の滓や屑等のいわゆるバリが付着していた場合には、接触部24a+32+33+36b+39hにバリが付着する可能性が高くなるという問題があった。
この結果、大量にシートSの供給を繰り返すと、接触部24a+32+33+36b+39hに紙粉等が付着して滑り易くなる。よって、吸着ヘッド22の移動に対して、シートSが滑ってしまい、シートSの搬送方向下流側への搬送の遅延やジャム等の供給不良が発生する可能性が高くなる。特に、吸着ヘッド22の移動速度が高速になるほどシートSが滑り易くなり、供給不良が発生する可能性が高くなるという問題があった。
そして、従来の特許文献1〜3等の構成では、接触部24a+32+33+36b+39hに付着した紙粉等を除去する構成が設けられておらず、紙粉等が付着した場合に、搬送の遅延やジャム等の供給不良が発生し易くなるという問題あった。
【0085】
これに対して、実施例1の画像形成装置Uでは、ジョブ終了時になると、ヘッド清掃処理が実行され、接触部24a+32+33+36b+39hにエアが吹き付けられて、紙粉等が吹き飛ばされて清掃される。この結果、実施例1の画像形成装置Uは、ヘッド清掃処理が実行されない特許文献1〜3等の構成に比べ、シートSの供給不良を低減することが可能になっている。
また、実施例1の画像形成装置Uでは、シートSの搬送の遅延やジャム等の供給不良が実際に発生した場合にも、ヘッド清掃処理が実行され、接触部24a+32+33+36b+39hを清掃することが可能となっている。この結果、実施例1の画像形成装置Uは、シートSの供給不良の発生時にヘッド清掃処理が実行されない特許文献1〜3等の構成に比べ、供給不良を解消し易くなっている。
【0086】
また、前記構成を備えた本発明の実施例1の画像形成装置Uでは、ジョブ実行中に吸着されたシートSどうしを分離するエア吹付機構51を使用して、ジョブ終了後に接触部24a+32+33+36b+39hを清掃している。
この結果、実施例1の画像形成装置Uは、媒体捌き部材と清掃部材とが共通化されており、媒体捌き部材と清掃部材とを別々に設ける構成に比べ、部品点数の低減が可能となっており、清掃部材の製作コストを低減することが可能となっている。
【実施例2】
【0087】
次に本発明の実施例2の説明をするが、この実施例2の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
この実施例は下記の点で、前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成される。
【0088】
(実施例2のヘッド駆動装置46〜50の説明)
図18は実施例1の図3に対応する説明図であり、実施例2の給紙トレイの平面図である。
図19は実施例1の図8に対応する説明図であって、実施例2の吸着ヘッドの位置の説明図であり、図19Aは吸着ヘッドが吸着位置に移動した状態の説明図、図19Bは吸着ヘッドが供給位置に移動した状態の説明図、図19Cは吸着ヘッドが被清掃位置に移動した状態の説明図である。
図18において、実施例2のガイドシャフト42は、実施例1に比べ、搬送方向上流側としての左方に長く延びて形成されている。また、実施例2のヘッド駆動装置46〜50は、左側のプーリ47が、実施例1に比べ、左方に配置されており、左右両側のプーリ47に張架されたワイヤ46が、実施例1に比べ、左方に長く延びて配置されている。したがって、実施例2の吸着ヘッド22は、ヘッド駆動装置46〜50によって吸着位置より搬送方向上流側に移動可能となっている。
【0089】
この結果、前記吸着ヘッド22は、ヘッド駆動装置46〜50のモータ50の正逆回転により、図19Aに示す、シートSを吸着可能な吸着位置と、図19Bに示す、吸着位置より搬送方向下流側に設定された供給位置と、図19Cに示す、吸着位置の搬送方向上流側に設定された被清掃位置との間で移動可能に支持されている。すなわち、実施例2では、実施例1とは異なり、吸着位置と供給位置との間の移動範囲の外側である吸着位置の左方に配置された被清掃位置にも吸着ヘッド22が移動可能に構成されている。
【0090】
(実施例2の清掃ブラシ61の説明)
図20は実施例2の清掃ブラシの斜視拡大図である。
また、図18〜図20において、被清掃位置に移動した吸着ヘッド22の右端下方には、清掃部材の一例としての清掃ブラシ61が支持されている。
実施例2の前記清掃ブラシ61は、幅方向である前後方向に延びる台座部62を有する。実施例2の前記台座部62は、吸着装置U2の前端から後端まで延びて吸着装置U2の図示しない枠体に支持されており、前記台座部62の上面63には、左側で水平方向に延びる平面部63aと、平面部63aの右端から右方に進むに連れて下方に傾斜した傾斜部63bとが形成されている。
実施例2では、傾斜部63bの右端が、吸着ヘッド22に支持されて下降した封止スカート36の下面36bより下方に配置されている。この結果、吸着ヘッド22が被清掃位置に向けて左方に移動した場合に、封止スカート36の下面36bが傾斜部63bに案内されて、封止スカート36が平面部63aに乗り上げることが可能となっている。また、実施例2では、平面部63aが、吸着ヘッド22のカバー部39の側板部39b〜39eの下端より下方に配置されている。この結果、吸着ヘッド22が被清掃位置に向けて左方に移動した場合に、ヘッド本体23の下面24aや傾斜面32やリブ33が台座部62の上面63に接触せずに吸着ヘッド22が被清掃位置まで移動可能となっている。
【0091】
また、前記上面63には、清掃部の一例として、上方に延びる多数のブラシ毛64が植毛された状態で支持されている。実施例2の前記ブラシ毛64の前後方向の幅は、吸着ヘッド22の幅よりも長く形成されており、前記ブラシ毛64は、左側の平面部63aに植毛された本清掃部の一例としての左側ブラシ毛64aと、右側の傾斜部63bに植毛された案内清掃部の一例としての右側ブラシ毛64bとを有する。
実施例2では、右側ブラシ毛64bは、上下方向の高さ、すなわち、毛足の長さが、左端から右方に進むに連れて長くなっており、前記ブラシ毛64の先端の高さが、右側ブラシ毛64bから左側ブラシ毛64aまで同一になるように設定されている。また、前記ブラシ毛64の先端の高さは、ヘッド本体23の下面24aの高さよりも高い位置に設定されている。よって、実施例2では、吸着ヘッド22が吸着位置から左方に移動した場合に、ヘッド本体23の下面24aや傾斜面32やリブ33にブラシ毛64の先端部が接触可能になっている。
【0092】
(実施例2の制御部の説明)
図21は実施例1の図9に対応する説明図であり、実施例2の画像形成装置の制御部のブロック図である。
(実施例2の制御部Cの機能)
実施例2の制御部Cは、実施例1の前記ヘッド移動手段C6および前記ヘッド清掃手段C13に替えて、ヘッド移動手段C6′およびヘッド清掃手段C13′を有する。
C6′:ヘッド移動手段
実施例2のヘッド移動手段C6′は、前記吸着位置の判別手段C6Aを有し、ヘッド駆動装置46〜50のモータ50の正逆回転を制御して、図19Aに示す吸着位置と、図19Bに示す供給位置と、図19Cに示す被清掃位置との間での吸着ヘッド22の移動を制御する。
【0093】
C13′:ヘッド清掃手段
実施例2のヘッド清掃手段C13′は、前記清掃開始の判別手段C13Aと、前記タイマTMと、前記清掃終了の判別手段C13Bとを有し、吸着ヘッド22の接触部24a+32+33+36b+39hを清掃する。実施例2の前記ヘッド清掃手段C13′は、前記清掃時期tbになったと判別された場合に、前記ヘッド移動手段C6′を介して、吸着ヘッド22を吸着位置から被清掃位置に移動させる。また、前記ヘッド清掃手段C13′は、吸着ヘッド22が被清掃位置に移動した場合に、吸着ヘッド22を被清掃位置から吸着位置に復帰させる。すなわち、実施例2の前記ヘッド清掃手段C13′は、吸着ヘッドを吸着位置と被清掃位置との間を1往復させて接触部24a+32+33+36b+39hを清掃ブラシ61に接触させて清掃する。
【0094】
(実施例2の流れ図の説明)
図22は実施例1の図12に対応する説明図であり、実施例2のヘッド清掃処理のフローチャートであり、図21のST205およびST208のサブルーチンである。
次に、実施例2の画像形成装置Uの処理の流れをフローチャートを使用して説明する。実施例2では、図12に示す実施例1の前記ヘッド清掃処理に替えて、図22に示すヘッド清掃処理が実行される。
【0095】
(実施例2のヘッド清掃処理のフローチャートの説明)
図22において、実施例2のヘッド清掃処理は、実施例1の前記ヘッド清掃処理のST251,ST253,ST255に替えて、ST251′,ST253′,ST255′を実行するだけであるため、その他の各STの処理については、詳細な説明を省略する。
図22のST251′において、以下の(1),(2)の処理を実行し、ST252に移る。
(1)モータ50を逆回転して、吸着ヘッド22の吸着位置から被清掃位置への移動を開始する。
(2)タイマTMに清掃時間t4の半分の時間である折り返し時間(t4/2)をセットする。
ST252において、イエス(Y)の場合はST253に移る。
ST253において、モータ50を正回転して、吸着ヘッド22の被清掃位置から吸着位置への復帰を開始する。そして、ST254に移る。
ST254において、イエス(Y)の場合はST255に移る。
ST255において、モータ50を停止して、吸着ヘッド22の吸着位置への復帰を終了する。そして、ヘッド清掃処理を終了して、図11のST205またはST208に戻る。
【0096】
(実施例2の作用)
図23は実施例1の図13Bに対応する説明図であって、実施例2の作用説明図であり、実施例2のヘッド清掃処理のヘッド駆動装置の制御に関するタイミングチャートである。
前記構成を備えた本発明の実施例2の画像形成装置Uでは、ジョブが終了した場合、ヘッド清掃処理が実行される。実施例2のヘッド清掃処理では、図23、図19に示すように、ジョブが終了して清掃時期tbになると、吸着ヘッド22が吸着位置と被清掃位置との間を1往復される。
【0097】
図24は実施例2の作用説明図であり、図24Aは被清掃位置に移動中の吸着ヘッドの左端が清掃ブラシに到達する前の状態の要部拡大説明図、図24Bは吸着ヘッドの左端部が清掃ブラシの傾斜部の上方まで移動した状態の要部拡大説明図、図24Cは被清掃位置に移動した吸着ヘッドの右端部が清掃ブラシの上方に配置された状態の要部拡大説明図である。
実施例2では、吸着ヘッド22が吸着位置から被清掃位置への移動中には、図24Bに示すように、封止スカート36が台座部62の傾斜部63bに案内されて平面部63aに乗り上げながら、清掃ブラシ61のブラシ毛64に接触部24a+32+33+36b+39hが接触して、付着した紙粉等が掻き落とされる。ここで、実施例2では、図19A、図24Aに示すように、吸着位置に移動した吸着ヘッド22の左端は、ブラシ毛64の右端より右方に配置されている。また、実施例2では、図19C、図24Cに示すように、被清掃位置に移動した吸着ヘッド22のシート前端ガイド39gの右端は、ブラシ毛64の右端より左方に配置されている。この結果、吸着ヘッド22が被清掃位置に到達すると、ブラシ毛64に接触部24a+32+33+36b+39hの全範囲が接触して紙粉等が掻き落とされる。
【0098】
そして、吸着ヘッド22が被清掃位置から吸着位置への復帰中にも、封止スカート36が平面部63aおよび傾斜部63bに案内されて下降しながら、清掃ブラシ61のブラシ毛64に接触部24a+32+33+36b+39hの全範囲が接触して、付着した紙粉等が掻き落とされる。
よって、実施例2の画像形成装置Uでは、吸着ヘッド22が1往復すると、接触部24a+32+33+36b+39hの全域が清掃ブラシ61を通過し、接触部24a+32+33+36b+39hの全範囲を清掃することが可能となっている。
その他、実施例2の前記画像形成装置Uは、実施例1の前記画像形成装置Uと同様の作用効果を奏する。
【0099】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)〜(H07)を下記に例示する。
(H01)前記実施例において、画像形成装置の一例としての複写機に限定されず、プリンタ、FAX等の画像形成装置にも適用可能である。また、カラーの画像形成装置に限定されず、モノクロの画像形成装置にも適用可能である。さらに、タンデム型の画像形成装置に限定されず、ロータリ型の画像形成装置にも適用可能である。
【0100】
(H02)前記実施例では、エア吹付機構51や清掃ブラシ61によって、接触部24a+32+33+36b+39hが清掃されているが、これに限定されず、例えば、前記実施例2において、清掃ブラシ61に替えて弾性変形可能なスポンジ等を配置して、吸着位置と被清掃位置との間を往復する接触部24a+32+33+36b+39hの形状に応じてスポンジを弾性変形させることにより付着した紙粉等を擦り落として、接触部24a+32+33+36b+39hを清掃することも可能である。この場合、スポンジの上面に不織布等を支持して、不織布を接触部24a+32+33+36b+39hに接触させて紙粉等を擦り落とすことも可能である。また、例えば、実施例2の清掃ブラシ61に替えて前後方向に延びる円筒刷毛状の清掃ブラシを配置して、清掃ブラシを回転しながら、吸着位置と被清掃位置との間を往復する接触部24a+32+33+36b+39hに対して、ブラシ毛を接触させて付着した紙粉等を擦り落とすことも可能である。また、実施例2の清掃ブラシ61に替えて前後方向に延びる円筒部材に可撓性を有する複数の被接触部が支持された清掃用のパドルを配置して、清掃用のパドルを回転しながら、吸着位置と被清掃位置との間を往復する接触部24a+32+33+36b+39hに被接触部を接触させて付着した紙粉等を擦り落とすことも可能である。
【0101】
