説明

媒体搬送ローラー、記録装置

【課題】板状体の加工により円筒軸を形成してこれを媒体搬送ローラーとする際に、被記録媒体の円滑な搬送を確保する。
【解決手段】被記録媒体に記録を行う記録装置において被記録媒体の搬送を担う媒体搬送ローラーとしての搬送駆動ローラー40は、板材Tを円筒状に加工して形成されている。板材Tの一対の端部R1、R2を接合した接合部Rは、少なくとも被記録媒体と接する領域である搬送領域Wが、円周線Qに対して交差する方向に直線状に延びていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファクシミリやプリンター等に代表される記録装置において、用紙等の被記録媒体の搬送を担う媒体搬送ローラー、およびこれを備えた記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ファクシミリやプリンター等に代表される記録装置においては、被記録媒体に記録を行う記録手段の上流側に、被記録媒体を搬送する搬送手段が設けられている。搬送手段の構成としては、被記録媒体を吸着しながら搬送する搬送ベルトなどがあるが、被記録媒体を挟圧しながら回転する一対のローラーにより構成されるのが一般的である。
【0003】
更にローラーの構成としては、ゴムなどにより形成された弾性ローラーなどがあるが、特にインクジェットプリンターにおいては、特許文献1、2に示されるように金属軸の表面に高摩擦層が形成された軸状のローラーが用いられることがある。尚、高摩擦層は、耐摩耗性粒子を軸体の外周面に接着層により保持することによって形成され、被記録媒体との間の摩擦係数を向上させてスリップを防止する機能を果たす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−63862号公報
【特許文献2】特開2001−158544号公報
【特許文献3】特開2006−289496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
媒体搬送ローラーとして軸状のローラーを用いる場合、中実軸と中空(円筒)軸を選択することができる。中実軸は、剛性が高く搬送精度が高い反面、コストアップと装置の重量増を招くことになる。その点、円筒軸は装置の軽量化、低コスト化に寄与することが可能となる。
【0006】
ところで、本願出願人は円筒軸の構造として特許文献3に示されるような円筒軸構造を提案している。特許文献3に記載された円筒軸は、対向する一対の端部を接合された金属板材により形成された円筒軸であるが、結合部の構造を凹凸状(以下、本明細書では「ジグソー状」と言う)に構成し、これにより機械的結合強度を向上させている。更にジグソー状を構成する凹凸は、単なる凹凸ではなく、所謂ジグソーパズルのピース形状のように結合すると容易に離反しないような、先端に行くに従って幅が広くなる凸と、これと嵌合する凹と、により構成されている。
【0007】
しかしながらジグソー状に形成された結合部は、ローラーとしての機械的強度の向上に寄与する反面、被記録媒体の搬送時には被記録媒体先端の引っ掛かりを招き易いという弊害があった。
そこで本発明はこの様な状況に鑑みなされたものであり、その目的は、板状体の加工により円筒軸を形成してこれを媒体搬送ローラーとする際に、被記録媒体の円滑な搬送を確保することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様は、被記録媒体の搬送を担う媒体搬送ローラーであって、板材を円筒状に加工して形成されており、前記板材の一対の端部を接合した接合部は、少なくとも被記録媒体と接する領域が、円周線に対して交差する方向に直線状に延びていることを特徴とする。
【0009】
本態様によれば、媒体搬送ローラーは対向する一対の端部を接合された変形可能な板材により円筒状に形成されているが、その接合部は、少なくとも被記録媒体と接する領域が円周線に対して交差する方向に直線状に延びているので、即ち被記録媒体と接する領域に複雑な接合形状が存在せず、これにより被記録媒体の特に先端が媒体搬送ローラーの外周面に引っ掛かることを軽減或いは防止でき、円滑な搬送を確保することができる。
【0010】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記直線状に延びる接合部は、円周線に対して非直角を成す方向に直線状に延びることを特徴とする。
本態様によれば、前記直線状に延びる接合部は、円周線に対して非直角を成す方向に直線状に延びるので、媒体搬送ローラーの外周面において前記直線状の接合部はスパイラル状を成す。これにより、被記録媒体の先端と前記直線状の接合部とが平行になることを防止でき、被記録媒体の先端が媒体搬送ローラーの外周面に引っ掛かることをより確実に防止できる。
【0011】
本発明の第3の態様は、第1のまたは第2の態様において、前記接合部は、前記端部の各々に形成された凹部と凸部との嵌合による凹凸嵌合部を有し、前記凹凸嵌合部が、被記録媒体と接する領域外に配置されていることを特徴とする。
【0012】
本態様によれば、前記凹凸嵌合部が、被記録媒体と接する領域外に配置されているので、被記録媒体の先端が媒体搬送ローラーの外周面の凹凸嵌合部(ジグソー部)に引っ掛かることを防止でき、円滑な搬送を確保することができる。
【0013】
