説明

媒体重送防止機構および媒体送出装置

【課題】使用される情報記録媒体の厚みにかかわらず、重送される情報記録媒体を適切に分離することが可能な媒体重送防止機構を提供する。
【解決手段】複数枚重なった状態の情報記録媒体2を1枚ずつ送り出すための媒体重送防止機構6は、情報記録媒体2に当接して情報記録媒体2を搬送する搬送ローラ11と、搬送ローラ11に対向配置され搬送ローラ11に向かって付勢されるとともに搬送ローラ11と同方向に回転して重送される情報記録媒体2を分離するための分離ローラ12と、1枚の情報記録媒体2は通過できるが重なった状態の2枚の情報記録媒体2が通過できないゲート部20を有するゲート機構13とを備えている。ゲート部20は、搬送ローラ11の回転中心と分離ローラ12の回転中心とを結ぶ仮想線Lよりも情報記録媒体2の送出方向の下流側(X1方向側)に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数枚重なった状態の情報記録媒体を1枚ずつ送り出すための媒体重送防止機構、および、この媒体重送防止機構を備える媒体送出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数枚重なった媒体を1枚ずつ分離して搬送するための媒体分離機構が知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の媒体分離機構では、媒体の搬送方向の上流側から下流側へ媒体を搬送するための引き込みローラおよび送りローラが搬送方向に所定の間隔をあけた状態で搬送路の下側に配置されている。引き込みローラおよび送りローラには、テンションローラが上側から対向配置されている。また、搬送方向における引き込みローラと送りローラとの間には、引き込みローラおよび送りローラと同方向へ回転する逆転ローラが搬送路の上側に配置されている。逆転ローラの下側には、逆転ローラに対向する対向面を有する固定ブロックが配置されている。固定ブロックの対向面と逆転ローラとの間には、1枚の媒体は通過できるが、2枚の媒体は通過できない隙間が形成されている。
【0003】
特許文献1に記載の媒体分離機構では、上下方向に重なった状態で搬送される2枚の媒体が逆転ローラと対向面との間に到達すると、上側の媒体は、その先端が逆転ローラに当接するため、逆転ローラから上流側に戻される力を受け、下流側への搬送が阻止される。一方、下側の媒体は、引き込みローラの搬送力によって、下流側に搬送される。このように、特許文献1に記載の媒体分離機構は、固定ブロックの対向面と逆転ローラとの間に形成される隙間と、逆転ローラの回転力とを利用して、重送される媒体を分離している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−188057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の媒体分離機構では、使用される媒体の厚みが比較的厚い場合には、重送される2枚の媒体のうちの上側の媒体を逆転ローラに適切に当接させて、分離することが可能である。しかしながら、この媒体分離機構では、使用される媒体の厚みが薄い場合には、固定ブロックの対向面と逆転ローラとの間の隙間を精度良く設定しないと、上側の媒体が逆転ローラに当接せず、下側の媒体とともに固定ブロックの対向面と逆転ローラとの間を通過するおそれがある。一方で、使用される媒体の厚みが薄くなると、1枚の媒体は通過できるが2枚の媒体が通過できないように、固定ブロックの対向面と逆転ローラとの間の隙間を精度良く設定することは困難である。したがって、特許文献1に記載の媒体分離機構では、使用される媒体の厚みが薄いと、重送される媒体を分離できない場合が生じうる。
【0006】
そこで、本発明の課題は、使用される情報記録媒体の厚みにかかわらず、重送される情報記録媒体を適切に分離することが可能な媒体重送防止機構を提供することにある。また、本発明の課題は、かかる媒体重送防止機構を備える媒体送出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の媒体重送防止機構は、複数枚重なった状態の情報記録媒体を1枚ずつ送り出すための媒体重送防止機構において、情報記録媒体に当接して情報記録媒体を搬送する搬送ローラと、搬送ローラに対向配置され搬送ローラに向かって付勢されるとともに搬送ローラと同方向に回転して重送される情報記録媒体を分離するための分離ローラと、1枚の情報記録媒体は通過できるが重なった状態の2枚の情報記録媒体が通過できないゲート部を有するゲート機構とを備え、ゲート部は、搬送ローラの回転中心と分離ローラの回転中心とを結ぶ仮想線よりも情報記録媒体の送出方向の下流側に配置されていることを特徴とする。
【0008】
本発明の媒体重送防止機構では、重送される情報記録媒体を分離するための分離ローラが、搬送ローラに対向配置されるとともに搬送ローラに向かって付勢されている。そのため、搬送ローラと分離ローラとの間を情報記録媒体が通過する際には、使用される情報記録媒体の厚みに応じて、搬送ローラに近づく方向および搬送ローラから遠ざかる方向へ分離ローラが移動する。したがって、使用される情報記録媒体の厚みにかかわらず、分離ローラを情報記録媒体に当接させることが可能になる。その結果、本発明では、使用される情報記録媒体の厚みにかかわらず、分離ローラと情報記録媒体との間に生じる摩擦力を利用して、重送される情報記録媒体を分離することが可能になる。