(H03)前記実施例では、接触部24a+32+33+36b+39hを清掃する際に、吸着ヘッド22を搬送方向に移動させているが、これに限定されず、エア吹付機構51や清掃ブラシ61を移動させて接触部24a+32+33+36b+39hの搬送方向を清掃することも可能である。例えば、前記実施例1において、エア吹付機構51の吹付口の内部に風向制御部材の一例としてのルーバーを配置して、ルーバーを制御することにより、風向きを制御して吹付範囲AR1を搬送方向に沿って変化させて接触部24a+32+33+36b+39hを清掃することも可能である。また、例えば、エア吹付機構51の本体から吹付口までを蛇腹等の可撓性部材によって接続した場合に、蛇腹を搬送方向に沿って揺動させたり、本体から吹付口までを筒部材によって接続した場合に、筒部材の本体側の基端を中心に搬送方向に沿って吹付口側の自由端を回転させたりして、吹付口の位置を変化させて吹付範囲AR1を搬送方向に沿って変化させることにより、接触部24a+32+33+36b+39hを清掃することも可能である。この場合、吸着ヘッド22だけでなく、搬送方向下流側の搬送ロールRaの表面も清掃することも可能である。また、例えば、前記実施例2において、吸着ヘッド22を左方に移動させずに、清掃ブラシ61を右方に移動させて、吸着位置に配置された吸着ヘッド22の下方で接触部24a+32+33+36b+39hを清掃することも可能である。さらに、吸着ヘッド22と清掃部材51,61の一方のみを移動させることに限定されず、両方を移動させて清掃することも可能である。例えば、前記実施例2において、吸着ヘッド22を左方に移動させると共に、清掃ブラシ61を右方に移動させて、接触部24a+32+33+36b+39hにブラシ毛64を接触させて紙粉等を擦り落として清掃することも可能である。
【0102】
(H04)前記実施例1では、接触部24a+32+33+36b+39hを清掃する際に、吸着ヘッド22を吸着位置と供給位置との間を1往復させており、前記実施例2では、吸着ヘッド22を吸着位置と被清掃位置との間を1往復させているが、これに限定されず、複数回往復させることも可能である。また、前記実施例や前記変更例(H03)のように、接触部24a+32+33+36b+39hを清掃する際に、吸着ヘッド22や清掃ブラシ61を移動させたり、エア吹付機構51の吹付範囲AR1を変化させたりして、接触部24a+32+33+36b+39hの広い範囲を清掃することが好ましいが、これに限定されず、例えば、前記実施例1において、吸着ヘッド22を移動させずに吹付範囲AR1に対応する接触部24a+32+33+36b+39hの一部のみ清掃することも可能である。
【0103】
(H05)前記実施例では、接触部24a+32+33+36b+39hを清掃する際に、吸着ヘッド22を搬送方向である左右方向に沿って移動させているが、これに限定されず、例えば、清掃用のエア吹付機構や清掃ブラシ等の清掃部材を吸着ヘッド22の前方や後方に配置して、吸着ヘッド22を幅方向である前後方向に沿って移動させて接触部24a+32+33+36b+39hを清掃することも可能である。
(H06)前記実施例では、ジョブが終了した時期や、シートSの搬送遅延やジャムを検知した時期を、清掃時期tbであると判別して、図12、図22に示すヘッド清掃処理を実行したが、これに限定されず、例えば、ジョブを開始した時期や、給紙トレイTR1,TR2が装着された時期を清掃時期tbであると判別することも可能である。また、例えば、最後にヘッド清掃処理が実行されてからシートSを供給した累積枚数や、ジョブ実行時に連続してシートSを供給した連続枚数が、予め設定された枚数を超えた場合に、清掃時期tbになったと判別することも可能である。
【0104】
(H07)前記実施例では、接触部24a+32+33+36b+39hに付着した紙粉等をエアで吹き飛ばしたり、ブラシ毛64で擦り落としたりしているが、接触部24a+32+33+36b+39hから除去された紙粉等を回収する構成を設けることも可能である。例えば、前記実施例1において、積載プレート11を下降位置に移動させた状態で、排気ファンHFを作動させて吸気口31からエアを吸引しながら接触部24a+32+33+36b+39hにエアを吹き付けることにより、接触部24a+32+33+36b+39hから除去された紙粉等を吸引して回収することも可能である。また、前記実施例2において、清掃ブラシ61の台座部62の周囲を囲む枠を設けたり、上面63の中央部を凹状に形成することにより、掻き落とされた紙粉等を台座部62の内側に回収することも可能である。すなわち、台座部62を回収トレイとして構成することも可能である。
【符号の説明】
【0105】
11…積載部材、22…保持部材、23…保持部材本体、24a+32+33+36b+39h…接触部、24a…気体吸引用の開口が形成された面、31…気体吸引用の開口、36…囲み部材、36b…囲み部材の積載部材側の一端、37…空間、51,61…清掃部材、51…吹付装置、AR1…吹付位置、C10…分離制御手段、C12…清掃時期の判別手段、C13…清掃制御手段、HF…吸引装置、Ra…搬送部材、S…媒体、SN2…搬送検知部材、詰まり検知部材、tb…清掃時期、U…画像形成装置、U2…媒体供給装置。
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体供給装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
積載部材に積載された媒体を供給する媒体供給装置に関し、以下の特許文献1〜3に記載の技術が知られている。
特許文献1としての特開2002−19978号公報には、昇降する昇降式用紙トレイ(120)のスタック(56)上に積載された用紙を真空用紙接触面(122)に吸着した状態で供給方向前方に移動可能な用紙給送装置プレナム(58)が記載されている。また、特許文献1には、スタック(56)上の用紙に供給方向後方から空気を吹き付けて用紙どうしを分離する適応浮揚装置(140)が記載されている。
すなわち、特許文献1には、用紙供給時に、前記真空用紙接触面(122)が吸着する前の用紙の束に供給方向後方から空気を吹き付けて用紙を捌く構成が記載されている。
【0003】
また、特許文献2としての特開平7−89625号公報には、載置トレイ(2)上に積載された最上部のシート原稿(1)をエア吸引によって下面に吸着する給送ベルト(4)が記載されている。また、特許文献2には、積載された原稿に給送方向前方のエア吹出口(5)からエアを吹き付けて原稿どうしを分離する技術が記載されている。
すなわち、特許文献2には、原稿給送時に、給送ベルト(4)の下面が吸着する前の原稿の束に給送方向前方から空気を吹き付けて原稿を捌く構成が記載されている。
また、特許文献3としての特開2008−094603号公報には、積載されたシートの束の最上位のシートをエア吸引によって吸着する吸盤(201)が記載されている。また、特許文献3には、吸盤(201)を降下させて最上位のシートを吸着した際に、積載されたシートの束にシート搬送方向前方からエアを吹き付けてシートどうしを分離しながら吸盤(201)を上昇させる技術が記載されている。
すなわち、特許文献3には、シート搬送時に、吸盤(201)が最上位のシートを吸着した後のシートの束にシート搬送方向前方から空気を吹き付けて原稿を捌く構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−19978号公報(「0018」〜「0023」、「0029」、図14〜図18)
【特許文献2】特開平7−89625号公報(「0031」、図1〜図3)
【特許文献3】特開2008−094603号公報(「0066」、「0067」、図16)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、媒体の供給不良を低減することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記技術的課題を解決するために、請求項1に記載の発明の媒体供給装置は、
媒体が積載される積載部材と、
前記積載部材に対向して配置され且つ前記媒体の搬送方向に沿って移動可能に支持された保持部材本体と、前記保持部材本体に形成された気体吸引用の開口と、前記気体吸引用の開口に接続されて気体を吸引する吸引装置と、前記吸引装置が気体を吸引した場合に気体の吸引に伴って前記積載部材から移動した媒体が接触する接触部と、を有し、媒体を吸着して保持する保持部材と、
前記保持部材に対して前記媒体の搬送方向の下流側に配置され、前記保持部材に吸着された媒体を下流側に向けて搬送する搬送部材と、
前記接触部を清掃可能な清掃部材と、
前記接触部を清掃する予め設定された清掃時期になったか否かを判別する清掃時期の判別手段と、
前記清掃時期になったと判別された場合に、前記清掃部材および前記保持部材の少なくとも一方を制御して、前記接触部を清掃する清掃制御手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の媒体供給装置において、
前記接触部に気体を吹き付け可能な吹付装置によって構成された前記清掃部材と、
前記清掃時期になったと判別された場合に、前記吹付装置を制御して前記接触部に気体を吹き付けて、前記接触部を清掃する前記清掃制御手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の媒体供給装置において、
予め設定された吹付位置に気体を吹き付ける前記吹付装置と、
前記清掃時期になったと判別された場合に、前記保持部材を制御して前記接触部を前記搬送方向に沿って前記清掃部材側に移動させて、前記吹付位置に対応する前記接触部の被吹付位置を前記搬送方向に沿って変化させる前記清掃制御手段、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載の媒体供給装置において、
前記積載部材から前記保持部材に吸着される媒体を前記搬送方向の下流側に搬送する場合に、前記吹付装置を制御して媒体に気体を吹き付けて、媒体どうしを分離させる分離制御手段、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の媒体供給装置において、
前記積載部材上の媒体に対向し且つ前記媒体を吸着可能な吸着位置と、前記吸着位置よりも前記搬送方向の下流側に設定され且つ前記媒体を前記搬送部材に供給可能な供給位置と、前記吸着位置と前記供給位置との間の移動範囲の外側に設定された被清掃位置と、の間を移動可能に支持された前記保持部材と、
前記被清掃位置に対応して配置され、前記被清掃位置に移動される前記保持部材の前記接触部に接触して清掃する前記清掃部材と、
を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の媒体供給装置において、
前記搬送部材に対して前記搬送方向の下流側に予め設定された検知位置に配置され、前記搬送部材に搬送された媒体を検知する搬送検知部材と、
前記搬送検知部材によって媒体が検知された検知時期が、前記検知位置に媒体が到達する予め設定された到達時期より遅い場合に、前記清掃時期になったと判別する前記清掃時期の判別手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の媒体供給装置において、
前記保持部材に対して前記搬送方向の下流側に配置され、媒体の詰まりを検知する詰まり検知部材と、
前記詰まり検知部材の検知結果に基づいて、媒体の詰まりが発生していると判別された場合に、前記清掃時期になったと判別する前記清掃時期の判別手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項1ないし7のいずれかに記載の媒体供給装置において、
前記開口を囲むように配置されると共に前記保持部材本体から積載部材側に延び且つ前記積載部材に対して接近、離間する方向に移動可能に支持された囲み部材と、前記囲み部材の内部に形成され且つ前記囲み部材により周囲を囲まれた空間と、前記空間内の気体を吸引する前記吸引装置と、を有し、前記吸引装置の吸引に伴って前記囲み部材の積載部材側の一端に媒体を吸着して保持する前記保持部材と、
前記保持部材本体の前記気体吸引用の開口が形成された面と、前記囲み部材の積載部材側の一端と、を含む前記接触部と、
を備えたことを特徴とする。
【0014】
前記技術的課題を解決するために、請求項9に記載の発明の画像形成装置は、
請求項1ないし8のいずれかに記載の媒体供給装置、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1、9に記載の発明によれば、清掃時期になったと判別された場合に接触部を清掃する構成を有しない場合に比べ、媒体の供給不良を低減することができる。
請求項2に記載の発明によれば、吹付装置が接触部に気体を吹き付けて、接触部を清掃することができる。
請求項3に記載の発明によれば、清掃時期になったと判別された場合に接触部を搬送方向に沿って清掃部材側に移動させる構成を有しない場合に比べ、接触部が清掃される範囲を広くすることができる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、媒体どうしを分離する分離部材と清掃部材とを共通化できる。
請求項5に記載の発明によれば、被清掃位置に移動させた保持部材の接触部を清掃部材に接触させて、接触部を清掃することができる。
請求項6に記載の発明によれば、媒体の搬送遅延が検知された場合に、接触部を清掃することができる。
請求項7に記載の発明によれば、媒体の詰まりが検知された場合に、接触部を清掃することができる。
請求項8に記載の発明によれば、気体吸引用の開口が形成された面と、囲み部材の積載部材側の一端とを清掃することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
【図2】図2は実施例1の給紙トレイの要部拡大図である。
【図3】図3は実施例1の給紙トレイの平面図である。
【図4】図4は実施例1の積載プレートの位置の説明図であり、図4Aは積載プレートが下降位置に移動した状態の説明図、図4Bは積載プレートが上昇位置に移動した状態の説明図である。
【図5】図5は実施例1の吸着ヘッドの説明図であり、図5Aは正面図、図5Bは平面図である。
【図6】図6は実施例1の吸着ヘッドを斜め下方から見た斜視図である。
【図7】図7は図5BのVII−VII線断面図である。
【図8】図8は実施例1の吸着ヘッドの位置の説明図であり、図8Aは吸着ヘッドが吸着位置に移動した状態の説明図、図8Bは吸着ヘッドが供給位置に移動した状態の説明図である。
【図9】図9は実施例1の画像形成装置の制御部の機能図、いわゆるブロック図である。
【図10】図10は実施例1のシート供給処理のフローチャートの説明図である。
【図11】図11は実施例1の清掃時期の判別処理のフローチャートの説明図である。
【図12】図12は実施例1のヘッド清掃処理のフローチャートであり、図11のST205およびST208のサブルーチンである。
【図13】図13は実施例1の作用説明図であり、図13Aは実施例1のシート供給処理の給紙装置の各部材の制御に関するタイミングチャートであり、図13Bは実施例1のヘッド清掃処理の給紙装置の各部材の制御に関するタイミングチャートである。