本発明の第4の態様は、第1から第3の態様のいずれかにおいて、前記接合部は、プレス加工により形成されたマッチング部を有し、前記マッチング部が、被記録媒体と接する領域外に配置されていることを特徴とする。
【0014】
プレス加工において製品外形の直線部を金属板材から打ち抜く場合には、位置ズレが発生し易いため、位置ズレしないようにマッチングと呼ばれる穴を金属板材に意図的に形成する場合がある。このマッチングは、プレス加工において金属板材から直線部を打ちぬいて所望の板材とする際、打ちぬきラインの目安として機能するので、直線部を狙い通りに打ちぬくことが可能である。したがって、精度よく加工されるため、プレス加工後に一対の直線部を接合させて円筒軸とする際の接合性が良くなり、媒体搬送ローラーとして被記録媒体の円滑な搬送に寄与する。しかしながら、穴がプレス加工により分断されて凹部となり、この凹部は、円筒軸を形成した際に一対の凹部で穴を形成するため、ここに被記録媒体の先端が引っ掛かり易くなる。そこで本態様は、上記マッチングを、被記録媒体と接する領域外に配置したので、被記録媒体先端が媒体搬送ローラーの外周面に形成されたマッチング部に引っ掛かることを防止でき、円滑な搬送を確保することができる。
【0015】
本発明の第5の態様は、被記録媒体に記録を行う記録手段と、被記録媒体の搬送を担う、第1から第4の態様のいずれかに係る媒体搬送ローラーと、を備えたことを特徴とする。本態様によれば、記録装置において、上記第1から第4の態様のいずれかと同様な作用効果を得ることができる。
【0016】
本発明の第6の態様は、第5の態様において、前記媒体搬送ローラーを軸支する軸受部が、第3の態様に係る凹凸嵌合部、または第4の態様に係るマッチング部、或いは前記凹凸嵌合部及び前記マッチング部が設けられた領域外に配置されていることを特徴とする。
【0017】
媒体搬送ローラーの外周面に形成された複雑な形状、即ち上記凹凸嵌合部やマッチング部は、軸受部の内周面との間においても円滑な摺動を阻害する様に作用する場合がある。本態様は、上記凹凸嵌合部或いは上記マッチング部が設けられた領域外に軸受部が配置されているので、媒体搬送ローラーと軸受部との間の円滑な摺動を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係るプリンターの用紙搬送経路の側断面概略図。
【図2】本発明に係るプリンターの用紙搬送経路の側断面概略図。
【図3】本発明に係るプリンターの装置本体の斜視図。
【図4】搬送駆動ローラーを含む動力伝達系の斜視図。
【図5】金属板材の平面図。
【図6】(A)は搬送駆動ローラーの完成状態の平面図、(B)は同ローラーの円筒 加工前の展開状態の平面図。
【図7】(A)は他の実施形態に係る搬送駆動ローラーの完成状態の平面図、(B) は同ローラーの円筒加工前の展開状態の平面図。
【図8】プレス機による円筒曲げ工程を示す側面図。
【図9】プレス機による円筒曲げ工程を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図1〜図9を参照しながら本発明の一実施形態について説明する。ここで図1及び図2は本発明に係る記録装置の一例としてのインクジェットプリンター1の用紙搬送経路を示す側断面図、図3はインクジェットプリンター1の装置本体の斜視図、図4は搬送駆動ローラー40を含む動力伝達系の斜視図である。また、図5は金属板材TTの平面図、図6(A)は搬送駆動ローラー40の完成状態の平面図、図6(B)は同ローラーの円筒加工前の展開状態の平面図、図7(A)は他の実施形態に係る搬送駆動ローラー40’の完成状態の平面図、図7(B)は同円筒加工前の展開状態の平面図である。
【0020】
また、図8(A)〜図8(C)及び図9(A)〜図9(C)はプレス機による円筒曲げ工程を示す側面図である。
尚、以下では図1、図2において中間ローラー24から排出駆動ローラー47に至る用紙搬送経路において同図右方向を用紙搬送経路の「下流側」と言い、同図左方向を用紙搬送経路の「上流側」と言うこととする。
【0021】
<<1.インクジェットプリンターの全体構成>>
図1においてインクジェットプリンター1は装置底部に用紙給送部2を備えており、この用紙給送部2から被記録媒体の一例としての記録用紙Pを送り出し、用紙送りローラーユニット3にて湾曲反転させて記録手段(インクジェット記録ヘッド37)の側へと給送し、記録を行う構成を備えている。尚、図1において破線R1はこのときの記録用紙Pの搬送ルート(通過軌跡)を示している。
【0022】
またインクジェットプリンター1は記録用紙Pの第1面(おもて面)に記録を行った後、これをバックフィードして用紙送りローラーユニット3に送り込み、反転させ、第2面(うら面)を上にして再びインクジェット記録ヘッド37の側へ搬送することができるように構成されている。即ち両面記録可能に構成されており、図2において破線R2はこのときの記録用紙Pの搬送ルート(通過軌跡)を示している。
【0023】
符号8はプリンター機構部の上部に設けられるスキャナーユニットを示しており、インクジェットプリンター1はこのスキャナーユニット8にて読み込んだ原稿画像を下部のプリンター機構部により印刷出力が可能な、所謂複合機として構成されている。
【0024】
以下、更に用紙搬送経路の構成について詳説する。用紙給送部2は用紙カセット11と、給送ローラー18と、を備えている。プリンター装置本体に対して着脱可能な用紙カセット11には図示を省略するエッジガイドが設けられており、このエッジガイドによって用紙カセット11に収容された記録用紙Pの側端位置および後端位置が規制されるようになっている。
