説明

媒体搬送装置及び紙幣自動入出金機

【課題】複数の搬送ユニットからなる紙幣搬送部において、紙幣詰まりを防止すると同時に、構造が複雑化することがなく、専用の駆動源を必要としないこと。
【解決手段】第1の搬送路としての送側紙幣搬送路11から第2の搬送路としての受側紙幣搬送路21へ媒体Pの受渡しをする媒体搬送装置において、前記受側紙幣搬送路21の受側の搬送ローラ22と同軸に羽根車25を設ける。羽根車25は前記受側の搬送ローラ22より高速に回転される。羽根車25の駆動源は搬送ローラ22の駆動源と共通である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は金融機関等に設置され、紙幣を入出金する紙幣自動入出金機の媒体搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の紙幣自動入出金機は、顧客の操作により紙幣等の貨幣を内部金庫から出金する出金処理と、顧客の入金した紙幣等を内部金庫に格納する入金処理を行なう。出金処理においては、内部金庫から紙幣搬送部を通って接客部へ紙幣を搬送する。入金処理においては、接客部から同じく紙幣搬送部を通って内部金庫へ紙幣を搬送する。
【0003】
図8は従来の紙幣自動入出金機の紙幣搬送部の紙幣の搬送状態を示す説明図である。同図(c)は紙幣搬送部の搬送ユニット間で、変形している紙幣の受渡しを示す側面図である。送側紙幣搬送路81としての搬送ユニットは搬送ローラ82a、82b、83a、83bと搬送ベルト84a、84bから構成される。上側の搬送ベルト84aは搬送ローラ82aと搬送ローラ83aに掛け渡されて、図示しない駆動源により矢印方向に回転している。下側の搬送ベルト84bも同様に搬送ローラ82bと搬送ローラ83bに掛け渡されて、図示しない駆動源により矢印方向に回転している。上下の搬送ベルト84a、84bは紙幣Pを挟み込みながら回転することにより、紙幣Pを矢印方向に搬送する。
【0004】
前述した送側紙幣搬送路81と、これと同じ構成の受側紙幣搬送路91が、紙幣Pの搬送方向上流側と下流側に設けられる。送側紙幣搬送路81としての搬送ユニットと受側紙幣搬送路91としての搬送ユニットの間で紙幣Pの受渡し部が構成される。これらの各搬送ユニットと受渡し部が、前記紙幣自動入出金機内の接客部や内部金庫等の構成ユニット間に連続して構成され、前記紙幣搬送部を構成する。そして、その間を紙幣Pが、送側紙幣搬送路81から送り出され、受側紙幣搬送路91へ受け渡されて、搬送方向の上流から下流へ各搬送ユニット間を搬送している。
【0005】
一方、搬送される紙幣Pは、剛性がなく、薄く柔らかい。また、特に入金される紙幣は様々な条件下で使用されているため、変形しているものが多い。図8(a)、(b)は従来の紙幣搬送部の紙幣の搬送状態を示す説明図である。同図(a)は先端P−1が折れて変形している紙幣Pを示す説明図であり、同図(b)は先端P−1を含めて全体的に湾曲している紙幣Pを示す説明図である。同図(a)、同図(b)に示すように、矢印方向に搬送される場合、搬送方向の先端P−1が変形している紙幣Pがある。
【0006】
図8(c)は、前述の通り紙幣搬送部の搬送ユニット間で、変形している紙幣の受渡しを示す側面図である。このように、変形している紙幣Pを搬送すると、送側紙幣搬送路81と受側紙幣搬送路91の間において、特に、送側の搬送ベルト84a、84bから紙幣Pが送り出されるとき、紙幣Pの先端P−1に対する拘束がなくなるため、先端P−1の状態が不安定になる。その結果、図8(c)に示すように紙幣Pの先端P−1が、受側紙幣搬送路91の受側の搬送ベルト94aや搬送ローラ92aに当接し、更なる変形や座屈を生じさせ、最終的には紙幣詰まりにより受側紙幣搬送路91へ搬送することが出来なくなるという状態があった。
【0007】
このような問題に対して、特許文献1(特開平7−200923号公報)には、紙幣受渡し部分での紙幣詰まりを防止する技術が開示されている。即ち、特許文献1は紙幣受渡し部分に揺動運動する紙幣ガイド部材を設け、当該紙幣ガイド部材の揺動により受渡し通路を拡張したり、縮小したりするものである。
