説明

媒体処理装置

【課題】 カード状の媒体の搬送方向を急な角度で変更しても確実に処理することができる媒体処理装置を提供する。
【解決手段】 カード状の媒体2を第1の方向に搬送する第1の搬送部210と、媒体2を第1の方向と交差する第2の方向に搬送する第2の搬送部220と、第1の搬送部210と第2の搬送部220との間の交差する部分に配設され、媒体2を第1の搬送部210から第2の搬送部220に受け渡す際に、当該受け渡しの角度を規制する第1の搬送補助部材411と、第1の搬送部210と第2の搬送部220との間の交差する部分に配設され、媒体2を第2の搬送部220から第1の搬送部210に受け渡す際に、当該受け渡しの角度を規制する第2の搬送補助部材412とを備える媒体処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体処理装置に関し、特にカード状の媒体の搬送方向を急な角度で変更しても確実に処理することができる媒体処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の媒体処理装置としては、カード状の媒体、例えばプリペイドカード(代金前払カード)等といった媒体に残金等の情報を記録するカード処理装置があった。このようなカード処理装置は、例えば自動改札装置や自動精算機に内蔵され、プリペイドカードに残金の情報を穿孔や印刷により記録できるものがあった。また、このようなカード処理装置には、種類の異なるカードを処理することができるものがあった。(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平7−334714号公報 (第3−5頁、第1−2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、以上のような従来のカード処理装置では、例えば、処理するカードの種類の増加に対応しつつ装置の大型化を避けるために、カード状の媒体を挟持して搬送する搬送部の搬送レイアウトをコンパクトなものにしたいという要請があった。このように搬送レイアウトをコンパクトにする場合、例えば、カード状の媒体の搬送方向を急な角度で変更することがあるが、急な角度で搬送方向を変更すると、例えばカード状の媒体が折れ曲がってしまう等により、カード状の媒体を確実に処理できないことがあった。
【0004】
そこで、本発明は、カード状の媒体の搬送方向を急な角度で変更しても確実に処理することができる媒体処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明による媒体処理装置は、例えば図1に示すように、カード状の媒体2を第1の方向に搬送する第1の搬送部210と;媒体2を第1の方向と交差する第2の方向に搬送する第2の搬送部220と;第1の搬送部210と第2の搬送部220との間の交差する部分に配設され、媒体2を第1の搬送部210から第2の搬送部220に受け渡す際に、当該受け渡しの角度を規制する第1の搬送補助部材411と;第1の搬送部210と第2の搬送部220との間の交差する部分に配設され、媒体2を第2の搬送部220から第1の搬送部210に受け渡す際に、当該受け渡しの角度を規制する第2の搬送補助部材412と;を備えるように構成される。
【0006】
このように構成すると、第1の搬送部は、第1の方向にカード状の媒体を搬送し、第2の搬送部は、第1の方向と交差する第2の方向にカード状の媒体を搬送する。第1の搬送補助部材は、媒体を第1の搬送部から第2の搬送部に受け渡す際に、当該受け渡しの角度を規制し、第2の搬送補助部材は、媒体を第2の搬送部から第1の搬送部に受け渡す際に、当該受け渡しの角度を規制するので、カード状の媒体の搬送方向を変更しても確実に処理することができる媒体処理装置を提供することができる。
【0007】
また請求項2に記載のように、請求項1に記載の媒体処理装置では、例えば図1に示すように、媒体2を第1の方向に対して略平行な第3の方向に搬送する第3の搬送部230を備え;第2の搬送補助部材412は、第1の搬送補助部材411とは別の部材であり;媒体2を第1の搬送部210から第3の搬送部230に受け渡す際又は第3の搬送部230から第1の搬送部210に受け渡す際に、媒体2を第1の搬送補助部材411と第2の搬送補助部材412との間を通して受け渡すように構成してもよい。
【0008】
このように構成すると、第3の搬送部は、第1の方向に対して略平行な第3の方向にカード状の媒体を搬送する。さらに、第1の搬送補助部材と第2の搬送補助部材とによって、第1の搬送部によって搬送される媒体を第2の搬送部あるいは第3の搬送部に振り分けることができる。
【0009】
また請求項3に記載のように、請求項1又は請求項2に記載の媒体処理装置では、例えば図2(c)に示すように、第1の搬送補助部材411と第2の搬送補助部材412とは、入れ子状に形成してもよい。
【0010】
このように構成すると、第1の搬送補助部材411と第2の搬送補助部材412とが、入れ子状に形成されるので媒体処理装置を小型化することができる。
【発明の効果】
【0011】
以上のように本発明によれば、カード状の媒体を第1の方向に搬送する第1の搬送部と、媒体を第1の方向と交差する第2の方向に搬送する第2の搬送部と、第1の搬送部と第2の搬送部との間の交差する部分に配設され、媒体を第1の搬送部から第2の搬送部に受け渡す際に、当該受け渡しの角度を規制する第1の搬送補助部材と、第1の搬送部と第2の搬送部との間の交差する部分に配設され、媒体を第2の搬送部から第1の搬送部に受け渡す際に、当該受け渡しの角度を規制する第2の搬送補助部材とを備えるので、カード状の媒体の搬送方向を変更しても確実に処理することができる媒体処理装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図1から図3を参照して説明する。なお、各図において互いに同一あるいは相当する部材には同一符号を付し、重複した説明は省略する。
【0013】
図1は、本発明の実施の形態に係る媒体処理装置としてのカード処理装置1の構成例を示す模式的断面図である。カード処理装置1は、取引装置、例えば駅に設置される自動精算機(自動券売機を含む)に内蔵され、カード状の媒体を処理する装置である。このような自動精算機は、乗車券等を精算するものである。なお、自動精算機は、本実施の形態に係るカード処理装置1、硬貨を処理する硬貨処理装置(不図示)、紙幣を処理する紙幣処理装置(不図示)、券類を発券する発券装置(不図示)等を備え、さらに利用者の操作を受け付ける接客部(不図示)を備える。カード処理装置1は、自動精算機に内蔵される際には、例えば利用者が、自動精算機の正面に形成された接客部(不図示)から、後述の挿入部20にカード状の媒体を挿入できる位置に内蔵される。なお、本図中太線はカード状の媒体の搬送経路を示している。
【0014】