【0025】
用紙カセット11に収容された記録用紙Pの先端と対向する位置には分離斜面12が設けられており、給送ローラー18により送り出される記録用紙Pの先端が分離斜面12に摺接しつつ下流側へ給送されることで、給送されるべき最上位の記録用紙Pと、これに連れられて重送されようとする次位以降の記録用紙Pとの分離が行われる。
【0026】
給送ローラー18は、揺動軸20を中心にして図1及び図2の時計回り方向及び反時計回り方向に揺動可能な揺動部材19に軸支されており、且つ、図示しない駆動モーターの動力によって回転駆動されるように設けられている。給送ローラー18は、用紙給送時には用紙カセット11に収容された記録用紙Pの最上位のものに接して回転することにより、最上位の記録用紙Pを用紙カセット11から送り出す。
【0027】
尚、用紙カセット11において給送ローラー18と対向する位置には摩擦パッド13が設けられており、給送ローラー18が用紙束に上方から圧接した際に、最下位の記録用紙Pが摩擦パッド13に向けて押圧されることにより、用紙束ごと送り出されないように用紙束を保持する機能を果たす。
【0028】
用紙カセット11から上方に送り出された記録用紙Pは、用紙送りローラーユニット3に入る。この用紙送りローラーユニット3は、反転ローラー22と、中間ローラー23、24と、ガイド部材25と、を備えている。
【0029】
反転ローラー22は、記録用紙Pを湾曲反転させる経路の内側を形成する大径ローラーであり、本実施形態では用紙幅方向(図1及び図2の紙面表裏方向)において中心位置、即ち本実施形態に係るインクジェットプリンター1の給送基準位置に1つ、配置されている(図3も参照)。反転ローラー22は、図示しない駆動モーターの動力により回転駆動されるよう設けられており、図1及び図2の時計回り方向に回転することにより、記録用紙Pを下流側へと搬送する。
【0030】
中間ローラー23、24は自由回転可能なローラーであり、反転ローラー22との間で記録用紙Pをニップすることにより、反転ローラー22による用紙送りを補助する。ガイド部材25は、反転ローラー22と搬送駆動ローラー40との間に位置し、上側経路と、第1面に記録がおこなわれた記録用紙Pがバックフィードされる際に経由する下側経路とを形成する。
【0031】
次に、中間ローラー24の下流側には、搬送駆動ローラー40と搬送従動ローラー41とを備えて構成された第1搬送手段が設けられている。搬送駆動ローラー40は、本実施形態では用紙幅方向に長い軸体の表面に耐摩耗性粒子が付着されて成り、図示を省略する駆動モーターにより回転駆動される。尚、搬送駆動ローラー40は、本実施形態では金属板材を円筒状に加工した中空軸により形成されているが、これについては後に詳述する。
【0032】
また、図4、図6、図7において符号Saは前記耐摩耗性粒子が付着されて成る高摩擦領域を示しており、この高摩擦領域Saが記録用紙Pと接する領域(媒体搬送領域)となる。また、符号Wは高摩擦領域Saの形成範囲を、符号Sbは耐摩耗性粒子が付着されていない低摩擦領域を、それぞれ示している。
【0033】
図1及び図2に戻って、搬送従動ローラー41は、本実施形態では樹脂材料により形成され、搬送駆動ローラー40の長手方向に沿って複数配置される。この搬送従動ローラー41は、ローラー支持体としての紙案内部材30に自由回転可能に軸支されるとともに、搬送駆動ローラー40に対して圧接するよう設けられ、搬送駆動ローラー40との間で記録用紙Pをニップする。
【0034】
搬送従動ローラー41を支持する紙案内部材30は、揺動軸30aを介してフレーム33に揺動可能に支持されるとともに、フレーム33と紙案内部材30との間で付勢力を発揮する引っ張りばね31により、搬送従動ローラー41が搬送駆動ローラー40に圧接する方向に付勢された状態に設けられる。
【0035】
この紙案内部材30は、本実施形態では搬送駆動ローラー41の軸線方向に沿って複数(本実施形態では3つ)図3に示すように配置される。本実施形態では、中央の紙案内部材30が搬送従動ローラー41を1つ軸支し、その両脇の紙案内部材30が搬送従動ローラー41を2つ軸支する。
【0036】
尚、紙案内部材30は、搬送従動ローラー41を軸支するほか、上流側から給送される記録用紙Pを搬送駆動ローラー40と搬送従動ローラー41とのニップ点に案内する機能を果たす。また紙案内部材30は、後端が搬送従動ローラー41と搬送駆動ローラー40とのニップ点から下流側(図1及び図2において右側)に外れた記録用紙Pがバックフィードされる際(図1及び図2において左方向に搬送される際)、用紙後端を搬送駆動ローラー40と搬送従動ローラー41とのニップ点に案内する機能をも果たす。
【0037】
次に、搬送駆動ローラー40の下流側には、インクジェット記録ヘッド37と、紙案内部材45とが上下に対向配置されている。インクジェット記録ヘッド37はキャリッジ36の底部に設けられ、このキャリッジ36は前後に配置されたフレーム33、34にガイドされながら、図示を省略する駆動モーターの動力を受けて主走査方向(図1及び図2の紙面表裏方向)に往復動するよう設けられる。尚、このキャリッジ36には図示を省略するンクカートリッジが収容される。
【0038】