【0009】
ここで、重送される情報記録媒体間に生じる静電気、または、重送される情報記録媒体間に結露等によって生じる水膜、あるいは、重送される情報記録媒体間の乾燥不十分な印刷インク等の影響で、重送される情報記録媒体間に作用する吸着力が、分離ローラと情報記録媒体との間の摩擦力よりも大きくなると、分離ローラによって、重送される情報記録媒体を分離できなくなるおそれがある。しかし、本発明では、1枚の情報記録媒体は通過できるが重なった状態の2枚の情報記録媒体が通過できないゲート部が、搬送ローラの回転中心と分離ローラの回転中心とを結ぶ仮想線よりも情報記録媒体の送出方向の下流側に配置されているため、重送される情報記録媒体を分離ローラによって分離できない場合であっても、重送される情報記録媒体をゲート部に当接させて、重送される情報記録媒体を分離することが可能になる。特に、本発明では、仮想線よりも送出方向の下流側にゲート部が配置されているため、分離ローラと情報記録媒体との間の摩擦力を利用して、分離する方向への力を重送される情報記録媒体に作用させた状態で、あるいは、分離する方向への力を重送される情報記録媒体に作用させた後で、重送される情報記録媒体をゲート部に当接させることができる。したがって、情報記録媒体間に作用する吸着力が大きくても、ゲート部で、重送される情報記録媒体を分離しやすくなる。
【0010】
このように、本発明の媒体重送防止機構は、搬送ローラに対向配置され搬送ローラに向かって付勢される分離ローラと、搬送ローラの回転中心と分離ローラの回転中心とを結ぶ仮想線よりも送出方向の下流側に配置されるゲート部とを備えているため、分離ローラとゲート部とによって、重送される情報記録媒体を適切に分離することが可能になる。
【0011】
本発明において、ゲート部は、送出方向における情報記録媒体の後端が搬送ローラと分離ローラとの間から抜ける前に、送出方向における情報記録媒体の前端がゲート部に到達する位置に配置されていることが好ましい。このように構成すると、分離ローラと情報記録媒体との間の摩擦力を利用して、分離する方向への力を重送される情報記録媒体に作用させた状態で、重送される情報記録媒体をゲート部に当接させることができる。したがって、情報記録媒体間に作用する吸着力が大きくても、ゲート部で、重送される情報記録媒体をより分離しやすくなる。
【0012】
本発明において、仮想線とゲート部との送出方向における距離は、搬送ローラの半径および分離ローラの半径よりも短いことが好ましい。この場合には、ゲート部は、仮想線の近傍に配置されていることがより好ましい。このように構成すると、重送される情報記録媒体がゲート部に当接したときに、情報記録媒体の、搬送ローラと分離ローラとに挟まれた部分から、送出方向における情報記録媒体の前端までの距離が短くなる。したがって、使用される情報記録媒体の剛性が低く、情報記録媒体が柔らかい場合であっても、重送される情報記録媒体がゲート部に当接したときの情報記録媒体の座屈を防止することが可能になる。
【0013】
本発明において、搬送ローラおよび分離ローラの少なくとも表面は、弾性部材で構成され、ゲート部は、搬送ローラと分離ローラとに挟まれた送出方向における情報記録媒体の前端が、径方向内側に向かって弾性変形している搬送ローラおよび分離ローラから離れる前に、送出方向における情報記録媒体の前端がゲート部に到達する位置に配置されていることが好ましい。このように構成すると、情報記録媒体の送出方向において、情報記録媒体の前端側が曲がっていたり反っていたりする場合であっても、ゲート部によって、重送される情報記録媒体を適切に分離することが可能になる。
【0014】
本発明において、ゲート部は、送出方向に直交する情報記録媒体の幅方向において、搬送ローラおよび分離ローラに隣接配置されていることが好ましい。このように構成すると、情報記録媒体の幅方向において、情報記録媒体の前端側が曲がっていたり反っていたりする場合であっても、ゲート部によって、重送される情報記録媒体を適切に分離することが可能になる。
【0015】
本発明において、ゲート部は、搬送ローラの回転軸の軸方向と略平行な方向を軸方向として揺動可能であることが好ましい。このように構成すると、ゲート部を通過する情報記録媒体に倣うようにゲート部を揺動させることが可能になる。したがって、情報記録媒体が柔らかい場合であっても、ゲート部を通過させる際の情報記録媒体の座屈を防止することが可能になる。
【0016】
本発明において、ゲート機構は、情報記録媒体が通過するゲート部の隙間を調整する隙間調整機構を備えることが好ましい。このように構成すると、使用される情報記録媒体の厚みに応じて、ゲート部の隙間を調整することが可能になる。
【0017】
本発明において、たとえば、ゲート部は、情報記録媒体の厚み方向で対向配置される第1ゲート部と第2ゲート部とによって構成され、ゲート機構は、第1ゲート部が形成される第1ゲート部材と、第2ゲート部が形成される第2ゲート部材と、第1ゲート部材に対する第2ゲート部材の相対回動が可能となるように第1ゲート部材および第2ゲート部材に係合する係合部材とを備え、第1ゲート部材に対して第2ゲート部材を相対回動させることでゲート部の隙間が調整される。
