説明

孔明き紙ベルトのエンドレスコンベヤ

【課題】 孔明きエンドレス紙をベルトとして使用することで洗浄せずに破棄するようにしたサニタリベルトコンベヤを提供する。
【解決手段】 紙製または不織布製シートの長手方向に沿う1条以上のベルト送り用孔23を加工して巻装した孔明きエンドレス状紙ベルト22を搬送ベルトとして食品または化粧品または医薬品工場で使用し、または搬送時に液状または粉状もしくはゲル状の分離物でベルトを汚すワークもしくはベルト表面の付着物によるワーク汚染を避ける必要のあるワーク類の搬送に使用するコンベヤで、一定時間搬送に使用した後の汚れたベルトは、洗浄せず廃棄するようにしたものである。コンベヤフレーム1の上面をスライドベッドとし、コンベヤフレーム1の頭部に設けた駆動プーリ4の駆動で、紙または不織布製の孔明きエンドレス状紙ベルト22を走行させる。コンベヤフレーム1の尾部寄りには、ベルト緩め装置5を構成する片持ちフレーム端部分5aを設けてベルト交換に備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送時に液状または粉状もしくはゲル状の分離物でベルトを汚すワーク、またはベルト表面の付着物によるワーク汚染をさける必要のあるワーク等を扱う食品や化粧品や医薬品等の搬送に適した紙ベルトコンベヤにかかり、特に駆動用スプロケットに噛み合う送り孔を有する紙ベルトのエンドレスコンベヤに関する。
【背景技術】
【0002】
色のついた食品の搬送、雑菌の混入を避けながらの搬送、臭いの残るものの搬送、あるいは腐食しやすい食品の搬送時などでは、作業終了後あるいは作業開始前にサニタリコンベヤベルトを薬剤、洗剤等を用いて清掃したり、ベルトを交換したりしていたため、稼働時間が制限されて生産量(搬送効率)の向上が望めなくなるばかりか、耐久性のあるベルトをせっかく使用しているにもかかわらず、洗浄処理などで寿命を短くしていた。通常のベルトコンベヤは、エンドレスベルト裏面に駆動プーリを接触させ、テンションローラによりベルトに張力を与えて駆動しているので、ベルトの交換や洗浄時には駆動部の支持機構を分解しないとベルトを取外すことができない。特に、食品や医薬品の搬送ラインでは、ベルト表面その他に付着、堆積した微細な砕片や粉塵を取り除くと共に、雑菌の混入を避けるためコンベヤを分解してベルトを外し、各部を薬剤、洗剤等を用いて洗浄した後に再組立していたので多大の労力と時間を要していた。一方、厚紙製の長尺シートの表面に一定間隔に凹所を形成させると共にシート片側または両側に送り孔をあけて電子部品装着機等に供給するワークを搬送するものが知られている(例えば特許文献1、2参照)。紙製に限らず、この種の長尺シートとしてフィルムを使用したもの(例えば特許文献3参照)も知られている。
【0003】
【特許文献1】特開昭60−206099号公報(第1頁、右欄第11行〜第3頁上段右欄第18行、図1)。
【特許文献2】特開昭62−4174号公報(第2頁、下段左欄第9行〜同右欄7行、図1)。
【特許文献3】特開昭62−105323号公報(第2頁、下段右欄第18行〜3頁上段右欄20行、図1、図3)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、厚紙またはフィルム製の長尺シートの表面に一定間隔に凹所を形成させ或いは前記長尺シートの表面に一定間隔に接着層を設けて、シート片側または両側に送り孔をあけて電子部品装着機等に供給するワークを搬送するベルト類は知られているが、水分や油など液状もしくは粉状もしくはゲル状分離物が自身からしみ出し分離することのあるワーク、もしくは粉状分離物を表面に露出させたワークや、細菌等の微生物の付着を嫌うワークを搬送するのに不適である。つまり、凹所のためにしみ出しなどで分離した分離物を溜めてしまったり、表面に露出した液状やゲル状分離物の介在によりワークの凹所への係合がしづらかったり、分離した粉状分離物などが装着層を覆いワークの接着を妨げたり、接着層上の分離物が後に搬送するワークに付着してしまったり、凹所に適合する形状のワークしか搬送できなかったり、また使用前洗浄が極端に困難な形状であったりすることから、いずれもサニタリコンベヤのベルトとして不適なものであった。