説明

子宮頸部測定のための装置及び方法

【課題】迅速かつ正確に、かつ安価に、子宮頸部を測定するための装置及び方法を提供する。
【解決手段】子宮頸部の長さを測定するための装置であって、長寸の測定部材、中空部材、フランジ、ハンドル及びロック機構を含む装置を提供する。長寸の測定部材は、長手方向軸線に沿って延在し、その表面に測定スケールを含む。中空部材は、長寸の測定部材と同軸をなしかつ該測定部材を覆うように配置されている。フランジは、中空部材の遠位端に、長手方向軸線とオフセットして設けられている。ハンドルは、測定部材の近位端に設けられている。ロック機構は、ロック時には中空部材を測定部材に対して固定し、アンロック時には、アンロック時には、中空部材が測定部材に沿って摺動できるように構成されており、ロック機構のアンロック時に、測定スケールを変位させることなく、フランジを所望の位置に配置し得るように、中空部材を測定部材に沿って摺動させかつ長手方向軸線の周りで回転可能にされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
【0002】
本願は、米国仮特許出願第61/260,520号(特許文献1)に基づく優先権を主張する。本願はまた、米国仮特許出願第61/369,523号(特許文献2)に基づく優先権も主張する。これらの出願は、引用を以て本明細書の一部となす。
【0003】
参照による引用
【0004】
本明細書で言及している全ての文献及び特許出願は、個々の文献または特許出願の各々について引用を以て本明細書の一部となすことを具体的にかつ個々に示しているのと同じように、引用することを以て本明細書の一部となす。
【0005】
技術分野
【0006】
本発明は、医療装置及び該装置の使用方法に関する。より詳細には、本発明は、膣円蓋における子宮頸部の長さ(頸管長)及び子宮頸部の拡張を測定する器具及び方法に関する。
【背景技術】
【0007】
早産すなわち妊娠37週以前の分娩は、報告によれば、全出産の約12.8パーセントであるが、全ての周産期合併症及び死亡の86パーセント超を占める。これについては、非特許文献1及び非特許文献2を参照されたい。両特許文献は、引用を以て本明細書の一部となす。膣円蓋における子宮頸部長は、早産のリスクと負の相関があることも認められている。これについては、非特許文献3、非特許文献4及び非特許文献5を参照されたい。これらの特許文献は全て、引用を以て本明細書の一部となす。このように、多くの医師は、早産のリスクを評価するために通常の出産前ケアの一部として膣円蓋において子宮頸部を調べることが有用であることを理解している。
【0008】
妊娠の過程で、通常、母児にとって安全で楽な出産を迎えられるようにする一連の物理的及び生化学的変化が子宮頸部において生じることは、長い間知られていた。例えば、分娩の初期段階では、子宮頸管組織が柔らかくなってよりしなやかになり、子宮頸部が短くなり(展退し)、内子宮口において子宮頸管の近位端の直径が増大し始める。分娩が進むと、子宮頸部の直径の成長は、外子宮口に向かって子宮頸管の遠位端に及ぶ。分娩の最終段階では、外子宮口が開大し、胎児が通過することができるようになる。
【0009】
正常分娩に関連する物理的及び生化学的変化に加えて、遺伝的または環境的要因、例えば、医学的疾患または感染症、ストレス、栄養不良、慢性的欠乏及び特定の化学薬品または薬物などが、子宮頸部に変化をもたらす場合がある。例えば、ジエチルスチルベストロール(DES)に子宮内曝露された女性の中には、子宮頸部異常、場合によっては肉眼的な解剖学的変化が生じ、結果として頸管無力症になる者がいることがよく知られている。頸管無力症は、明かな子宮収縮なしに、子宮頸部が成熟し、柔らかくなり、痛みを伴わずに拡張する病気である。頸管無力症は、以前の外傷性分娩などにおいて子宮頸部損傷歴がある場合に、または、人工妊娠中絶で子宮頸部を大きな直径まで強制的に拡張した場合にその結果として、発症することもある。頸管無力症の詳細については非特許文献6を参照されたい。非特許文献6は、引用を以て本明細書の一部となす。
【0010】
頸管無力症は、よく知られた臨床的問題である。内子宮口直径増大のエビデンスが頸管無力症と一致することが数名の研究者らによって報告されている(非特許文献7、非特許文献8、非特許文献9、非特許文献10を参照されたい。これらの非特許文献は全て、引用を以て本明細書の一部となす)。頸管無力症に関連して、15mmないし23mmの内子宮口の直径が認められている。よって、頸管無力症の診断における精密評価には、内子宮口の直径の測定が必要である。
【0011】
また、外子宮口の直径を測定する装置及び方法もある。例えば、医師などの医療専門家は、指を使って子宮頸部の直径を手作業で推定することができる。個々の医療専門家はこの方法を用いて許容できる再現性を達成することができるが、この手順は主観的判断に負うところが大きく、医療専門家間でかなりのばらつきがある。これらの問題に対処するために、様々な監視(モニタリング)・測定装置及び方法が開発されてきた。例えば、子宮頸部の拡張を測定するための器具が特許文献3(特許文献3)に記載されている。しかし、この装置は幾分大きいので、膣底または子宮口を傷つけるリスクがある。それに加えて、この装置は、使い捨てではなく、殺菌を繰り返す必要がある。子宮頸部の直径を測定するための別の装置が、例えば米国特許第6,039,701号明細書(特許文献4)に記載されている。1つの形態では、ここに記載されている装置は、子宮頸部に固定されるループ要素を有する。ループは、子宮頸部とともに拡大または縮小する。ループには、ループ寸法の変化を測定するためのゲージが結合されており、ループ寸法の変化は、電子的手段によって検出することができる。このため、この装置はどちらかといえば複雑で製造費が嵩む。
【0012】
或る女性に関して、内子宮口の直径が明らかに正常であると分かっている場合でも、早期分娩及び早産のリスクがないとは言えない。現在、早産に対するリスクアセスメントは、特に早産歴のない女性の間では、依然として困難である。しかし、子宮頸部が早期に短縮または展退した女性の間で早産が多く起こるという事実は、子宮頸部の長さを測定することによって早期分娩を予測し得ることを示唆している。
【0013】
現在のところ、医師が膣円蓋における子宮頸部の長さを測定するための選択肢は少なくとも2つある。1つの方法では、膣円蓋から触診するときに、外子宮口から子宮頸部と子宮との接合部までの長さを推定することによって、子宮頸部の一連の指診を行う。これは、一般の定性分析には有用であるが、外子宮口から子宮頸部と子宮との接合部までの子宮頸部の長さ(本明細書では、膣内へ延出している子宮頸部の長さとも呼ぶ)の測定が容易でも正確でもないので、早期分娩のリスクの正確な評価を与えるものではない。手袋を使用するにもかかわらず、膣の指診は常に、感染病原体を、特に、胎膜、子宮の内膜及び/または筋肉に、または胎児自身に伝染させるリスクをもたらす。
【0014】
もう1つの方法では、子宮頸部のリアルタイム超音波評価を行う。この方法では、比較的迅速かつ正確な子宮頸部寸法が得られる。しかし、この方法は、高価な器材、非常に熟練した操作者及び、結果を解釈する技能を必要とし、これらは全て人為的ミスが生じやすい。その上、測定手順の一部として膣内に挿入されなければならないプローブは、慎重に挿入されなければ、負傷の原因となり得るリスクがある。また、測定の費用が高額であるため、多くの女性、特に適切な健康保険に加入していない女性は、超音波検査を受ける金銭的余裕がない。