【0018】
本発明において、ゲート部は、情報記録媒体の厚み方向で対向配置される第1ゲート部と第2ゲート部とによって構成され、第1ゲート部は、分離ローラ側に配置され、第2ゲート部は、搬送ローラ側に配置され、送出方向における第1ゲート部の後端は、第2ゲート部に向かうにしたがって送出方向へ向かって傾斜する傾斜面となっていることが好ましい。このように構成すると、情報記録媒体が柔らかい場合であっても、傾斜面の傾斜角度を適切に設定することで、傾斜面を利用して、情報記録媒体をゲート部の隙間へ適切に案内することが可能になる。
【0019】
本発明において、ゲート部は、情報記録媒体の厚み方向で対向配置される第1ゲート部と第2ゲート部とによって構成され、第1ゲート部は、分離ローラ側に配置され、第2ゲート部は、搬送ローラ側に配置され、第2ゲート部は、第1ゲート部よりも送出方向の反対方向となる反送出方向に向かって延びるように形成されていることが好ましい。このように構成すると、第2ゲート部を利用して、情報記録媒体をゲート部の隙間へ適切に案内することが可能になる。
【0020】
本発明において、分離ローラは、トルクリミッタを介して搬送ローラの駆動機構に連結されていることが好ましい。このように構成すると、ゲート部の隙間を通過する情報記録媒体を送出する際に、分離ローラと情報記録媒体との間の摩擦力に起因する搬送抵抗を軽減することが可能になる。
【0021】
本発明の媒体重送防止機構は、情報記録媒体が積層されて収納される媒体収納部と、媒体収納部に収納される情報記録媒体を搬送ローラおよび分離ローラに向かって送出する媒体送出機構とを備える媒体送出装置に用いることができる。この媒体送出装置では、重送される情報記録媒体を適切に分離することが可能になる。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明の媒体重送防止機構および媒体送出装置では、重送される情報記録媒体を適切に分離することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態にかかる媒体送出装置の斜視図である。
【図2】図1に示す媒体送出装置の要部の概略構成を側面から説明するための図である。
【図3】図2に示す送出ローラおよび媒体重送防止機構等を抜き出して媒体送出装置の奥側から示す斜視図である。
【図4】図2のE部の拡大図である。
【図5】図3に示すゲート機構の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0025】
(媒体送出装置の概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる媒体送出装置1の斜視図である。図2は、図1に示す媒体送出装置1の要部の概略構成を側面から説明するための図である。図3は、図2に示す送出ローラ4、5および媒体重送防止機構6等を抜き出して媒体送出装置1の奥側から示す斜視図である。
【0026】
本形態の媒体送出装置1は、情報記録媒体であるカード2を所定の方向に向かって送り出すための装置である。本形態では、図1、図2等のX1方向側に、カード2が送出される。すなわち、X1方向は、カード2の送出方向である。また、X1方向の反対方向となるX2方向は、反送出方向である。以下の説明では、図1等のX1方向側を媒体送出装置1の「手前(前)」側とし、X2方向側を媒体送出装置1の「奥(後ろ)」側とする。
【0027】
媒体送出装置1は、複数のカード2が上下方向に積層されて収納される媒体収納部としてのカード収納部3と、カード収納部3に収納された複数のカード2の中で一番下に収納されているカード2を媒体送出装置1の前面側へ送り出す媒体送出機構としての送出ローラ4と、送出ローラ4によって送り出されたカード2を媒体送出装置1の前面側へさらに送り出す送出ローラ5と、カード収納部3内で複数枚重なった状態のカード2を1枚ずつ送り出すための媒体重送防止機構6とを備えている。
【0028】
本形態の媒体送出装置1で使用されるカード2は、厚さが0.7〜0.8mm程度の塩化ビニール製のカード、厚さが0.18〜0.36mm程度のPET(ポリエチレンテレフタレート)カード、あるいは、所定の厚さの紙カード等である。すなわち、本形態の媒体送出装置1では、様々な厚みのカード2の使用が可能である。また、本形態の媒体送出装置1では、比較的柔らかいカード2から比較的硬いカード2まで、様々な剛性を有するカード2の使用が可能である。カード2は、たとえば、非接触式のICカードであり、カード2には、通信用のアンテナが内蔵されている。なお、カード2の表面には、磁気ストライプが形成されても良いし、ICチップが固定されても良い。
【0029】
カード収納部3は、側面の一部および上面が開口する直方体の箱状に形成されている。カード収納部3の底面部3aと前側壁3bの下端との間には、図2に示すように、カード収納部3に収納されるカード2が前側に向かって通過する開口部3cが形成されている。開口部3cは、複数枚のカード2が通過できるように形成されている。
【0030】