【図14】図14は実施例1の作用説明図であり、図14Aは実施例1のジョブ開始前の給紙トレイの状態の説明図、図14Bは図14Aに示す状態からジョブが開始されて積載プレートが上昇位置に移動された状態の説明図である。
【図15】図15は図14の続きの説明図であり、図15Aは図14Bに示す状態から排気ファンが作動されてシートが吸着ヘッドに吸着されると共にエア吹付機構によるエアの吹き付けでシートを捌く状態の説明図、図15Bは図15Aに示す状態から吸着ヘッドが供給位置に移動された状態の説明図である。
【図16】図16は図15の続きの説明図であり、図16Aは図15Bに示す状態から排気ファンの作動が停止されて搬送ロールがシートを搬送方向下流側に搬送する状態の説明図、図16Bは図16Aに示す状態から吸着ヘッドが吸着位置に復帰された状態の説明図である。
【図17】図17は実施例1の作用説明図であり、図17Aは実施例1のヘッド清掃処理の実行前の給紙トレイの状態の説明図、図17Bは図17Aに示す状態からエア吹付機構によって吹付範囲にエアの吹き付けながら吸着ヘッドを供給位置まで移動されて接触部を清掃する状態の説明図である。
【図18】図18は実施例1の図3に対応する説明図であり、実施例2の給紙トレイの平面図である。
【図19】図19は実施例1の図8に対応する説明図であって、実施例2の吸着ヘッドの位置の説明図であり、図19Aは吸着ヘッドが吸着位置に移動した状態の説明図、図19Bは吸着ヘッドが供給位置に移動した状態の説明図、図19Cは吸着ヘッドが被清掃位置に移動した状態の説明図である。
【図20】図20は実施例2の清掃ブラシの斜視拡大図である。
【図21】図21は実施例1の図9に対応する説明図であり、実施例2の画像形成装置の制御部のブロック図である。
【図22】図22は実施例1の図12に対応する説明図であり、実施例2のヘッド清掃処理のフローチャートであり、図21のST205およびST208のサブルーチンである。
【図23】図23は実施例1の図13Bに対応する説明図であって、実施例2の作用説明図であり、実施例2のヘッド清掃処理のヘッド駆動装置の制御に関するタイミングチャートである。
【図24】図24は実施例2の作用説明図であり、図24Aは被清掃位置に移動中の吸着ヘッドの左端が清掃ブラシに到達する前の状態の要部拡大説明図、図24Bは吸着ヘッドの左端部が清掃ブラシの傾斜部の上方まで移動した状態の要部拡大説明図、図24Cは被清掃位置に移動した吸着ヘッドの右端部が清掃ブラシの上方に配置された状態の要部拡大説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例(以下、実施例と記載する)を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、前後方向をX軸方向、左右方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とし、矢印X,−X,Y,−Y,Z,−Zで示す方向または示す側をそれぞれ、前方、後方、右方、左方、上方、下方、または、前側、後側、右側、左側、上側、下側とする。
また、図中、「○」の中に「・」が記載されたものは紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたものは紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
なお、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【実施例1】
【0019】
図1は実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
図1において、画像形成装置Uは、操作部の一例としてのユーザインタフェースUI、画像情報の入力装置の一例としてのイメージスキャナU1、媒体供給装置の一例としての給紙装置U2、画像形成装置本体U3、および用紙処理装置U4を有している。
前記ユーザインタフェースUIは、入力部の一例としてのコピースタートキー、コピー枚数設定キー、テンキー等の入力キーや表示部UI1を有している。
前記イメージスキャナU1は、原稿を自動的に搬送する自動原稿搬送装置および画像読取装置の一例としてのスキャナ本体等により構成されている。図1において、イメージスキャナU1では、図示しない原稿を読取って画像情報に変換し、画像形成装置本体U3に入力する。
前記給紙装置U2は、収容容器の一例であって、給紙部の一例としての複数の給紙トレイTR1,TR2と、前記各給紙トレイTR1,TR2から送り出された媒体の一例としてのシートSを画像形成装置本体U3に搬送する搬送路の一例としての給紙路SH1等を有している。
【0020】
図1において、前記画像形成装置本体U3は、前記給紙装置U2から搬送されたシートSに画像記録を行う画像記録部、現像剤の補給部の一例としてのトナーディスペンサー装置U3a、用紙搬送路SH2、用紙排出路SH3、用紙反転路SH4、用紙循環路SH6等を有している。なお、前記画像記録部については後述する。
また、画像形成装置本体U3は、制御部Cと、前記制御部Cにより制御される潜像書込用の駆動回路の一例としてのレーザ駆動回路Dと、前記制御部Cにより制御される電源回路E等とを有している。制御部Cにより作動を制御されるレーザ駆動回路Dは、前記イメージ入力装置U1から入力されたY:イエロー、M:マゼンタ、C:シアン、K:黒の画像情報に応じたレーザ駆動信号を予め設定された時期に、各色の潜像形成装置ROSy,ROSm,ROSc,ROSkに出力する。
【0021】
図1において、黒の像保持体ユニットUKは、像保持体の一例としての感光体Pk、帯電器CCk、および像保持体用の清掃器の一例としての感光体クリーナCLkを有している。また、他の色Y,M,Cの像保持体ユニットUY,UM,UCも、感光体Py,Pm,Pc、放電器の一例としての帯電器CCy,CCm,CCc、感光体クリーナCLy,CLm,CLcを有している。なお、実施例1では、使用頻度の高く表面の磨耗が多いK色の感光体Pkは、他の色の感光体Py,Pm,Pcに比べて大径に構成され、高速回転対応および長寿命化がされている。
前記各像保持体ユニットUY,UM,UC,UKと現像ロールR0を有する現像器GY,GM,GC,GKとによりトナー像形成部材UY+GY,UM+GM,UC+GC,UK+GKが構成されている。
【0022】
図1において、感光体Py,Pm,Pc,Pkは、それぞれ帯電器CCy,CCm,CCc,CCkにより一様に帯電された後、前記潜像形成装置ROSy,ROSm,ROSc,ROSkの出力する潜像書込光の一例としてのレーザビームLy,Lm,Lc,Lkによりその表面に静電潜像が形成される。前記感光体Py,Pm,Pc,Pk表面の静電潜像は、現像器GY,GM,GC,GKにより、Y:イエロー、M:マゼンタ、C:シアン、K:黒の色の可視像の一例としてのトナー像に現像される。
前記感光体Py,Pm,Pc,Pk表面上のトナー像は、1次転写器の一例としての1次転写ロールT1y,T1m,T1c,T1kにより、中間転写体の一例としての中間転写ベルトB上に順次重ねて転写され、中間転写ベルトB上に多色画像、いわゆる、カラー画像が形成される。中間転写ベルトB上に形成されたカラー画像は、画像記録領域の一例としての2次転写領域Q4に搬送される。
なお、黒画像データのみの場合はK:黒の感光体Pkおよび現像器GKのみが使用され、黒のトナー像のみが形成される。
1次転写後、感光体Py〜Pk表面の残留トナーは感光体クリーナCLy〜CLkによりクリーニングされる。
【0023】
像保持体ユニットUY〜UKの下方には、中間転写装置の一例としてのベルトモジュールBMが配置されている。前記ベルトモジュールBMは、中間転写体の一例としての中間転写ベルトBと、中間転写体の支持部材の一例としてのベルト支持ロールRd,Rt,Rw,Rf,T2aと、前記1次転写ロールT1y〜T1kとを有している。ベルト支持ロールRd,Rt,Rw,Rf,T2aは、駆動部材の一例としてのベルト駆動ロールRd、張力付与部材の一例としてのテンションロールRt、蛇行防止部材の一例としてのウォーキングロールRw、従動部材の一例としての複数のアイドラロールRfおよび2次転写対向部材の一例としてのバックアップロールT2aを有する。そして、前記中間転写ベルトBは前記ベルト支持ロールRd,Rt,Rw,Rf,T2aにより矢印Ya方向に回転移動可能に支持されている。
【0024】
前記バックアップロールT2aの下方には2次転写ユニットUtが配置されている。2次転写ユニットUtの2次転写部材の一例としての2次転写ロールT2bは、前記中間転写ベルトBを挟んでバックアップロールT2aに離隔および接触可能に配置されており、前記2次転写ロールT2bが中間転写ベルトBと圧接する領域により2次転写領域Q4が形成されている。また、前記バックアップロールT2aには電圧印加用接触部材の一例としてのコンタクトロールT2cが当接しており、前記ロールT2a〜T2cにより2次転写器T2が構成されている。
前記コンタクトロールT2cには制御部Cにより制御される電源回路から、予め設定された時期に、トナーの帯電極性と同極性の2次転写電圧が印加される。
【0025】
前記ベルトモジュールBM下方には用紙搬送路SH2が配置されている。前記給紙装置U2の給紙路SH1から給紙されたシートSは、搬送部材の一例としての搬送ロールRaにより、用紙搬送路SH2に搬送され、送出時期の調節部材の一例としてのレジロールRrにより、トナー像が2次転写領域Q4に搬送される時期に合わせて、媒体案内部材SGr、転写前の媒体案内部材SG1を通って2次転写領域Q4に送り出される。前記中間転写ベルトB上のトナー像は、前記2次転写領域Q4を通過する際に前記2次転写器T2により前記シートSに転写される。なお、フルカラー画像の場合は中間転写ベルトB表面に重ねて1次転写されたトナー像が一括してシートSに2次転写される。
【0026】
2次転写後の前記中間転写ベルトBは、中間転写体の清掃器の一例としてのベルトクリーナCLBにより清掃、すなわち、クリーニングされる。なお、前記2次転写ロールT2Bは、中間転写ベルトBに対して離隔および接触可能に支持されている。
前記1次転写ロールT1y〜T1k、中間転写ベルトB、2次転写器T2、ベルトクリーナCLB等により、感光体Py〜Pk表面の画像をシートSに転写する転写装置T1+B+T2+CLBが構成されている。
前記感光体Py,Pm,Pc,Pk、前記現像器GY,GM,GC,GK、前記転写装置T1+B+T2+CLB等により、実施例1の画像記録装置の一例としてのプリンタ部U3bが構成されている。
【0027】
トナー像が2次転写された前記シートSは、転写後の媒体案内部材SG2、定着前の媒体搬送部材の一例としての用紙搬送ベルトBHを通って定着装置Fに搬送される。前記定着装置Fは、加熱定着部材の一例としての加熱ロールFhと、加圧定着部材の一例としての加圧ロールFpとを有し、加熱ロールFhと加圧ロールFpとが圧接する領域により定着領域Q5が形成されている。
前記シートS上のトナー像は定着領域Q5を通過する際に定着装置Fにより加熱定着される。前記定着装置Fの下流側には搬送路の切替部材の一例としての第1ゲートGT1が設けられている。前記第1ゲートGT1は用紙搬送路SH2を搬送されて定着領域Q5で加熱定着されたシートSを、用紙処理装置U4の用紙排出路SH3または用紙反転路SH4に選択的に切り替える。前記用紙排出路SH3に搬送されたシートSは、用紙処理装置U4の用紙搬送路SH5に搬送される。
【0028】
用紙搬送路SH5の途中には、湾曲補正装置の一例としてのカール補正装置U4aが配置されており、前記用紙搬送路SH5には搬送路の切替部材の一例としてのカール切替ゲートG4が配置されている。前記カール切替ゲートG4は、前記画像形成装置本体U3の用紙搬送路SH3から搬送されたシートSを、湾曲、いわゆる、カールの方向に応じて、第1カール補正部材h1または第2カール補正部材h2の側に搬送する。前記第1カール補正部材h1または第2カール補正部材h2に搬送されたシートSは、通過時にカールが補正される。カールが補正されたシートSは、排出部材の一例としての排出ロールRhから用紙処理装置U4の排出部の一例としての排出トレイTH1に用紙の画像定着面が上向きの状態、いわゆる、フェイスアップ状態で排出される。
【0029】
前記第1ゲートGT1により画像形成装置本体U3の前記用紙反転路SH4側に搬送されたシートSは、弾性薄膜状の部材により構成された搬送方向の規制部材の一例としての第2ゲートGT2を押しのける形で通過して、画像形成装置本体U3の前記用紙反転路SH4に搬送される。
前記画像形成装置本体U3の用紙反転路SH4の下流端には、用紙循環路SH6および用紙反転路SH7が接続されており、その接続部にも、搬送方向の規制部材の一例としての第3ゲートGT3が配置されている。前記第1ゲートGT1を通って用紙搬送路SH4に搬送された用紙は、前記第3ゲートGT3を通過して前記用紙処理装置U4の用紙反転路SH7側に搬送される。両面印刷を行う場合には、用紙反転路SH4を搬送されてきたシートSは、前記第3ゲートGT3をそのまま一旦通過して、用紙反転路SH7に搬送された後、逆方向に搬送、いわゆる、スイッチバックさせられると、第3ゲートGT3により搬送方向が規制され、スイッチバックしたシートSが用紙循環路SH6側に搬送される。前記用紙循環路SH6に搬送されたシートSは前記給紙路SH1を通って前記2次転写領域Q4に再送される。
【0030】
一方、用紙反転路SH4を搬送されるシートSを、シートSの媒体搬送方向後端が第2ゲートGT2を通過後、第3ゲートGT3を通過する前に、スイッチバックすると、第2ゲートGT2によりシートSの搬送方向が規制され、シートSは表裏が反転された状態で用紙搬送路SH5に搬送される。表裏が反転されたシートSは、カール補正部材U4aによりカールが補正された後、前記用紙処理装置U4の用紙排出トレイTH1に、シートSの画像定着面が下向きの状態、いわゆる、フェイスダウン状態で排出することができる。
前記符号SH1〜SH7で示された要素により用紙搬送路SHが構成されている。また、前記符号SH,Ra,Rr,Rh,SGr,SG1,SG2,BH、GT1〜GT3等で示された要素により媒体搬送系SUが構成されている。
【0031】
(実施例1の給紙装置U2の説明)
図2は実施例1の給紙トレイの要部拡大図である。
ここで、実施例1の前記各給紙トレイTR1、TR2については、第2給紙トレイTR2についてのみ詳細に説明し、その他の前記各給紙トレイTR1については、前記第2給紙トレイTR2と同様の構成であるため、詳細な説明を省略する。