ここでカード状の媒体は、例えば、メダルや硬貨等の略円形状の媒体とは異なる略四角形状の媒体であり、典型的には、略長方形板状の媒体である。カード状の媒体は、弾性を有する軟らかい媒体でもよいし、剛性を有する硬い媒体でもよい。カード状の媒体には、例えば、乗車券や回数券等のエドモンソン券、大型券、定期券やプリペードカード等のPET券、ICカードがある。
【0015】
エドモンソン券の寸法は、縦57.5mm、横30mm、厚さ0.19mm程度である。大型券の寸法は、縦85mm、横57.5mm、厚さ0.19mm程度である。PET券の寸法は、縦85mm、横57.5mm、厚さ0.22mmである。ICカードの寸法は、縦85.6mm,横53.98mm、厚さ0.76mm程度である。
【0016】
乗車券、大型券は、紙状のカード媒体であり、表面が感熱紙になっており、サーマルヘッド(不図示)により、表面に印刷情報を印刷できるものである。また、乗車券、大型券は、裏面に磁気情報の書き込みが可能な媒体である。PET券は、プラスティックのカード媒体であり、例えば、定期券や裏面に磁気記録層が形成され、さらに磁気記録層の上に感熱紙層が形成されたいわゆるプリペイドカードである。プリペイドカードは、その裏面に磁気ヘッド(不図示)によりカードの情報としての磁気情報が記録でき、さらにサーマルヘッド(不図示)により印字可能な媒体である。ICカードは、剛性を有するカード媒体であり、内部にCPUやRAM、ROM等のメモリが格納されており、当該メモリにカード情報を記憶している。ICカードは、カード情報の書換えを電磁波を用いて行うことが可能であるため、非接触式カードと呼ばれている。なお、ICカードは、規格としてISO14443(JIS X6322)が定められている。
【0017】
本実施の形態では、カード状の媒体にはエドモンソン券、大型券、PET券、ICカードがあるものとして説明する。なお、以下の説明では、エドモンソン券、大型券、PET券、ICカードを特に分けて説明する必要のない場合には、これらをまとめて単にカード2という。
【0018】
また、カード処理装置1は、例えば利用者により挿入されるカード2の受付処理、利用者の購入操作等によるカード2の残金の更新を行なうカードの更新処理が行なえるものである。また、カード処理装置1は、カード2の受付処理で、カード2を1枚ずつ挿入することで、エドモンソン券、大型券合わせて最大3枚、PET券は最大4枚、ICカードは最大2枚まで受付可能である。エドモンソン券、大型券、PET券が組み合わせて挿入された場合は、エドモンソン券、大型券、PET券合わせて最大5枚、かつ5枚の内エドモンソン券、大型券が最大3枚又はPET券が最大3枚まで受付可能である。
【0019】
カード処理装置1は、利用者からのカード2の挿入を受け付け、また処理されたカード2の返却を行う挿入部20と、挿入部20から挿入されたカード2を整列させる整列部30と、挿入されたカード2の磁気情報に関する各種処理を行うエンコード部50と、カード2、ここではプリペードカードの利用目安となる位置に穴を開ける処理を行うカードパンチ部60と、カード2に利用情報の印字を行う印字部70と、カード2、ここではエドモンソン券である回数券が再度使用できないように穴を開ける処理を行う回数券パンチ部80と、廃券処理したエドモンソン券、大型券を回収・保管する廃券回収部90と、挿入されたICカードのメモリに記憶されているカード情報の読み込み、書き込み等のカード情報に関する各種処理を行うアンテナ部110とを備える。
【0020】
カード処理装置1は、さらに処理の終わったPET券、ICカードをストッパー部130と協動して集積する集積部140と、挿入部20で取り忘れられたカード2を回収・保管する取忘回収部150と、挿入部20より受け付けたカード2をカード処理装置1内の各部に搬送する搬送装置200と、搬送装置200により搬送されるカード2を保留する保留部300と、上記各構成を制御し、カード処理装置1の全体を制御する制御部160とを備えている。なおここでは、搬送装置200は、その搬送経路を図中太線で示している。
以下、上記各構成について詳細に説明する。
【0021】
まず、搬送装置200は、複数の搬送ローラ、プーリ、複数の搬送ベルト等を備え、正逆両方向にカード2を搬送するように構成される。搬送装置200は、カード2を第1の方向に搬送する第1の搬送部としての第1の搬送路210、カード2を当該第1の方向と交差する第2の方向に搬送する第2の搬送部としての第2の搬送路220、カード2を当該第1の方向に対して略平行な第3の方向に搬送する第3の搬送部としての第3の搬送路230を含んで構成されている。搬送装置200は、典型的には、さらに第4の搬送路240、第5の搬送路250、第6の搬送路260、第7の搬送路270を含んで構成されている。
【0022】
第1の搬送路210、第2の搬送路220、第3の搬送路230、第5の搬送路250、第6の搬送路260、第7の搬送路270は、各々カード2を搬送するための複数の搬送ローラと、複数のプーリに張架された複数の搬送ベルトを含んで構成されている。これらの搬送路は、典型的には、対向して配設される2つの搬送ベルトにカード2を挟持して搬送するように構成されているが、部分的に次に説明する第4の搬送路240のように搬送ローラと搬送ローラに対向して配置される従動ローラによりカード2を挟持して搬送するようにも構成されている。さらに言えば、第1の搬送路210は駆動機281(例えばステッピングモータ)、第2の搬送路220は第4の搬送路240と共通の駆動機282、第3の搬送路230は駆動機283、第5の搬送路250は駆動機285、第6の搬送路260は駆動機286、第7の搬送路270は駆動機287により、前記ローラ及び前記プーリを介して前記搬送ベルトを駆動することで、カードを挟持して搬送するように構成される。
【0023】
ただし、第4の搬送路240は、カード2を搬送する複数の搬送ローラと当該搬送ローラを駆動する複数のプーリを含んで構成される。第4の搬送路240は、搬送ローラと搬送ローラに対向して配置される従動ローラによりカード2を挟持して搬送するものである。従動ローラは、搬送ローラに付勢されて取り付けられている。第4の搬送路240は、搬送ローラと従動ローラとでカード2を挟持して搬送することで、上述した搬送路と比較して、搬送の精度を向上させることができる。第4の搬送路240は、ベルト等を介して第2の搬送路220と共通の駆動機282により駆動する。このように、複数の搬送路の駆動源を共通のものとすることでカード処理装置1の小型化を図ることができる。
【0024】
なおここで、第4の搬送路240を他の搬送路と別の構成としたのは、例えばカード処理装置1の小型化のためである。例えば、後述するカードパンチ部60を他の搬送路、典型的には、後述するように第2の搬送路220と、第4の搬送路240との境界に配置することができるので、各構成を効率良く配置でき、小型化が可能になる。また、後述する印字部70のようにカード2に直接接触して各種処理を行うような場合にも、第4の搬送路240のような構成であれば、例えば搬送ベルト等に邪魔されずに精度よく印字等ができる。
【0025】