送出ローラ4は、偏心ローラである。送出ローラ4の上端側は、底面部3aに形成される貫通孔の中に配置されている。送出ローラ4には、図示を省略するモータが連結されている。また、カード収納部3の下側には、カード収納部3に収納されるカード2を下側から支持する支持ローラ7、8が配置されている。支持ローラ7は、送出ローラ4と同軸上に配置されている。支持ローラ8は、支持ローラ7よりも前側に配置されている。
【0031】
送出ローラ5は、カード2の下面に当接するようにカード2の搬送路の下側に配置されている。送出ローラ5には、図示を省略するモータが連結されている。また、送出ローラ5の上側には、パッドローラ9が対向配置されている。パッドローラ9は、送出ローラ5に向かって付勢されている。
【0032】
媒体重送防止機構6は、送出ローラ5およびパッドローラ9と、カード収納部3との間に配置されている。以下、媒体重送防止機構6の構成について説明する。
【0033】
(媒体重送防止機構の構成)
図4は、図2のE部の拡大図である。図5は、図3に示すゲート機構13の分解斜視図である。
【0034】
媒体重送防止機構6は、カード2に当接してカード2を搬送する搬送ローラ11と、送出ローラ5に向かって複数枚重なった状態で搬送される(すなわち、重送される)カード2を分離するための分離ローラ12と、搬送ローラ11および分離ローラ12の前側に配置されるゲート機構13とを備えている。
【0035】
搬送ローラ11は、外周側にゴム輪が配置されたゴムローラである。すなわち、搬送ローラ11の表面は、弾性部材であるゴムによって構成されている。この搬送ローラ11は、カード2の下面に当接するようにカード2の搬送路の下側に配置されている。搬送ローラ11には、歯車14(図3参照)を含む歯車列等を介してモータ(図示省略)が連結されている。この歯車列やモータ等によって、搬送ローラ11の駆動機構が構成されている。
【0036】
分離ローラ12は、搬送ローラ11と同様に、外周側にゴム輪が配置されたゴムローラである。すなわち、分離ローラ12の表面は、弾性部材であるゴムによって構成されている。この分離ローラ12は、搬送ローラ11の上側から搬送ローラ11に対向配置されている。また、分離ローラ12は、付勢部材15(図1参照)の付勢力で搬送ローラ11に向かって付勢されている。付勢部材15は、たとえば、引張りコイルバネである。図1に示すように、分離ローラ12の回転軸16には、搬送ローラ11の回転軸に固定される歯車19に噛み合う歯車17が固定されている。分離ローラ12は、トルクリミッタ18(図3参照)を介して回転軸16に取り付けられている。すなわち、分離ローラ12は、トルクリミッタ18、回転軸16および歯車17等を介して搬送ローラ11の駆動機構に連結されている。
【0037】
本形態の分離ローラ12は、重送されるカード2を分離するため、搬送ローラ11と同方向に回転する。すなわち、カード収納部3からカード2を送り出す際には、搬送ローラ11が図2、図4の時計方向に回転し、かつ、分離ローラ12も図2、図4の時計方向に回転する。そのため、カード収納部3から複数枚のカード2が重なった状態で送出されると、搬送ローラ11にその下面が当接するカード2は、手前側に搬送され、分離ローラ12にその上面が当接するカード2は、カード収納部3側(すなわち、奥側)へ戻される。
【0038】
上述のように、搬送ローラ11および分離ローラ12はゴムローラであり、かつ、分離ローラ12は搬送ローラ11に向かって付勢されている。本形態では、搬送ローラ11と分離ローラ12との間にカード2が挟まれた状態では、搬送ローラ11および分離ローラ12は、径方向内側へ向かって弾性変形しており、搬送ローラ11とカード2とが面接触し、また、分離ローラ12とカード2とが面接触している。
【0039】
ゲート機構13には、図4に示すように、カード2が通過する隙間Gを有するゲート部20が形成されている。ゲート部20の隙間Gは、1枚のカード2は通過できるが重なった状態の2枚のカード2が通過できないように設定されている。たとえば、隙間Gは、カード2の約1.5枚分の厚みと同じ隙間となっている。また、ゲート部20は、カード2の厚み方向で対向する第1ゲート部21aと、第2ゲート部22aとによって構成されている。すなわち、第1ゲート部21aと第2ゲート部材22aとの間がゲート部20の隙間Gとなっている。本形態では、第1ゲート部21aが分離ローラ12側(すなわち、上側)に配置され、第2ゲート部22aが搬送ローラ11側(すなわち、下側)に配置されている。
【0040】
第1ゲート部21aは、図5に示すように、平板状に形成された第1ゲート部材21に形成されている。第1ゲート部材21は、前方向に向かって延びるように形成される後端側部21bと、後端側部21bの前端側から斜め前上方向に延びるように形成される前端側部21cとによって構成されており、後端側部21bの後端部が第1ゲート部21aとなっている。図4に示すように、第1ゲート部21aの下端面は、後端側部21bの他の部分の下端面よりも下側へ突出している。
【0041】
第1ゲート部21aの後端は、奥側に向かうにしたがって上方向へ向かって傾斜する傾斜面21dとなっている。傾斜面21dの上下方向に対する角度θ(図4参照)は、傾斜面21dとカード2の前端面との摩擦角よりもわずかに大きくなるように設定されている。重なっていない状態でゲート部20に向かって搬送される1枚のカード2の前端面が傾斜面21dに当接したときにカード2が傾斜面21dに案内されてゲート部20に入るようにするためであり、また、重なった状態でゲート部20に搬送される2枚のカード2のうちの上側のカード2がゲート部20に入らないようにするためである。角度θは、たとえば、約16°〜30°となっている。