【0015】
医療専門家が子宮頸部を迅速かつ正確に測定するために用いることができ、僅かな材料費しか掛からない器具があれば、有益であろう。子宮の様々な寸法を求めるために利用可能な器具は幾つかあるが、膣円蓋における子宮頸部の長さを測定するための適切な器具はない。例えば、米国特許第4,016,867号明細書(特許文献5)は、様々な子宮寸法測定のための子宮カリパス及びデプスゲージが記載されており、これは、子宮内避妊具を適合させるのに有用であるが、カリパスの翼状部に邪魔されて膣円蓋における子宮頸部の長さを測定することができない。そればかりか、米国特許第4,224,951号明細書(特許文献6)、米国特許第4,489,732号明細書(特許文献7)、米国特許第4,685,474号明細書(特許文献8)、特許文献3に記載されている同様の装置も、拡張可能な翼状部や分岐可能なプローブ先端を用いるが故に、同様の問題を抱えている。これらの装置もまた、比較的高性能であるが故に製造費及び購入費が嵩む。米国特許第3,630,190号明細書(特許文献9)、には、特に子宮口と子宮底との間の距離を測定するのに適しているフレキシブルな子宮内プローブが記載されている。この装置のステム部分は、互いから所定の距離、好適には最高で0.5インチ(12.7mm)離間された複数の環状突起部を有している。しかし、この装置は、適切な測定スケール及び測定結果を自動的に記録する手段が欠けているため、膣円蓋における子宮頸部の長さを正確に測定するのに適していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国仮特許出願第61/260,520号明細書
【特許文献2】米国仮特許出願第61/369,523号明細書
【特許文献3】米国特許第5,658,295号明細書
【特許文献4】米国特許第6,039,701号明細書
【特許文献5】米国特許第4,016,867号明細書
【特許文献6】米国特許第4,224,951号明細書
【特許文献7】米国特許第4,489,732号明細書
【特許文献8】米国特許第4,685,474号明細書
【特許文献9】米国特許第3,630,190号明細書
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】Rush et al., BMJ 2:965-8 (1976)
【非特許文献2】Villar et al., Res. Clin. Forums 16:9-33 (1994)
【非特許文献3】Andersen et al., Am. J. Obstet. Gynecol. 163:859 (1990)
【非特許文献4】Iams et al, N. Eng. J. Med. 334:567-72 (1996)
【非特許文献5】Heath et al., and Ultrasound Obstet. Gynecol. 12:312-7 (1998)
【非特許文献6】Sonek, et al., Preterm Birth, Causes, Prevention and Management, Second Edition, McGraw-Hill, Inc., (1993), Chapter 5
【非特許文献7】Brook et al., J. Obstet. Gynecol. 88:640 (1981)
【非特許文献8】Michaels et al., Am. J. Obstet. Gynecol. 154:537 (1986)
【非特許文献9】Sarti et al., Radiology 130:417 (1979)
【非特許文献10】Vaalamo et al., Acta Obstet. Gynecol. Scan 62:19 (1983)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
膣円蓋における子宮頸部の長さを求めて早産のリスク及び他の状態を予測するために用いることができる簡素かつ安価な装置が必要とされている。また、子宮頸部の拡張を測定することによって子宮頸部の全体的な評価を与えかつ特定の分娩段階を判定することができる装置も必要とされている。理想的には、そのような装置は、医院や診療所において内科医や産科医が、あるいは正看護師でも、使用するのにも適したものであるべきである。好適には、そのような装置は、無菌性の、使い捨てのものであるべきである。これに加えて、ユーザが測定を行った時間と測定結果を読み取るために患者から装置を取り出した時間との間で測定結果が変化しないことを確実にするために、測定を行った後に装置がロック可能であることが望ましい。本発明は、これらのニーズを満たし、関連する利点も提供する。
【課題を解決するための手段】
【0019】
概括的には、一態様において、子宮頸部の長さを測定するための装置は、長寸の測定部材、中空部材、フランジ、ハンドル及びロック機構を含む。長寸の測定部材は、長手方向軸線に沿って延在し、かつ表面に測定スケールを有する。中空部材は、長寸の測定部材と同軸をなしかつ該測定部材を覆うように配置されている。フランジは、中空部材の遠位端に、長手方向軸線とオフセットして設けられている。ハンドルは、測定部材の近位端に設けられている。ロック機構は、ロック時には中空部材を測定部材に対して固定し、アンロック時には、中空部材が測定部材に沿って摺動できるように構成されており、ロック機構のアンロック時に、測定スケールを変位させることなく、フランジを所望の位置に配置し得るように、中空部材が長手方向軸線の周りで回転可能であるようにした。
【0020】
本実施形態及び他の実施形態は、以下の構成要件のうちの1若しくは複数を含むことができる。中空部材の近位端は、ハンドル内に至るまで摺動可能とすることができる。フランジは開口部を有することができ、該開口部を通って測定部材を遠位方向に前進させることができる。フランジは、長手方向軸線に垂直な平坦面を有することができる。ロック機構は、貫通孔及びロックチャンネルを含むボタンを含むことができ、貫通孔は、中空部材が貫通孔を通って摺動できるように構成されており、ロックチャンネルは、中空部材がロックチャンネルを通って摺動できないように構成されている。ボタンは、貫通孔とロックチャンネルとの間に少なくとも1つのロックランプ(lock ramp)をさらに含むことができる。測定スケールは、ミリメートル表示のスケールであってよい。測定スケールは、0mmから50mmまでの目盛りを付したものであってよい。中空部材は透明であってよい。測定スケールは、不透明な背景を含むことができる。測定装置は、中空部材上に設けられた表示ラインをさらに含むことができる。表示ラインは、黒色以外の色であってよい。
【0021】
概括的には、一態様において、子宮頸部の長さを測定するための方法は、表面に測定スケールを有する長寸の測定部材、該長寸の測定部材と同軸をなしかつ該測定部材を覆うように配置された中空部材、ハンドル及び、中空部材の遠位端に設けられたフランジを含む装置において、ハンドルを保持するステップと、測定スケールを回転させることなく、フランジを所望の位置に配置し得るように、中空部材を長手方向軸線の周りで回転させるステップと、膣内で、フランジが外子宮口において子宮頸部と接触するまで、装置を遠位方向に前進させるステップと、膣内で、該測定部材の遠位端が膣円蓋において子宮頸部と子宮との接合部と接触するまで、測定部材を遠位方向に前進させるステップと、ハンドルに設けられたロック機構をロックすることによって、測定部材を中空部材に対してロックするステップと、測定部材に対する中空部材の位置を観測することにより、膣円蓋における子宮頸部の長さを求めるステップとを含む。