本発明の目的は、液状または粉状もしくはゲル状の分離物でベルトを汚すワーク、またはベルト表面の付着物によるワーク汚染をさける必要のあるワーク等を扱う食品や化粧品や医薬品等の搬送に適した紙ベルトコンベヤにかかり、特に駆動用スプロケットに噛み合う送り孔を有するエンドレス搬送ベルトを有するコンベヤを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1は、ワークを搬送する搬送ベルトに紙または不織布を無端状に形成させたベルトを使用して、搬送時に液状または粉状もしくはゲル状の分離物でベルトを汚すワーク、またはベルト表面の付着物によるワーク汚染を避ける必要のあるワーク等を搬送するエンドレス紙ベルトコンベヤであって、前記搬送ベルトに搬送ベルト長手方向に沿う一定ピッチの噛合い送り孔を設けると共に、コンベヤフレームの頭部に前記噛合う駆動用スプロケットを設けた駆動手段を備え、かつ、コンベヤフレーム尾部寄りにベルト緩め装置およびテークアップ装置を設けてベルトの進行方向にテンションを付与するようにしたことを特徴とする孔明き紙ベルトのエンドレスコンベヤである。
請求項2は、前記一定ピッチで開口した孔は、搬送ベルト自体に穿孔して設けていることを特徴とする請求項1に記載の孔明き紙ベルトのエンドレスコンベヤである。
【0006】
請求項3は、前記一定ピッチの噛合い送り孔は、搬送ベルト片側の端近傍または搬送ベルト両側の各端近傍、もしくは搬送ベルト略中央部分に設けていることを特徴とし、請求項4は、前記一定ピッチの噛合い送り孔は、搬送ベルトとは別体のリボン状シートに予め長手方向に一定ピッチで穿孔して設けておき、当該リボン状シートを搬送ベルトの少なくとも一端に固定することを特徴とする請求項1に記載の孔明き紙ベルトのエンドレスコンベヤである。請求項5は、前記搬送ベルトは、水溶性である請求項1から4のいずれか1つの項に記載の孔明き紙ベルトのエンドレスコンベヤである。
請求項6は、前記テークアップ装置は、尾部の搬送ベルト帰り側裏面に当接する、軸受けとローラを軸支する落とし込みテークアッププーリを備え、搬送ベルトへのテンション付与はテークアッププーリ自重による搬送ベルト緊張によることを特徴とする請求項1ないし5に記載の孔明き紙ベルトのエンドレスコンベヤである。
【0007】
請求項7は、前記テークアップ装置は、片側長孔端部が下端であり、もう一方の長孔端部が上端であるコンベヤフレームの側板部に明けたガイド孔に、テークアッププーリを軸支する軸を沿わせて落とし込みを行うことで、テークアッププーリ自重による搬送ベルト緊張によることを特徴とし、請求項8は、前記テークアップ装置は、搬送ベルト駆動時にはコンベヤフレームの側板部に明けたガイド孔の片側長孔端部に向かって、テークアッププーリを軸支する軸をガイド孔に沿って落とし込みを行い、機上で端部を貼り合わせる搬送ベルトの着装時にはガイド孔のもう一方の長孔端部に向かい水平部を形成した後短い略鉛直部を備えた退避部へテークアッププーリを軸支する軸を退避させることを特徴とする請求項6に記載の孔明き紙ベルトのエンドレスコンベヤである。
請求項9は、コンベヤフレーム頭部に、駆動部支持枠を一体もしくは別体に支持する駆動部支持脚部を、コンベヤフレーム側部の片側にのみ固着して、少なくとも駆動部支持脚部でコンベヤ全体を支持し、さらにコンベヤフレームの機長に応じて、コンベヤフレーム尾部もしくは中間部に前記駆動部支持脚部と同じコンベヤフレーム側部側にのみ、コンベヤフレーム側部と固着するフレーム支持脚部を備えることで、駆動部支持脚部及びフレーム支持脚部とでコンベヤ全体を支持することを特徴とする請求項1ないし8に記載の孔明き紙ベルトのエンドレスコンベヤである。