説明

媒体処理装置

【課題】通帳伝票プリンタを設置する空間のスペースユーティリティを向上させると共に、媒体の処理に要する時間を短縮する手段を提供する。
【解決手段】媒体挿入排出口2から印字面を垂直にして挿入された通帳および伝票からなる媒体を、処理後に媒体挿入排出口2から排出する通帳伝票プリンタ1に、媒体挿入排出口2から挿入された媒体を取込み、その媒体を挿入方向に搬送する媒体搬送路12と、媒体搬送路の挿入方向に併設され、媒体搬送路12から引渡された媒体を、その媒体の下端の位置決めを行う印字基準面22に沿わせて挿入方向に搬送する印字搬送路23と、媒体への印字を行う媒体印字部4とが設けられた媒体処理部6と、媒体搬送路12と印字搬送路23との連結部から分岐する分岐搬送路31に設けられた一時退避部8と、連結部に設けられ、搬送方向を印字搬送路23または分岐搬送路31の方向へ切替える搬送路切替部7とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金融機関に設置され、オペレータがセットした通帳および伝票からなる媒体を取込み、その媒体に対する印字処理等を行う媒体処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の媒体処理装置として通帳伝票プリンタは、正面側に通帳挿入口と伝票挿入口とを上下2段に設けたインサータユニットを配置し、その通帳用および伝票用の搬送路を合流させて一つの印字ユニットへ導く搬送経路を形成し、通帳挿入口から挿入された通帳は、通帳用の搬送路に設けた幅寄せローラによって基準面に突当てて位置決めした後に通帳の磁気ストライプに記録された通帳情報を読取って印字ユニットへ搬送し、伝票挿入口から挿入された伝票は、伝票用の搬送路に設けた幅寄せローラによって基準面に突当てて位置決めして印字ユニットへ搬送し、通帳または伝票に対する印字処理の後に搬送経路を合流部で切替えて、媒体が挿入された元の通帳挿入口または伝票挿入口から排出している(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−281245号公報(段落0002、0003、0011−0024、第3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術においては、通帳挿入口および伝票挿入口を上下2段に配置し、通帳または伝票を水平にして挿入しているため、通帳伝票プリンタを机上等に設置することが必要になり、その水平方向の設置幅が大きいために、金融機関の応対窓口等における机上の作業スペースが狭くなるという問題がある。
【0005】
また、通帳および伝票をそれぞれ挿入するための専用の挿入口を設け、挿入された媒体を一つの印字ユニットで処理しているため、どちらかの媒体への印字処理等の処理後に当該媒体の排出が終了しないと他の媒体の処理を行うことができず、窓口取引における媒体の処理に時間を要するという問題がある。
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、媒体処理装置を設置する空間のスペースユーティリティを向上させると共に、媒体の処理に要する時間を短縮する手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために、媒体挿入排出口から印字面を垂直にして挿入された第1の媒体および第2の媒体からなる媒体を、処理後に前記媒体挿入排出口から排出する媒体処理装置において、前記媒体挿入排出口から挿入された媒体を取込み、その媒体を挿入方向に搬送する媒体搬送路と、前記媒体搬送路の前記挿入方向に併設され、前記媒体搬送路から引渡された媒体を、その媒体の下端の位置決めを行う印字基準面に沿わせて前記挿入方向に搬送する印字搬送路と、媒体への印字を行う媒体印字部とが設けられた媒体処理部と、前記媒体搬送路と印字搬送路との連結部から分岐する分岐搬送路に設けられた一時退避部と、前記連結部に設けられ、搬送方向を前記印字搬送路または前記分岐搬送路の方向へ切替える搬送路切替部と、を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