【0022】
本実施形態及び他の実施形態は、以下の構成要件のうちの1若しくは複数を含むことができる。測定部材を遠位方向に前進させるステップは、中空部材をハンドル内に至るまで摺動させるステップを含むことができる。フランジは、測定部材の長手方向軸線とオフセットして設けることができる。ロック機構は、貫通孔及びロックチャンネルを有するボタンを含むことができ、ロック機構をロックするステップは、ボタンを押すことにより、中空部材がロックチャンネル内に移動しかつ貫通孔を通って摺動できなくなるようにするステップを含む。中空部材の位置を観測するステップは、測定部材上の測定スケールに対する中空部材上の表示ラインを観測するステップを含むことができる。本方法は、膣円蓋における子宮頸部の長さに基づいて、流産のリスクを判定するステップをさらに含むことができ、膣円蓋における子宮頸部の長さは、流産のリスクと負の相関がある。本方法は、分娩誘発の容易さを予測するステップをさらに含むことができ、膣円蓋における子宮頸部の長さは、分娩誘発の容易さと負の相関がある。本方法は、膣円蓋における子宮頸部の長さに基づいて、早期分娩のリスクを判定するステップをさらに含むことができ、膣円蓋における子宮頸部の長さは、早産のリスクと負の相関がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1a】一実施形態に従う或る測定装置の図。
【図1b】図1aの測定装置の追加の図。
【図1c】図1aの測定装置の追加の図。
【図1d】図1aの測定装置の追加の図。
【図1e】図1aの測定装置の追加の図。
【図2a】一実施形態に従う或る測定装置の図。
【図2b】図2aの測定装置の追加の図。
【図2c】図2aの測定装置の追加の図。
【図2d】図2aの測定装置の追加の図。
【図2e】図2aの測定装置の追加の図。
【図3a】一実施形態に従う或る測定装置の図。
【図3b】図3aの測定装置の追加の図。
【図3c】図3aの測定装置の追加の図。
【図3d】図3aの測定装置の追加の図。
【図4a】一実施形態に従う或る測定装置の図。
【図4b】図4aの測定装置の追加の図。
【図4c】図4aの測定装置の追加の図。
【図4d】図4aの測定装置の追加の図。
【図4e】図4aの測定装置の追加の図。
【図4f】図4aの測定装置の追加の図。
【図4g】図4aの測定装置の追加の図。
【図5a】一実施形態に従う或る測定装置の図。
【図5b】図5aの測定装置の追加の図。
【図5c】図5aの測定装置の追加の図。
【図5d】図5aの測定装置の追加の図。
【図6a】一実施形態に従う或る測定装置の図。
【図6b】図6aの測定装置の追加の図。
【図6c】図6aの測定装置の追加の図。
【図6d】図6aの測定装置の追加の図。
【図6e】図6aの測定装置の追加の図。
【図6f】図6aの測定装置の追加の図。
【図7a】一実施形態に従う或る測定装置の図。
【図7b】図7aの測定装置の追加の図。
【図7c】図7aの測定装置の追加の図。
【図7d】図7aの測定装置の追加の図。
【図7e】図7aの測定装置の追加の図。
【図7f】図7aの測定装置の追加の図。
【図7g】図7aの測定装置の追加の図。
【図7h】図7aの測定装置の追加の図。
【図8】膣の子宮頸部の測定に用いられる測定装置の図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、女性生殖器の寸法を求めるための様々な装置及び方法を提供する。例えば、本明細書に記載されている種々の装置は、上記したように個人の早期分娩のリスクに関連している膣円蓋における子宮頸部の長さを求めるのに特に適している。これらの装置は、子宮頸部の拡張を求めたり、早期分娩のリスクまたは分娩の特定の段階を予測したりするのに適している場合もある。
【0025】
しかし、ここでは、本発明は、女性生殖器の様々な寸法を求めることに限定されるものではないと考えられる。例えば、そのような装置を挿入可能であるような任意の体腔または身体通路(例えば、膣、子宮、口、咽頭、鼻腔、耳道、直腸)及び、例えば、胸部外科手術、腹部手術または脳外科手術中に外科手術によって作成されかつ開口された任意の空洞の寸法を求めるために、本発明を用いることができる。
【0026】
本明細書に記載されている装置はまた、比較的安価な材料から製造され、測定が迅速に行われることが望ましい。これにより、医療専門家は、時間をかけて検査を繰り返すことができ、従って、女性の妊娠及び早期分娩のリスクをより綿密に観察することができる。そのような装置は、様々な測定結果を自動的に記録することができるとも考えられ、このとき、医療専門家に必要なインプットは、体腔または身体通路内への装置の適切な挿入のみである。これは、フランジを用いて装置の中空部材の進行を止める一方で測定部材を身体内で前進させることによって達成することができる。
【0027】
図1aは、長寸の測定部材102及び長寸の中空部材104を含む測定装置100を示している。長寸の測定部材102は、中空部材104内、具体的には中空部材のルーメン内に挿入されるように適合されている。図1aに示されているように、測定装置100の近位部分にハンドル106を配置することができる。一実施形態では、ハンドルは、測定部材102と同じ材料から作られる。他の実施形態では、ハンドルは、測定装置100の近位端上に近位端を覆うように取り付けられるゴムまたは発泡体製の部品であってよい。
【0028】
測定部材102の一部に沿って測定スケール108を設けることができる。測定スケール108は、測定部材102上に、測定または距離に関連する任意の数の一連の視覚的マーク(目盛り)を含むことができる。特に好適な実施形態では、測定スケール108には、複数のミリメートル(mm)刻みの目盛り及び複数のセンチメートル(cm)刻みの目盛りが付されている。
【0029】
図1aに示されているように、測定スケール108を色分けし、各それぞれの色のついた領域内にある子宮頸部の長さに対して相対的な早産のリスクを示すようにできる。例えば、一実施形態では、第1のゾーン132は、2cm未満で複数の目盛りを含むことができ、第1の色(例えば赤色など)で色分けされることができ、第2のゾーン134は、2〜3cmの範囲で複数の目盛りを含むことができ、第2の色(例えば黄色など)で色分けされることができ、第3のゾーン134は、3〜5cmの範囲で複数の目盛りを含むことができ、第3の色(例えば緑色など)で色分けされることができる。図1aでは、測定スケールは、3つの領域に色分けされており、各領域は、それぞれの領域内にある子宮頸部の長さに対する相対的な早産のリスクを視覚的に表している。例えば、第1のゾーン132は、第2のゾーン134よりも子宮頸部が短く、従って早産のリスクがより高いことを示し、第2のゾーン134は、緑色のゾーン136よりも早産のリスクが高いことをを表す子宮頸部の長さを示す。
【0030】
測定装置100の遠位部分に、組織と滑らかに接触する形状をなすフランジ110を設けることができる。フランジは、好適には平坦で、球形または円錐形をなすことができる。しかし、代わりに、フランジを、子宮頸管の刺激及び擦過、膣底または子宮底の穿孔を減らすような任意の他の滑らかな形状にしてもよい。フランジの本体もまた、測定装置100の長手方向軸線と好適にオフセットしている。さらに、フランジは開口部112を有することができ、フランジが身体の表面と接触した後、測定部材102は、開口部112を通って遠位方向に前進することができる。フランジは、例えば接着剤などの適切な取付手段を用いて、中空部材104の遠位端に固定されることが好ましい。あるいは、フランジを中空部材104の一体構成要素として形成しても良い。