請求項10は、前記ベルト緩め装置は、尾部側に所定長さを有する片持ち状態のコンベヤフレーム端部分を形成させ、当該フレーム端部分に重合するフレーム本体の先端部との間には、前記フレーム端部分を水平面から下向きに所定角度回動可能に支持するヒンジを形成する回動軸と前記フレーム端部分を水平に維持するストッパノブとを有しており、コンベヤ稼動時には、前記フレーム端部分を水平に維持し、テークアップ装置により搬送ベルトを緊張させることで搬送ベルトを駆動し、搬送ベルトの着脱時には、前記ストッパノブを解除して、前記ヒンジを形成する回動軸を中心に、前記フレーム端部分を水平面から下向きに所定角度回動させることで、搬送ベルトを緩めた後、コンベヤフレームの支持脚部固着側部と対面するコンベヤフレームのもう一方の側部から搬送ベルトを横方向にスライドして着脱可能としたことを特徴とする請求項9に記載の孔明き紙ベルトのエンドレスコンベヤである。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、搬送ベルトとして食品工場または化粧品工場もしくは医薬品工場で使用する孔明き紙のエンドレスベルトコンベヤであるから、一定時間(例えば半日乃至1日間)搬送に使用した後の使用済みの汚れたベルトは、コンベヤのベルト緩め装置を使用して取り外したり、或いは搬送面を破ったり、切断したりして、洗浄せず廃棄するようにしたため、ベルトの清掃作業は不要となり、清掃によって搬送効率を低下させる清掃時間を搬送分に割り当てたり、清掃の人件費を削減できるという効果がある。その効果を達成するため、使用後の取り外し時に特に工具を使用しなくとも破れ、かつ廃棄物として可燃物の処理もしくは水による溶解処理が可能な紙という材質の搬送ベルトを利用した。さらに、常に清潔な搬送面を供給するため、ワークの清潔度を保持したまま搬送できる。また、紙という引っ張り強度を持ちながら薄くて軽量であるベルトの特性を活かしたテンション機構を単純な仕組みで安価に達成できる効果もある。また、新規の搬送ベルトは、簡単に装着することができるという効果もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は本発明孔明き紙ベルトのエンドレスコンベヤの正面図、図2は平面図、図3は図1の左側面図である。
このコンベヤは、搬送時に水分や油で搬送ベルトを汚すワークまたはベルトに付着した汚れの付着を忌避する食品や化粧品や医薬品等の搬送に適合するため、搬送ベルトとして紙または不織布を無端状に形成したエンドレス状紙ベルト22を使用する。コンベヤフレーム1の上面をスライドベットとし、コンベヤフレーム1の尾部に尾部プーリ3を、コンベヤフレーム1の頭部に駆動プーリ4を設け、各プーリ3,4間に掛け回したエンドレス状紙ベルト22(または搬送ベルト22とも表現する)を駆動してワークを搬送するものである。尾部プーリ3は、プーリであっても、固定丸軸であっても、フレーム折り曲げであっても、ナイフエッジであっても、どれでも良い。搬送ベルト22のベルトの両側端近傍または片端近傍の長手方向に沿うように一定ピッチで送り孔23を明け、駆動軸16には送り孔23に噛み合う駆動用スプロケット20(図5)を備えており、送り孔23と駆動用スプロケット20との噛み合わせを主な駆動とする駆動プーリ4の駆動によりエンドレス状紙ベルト22を走行させる。前記一定ピッチの噛合い送り孔23は、図2に示すように搬送ベルト22の両側に限らず、ベルトの片側もしくはベルト中央に設けてもよい。
前記一定ピッチの噛合い送り孔23は、搬送ベルト22自体に穿孔して設けてもよいし、搬送ベルト22とは別体にリボン状シートに予め長手方向に一定ピッチで穿孔しておき、当該リボン状シートを搬送ベルト22の少なくとも一端に固定して設けてもよい。このリボン状シートは、搬送ベルトと同じ材質及び厚みのものでもよいし、紙又は不織布で強度が搬送ベルトと異なる材質や厚みの物でもよい。なお、図1から3中、符号2はコンベヤフレーム1の側板部、5はコンベヤフレーム1の尾部寄りに組付けたベルト緩め装置、5aはベルト緩め装置の片持ち支持のフレーム端部分、6はテークアッププーリ、6aはテークアッププーリの軸、7はフレーム端部分5aに明けたガイド孔、8はベルト緩め装置の支持軸、9はストッパノブ、9aはストッパの先端ピン、9bはピン孔、10は駆動部ユニット、25はベルト緩め装置5の近傍に設けた脚、29は脚5の上端部からコンベヤフレーム1の側板部2に通した締付けボルトである。ストッパノブ9はノブ部分とストッパの先端ピン9aとを固着して形成されているか、もしくは一体に形成されている。