【特許文献1】特開平7−200923号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1では、紙幣受渡し部分に揺動運動する紙幣ガイド部材を設ける必要があり、構造が複雑化するおそれがある。更に、紙幣ガイド部材を揺動運動するための専用の駆動源を設ける必要があるという問題があった。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、複数の搬送ユニットからなる紙幣搬送部において、紙幣詰まりを防止すると同時に、構造が複雑化することがなく、専用の駆動源を必要としない紙幣搬送部を有する媒体搬送装置を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、特許請求の範囲の請求項1記載の発明は、第1の搬送路から第2の搬送路へ媒体の受渡しをする媒体搬送装置において、前記第1の搬送路に、前記媒体を前記第2の搬送路に送る送側の搬送ローラを設け、前記第2の搬送路に、前記第1の搬送路から前記媒体を受ける受側の搬送ローラと、前記受側の搬送ローラと同軸に羽根車を設けたことを特徴とする媒体搬送装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複数の搬送ユニットからなる紙幣搬送部において、紙幣詰まりを防止すると同時に、構造が複雑化することがなく、専用の駆動源を必要としない紙幣搬送部を有する媒体搬送装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(第1の実施の形態)
以下に第1の実施の形態について説明する。図2は第1の実施の形態に関する紙幣自動入出金機10の概略構成を示す構成図である。図において、1は出金処理において顧客へ出金する紙幣Pを収納し、入金処理においては顧客が入金した紙幣Pを装置内部に取り込む接客部である。2は入出金する紙幣Pの真偽を判定するとともに、枚数等を判定する鑑別部である。3は入金された紙幣Pを集積し、一時的に保管する一時保留部である。4は出金するための紙幣Pを収納する内部金庫としての収納部である。
【0013】
5は紙幣自動入出金機10として取扱いに適さない紙幣Pを収納するリジェクトカセット部である。6は前記収納部4の紙幣Pを補充したり、更に入金される紙幣Pを回収する補充回収部である。更に、7はこれらの構成ユニットの間を連結するように配置され、紙幣Pをこれらの構成ユニットの間を搬送する紙幣搬送部である。
【0014】
図1は第1の実施の形態の関する前記紙幣搬送部7の搬送ユニット間の受渡しを示す側面図である。第1の搬送路としての送側紙幣搬送路11は、搬送ローラ12a、12b、13a、13bと搬送ベルト14a、14bから構成される。上側の搬送ベルト14aは搬送ローラ12aと搬送ローラ13aに掛け渡されて、図示しない駆動源により所定の回転速度で矢印方向に回転している。下側の搬送ベルト14bも同様に搬送ローラ12bと搬送ローラ13bに掛け渡されて、図示しない駆動源により所定の回転速度で矢印方向に回転している。上下の搬送ベルト14a、14bは紙幣Pを挟み込みながら回転することにより、紙幣Pを前記紙幣搬送部7の下流である矢印方向に搬送する。前記搬送ローラ12a、12b、13a、13bのうち、送側の搬送ローラ13a、13bが次の受側紙幣搬送路21へ紙幣Pを送り渡す。
【0015】
一方、第2の搬送路としての受側紙幣搬送路21が、紙幣Pの搬送方向下流側に設けられる。前記送側紙幣搬送路11としての搬送ユニットと受側紙幣搬送路21としての搬送ユニットの間で紙幣Pの受渡し部が構成される。これらの各搬送ユニットと受渡し部が、前記紙幣自動入出金機10内の接客部1や収納部4等の各構成ユニット間に連続して構成され、紙幣搬送部7を構成する。そして、その間を紙幣Pが、送側紙幣搬送路11から送り出され、受側紙幣搬送路21へ受け渡されて、搬送方向の上流から下流へ各搬送ユニット間を搬送している。
【0016】