紙案内部材45においてインクジェット記録ヘッド37と対向する面には用紙搬送方向に延びるリブ45a、45b、45cが、用紙搬送方向の上流側から下流側に向かってこの順で所定間隔で配置され、また各リブが主走査方向に適宜の間隔を置いて複数設けられている(主走査方向の配置は図示せず)。記録用紙Pは、これらリブにより支持され、インクジェット記録ヘッド37との距離が規定される。
【0039】
次に、インクジェット記録ヘッド37と紙案内部材45とが対向する領域の下流側には用紙浮きを防止する補助ローラー46が設けられ、更にその下流側には第2搬送手段を構成する排出駆動ローラー47と排出従動ローラー48とが設けられている。排出駆動ローラー47はゴムローラーにより構成され、図示を省略する駆動モーターにより回転駆動される。排出従動ローラー48は排出駆動ローラー47に軽く弾接するよう設けられた拍車であり、排出駆動ローラー47との間で記録用紙Pをニップする。これらローラーにより、記録の行われた記録用紙Pは、図示を省略するスタッカへむけて排出される。
【0040】
尚、搬送駆動ローラー40は正逆回転可能に構成されており、即ち記録用紙Pをインクジェット記録ヘッド37の側へ搬送する第1方向(図1及び図2において右方向:下流側方向)と、反転経路を有する用紙送りローラーユニット3の側へ搬送する第2方向(図1および図2において左方向:上流側方向)の双方向に記録用紙Pを搬送可能である。また排出駆動ローラー47についても同様に、正逆回転可能に構成されており、上記第1方向、第2方向いずれの方向にも記録用紙Pを搬送可能である。
【0041】
<<2.搬送駆動ローラーを介した動力伝達構成>>
以上がインクジェットプリンター1の用紙搬送経路の構成であり、以下、図3及び図4を参照しながら搬送ローラーとしての搬送駆動ローラー47を介した動力伝達構成について説明する。
【0042】
本実施形態に係るインクジェットプリンター1は、1つの駆動モーター(図示せず)により、図1及び図2に示された構成では少なくとも4つの駆動対象、具体的には給送ローラー18、反転ローラー22、搬送駆動ローラー40、排出駆動ローラー47、のこれらローラーを駆動する。
【0043】
このうち、給送ローラー18は図示を省略する動力伝達切換手段により、用紙給送時のみ動力が伝達されるよう構成されており、他の3つのローラー(反転ローラー22、搬送駆動ローラー40、排出駆動ローラー47)は、少なくとも一の記録用紙の記録開始時から記録終了時までの記録実行期間中、常に動力が伝達され得る状態となっている。即ち、給送ローラー18は記録実行期間を除いた期間(用紙給送時)に、選択的にモーターからの動力が伝達される。尚、記録実行期間中に動力が伝達され得る上記3つのローラーは、少なくとも記録実行期間中にモーターからの動力が伝達され得る状態となっているが、常に回転するとは限らず、当然にモーターの停止に伴い回転は停止する。
【0044】
図3において符号60はモーターの回転軸に取り付けられた駆動プーリーを示しており、また符号50は搬送駆動ローラー40の軸端に取り付けられた従動プーリーを、符号58は排出駆動ローラー47の回転軸47aの軸端に取り付けられた従動プーリーを、それぞれ示している。
【0045】
そして駆動プーリー60、従動プーリー50、58、のこれらの間に無端ベルト59が巻回されており、これにより従動プーリー50、58、つまり搬送駆動ローラー40、排出駆動ローラー47、のこれらが回転駆動される様になっている。尚、符号55は従動プーリー50と一体的に回転するエンコーダースケールであり、符号56はエンコーダースケール55の回転を検出するエンコーダーであって、これらにより各ローラーの回転量、回転速度が検出可能となっている。
【0046】
次いで符号51は、搬送駆動ローラー40に取り付けられた第1伝達歯車を示している。第1伝達歯車51は、動力伝達機構53へモーターの動力を伝達する歯車であり、動力伝達機構53は第1伝達歯車51から得た動力を、反転ローラー22に伝達する。尚、動力伝達機構53は、遊星歯車輪列54(図4)を含んでおり、これにより搬送駆動ローラー40の正転/逆転の如何に拘わらず、反転ローラー22を正転送り方向(図1及び図2の時計回り方向)に回転させる様になっている。
【0047】
次いで符号52は、搬送駆動ローラー40において従動プーリー50が取り付けられた一端側に対し反対側の端部に取り付けられた第2伝達歯車を示している。第2伝達歯車52は、図示を省略する動力伝達切換機構(図示せず)を介してモーターの動力を給送ローラー18に伝達する歯車である。尚、上記動力伝達切換機構は、キャリッジ36と係合可能に設けられており、キャリッジ36との係合/係合解除によって、給送ローラー18へ動力を伝達する状態と、動力を伝達しない状態と、を切り換えるようになっている。
【0048】
次に、図4において符号A1は、搬送駆動ローラー40の軸線方向において従動プーリー50が取り付けられた位置(以下「第1位置A1」と言う)を示している。また、符号A2は第1伝達歯車51が取り付けられた位置(以下「第2位置A2」と言う)を、符号A3は第2伝達歯車52が取り付けられた位置(以下「第3位置A3」と言う)を、それぞれ示している。そして符号L1は第1位置A1〜第2位置A2の間の距離を、符号L2は第2位置A2〜第3位置A3の間の距離を、それぞれ示している。
【0049】