【0042】
第1ゲート部材21の略中心には、丸孔状の貫通孔21eが形成されている。また、第1ゲート部材21の上端側にも、丸孔状の貫通孔21fが形成されている。
【0043】
第2ゲート部22aは、図5に示すように、平板状の部材を折り曲げることで形成される第2ゲート部材22に形成されている。第2ゲート部材22は、第1ゲート部材21と所定の間隔をあけた状態で略平行に配置される側面部22bと、側面部22bの下端側から第1ゲート部材21に向かって延びるように形成される底面部22cとによって構成されている。
【0044】
側面部22bは、第1ゲート部材21と略同形状に形成されている。ただし、側面部22bの後端側は、第1ゲート部材21の後端側よりも奥側に向かって延びている。側面部22bの略中心には、丸孔状の貫通孔22eが形成され、側面部22bの上端側には、長孔状の貫通孔22fが形成されている。
【0045】
底面部22cは、側面部22bの後端側部分から第1ゲート部材21に向かって延びる略平面状に形成されている。底面部22cの、第1ゲート部材21側部分が、第2ゲート部22aとなっており、第1ゲート部21aの下面と第2ゲート部22aの上面とは、隙間Gを介して上下方向で対向している。第2ゲート部22aの上面は、底面部22cの他の部分の上面よりも上側に突出している。また、底面部22cの後端側は、奥側に向かうにしたがって下方向へ向かって傾斜するように折り曲げられている。上述のように、側面部22bの後端側は、第1ゲート部材21の後端側よりも奥側に向かって延びており、第2ゲート部22aは、第1ゲート部21aよりも奥側に向かって延びている。
【0046】
第1ゲート部材21と第2ゲート部材22の側面部22bとの間には、六角柱状の軸部材23が配置されている。軸部材23の両端のそれぞれには、メネジが形成されており、第1ゲート部材21の貫通孔21fに挿通されるネジ25と、第2ゲート部材22の貫通孔22fに挿通されるネジ26とが係合している。軸部材23と、ネジ25、26とによって、第1ゲート部材21と第2ゲート部材22とが互いに固定されている。
【0047】
また、第1ゲート部材21と第2ゲート部材22の側面部22bとの間には、略円筒状の筒部材24が配置されている。筒部材24の一端は、貫通孔22eの中に挿通された状態で側面部22bに固定されている。一方、筒部材24の他端は、貫通孔21eの中に挿通されているが、第1ゲート部材21に固定されていない。筒部材24の内周側には、媒体送出装置1のフレームに固定される固定軸(図示省略)が挿通されている。この固定軸は、搬送ローラ11の回転軸の軸方向と略平行に配置されている。本形態では、第1ゲート部材21および第2ゲート部材22は、互いに固定された状態で、この固定軸を中心にわずかに揺動可能となっている。すなわち、ゲート部20は、筒部材24の中心軸を中心に上下方向にわずかに揺動可能となっている。
【0048】
本形態では、ネジ26を緩めて筒部材24を中心に、第2ゲート部材22を第1ゲート部材21に対して相対回動させることで、ゲート部20の隙間Gを調整することが可能となっている。すなわち、本形態では、軸部材23、筒部材24およびネジ26等によって、ゲート部20の隙間を調整する隙間調整機構が構成されている。本形態の筒部材24は、第1ゲート部材21に対する第2ゲート部材22の相対回動が可能となるように第1ゲート部材21および第2ゲート部材22に係合する係合部材である。
【0049】
ゲート部20は、図4に示すように、搬送ローラ11の回転中心と分離ローラ12の回転中心とを結ぶ仮想線Lよりも前側に配置されている。本形態では、カード2の後端が搬送ローラ11と分離ローラ12との間から抜ける前に、カード2の前端がゲート部20に到達する位置にゲート部20が配置されている。具体的には、ゲート部20は、仮想線Lの近傍(より具体的には、仮想線Lのわずかに前側)に配置されており、前後方向における仮想線Lとゲート部20との距離は、搬送ローラ11の半径および分離ローラ12の半径よりも短くなっている。
【0050】
また、本形態では、搬送ローラ11と分離ローラ12とに挟まれた状態のカード2の前端が、径方向内側へ向かって弾性変形している搬送ローラ11および分離ローラ12から離れる前に、カード2の前端がゲート部20に到達する位置にゲート部20が配置されている。すなわち、カード2の前端がゲート部20に到達するときには、カード2の前端は、弾性変形している搬送ローラ11と分離ローラ12との間に挟まれており、搬送ローラ11および分離ローラ12に接触している。
【0051】
また、図3に示すように、第1ゲート部材21および第2ゲート部材22は、搬送ローラ11および分離ローラ12よりも図3の紙面手前側(図2の紙面手前側)に配置されている。具体的には、前後方向に直交するカード2の幅方向(図2の紙面垂直方向)において、搬送ローラ11および分離ローラ12にゲート部20が隣接配置されるように、第1ゲート部材21および第2ゲート部材22が配置されている。ゲート部20は、カード2の幅方向において、わずかな隙間を介して搬送ローラ11および分離ローラ12に隣接するように配置されている。なお、第1ゲート部21aの奥端は、仮想線Lよりも前側に配置され、第2ゲート部22aの奥端は、仮想線Lよりも奥側に配置されている。