当該受側紙幣搬送路21は、搬送ローラ22a、22b、23a、23bと搬送ベルト24a、24b及び羽根車25から構成される。上側の搬送ベルト24aは搬送ローラ22aと搬送ローラ23aに掛け渡されて、図示しない駆動源により矢印方向に回転している。下側の搬送ベルト24bも同様に搬送ローラ22bと搬送ローラ23bに掛け渡されて、図示しない駆動源により矢印方向に回転している。上下の搬送ベルト24a、24bは紙幣Pを挟み込みながら回転することにより、紙幣Pを紙幣搬送部7の下流である矢印方向に搬送する。前記搬送ローラ22a、22b、23a、23bのうち、受側の搬送ローラ22a、22bが上流の送側紙幣搬送路11からの紙幣Pを受ける。
【0017】
第1の実施の形態においては、前記受側の搬送ローラ22aと同軸に羽根車25が設けられている。当該羽根車25は弾性体からなる複数の羽根25−1を有し、後述する駆動源によって矢印方向に回転される。回転される羽根車25の羽根25−1は、上流である送側紙幣搬送路11から送られてくる紙幣Pに変形した先端P−1がある場合、当該先端P−1を押下げる。これにより、変形した紙幣Pの先端P−1は、受側の搬送ローラ22aに当接する前に、回転される羽根車25の羽根25−1により押下げられる。そして、紙幣Pの先端P−1が前記受側の搬送ローラ22a、22bの間、言い換えれば前記上下の搬送ベルト24a、24bの間に導入され、当該受側紙幣搬送路21での搬送が容易になる。
【0018】
図3は前記受側紙幣搬送路21を上流側から見た正面図である。ローラ軸31a、31b及びギヤ軸32が左右の支持フレーム40によって平行に支持されている。前記搬送ローラ22a、22bは搬送ベルト24a、24bが掛け渡され、ローラ軸31a、31bに2箇所固定して設けられる。上側の搬送ローラ22aは、図示しない駆動源により、駆動ギヤ30を介してローラ軸31aにより回転される。
【0019】
羽根車25は搬送ローラ22aと同軸で、ローラ軸31aにベアリングを介して回転可能に設けられる。羽根車25は前記搬送ローラ22aと交互に設けられる。これらは紙幣Pの搬送方向に垂直な方向に3箇所設けられる。羽根車25は当該ローラ軸31aの回転により、搬送ローラ22aより高速で回転される。羽根車25の回転は、ローラ軸31aの回転からローラ軸ギヤ31−1、ギヤ軸ギヤ32−1から前記ギヤ軸に回転され、更にギヤ軸ギヤ32−2及び羽根車ギヤ25−2に伝達されることにより得られる。羽根車ギヤ25−2は羽根車25と一体に形成される。前記羽根車25の駆動源は、前記搬送ローラ22aの駆動源と共通となる。
【0020】
これにより、羽根車25は前記搬送ローラ22aと同時に回転を開始する。更に羽根車25は、前記ローラ軸ギヤ31−1、ギヤ軸ギヤ32−1、ギヤ軸ギヤ32−2及び羽根車ギヤ25−2のギヤ比によって、搬送ローラ22aより高速で回転することができる。搬送ローラ22aより高速で回転するので、羽根車25の羽根25−1は、紙幣Pの先端P−1を押下げる。
【0021】
なお、羽根車25の回転数は実験的に求める。また、羽根車25は、ベアリングを介してローラ軸31aに回転可能に設けられるが、ローラ軸31aの軸方向に対しては、図示しない規制部材によって規制され移動することはない。更に、紙幣Pの搬送方向に垂直な方向において紙幣Pを規制する図示しない搬送ガイドは必要により設けることができる。
【0022】
図4は第1の実施の形態に関する前記紙幣搬送部7の搬送ユニット間の受渡しの変形例を示す側面図である。同図は、前記送側紙幣搬送路11の送側の搬送ローラ13a、13bを支持するローラ軸33a、33bにはギャップがあることを示す。即ち、下側の搬送ローラ13bのローラ軸33bは、上側の搬送ローラ13aのローラ軸33aより、ギャップD1だけ下流側へ位置している。これにより、紙幣Pの先端P−1は若干矢印に示すように上方によじれ、羽根車25の羽根25−1は、紙幣Pの先端P−1を押下げるのに効果を発揮する。
【0023】
以上、第1の実施の形態によれば、複数の搬送ユニットからなる紙幣搬送部7において、前記第2の搬送路としての受側の搬送ローラ22aと同軸に羽根車25を設けたので、紙幣Pの先端P−1が折れ曲がっていたとしても、紙幣Pの先端P−1が搬送ローラ22aや搬送ベルト24aに当接することなく、紙幣Pの先端P−1を容易に第2の搬送路の搬送ベルト24a、24b間に導入することができる。その結果ユニット間の紙幣受渡し部において、紙幣詰まりを防止することができる。同時に、構造が複雑化することがなく、専用の駆動源を必要としない紙幣搬送部7を有する媒体搬送装置を得ることができる。