【0010】
コンベヤフレーム尾部寄りには、図1に示すように、軸受けとローラを軸支する落とし込みテークアッププーリ6と、ベルトの着脱時にストッパピン9aをフレーム端部分5a側のピン孔9b(図7)から引き抜くことで、自重により自身を下方に退避する支持軸8により支持されたフレーム端部分5aを備えている。すなわち、尾部側に所定長さを有する片持ち状態のフレーム端部分5aをフレーム側板部2に支持軸8を介して組付け、当該フレーム端部分5aに重合するフレーム本体の先端部との間には、前記フレーム端部分5aを水平面から下向きに所定角度回動可能に支持する支持軸8を中心としたヒンジ機構と前記フレーム端部分5aを水平に維持するストッパノブ9とを設ける。前記フレーム端部分5aには、ほぼL字形または半円状に屈曲するガイド孔7に支持されて搬送ベルト帰り側を支持する落とし込みテークアッププーリ6と、フレーム端部分5aの上部をコンベヤフレーム1の上面と略面一に維持する際に尾部を形成する尾部プーリ3とで、ベルト緩め装置5を構成させている。
【0011】
図4は図1のA−A線より矢印方向にみた断面図、図5は図1のB−B線より矢印方向にみた断面図である。
コンベヤフレーム1の頭部にL形断面の駆動部支持枠11を締付けボルト19、19で固着し、支持枠の側板部11aにギヤドモータ12、駆動側歯付プーリ13、従動側歯付プーリ14、歯付き駆動ベルト17を設けカバー15で覆う。従動側歯付プーリ14に直結した駆動軸16を軸受18で支持し、駆動軸16の両端にスプロケット20、20を固着し、スプロケット20の周面に多数の送り用ピン21を設けて紙ベルト22の送り孔23に係合させ、駆動軸16の駆動によってエンドレス状紙ベルト22を走行させる。また、テークアップ装置として、コンベヤフレーム1の尾部寄りの搬送ベルト22の帰り側に、ローラ軸受とローラを軸支する落とし込みテークアッププーリ6を備え、搬送ベルト駆動時にはフレーム側板部2に明けたガイド孔7の片側長孔端部に向かって、テークアッププーリ6を軸支する軸6aをガイド孔7に沿って落とし込みを行いテークアッププーリ6の自重により搬送ベルト22を緊張させ、予め無端状にした搬送ベルト22の着脱時には、尾部側に所定長さを有する片持ち状態のフレーム側板部2に支持軸8を介して組付けられたコンベヤフレーム端部分5aをストッパノブ9を外すことで水平面から下向きに所定角度回動させることで、コンベヤフレーム1の頭部にL形断面の駆動部支持枠11を一体に支持する駆動部フレーム支持脚部、および、前記駆動部フレーム支持脚部と同じコンベヤフレーム側板部にのみ固着する、コンベヤフレーム中間部に設けるフレーム支持脚部とをかわすように、支持脚のないコンベヤフレーム側板部側から搬送ベルト22を横方向にスライドして着脱可能とする。搬送ベルト22のベルト片端又は両端近傍に長手方向に沿うように一定ピッチで孔23を明け、前記孔23にかみ合うピン21を備える駆動用スプロケット20,20を駆動プーリ4に備えている。前記一定ピッチの噛合い送り孔23は、搬送ベルト22自体に穿孔して設けてもよいし、搬送ベルト22とは別体にリボン状シートに予め長手方向に一定ピッチで穿孔しておき、当該リボン状シートを搬送ベルト22の少なくとも一端に固定して設けてもよい。このリボン状シートは、搬送ベルト22と同じ材質及び厚みのものでもよいし、紙又は不織布で強度が搬送ベルトと異なる材質や厚みの物でもよい。