【0032】
(実施例1の第2給紙トレイTR2の説明)
図2において、前記第2給紙トレイTR2の左右両端の外方にはそれぞれ、前後方向、すなわち、X軸方向に延びる案内部材の一例としてのレール1,1が配置されている。前記レール1,1の下面下側にはそれぞれ回転部材の一例としてのローラ2,2が回転可能に支持されている。前記ローラ2,2の上部は、レール1,1の下面に形成された孔からレール1,1の上方に突出している。
また、前記第2給紙トレイTR2の左右両側の下部にはそれぞれ、外方に膨出する被案内部材の一例としての被ガイドレール3,3が前後に延びて設けられており、前記被ガイドレール3,3は前記レール1下面の前記ローラ2,2上面に支持されている。したがって、前記第2給紙トレイTR2は、前記左右の各レール1,1に沿って前後方向に出入可能に構成されている。すなわち、前記第2給紙トレイTR2は、前記給紙装置U2から引出された引出位置と、前記給紙装置U2に挿入された挿入位置との間で移動可能に構成されている。
【0033】
図3は実施例1の給紙トレイの平面図である。
図2、図3において、第2給紙トレイTR2は、底板4と、底板4の前後左右を囲むように上方に延びる前壁6、後壁7、左壁8および右壁9と、を有する。図3において、前記第2給紙トレイTR2の底板4の左部には、第1の案内部の一例として、左右方向に延びる溝状のエンドガイド溝4aが形成されており、底板4の右部には、第2の案内部の一例として、前後方向に延びる溝状のサイドガイド溝4bが形成されている。図2、図3において、前記右壁9の上端部には、上方に行くほど左方に傾斜する傾斜部9aが形成されており、傾斜部9aは送り出されるシートSを搬送ロールRaに案内する。また、実施例1では、傾斜部9aの前後方向中央部には、下方に切り欠かれた切欠部9bが形成されている。
【0034】
(実施例1の積載プレート11および昇降機構SKの説明)
図4は実施例1の積載プレートの位置の説明図であり、図4Aは積載プレートが下降位置に移動した状態の説明図、図4Bは積載プレートが上昇位置に移動した状態の説明図である。
前記底板4の上面には、積載部材の一例として、シートSが積載される平板状の積載プレート11が配置されている。前記積載プレート11には、前記エンドガイド溝4aに対応して、左方から中央部に向けて延びる左開口11aと、サイドガイド溝4bに対応して前後両端から中央部に向けて延びる前開口11bおよび後開口11cと、が形成されている。実施例1の積載プレート11は、積載部材の移動機構の一例として、図示しない線状部材の一例としてのワイヤを用いた昇降機構SKにより、上昇および下降可能に構成されている。すなわち、積載プレート11は、退避位置の一例として、下降してシートSを積載可能な図4Aに示す下降位置と、被吸着位置の一例として、シートSを送り出すために上昇した図4Bに示す上昇位置との間で昇降可能に構成されている。なお、ワイヤを利用したシートSの昇降機構SKは、例えば、特開2010−143658号公報や特開2010−149982号公報等に記載されているように従来公知であり、従来公知の種々の構成を採用可能であるため、詳細な説明は省略する。
【0035】
前記エンドガイド溝4aには、第1の揃え部材の一例としてのエンドガイド12がエンドガイド溝4aに沿って左右方向に移動可能に支持されている。前記エンドガイド12は、底板4に沿った平板状の揃え部材本体の一例としてのスライド部12aと、スライド部12aの左端から上方に延びる揃え用の接触部12bとを有し、前方から見た場合に略L字形状に形成されている。前記接触部12bの右側面には、積載プレート11上に積載されるシートSの端縁である左端に接触可能な接触面12cが形成されており、シートSの左端が接触すると、シートSの束の左端が揃えられる。
【0036】
前記サイドガイド溝4bには、第2の揃え部材の一例として、前後一対のサイドガイド13が、サイドガイド溝4bに沿って前後方向に移動可能に支持されている。なお、一対のサイドガイド13は、図示しない歯車の一例としてのピニオンギアと平板に歯車が形成されたラックとにより、互いに接近、離間する方向に連動して移動可能に構成されている。なお、ピニオンギアやラックギアにより互いに接近、離間する方向に連動して移動する構成は、例えば、特開2007−106567号公報や特開2010−24057号公報等に記載されており、従来公知の種々の構成を採用可能であるため、詳細な説明は省略する。
【0037】
(実施例1のシート取出装置21の説明)
図5は実施例1の吸着ヘッドの説明図であり、図5Aは正面図、図5Bは平面図である。
図6は実施例1の吸着ヘッドを斜め下方から見た斜視図である。
図7は図5BのVII−VII線断面図である。
図2、図4〜図7において、前記第2給紙トレイTR2の上方には、媒体の取出部材の一例としてのシート取出装置21が配置されている。前記シート取出装置21は、保持部材の一例として、積載プレート11上のシートSを吸着して保持可能な吸着ヘッド22を有する。
【0038】
(実施例1の吸着ヘッド22の説明)
前記吸着ヘッド22は、保持部材本体の一例として箱形のヘッド本体23を有する。前記ヘッド本体23は、平板状の底板部24と、底板部24の前後左右から上下方向に延びる側壁26,27,28,29とを有する。前記底板部24は、気体吸引用の開口が形成された面の一例としての下面24aを有する。また、前記底板部24には、気体吸引用の開口の一例として、上下方向に貫通する吸気口31が複数形成されている。前記下面24aの右部には、湾曲付与部の一例として、右方に行くほど下方に傾斜すると共に前後方向中央部に行くほど左方に傾斜する傾斜面32が形成されている。また、前記下面24aの前後両端部には、湾曲付与部の一例として、下方に延びる板状のリブ33が間隔をあけて複数形成されている。
図5A、図7において、前記各側壁26〜29の外表面には、囲み支持部材の一例として、外方に突出するピン34が複数支持されている。
【0039】
(実施例1の封止スカート36の説明)
図5A、図6、図7において、ヘッド本体23の外表面には、囲み部材の一例として、下方に延びる板状の封止スカート36が外周を囲むように配置されている。前記封止スカート36には、ピン34に対応する位置に、上下方向に延びる長孔36aが形成されており、長孔36aには、ピン34が貫通した状態で支持されている。したがって、実施例1の封止スカート36は、ヘッド本体23に対して、上下方向、すなわち、積載プレート11や積載されたシートSに対して接近、離間する方向に移動可能に支持されている。
また、前記封止スカート36は、積載部材側の一端の一例としての下面36bを有する。したがって、前記封止スカート36や側壁26〜29により囲まれた内側に、吸気口31が配置されており、前記封止スカート36や底板部24の下面24a、側壁26〜29により囲まれた空間により、実施例1の吸気空間37が構成されている。
【0040】
(実施例1のポジションセンサSN1の説明)
図5〜図7において、ヘッド本体23の上部には、覆い部材の一例として、蓋状のカバー部39が支持されている。前記カバー部39は、底板部24および側壁26〜29で囲まれた空間の上方を塞ぐ板状の上板部39aと、上板部39aの前後左右から下方に延びる側板部39b,39c,39d,39eとを有する。前記上板部39aの後部上面には、保持部材の移動用の被検出部の一例として、上方に突出するヘッド遮光部39a1が形成されている。前記ヘッド遮光部39a1は、保持部材の位置検出部材の一例として、給紙装置U2の本体に支持されたポジションセンサSN1により検出される。
【0041】
(実施例1の排気ファンHFの説明)
図4B、図5において、前側の側板部39bの右部には、接続部の一例として、前方に延びる排気ダクト39fが形成されている。前記排気ダクト39fには、可撓性部材の一例としての蛇腹40の一端が接続されており、蛇腹40の他端には、図5Bに示す吸引装置の一例としての排気ファンHFが接続されている。
したがって、前記前側の側壁26に形成された開口の一例としての排気口26aや排気ダクト39f、蛇腹40を介して、排気ファンHFが吸気口31に接続されており、排気ファンHFが作動すると、吸気口31から吸気空間37内の気体、空気が排気される。
前記符号23〜39を付した部材等により、実施例1の吸着ヘッド22が構成されている。
【0042】
図3〜図7において、前記カバー部39の右側板部39eには、前端支持部の一例として、右方に延びる板状のシート前端ガイド39gが支持されている。実施例1の前記シート前端ガイド39gは、シートSの搬送方向前端に接触する面の一例としての下面39hを有し、前後方向に間隔を空けて配置された搬送ロールRaの間を通過できるように、前後方向の長さが設定されている。
なお、実施例1では、前記搬送ロールRaは、ヘッド本体23の前後方向の外端よりも内側に、少なくともローラの一部が差し掛かるように配置されており、搬送ロールRaの内端どうしの間隔が、最小サイズのシートSの幅よりも狭い間隔に設定されている。したがって、最小サイズのシートSを供給する場合でも、搬送ロールRaがシートSを挟んで下流側に搬送可能となっている。
実施例1では、底板部24や封止スカート36やシート前端ガイド39gの各下面24a,36b,39hや傾斜面32やリブ33により、接触部24a+32+33+36b+39hが構成されている。
【0043】
(実施例1のヘッド駆動装置46〜50の説明)
前記カバー部39の上面には、被案内部の一例としてのシャフトガイド部41が支持されている。前記シャフトガイド部41は、案内部材の一例として、給紙装置U2の本体に支持され且つ媒体の搬送方向である左右方向に沿って延びるガイドシャフト42が貫通した状態で支持されている。実施例1のシャフトガイド部41は、軸受け部材の一例としてのリニアボールベアリング43を介して、ガイドシャフト42に沿って左右方向に移動可能且つ回転不能な状態で支持されている。
前記シャフトガイド部41の上面には、連結部材の一例としてのワイヤ固定部44が支持されている。
【0044】
図8は実施例1の吸着ヘッドの位置の説明図であり、図8Aは吸着ヘッドが吸着位置に移動した状態の説明図、図8Bは吸着ヘッドが供給位置に移動した状態の説明図である。
前記ワイヤ固定部44には、線材の一例としてのワイヤ46が固定支持されている。前記ワイヤ46は、支持部材の一例として、ワイヤ固定部44の左右に配置された一対のプーリ47や駆動プーリ48、従動プーリ49に張架されており、駆動プーリ48には、駆動源の一例としての正逆回転可能なモータ50から回転が伝達される。したがって、モータ50の正逆回転に伴って、ワイヤ46が図4Bにおいて時計回りまたは反時計回りに回転し、吸着ヘッド22が、ガイドシャフト42に沿って左右方向に移動可能に構成されている。
【0045】
よって、前記吸着ヘッド22は、上昇位置に移動した積載プレート11上のシートSに対向し且つ前記シートSを吸着可能な図8Aに示す吸着位置と、前記吸着位置よりもシートSの搬送方向の下流側に設定された図8Bに示す供給位置との間で移動する。なお、実施例1では、前記吸着位置において、ポジションセンサSN1がヘッド遮光部39a1を検出するように設定されており、ポジションセンサSN1がヘッド遮光部39a1を検出することで、前記吸着ヘッド22がホームポジションである吸着位置に移動したと判別する。また、前記切欠部9bの前後方向の幅は、吸着ヘッド22の幅よりも広く設定されており、前記切欠部9bの下端は、下降した封止スカート36の下面36bより低く設定されている。このため、実施例1では、封止スカート36が下降した状態で吸着ヘッド22を移動させても封止スカート36が傾斜部9aに干渉しないようになっている。
前記ワイヤ46やプーリ47〜49、モータ50等により、保持部材の移動機構の一例として、実施例1のヘッド駆動装置46〜50が構成されている。また、前記吸着ヘッド22、蛇腹40、排気ファンHF、ヘッド駆動装置46〜50等により実施例1のシート取出装置21が構成されている。
【0046】
(実施例1のエア吹付機構51の説明)
図2において、前記給紙装置U2の本体には、挿入位置に挿入された給紙トレイTR1,TR2の右側に対応して、清掃部材の一例であって、吹付装置の一例であって、媒体捌き機構の一例としてのエア吹付機構51が設置されている。前記エア吹付機構51は、捌き用の気体の一例としての空気、いわゆる、エアを、図3に示すように、吸着ヘッド22の右斜め下方から左斜め上方の吸着ヘッド22に吸着されたシートSの搬送方向前端に予め設定された吹付位置の一例としての吹付範囲AR1に吹き付ける。この結果、複数のシートSが吸着されている場合に、エアで分離して捌かれる。実施例1では、前記吹付範囲AR1が、シートSの幅方向、すなわち、前後方向に延びて設定されており、前記エア吹付機構51は、シートSの幅方向両端である前端から後端までエアを吹き付け可能となっている。
なお、前記エア吹付機構51は、従来公知であり、例えば、特開2005−194027号公報、2008−94603号公報等に記載されている構成を適用可能であるため、詳細な説明は省略する。
【0047】
(実施例1の給紙路SH1および搬送ロールRaの説明)
図2、図8において、前記吸着ヘッド22の右方には、媒体供給路の一例として、供給位置に移動した吸着ヘッド22から供給されたシートSを画像形成装置本体U3に搬送する給紙路SH1が形成されている。前記給紙路SH1には、吸着ヘッド22がシートSを吸着して供給位置に移動した場合に、前記吸着ヘッド22に吸着されたシートSの搬送方向前端を挟持可能な位置に、搬送ロールRaが配置されている。前記搬送ロールRaは、供給位置に移動した吸着ヘッド22から供給されたシートSを画像形成装置本体U3に搬送する。なお、前記搬送ロールRaの搬送方向下流側に設定された検知位置P2には、詰まり検知部材の一例であって、搬送検知部材の一例としてのシートセンサSN2が配置されている。前記シートセンサSN2は、吸着ヘッド22から搬送ロールRaに受け渡されたシートSを検知する。
前記積載プレート11、昇降機構SK、シート取出装置21、エア吹付機構51、搬送ロールRa、給紙路SH1等により、実施例1の給紙装置U2が構成されている。
【0048】
(実施例1の制御部の説明)
図9は実施例1の画像形成装置の制御部の機能図、いわゆるブロック図である。