これにより、本発明は、媒体処理装置の水平方向の設置幅を小さくして、媒体処理装置を設置する空間のスペースユーティリティを向上させることができると共に、通帳および伝票の同時処理を可能にして、取引における処理時間を短縮することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例1の通帳伝票プリンタの構成を示すブロック図
【図2】実施例1の通帳伝票プリンタの設置状態を示す説明図
【図3】実施例1の通帳伝票プリンタの側面から見た概略構成を示す説明図
【図4】図3のA−A断面線に沿った正面側からみた断面を示す説明図
【図5】図3のB−B断面線に沿った上面側からみた断面を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、図面を参照して本発明による媒体処理装置の実施例について説明する。
【実施例1】
【0010】
図1において、1は媒体処理装置としての通帳伝票プリンタであり、第1の媒体としての通帳および第2の媒体としての伝票からなる2種類の媒体に対する印字処理、通帳の磁気ストライプに磁気データとして記録された通帳情報の読取りや書込みの処理を行う。ここで、通帳伝票プリンタ1に設けられた図示しない制御部は、上位装置とのデータ送受信、媒体の搬送、印字処理および磁気データの読取りや書込み処理等を制御する。
【0011】
2は媒体挿入排出口であり、通帳伝票プリンタ1の装置本体の正面(オペレータ側の面のことをいう。図3において左側)に設けられた、通帳および伝票の挿入および排出を兼用で行う一つの開口であって、取引で取扱われる媒体(取扱媒体という。)の中で最大の媒体が挿入可能な大きさを有している。
【0012】
本実施例の通帳伝票プリンタ1は、媒体挿入排出口2から印字面を垂直にして挿入された媒体(通帳および伝票)を取込み、処理後の媒体を印字面を垂直にして媒体挿入排出口2から排出する媒体取込排出部3と、媒体取込排出部3から引渡された通帳および伝票に取引内容や処理済等の所定の事項の印字を行う媒体印字部4、通帳のページ替えが必要となった場合にページ捲りを行う通帳ページ捲り部5等を備えた媒体処理部6とを媒体の挿入方向に並設し、媒体挿入排出口2から挿入された通帳を媒体取込排出部3で取込み、その通帳を媒体処理部6へ搬送して印字処理等の処理を行い、通帳への印字処理中に媒体挿入排出口2から伝票が挿入された場合に、媒体取込排出部3で取込んだ伝票の搬送先を搬送路切替部7で切替えて一時退避部8に一時退避させ、処理後の通帳を媒体取込排出部3へ搬送して媒体挿入排出口2から排出した後に、一時退避させた伝票を、一旦、媒体取込排出部3へ戻して媒体処理部6へ搬送し、その伝票への印字処理後に媒体取込排出部3へ搬送して媒体挿入排出口2から排出するように構成され、図2に示すように、通帳伝票プリンタ1への指示入力等を行う上位装置としての入力装置10が載置された机の下等に媒体挿入排出口2を正面側に向けて縦長に設置される。また、本実施例の一時退避部8は、媒体処理部6の水平方向に併設されている。
【0013】
媒体印字部4は、通帳および伝票への印字を行うための印字ヘッド4aとこれに対向して設けられたプラテン4bとインクリボンカセット4cとを備えており(図5参照)、後述する印字搬送路23により搬送された通帳および伝票に印字を行う機能を有している。
【0014】
図3において、11は媒体搬送ローラであり、媒体挿入排出口2から印字面を垂直にして挿入された通帳および伝票からなる2種類の媒体を一対のローラで挟持して、挿入方向または排出方向、つまり図3に矢印で示すR方向またはF方向に搬送する搬送ローラであって、図4、図5に示すように、媒体の表裏の面を案内する一対の搬送ガイド12a、12b間の媒体搬送路12から退避可能に設けられている。
【0015】
また、本実施例においては、媒体挿入排出口2から挿入された通帳および伝票は、媒体搬送ローラ11に挟持されて搬送され、媒体取込排出部3に取込まれる。
なお、図3は、紙面手前側に設けられた一時退避部8および分岐搬送路31(後述)を省略した状態で示してある。
【0016】
13は挿入センサであり、媒体挿入排出口2の直近に配置された光学式のセンサであって、媒体の挿入および排出を検出すると共に、挿入された媒体の挿入方向の長さを検出する機能を有している。