【0031】
図1b〜図1dは、子宮頸部の長さを測定するために用いられるような測定装置100の動作を示している。測定装置が、図1bに示されているような開始形態にあるとき、測定部材102の遠位端は、フランジと同一平坦面にある。フランジ110が外子宮口側の子宮頸部の端部と接触する位置にくるまで、測定装置100を膣内へ前進させることができる。この時点で、すなわちフランジ110と外子宮口側の子宮頸部の端部とが接触した時点で、接触の結果として、子宮頸管内での中空部材104のさらなる前進または身体内でのさらなる前進が阻止される。フランジ110は、測定装置100の長手方向軸線と好適にオフセットしているので、一実施形態では、フランジは、子宮頸部の端部と接触しかつ外子宮口を覆うように配置される。結果として、フランジ106の本体は、この方法では外子宮口を覆っているので、測定部材102を子宮の中を通って前進させるのではなく、円蓋内でさらに進行させることができるように、測定装置の向きを合わせることができる。
【0032】
その後、図1c〜図1dに示されているように、測定部材102の遠位部分を、遠位端が例えば前円蓋などの体壁と接触するまで、フランジ110の開口部112を通って前進させ続けることができる。フランジを越えて測定部材の遠位端を前進させたとき、測定装置は、測定形態をとっている。図1cは、測定形態にある測定部材の側面図を示しており、図1dは、測定形態にある測定装置の上面図を示している。図1dでは、例えば、測定部材をフランジの向こう側に4cm前進させたことが見て取れる。測定部材102の測定スケール108に沿って中空部材104の近位端の位置を観測することにより、子宮頸部の長さを測定することができる。別の実施形態では、測定方法は、測定部材102の遠位端を前円蓋などの体壁まで前進させ、その後、中空部材104を前進させて、フランジ110が外子宮口側の子宮頸部の端部と接触して配置されるようにするステップを含む。
【0033】
ここで図1eを参照すると、例えば子宮頸部の長さなどの身体部位を測定した後にユーザが中空部材104内で測定部材102を固定できるようにするロック機構114を測定装置100に配置することができる。図1eでは、ロック機構114は、ボタン116、カンチレバーアーム118、ディテント120及び開口部122を含む。ロック機構が、図1eに示されているようなロック形態をとっているとき、カンチレバーアーム118は、中空部材104の内側に設けられたディテント120と係合する。例えば、カンチレバーアームは測定部材102と一体にすることができる。中空部材内で測定部材を摺動させるために、ボタン116を内向きに押すことにより、カンチレバーアーム118をディテント120から係合解除させて摺動可能にすることができる。
【0034】
例えば、身体部位の測定を行うために、ユーザは測定装置100を患者に挿入することができる。ユーザは、その後、ボタン116を内向きに押すことにより、カンチレバーアームを係合解除させて、測定部材を中空部材内で摺動可能にすることができる。測定装置を用いて身体部位を測定した後に、ユーザはボタンをはなすことにより、カンチレバーアームをディテントに係合させ、中空部材104内で測定部材102の位置をロックすることができる。これにより、中空部材104内での測定部材102の近位方向または遠位方向への変位を確実に阻止しながら、ユーザが患者から測定装置を取り出して測定スケールを読み取ることが可能になる。
【0035】
測定操作中に、ユーザは、利き手でハンドル106を投げ矢のように持ち、利き手でない方の手で中空部材104の円筒形部分を持つことができる。ユーザは、利き手でボタン116を作動させて測定装置を一時的にロック解除(アンロック)することにより、測定部材に対して中空部材を摺動させることができる。
【0036】
ここで図2aを参照すると、別の、測定装置200の実施形態が示されている。測定装置200には、上記しかつ図1a〜図1eに示した測定装置100の構成要件のうちの多くが含まれている。例えば、測定装置200は、長寸の中空部材204内に摺動可能に配置された長寸の測定部材202を含む。測定装置の近位部分にハンドル206を配置し、測定部材202に測定スケール208(色分けされた測定スケールなど)を設けることができる。測定装置は、測定装置の遠位部分に設けられたフランジ210及び開口部212をさらに含むことができ、開口部212は、測定部材202が中空部材204を越えて遠位方向に延出することを可能にする。
【0037】
上記したように、測定装置200は、図2bに示すような開始形態及び図2cに示すような測定形態をとることができる。測定装置200は、ロック機構214をさらに含むことができる。中空部材に対する測定部材の変位を防止するために、ロック機構は、ユーザが測定を行った後で中空部材204内で測定部材202をロックできるようにする。図2a〜図2eに示した実施形態では、ロック機構214は中空部材204に設けられている。
【0038】
ここで図2d(ロック機構214の側面図)及び図2e(ロック機構214の断面図)を参照すると、ロック機構は、パッドまたはボタン216、タブ218及びディテント220をさらに含むことができる。例えば、ボタン216及びタブ218は中空部材204と一体にすることができ、ディテント220は測定部材202と一体にすることができる。図2d〜図2eに示した実施形態では、ロック機構には2つのボタン216が含まれている。しかし、他の実施形態では、ロック機構には1つのボタンしか含まれない場合もあるし、あるいは3つ以上のボタンが含まれる場合もある。
【0039】
図2dに示されているようにロック機構214がロック形態にあるとき、タブはディテント220と係合し、中空部材204に対する測定部材の変位を防止する。しかし、ユーザがボタン216を図2eに示されているように内向きに押すと、タブ218が矢印224によって示されているように外向きに強く押され、タブ218をディテント220から係合解除させることができる。これにより、中空部材204内で測定部材202を摺動させることによって測定を行うことができる。
【0040】
身体部位の測定を行うために、ユーザは測定装置200を患者に挿入することができる。ユーザは、その後、1若しくは複数のボタン216を内向きに押すことにより、タブ218に外向きに圧力を掛けさせてディテント220から係合解除させ、それによって測定部材を中空部材内で摺動させることができる。測定装置を用いて身体部位を測定した後に、ユーザはボタンをはなすことにより、タブをディテントに係合させ、中空部材204内で測定部材202の位置をロックすることができる。これにより、中空部材204内での測定部材202の近位方向または遠位方向への変位を確実に阻止しながら、ユーザが患者から測定装置を取り出して測定スケールを読み取ることが可能になる。
【0041】
測定操作中に、ユーザは、利き手でハンドル206を投げ矢のように持ち、利き手でない方の手で中空部材204の円筒形部分を持つことができる。ユーザは、利き手でない方の手でボタン216を作動させて測定装置を一時的にロック解除することにより、測定部材に対して中空部材を摺動させることができる。