図9において、前記制御部Cは、外部との信号の入出力等を行う入出力インターフェースI/O、必要な処理を行うためのプログラムおよび情報等が記憶されたROM:リードオンリーメモリ、必要なデータを一時的に記憶するためのRAM:ランダムアクセスメモリ、前記ROMに記憶されたプログラムに応じた処理を行うCPU:中央演算処理装置、ならびに発振器等を有する小型情報処理装置、いわゆるマイクロコンピュータにより構成されており、前記ROMに記憶されたプログラムを実行することにより種々の機能を実現することができる。
【0049】
(実施例1の制御部Cに接続された信号出力要素)
前記制御部Cは、ユーザインタフェースUIや各センサSN1,SN2等の信号出力要素からの出力信号が入力されている。
前記ユーザインタフェースUIは、表示部UI1、電源釦UI2、入力釦の一例としてのコピースタートキーUI3やテンキーUI4等を備えている。
ポジションセンサSN1は、ヘッド遮光部39a1の有無を検知して、吸着ヘッド22がホームポジションである吸着位置に移動しているか否かを検知する。
シートセンサSN2は、吸着ヘッド22から搬送ロールRaに受け渡されたシートSの有無を検知する。
【0050】
(実施例1の制御部Cに接続された被制御要素)
また、制御部Cは、レーザ駆動回路D、主駆動源の駆動回路の一例としてのメインモータ駆動回路D1、電源回路E、その他の図示しない制御要素に接続されており、それらの作動制御信号を出力している。
レーザ駆動回路Dは、潜像形成装置ROSy〜ROSkを駆動して、感光体Py〜Pkの表面に潜像を形成する。
メインモータ駆動回路D1は、主駆動源の一例としてのメインモータM1を介して感光体Py〜Pkや中間転写ベルトB等を回転駆動する。
E:電源回路
電源回路Eは、現像用電源回路Ea、帯電用電源回路Eb、転写用電源回路Ecと定着用電源回路Edとを有している。
現像用電源回路Eaは、現像器GY〜GKの現像ロールR0に現像電圧を印加する。
帯電用電源回路Ebは、帯電器CCy〜CCkに帯電電圧を印加する。
転写用電源回路Ecは、転写装置T1+B+T2+CLBの各ロールT1y〜T1k,T2cに転写電圧を印加する。
定着用電源回路Edは、定着装置Fの加熱ロールFhの加熱部材の一例としてのヒータに加熱用の電力を印加する。
【0051】
(実施例1の制御部Cの機能)
前記制御部Cは、各信号出力要素UI,SN1,SN2の出力信号に応じて各被制御要素D1,Eの動作を制御するためのプログラムにより、次の機能実現手段を有している。C1:ジョブ制御手段
画像形成動作の制御手段の一例としてのジョブ制御手段C1は、コピースタートキーUI3の入力に応じて、潜像形成装置ROSy〜ROSk、トナー像形成部材UY+GY〜UK+GK、定着装置F、媒体搬送系SU等を制御して、画像形成動作の一例としてのジョブを実行する。
C2:メインモータ制御手段
主駆動源の駆動制御手段の一例としてのメインモータ制御手段C2は、メインモータ駆動回路D1を介してメインモータM1の回転を制御して、感光体Py〜Pk、現像器GY〜GKの現像ロールR0、定着装置Fの加熱ロールFh、搬送ロールRa等の回転駆動を制御する。
【0052】
C3:電源制御手段
電源制御手段C3は、現像電圧の制御手段C3Aと、帯電電圧の制御手段C3Bと、転写電圧の制御手段C3Cと、定着電源の制御手段C3Dとを有し、電源回路Eの作動を制御して、各部材への電圧印加や電源供給を制御する。
現像電圧の制御手段C3Aは、現像用電源回路Eaを制御して、現像装置GY〜GYの現像ロールR0に印加する現像電圧を制御する。
帯電電圧の制御手段C3Bは、帯電用電源回路Ebを制御して、帯電器CCy〜CCkに印加する帯電電圧を制御する。
転写電圧の制御手段C3Cは、転写用電源回路Ecを制御して、転写装置T1+B+T2+CLBの各ロールT1y〜T1k,T2cに印加する転写電圧を制御する。
定着電源の制御手段C3Dは、定着用電源回路Edを制御して、定着装置Fの加熱ロールFhのヒータの温度制御、すなわち、定着温度の制御を行う。
【0053】
C4:潜像形成制御手段
潜像形成制御手段C4は、レーザ駆動回路Dを介して潜像形成装置ROSy〜ROSkを制御し、感光体Py〜Pk表面に静電潜像を形成する。
C5:プレート昇降手段
積載部材の昇降機構の制御手段の一例としてのプレート昇降手段C5は、昇降機構SKを制御して、図4Aに示す下降位置と図4Bに示す上昇位置との間での積載プレート11の昇降を制御する。実施例1の前記プレート昇降手段C5は、ジョブ開始時に積載プレート11を下降位置から上昇位置まで移動させると共に、ジョブ終了時に積載プレート11を上昇位置から下降位置まで移動させる。
【0054】
C6:ヘッド移動手段
保持部材の移動機構の制御手段の一例としてのヘッド移動手段C6は、ポジションセンサSN1によってヘッド遮光部39a1を検出したか否かを判別することで吸着ヘッド22が吸着位置に移動したか否かを判別する吸着位置の判別手段C6Aを有する。前記ヘッド移動手段C6は、ヘッド駆動装置46〜50のモータ50の正逆回転を制御して、図8Aに示す吸着位置と図8Bに示す供給位置との間での吸着ヘッド22の移動を制御する。
C7:エア吸引手段
吸引装置の制御手段の一例としてのエア吸引手段C7は、シート取出装置21の排気ファンHFの作動を制御して、排気口26a、排気ダクト39f、蛇腹40を介して、吸着ヘッド22の吸気口31からのエアの吸引を制御する。
C8:エア吹付手段
清掃部材の制御手段の一例であって、吹付装置の制御手段の一例であって、媒体捌き機構の制御手段の一例としてのエア吹付手段C8は、エア吹付機構51を制御して、図3に示す吹付範囲AR1へのエアの吹き付けを制御する。
【0055】
C9:シート吸着手段
媒体吸着手段の一例としてのシート吸着手段C9は、吸着開始の判別手段C9Aと、吸着終了の判別手段C9Bとを有し、前記エア吸引手段C7を介して、シートSを吸着ヘッド22に吸着する。実施例1の前記シート吸着手段C9は、シートSの吸着を開始する吸着時期taになったと判別された場合に、排気ファンHFによって吸気口31からエアを吸引することにより、吸気空間37を低圧状態にして、封止スカート36の下面36bにシートSを吸着させる。そして、シートSにより下端がほぼ密閉された吸気空間37がさらに排気されると、積載プレート11上の最上位のシートSが封止スカート36と共に上昇して、前記シートSが吸着ヘッド22に吸着する。
【0056】
なお、実施例1では、吸着ヘッド22に吸着されたシートSは、傾斜面32やリブ33に接触して、傾斜面32やリブ33に沿って撓み、波打った状態となる。前記シート吸着手段C9は、トナー像が2次転写領域Q4に到達する転写時期から逆算された前記吸着時期taになったと判別された場合に、排気ファンHFによって吸気口31からエアを吸引することにより、吸着ヘッド22にシートSを吸着させる。また、前記シート吸着手段C9は、前記吸着時期taにエアの吸引が開始されてから、吸着ヘッド22が供給位置に移動して吸着されたシートSが搬送ロールRaに受け渡されるまでの供給時間t1が経過した場合に、エアの吸引を停止して吸着ヘッド22へのシートSの吸着を停止する。
【0057】
C9A:吸着開始の判別手段
吸着時期の判別手段C9Aは、前記吸着時期taになったか否かを判別することにより、シートSの吸着を開始するか否かを判別する。
C9B:吸着終了の判別手段
吸着終了の判別手段C9Bは、前記吸着時期taから前記供給時間t1が経過したか否かを判別することにより、シートSの吸着を終了するか否かを判別する。
【0058】
C10:シート捌き手段
分離制御手段の一例であって、媒体捌き手段の一例としてのシート捌き手段C10は、分離開始の判別手段C10Aと、分離終了の判別手段C10Bとを有する。前記シート捌き手段C10は、前記エア吹付手段C8を介して、吸着ヘッド22に吸着されたシートSにエアを吹き付けて、静電気等で吸着ヘッド22に複数枚のシートSが吸着されている場合に、シートSを分離して捌く。実施例1では、最上位のシートSは、吸着ヘッド22に吸着されて波打っており、2枚以上吸着されると、上から2枚目以降のシートSとの間で波打ちの大きさに差が発生し、シートSどうしの間に隙間が形成される。そして、実施例1では、吸着位置に配置された吸着ヘッド22に吸着されたシートSの搬送方向前端に対応する範囲が吹付範囲AR1に設定されている。すなわち、前記隙間の搬送方向前端が吹付範囲AR1に配置されている。
【0059】
このため、実施例1の前記シート捌き手段C10は、前記吸着時期taから、シートSが封止スカート36と共に上昇して傾斜面32やリブ33に沿って撓んで波打った状態で吸着される吸着時間t2が経過したと判別された場合に、吹付範囲AR1に配置された前記隙間にエアを吹き付けることにより、吸着された最上位のシートSと上から2枚目以降のシートSとを分離して捌く。また、前記シート捌き手段C10は、分離開始から、エアを吹き付けてシートSどうしを分離する分離時間t3の間、エアの吹き付けを行い、前記分離時間t3が経過した場合に、エアの吹き付けを停止してシートSの捌きを停止する。
【0060】
C10A:分離開始の判別手段
分離開始の判別手段C10Aは、前記吸着時期taから前記吸着時間t2が経過したか否かを判別することにより、シートSの分離を開始するか否かを判別する。なお、実施例1の前記吸着時間t2は、排気ファンHF等によるエアの吸引力に応じて、シートSが傾斜面32やリブ33に接触して波打った状態となるのに十分な時間が実験等により予め設定されている。
C10B:分離終了の判別手段
分離終了の判別手段C10Bは、分離開始から前記分離時間t3が経過したか否かを判別することにより、シートSの分離を終了するか否かを判別する。なお、実施例1の前記分離時間t3は、エア吹付機構51によって吹き付けられるエアの風力に応じて、シートSが分離するのに十分な時間が実験等により予め設定されている。
【0061】
C11:シート供給手段
媒体供給手段の一例としてのシート供給手段C11は、供給開始の判別手段C11Aと供給終了の判別手段C11Bとを有し、前記ヘッド移動手段C6を介して、吸着ヘッド22に吸着されたシートSを搬送方向下流側の搬送ロールRaに受け渡す。実施例1の前記シート供給手段C11は、エアの吹き付けを終了したと判別された場合に、ヘッド駆動装置46〜50のモータ50を正回転させて吸着ヘッド22を吸着位置から供給位置に移動させることにより、吸着ヘッド22に吸着されたシートSを搬送ロールRaに受け渡す。また、前記シート供給手段C11は、前記供給時間t1が経過した場合、すなわち、シートSが搬送ロールRaに受け渡された場合に、前記吸着位置の判別手段C6AによってポジションセンサSN1がヘッド遮光部39a1を検出するまで前記モータ50を逆回転させて吸着ヘッド22を供給位置から吸着位置に復帰させる。
【0062】
C11A:供給開始の判別手段
供給開始の判別手段C11Aは、前記分離停止の判別手段C10Bによってエアの吹き付けを終了したか否かを判別することにより、吸着ヘッド22の供給位置への移動を開始するか否かを判別する。
C11B:供給終了の判別手段
供給終了の判別手段C11Bは、前記吸着終了の判別手段C9Bによって前記供給時間t1が経過したか否かを判別することにより、吸着ヘッド22の供給位置への移動を終了するか否かを判別する。
【0063】
C12:清掃判別手段
清掃時期の判別手段の一例としての清掃判別手段C12は、ジョブが終了したか否かを判別するジョブ終了の判別手段C12Aと、搬送遅延の判別手段C12Bと、ジャム判別手段C12Cとを有し、吸着ヘッド22の接触部24a+32+33+36b+39hを清掃する清掃時期tbになったか否かを判別する。実施例1の清掃判別手段C12は、ジョブが終了した場合や、シートセンサSN2の検知信号に基づいて、シートSの搬送が遅延していると判別された場合や、シートSの詰まり、いわゆる、ジャムが発生していると判別された場合に、前記清掃時期tbになったと判別する。
【0064】
C12B:搬送遅延の判別手段
搬送遅延の判別手段C12Bは、シートSの搬送が遅延しているか否かを判別する。実施例1の前記搬送遅延の判別手段C12Bは、シートセンサSN2によってシートSが検知された検知時期が、シートセンサSN2が配置された検知位置P2にシートSが到達する予定の到達時期より遅いか否かを判別する。なお、実施例1の前記到達時期は、前記吸着時期taと同様に、前記転写時期から逆算された時期と許容可能な範囲の時間の誤差、いわゆる、マージンとに基づいて予め設定されている。
C12C:ジャム判別手段
媒体詰まりの判別手段の一例としてのジャム判別手段C12Cは、ジャムが発生しているか否かを判別する。実施例1の前記ジャム判別手段C12Cは、シートセンサSN2がシートSの搬送方向前端を検知してオンの状態となる前記検知時期から、シートSの搬送方向後端が検知位置P2を通過してシートセンサSN2がシートSを検知しないオフの状態となる予定の検知時間を超えた場合に、ジャムが発生したと判別する。また、前記ジャム判別手段C12Cは、図示しない開閉検知部材によって給紙装置U2の図示しないフロントパネルの開閉が検知され且つシートセンサSN2がオフの状態となった場合に、詰まったシートSが取り除かれてジャムが解消されたと判別する。
【0065】
C13:ヘッド清掃手段
清掃制御手段の一例としてのヘッド清掃手段C13は、清掃開始の判別手段C13Aと、タイマTMと、清掃終了の判別手段C13Bとを有し、吸着ヘッド22の接触部24a+32+33+36b+39hを清掃する。実施例1の前記ヘッド清掃手段C13は、前記清掃時期tbになったと判別された場合に、前記エア吹付手段C8を介して、吹付範囲AR1にエアを吹き付けると共に、前記ヘッド移動手段C6を介して、吸着ヘッド22を吸着位置から供給位置に移動させる。また、前記ヘッド清掃手段C13は、吸着ヘッド22が供給位置に移動した場合に、吸着ヘッド22を供給位置から吸着位置に復帰させる。そして、前記ヘッド清掃手段C13は、吸着ヘッド22が吸着位置に戻ると、エアを吹き付けが停止される。
すなわち、実施例1の前記ヘッド清掃手段C13は、吸着ヘッドを吸着位置と供給位置との間を1往復させながらエアを吹き付けることにより、接触部24a+32+33+36b+39hを清掃する。
なお、実施例1の前記ヘッド清掃手段C13では、吸着ヘッド22の清掃時の移動速度が、ジョブ実行時の移動速度より遅く設定されており、清掃時の移動速度が高速の場合に比べ、接触部24a+32+33+36b+39hを清掃し易くなっている。
【0066】
C13A:清掃開始の判別手段
清掃開始の判別手段C13Aは、前記清掃判別手段C12によって前記清掃時期tbになったと判別された場合に、接触部24a+32+33+36b+39hの清掃を開始する時期になったと判別する。