【0024】
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態について説明する。図5は第2の実施の形態の関する前記紙幣搬送部7の搬送ユニット間の受渡しを示す側面図である。第1の搬送路としての送側紙幣搬送路11は、前記第1の実施の形態と同様であるので、前記第1の実施の形態の説明を援用する。
【0025】
一方、前記送側紙幣搬送路11としての搬送ユニットと受側紙幣搬送路21としての搬送ユニットの間で紙幣Pの受渡し部が構成され、これらが前記紙幣自動入出金機10内の接客部1や収納部4等の各構成ユニット間に連続して構成されることについても、前記第1の実施の形態と同様であるので、前記第1の実施の形態の説明を援用する。
【0026】
前記受側紙幣搬送路21は、搬送ローラ22a、22b、23a、23bと搬送ベルト24a、24b及び羽根車25a、25bから構成される。上側の搬送ベルト24aは搬送ローラ22aと搬送ローラ23aに掛け渡されて、図示しない駆動源により所定の回転速度で矢印方向に回転している。下側の搬送ベルト24bも同様に搬送ローラ22bと搬送ローラ23bに掛け渡されて、図示しない駆動源により所定の回転速度で矢印方向に回転している。上下の搬送ベルト24a、24bは紙幣Pを挟み込みながら回転することにより、紙幣Pを紙幣搬送部7の下流である矢印方向に搬送する。前記搬送ローラ22a、22b、23a、23bのうち、受側の搬送ローラ22a、22bが上流の送側紙幣搬送路11からの紙幣Pを受ける。
【0027】
第2の実施の形態においては、上側にある前記受側の搬送ローラ22aと同軸に羽根車25aが設けられ、更に、下側にある前記受側の搬送ローラ22bと同軸に羽根車25bが設けられる。当該羽根車25a、25bは弾性体からなる複数の羽根25a−1、25b−1を有し、後述する駆動源によって矢印方向に回転される。上側の羽根車25aの羽根25a−1は、上流である送側紙幣搬送路11から送られてくる紙幣Pに上側に変形した先端P−1がある場合、当該先端P−1が受側の搬送ローラ22aに当接する前に先端P−1を押下げる。一方、下側の羽根車25bの羽根25b−1は、紙幣Pに下側に変形した先端P−2がある場合、当該先端P−2が受側の搬送ローラ22bに当接する前に、先端P−2を押上げる。これにより、紙幣Pの変形した先端P−1又はP−2が前記受側の搬送ローラ22aと22bの間、言い換えれば前記上下の搬送ベルト24aと24bの間に導入され、当該受側紙幣搬送路21での搬送が容易になる。
【0028】
このことは、紙幣Pが複数枚束として搬送される場合、紙幣Pの先端P−1、P−2が上下どちらに変形していても、羽根車25a、25bの羽根25a−1、25b−1によって、搬送ベルト24a、24b間へと導くことができる。
【0029】
図6は前記受側紙幣搬送路21を上流側から見た一部省略正面図である。同図は駆動系を省略して示してある。上側のローラ軸31aには2個の搬送ローラ22aが固定して設けられ、搬送ベルト24aが掛け渡されている。前記ローラ軸31aには、前記搬送ローラ22aと同軸に、3個の羽根車25aがベアリングを介して回転可能に設けられている。下側のローラ軸31bにも同様に、2個の搬送ローラ22bが固定して設けられ、搬送ベルト24bが掛け渡されている。前記ローラ軸31bには、前記搬送ローラ22bと同軸に、3個の羽根車25bがベアリングを介して回転可能に設けられている。前記上側の羽根車25aと下側の羽根車25b設置位置は、図示のように羽根25a−1と羽根25b−1とが干渉しないように、ギャップD2が設けられている。
【0030】
図7は前記受側紙幣搬送路21を上流側から見た正面図である。ローラ軸31a、31b及びギヤ軸32a、32bが支持フレーム40によって平行に支持されている。前記搬送ローラ22a、22bは搬送ベルト24a、24bが掛け渡され、ローラ軸31a、31bに設けられる。上側の搬送ローラ22aは、図示しない駆動源により、駆動ギヤ30aを介してローラ軸31aにより回転される。下側の搬送ローラ22bは、同じく駆動ギヤ30bを介してローラ軸31bにより回転される。
【0031】