また、機上で端部を貼り合わせる搬送ベルト22の着脱時には、ガイド孔7のもう一方の長孔端部に向かい水平部を形成した後短い略鉛直部を備えた退避部へテークアッププーリ6を軸支する軸6aを退避させて搬送ベルト22へのテークアップを解除した後に、搬送ベルト22を掛け回してスライドベッド上で両端部を貼り合わせて両端部の貼り合わせが固着した後に、フレーム側板部2に明けたガイド孔7の片側長孔端部に向かって、テークアッププーリ6を軸支する軸6aをガイド孔7に沿って落とし込みを行いテークアッププーリ6の自重により搬送ベルト22を緊張させるようにしても良い。
搬送ワークによってはコンベヤフレームが大型となり、駆動部支持枠とは別体であって駆動部及びコンベヤフレームの一部を支持する駆動部支持脚部と、コンベヤフレーム尾部やコンベヤフレーム中間部でコンベヤフレームを支持するフレーム支持脚部の下方は、例えば水平方向に補強材で接合されていてもよく、それぞれの支持脚部は角断面や丸断面のパイプ形状でも良く、移動用のキャスタなどが床と接する面に付いていても良いが、少なくとも搬送ベルトの着脱時には、支持部がコンベヤフレーム側板部の片側のみに固着されている状態であり、支持脚部固着側部と対面するもう一方のコンベヤフレーム側板部側から搬送ベルト22を横方向にスライドして着脱可能とする構造であればよい。
【0012】
図示のように、コンベヤフレーム1の上面をスライドベッドとし、コンベヤフレーム1の尾部に従動する尾部プーリ3、頭部に駆動部ユニット10の駆動プーリ4を設け、両プーリ間に長手両縁近くにベルト長手方向に沿うように一定ピッチの多数の送り孔23(図2参照)を有する紙または不織布製のエンドレス状紙ベルト22を掛け渡す。このコンベヤは、搬送時に液状または粉状もしくはゲル状の分離物でベルトを汚すワーク、またはベルト表面の付着物によるワーク汚染を避ける必要のあるワークを搬送するため、紙または不織布を無端状に形成した搬送ベルトを使用する、食品または化粧品もしくは医薬品工場で使用する孔明きベルトコンベヤで、一定時間(例えば半日乃至1日間)搬送に使用した後の使用済みの汚れたベルトは、コンベヤのベルト緩め装置を使用して取り外したり、或いは搬送面を破ったり、切断したりして、洗浄せず廃棄するようにしたものである。
【0013】
図5は駆動部の断面図である。図示のように、フレーム側板2に駆動プーリ4を設け、他方に尾部プーリ3を設け、コンベヤフレーム1の上面はエンドレス状紙ベルト22の走行を支持するスライドベッドとなっている。頭部寄りのフレーム側板2にボルト19、19を通して駆動部ユニット10を固着する。
【0014】
この駆動部ユニット10は、図1、図2、図5に示すように、支持枠11の側板部11a内壁に固着したギヤドモータ12と、側板部11a外壁に設けた駆動側歯付プーリ13、従動側歯付プーリ14及び歯付き駆動ベルト15とから構成され、従動側歯付プーリ14から同軸上に駆動軸16を延出させてフレーム側板部2の両内側に固着した軸受18で支持すると共に、周面に多数の送り用ピン21、21を埋め込んだスプロケット20を両端に取付ける。一方のスプロケット20の外周と略同径のローラ部を備えた駆動プーリ4を、駆動軸16と共に回転するように組付けてなる。駆動プーリ4とスプロケット20は一体成型であってもよい。図2に拡大示するように、搬送ベルト22のベルト片端又は両端近傍には、長手方向に沿うように一定ピッチで孔23、23を明け、前記孔23は駆動用スプロケット20、20の送り用ピン21、21に係合しているため歯付き駆動ベルト17の一定速度駆動によって一定速度で搬送ベルト22を走行させ、ワークを搬送するものである。
【0015】