14は媒体セットセンサであり、媒体搬送路12の媒体基準面15の上側でその背面側(図3において右側)に配置された光学式のセンサであって、媒体の下端が媒体基準面15に突当てられて位置決めされたことを検出すると共に、媒体挿入排出口2から挿入された媒体の挿入方向(R方向)の先端を検出して媒体が媒体取込排出部3内に取込まれたことを検出する。
【0017】
16は幅寄せローラであり、媒体を挟持して搬送する一対のローラであって、媒体の下端が、通帳や伝票の反り等の要因で媒体基準面15に突当てられなかったことを媒体セットセンサ14によって検出したときに、媒体を媒体基準面15に強制的に突当てる機能を有しており、媒体搬送路12から退避可能に設けられている。なお、幅寄せローラ16は区別のためにハッチングを付して示してある(図3参照)。
【0018】
21は印字搬送ローラであり、媒体基準面15で位置決めされ、媒体取込排出部3の媒体搬送路12から引渡された媒体を挟持してF方向またはR方向に搬送する搬送ローラであって、図3、図5に示すように、媒体の下端を印字基準面22に沿わせながら一対の搬送ガイド23a、23b間の印字搬送路23に沿って媒体を搬送する。
なお、各印字搬送ローラ21は、図5に示すように、印字搬送路23内で一対の搬送ローラが突合された状態で設けられている。また、印字基準面22は、媒体取込排出部3の媒体基準面15と面一になる位置に設けられている。
【0019】
25は磁気ヘッドであり、通帳に設けられた磁気ストライプに応じた位置に取付られており、磁気ストライプに記録された通帳情報の読取り、書込みを行う。
26はページセンサであり、通帳の各ページに設けられたページマークの読取りや印字文字の判別を行う。
【0020】
31は分岐搬送路であり、図5に示すように、媒体搬送路12と印字搬送路23との連結部から分岐して一時退避部8内に至る搬送路であって、搬送路切替部7で搬送方向を切替えられた通帳および伝票を、一対の搬送ガイド31a、31b間を分岐搬送ローラ32で挟持して正逆両方向に搬送する。
【0021】
搬送路切替部7は、媒体搬送路12と印字搬送路23との連結部に配置され、切替ブレードやその駆動機構等からなる搬送方向の切替機構を備えており、媒体取込排出部3から搬送される媒体の搬送方向を、印字搬送路23または分岐搬送路31の方向へ切替える機能等を有している。
なお、各分岐搬送ローラ32は、図4、図5に示すように、分岐搬送路31内で一対の搬送ローラが突合された状態で設けられている。
【0022】
上記した媒体取込排出部3は、媒体搬送ローラ11、幅寄せローラ16、媒体基準面15、挿入センサ13、媒体セットセンサ14等で構成されている。
また、媒体処理部6は、印字搬送ローラ21を有する印字搬送路23、印字基準面22、磁気ヘッド25、ページセンサ26、印字ヘッド4a等を有する媒体印字部4、通帳ページ捲り部5等で構成され、一時退避部8は、分岐搬送ローラ32を有する分岐搬送路31等で構成されている。
【0023】
以下に、本実施例の通帳伝票プリンタ1による媒体処理の処理動作について説明する。
以下の説明においては、金融機関の応対窓口のオペレータが顧客から受取った通帳および伝票を基に取引(例えば、出金伝票による出金取引)を行い、その取引内容を通帳に記帳し、これと同時に伝票に所定の事項を印字する場合を例に説明する。
【0024】
本実施例の通帳伝票プリンタ1の初期状態は、媒体取込排出部3の媒体搬送ローラ11は媒体搬送路12内で一対の搬送ローラを突合せた状態、幅寄せローラ16は媒体搬送路12から退避した状態になっており、搬送路切替部7は、媒体搬送路12から搬送された媒体を印字搬送路23へ導く方向に搬送方向を切替えた状態になっている。
【0025】
オペレータが顧客の通帳の記帳ページを開いて、媒体挿入排出口2から綴じ目の直交方向に沿った方向に通帳を印字面を垂直にして挿入すると、通帳伝票プリンタ1の図示しない制御部は、挿入センサ13で媒体の挿入を検出し、媒体取込排出部3の媒体搬送ローラ11をR方向(図3参照)への搬送方向に回転させ、当該媒体を挟持して挿入方向(R方向)に搬送し、媒体取込排出部3内への取込を開始する。
【0026】