第1の搬送路210は、挿入部20のカード2が挿入される側とは反対側に配設されている。第1の搬送路210は、上述したように、カード2を第1の方向に搬送するように構成されている。ここで、第1の方向とは略水平方向である。すなわち、第1の搬送路210は、挿入部20から略水平方向に配設されている。さらに具体的には、第1の搬送路210は、第1の搬送路210を構成し、カード2を挟持する2つの搬送ベルト211、212(図3参照)のカード2を挟持する面が挿入部20から略水平方向に配設されている。第1の搬送路210は、挿入部20に挿入されたカード2を、挿入部20とは反対側に配設される第2の搬送路220又は第3の搬送路230に搬送するように構成される。さらに、第1の搬送路210は、第2の搬送路220又は第3の搬送路230より搬送されるカード2を受け取り、挿入部20へ搬送するものでもある。
【0026】
第2の搬送路220は、上述したように、第1の方向、すなわち、第1の搬送路210による搬送方向と交差する第2の方向にカード2を搬送するように構成されている。ここで、第2の方向とは、典型的には、第1の搬送路210に対して傾斜を有した方向であり、さらに詳細には第1の搬送路210に対して鉛直上方向で挿入部20から離れる方向である。第2の搬送路220は、第2の搬送路220を構成し、カード2を挟持する2つの搬送ベルト221、222(図3参照)のカード2を挟持する面が、第1の方向と交差する第2の方向と平行となるように配設される。ここで、第2の方向は、第1の方向に対して、例えば50度以上、好ましくは60度以上、すなわち、急な角度で傾斜させるとよい。第2の方向の第1の方向に対する傾斜角度は、0度に近い程、より円滑な搬送が可能となるものの、以上のように急な角度とすることで、カード2の搬送レイアウトをコンパクトにすることができ、カード処理装置1の小型化に資することができる。言い換えれば、後述する挿入部20を正面とするとカード処理装置1内の背面側のスペースを広く確保することができ、当該スペースにカード処理装置1を構成する種々の要素を配設することができるので、装置の大型化を避けることができる。本実施の形態では、上位装置、例えば自動精算機の正面に形成され、利用者の操作を受け付ける接客面(不図示)の傾斜角度(60度程度)に合わせて、第2の方向は第1の方向に対して60度で傾斜させている。このように構成することで、上位装置とカード処理装置1との間のデッドスペースを最小限にすることができる。また、第2の方向は、第1の方向に対して、例えば90度以下、好ましくは80度以下で傾斜させるとよい。これにより、搬送方向が変わる部分でカード2が詰まってしまうようなことが無くなる。
【0027】
さらに、第2の搬送路220は、第1の搬送路210によって搬送されるカード2を受け取り、第1の搬送路210とは反対側に配設される第4の搬送路240又は第6の搬送路260に搬送するように構成される。第2の搬送路220は、第4の搬送路240又は第6の搬送路260より搬送されるカード2を受け取り、第1の搬送路210へ搬送するものでもある。なお、第2の搬送路220には、後述するエンコード部50が配設されている。
【0028】
第3の搬送路230は、上述したように、第1の方向、すなわち、第1の搬送路210による搬送方向に対して略平行な第3の方向にカード2を搬送するように構成されている。ここで、第3の方向は、第1の方向と同じ方向であり、典型的には、第3の搬送路230は、第1の搬送路210による搬送方向と略一直線になる方向にカード2を搬送するように構成される。このように、略一直線とする場合も略平行の概念に含まれるものとする。また、略一直線とは、実質的に一直線であればよく、剛性を有するICカードを確実に搬送できる程度に一直線となっていればよい。さらに、第3の搬送路230は、第3の搬送路230を構成し、カード2を挟持する2つの搬送ベルト231、232(図3参照)のカード2を挟持する面が第3の方向と平行となるように配設される。さらに具体的に言えば、第3の搬送路230は、当該挟持する面が第1の搬送路210の2つの搬送ベルト211、212(図3参照)のカード2を挟持する面と挿入部20の反対側で略一直線となるように配設される。
【0029】
さらに、第3の搬送路230は、第1の搬送路210によって搬送されるカード2を受け取り、第1の搬送路210とは反対側に配設される後述の第9の保留部390に搬送するように構成される。なお、第3の搬送路230には、第1の搬送路210と第9の保留部390との間に後述するアンテナ部110が配設されている。さらに、第3の搬送路230は、アンテナ部110により処理されたカード2を第1の搬送路210へ搬送するものでもある。
【0030】
第4の搬送路240は、第2の方向、典型的には、第2の方向と略一直線になる方向にカード2を搬送するように構成される。第4の搬送路240は、上述したように他の搬送路とは異なった構成となっている。第4の搬送路240は、第2の搬送路220によって搬送されるカード2を受け取り、第2の搬送路220とは反対側に配設される第5の搬送路250に搬送するように構成される。さらに、第4の搬送路240は、第5の搬送路250より搬送されるカード2を受け取り、第2の搬送路220へ搬送するものでもある。なお、第4の搬送路240には、第2の搬送路220側から順に後述するカードパンチ部60、印字部70が配設されている。
【0031】
第5の搬送路250は、第2の方向と交差する方向、典型的には、搬送方向が略水平方向で挿入部20から離れる方向にカード2を搬送するように構成される。第5の搬送路250は、第4の搬送路240によって搬送されるカード2を受け取り、第4の搬送路240とは反対側に配設される後述の第1の保留部310に搬送するように構成される。さらに、第5の搬送路250は、第1の保留部310により保留されたカード2を第4の搬送路240へ搬送するものでもある。
【0032】
第6の搬送路260は、第2の方向と交差する方向で挿入部20から離れる方向にカード2を搬送するように構成される。第6の搬送路260は、複数の折れ曲がりを有しており、第2の搬送路220によって搬送されるカード2を受け取り、第2の搬送路220とは反対側に配設され、典型的には挿入部20を正面とするとカード処理装置1内の背面側に配設される後述の廃券回収部90に搬送するように構成される。さらに、第6の搬送路260は、例えば、後述の第4の保留部340に保留されるカード2を第2の搬送路220又は次に説明する第7の搬送路270に搬送するものでもある。
【0033】
第7の搬送路270は、第6の搬送路260の中間から分岐するように配設され、第6の搬送路260による搬送方向と交差する方向、典型的には、第6の搬送路260に対して傾斜を有した方向であり、さらに詳細には第6の搬送路260に対して鉛直下方向で挿入部20に近づく方向にカード2を搬送するように構成される。第7の搬送路270は、第6の搬送路260によって搬送されるカード2を受け取り、第6の搬送路260とは反対側に配設される後述の第7の保留部370に搬送するように構成される。さらに、第7の搬送路270は、第7の保留部370により保留されたカード2を第6の搬送路260へ搬送するものでもある。なお、第7の搬送路270には、第6の搬送路260と第7の保留部370との間、より具体的には後述の第3の振分部430と第7の保留部370との間に後述する回数券パンチ部80が配設されている。