図1は搬送ベルト22の緊張状態の側面図を示す。テークアッププーリ6の軸6aはコンベヤフレーム1の尾部寄りにほぼL字状または半円状をなして形成されたガイド孔7に支持され、ベルトの張力をテークアッププーリ6の自重により形成し、それに応じ上下に移動することで自動的にテークアップ作用を行っている。図6は搬送ベルト22のテークアップを解除した状態の側面図を示す。搬送ベルトを駆動する稼動時には、テークアッププーリ6により搬送ベルト22を緊張させた状態で走行させるが、機上で端部を貼り合わせる搬送ベルト22の着脱時には、ガイド孔7のもう一方の長孔端部に向かい水平部を形成した後短い略鉛直部を備えた退避部へテークアッププーリ6を軸支する軸6aを退避させて搬送ベルト22へのテークアップを解除した後に、搬送ベルト22を掛け回してスライドベッド上で両端部を貼り合わせて両端部の貼り合わせが固着した後に、フレーム端部分5aに明けたガイド孔7の片側長孔端部に向かって、テークアッププーリ6を軸支する軸6aをガイド孔7に沿って落とし込みを行いテークアッププーリ6の自重により搬送ベルト22を緊張させる。
【0016】
図7は搬送ベルト22の着脱時におけるベルト緩め装置を解除した状態の側面図を示す。フレーム側板部2に支持軸8を介して組付けた尾部側に所定長さを有する片持ち状態のフレーム端部分5aを、支持軸8を中心としてヒンジ機構を動作させるため、前記フレーム端部分5aを水平に維持するストッパノブ9を引き抜き、前記フレーム端部分5aを水平面から下向きに所定角度回動させることで、尾部プーリ3と駆動プーリ4との距離が短くなる。これにより図7に示すとおり、エンドレス状紙ベルト22は大きく緩み、よってエンドレス状紙ベルト22のベルト片端又は両端近傍に長手方向に沿うように一定ピッチで明けられた孔23は駆動用スプロケット20、20の送り用ピン21、21の係合から開放され、エンドレス状紙ベルト22をコンベヤフレームの支持脚部固着側部と対面するコンベヤフレームのもう一方の側部から搬送ベルトを横方向にスライドして取り外すことができる。また着装時には、コンベヤフレームの支持脚部固着側部と対面するコンベヤフレームのもう一方の側部から搬送ベルトを横方向にスライドしてスライドベッドの周囲にエンドレス状紙ベルト22を掛け回すようにしたのち、エンドレス状紙ベルト22のベルト片端又は両端近傍に長手方向に沿うように一定ピッチで明けられた孔23を駆動用スプロケット20、20の送り用ピン21、21に位置合わせをして係合させることが容易に可能であり、その位置決め後に、前記フレーム端部分5aを解除状態から上向きに所定角度回動し、ストッパノブ9によりフレーム側板部2と前記フレーム端部分5aとを係止して、フレーム端部分5aの上部をコンベヤフレーム1の上面と略面一に水平に維持することで尾部プーリ3と駆動プーリ4間の距離が駆動状態と同じ距離となり、搬送ベルト22の着装が可能である。このような下向きに所定角度移動させるベルト緩め装置の場合には、落とし込みのテークアップ装置の自身による張力調整機能(重力よりも大きな持ち上げ力には抗しない構造から発生する機能)により、テークアップの解除無しでベルト緩めが可能である。
【0017】
上記のように本発明は、搬送時に水分や油でベルトを汚すワークまたはベルトに付着するものが付着するのを嫌うワークを搬送するため、紙または不織布を無端状に形成した搬送ベルトを使用する、食品または化粧品または医薬品工場で使用する孔明き紙ベルトのエンドレスコンベヤで、一定時間(例えば半日乃至1日間)搬送に使用した後の使用済みの汚れたベルトは、コンベヤのベルト緩め装置を使用して取り外したり、或いは搬送面を破ったり、切断したりして、洗浄せず廃棄するようにしたものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明紙ベルトのエンドレスコンベヤの正面図。
【図2】図1の平面図。
【図3】図1の左側面図、
【図4】図1のA−A線より矢印方向にみた断面図。
【図5】図1のB−B線より矢印方向にみた断面図。
【図6】搬送ベルトのテークアップ解除状態の側面図。
【図7】ベルト緩め状態の側面図。
【符号の説明】
【0019】
1 コンベヤフレーム 2 フレーム側板部
3 尾部プーリ 4 駆動プーリ
5 ベルト緩め装置 5a フレーム端部分
6 テークアッププーリ 6a テークアッププーリの軸
7 ガイド孔 8 ベルト緩め装置の支持軸
9 ストッパ 9a ストッパの先端ピン
9b ピン孔 10 駆動部ユニット
11 L形断面の駆動部支持枠 11a 支持枠の側板部