挿入された媒体の取込を開始した制御部は、媒体セットセンサ14が媒体の挿入方向(R方向)の先端を検出するまで媒体搬送ローラ11を回転させ、媒体セットセンサ14が通帳の先端を検出したときに媒体搬送ローラ11を全て停止させ、媒体搬送ローラ11を媒体搬送路12から退避させて通帳を自重により落下させて媒体基準面15に突当てる。これにより、通帳の下端が自動的に印字基準面22と同じ高さに位置決めされる。
【0027】
なお、所定の時間経過しても媒体セットセンサ14が通帳を検出しない場合、制御部は、幅寄せローラ16により通帳を挟持して搬送し、落ちきらなかった通帳を強制的に媒体基準面15に突当てる。
そして、制御部は、位置決めされた通帳を媒体搬送ローラ11で再び挟持する。幅寄せローラで位置決めした場合は、媒体搬送ローラ11による挟持後に幅寄せローラ16を媒体搬送路12から退避させる。これにより媒体基準面15に位置決めされた通帳が媒体搬送ローラ11に挟持された状態で媒体取込排出部3内に取込まれる。
【0028】
また、前記した媒体搬送ローラ11による媒体の搬送中に、制御部は、挿入センサ13が媒体の挿入方向の先端を検出したときからの経過時間を計測しながら挿入センサ13が媒体の後端を検出するのを待って待機し、挿入センサ13が媒体の後端を検出したときに、その経過時間を基に媒体の長さを検出し、その長さによって媒体が通帳であるか伝票であるかを判定し、その判定結果、つまり先の媒体が種類を図示しない記憶部に保存する(本段階では、挿入された媒体を通帳と判定し、先の媒体が通帳であることを記憶部に保存する。)。
【0029】
そして、制御部は、媒体取込排出部3の媒体搬送ローラ11によって位置決めされた通帳を印字搬送路23の方向(R方向)へ搬送し、これを媒体取込排出部3から印字搬送路23の印字搬送ローラ21に引渡し、記憶部に保存されている先の媒体に種類によって当該媒体を通帳と認識し、当該通帳をページセンサ26での読取り位置へ搬送してページマークを読取ると共にこの搬送の過程で磁気ヘッド25によって通帳の磁気ストライプから記帳中のページ等の通帳情報を読取る。
【0030】
通帳のページマークおよび通帳情報を読取った制御部は、当該通帳を印字搬送ローラ21で通帳印字位置へ搬送し、印字ヘッド4aで通帳への印字処理を行う。この場合に、改ページが必要であれば、印字搬送ローラ21により通帳ページ捲り部5へ搬送してページの捲り処理を行った後に印字処理を行う。
【0031】
この通帳への印字処理の過程で挿入センサ13が媒体挿入排出口2から挿入された新たな媒体(本実施例では伝票)の挿入方向(R方向)の先端を検出した場合、制御部は、その挿入を受入れ、上記した通帳の場合と同様にして、媒体搬送ローラ11により当該伝票を媒体取込排出部3内に搬送して位置決めを行い、経過時間を基に検出した媒体の長さによって当該媒体が伝票であると判定して、後の媒体が伝票であることを記憶部に保存し、伝票を媒体搬送ローラ11で挟持した状態で媒体取込排出部3内に取込む。
【0032】
媒体取込排出部3に伝票を取込んだ制御部は、搬送路切替部7によって伝票の搬送方向を分岐搬送路31の方向に切替え、媒体取込排出部3の媒体搬送ローラ11によって、位置決めされた伝票を挿入方向(R方向)へ搬送し、これを媒体取込排出部3から分岐搬送路31の分岐搬送ローラ32に引渡し、正方向に回転する分岐搬送ローラ32によって一時退避部8へ搬送して、後の媒体である伝票を一時退避させる。
【0033】
そして、制御部は、通帳への印字処理が終了し、かつ伝票が一時退避部8へ搬送されたことを認識したときに、搬送路切替部7によって、印字処理を終えた通帳の搬送方向を印字搬送路23から媒体取込排出部3の媒体搬送路12へ搬送する方向に切替え、印字処理を終えた通帳を印字搬送ローラ21で媒体取込排出部3の方向(F方向)へ搬送すると共にこの搬送の過程で磁気ヘッド25により通帳の磁気ストライプの通帳情報に現在の記帳ページ等を書込み、その通帳を媒体搬送路12の媒体搬送ローラ11に引渡し、媒体搬送ローラ11により通帳を更に排出方向(F方向)へ搬送して挿入センサ13が通帳の排出方向の先端を検出し所定の距離搬送した後に媒体搬送ローラ11を停止して媒体挿入排出口2から通帳を排出し、挿入センサ13によってオペレータによる通帳の受取りを確認する。