【0034】
また、搬送装置200は、カード2の搬送経路を切り換え可能な第1の振分部410、第2の振分部420、第3の振分部430を備えている。第1の振分部410、第2の振分部420、第3の振分部430は、それぞれカード2を振り分ける振分爪と、制御部160に制御され振分爪を駆動する振分爪駆動手段(例えば、ソレノイド)とを有している。第1の振分部410は、上述した第1の方向と第2の方向とが交差する部分、すなわち、第1の搬送路210と第2の搬送路220との間の交差する部分に配設される。また、第1の振分部410は、第1の搬送路210と第3の搬送路230との間の部分に配設されるということもできる。すなわち、第1の振分部410は、第1の搬送路210、第2の搬送路220、第3の搬送路230の間に配設される。第2の振分部420は、第2の搬送路220と第4の搬送路240との間の交差する部分に配設される。また、第2の振分部420は、第2の搬送路220と第6の搬送路260との間の部分に配設されるということもできる。すなわち、第2の振分部420は、第2の搬送路220、第4の搬送路240、第6の搬送路260の間に配設される。第3の振分部430は、第7の搬送路270が第6の搬送路260から分岐する部分に配設されている。言い換えれば、第3の振分部430は、第6の搬送路260と第7の搬送路270との間の部分に配設されている。また、第1の振分部410、第2の振分部420、第3の振分部430は、カード2の種類、あるいは処理の種類に応じて搬送経路を切り換えるように、制御部160により動作を制御されている。また、第1の振分部410は、次の図2で説明するように下側振分爪411、上側振分爪412を含んで構成されている。
【0035】
図2は、本発明の実施の形態に係るカード処理装置1の第1の振分部410の構成を説明するための図であり、(a)は平面図、(b)は下側振分爪411と上側振分爪412とを分解した状態の斜視図、(c)は下側振分爪411と上側振分爪412とが合体した状態の斜視図である。図2(a)に示すように、第1の振分部410は、カード2を第1の搬送路210(図1参照)から第2の搬送路220(図1参照)に受け渡す際に、当該受け渡しの角度を規制する第1の搬送補助部材としての下側振分爪411と、カード2を第2の搬送路220(図1参照)から第1の搬送路210(図1参照)に受け渡す際に、当該受け渡しの角度を規制する第2の搬送補助部材としての上側振分爪412とを含んで構成される。
【0036】
下側振分爪411は、図2(b)に示すように、角が面取りされた形状あるいは曲面形状に仕上げられた略三角柱状に形成される。下側振分爪411には、軸方向に対して垂直な方向に2つのスリット状の切り込み411a、411bが形成されている。切り込み411a、411bは、当該切り込み411a、411bから略三角形である断面形状の大部分が露出する程度の深さに形成されている。当該切り込み411a、411bによって分割される3つの略三角柱状の部分411c、411d、411eは、略三角形の1つの角を円柱状の部分411fによって串刺しされるようにして一体となっている。下側振分爪411は、樹脂製の材料等によって略三角柱状の部分411c、411d、411e、円柱状の部分411fが一体のパーツとして形成される。言い換えれば、下側振分爪411は、略三角柱状の部分411c、411d、411eが一体となって、全体として略三角柱状に形成されるということもできる。下側振分爪411は、振分爪駆動手段(例えば、ソレノイド)によって円柱状の部分411fを中心として回動するように構成される。本実施の形態では、カード2を振り分ける際には、各略三角柱状の部分411c、411d、411eにおける略三角形状の最大辺となる面は、カード2が摺動する摺動面411’として機能する。
【0037】
上側振分爪412は、図2(b)に示すように、鋭角に形成された角412a’’とカード2が摺動する摺動面412a’を有する突部412aと、同様に角412b’’、摺動面412b’を有する突部412bとを含んで構成される。突部412a、突部412bは、角412a’’、角412b’’の反対側を円柱状の部分412fによって串刺しされるようにして一体となっている。上側振分爪412は、樹脂製の材料等によって突部412a、突部412b、円柱状の部分412fが一体のパーツとして形成される。上側振分爪412は、振分爪駆動手段(例えば、ソレノイド)によって円柱状の部分412fを中心として回動するように構成される。なお、以下の説明では、突部412aの摺動面412a’、突部412bの摺動面412b’を特に分けて説明する必要ない場合は単に摺動面412’という。
【0038】
第1の振分部410は、図2(c)に示すように、下側振分爪411と上側振分爪412とが入れ子状となるように形成される。言い換えれば、下側振分爪411と上側振分爪412とはかみこみの関係にある。すなわち、第1の振分部410は、上側振分爪412の突部412a、突部412bがそれぞれ下側振分爪411の切り込み411a、411bに挿入されるように形成される。これにより、第1の振分部410全体をを小さくすることができる。第1の振分部410は、下側振分爪411と上側振分爪412とがかみこんだ状態で、摺動面412’が摺動面411’よりも下方となるように形成される。すなわち、下側振分爪411と上側振分爪412とがかみこんだ状態で、摺動面412’は、摺動面411’に対して窪んだ奥部となる。
【0039】
下側振分爪411と上側振分爪412とがかみこんだ状態から、上側振分爪412は摺動面412’が鉛直方向に対して上向きに移動するように回動し、下側振分爪411は摺動面411’が鉛直方向に対して下向きに移動するように回動するよう制御部160によって振分爪駆動手段(例えば、ソレノイド)の駆動を制御されている。
【0040】
図3は、本発明の実施の形態に係るカード処理装置1の第1の振分部410の動作を説明するための図であり、(a)は、カード2を第1の搬送路210から第2の搬送路220に受け渡す際の第1の振分部410を示す模式的側面図、(b)は、カード2を第2の搬送路220から第1の搬送路210(図1参照)に受け渡す際の第1の振分部410を示す模式的側面図である。なお、本図中二点鎖線はカード2の搬送経路を示す。
【0041】