TM:タイマ
折り返し時間の計時手段の一例としてのタイマTMは、前記清掃開始の判別手段C13Aによって接触部24a+32+33+36b+39hの清掃を開始する時期になったと判別された場合に、吸着ヘッド22が吸着位置から供給位置を折り返すまでの折り返し時間を計時する。なお、実施例1では、ジョブ実行時よりも遅い清掃時の移動速度で吸着ヘッド22が1往復する時間に対応する時間としての清掃時間t4が予め設定されており、実施例1の前記タイマTMは、前記清掃時間t4の半分の時間(t4/2)を前記折り返し時間として計時する。
【0067】
C13B:清掃終了の判別手段
清掃終了の判別手段C13Bは、前記吸着ヘッド22の供給位置から吸着位置への復帰が終了したか否かを判別することにより、接触部24a+32+33+36b+39hの清掃を終了するか否かを判別する。実施例1の前記清掃終了の判別手段C13Bは、前記吸着位置の判別手段C6AによってポジションセンサSN1がヘッド遮光部39a1を検出したか否かを判別することにより、清掃を終了するか否かを判別する。
C14:ジョブ中断制御手段
画像形成動作の中断制御手段の一例としてのジョブ中断制御手段C14は、前記ジョブ制御手段C1を介して、ジョブの中断を制御する。実施例1の前記ジョブ中断制御手段C14は、前記清掃開始の判別手段C13Aによって清掃を開始すると判別されてから、前記清掃終了の判別手段C13Bによって清掃を終了すると判別されるまで、ジョブを中断する。また、前記ジョブ中断制御手段C14は、前記ジャム判別手段C12Cにより、ジャムが発生していると判別されると、ジャムが解消されたと判別されるまで、ジョブを中断する。
【0068】
(実施例1の流れ図の説明)
次に、実施例1の画像形成装置Uにおける制御の流れを流れ図、いわゆるフローチャートを使用して説明する。
(実施例1のシート供給処理のフローチャートの説明)
図10は実施例1のシート供給処理のフローチャートの説明図である。
図10のフローチャートの各ステップSTの処理は、画像形成装置Uの制御部Cに記憶されたプログラムに従って行われる。また、この処理は画像形成装置Uの他の各種処理と並行して実行される。
図10に示すフローチャートは画像形成装置Uの電源投入により開始される。
【0069】
図10のST101において、ジョブが開始されたか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST102に移り、ノー(N)の場合はST101を繰り返す。
【0070】
ST102において、昇降機構SKを制御して、積載プレート11を下降位置から上昇位置まで移動させる。そして、ST103に移る。
ST103において、シートSの吸着を開始する吸着時期taになったか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST104に移り、ノー(N)の場合はST103を繰り返す。
ST104において、以下の(1)〜(3)の処理を実行し、ST105に移る。
(1)排気ファンHFを作動して、シートSの吸着を開始する。
(2)吸着時期taにエアの吸引が開始されてから吸着ヘッド22が供給位置に移動して吸着されたシートSが搬送ロールRaに受け渡されるまでの供給時間t1の計時を開始する。
(3)シートSが封止スカート36と共に上昇して傾斜面32やリブ33に沿って撓んで波打った状態で吸着される吸着時間t2の計時を開始する。
【0071】
ST105において、吸着時期taから吸着時間t2を経過したか否かを判別することにより、シートSの分離を開始するか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST106に移り、ノー(N)の場合はST105を繰り返す。
ST106において、以下の(1),(2)の処理を実行し、ST107に移る。
(1)エア吹付機構51を制御して、吹付範囲AR1にエアの吹き付けを開始する。すなわち、シートSの捌きを開始する。
(2)エアを吹き付けてシートSどうしを分離する分離時間t3の計時を開始する。
ST107において、分離開始から分離時間t3を経過したか否かを判別することにより、吸着ヘッド22の供給位置への移動を開始するか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST108に移り、ノー(N)の場合はST107を繰り返す。
ST108において、以下の(1),(2)の処理を実行し、ST109に移る。
(1)モータ50を正回転して、吸着ヘッド22の吸着位置から供給位置への移動を開始する。
(2)エア吹付機構51を制御を停止して、エアの吹き付けを終了する。すなわち、シートSの捌きを終了する。
【0072】
ST109において、移動開始から供給時間t1を経過したか否かを判別することにより、吸着ヘッド22の供給位置への移動を終了して吸着位置への復帰を開始するか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST110に移り、ノー(N)の場合はST109を繰り返す。
ST110において、以下の(1),(2)の処理を実行し、ST111に移る。
(1)モータ50を逆回転して、吸着ヘッド22の供給位置から吸着位置への復帰を開始する。
(2)排気ファンHFの作動を停止して、シートSの吸着を終了する。
【0073】
ST111において、ポジションセンサSN1がヘッド遮光部39a1を検出したか否かを判別することにより、吸着ヘッド22の供給位置から吸着位置への復帰が終了したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST112に移り、ノー(N)の場合はST111を繰り返す。
ST112において、モータ50を停止して、吸着ヘッド22の吸着位置への復帰を終了する。そして、ST113に移る。
ST113において、ジョブを終了したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST114に移り、ノー(N)の場合はST103に戻る。
ST114において、昇降機構SKを制御して、積載プレート11を上昇位置から下降位置まで移動させる。そして、ST101に戻る。
【0074】
(実施例1の清掃時期の判別処理のフローチャートの説明)
図11は実施例1の清掃時期の判別処理のフローチャートの説明図である。
図11のフローチャートの各ステップSTの処理は、画像形成装置Uの制御部Cに記憶されたプログラムに従って行われる。また、この処理は画像形成装置Uの他の各種処理と並行して実行される。
図11に示すフローチャートは画像形成装置Uの電源投入により開始される。
【0075】
図11のST201において、ジョブが開始されたか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST202に移り、ノー(N)の場合はST201を繰り返す。
ST202において、検知位置P2でシートセンサSN2によってシートSが検知された検知時期が、検知位置P2にシートSが到達する予定の到達時期より遅いか否かを判別する。ノー(N)の場合はST203に移り、イエス(Y)の場合はST204に移る。
ST203において、検知時期からシートセンサSN2がオフの状態となる予定の検知時間を超えたか否かを判別することにより、ジャムが発生したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST204に移り、ノー(N)の場合はST207に移る。
【0076】
ST204において、吸着ヘッド22の清掃を開始してから終了するまでジョブを中断するジョブ中断処理を実行する。そして、ST205に移る。なお、前記ジョブ中断処理は、後述する図12に示すヘッド清掃処理を実行するまでジョブを中断し、ジャムが発生した場合には、ジャムが解消されるまでジョブを中断するだけであるため、図示および詳細な説明については省略する。
ST205において、後述する図12に示すヘッド清掃処理を実行する。そして、ST206に移る。
ST206において、中断されたジョブを再開するジョブ再開処理を実行する。そして、ST207に移る。
ST207において、ジョブを終了したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST208に移り、ノー(N)の場合はST202に戻る。
ST208において、後述する図12に示すヘッド清掃処理を実行する。そして、ST201に戻る。
【0077】
図12は実施例1のヘッド清掃処理のフローチャートであり、図11のST205およびST208のサブルーチンである。
図12のST251において、以下の(1)〜(3)の処理を実行し、ST252に移る。
(1)エア吹付機構51を制御して、吹付範囲AR1にエアの吹付を開始する。すなわち、接触部24a+32+33+36b+39hの清掃を開始する。
(2)モータ50を正回転して、吸着ヘッド22の吸着位置から供給位置への移動を開始する。
(3)タイマTMに清掃時間t4の半分の時間である折り返し時間(t4/2)をセットする。
ST252において、タイマTMがタイムアップして移動開始から折り返し時間(t4/2)が経過したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST253に移り、ノー(N)の場合はST252を繰り返す。
【0078】
ST253において、モータ50を逆回転して、吸着ヘッド22の供給位置から吸着位置への復帰を開始する。そして、ST254に移る。
ST254において、ポジションセンサSN1がヘッド遮光部39a1を検出したか否かを判別することにより、吸着ヘッド22の供給位置から吸着位置への復帰が終了したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST255に移り、ノー(N)の場合はST254を繰り返す。
ST255において、以下の(1),(2)の処理を実行し、ヘッド清掃処理を終了して、図11のST205またはST208に戻る。
(1)エア吹付機構51の制御を停止して、エアの吹付を終了する。
(2)モータ50を停止して、吸着ヘッド22の吸着位置への復帰を終了する。
【0079】
(実施例1の作用)
図13は実施例1の作用説明図であり、図13Aは実施例1のシート供給処理の給紙装置の各部材の制御に関するタイミングチャートであり、図13Bは実施例1のヘッド清掃処理の給紙装置の各部材の制御に関するタイミングチャートである。
図14は実施例1の作用説明図であり、図14Aは実施例1のジョブ開始前の給紙トレイの状態の説明図、図14Bは図14Aに示す状態からジョブが開始されて積載プレートが上昇位置に移動された状態の説明図である。
前記構成を備えた本発明の実施例1の画像形成装置Uでは、ジョブが開始されると、シート供給処理が実行され、給紙トレイTR1,TR2の積載プレート11上のシートSが、給紙路SH1を介して、画像形成装置本体U3に供給される。実施例1のシート供給処理では、図13A、図14に示すように、ジョブが開始されると、積載プレート11が下降位置から上昇位置に移動される。このとき、図14Bに示すように、封止スカート36の下面36bと積載プレート11上のシートSの束の最上位のシートSとが近接する。
【0080】
図15は図14の続きの説明図であり、図15Aは図14Bに示す状態から排気ファンが作動されてシートが吸着ヘッドに吸着されると共にエア吹付機構によるエアの吹き付けでシートを捌く状態の説明図、図15Bは図15Aに示す状態から吸着ヘッドが供給位置に移動された状態の説明図である。
また、図13Aに示す吸着時期taになると、排気ファンHFによって吸気空間37内のエアが吸引されて下面36bにシートSが吸着される。そして、エアの吸引に伴って、図15Aに示すように、吸着ヘッド22に吸着された最上位のシートSが封止スカート36と共に上昇する。
そして、吸着時間t2が経過すると、吸着されたシートSの搬送方向前端に対応する吹付範囲AR1に、エア吹付機構51がエアを吹き付ける。この結果、図15Aに示すように、2枚以上のシートSが吸着された場合には、上から2枚目以降のシートS2が最上位のシートS1から分離され、シートSの束の上に落下して捌かれる。
【0081】
なお、実施例1では、エアがシートSに吹き付けられても、シートSの搬送方向前端部の上面がシート前端ガイド39gで支持され、シートSが上方に捲れたり、湾曲したりすることが低減されている。
また、分離時間t3が経過すると、ヘッド駆動装置46〜50のモータ50が正回転され、吸着ヘッド22が吸着位置から供給位置に移動される。この結果、図15Bに示すように、吸着ヘッド22に吸着されたシートSの搬送方向前端が、シート前端ガイド39gに案内されながら搬送ロールRaに到達し、搬送ロールRaに到達したシートSが供給路SH1に搬送される。
【0082】
図16は図15の続きの説明図であり、図16Aは図15Bに示す状態から排気ファンの作動が停止されて搬送ロールがシートを搬送方向下流側に搬送する状態の説明図、図16Bは図16Aに示す状態から吸着ヘッドが吸着位置に復帰された状態の説明図である。
また、供給時間t1が経過すると、図16Aに示すように、排気ファンHFによるエアの吸引が停止されると共に、モータ50が逆回転され、吸着ヘッド22が供給位置から吸着位置に向けて移動する。そして、ポジションセンサSN1がヘッド遮光部39a1を検出すると、モータ50が停止され、吸着ヘッド22が吸着位置に復帰する。
なお、搬送ローラRaに搬送されるシートSの搬送方向上流端が封止スカート36の搬送方向上流端を通過すると、吸気空間37の密封状態が解除され、図16Bに示すように、封止スカート36が重力で下降し、下面36bと次のシートS2とが近接する。よって、最上面のシートSとなった次のシートS2に対して、次の吸着時期taになると、エアが吸引されて下面36bに吸着される。したがって、図13A、図14〜図16の工程が繰り返され、シートSが供給される。
【0083】
図17は実施例1の作用説明図であり、図17Aは実施例1のヘッド清掃処理の実行前の給紙トレイの状態の説明図、図17Bは図17Aに示す状態からエア吹付機構によって吹付範囲にエアの吹き付けながら吸着ヘッドを供給位置まで移動されて接触部を清掃する状態の説明図である。