【0034】
オペレータによる通帳の受取りを確認した制御部は、搬送路切替部7によって、一時退避させた伝票の搬送方向を分岐搬送路31から媒体取込排出部3の媒体搬送路12へ搬送する方向に切替え、一時退避させた伝票を逆方向に回転する分岐搬送ローラ32で媒体取込排出部3の方向へ搬送して媒体搬送路12の媒体搬送ローラ11に引渡し、媒体搬送ローラ11により挿入センサ13が伝票の搬送方向の先端を検出するまで搬送して媒体搬送ローラ11を停止させ、媒体搬送ローラ11を逆転させて、上記した通帳の場合と同様にして、当該伝票を媒体搬送路12の媒体基準面15に自重により落下させて突当て、伝票の下端を印字基準面22と同じ高さに自動的に位置決めをする。
【0035】
そして、制御部は、搬送路切替部7によって、位置決めされた伝票の搬送方向を媒体取込排出部3の媒体搬送路12から印字搬送路23へ搬送する方向に切替え、位置決めされた伝票を媒体搬送ローラ11で再び挟持して印字搬送路23の方向(R方向)へ搬送し、これを媒体取込排出部3から印字搬送路23の印字搬送ローラ21に引渡し、記憶部に保存されている後の媒体に種類によって当該媒体を伝票と認識し、当該伝票を伝票印字位置へ搬送して印字ヘッド4aで伝票への印字処理を行う。
【0036】
伝票への印字処理が終了すると、制御部は、印字処理を終えた伝票を印字搬送ローラ21で媒体取込排出部3の方向(F方向)へ搬送して媒体搬送路12の媒体搬送ローラ11に引渡し、媒体搬送ローラ11により伝票を更に排出方向(F方向)へ搬送して挿入センサ13が伝票の排出方向の先端を検出し所定の距離搬送した後に媒体搬送ローラ11を停止して媒体挿入排出口2から伝票を排出し、挿入センサ13によってオペレータによる伝票の受取りを確認する。
【0037】
ここで、本実施例においては挿入された媒体の媒体長を検出することにより媒体種別(通帳または伝票のいずれか)を判別することとしたが、上位装置からの制御コマンドまたは装置の操作パネル等により媒体種別を指定し、指定結果に従い媒体の処理動作を制御することとしてもよい。
このようにして、本実施例の通帳伝票プリンタ1による通帳および伝票を連続的かつ同時に処理する媒体処理の処理動作が行われる。
【0038】
なお、通帳のみを処理する場合は、上記で説明した通帳の処理動作のみを実行し、伝票のみを処理する場合は、前記で説明した通帳のみを処理する場合の処理動作の媒体を伝票に置換えて実行するようにする。
また、上記では先の媒体は通帳であるとして説明したが、先の媒体が伝票の場合も同様である。この場合は、伝票のみを処理するプロセスを先に実行し、伝票の印字処理中に通帳を一時退避部8へ退避させるとよい。
更に、印字処理が終了した通帳または伝票のいずれの媒体を優先して排出するかは、上位装置からの制御コマンドまたは装置の操作パネル等により設定できることとしてもよい。
【0039】
上記のように、本実施例の通帳伝票プリンタ1は、印字面を垂直にした通帳または伝票の挿入および排出を行う媒体挿入排出口を設けると共に、通帳および伝票への印字処理等を行う媒体処理部6と、通帳または伝票を一時退避させる一時退避部8とを水平方向に並設したので、印字面を水平にして挿入、排出を行う従来の通帳伝票プリンタ1に比べて、通帳伝票プリンタ1の水平方向の設置幅を小さくすることができ、図2に示すように、机上の作業スペースを広くすることができると共に、机の下等の狭いスペースであっても通帳伝票プリンタを設置することができ、応対窓口等の通帳伝票プリンタ1を設置する空間のスペースユーティリティを向上させることができる。
【0040】
また、搬送路切替部7によって搬送方向を切替えて、後の媒体を一時退避部8へ一時退避させるので、処理後の媒体の排出完了を待たずに、先の媒体の印字処理中に、後の媒体を受入れることが可能になり、通常、窓口取引において同時に提出される通帳および伝票からなる2種類の媒体の同時処理を可能にして、窓口取引における処理時間を短縮することができる。
【0041】
更に、媒体の自重を利用して、媒体を媒体基準面15に落下させて位置決めするので、媒体の突当て処理自体を省略して媒体基準面15への幅寄せ機能を簡素化することができると共に、幅寄せ処理を高速化して通帳伝票プリンタ1の処理速度を向上させることができる。