第1の振分部410は、上述したように、第1の搬送路210、第2の搬送路220、第3の搬送路230の間に、摺動面411’、摺動面412’が第1の搬送路210側を向き、円柱状の部分411f、412fが略水平となるように配設される。第1の搬送路210は、カード2を案内する上搬送ベルト211と、上搬送ベルト211に対向する下搬送ベルト212とを有し、カード2を上搬送ベルト211と下搬送ベルト212との間に挟持して搬送するように構成される。上搬送ベルト211は、挿入部20(図1参照)側に配設されるプーリ(不図示)と、当該プーリ(不図示)に対して水平方向に配設されるプーリ211aに張架される。同様に、下搬送ベルト212は、プーリ(不図示)と、プーリ212aに張架される。同様に第2の搬送路220は、プーリ221a、プーリ221bに張架される上搬送ベルト221とプーリ222a、プーリ222bに張架される下搬送ベルト222を含んで構成され、第3の搬送路230は、プーリ231a、プーリ231(不図示)に張架される上搬送ベルト231とプーリ232a、プーリ232(不図示)に張架される下搬送ベルト232を含んで構成される。
【0042】
ここで、第1の振分部410は、エドモンソン券、大型券、PET券とICカードを振り分けるように構成、制御される。具体的には、挿入部20に挿入されたカード2がエドモンソン券、大型券、PET券の場合には、図3(a)に示すように、第1の振分部410は、制御部160(図1参照)の信号により下側振分爪411と上側振分爪412とがかみこんだ状態(これを通常の状態とする)となるように制御され、カード2の第3の搬送路230への進入を遮断し、カード2を第2の搬送路220に搬送可能にする。第1の搬送路210から第2の搬送路220に進入するカード2は、下側振分爪411の摺動面411’上を摺動して進入角度を規制されながら第2の搬送路220に受け渡される。これによりカード2の第2の搬送路220への進入角度が緩やかな角度、すなわち、より0度に近い角度、例えば、40度から70度程度、好ましくは60度に近い角度、本実施の形態では50度程度の角度となりカード2が第1の振分部410で折れ曲がってしまうことが無くなる。
【0043】
挿入部20に挿入されたカード2がICカードの場合には、図3(b)に示すように、制御部160(図1参照)の信号により上側振分爪412は摺動面412’が鉛直方向に対して上向きに移動するように回動し、下側振分爪411は摺動面411’が鉛直方向に対して下向きに移動するように回動して、カード2の第2の搬送路220への進入を遮断し、カード2を第3の搬送路230に搬送可能にする。すなわち、カード2を第1の搬送路210から第3の搬送路230に受け渡す際には、カード2は上側振分爪412と下側振分爪411との間を通って、摺動面411’上を摺動して受け渡される。
【0044】
さらに、後述するように、カード2がカード処理装置1内で処理されて、再び挿入部20(図1参照)に搬送され、返却される際にも、第1の振分部410は、制御部160(図1参照)の信号により上側振分爪412は摺動面412’が鉛直方向に対して上向きに移動するように回動し、下側振分爪411は摺動面411’が鉛直方向に対して下向きに移動するように回動する。第2の搬送路220から第1の搬送路210に進入するカード2は、上側振分爪412の摺動面412’上を摺動して進入角度を規制されながら第1の搬送路210に受け渡される。ここで、上側振分爪412の摺動面412’は、下側振分爪411と上側振分爪412とがかみこんだ状態での下側振分爪411の摺動面411’の位置よりも、鉛直方向上側にせり出してくることになる。これによりカード2の第1の搬送路210への進入角度が緩やかな角度、すなわち、より0度に近い角度、例えば、30度から40度程度、本実施の形態では35度程度の角度となりカード2が第1の振分部410で折れ曲がってしまうことが無くなる。また、第3の搬送路230から第1の搬送路210に進入するカード2は、前述と同様に上側振分爪412と下側振分爪411との間を通って、摺動面411’上を摺動して受け渡される。なお、剛性を有する硬いカード2は直線的に搬送され、弾性を有する柔らかなカード2は、搬送方向に適した角度に調整可能な摺動面411’に案内される。このようにしてカード2の折れ曲がり防止が可能となる。
【0045】
なお、本実施の形態では、エドモンソン券、大型券、PET券とICカードを振り分ける上側振分爪412、下側振分爪411が、急角度に交差する第1の搬送路210と第2の搬送路220との間でのカード2の受け渡しの角度を緩やかな角度に規制する部材としても機能する構成とすることで、カード2を振り分ける部分と、カード2の搬送方向を急角度に変更する部分とを一致させることができ、カード処理装置1を小型化することができる。また、これにより、カード処理装置1内の各部のレイアウトを空間効率のよいレイアウトにすることができる。
【0046】
また、PET券、ICカードが挿入部20(図1参照)に搬送され、返却される際は、PET券、ICカードは、挿入部20(図1参照)と第1の振分部410との間に配設される後述するストッパー部130、集積部140に一旦集積されてから一括して送出される。ここで、ストッパー部130、集積部140に集積されるカード2の一部が、第3の搬送路230への搬送経路が開放状態にある下側振分爪411と上側振分爪412との間に位置することができるのでストッパー部130、集積部140を第1の振分部410に近接して配設することができる。これによりカード処理装置1をよりコンパクトな構成とすることができる。また、処理されたICカード、PET券の両カードをストッパー部130、集積部140に集積する際には、カードの種類に応じて第1の振分部410を駆動することなく集積することができるので、迅速にカード2を返却する処理を行うことができる。なお、ストッパー部130、集積部140については、後述で詳細に説明する。
【0047】
再び、図1に戻って、第2の振分部420は、エドモンソン券、大型券、後述するようにPET券が連続して4枚挿入された際の4枚目のPET券とPET券が連続して4枚挿入された際の4枚目のPET券以外のPET券とを振り分けるように構成、制御される。第2の振分部420は、典型的には、第2の搬送路220によって搬送されるカード2がエドモンソン券、大型券、PET券が連続して4枚挿入された際の4枚目のPET券の場合には、制御部160の信号により振分爪が第4の搬送路240への進入を遮断するように第4の搬送路240側に回動し、カード2を第6の搬送路260方向に搬送可能にする。さらに、第2の振分部420は、カード2がPET券が連続して4枚挿入された際の4枚目のPET券以外のPET券の場合には、制御部160の信号により振分爪が第6の搬送路260への進入を遮断するように第6の搬送路260側に回動してカード2を第4の搬送路240方向に搬送可能にする。なお、エドモンソン券、大型券、PET券が連続して4枚挿入された際の4枚目のPET券を第6の搬送路260から第2の搬送路220に搬送する際、PET券が連続して4枚挿入された際の4枚目のPET券以外のPET券を第4の搬送路240から第2の搬送路220に搬送する際もほぼ同様である。
【0048】