また、実施例1では、ジョブが終了した場合、ヘッド清掃処理、いわゆる、クリーニングモードが実行される。実施例1のヘッド清掃処理では、図13B、図17に示すように、ジョブが終了して清掃時期tbになると、エア吹付機構51が吹付範囲AR1にエアを吹き付けながら、吸着ヘッド22が吸着位置と供給位置との間を1往復される。よって、実施例1の画像形成装置Uでは、吹付範囲AR1に対応する接触部24a+32+33+36b+39hの位置を変化させながらエアを吹き付けて、吹付範囲AR1に対応する位置に付着した紙粉等が吹き飛ばされて、接触部24a+32+33+36b+39hの広い範囲を清掃することが可能となっている。
【0084】
ここで、ジョブ実行時にシートSを吸着する構成では、シートSを供給すると、接触部24a+32+33+36b+39hに紙粉等が付着する可能性がある。特に、裁断等により切り分けられたシートSの切断部に紙の滓や屑等のいわゆるバリが付着していた場合には、接触部24a+32+33+36b+39hにバリが付着する可能性が高くなるという問題があった。
この結果、大量にシートSの供給を繰り返すと、接触部24a+32+33+36b+39hに紙粉等が付着して滑り易くなる。よって、吸着ヘッド22の移動に対して、シートSが滑ってしまい、シートSの搬送方向下流側への搬送の遅延やジャム等の供給不良が発生する可能性が高くなる。特に、吸着ヘッド22の移動速度が高速になるほどシートSが滑り易くなり、供給不良が発生する可能性が高くなるという問題があった。
そして、従来の特許文献1〜3等の構成では、接触部24a+32+33+36b+39hに付着した紙粉等を除去する構成が設けられておらず、紙粉等が付着した場合に、搬送の遅延やジャム等の供給不良が発生し易くなるという問題あった。
【0085】
これに対して、実施例1の画像形成装置Uでは、ジョブ終了時になると、ヘッド清掃処理が実行され、接触部24a+32+33+36b+39hにエアが吹き付けられて、紙粉等が吹き飛ばされて清掃される。この結果、実施例1の画像形成装置Uは、ヘッド清掃処理が実行されない特許文献1〜3等の構成に比べ、シートSの供給不良を低減することが可能になっている。
また、実施例1の画像形成装置Uでは、シートSの搬送の遅延やジャム等の供給不良が実際に発生した場合にも、ヘッド清掃処理が実行され、接触部24a+32+33+36b+39hを清掃することが可能となっている。この結果、実施例1の画像形成装置Uは、シートSの供給不良の発生時にヘッド清掃処理が実行されない特許文献1〜3等の構成に比べ、供給不良を解消し易くなっている。
【0086】
また、前記構成を備えた本発明の実施例1の画像形成装置Uでは、ジョブ実行中に吸着されたシートSどうしを分離するエア吹付機構51を使用して、ジョブ終了後に接触部24a+32+33+36b+39hを清掃している。
この結果、実施例1の画像形成装置Uは、媒体捌き部材と清掃部材とが共通化されており、媒体捌き部材と清掃部材とを別々に設ける構成に比べ、部品点数の低減が可能となっており、清掃部材の製作コストを低減することが可能となっている。
【実施例2】
【0087】
次に本発明の実施例2の説明をするが、この実施例2の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
この実施例は下記の点で、前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成される。
【0088】
(実施例2のヘッド駆動装置46〜50の説明)
図18は実施例1の図3に対応する説明図であり、実施例2の給紙トレイの平面図である。
図19は実施例1の図8に対応する説明図であって、実施例2の吸着ヘッドの位置の説明図であり、図19Aは吸着ヘッドが吸着位置に移動した状態の説明図、図19Bは吸着ヘッドが供給位置に移動した状態の説明図、図19Cは吸着ヘッドが被清掃位置に移動した状態の説明図である。
図18において、実施例2のガイドシャフト42は、実施例1に比べ、搬送方向上流側としての左方に長く延びて形成されている。また、実施例2のヘッド駆動装置46〜50は、左側のプーリ47が、実施例1に比べ、左方に配置されており、左右両側のプーリ47に張架されたワイヤ46が、実施例1に比べ、左方に長く延びて配置されている。したがって、実施例2の吸着ヘッド22は、ヘッド駆動装置46〜50によって吸着位置より搬送方向上流側に移動可能となっている。
【0089】
この結果、前記吸着ヘッド22は、ヘッド駆動装置46〜50のモータ50の正逆回転により、図19Aに示す、シートSを吸着可能な吸着位置と、図19Bに示す、吸着位置より搬送方向下流側に設定された供給位置と、図19Cに示す、吸着位置の搬送方向上流側に設定された被清掃位置との間で移動可能に支持されている。すなわち、実施例2では、実施例1とは異なり、吸着位置と供給位置との間の移動範囲の外側である吸着位置の左方に配置された被清掃位置にも吸着ヘッド22が移動可能に構成されている。
【0090】
(実施例2の清掃ブラシ61の説明)
図20は実施例2の清掃ブラシの斜視拡大図である。
また、図18〜図20において、被清掃位置に移動した吸着ヘッド22の右端下方には、清掃部材の一例としての清掃ブラシ61が支持されている。
実施例2の前記清掃ブラシ61は、幅方向である前後方向に延びる台座部62を有する。実施例2の前記台座部62は、吸着装置U2の前端から後端まで延びて吸着装置U2の図示しない枠体に支持されており、前記台座部62の上面63には、左側で水平方向に延びる平面部63aと、平面部63aの右端から右方に進むに連れて下方に傾斜した傾斜部63bとが形成されている。
実施例2では、傾斜部63bの右端が、吸着ヘッド22に支持されて下降した封止スカート36の下面36bより下方に配置されている。この結果、吸着ヘッド22が被清掃位置に向けて左方に移動した場合に、封止スカート36の下面36bが傾斜部63bに案内されて、封止スカート36が平面部63aに乗り上げることが可能となっている。また、実施例2では、平面部63aが、吸着ヘッド22のカバー部39の側板部39b〜39eの下端より下方に配置されている。この結果、吸着ヘッド22が被清掃位置に向けて左方に移動した場合に、ヘッド本体23の下面24aや傾斜面32やリブ33が台座部62の上面63に接触せずに吸着ヘッド22が被清掃位置まで移動可能となっている。
【0091】
また、前記上面63には、清掃部の一例として、上方に延びる多数のブラシ毛64が植毛された状態で支持されている。実施例2の前記ブラシ毛64の前後方向の幅は、吸着ヘッド22の幅よりも長く形成されており、前記ブラシ毛64は、左側の平面部63aに植毛された本清掃部の一例としての左側ブラシ毛64aと、右側の傾斜部63bに植毛された案内清掃部の一例としての右側ブラシ毛64bとを有する。
実施例2では、右側ブラシ毛64bは、上下方向の高さ、すなわち、毛足の長さが、左端から右方に進むに連れて長くなっており、前記ブラシ毛64の先端の高さが、右側ブラシ毛64bから左側ブラシ毛64aまで同一になるように設定されている。また、前記ブラシ毛64の先端の高さは、ヘッド本体23の下面24aの高さよりも高い位置に設定されている。よって、実施例2では、吸着ヘッド22が吸着位置から左方に移動した場合に、ヘッド本体23の下面24aや傾斜面32やリブ33にブラシ毛64の先端部が接触可能になっている。
【0092】
(実施例2の制御部の説明)
図21は実施例1の図9に対応する説明図であり、実施例2の画像形成装置の制御部のブロック図である。
(実施例2の制御部Cの機能)
実施例2の制御部Cは、実施例1の前記ヘッド移動手段C6および前記ヘッド清掃手段C13に替えて、ヘッド移動手段C6′およびヘッド清掃手段C13′を有する。
C6′:ヘッド移動手段
実施例2のヘッド移動手段C6′は、前記吸着位置の判別手段C6Aを有し、ヘッド駆動装置46〜50のモータ50の正逆回転を制御して、図19Aに示す吸着位置と、図19Bに示す供給位置と、図19Cに示す被清掃位置との間での吸着ヘッド22の移動を制御する。
【0093】
C13′:ヘッド清掃手段
実施例2のヘッド清掃手段C13′は、前記清掃開始の判別手段C13Aと、前記タイマTMと、前記清掃終了の判別手段C13Bとを有し、吸着ヘッド22の接触部24a+32+33+36b+39hを清掃する。実施例2の前記ヘッド清掃手段C13′は、前記清掃時期tbになったと判別された場合に、前記ヘッド移動手段C6′を介して、吸着ヘッド22を吸着位置から被清掃位置に移動させる。また、前記ヘッド清掃手段C13′は、吸着ヘッド22が被清掃位置に移動した場合に、吸着ヘッド22を被清掃位置から吸着位置に復帰させる。すなわち、実施例2の前記ヘッド清掃手段C13′は、吸着ヘッドを吸着位置と被清掃位置との間を1往復させて接触部24a+32+33+36b+39hを清掃ブラシ61に接触させて清掃する。
【0094】
(実施例2の流れ図の説明)
図22は実施例1の図12に対応する説明図であり、実施例2のヘッド清掃処理のフローチャートであり、図21のST205およびST208のサブルーチンである。
次に、実施例2の画像形成装置Uの処理の流れをフローチャートを使用して説明する。実施例2では、図12に示す実施例1の前記ヘッド清掃処理に替えて、図22に示すヘッド清掃処理が実行される。
【0095】
(実施例2のヘッド清掃処理のフローチャートの説明)
図22において、実施例2のヘッド清掃処理は、実施例1の前記ヘッド清掃処理のST251,ST253,ST255に替えて、ST251′,ST253′,ST255′を実行するだけであるため、その他の各STの処理については、詳細な説明を省略する。
図22のST251′において、以下の(1),(2)の処理を実行し、ST252に移る。
(1)モータ50を逆回転して、吸着ヘッド22の吸着位置から被清掃位置への移動を開始する。
(2)タイマTMに清掃時間t4の半分の時間である折り返し時間(t4/2)をセットする。
ST252において、イエス(Y)の場合はST253に移る。
ST253において、モータ50を正回転して、吸着ヘッド22の被清掃位置から吸着位置への復帰を開始する。そして、ST254に移る。
ST254において、イエス(Y)の場合はST255に移る。
ST255において、モータ50を停止して、吸着ヘッド22の吸着位置への復帰を終了する。そして、ヘッド清掃処理を終了して、図11のST205またはST208に戻る。
【0096】
(実施例2の作用)
図23は実施例1の図13Bに対応する説明図であって、実施例2の作用説明図であり、実施例2のヘッド清掃処理のヘッド駆動装置の制御に関するタイミングチャートである。
前記構成を備えた本発明の実施例2の画像形成装置Uでは、ジョブが終了した場合、ヘッド清掃処理が実行される。実施例2のヘッド清掃処理では、図23、図19に示すように、ジョブが終了して清掃時期tbになると、吸着ヘッド22が吸着位置と被清掃位置との間を1往復される。
【0097】
図24は実施例2の作用説明図であり、図24Aは被清掃位置に移動中の吸着ヘッドの左端が清掃ブラシに到達する前の状態の要部拡大説明図、図24Bは吸着ヘッドの左端部が清掃ブラシの傾斜部の上方まで移動した状態の要部拡大説明図、図24Cは被清掃位置に移動した吸着ヘッドの右端部が清掃ブラシの上方に配置された状態の要部拡大説明図である。
実施例2では、吸着ヘッド22が吸着位置から被清掃位置への移動中には、図24Bに示すように、封止スカート36が台座部62の傾斜部63bに案内されて平面部63aに乗り上げながら、清掃ブラシ61のブラシ毛64に接触部24a+32+33+36b+39hが接触して、付着した紙粉等が掻き落とされる。ここで、実施例2では、図19A、図24Aに示すように、吸着位置に移動した吸着ヘッド22の左端は、ブラシ毛64の右端より右方に配置されている。また、実施例2では、図19C、図24Cに示すように、被清掃位置に移動した吸着ヘッド22のシート前端ガイド39gの右端は、ブラシ毛64の右端より左方に配置されている。この結果、吸着ヘッド22が被清掃位置に到達すると、ブラシ毛64に接触部24a+32+33+36b+39hの全範囲が接触して紙粉等が掻き落とされる。
【0098】
そして、吸着ヘッド22が被清掃位置から吸着位置への復帰中にも、封止スカート36が平面部63aおよび傾斜部63bに案内されて下降しながら、清掃ブラシ61のブラシ毛64に接触部24a+32+33+36b+39hの全範囲が接触して、付着した紙粉等が掻き落とされる。
よって、実施例2の画像形成装置Uでは、吸着ヘッド22が1往復すると、接触部24a+32+33+36b+39hの全域が清掃ブラシ61を通過し、接触部24a+32+33+36b+39hの全範囲を清掃することが可能となっている。
その他、実施例2の前記画像形成装置Uは、実施例1の前記画像形成装置Uと同様の作用効果を奏する。
【0099】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)〜(H07)を下記に例示する。
(H01)前記実施例において、画像形成装置の一例としての複写機に限定されず、プリンタ、FAX等の画像形成装置にも適用可能である。また、カラーの画像形成装置に限定されず、モノクロの画像形成装置にも適用可能である。さらに、タンデム型の画像形成装置に限定されず、ロータリ型の画像形成装置にも適用可能である。
【0100】
(H02)前記実施例では、エア吹付機構51や清掃ブラシ61によって、接触部24a+32+33+36b+39hが清掃されているが、これに限定されず、例えば、前記実施例2において、清掃ブラシ61に替えて弾性変形可能なスポンジ等を配置して、吸着位置と被清掃位置との間を往復する接触部24a+32+33+36b+39hの形状に応じてスポンジを弾性変形させることにより付着した紙粉等を擦り落として、接触部24a+32+33+36b+39hを清掃することも可能である。この場合、スポンジの上面に不織布等を支持して、不織布を接触部24a+32+33+36b+39hに接触させて紙粉等を擦り落とすことも可能である。また、例えば、実施例2の清掃ブラシ61に替えて前後方向に延びる円筒刷毛状の清掃ブラシを配置して、清掃ブラシを回転しながら、吸着位置と被清掃位置との間を往復する接触部24a+32+33+36b+39hに対して、ブラシ毛を接触させて付着した紙粉等を擦り落とすことも可能である。また、実施例2の清掃ブラシ61に替えて前後方向に延びる円筒部材に可撓性を有する複数の被接触部が支持された清掃用のパドルを配置して、清掃用のパドルを回転しながら、吸着位置と被清掃位置との間を往復する接触部24a+32+33+36b+39hに被接触部を接触させて付着した紙粉等を擦り落とすことも可能である。
【0101】