上側の羽根車25aは搬送ローラ22aと同軸で、ローラ軸31aにベアリングを介して回転可能に設けられる。上側の羽根車25aは前記搬送ローラ22aと交互に設けられる。これらは紙幣Pの搬送方向に垂直な方向に3箇所設けられる。上側の羽根車25aは当該ローラ軸31aの回転により、搬送ローラ22aより高速で回転される。上側の羽根車25aの回転は、ローラ軸31aの回転により、ローラ軸ギヤ31a−1、ギヤ軸ギヤ32a−1からギヤ軸32aに伝達され、更にギヤ軸ギヤ32a−2及び羽根車ギヤ25a−2に伝達される。羽根車ギヤ25a−2は羽根車25aと一体に形成されている。前記上側の羽根車25aの駆動源は、前記搬送ローラ22aの駆動源と共通となる。これにより、羽根車25aは前記搬送ローラ22aと同時に回転を開始する。更に羽根車25aは、前記ローラ軸ギヤ31a−1、ギヤ軸ギヤ32a−1、ギヤ軸ギヤ32a−2及び羽根車ギヤ25a−2のギヤ比によって、搬送ローラ22aより高速で回転することができる。搬送ローラ22aより高速で回転するので、羽根車25aの羽根25a−1は、紙幣Pの先端P−1を押下げる。
【0032】
一方、下側の羽根車25bも同様に搬送ローラ22bと同軸で、ローラ軸31bに回転可能に設けられる。下側の羽根車25bは前記搬送ローラ22bと交互に設けられる。これらは紙幣Pの搬送方向に垂直な方向に3箇所設けられる。下側の羽根車25bも当該ローラ軸31bの回転により、搬送ローラ22bより高速で回転される。下側の羽根車25bの回転も、ローラ軸31bの回転により、ローラ軸ギヤ31b−1、ギヤ軸ギヤ32b−1からギヤ軸32bに伝達され、更にギヤ軸ギヤ32b−2及び羽根車ギヤ25b−2に伝達される。羽根車ギヤ25b−2は羽根車25bと一体に形成されている。前記下側の羽根車25bの駆動源も、前記搬送ローラ22bの駆動源と共通となる。これにより、羽根車25bは前記搬送ローラ22bと同時に回転を開始する。更に羽根車25bは、前記ローラ軸ギヤ31b−1、ギヤ軸ギヤ32b−1、ギヤ軸ギヤ32b−2及び羽根車ギヤ25b−2のギヤ比によって、搬送ローラ22bより高速で回転することができる。搬送ローラ22bより高速で回転するので、羽根車25bの羽根25b−1は、紙幣Pの先端P−1を押し上げる。
【0033】
なお、羽根車25a、25bの回転数は実験的に求める。また、羽根車25a、25bは、ローラ軸31a、31bに回転可能に設けられるが、ローラ軸31a、31bの軸方向に対しては、図示しない規制部材によって規制され移動することはない。
【0034】
第2の実施の形態において、下側の搬送ローラ22bはローラ軸31bに固定して設けられ、羽根車25bは回転可能に設けられることを説明したが、これに限らない。即ち、羽根車25bはローラ軸31bに固定して設けられ、搬送ローラ22bは前記ローラ軸31bに回転可能に設けるようにしてもよい。前記ローラ軸(この場合は羽根車軸となる)31bの回転力は、他のローラ軸から図示しないベルトを介して伝達され、搬送ローラ22bはベアリングを介して回転可能に軸支される。
【0035】
以上のように、第2の実施の形態によれば、受側の上下の搬送ローラ22a、22bと同軸に羽根車25a、25bを設けたので、変形した紙幣Pの先端P−1、P−2が上下どちらに向いていても、紙幣Pを搬送ベルト24a、24b間へと導くことができる。従って、紙幣詰まりを防止すると同時に、構造が複雑化することがなく、専用の駆動源を必要としない紙幣搬送部を有する媒体搬送装置を得ることができる。
【0036】
前記第1及び第2の実施の形態において、前記送側紙幣搬送路11と受側紙幣搬送路21は水平に位置した状態の例を説明したが、これに限らず、垂直に位置した状態であっても適用可能である。更に、送側紙幣搬送路11と受側紙幣搬送路21は直線状に配置される関係を説明したが、これに限らず、送側紙幣搬送路11と受側紙幣搬送路21がある角度をもった配置関係であっても適用可能である。
【0037】
紙幣搬送部7として、送側紙幣搬送路11から受側紙幣搬送路21へ片方向へ搬送する場合として、羽根車25を受側の搬送ローラ22と同軸に設けたが、これに限らない。即ち、送側紙幣搬送路11と受側紙幣搬送路21の両方向での受渡しを行なう場合は、受側の搬送ローラ22と送側の搬送ローラ23の両方に羽根車25を設けるものであってもよい。