【0042】
ここで図3aを参照すると、測定装置300のさらに別の実施形態が示されている。測定装置300には、上記しかつ図1a〜図1eに示した測定装置100の構成要件のうちの多くが含まれている。例えば、測定装置300は、長寸の中空部材304に摺動可能に配置された長寸の測定部材302を含む。測定装置の近位部分にハンドル306を配置し、測定部材302に測定スケール308(色分けされた測定スケールなど)を設けることができる。測定装置は、測定装置の遠位部分に設けられたフランジ310及び開口部312をさらに含むことができ、開口部312は、測定部材302が中空部材304を越えて遠位方向に延出することを可能にする。
【0043】
上記したように、測定装置300は、図3bに示すような開始形態及び図3cに示すような測定形態をとることができる。さらに、例えば子宮頸部の長さなどの身体部位を測定した後にユーザが中空部材304内で測定部材302を固定できるようにするロック機構314を測定装置300に配置することができる。
【0044】
図3dでは、ロック機構314は、ボタン316、カンチレバーアーム318及びディテント320を含む。ロック機構が図3dに示されているようなロック形態をとっているとき、カンチレバーアーム318は、測定部材302の外側に設けられたディテント320と係合する。例えば、カンチレバーアームは中空部材304と一体にすることができる。中空部材内で測定部材を摺動させるために、ボタン316を内向きに押すことにより、カンチレバーアーム318をディテント320から係合解除して摺動可能にすることができる。
【0045】
例えば、身体部位の測定を行うために、ユーザは測定装置300を患者に挿入することができる。ユーザは、その後、ボタン316を内向きに押すことにより、カンチレバーアームを係合解除させて、測定部材を中空部材内で摺動可能にすることができる。測定装置を用いて身体部位を測定した後に、ユーザはボタンをはなすことにより、カンチレバーアームをディテントに係合させ、中空部材304内で測定部材302の位置をロックすることができる。これにより、中空部材304内での測定部材302の近位方向または遠位方向への変位を確実に阻止しながら、ユーザが患者から測定装置を取り出して測定スケールを読み取ることが可能になる。
【0046】
測定操作中に、ユーザは、利き手でハンドル306を投げ矢のように持ち、利き手でない方の手で中空部材304の円筒形部分を持つことができる。ユーザは、利き手でない方の手でボタン316を作動させて測定装置を一時的にロック解除することにより、測定部材に対して中空部材を摺動させることができる。
【0047】
ここで図4aを参照すると、測定装置400の別の実施形態が示されている。測定装置400には、上記しかつ図1a〜図1eに示した測定装置100の構成要件のうちの多くが含まれている。例えば、測定装置400は、長寸の中空部材404に摺動可能に配置された長寸の測定部材402を含む。測定装置の近位部分にハンドル406を配置し、測定部材402に測定スケール408(色分けされた測定スケールなど)を設けることができる。測定装置は、測定装置の遠位部分に設けられたフランジ410及び開口部412をさらに含むことができ、開口部412は、測定部材402が中空部材404を越えて遠位方向に延出することを可能にする。
【0048】
上記したように、測定装置400は、図4bに示すような開始形態及び図4cに示すような測定形態をとることができる。上記した実施形態とは対照的に、図4a〜図4eの測定装置400の中空部材404は、測定が行われているときに、ハンドル406内に至るまで摺動する。測定部材402は、ハンドルに対して適所に固定されたままであるので、測定部材は測定中にフランジ410を越えて遠位方向に延出することができる。
【0049】
測定装置400は、ロック機構414をさらに含むことができる。ロック機構によってユーザはハンドル406内で中空部材404をロックし、それにより、測定を行った後の測定部材に対する中空部材の変位を防止することができる。図4a〜図4eに示した実施形態では、ロック機構414は、貫通孔(図示せず)を備えたボタン416を含むことができる。図4dでは、アンロック形態にある測定装置が示されており、アンロック形態では、中空部材404が貫通孔を通過できるように貫通孔が中空部材と整合されている。測定装置が図4eに示されているようなロック形態をとっているとき、中空部材が貫通孔側からロックチャンネル側に押され、それによって測定部材に対する中空部材の変位が防止される。
【0050】
図4fは、ロック機構414、ボタン416及び中空部材404の断面図を示している。ボタン構造は、ロック機構と係合するように低作動力で円滑に作動するように設計されている。ボタンの開口チャンネル418は、測定が行われているときに中空部材404がハンドル内へ自由に摺動することを可能にする。ボタンが押されると、ロックランプ420が中空部材404の外周面上で強制的に摺動され、これにより、測定装置がロック位置にあるという触知的及び聴覚的フィードバックが与えられる。高さ及びランプ角度を含むロックランプの設計形状は、ボタンを作動させるのに必要な加える力のレベルに影響を及ぼす。ロックチャンネル422の幅は中空部材404の全外径より狭くなるように設計されているので、両者の表面が互いに妨げ合うことによって、測定装置が患者から取り出されている間に測定を維持するための把持力が与えられる。いくつかの実施形態では、ロック機構にロックランプ420は含まれない。他の実施形態では、図4gに示されているようにロックチャンネル422にテーパをつけることにより、ボタン416が押されたときに中空部材404に対する摩擦ロック嵌合を提供することができる。
【0051】
例えば、身体部位の測定を行うために、ユーザは測定装置400を(例えば、中空部材の変位を許容するように貫通孔が中空部材と整合されている)アンロック形態で患者に挿入することができる。測定装置を用いて身体部位を測定した後に、ユーザがボタン416を押すことにより、貫通孔を中空部材に押し付けて、中空部材の変位を防止することができる。これにより、中空部材404内での測定部材402の近位方向または遠位方向への変位を確実に阻止しながら、ユーザが患者から測定装置を取り出して測定スケールを読み取ることが可能になる。
【0052】
測定操作中に、ユーザは、利き手でハンドル406を投げ矢のように持ち、利き手でない方の手で中空部材104の円筒形部分を持つことができる。測定を行った後、ユーザは利き手でボタン416を作動させて測定装置をロックすることにより、測定部材に対して中空部材が摺動することを防止することができる。
【0053】
ここで図5aを参照すると、測定装置500の別の実施形態が示されている。測定装置500には、上記しかつ図1a〜図1eに示した測定装置100の構成要件のうちの多くが含まれている。例えば、測定装置500は、長寸の中空部材504内に摺動可能に配置された長寸の測定部材502を含む。測定装置の近位部分にシリンジ式ハンドル506を配置し、測定部材502に測定スケール508(色分けされた測定スケールなど)を設けることができる。測定装置は、測定装置の遠位部分に設けられたフランジ510及び開口部512をさらに含むことができ、開口部512は、測定部材502が中空部材504を越えて遠位方向に延出することを可能にする。
【0054】