(H03)前記実施例では、接触部24a+32+33+36b+39hを清掃する際に、吸着ヘッド22を搬送方向に移動させているが、これに限定されず、エア吹付機構51や清掃ブラシ61を移動させて接触部24a+32+33+36b+39hの搬送方向を清掃することも可能である。例えば、前記実施例1において、エア吹付機構51の吹付口の内部に風向制御部材の一例としてのルーバーを配置して、ルーバーを制御することにより、風向きを制御して吹付範囲AR1を搬送方向に沿って変化させて接触部24a+32+33+36b+39hを清掃することも可能である。また、例えば、エア吹付機構51の本体から吹付口までを蛇腹等の可撓性部材によって接続した場合に、蛇腹を搬送方向に沿って揺動させたり、本体から吹付口までを筒部材によって接続した場合に、筒部材の本体側の基端を中心に搬送方向に沿って吹付口側の自由端を回転させたりして、吹付口の位置を変化させて吹付範囲AR1を搬送方向に沿って変化させることにより、接触部24a+32+33+36b+39hを清掃することも可能である。この場合、吸着ヘッド22だけでなく、搬送方向下流側の搬送ロールRaの表面も清掃することも可能である。また、例えば、前記実施例2において、吸着ヘッド22を左方に移動させずに、清掃ブラシ61を右方に移動させて、吸着位置に配置された吸着ヘッド22の下方で接触部24a+32+33+36b+39hを清掃することも可能である。さらに、吸着ヘッド22と清掃部材51,61の一方のみを移動させることに限定されず、両方を移動させて清掃することも可能である。例えば、前記実施例2において、吸着ヘッド22を左方に移動させると共に、清掃ブラシ61を右方に移動させて、接触部24a+32+33+36b+39hにブラシ毛64を接触させて紙粉等を擦り落として清掃することも可能である。
【0102】
(H04)前記実施例1では、接触部24a+32+33+36b+39hを清掃する際に、吸着ヘッド22を吸着位置と供給位置との間を1往復させており、前記実施例2では、吸着ヘッド22を吸着位置と被清掃位置との間を1往復させているが、これに限定されず、複数回往復させることも可能である。また、前記実施例や前記変更例(H03)のように、接触部24a+32+33+36b+39hを清掃する際に、吸着ヘッド22や清掃ブラシ61を移動させたり、エア吹付機構51の吹付範囲AR1を変化させたりして、接触部24a+32+33+36b+39hの広い範囲を清掃することが好ましいが、これに限定されず、例えば、前記実施例1において、吸着ヘッド22を移動させずに吹付範囲AR1に対応する接触部24a+32+33+36b+39hの一部のみ清掃することも可能である。
【0103】
(H05)前記実施例では、接触部24a+32+33+36b+39hを清掃する際に、吸着ヘッド22を搬送方向である左右方向に沿って移動させているが、これに限定されず、例えば、清掃用のエア吹付機構や清掃ブラシ等の清掃部材を吸着ヘッド22の前方や後方に配置して、吸着ヘッド22を幅方向である前後方向に沿って移動させて接触部24a+32+33+36b+39hを清掃することも可能である。
(H06)前記実施例では、ジョブが終了した時期や、シートSの搬送遅延やジャムを検知した時期を、清掃時期tbであると判別して、図12、図22に示すヘッド清掃処理を実行したが、これに限定されず、例えば、ジョブを開始した時期や、給紙トレイTR1,TR2が装着された時期を清掃時期tbであると判別することも可能である。また、例えば、最後にヘッド清掃処理が実行されてからシートSを供給した累積枚数や、ジョブ実行時に連続してシートSを供給した連続枚数が、予め設定された枚数を超えた場合に、清掃時期tbになったと判別することも可能である。
【0104】
(H07)前記実施例では、接触部24a+32+33+36b+39hに付着した紙粉等をエアで吹き飛ばしたり、ブラシ毛64で擦り落としたりしているが、接触部24a+32+33+36b+39hから除去された紙粉等を回収する構成を設けることも可能である。例えば、前記実施例1において、積載プレート11を下降位置に移動させた状態で、排気ファンHFを作動させて吸気口31からエアを吸引しながら接触部24a+32+33+36b+39hにエアを吹き付けることにより、接触部24a+32+33+36b+39hから除去された紙粉等を吸引して回収することも可能である。また、前記実施例2において、清掃ブラシ61の台座部62の周囲を囲む枠を設けたり、上面63の中央部を凹状に形成することにより、掻き落とされた紙粉等を台座部62の内側に回収することも可能である。すなわち、台座部62を回収トレイとして構成することも可能である。
【符号の説明】
【0105】
11…積載部材、22…保持部材、23…保持部材本体、24a+32+33+36b+39h…接触部、24a…気体吸引用の開口が形成された面、31…気体吸引用の開口、36…囲み部材、36b…囲み部材の積載部材側の一端、37…空間、51,61…清掃部材、51…吹付装置、AR1…吹付位置、C10…分離制御手段、C12…清掃時期の判別手段、C13…清掃制御手段、HF…吸引装置、Ra…搬送部材、S…媒体、SN2…搬送検知部材、詰まり検知部材、tb…清掃時期、U…画像形成装置、U2…媒体供給装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体が積載される積載部材と、
前記積載部材に対向して配置され且つ前記媒体の搬送方向に沿って移動可能に支持された保持部材本体と、前記保持部材本体に形成された気体吸引用の開口と、前記気体吸引用の開口に接続されて気体を吸引する吸引装置と、前記吸引装置が気体を吸引した場合に気体の吸引に伴って前記積載部材から移動した媒体が接触する接触部と、を有し、媒体を吸着して保持する保持部材と、
前記保持部材に対して前記媒体の搬送方向の下流側に配置され、前記保持部材に吸着された媒体を下流側に向けて搬送する搬送部材と、
前記接触部を清掃可能な清掃部材と、
前記接触部を清掃する予め設定された清掃時期になったか否かを判別する清掃時期の判別手段と、
前記清掃時期になったと判別された場合に、前記清掃部材および前記保持部材の少なくとも一方を制御して、前記接触部を清掃する清掃制御手段と、
を備えたことを特徴とする媒体供給装置。
【請求項2】
前記接触部に気体を吹き付け可能な吹付装置によって構成された前記清掃部材と、
前記清掃時期になったと判別された場合に、前記吹付装置を制御して前記接触部に気体を吹き付けて、前記接触部を清掃する前記清掃制御手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の媒体供給装置。
【請求項3】
予め設定された吹付位置に気体を吹き付ける前記吹付装置と、
前記清掃時期になったと判別された場合に、前記保持部材を制御して前記接触部を前記搬送方向に沿って前記清掃部材側に移動させて、前記吹付位置に対応する前記接触部の被吹付位置を前記搬送方向に沿って変化させる前記清掃制御手段、
を備えたことを特徴とする請求項2に記載の媒体供給装置。
【請求項4】
前記積載部材から前記保持部材に吸着される媒体を前記搬送方向の下流側に搬送する場合に、前記吹付装置を制御して媒体に気体を吹き付けて、媒体どうしを分離させる分離制御手段、
を備えたことを特徴とする請求項2または3に記載の媒体供給装置。
【請求項5】
前記積載部材上の媒体に対向し且つ前記媒体を吸着可能な吸着位置と、前記吸着位置よりも前記搬送方向の下流側に設定され且つ前記媒体を前記搬送部材に供給可能な供給位置と、前記吸着位置と前記供給位置との間の移動範囲の外側に設定された被清掃位置と、の間を移動可能に支持された前記保持部材と、
前記被清掃位置に対応して配置され、前記被清掃位置に移動される前記保持部材の前記接触部に接触して清掃する前記清掃部材と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の媒体供給装置。
【請求項6】
前記搬送部材に対して前記搬送方向の下流側に予め設定された検知位置に配置され、前記搬送部材に搬送された媒体を検知する搬送検知部材と、
前記搬送検知部材によって媒体が検知された検知時期が、前記検知位置に媒体が到達する予め設定された到達時期より遅い場合に、前記清掃時期になったと判別する前記清掃時期の判別手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の媒体供給装置。
【請求項7】
前記保持部材に対して前記搬送方向の下流側に配置され、媒体の詰まりを検知する詰まり検知部材と、
前記詰まり検知部材の検知結果に基づいて、媒体の詰まりが発生していると判別された場合に、前記清掃時期になったと判別する前記清掃時期の判別手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の媒体供給装置。
【請求項8】
前記開口を囲むように配置されると共に前記保持部材本体から積載部材側に延び且つ前記積載部材に対して接近、離間する方向に移動可能に支持された囲み部材と、前記囲み部材の内部に形成され且つ前記囲み部材により周囲を囲まれた空間と、前記空間内の気体を吸引する前記吸引装置と、を有し、前記吸引装置の吸引に伴って前記囲み部材の積載部材側の一端に媒体を吸着して保持する前記保持部材と、
前記保持部材本体の前記気体吸引用の開口が形成された面と、前記囲み部材の積載部材側の一端と、を含む前記接触部と、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の媒体供給装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載の媒体供給装置、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
媒体が積載される積載部材と、
前記積載部材に対向して配置され且つ前記媒体の搬送方向に沿って移動可能に支持された保持部材本体と、前記保持部材本体に形成された気体吸引用の開口と、前記気体吸引用の開口に接続されて気体を吸引する吸引装置と、前記吸引装置が気体を吸引した場合に気体の吸引に伴って前記積載部材から移動した媒体が接触する接触部と、を有し、媒体を吸着して保持する保持部材と、
前記保持部材に対して前記媒体の搬送方向の下流側に配置され、前記保持部材に吸着された媒体を下流側に向けて搬送する搬送部材と、
前記接触部を清掃可能な清掃部材と、
前記接触部を清掃する予め設定された清掃時期になったか否かを判別する清掃時期の判別手段と、
前記清掃時期になったと判別された場合に、前記清掃部材および前記保持部材の少なくとも一方を制御して、前記接触部を清掃する清掃制御手段と、
を備えたことを特徴とする媒体供給装置。
【請求項2】
前記接触部に気体を吹き付け可能な吹付装置によって構成された前記清掃部材と、
前記清掃時期になったと判別された場合に、前記吹付装置を制御して前記接触部に気体を吹き付けて、前記接触部を清掃する前記清掃制御手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の媒体供給装置。
【請求項3】
予め設定された吹付位置に気体を吹き付ける前記吹付装置と、
前記清掃時期になったと判別された場合に、前記保持部材を制御して前記接触部を前記搬送方向に沿って前記清掃部材側に移動させて、前記吹付位置に対応する前記接触部の被吹付位置を前記搬送方向に沿って変化させる前記清掃制御手段、
を備えたことを特徴とする請求項2に記載の媒体供給装置。
【請求項4】
前記積載部材から前記保持部材に吸着される媒体を前記搬送方向の下流側に搬送する場合に、前記吹付装置を制御して媒体に気体を吹き付けて、媒体どうしを分離させる分離制御手段、
を備えたことを特徴とする請求項2または3に記載の媒体供給装置。
【請求項5】
前記積載部材上の媒体に対向し且つ前記媒体を吸着可能な吸着位置と、前記吸着位置よりも前記搬送方向の下流側に設定され且つ前記媒体を前記搬送部材に供給可能な供給位置と、前記吸着位置と前記供給位置との間の移動範囲の外側に設定された被清掃位置と、の間を移動可能に支持された前記保持部材と、
前記被清掃位置に対応して配置され、前記被清掃位置に移動される前記保持部材の前記接触部に接触して清掃する前記清掃部材と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の媒体供給装置。
【請求項6】
前記搬送部材に対して前記搬送方向の下流側に予め設定された検知位置に配置され、前記搬送部材に搬送された媒体を検知する搬送検知部材と、
前記搬送検知部材によって媒体が検知された検知時期が、前記検知位置に媒体が到達する予め設定された到達時期より遅い場合に、前記清掃時期になったと判別する前記清掃時期の判別手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の媒体供給装置。
【請求項7】
前記保持部材に対して前記搬送方向の下流側に配置され、媒体の詰まりを検知する詰まり検知部材と、
前記詰まり検知部材の検知結果に基づいて、媒体の詰まりが発生していると判別された場合に、前記清掃時期になったと判別する前記清掃時期の判別手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の媒体供給装置。
【請求項8】
前記開口を囲むように配置されると共に前記保持部材本体から積載部材側に延び且つ前記積載部材に対して接近、離間する方向に移動可能に支持された囲み部材と、前記囲み部材の内部に形成され且つ前記囲み部材により周囲を囲まれた空間と、前記空間内の気体を吸引する前記吸引装置と、を有し、前記吸引装置の吸引に伴って前記囲み部材の積載部材側の一端に媒体を吸着して保持する前記保持部材と、
前記保持部材本体の前記気体吸引用の開口が形成された面と、前記囲み部材の積載部材側の一端と、を含む前記接触部と、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の媒体供給装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載の媒体供給装置、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2013−10572(P2013−10572A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−142455(P2011−142455)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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