第3の振分部430は、エドモンソン券、大型券を回数券パンチ部80で処理するものとしないものとに振り分けるように構成、制御される。第3の振分部430は、典型的には、第6の搬送路260によって廃券回収部90側から第2の搬送路220の方向に搬送されるカード2が回数券パンチ部80で処理するものである場合には、制御部160の信号により振分爪が第6の搬送路260を遮断するように第6の搬送路260側に回動し、カード2を第7の搬送路270方向に搬送可能にする。さらに、第2の振分部420は、カード2が回数券パンチ部80で処理するものでない場合には、制御部160の信号により振分爪が第7の搬送路270への進入を遮断するように第7の搬送路270側に回動してカード2を第6の搬送路260上で搬送可能にする。
【0049】
なお、第2の振分部420、第3の振分部430の各振分爪は、第1の振分部410と同様に複数の部材によって構成してもよいが、ここでは、搬送方向が急角度で変更されるわけではないので、従来から用いられているような1部品で構成される振分爪を用いる。
【0050】
次に、挿入部20は、利用者からのカード2の挿入を受け付けるものであり、例えば前記接客部からのカード2の挿入ガイドとなる挿入口20aと、挿入されたカード2の種類を識別する識別部としてのカード検知器20bを有している。挿入口20aは、4種類のカード2、すなわち、エドモンソン券、大型券、PET券、ICカードを挿入することができる幅に形成されている。エドモンソン券、大型券、PET券、ICカードを挿入することができる幅とは、例えば、PET券又は大型券の横幅(約57.5mm)よりもやや大きい幅である。カード検知器20bは、例えば、複数のフォトセンサ等を用い、典型的には、挿入されたカード2の枚数の検出も行なえるように構成されている。カード検知器20bは、挿入されたカード2の種類、枚数に関する信号を制御部160に送信するように構成される。さらに、挿入部20は、利用者からのカード2の挿入を受け付けるだけでなく、例えば挿入を受け付けたカード2を送出(返却)できるものである。言い換えれば、カード処理装置1内にあるカード2を挿入口20aから外部(利用者)へ送出できるものである。挿入部20の下流側には整列部30が配設されている。なお、下流側とは、挿入部20に挿入されたカード2を装置内に取り込む方向である。
【0051】
整列部30は、挿入部20から挿入されたカード2の幅寄せ(片寄せ)を行なうように構成される。整列部30は、上述した第1の搬送路210と、板状に形成され、第1の搬送路210に沿うように、かつ、第1の搬送路210のカード2を挟持する面に対して略垂直となるように配設される基準ガイド面と、偏心して回転し、当該第1の搬送路210を挟んで基準ガイド面とは反対側に配設される偏心回転ローラを備える。整列部30は、挿入されたカード2を基準ガイド面に沿って長手方向が搬送方向と略平行となるように整列する。ここで、整列部30は、カード検知器20bによって識別されたカード2の種類に応じて適宜偏心回転ローラの位置を移動させるソレノイド等も備える。例えば、挿入されたカード2がエドモンソン券である場合、制御部160は偏心回転ローラを退避させず、これにより、例えば、エドモンソン券が搬送方向に対して長辺方向が垂直となるように横向きに挿入された場合でも、偏心回転ローラと接触しながら、基準ガイド面側に押し出されるようにして基準ガイド面に沿って搬送、整列される。
【0052】
エンコード部50は、上述したように第2の搬送路220の搬送経路上に配設されている。エンコード部50は、第2の搬送路220の搬送により搬送されるカード2に磁気情報処理を行うものである。磁気情報処理とは、カード2、典型的にはエドモンソン券、大型券の磁気情報の読み込み、PET券の磁気情報の読み込み・書き込み等を行う処理である。エンコード部50は、カード2に磁気情報の読み込み・書き込み行なえる磁気ヘッドを有している。磁気情報は、カード2の残金を含む情報を含んでいる。また、エンコード部50は、後述のパンチ情報を読み取ることができるように構成されている。
【0053】
カードパンチ部60は、上述したように第4の搬送路240の搬送経路上に配設されている。カードパンチ部60は、第4の搬送路240により搬送されるカード2、典型的には、PET券であるプリペードカードに第1の穿孔処理を行なうものである。第1の穿孔処理とは、カードにカード情報としてのパンチ情報を記録する処理、例えばプリペードカードの残金の情報を示す孔をプリペードカードに設ける処理である。なお、この孔により示されるプリペードカードの残金の情報は、カードの利用目安となる所定の位置に行なわれる。カードパンチ部60は、プリペードカードに穿孔するパンチ機構と、搬送されるプリペードカードを検知する検知器を有している。パンチ機構は、プリペードカードに穿孔する穿孔ピンを有している。穿孔ピンは、鋭利な先端を有し、ソレノイドの駆動によりプリペードカードに穿孔できる。
【0054】
印字部70は、上述したように第4の搬送路240の搬送経路上、カードパンチ部60の下流側に配設されている。印字部70は、第4の搬送路240により搬送されるカード2、典型的には、PET券であるプリペードカードに印字処理を行なうものである。印字処理とは、プリペードカードに利用情報を記録する処理、例えばプリペードカードの残金の情報を示す印字を行なう処理である。印字部70は、プリペードカードへの印字を行なうサーマルヘッドを有している。
【0055】
回数券パンチ部80は、上述したように第7の搬送路270の搬送経路上、第3の振分部430と後述の第7の保留部370との間に配設されている。回数券パンチ部80は、第7の搬送路270により搬送されるカード2、典型的には、ここではエドモンソン券である回数券に第2の穿孔処理を行なうものである。第2の穿孔処理とは、回数券に再度使用できないように孔を設ける処理である。回数券パンチ部80は、カードパンチ部60とほぼ同様な構成をしているので、ここでは説明を省略する。
【0056】
廃券回収部90は、上述したように第6の搬送路260の第2の搬送路220とは反対側の端部に配設されている。廃券回収部90は、第6の搬送路260により搬送され、廃券処理されるエドモンソン券、大型券を回収、保管するものであり、エドモンソン券、大型券を収納する収納受皿を有している。廃券処理とは、例えばエンコード部50による磁気情報処理を終えたエドモンソン券である乗車券、大型券、回数券パンチ部80による第2の穿孔処理が施されたエドモンソン券である回数券を廃棄する処理である。
【0057】
アンテナ部110は、上述したように第3の搬送路230の第1の搬送路210とは反対側の端部に配設されている。アンテナ部110は、挿入されたICカードのメモリに記憶されているカード情報の読み込み、書き込み等のカード情報に関する各種処理を行う。カード情報は、例えば金銭決済情報、残高金額やカードID番号等の情報を含んでいる。残高金額は、ICカードに入金(積み増し)されている金額から利用した金額(精算した金額)を差し引いた金額である。カード情報は、例えばビット列で記録され、電磁波を用いて非接触で読み出し又は書き込みできるものである。アンテナ部110は、ICカードとの間で電磁波を送受信する機能を有し、さらに、カードリーダライタを備える。当該カードリーダライタは、ICカードに書き込まれたカード情報を読み込んだり、書き換えたりするもので、例えば所定周波数帯域の電磁波をカード情報の授受に用いる。なお、本実施の形態のように、アンテナ部110を挿入部20から水平に移動した部分に配設すると、剛性を有するICカードが搬送される際に曲がったりすることがないので破損してしまうことがない。