【0038】
また、搬送される対象媒体として、紙幣Pを例に説明したが、これに限らず、全ての紙葉類に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】第1の実施の形態の関する紙幣搬送部の搬送ユニット間の受渡しを示す側面図である。
【図2】紙幣自動入出金機の概略構成を示す構成図である。
【図3】受側紙幣搬送路を上流側から見た正面図である。
【図4】第1の実施の形態に関する前記紙幣搬送部の搬送ユニット間の受渡しの変形例を示す側面図である。
【図5】第2の実施の形態の関する紙幣搬送部の搬送ユニット間の受渡しを示す側面図である。
【図6】受側紙幣搬送路を上流側から見た一部省略正面図である。
【図7】受側紙幣搬送路を上流側から見た正面図である。
【図8】従来の紙幣自動入出金機の紙幣搬送部の紙幣の搬送状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0040】
P 紙幣
P−1、P−2 先端
7 紙幣搬送部
10 紙幣自動入出金機
11 送側紙幣搬送路
12a、12b、22a、22b 搬送ローラ
13a、13b、23a、23b 搬送ローラ
14a、14b、24a、24b 搬送ベルト
21 受側紙幣搬送路
25、25a、25b 羽根車
25−1、25a−1、25b−1 羽根
25−2、25a−2、25b−2 羽根車ギヤ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の搬送路から第二の搬送路へ媒体の受渡しをする媒体搬送装置において、
前記第一の搬送路に、前記媒体を前記第二の搬送路に送る送側の搬送ローラを設け、
前記第二の搬送路に、前記第一の搬送路からの前記媒体を受ける受側の搬送ローラと、
前記受側の搬送ローラと同軸に羽根車を設けたことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項2】
前記受側の搬送ローラは一対の搬送ローラで構成したことを特徴とする請求項1に記載の媒体搬送装置。
【請求項3】
前記羽根車は、前記受側の搬送ローラより高速で回転することを特徴とする請求項1又は2に記載の媒体搬送装置。
【請求項4】
前記羽根車の駆動源は、前記受側の搬送ローラの駆動源と共通であることを特徴とする請求項3に記載の媒体搬送装置。
【請求項5】
前記第一の搬送路の前記送側の搬送ローラは前記媒体を挟持する上下一対の搬送ローラで構成し、更に、下側の前記搬送ローラの軸は上側の前記搬送ローラの軸より、下流側に位置していることを特徴とする請求項1乃至4いずれか一に記載の媒体搬送装置。
【請求項6】
前記第二の搬送路の前記受側の搬送ローラは前記媒体を挟持する上下一対の搬送ローラで構成し、
前記羽根車は前記受側の搬送ローラの上下の搬送ローラとそれぞれ同軸に設けられることを特徴とする請求項1に記載の媒体搬送装置。
【請求項7】
前記羽根車は、前記受側の搬送ローラより高速で回転することを特徴とする請求項6に記載の媒体搬送装置。
【請求項8】
前記羽根車の駆動源は、前記受側の搬送ローラの駆動源と共通であることを特徴とする請求項7に記載の媒体搬送装置。
【請求項9】
前記上下の搬送ローラとそれぞれ同軸に設けられる前記羽根車は、軸方向に位置を異ならせていることを特徴とする請求項6乃至8いずれか一に記載の媒体搬送装置。
【請求項10】
前記請求項1乃至9いずれか一に記載の媒体搬送装置を有することを特徴とする紙幣自動入出金機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−66940(P2012−66940A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−271612(P2011−271612)
【出願日】平成23年12月12日(2011.12.12)
【分割の表示】特願2008−176481(P2008−176481)の分割
【原出願日】平成20年7月7日(2008.7.7)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】