本実施形態では、図示するように搬送駆動ローラー40の軸線方向において、搬送駆動ローラー40の一方側端部から他方側端部に向かって、第1位置A1、第2位置A2、高摩擦領域Sa(記録用紙Pと接する領域)、第3位置A3、のこれらの順に配置されている。
【0050】
これにより、以下の作用効果が得られる。即ち、本実施形態において搬送駆動ローラー40は金属板材を円筒状に加工して形成されており、即ち中実軸より剛性の低い中空軸であるため、軸トルクによってねじれが生じ易い。そして搬送駆動ローラー40を介して、駆動源としてのモーターから動力を得て稼働する駆動対象としての反転ローラー22は、上述の通り一の記録用紙Pへの記録開始時から記録終了時までの記録実行期間中に搬送駆動ローラー40から動力を得て稼働するから、上記ねじれによって記録用紙Pの搬送精度が低下する虞がある。
【0051】
しかしながら、本実施形態においては搬送駆動ローラー40について、一方側端部から他方側端部に向かって、モーターから動力を得る第1位置A1、反転ローラー22へ動力を伝達する第2位置A2、記録用紙Pに搬送力を与える搬送領域W、のこれらの順に配置されている。このため、第1位置A1と第2位置A2との間の距離L1を短くすることができ、搬送駆動ローラー40に掛かるトルクに伴うねじれの程度を抑えることができ、前記ねじれに伴う用紙搬送精度の低下を最小限に抑えることができる。
【0052】
尚、上記実施形態では搬送駆動ローラー40について、一方側端部から他方側に向かって、モーターから動力を得る第1位置A1、反転ローラー22へ動力を伝達する第2位置A2、記録用紙Pに搬送力を与える搬送領域W、のこれらの順に配置したが、第1位置A1と第2位置A2について以下のようにしても良い。
【0053】
即ち、反転ローラー22へ動力を伝達する位置を第1位置A1とし、モーターから動力を得る位置を第2位置A2とし、搬送駆動ローラー40の一方側端部から他方側端部に向かって第1位置A1、第2位置A2、搬送領域W、の順に配置することもできる。この様にすることで、搬送駆動ローラー40がモーターから動力を得る位置と、搬送領域Wと、の間に、搬送駆動ローラー40が反転ローラー22に動力を伝達する位置が配置されないので、搬送駆動ローラー40のねじれに伴う搬送精度の低下を殆ど無くすことができる。
【0054】
<<3.搬送駆動ローラーの構成及び製造方法>>
続いて、図5乃至図9を参照しながら搬送駆動ローラー40の構成及び製造方法について説明する。
搬送駆動ローラー40は、上述の通り金属板材を円筒状に加工して形成されたものであり、主として金属板材のプレス加工と、プレス加工により得られた板材の円筒加工と、円筒加工により得られた円筒軸の表面に耐摩耗性粒子からなる高摩擦領域Saを付着する加工と、を含んでいる。以下では、金属板材のプレス加工を行う際の抜き形状について詳説する。尚、円筒加工については、例えば上述した特許文献3に記載された加工方法を採用することができる。
【0055】
プレス加工において製品外形の直線部を金属板材から打ち抜く場合には、位置ズレが発生し易いため、位置ズレしないように図5に示すようにマッチングMと呼ばれる穴を金属板材に意図的に形成する場合がある。このマッチングMは、プレス加工において金属板材TTから直線部を打ちぬいて所望の板材とする際、打ちぬきラインLuの目安として機能するので、直線部を狙い通りに打ちぬくことが可能である。したがって、精度よく加工されるので、プレス加工後に一対の直線部を接合させて円筒軸とする際の接合性が良くなり、媒体搬送ローラーとして被記録媒体の円滑な搬送に寄与する。
【0056】
図6(A)は搬送駆動ローラー40の平面図であり、符号Rは搬送領域Wにおける接合部を示し、符号Qは円周線(仮想の直線:用紙搬送方向に対して平行となる)を示している。また符号Jはジグザグ部を、符号Haは一対の凹部Hによる穴を、それぞれ示している。そしてこの搬送駆動ローラー40は、図6(B)に示す板材Tを円筒状に曲げ加工することで得られる。図6(B)において符号Hは凹部を、符号R1、R2は円筒加工後に搬送領域Wを形成することとなる板材Tの一対の端部(以下では「端面」とも言う場合がある)を示している。
【0057】
図6(B)に示すように、端部R1、R2は円周線Qに対して直角(α=90°)を成す様に直線状に延びており、凹凸部等は一切形成されない滑らかな直線により形成されている。円筒加工後の接合部Rも、これにより図6(A)に示すように円周線Qに対して直角(α=90°)を成す様に直線状に延び、凹凸部等は一切形成されない滑らかな直線となる。
【0058】
プレス加工時に形成される一対の凹部Hは、円筒加工後は凹部が対向することで一対の凹部による穴Haとなり、この穴Haは搬送領域Wの外側に位置する。ジグザグ部J1およびJ2は、接合強度を高める為に形成される凹凸嵌合部であり、接合時にジグザグ部Jとして嵌合する様に板材Tの一方側端部が凹状に、他方側端部が凸状に形成される。ジグザグ部Jにより、搬送駆動ローラー40は円筒加工後の特にねじれ強度が向上する様になっているが、このジグザグ部Jも、一対の凹部Hによる穴Haと同様に搬送領域Wの外側に位置する。
【0059】
以上の様に本実施形態によれば、板材Tを円筒状に加工して形成される搬送駆動ローラー40は、板材Tの一対の端部R1、R2を接合した接合部Rは、少なくとも用紙と接する搬送領域Wが、円周線Qに対して交差する方向に直線状に延びており、一対の凹部Hによる穴Haやジグザグ部Jが搬送領域Wの外側に形成されるので、用紙先端が搬送駆動ローラー40の外周面に引っ掛かることを軽減或いは防止でき、円滑な搬送を確保することができる。