上記したように、測定装置500は、図5bに示すような開始形態及び図5cに示すような測定形態をとることができる。上記しかつ図4a〜図4eに示した測定装置400の実施形態と同様に、図5a〜図5dの測定装置500の中空部材504は、測定が行われているときに、ハンドル506内に至るまで摺動する。測定部材502は、ハンドルに対して適所に固定されたままであるので、測定部材は測定中にフランジ510を越えて遠位方向に延出することができる。
【0055】
測定装置500は、ロック機構514をさらに含むことができる。ロック機構によってユーザは中空部材504をハンドル506内でロックし、それにより、測定を行った後の測定部材に対する中空部材の変位を防止することができる。図5dに示した実施形態では、ロック機構514は、貫通孔(図示せず)を備えたボタン516を含むことができる。上記しかつ図4a〜図4eに示した実施形態と同様に、測定装置はアンロック形態をとることができ、アンロック形態では、中空部材504が貫通孔を通過できるように貫通孔が中空部材と整合されている。測定装置はまた、ロック形態をとることもでき、ロック形態では、貫通孔が中空部材を押して、測定部材に対する中空部材の変位を防止する。
【0056】
身体部位の測定を行うために、ユーザは測定装置500を(例えば、中空部材の変位を許容するように貫通孔が中空部材と整合されている)アンロック形態で患者に挿入することができる。測定装置を用いて身体部位を測定した後に、ユーザがボタン516を押すことにより、貫通孔を中空部材に押し付けて、中空部材の変位を防止することができる。これにより、中空部材504内での測定部材502の近位方向または遠位方向への変位を確実に阻止しながら、ユーザが患者から測定装置を取り出して測定スケールを読み取ることが可能になる。図5dでは、例えば測定を行っているときに、ハンドル上の点526において測定スケールが読み取られる。
【0057】
測定操作中に、ユーザは、利き手でシリンジなどのシリンジ式ハンドル506を持ち、利き手でない方の手で中空部材504の円筒形部分を持つことができる。測定を行った後、ユーザは、利き手または利き手でない方の手でボタン516を作動させて測定装置をロックすることにより、測定部材に対して中空部材が摺動することを防止することができる。
【0058】
ここで図6aを参照すると、測定装置600の別の実施形態が示されている。測定装置600には、上記しかつ図1a〜図1eに示した測定装置100の構成要件のうちの多くが含まれている。例えば、測定装置600は、長寸の中空部材604内に摺動可能に配置された長寸の測定部材602を含む。測定装置の近位部分にハンドル606を配置し、測定部材602に測定スケール608(色分けされた測定スケールなど)を設けることができる。測定装置は、測定装置の遠位部分に設けられたフランジ610及び開口部612をさらに含むことができ、開口部612は、測定部材602が中空部材604を越えて遠位方向に延出することを可能にする。
【0059】
上記したように、測定装置600は、図6bに示すような開始形態及び図6cに示すような測定形態をとることができる。測定装置600は、ロック機構614をさらに含むことができる。ロック機構によってユーザは測定部材602を中空部材604内でロックし、それにより、測定を行った後の中空部材に対する測定部材の変位を防止することができる。図6a〜図6fに示されている実施形態では、ロック機構614は中空部材204に設けられている。
【0060】
ここで図6d(ロック機構614の断面図)を参照すると、ロック機構は、環状スナップ部628をさらに含むことができる。測定部材602は、ロック機構上の環状スナップ部628に対応する環状スナップ部630も有する。ロック機構が図6dに示されているようなアンロック形態をとっているとき、環状スナップ部628及び630は互いに接触していないので、ロック機構614と測定部材602との間には多少の遊びがあり、そのため、測定部材は中空部材604内で自由に摺動することができる。図6eに示されているようにユーザがロック機構を回転させると、環状スナップ部が互いに接触して、ユーザにロック動作の触知的なフィードバックを与える。図6fには、環状スナップ部が両側で互いに接触している状態の、ロック形態にあるロック機構が示されている。図6fに示されているように環状スナップ部が互いに接触しているときには、中空部材と測定部材との間に遊びがなく、そのため、測定部材に対する中空部材の変位が防止される。
【0061】
身体部位の測定を行うために、ユーザは測定装置600をアンロック形態で患者に挿入することができる。測定装置を用いて身体部位を測定した後に、ユーザは、ロック機構614を回転させることにより環状スナップ部を両側で互いに係合させ、中空部材604内で測定部材602の位置をロックすることができる。これにより、中空部材604内での測定部材602の近位方向または遠位方向への変位を確実に阻止しながら、ユーザが患者から測定装置を取り出して測定スケールを読み取ることが可能になる。
【0062】
測定操作中に、ユーザは、利き手でハンドル606を投げ矢のように持ち、利き手でない方の手でロック機構614を持つことができる。測定を行った後、ユーザは、利き手でない方の手で、環状スナップ部が互いに係合して測定装置をロックするまでロック機構を回転させて、中空部材が測定部材に対して摺動しないようにすることができる。ユーザは、利き手でない方の手でロック機構614をしっかり持ち、利き手で、環状スナップ部が互いに係合して測定装置をロックするまでハンドル606を回転させることもできる。ロック機構614及びハンドル606の相対的な変位は、どちらが適所に保持されてどちらが回転されるかに関係なく、ロック機構を係合させる。
【0063】
ここで図7aを参照すると、測定装置700の別の実施形態が示されている。測定装置700には、上記しかつ図1a〜図1eに示した測定装置100の構成要件のうちの多くが含まれている。例えば、測定装置700は、長寸の中空部材704内に摺動可能に配置された長寸の測定部材702を含む。測定装置は、長寸の中空部材704の遠位部分に設けられたフランジ710及び開口部712をさらに含むことができ、開口部712は、測定部材702が中空部材704を越えて遠位方向に延出することを可能にする。測定装置の近位部分にハンドル706を配置し、ハンドル706を測定部材に取り付けることができ、測定部材702に測定スケール708を設けることができる。図7fに示されているように、測定スケールは、5mm刻みで0〜50mmの目盛りの付いたミリメートル表示のスケールであってよい。さらに、測定スケール708の背景732は、不透明であってよい。例えば、測定部材702を不透明材料から構成することができ、あるいは、測定部材702において測定スケール708が付されている部分を不透明な被覆によって覆うことができる。測定スケールの不透明な背景は、スケール上の数字をより容易に読み取ることができるようにする。さらに、中空部材704は、透明であってよく、測定スケールから際立たせるのに役立つように、例えば青色などの色の付いた表示ライン734を含む。表示ライン734を測定スケールから際立たせることで、最終測定結果をより容易に読み取ることができる。
【0064】