更に、通帳および伝票の両方を挿入する兼用の媒体挿入排出口2を設けているため、オペレータが媒体挿入排出口2を間違えることがなくなり、媒体に対する処理のやり直しを防止して窓口取引における処理時間を短縮することができる。
【0042】
以上説明したように、本実施例では、媒体挿入排出口から印字面を垂直にして挿入された通帳および伝票からなる媒体を、処理後に媒体挿入排出口から排出する通帳伝票プリンタに、媒体挿入排出口から挿入された媒体を取込み、その媒体を挿入方向に搬送する媒体搬送路と、媒体搬送路の挿入方向に併設され、媒体搬送路から引渡された媒体を、その媒体の下端の位置決めを行う印字基準面に沿わせて挿入方向に搬送する印字搬送路と、媒体への印字を行う媒体印字部とが設けられた媒体処理部と、媒体搬送路と印字搬送路との連結部から分岐する分岐搬送路に設けられた一時退避部と、連結部に設けられ、搬送方向を印字搬送路または分岐搬送路の方向へ切替える搬送路切替部とを設けたことによって、通帳伝票プリンタの水平方向の設置幅を小さくして、応対窓口等の通帳伝票プリンタを設置する空間のスペースユーティリティを向上させることができると共に、通帳および伝票の同時処理を可能にして、窓口取引における処理時間を短縮することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 通帳伝票プリンタ
2 媒体挿入排出口
3 媒体取込排出部
4 媒体印字部
4a 印字ヘッド
4b プラテン
4c インクリボンカセット
5 通帳ページ捲り部
6 媒体処理部
7 搬送路切替部
8 一時退避部
10 入力装置
11 媒体搬送ローラ
12 媒体搬送路
12a、12b、23a、23b、31a、31b 搬送ガイド
13 挿入センサ
14 媒体セットセンサ
15 媒体基準面
16 幅寄せローラ
21 印字搬送ローラ
22 印字基準面
23 印字搬送路
25 磁気ヘッド
26 ページセンサ
31 分岐搬送路
32 分岐搬送ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体挿入排出口から印字面を垂直にして挿入された第1の媒体および第2の媒体からなる媒体を、処理後に前記媒体挿入排出口から排出する媒体処理装置において、
前記媒体挿入排出口から挿入された媒体を取込み、その媒体を挿入方向に搬送する媒体搬送路と、
前記媒体搬送路の前記挿入方向に併設され、前記媒体搬送路から引渡された媒体を、その媒体の下端の位置決めを行う印字基準面に沿わせて前記挿入方向に搬送する印字搬送路と、媒体への印字を行う媒体印字部とが設けられた媒体処理部と、
前記媒体搬送路と印字搬送路との連結部から分岐する分岐搬送路に設けられた一時退避部と、
前記連結部に設けられ、搬送方向を前記印字搬送路または前記分岐搬送路の方向へ切替える搬送路切替部と、を設けたことを特徴とする媒体処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の媒体処理装置において、
前記媒体印字部による前記第1の媒体への印字処理中に、前記媒体挿入排出口からの前記第2の媒体の挿入を受入れることを特徴とする媒体処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の媒体処理装置において、
前記媒体印字部による前記第2の媒体への印字処理中に、前記媒体挿入排出口からの前記第1の媒体の挿入を受入れることを特徴とする媒体処理装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の媒体処理装置において、
前記媒体挿入排出口が、装置本体の正面に設けられていることを特徴とする媒体処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−243005(P2012−243005A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−111245(P2011−111245)
【出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】