【0060】
尚、一対の凹部Hによる穴Haとジグザグ部Jを、搬送駆動ローラー40を軸支する軸受部63、64(図6(A))により軸支される領域外に配置することで、軸受部の内周面との間で円滑な摺動を確保することも可能となる。
【0061】
次に、図7(A)、図7(B)を参照しながら他の実施形態について説明する。図7Aに示す搬送駆動ローラー40’は、直線状に延びる接合部R’が、円周線Qに対して非直角(α≠90°)を成す方向に延びており、外周面においてスパイラル状に延びた格好となっている。この搬送駆動ローラー40’を形成する板材T’は、図7(B)に示すように一対の端部R1’、R2’が円周線Qに対して非直角(α≠90°)を成す方向に直線状に延びる。
また、図7(B)は図6(B)と同様に、プレス加工時に形成される一対の凹部Hは円筒加工後は凹部Hが対向することで一対の凹部Hによる穴Haとなり、この穴Haは搬送領域Wの外側に位置する。さらに、同様にジグザグ部J1およびJ2は、接合時にはジグザグ部Jとして嵌合する様に板材Tの一方側端部が凹状に、他方側端部が凸状に形成される。このジグザグ部Jも、一対の凹部Hによる穴Haと同様に搬送領域Wの外側に位置する。
この様に形成することにより、一対の凹部Hによる穴Haやジグザグ部Jが搬送領域Wの外側に形成され、かつ、用紙先端に対して接合部R’が平行ではなくなり、これにより用紙先端がローラー外周面に引っ掛かることをより確実に防止することができる。
【0062】
また、搬送領域Wにおいて、接合部R’が円周線Qの方向に1回転以内の回転であることが望ましく、さらに図6(A)のように半回転以内の回転であることがより望ましい。 このようにして接合部R’を形成すれば、用紙先端がローラー外周面に引っ掛かることを防止することとともに、プレス加工にて接合部R’を含む板材T’を打ちぬくことが容易であり、ねじれ剛性を担保することも可能である。
【0063】
ここで、搬送駆動ローラー40の製造方法について説明する。まず、金属板材TTから搬送駆動ローラー40のもととなる板材Tをプレスにて打ち抜く工程および板材に嵌合部を形成する工程を説明する。図5に示すように、金属板材TT上にはマッチング穴Mと呼ばれる穴を、金属板材TTから板材Tをプレスにて打ち抜く際の打ち抜きラインLuの目安となるように、金属板材TTに複数形成する。そして、このマッチング穴Mをプレスによる打ち抜きラインLuに設定して、プレスにて打ち抜く。このようにすれば、金属板材TTから板材Tを打ち抜く際の打ち抜き精度が良くなる。その後、板材Tに対して、図6(B)に示すように、嵌合部J1およびJ2をプレスで打ち抜いて形成する。これは後述する板材Tを円筒曲げ工程において、ジグザグ部J1およびJ2が噛み合うことで接合時の強度を持たせるためのものである。マッチング穴Mおよびジグザグ部J1およびJ2は、円筒曲げ工程によって円筒軸にする際、図6(A)で示す搬送領域Wの中に入らないように形成される。
【0064】
次に板材Tの円筒曲げ工程について説明する。
図8(A)〜図8(C)、図9(A)〜図9(C)は、プレス機による円筒曲げ工程を示す側面図である。板材Tの平板部70は、プレスによって平板部70の両側の端面である接合部R1およびR2を近接させるように曲げ加工する。そして、図8(A)〜図8(C)、図9(A)〜図9(C)に示すように、これら一対の端面を対向させて突き合わせ、嵌合部J1およびJ2が噛み合うように円筒状に形成する。
【0065】
具体的には、まず、図8(A)に示す雌型(曲げダイ)81と雄型(曲げパンチ)82とで板材Tの平板部70をプレスし、平板部70の両端部72a,72bを円弧状(望ましくは略1/4円弧)に曲げる。なお、図8(A)においては、各部材を分かりやすくするため、平板部70と雌型81と雄型82との間にそれぞれ間隔を開けてこれらの部材を記しているが、この間隔は実際には存在せず、平板部70と雌型81、雄型82とはそれぞれの接触部においてほぼ密着している。これは、後述する図8(B)、図8(C)、図9(A)〜図9(C)においても同様である。
【0066】
ここで、雄型82は、図8において平板部70の下側の面に対向するように配置されている。また、雌型81は、図8において平板部70の上側の面に対向するように配置されている。これにより、平板部70の両端部72a,72bは面C1側に円弧状に曲げ加工される。
【0067】
次に、板材Tを一方向に送った後、図8(B)に示す第2の雌型(曲げダイ)83と第2の雄型(曲げパンチ)84とで、平板部70の短辺方向(曲げ方向)における中央部をプレスする。そして、面C1側に、平板部70の中央部を円弧状(望ましくは略1/4円弧)に曲げる。
【0068】
次に、板材Tを一方向に送った後、図8(C)に示すように、平板部70の内側に芯型87を配置する。そして、図8(C)に示す上型85と下型86とを用いて、図9(A)〜図9(C)に示すように、平板部70の両端部72a,72bの各端面R1,R2を近接させる。
【0069】
ここで、図8(C)および図9(A)〜図9(C)に示す芯型87の外径は、形成する中空円筒状の搬送駆動ローラー40の内径と等しくしてある。また、図8(C)に示すように、下型86のプレス面86cの半径と上型85のプレス面85aの半径は、それぞれ、研磨代を考慮した搬送駆動ローラー40の外径の半径と等しくしてある。また、図9(A)〜図9(C)に示すように下型86は左右一対の割型であり、これら割型86a,86bは、それぞれ独立して昇降可能に構成されている。