上記したように、測定装置700は、図7bに示すような開始形態及び図7cに示すような測定形態をとることができる。上記しかつ図4a〜図4eに示した測定装置400の実施形態と同様に、図7a〜図7dの測定装置700の中空部材704は、測定が行われているときに、ハンドル706内に至るまで摺動する(または別の方法として、中空部材704の外周面上をハンドル706が摺動する)。測定部材702は、ハンドルに対して適所に固定されたままであるので、測定部材は測定中にフランジ710を越えて遠位方向に延出することができる。図7g及び図7hに示されているように、長寸の中空部材704は、ハンドル706及び測定部材702に対して自由に回転することができる(図7gは、図面記載ページ(紙面)と平行に延在するフランジ710を示しているが、図7hは、図面記載ページから離れる方向に延在するフランジ710を示している)。そのような自由な回転により、例えば右手または左手を使う測定などの任意の測定技術に対応することができ、フランジ710を適切に配置することもできる。すなわち、中空部材702を回転させてフランジ710を所望の位置に配置することで、測定スケールを適所にとどめる、すなわち、ユーザの方に向けられたままにすることができる。測定スケールをユーザに向けられたままにしておくことで、ユーザは確実に被測定長さをより容易に読み取りかつ求めることができる。
【0065】
測定装置700は、ロック機構714をさらに含むことができる。ロック機構により、ユーザは測定を行った後にハンドル706内で中空部材704をロックし、それによって測定部材に対する中空部材の回転方向または長手方向の変位を防止することができる。図7dに示した実施形態では、ロック機構714は、貫通孔(図示せず)を備えたボタン716を含むことができる。上記しかつ図4a〜図4eに示した実施形態と同様に、測定装置は、アンロック形態をとることができ、アンロック形態では、中空部材704が貫通孔を通過できるように貫通孔が中空部材と整合されている。測定装置はまた、ロック形態をとることもでき、ロック形態では、中空部材が貫通孔側からロックチャンネル側に押し付けられ、それによって測定部材に対する中空部材の変位が防止される。
【0066】
身体部位の測定を行うために、ユーザは、利き手でハンドル706を持ち、利き手でない方の手で中空部材704を持つことができる。ユーザは、ユーザの方を向くように測定スケール708の向きを合わせることができ、フランジ710が患者に対して適切に向けられるように中空部材704を回転させることができる。中空部材704は透明であるので、中空部材704越しに測定スケール708を見ることができる。
【0067】
測定装置700は、(例えば、中空部材の変位を許容するように貫通孔が中空部材と整合されている)アンロック形態で患者内に挿入されることができる。上記したように測定装置を用いて身体部位を測定した後に、ユーザがボタン716を押すことにより、貫通孔を中空部材に押し付けて、中空部材の変位を防止することができる。これにより、中空部材704内での測定部材702の近位方向または遠位方向への変位を確実に阻止しながら、ユーザが患者から測定装置を取り出して測定スケールを読み取ることが可能になる。
【0068】
図8を参照すると、本明細書に記載の装置を用いて膣内の子宮頸部長さを測定することができる。フランジ810(本明細書に記載のフランジのうちの任意のものを表す)は、子宮頸部802の近位壁に当接して配置されることができるが、測定部材702(本明細書に記載の測定部材のうちの任意のものを表す)は、膣円蓋804によって止められるまで、子宮頸部802の側壁に沿って延出することができる。その後、上記したように、測定部材702及びフランジ810を互いに対してロックすることができ、それにより、測定装置の測定スケールを用いて長さを求めることができる。
【0069】
本発明に関する追加的な詳細情報に関しては、当業者のレベルの範囲内であるような種々の材料及び製造技術を採用することができる。一般にまたは論理的に採用される追加的行為の観点から、本発明の方法に基づく態様についても同じことが言えるであろう。また、記載されている発明の変形形態の任意選択の構成要件はどれも、独立して、または本明細書に記載の構成要件のうちの任意の1つ以上のものと組み合わせて、記載されかつクレームされ得ると考えられる。同様に、単数の物品への言及は、同一物品が複数存在する可能性を含む。より詳細には、本明細書及び添付の特許請求の範囲において、単数形の「或る(1つの)」、「前記」及び「該」は、文脈上はっきりと他の指示がない限り、複数の指示対象を含む。さらに、特許請求の範囲は、いくつかの任意選択の構成要素を除外するように書かれていることがあることに留意されたい。従って、本明細書は、請求項の構成要素の記述または「消極的な」限定の使用に関連して、「専ら」、「のみ」などの排他的用語の使用のための先行詞としての役割を果たすものとする。本明細書において別段の定義がない限り、本明細書において用いられる全ての専門用語及び科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般的に理解されているのと同じ意味を有する。本発明の広さは、本明細書によってではなく、むしろ用いられるクレーム用語の単純な意味によってのみ限定されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
子宮頸部の長さを測定するための装置であって、
長手方向軸線に沿って延在し、かつ表面に測定スケールを有する長寸の測定部材と、
前記長寸の測定部材と同軸をなしかつ該測定部材を覆うように配置された中空部材と、
前記中空部材の遠位端に、前記長手方向軸線とオフセットして設けられたフランジと、
前記測定部材の近位端に設けられたハンドルと、
ロック時には前記中空部材を前記測定部材に対して固定し、アンロック時には前記中空部材が前記測定部材に沿って摺動できるように構成されているロック機構とを含み、該ロック機構のアンロック時に、前記測定スケールを変位させることなく、前記フランジを所望の位置に配置し得るように、前記中空部材を前記長手方向軸線の周りで回転可能であるようにしたことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記中空部材の近位端が、前記ハンドル内に至るまで摺動可能であるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記フランジが開口部を有し、該開口部を通って前記測定部材を遠位方向に前進させることができるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記フランジが、前記長手方向軸線に垂直な平坦面を有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記ロック機構が、貫通孔及びロックチャンネルを含むボタンを含み、前記中空部材が前記貫通孔を通って摺動可能であるように前記貫通孔が構成されており、前記中空部材が前記ロックチャンネルを通って摺動不能であるように前記ロックチャンネルが構成されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記ボタンが、前記貫通孔と前記ロックチャンネルとの間に少なくとも1つのロックランプをさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記測定スケールがミリメートル表示のスケールであることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記測定スケールが0mmから50mmまでの目盛りを付したものであることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記中空部材が透明であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記測定スケールが不透明な背景を含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記中空部材上に設けられた表示ラインをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記表示ラインが黒色以外の色であることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