【0052】
(媒体送出装置の概略動作)
以上のように構成された媒体送出装置1では、送出ローラ4によってカード収納部3から1枚のカード2が送出されると、カード2は、ゲート部20を通過して、送出ローラ5によって、さらに前側へ送出される。ゲート部20は、筒部材24の中心軸を中心に上下方向に揺動可能となっているため、カード2がゲート部20を通過する際には、ゲート部20は、カード2の形状や動きに倣って揺動する。なお、カード収納部3から1枚のカード2が送出される場合に、カード2の前端面が傾斜面21dに当接しても、カード2の前端面は、傾斜面21dによってゲート部20へ案内される。
【0053】
一方、カード収納部3から2枚以上のカード2が重なった状態で送出されると(すなわち、重送されると)、分離ローラ12の作用で、一番下のカード2A(図4参照)以外は、奥側へ戻される。ここで、重送されるカード2A、2B(図4参照)間に生じる静電気、重送されるカード2A、2B間に結露等によって生じる水膜、あるいは、重送されるカード2A、2B間の乾燥不十分な印刷インク等の影響で、重送されるカード2A、2B間に作用する吸着力が、分離ローラ12に当接するカード2Bと分離ローラ12との間の摩擦力よりも大きくなると、図4に示すように、カード2Bの前端が仮想線Lを通過する場合がある。この場合には、仮想線Lを通過したカード2Bの前端がゲート部20を構成する第1ゲート部21aの傾斜面21dに直ちに当接して、カード2Aとカード2Bとが分離される。また、分離ローラ12の作用で、分離されたカード2Bは、奥側へ戻される。
【0054】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、搬送ローラ11と同方向に回転して重送されるカード2を分離するための分離ローラ12が搬送ローラ11に向かって付勢されている。そのため、搬送ローラ11と分離ローラ12との間をカード2が通過する際には、使用されるカード2の厚みに応じて、上下方向へ分離ローラ12が移動する。したがって、本形態では、使用されるカード2の厚みにかかわらず、分離ローラ12をカード2に当接させることができる。その結果、本形態では、使用されるカード2の厚みにかかわらず、分離ローラ12とカード2との間に生じる摩擦力を利用して、重送されるカード2を分離することが可能になる。
【0055】
また、本形態では、搬送ローラ11の回転中心と分離ローラ12の回転中心とを結ぶ仮想線Lよりも前側にゲート部20が配置されているため、重送されるカード2間に作用する吸着力が、分離ローラ12に当接するカード2と分離ローラ12との間の摩擦力よりも大きくなって、重送されるカード2を分離ローラ12で分離できない場合であっても、重送されるカード2を第1ゲート部21aの傾斜面21dに当接させて、重送されるカード2を分離することが可能になる。
【0056】
特に本形態では、カード2の後端が搬送ローラ11と分離ローラ12との間から抜ける前に、カード2の前端がゲート部20に到達するため、分離ローラ12とカード2との間の摩擦力を利用して、分離する方向への力を重送されるカード2に作用させた状態で、重送されるカード2を第1ゲート部21aの傾斜面21dに当接させることができる。したがって、本形態では、カード2間に作用する吸着力が大きくても、ゲート部20で、重送されるカード2をより分離しやすくなる。
【0057】
このように、本形態の媒体重送防止機構6は、搬送ローラ11に向かって付勢される分離ローラ12と、搬送ローラ11の回転中心と分離ローラ12の回転中心とを結ぶ仮想線Lよりも前側に配置されるゲート部20とを備えているため、分離ローラ12とゲート部20とによって、重送されるカード2を適切に分離することが可能になる。
【0058】
本形態では、搬送ローラ11と分離ローラ12とに挟まれた状態のカード2の前端が、径方向内側へ向かって弾性変形している搬送ローラ11および分離ローラ12から離れる前に、カード2の前端がゲート部20に到達する位置にゲート部20が配置されている。そのため、重送されるカード2がゲート部20に当接するときには、カード2の前端は、搬送ローラ11と分離ローラ12とに挟まれている。したがって、使用されるカード2の剛性が低く、カード2が柔らかい場合であっても、重送されるカード2がゲート部20に当接したときのカード2の座屈を防止することができる。
【0059】
また、本形態では、ゲート部20は、筒部材24の中心軸を中心にわずかに揺動可能となっており、カード2がゲート部20を通過する際には、ゲート部20は、カード2の形状や動きに倣って揺動するため、カード2が柔らかい場合であっても、ゲート部20を通過させる際のカード2の座屈を防止することが可能になる。
【0060】