【0070】
すなわち、図8(C)に示す状態から、図9(A)に示すように左側の割型86aを上型85に近接させ、平板部71の一方の側をプレス加工し、略半円形状に曲げる。
なお、上型85も下型86と同様左右一対の割型とし(割面85b参照)、この図9(A)に示す工程の際に、同じ側の上型を割型86aに近接させてもよい。
【0071】
次いで、図9(B)に示すように、芯型87を少し(一方の側の端面R1と他方の側の端面R2とを近接させることができる程度に)上型85側へ移動させるとともに、他方の側の割型86bを上型85に近接させ、平板部70の他方の側をプレス加工し、略半円形状に曲げる。
【0072】
その後、図9(C)に示すように、芯型87および一対の割型86a,86bを共に上型85に近接させ、円筒状の搬送駆動ローラー(中空パイプ)40を形成する。この状態で、左右両側の端面R1,R2は互いに対向して突き合わされた状態となる。
すなわち、この円筒状の搬送駆動ローラー40にあっては、基材である板材Tの平板部70の両側の端面R1,R2が互いに近接して、これらの端面R1,R2間に継ぎ目が形成されている。ここで、面C1は搬送駆動ローラー40の内周面となり、面C2は搬送駆動ローラー40の外周面となっている。このように、平板部70を芯型87に巻きつけ、嵌合部J1およびJ2が噛み合うようにして搬送駆動ローラー40を形成する。なお端面R1およびR2は互いに近接あるいは当接して接合部Rとなり、嵌合部J1およびJ2が噛み合った結果、図6(A)に示す嵌合部Jとなり、搬送駆動ローラー40の強度、特にねじれ強度の向上に寄与する。
【0073】
次に、図6で示す耐摩耗性粒子からなる高摩擦領域Saを付着する工程について説明する。
この高摩擦領域Saの付着方法としては、乾式法及び湿式法(またはこれらを併用した方法)が採用可能であるが、本実施形態では乾式法が好適に採用される。具体的には、まず、高摩擦領域Saの形成材料として、樹脂粒子と無機粒子とを用意する。樹脂粒子としては、エポキシ系樹脂やポリエステル系樹脂等からなる、微粒子が好適に用いられる。
【0074】
また、無機粒子としては、酸化アルミニウム(アルミナ;Al2O3)や炭化珪素(SiC)、二酸化珪素(SiO2)等のセラミックス粒子が好適に用いられる。中でもアルミナは、比較的硬度が高く摩擦抵抗を高める機能が良好に発揮され、また、比較的安価であってコストダウンを妨げることもないため、より好適に用いられる。したがって、本実施形態では無機粒子としてアルミナ粒子を用いるものとする。
【0075】
このアルミナ粒子としては、破砕処理によって所定の粒径分布に調整されたものが用いられる。破砕処理によって製造されることにより、このアルミナ粒子は端部が比較的鋭く尖ったものとなり、この鋭く尖った端部によって高い摩擦力を発揮するようになる。
【0076】
このような樹脂粒子と無機粒子とを用意したら、まず、搬送駆動ローラー40に前述の樹脂粒子(不図示)を塗布する。すなわち、搬送駆動ローラー40を塗装ブース(図示せず)内に配置し、さらにこの搬送駆動ローラー40を単体の状態で(マイナス)電位にしておく。
【0077】
そして、樹脂粒子を、静電塗装装置(図示せず)のトリボガンを用いて搬送駆動ローラー40に向けて噴霧(噴出)し吹き付けつつ、この噴霧粒子(樹脂粒子)を+(プラス)高電位に帯電させる。すると、この帯電された樹脂粒子は搬送駆動ローラー40の外周面に吸着され、樹脂膜(不図示)を形成する。
【0078】
搬送駆動ローラー40を別の塗装ブースへ移動させ、搬送駆動ローラー40をその軸廻りに回転させつつ、コロナガン(図示せず)から前述のアルミナ粒子を噴霧し吹き付けることにより、搬送駆動ローラー40に形成した樹脂膜上に、アルミナ粒子を選択的に静電吸着させる。アルミナ粒子を樹脂膜上に選択的に静電吸着させるには、樹脂膜の形成と同様に、搬送駆動ローラー40の両端部をテープ等でマスキングしておくことで行う。このようにして、高摩擦領域Saが搬送駆動ローラー40に付着される。なお、無機粒子単体を塗布するだけで摩擦力が発揮できるため、無機粒子単体の塗布にとどめてもよい。
【0079】
以上説明した実施形態は一例であり、種々の変形を行うことができる。特に上記実施形態は、本発明が各特徴的部分を全て備えることを意味するものではなく、例えば図3及び図4に示した動力伝達構成と、図5、図6(A)、図6(B)、及び図7(A)、図7(B)に示した搬送駆動ローラーの具体的構成は、それぞれ単独で発明をなし得る。
【0080】
加えて、上記実施形態では搬送駆動ローラー40に中空軸を利用したが、上記実施形態のように板材の円筒加工により得られた中空軸に限らず、その他の製造方法によって得られた中空軸であっても上記作用効果、特に図3及び図4を参照しつつ説明した動力伝達構成の作用効果を得ることはできる。また図3及び図4を参照しつつ説明した動力伝達構成の作用効果は、搬送駆動ローラー40が中空軸の場合に限られず、中実軸であってもその作用効果(ねじれ低減或いは防止効果)を得ることができる。
【符号の説明】
【0081】