【0058】
集積部140は、第1の搬送路210の搬送経路上、整列部30と第1の振分部410との間に配設されている。集積部140は、板金等を略L字型に曲げて形成されたストッパー部130と協動して、各処理を施され、第1の搬送路210により挿入部20に向かって搬送さるPET券、ICカードを集積するものである。集積部140に集積されたPET券、ICカードは、一括して挿入口20aに搬送される。ただし、利用者が取り消しボタンを押して、カード処理装置1による処理をキャンセルした場合は、PET券、ICカードは集積せずに一枚ずつ挿入口20aに搬送される。ストッパー部130は、略L字型の短辺が第1の搬送路210の搬送経路と略垂直に交わるように配設される(図3参照)。ストッパー部130は、通常では略L字型の短辺の先端が第1の搬送路210の搬送経路よりも下方に退避しており、集積部140にPET券、ICカードを集積する際に、ソレノイドによって駆動されて当該先端が搬送経路の上側に突出し、略L字型の短辺にPET券、ICカードを当接させて一時保留する。
【0059】
取忘回収部150は、第3の搬送路230の搬送経路上、第1の振分部410とアンテナ部110との間、典型的には、第1の振分部410の直下流に配設されている。取忘回収部150は、挿入部20で取り忘れられたカード2を回収するもので、カード2を収納する収納受皿を有している。
【0060】
保留部300は、搬送装置200の搬送経路上にあるカード2を一時保留するものである。保留部300は、カード2の保留状態を、外から目視可能な構成となっている。また、挿入部20よりカード2が複数枚挿入されたときの退避エリアでもある。本実施の形態では、保留部300は、第5の搬送路250の搬送経路上の第4の搬送路240とは反対側に配設される第1の保留部310、第5の搬送路250の搬送経路上の第4の搬送路240と第1の保留部310との間に配設される第2の保留部320、第4の搬送路240の搬送経路上の印字部70と第5の搬送路250との間に配設される第3の保留部330、第6の搬送路260の搬送経路上、廃券回収部90と第3の振分部43との間の略垂直な部分に配設される第4の保留部340、第6の搬送路260の搬送経路上の第3の振分部43近傍に配設される第5の保留部350、第7の搬送路270の搬送経路上の第3の振分部43と回数券パンチ部80との間に配設される第6の保留部360、第7の搬送路270の搬送経路上の第6の搬送路260とは反対側に配設される第7の保留部370、第3の搬送路230の搬送経路上のアンテナ部110が設置されている部分に配設される第8の保留部380、第3の搬送路230の搬送経路上の第1の搬送路210とは反対側に配設される第9の保留部390を含んで構成される。なお、これらの保留部を特に分けて説明する必要のない場合には単に保留部300という。
【0061】
典型的には、第1の保留部310、第2の保留部320、第3の保留部330は、PET券を保留し、第4の保留部340、第5の保留部350、第6の保留部360、第7の保留部370は、エドモンソン券、大型券を保留し、第8の保留部380、第9の保留部390は、ICカードを保留する。また、複数のPET券が挿入された際には、1枚目は第1の保留部310、2枚目は第2の保留部320、3枚目のは第3の保留部330というように順に保留される。複数のエドモンソン券、大型券が挿入された際には、1枚目は第4の保留部340、2枚目は第5の保留部350に保留され、3枚目が挿入されると、第5の保留部350に保留されている2枚目のエドモンソン券又は大型券が第6の保留部360に搬送、保留され、第5の保留部350に3枚目のエドモンソン券又は大型券が保留される。また、第7の保留部370には、1枚目に乗車券、2枚目に第1の回数券が挿入され、さらに3枚目に第2の回数券が挿入された際に、第1の回数券が一時的に保留される。また、複数のICカードが挿入された際には、1枚目は第8の保留部380に保留され、2枚目が挿入されると、第8の保留部380に保留されている1枚目のICカードが第9の保留部390に搬送、保留され、第8の保留部380に2枚目のICカードが保留される。なお、第5の保留部350には、PET券が連続して4枚挿入された際に4枚目のPET券が保留されることがある。
【0062】
保留部300は、ストッパー部130とほぼ同様の板金等を略L字型に曲げ加工して形成されたストッパーを有し、カード2を当該ストッパーに当接させて一時的に保留するが、これに限らず、ピンチローラを用いたり、各搬送路からカード2を引き離すようにして保留する構成としてもよい。また、例えば、各保留部が配設される搬送路を、さらに複数の部分的な搬送路に分割して、分割した搬送路の内の1つの搬送路の駆動源を他の搬送路から独立した駆動源とし、当該搬送路の駆動のみを停止することでカード2を保留するように構成してもよい。
【0063】
制御部160は、カード検知器20bから送信されるカード2の種類に関する信号に基づいて、第1の振分部410、第2の振分部420、第3の振分部430等の駆動を制御する。さらに、制御部160は、カード処理装置1内での各種信号、情報(上述したカード情報、パンチ情報、利用情報、印刷情報、磁気情報等)の入出力を行いカード処理装置1の各部の動作を制御するように構成されており、ここでは、電源装置と一体に構成されている。制御部160は、例えばパソコンやマイコンなどのコンピュータであり、カード処理装置1の内部にあってもよいし、外部にあってもよい。また、制御部160は、上位装置、例えば自動精算機等との信号、情報の入出力を行い、精算、販売(発券)等の処理に応じてカード処理装置1の各部の動作を制御する。
【0064】
次に、図1を参照してカード処理装置1の動作について説明する。まず、カード処理装置1は、挿入部20の挿入口20aより挿入されるカード2を受け付け取り込み、カード検知器20bによりカード2の種類を識別し、整列部30で整列する。識別の結果、挿入されたカード2がエドモンソン券、大型券、PET券の場合は、カード処理装置1は、第1の振分部410を駆動せずに、下側振分爪411と上側振分爪412とがかみこんだ状態、すなわち通常状態(図3(a)で示した状態)のままでカード2を第2の搬送路220に導入し、エンコード部50へ搬送する。さらに、カード処理装置1は、エンコード部50でエドモンソン券の磁気情報を読み取り、カード2は保留部300のいずれかで保留される。
【0065】