本形態では、搬送ローラ11と分離ローラ12とに挟まれた状態のカード2の前端が、径方向内側へ向かって弾性変形している搬送ローラ11および分離ローラ12から離れる前に、カード2の前端がゲート部20に到達する位置にゲート部20が配置されている。そのため、カード2の長手方向(前後方向)において、カード2の前端側が曲がっていたり反っていたりする場合であっても、上下方向における分離ローラ12と第1ゲート部材21との間にカード2の前端が入り込むのを防止することが可能になり、その結果、ゲート部20によって、重送されるカード2を適切に分離することが可能になる。
【0061】
また、本形態では、ゲート部20は、カード2の幅方向において、搬送ローラ11および分離ローラ12に隣接するように配置されているため、カード2の幅方向において、カード2の前端側が曲がっていたり反っていたりする場合であっても、カード2の幅方向における分離ローラ12と第1ゲート部材21との間にカード2の前端が入り込むのを防止することが可能になり、その結果、ゲート部20によって、重送されるカード2を適切に分離することが可能になる。
【0062】
本形態では、ネジ26を緩めて筒部材24を中心に、第2ゲート部材22を第1ゲート部材21に対して相対回動させることで、ゲート部20の隙間Gを調整することが可能となっている。そのため、使用されるカード2の厚みに応じて、ゲート部20の隙間Gを調整することが可能になる。
【0063】
本形態では、傾斜面21dの上下方向に対する角度θは、傾斜面21dとカード2の前端面との摩擦角よりもわずかに大きくなるように設定されている。そのため、カード2が柔らかい場合であっても、重なっていない状態でゲート部20に向かって搬送される1枚のカード2を傾斜面21dによってゲート部20の隙間Gへ案内することが可能になる。また、重なった状態でゲート部20に搬送される2枚のカード2のうちの上側のカード2がゲート部20に進入するのを防止することが可能になる。
【0064】
本形態では、第2ゲート部22aは、第1ゲート部21aよりも奥側に向かって延びている。そのため、第2ゲート部22aを利用して、カード2をゲート部20の隙間Gへ適切に案内することが可能になる。また、本形態では、底面部22cの後端側が、奥側に向かうにしたがって下方向へ向かって傾斜するように折り曲げられているため、底面部22cの後端側を利用して、第2ゲート部22aの上面へカード2を適切に案内することが可能になる。
【0065】
本形態では、分離ローラ12は、トルクリミッタ18、回転軸16および歯車17等を介して搬送ローラ11の駆動機構に連結されている。そのため、ゲート部20の隙間Gを通過するカード2を送出する際に、分離ローラ12とカード2との間の摩擦力に起因する搬送抵抗を軽減することが可能になる。
【0066】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0067】
上述した形態では、搬送ローラ11と分離ローラ12とに挟まれた状態のカード2の前端が、径方向内側へ向かって弾性変形している搬送ローラ11および分離ローラ12から離れる前に、カード2の前端がゲート部20に到達する位置にゲート部20が配置されている。この他にもたとえば、搬送ローラ11と分離ローラ12とに挟まれた状態のカード2の前端が搬送ローラ11および分離ローラ12から離れた後に、カード2の前端がゲート部20に到達する位置にゲート部20が配置されても良い。この場合であっても、ゲート部20が仮想線Lの比較的近傍に配置されていれば、重送されるカード2がゲート部20に当接したときに、カード2の、搬送ローラ11と分離ローラ12とに挟まれた部分から、カード2の前端までの距離が短くなる。したがって、使用されるカード2の剛性が低く、カード2が柔らかい場合であっても、重送されるカード2がゲート部20に当接したときのカード2の座屈を防止することが可能になる。
【0068】
また、ゲート部20は、仮想線Lの比較的近傍ではなく、仮想線Lから離れた位置に配置されても良い。この場合には、カード2の後端が搬送ローラ11と分離ローラ12との間から抜けた後に、カード2の前端がゲート部20に到達する位置にゲート部20が配置されても良い。また、上述した形態では、ゲート部20は、筒部材24の中心軸を中心に揺動可能となっているが、ゲート部20は固定されていても良い。
【0069】
上述した形態では、カード2を媒体送出装置1の前面側へ送り出す媒体送出機構は、送出ローラ4であるが、カード2の後端面に当接する爪部材やこの爪部材を駆動する爪部材駆動機構等によって媒体送出機構が構成されても良い。また、上述した形態では、媒体送出装置1を例に本発明の実施の形態にかかる媒体重送防止機構6の構成を説明したが、媒体重送防止機構6は、媒体の重送を防止することが必要な各種の装置に用いることができる。
【符号の説明】
【0070】
1 媒体送出装置
2 カード(情報記録媒体)
3 カード収納部(媒体収納部)
4 送出ローラ(媒体送出機構)
6 媒体重送防止機構
11 搬送ローラ
12 分離ローラ
13 ゲート機構
18 トルクリミッタ
20 ゲート部
21 第1ゲート部材
21a 第1ゲート部
21d 傾斜面
22 第2ゲート部材
22a 第2ゲート部
23 軸部材(隙間調整機構の一部)
24 筒部材(隙間調整機構の一部、係合部材)
26 ネジ(隙間調整機構の一部)
G 隙間
L 仮想線
X1 送出方向
X2 反送出方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚重なった状態の情報記録媒体を1枚ずつ送り出すための媒体重送防止機構において、