1 インクジェットプリンター、2 用紙給送部、3 用紙送りローラーユニット、4 スキャナーユニット、11 用紙カセット、12 分離斜面、13 摩擦パッド、18 給送ローラー、19 揺動部材、20 揺動軸、22 反転ローラー、23、24 中間ローラー、25 ガイド部材、30 紙案内部材、36 キャリッジ、37 インクジェット記録ヘッド、40 搬送駆動ローラー、41 搬送従動ローラー、45 紙案内部材、46 補助ローラー、47 排出駆動ローラー、48 排出従動ローラー、50 従動プーリー、51 第1伝達歯車、52 第2伝達歯車、53 動力伝達機構、54 遊星歯車輪列、55 エンコーダースケール、56 エンコーダー、58 従動プーリー、59 無端ベルト、60 駆動プーリー、63、64 軸受部、A1 第1位置、A2 第2位置、A3 第3位置、J ジグソー部、M マッチング、Ma マッチング穴、P 記録用紙、Q 円周線、R 接合部、R1、R2 端部、Sa 高摩擦領域、Sb 低摩擦領域、T 板材、W 搬送領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被記録媒体を搬送する媒体搬送ローラーであって、
一対の端部を接合し、円筒状を成す円筒部と、
前記円筒部に形成され、前記被記録媒体と接する領域に亘って前記円筒部の円周線に対して交差する方向に一直線上に伸びている接合部と、
前記接合部のうち、前記領域外において配置される、前記一対の端部の各々に形成された凹部と凸部との嵌合による凹凸嵌合部と、
を備えることを特徴とする媒体搬送ローラー。
【請求項2】
請求項1に記載の媒体搬送ローラーにおいて、前記一直線状に延びる接合部は、円周線に対して非直角を成す方向に一直線状に延びる、
ことを特徴とする媒体搬送ローラー。
【請求項3】
請求項1に記載の媒体搬送ローラーにおいて、前記接合部は前記一対の端部に各々形成された一対の凹部をさらに有し、
前記一対の凹部により形成される穴は、前記被記録媒体と接する領域外に配置されている、
ことを特徴とする媒体搬送ローラー。
【請求項4】
請求項2に記載の媒体搬送ローラーにおいて、前記接合部は前記一対の端部に各々形成された一対の凹部をさらに有し、
前記一対の凹部により形成される穴は、前記被記録媒体と接する領域外に配置されている、
ことを特徴とする媒体搬送ローラー。
【請求項5】
被記録媒体に記録を行う記録装置であって、
前記被記録媒体に記録を行う記録手段と、
前記記録手段の上流側に配置され、前記被記録媒体を下流側へ送り出す媒体搬送ローラーと、を有し、
前記媒体搬送ローラーは、
一対の端部を接合し、円筒状を成す円筒部と、
前記円筒部に形成され、前記被記録媒体と接する領域に亘って前記円筒部の円周線に対して交差する方向に一直線上に伸びている接合部と、
前記接合部のうち、前記領域外において配置される、前記一対の端部の各々に形成された凹部と凸部との嵌合による凹凸嵌合部と、
を備えることを特徴とする記録装置。
【請求項6】
請求項5に記載の記録装置において、前記接合部は、円周線に対して非直角を成す方向に一直線状に延びる、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項7】
請求項5に記載の記録装置において、前記接合部は前記一対の端部に各々形成された一対の凹部をさらに有し、
前記一対の凹部により形成される穴は、前記被記録媒体と接する領域外に配置されている、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項8】
請求項6に記載の記録装置において、前記接合部は前記一対の端部に各々形成された一対の凹部をさらに有し、
前記一対の凹部により形成される穴は、前記被記録媒体と接する領域外に配置されている、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項9】
請求項5に記載の記録装置において、前記媒体搬送ローラーを軸支する軸受部が、前記凹凸嵌合部が設けられた領域及び前記被記録媒体と接する領域外に配置されている、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項10】
請求項6に記載の記録装置において、前記媒体搬送ローラーを軸支する軸受部が、前記凹凸嵌合部が設けられた領域及び前記被記録媒体と接する領域外に配置されている、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項11】
請求項7に記載の記録装置において、前記媒体搬送ローラーを軸支する軸受部が、前記凹凸嵌合部が設けられた領域及び前記被記録媒体と接する領域及び一対の凹部により形成される穴の領域外に配置されている、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項12】
請求項8に記載の記録装置において、前記媒体搬送ローラーを軸支する軸受部が、前記凹凸嵌合部が設けられた領域及び前記被記録媒体と接する領域及び前記一対の凹部により形成される穴が形成された領域外に配置されている、
ことを特徴とする記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−184198(P2011−184198A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−7053(P2011−7053)
【出願日】平成23年1月17日(2011.1.17)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】