子宮頸部の長さを測定するための方法であって、
表面に測定スケールを有する長寸の測定部材、該長寸の測定部材と同軸をなしかつ該測定部材を覆うように配置された中空部材、ハンドル及び、前記中空部材の遠位端に設けられたフランジを含む装置において、前記ハンドルを保持するステップと、
前記測定スケールを回転させることなく、前記フランジを所望の位置に配置し得るように、前記中空部材を前記長手方向軸線の周りで回転させるステップと、
膣内で、前記フランジが外子宮口において子宮頸部と接触するまで、前記装置を遠位方向に前進させるステップと、
前記膣内で、前記測定部材の遠位端が膣円蓋において子宮頸部と子宮との接合部と接触するまで、前記測定部材を遠位方向に前進させるステップと、
前記ハンドルに設けられたロック機構をロックすることによって、前記測定部材を前記中空部材に対してロックするステップと、
前記測定部材に対する前記中空部材の位置を観測することにより、前記膣円蓋における前記子宮頸部の長さを求めるステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
前記測定部材を遠位方向に前進させる前記ステップが、前記中空部材を前記ハンドル内に至るまで摺動させるステップを含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記フランジが、前記測定部材の長手方向軸線とオフセットして設けられたものであることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記ロック機構が、貫通孔及びロックチャンネルを有するボタンを含み、前記ロック機構をロックする前記ステップが、前記ボタンを押すことにより、前記中空部材が前記ロックチャンネル内に移動しかつ前記貫通孔を通って摺動できなくなるようにするステップを含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記中空部材の位置を観測する前記ステップが、前記測定部材上の測定スケールに対する前記中空部材上の表示ラインを観測するステップを含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記膣円蓋における前記子宮頸部の前記長さに基づいて、前記膣円蓋における前記子宮頸部の前記長さと負の相関がある流産のリスクを判定するステップをさらに含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記膣円蓋における前記子宮頸部の前記長さと負の相関がある分娩誘発の容易さを予測するステップをさらに含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記膣円蓋における前記子宮頸部の前記長さに基づいて、前記膣円蓋における前記子宮頸部の前記長さと負の相関がある早期分娩のリスクを判定するステップをさらに含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図1d】
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【図1e】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図2d】
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【図2e】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図3d】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図4d】
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【図4e】
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【図4f】
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【図4g】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図5d】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【図6d】
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【図6e】
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【図6f】
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【図7a】
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【図7b】
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【図7c】
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【図7d】
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【図7e】
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【図7f】
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【図7g】
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【図7h】
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【図8】
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【公表番号】特表2013−510670(P2013−510670A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−538972(P2012−538972)
【出願日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際出願番号】PCT/US2010/056344
【国際公開番号】WO2011/060138
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(512121897)サービレンツ・インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】