前記情報記録媒体に当接して前記情報記録媒体を搬送する搬送ローラと、前記搬送ローラに対向配置され前記搬送ローラに向かって付勢されるとともに前記搬送ローラと同方向に回転して重送される前記情報記録媒体を分離するための分離ローラと、1枚の前記情報記録媒体は通過できるが重なった状態の2枚の前記情報記録媒体が通過できないゲート部を有するゲート機構とを備え、
前記ゲート部は、前記搬送ローラの回転中心と前記分離ローラの回転中心とを結ぶ仮想線よりも前記情報記録媒体の送出方向の下流側に配置されていることを特徴とする媒体重送防止機構。
【請求項2】
前記ゲート部は、前記送出方向における前記情報記録媒体の後端が前記搬送ローラと前記分離ローラとの間から抜ける前に、前記送出方向における前記情報記録媒体の前端が前記ゲート部に到達する位置に配置されていることを特徴とする請求項1記載の媒体重送防止機構。
【請求項3】
前記仮想線と前記ゲート部との前記送出方向における距離は、前記搬送ローラの半径および前記分離ローラの半径よりも短いことを特徴とする請求項2記載の媒体重送防止機構。
【請求項4】
前記ゲート部は、前記仮想線の近傍に配置されていることを特徴とする請求項3記載の媒体重送防止機構。
【請求項5】
前記搬送ローラおよび前記分離ローラの少なくとも表面は、弾性部材で構成され、
前記ゲート部は、前記搬送ローラと前記分離ローラとに挟まれた前記送出方向における前記情報記録媒体の前端が、径方向内側に向かって弾性変形している前記搬送ローラおよび前記分離ローラから離れる前に、前記送出方向における前記情報記録媒体の前端が前記ゲート部に到達する位置に配置されていることを特徴とする請求項3または4記載の媒体重送防止機構。
【請求項6】
前記ゲート部は、前記送出方向に直交する前記情報記録媒体の幅方向において、前記搬送ローラおよび前記分離ローラに隣接配置されていることを特徴とする請求項3から5のいずれかに記載の媒体重送防止機構。
【請求項7】
前記ゲート部は、前記搬送ローラの回転軸の軸方向と略平行な方向を軸方向として揺動可能であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の媒体重送防止機構。
【請求項8】
前記ゲート機構は、前記情報記録媒体が通過する前記ゲート部の隙間を調整する隙間調整機構を備えることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の媒体重送防止機構。
【請求項9】
前記ゲート部は、前記情報記録媒体の厚み方向で対向配置される第1ゲート部と第2ゲート部とによって構成され、
前記ゲート機構は、前記第1ゲート部が形成される第1ゲート部材と、前記第2ゲート部が形成される第2ゲート部材と、前記第1ゲート部材に対する前記第2ゲート部材の相対回動が可能となるように前記第1ゲート部材および前記第2ゲート部材に係合する係合部材とを備え、
前記第1ゲート部材に対して前記第2ゲート部材を相対回動させることで前記ゲート部の隙間が調整されることを特徴とする請求項8記載の媒体重送防止機構。
【請求項10】
前記ゲート部は、前記情報記録媒体の厚み方向で対向配置される第1ゲート部と第2ゲート部とによって構成され、
前記第1ゲート部は、前記分離ローラ側に配置され、前記第2ゲート部は、前記搬送ローラ側に配置され、
前記送出方向における前記第1ゲート部の後端は、前記第2ゲート部に向かうにしたがって前記送出方向へ向かって傾斜する傾斜面となっていることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の媒体重送防止機構。
【請求項11】
前記ゲート部は、前記情報記録媒体の厚み方向で対向配置される第1ゲート部と第2ゲート部とによって構成され、
前記第1ゲート部は、前記分離ローラ側に配置され、前記第2ゲート部は、前記搬送ローラ側に配置され、
前記第2ゲート部は、前記第1ゲート部よりも前記送出方向の反対方向となる反送出方向に向かって延びるように形成されていることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の媒体重送防止機構。
【請求項12】
前記分離ローラは、トルクリミッタを介して前記搬送ローラの駆動機構に連結されていることを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の媒体重送防止機構。
【請求項13】
請求項1から12のいずれかに記載の媒体重送防止機構と、前記情報記録媒体が積層されて収納される媒体収納部と、前記媒体収納部に収納される前記情報記録媒体を前記搬送ローラおよび前記分離ローラに向かって送出する媒体送出機構とを備えることを特徴とする媒体送出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−35930(P2012−35930A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−175108(P2010−175108)
【出願日】平成22年8月4日(2010.8.4)
【出願人】(000002233)日本電産サンキョー株式会社 (1,337)
【Fターム(参考)】