識別の結果、挿入されたカード2がICカードの場合は、カード処理装置1は、制御部160の制御により第1の振分部410を駆動し、上側振分爪412(図3参照)を摺動面412’(図3参照)が鉛直方向に対して上向きに移動するように回動し、下側振分爪411(図3参照)を摺動面411’(図3参照)が鉛直方向に対して下向きに移動するように回動し、第1の振分部410を開放状態(図3(b)で示した状態)とする。さらに、カード処理装置1は、カード2を第3の搬送路230に導入し、アンテナ部110へ搬送する。カード処理装置1は、アンテナ部110でICカードのカード情報を読み取り、ICカードはそのまま第8の保留部380で保留される。その後2枚目のICカードが挿入されると、1枚目のICカードは第9の保留部390に搬送され、そこで保留される。2枚目のICカードは、第8の保留部380で保留される。
【0066】
それぞれの処理が終わると、カード処理装置1は、制御部160の制御により第1の振分部410を駆動し、開放状態(図3(b)で示した状態)とする(もともと開放状態であれば開放状態を継続する)。さらに、エドモンソン券と大型券は廃券回収部90に搬送され回収、保管される。このときエドモンソン券が回数券である場合、当該回数券は、回数券パンチ部80で第2の穿孔処理が行われ廃券回収部90に搬送される。PET券であるプリペイドカードは、印字部70で印字処理が行われ、カードパンチ部60で第1の穿孔処理が行なわれ、集積部140へ搬送される。PET券である定期券は、印字処理、第1の穿孔処理を省略して集積部140へ搬送される。ICカードはアンテナ部110でカード情報の書き込みが行われ集積部140へ集められる。集積部140に集積されたカード2は、一括して挿入部20の挿入口20aに搬送され、排出される。その後、本カード処理装置1が、例えば自動精算機に内蔵されているのであれば、自動精算機に組み込まれている券発券装置等から精算済みであることを示す券が発券される。
【0067】
以上で説明した本発明の実施の形態に係るカード処理装置1によれば、急角度に交差する第1の搬送路210と第2の搬送路220との間でのカード2の受け渡しの角度を緩やかな角度に規制する上側振分爪412、下側振分爪411によって、カード2の第1の搬送路210への進入角度、あるいは第2の搬送路220への進入角度が緩やかな角度となりカード2が折れ曲がってしまうことが無くなる。したがって、カード2の搬送方向を急な角度で変更しても確実に処理することができるカード処理装置1を提供することができ、さらに、カード2の搬送経路のレイアウトをコンパクトなものにし、処理するカード2の種類の増加に対応しつつ装置の大型化を避けることができる。
【0068】
さらに、第1の振分部410は、上側振分爪412と、下側振分爪411とが入れ子状に形成されることで比較的省スペースな構成とすることができる。さらに、上記受け渡しの角度を緩やかな角度に規制する部材である上側振分爪412、下側振分爪411とがエドモンソン券、大型券、PET券とICカードを振り分ける部材としても機能することで、カード2を振り分ける部分と、カード2の搬送方向を急角度に変更する部分とを一致させることができ、カード処理装置1を小型化することができる。また、これにより、カード処理装置1内の各部のレイアウトを空間効率のよいレイアウトにすることができる。
【0069】
さらに、ストッパー部130、集積部140に集積されるカード2の一部が、第3の搬送路230への搬送経路が開放状態にある下側振分爪411と上側振分爪412との間に位置することができるので、ストッパー部130、集積部140を第1の振分部410に近接して配設することができる。これによりカード処理装置1をよりコンパクトな構成とすることができる。また、処理されたICカード、PET券の両カードをストッパー部130、集積部140に集積する際には、カードの種類に応じて第1の振分部410を駆動することなく集積することができるので、迅速にカード2を返却する処理を行うことができる。
【0070】
なお、本発明の実施の形態であるカード処理装置1は、上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の実施の形態に係るカード処理装置の構成例を示す模式的断面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るカード処理装置の第1の振分部の構成を説明するための図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るカード処理装置の第1の振分部の動作を説明するための図である。
【符号の説明】
【0072】
1 カード処理装置
2 カード
20 挿入部
20b カード検知器
30 整列部
50 エンコード部
60 カードパンチ部
70 印字部
80 回数券パンチ部
90 廃券回収部
110 アンテナ部
130 ストッパー部
140 集積部
150 取忘回収部
160 制御部
200 搬送装置
210 第1の搬送路
220 第2の搬送路
230 第3の搬送路
300 保留部
410 第1の振分部
411 下側振分爪
411’、412’、412a’、412b’ 摺動面
412 上側振分爪
420 第2の振分部
430 第3の振分部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カード状の媒体を第1の方向に搬送する第1の搬送部と;
前記媒体を前記第1の方向と交差する第2の方向に搬送する第2の搬送部と;
前記第1の搬送部と前記第2の搬送部との間の前記交差する部分に配設され、前記媒体を前記第1の搬送部から前記第2の搬送部に受け渡す際に、当該受け渡しの角度を規制する第1の搬送補助部材と;
前記第1の搬送部と前記第2の搬送部との間の前記交差する部分に配設され、前記媒体を前記第2の搬送部から前記第1の搬送部に受け渡す際に、当該受け渡しの角度を規制する第2の搬送補助部材とを備える;
媒体処理装置。
【請求項2】
前記媒体を前記第1の方向に対して略平行な第3の方向に搬送する第3の搬送部を備え;
前記第2の搬送補助部材は、前記第1の搬送補助部材とは別の部材であり;
前記媒体を前記第1の搬送部から前記第3の搬送部に受け渡す際又は前記第3の搬送部から前記第1の搬送部に受け渡す際に、前記媒体を前記第1の搬送補助部材と前記第2の搬送補助部材との間を通して受け渡すように構成される、
請求項1に記載の媒体処理装置。
【請求項3】
第1の搬送補助部材と第2の搬送補助部材とは、入れ子状に形成される;
請求項1又は請求項2に記載の媒体処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2006−103913(P2006−103913A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−294116(P2004−294116)
【出願日】平成16年10月6日(2004.10.6)
【出願人】(000143396)株式会社高見沢サイバネティックス (55)
【Fターム(参考)】