12 ギヤドモータ 13 駆動側歯付プーリ
14 従動側歯付プーリ 15 カバー
16 駆動軸 17 歯付き駆動ベルト
18 軸受 19、29 締付けボルト
20 スプロケット 21 送り用ピン
22 エンドレス状紙ベルト(搬送ベルト) 23 送り孔 25 脚

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを搬送する搬送ベルトに紙または不織布を無端状に形成させたベルトを使用して、搬送時に液状または粉状もしくはゲル状の分離物でベルトを汚すワーク、またはベルト表面の付着物によるワーク汚染を避ける必要のあるワーク等を搬送するエンドレス紙ベルトコンベヤであって、前記搬送ベルトに搬送ベルト長手方向に沿う一定ピッチの噛合い送り孔を設けると共に、コンベヤフレームの頭部に前記噛合う駆動用スプロケットを設けた駆動手段を備え、かつ、コンベヤフレーム尾部寄りにベルト緩め装置およびテークアップ装置を設けてベルトの進行方向にテンションを付与するようにしたことを特徴とする孔明き紙ベルトのエンドレスコンベヤ。
【請求項2】
前記一定ピッチで開口した孔は、搬送ベルト自体に穿孔して設けていることを特徴とする請求項1に記載の孔明き紙ベルトのエンドレスコンベヤ。
【請求項3】
前記一定ピッチの噛合い送り孔は、搬送ベルト片側の端近傍または搬送ベルト両側の各端近傍、もしくは搬送ベルト略中央部分に設けていることを特徴とする請求項2に記載の孔明き紙ベルトのエンドレスコンベヤ。
【請求項4】
前記一定ピッチの噛合い送り孔は、搬送ベルトとは別体のリボン状シートに予め長手方向に一定ピッチで穿孔して設けておき、当該リボン状シートを搬送ベルトの少なくとも一端に固定することを特徴とする請求項1に記載の孔明き紙ベルトのエンドレスコンベヤ。
【請求項5】
前記搬送ベルトは、水溶性である請求項1から4のいずれか1つの項に記載の孔明き紙ベルトのエンドレスコンベヤ。
【請求項6】
前記テークアップ装置は、尾部の搬送ベルト帰り側裏面に当接する、軸受けとローラを軸支する落とし込みテークアッププーリを備え、搬送ベルトへのテンション付与はテークアッププーリ自重による搬送ベルト緊張によることを特徴とする請求項1ないし5に記載の孔明き紙ベルトのエンドレスコンベヤ。
【請求項7】
前記テークアップ装置は、片側長孔端部が下端であり、もう一方の長孔端部が上端であるコンベヤフレームの側板部に明けたガイド孔に、テークアッププーリを軸支する軸を沿わせて落とし込みを行うことで、テークアッププーリ自重による搬送ベルト緊張によることを特徴とする請求項6に記載の孔明き紙ベルトのエンドレスコンベヤ。
【請求項8】
前記テークアップ装置は、搬送ベルト駆動時にはコンベヤフレームの側板部に明けたガイド孔の片側長孔端部に向かって、テークアッププーリを軸支する軸をガイド孔に沿って落とし込みを行い、機上で端部を貼り合わせる搬送ベルトの着装時にはガイド孔のもう一方の長孔端部に向かい水平部を形成した後短い略鉛直部を備えた退避部へテークアッププーリを軸支する軸を退避させることを特徴とする請求項6に記載の孔明き紙ベルトのエンドレスコンベヤ。
【請求項9】
コンベヤフレーム頭部に、駆動部支持枠を一体もしくは別体に支持する駆動部支持脚部を、コンベヤフレーム側部の片側にのみ固着して、少なくとも駆動部支持脚部でコンベヤ全体を支持し、
さらにコンベヤフレームの機長に応じて、コンベヤフレーム尾部もしくは中間部に前記駆動部支持脚部と同じコンベヤフレーム側部側にのみ、コンベヤフレーム側部と固着するフレーム支持脚部を備えることで、駆動部支持脚部及びフレーム支持脚部とでコンベヤ全体を支持することを特徴とする請求項1ないし8に記載の孔明き紙ベルトのエンドレスコンベヤ。
【請求項10】
前記ベルト緩め装置は、尾部側に所定長さを有する片持ち状態のコンベヤフレーム端部分を形成させ、当該フレーム端部分に重合するフレーム本体の先端部との間には、前記フレーム端部分を水平面から下向きに所定角度回動可能に支持するヒンジを形成する回動軸と前記フレーム端部分を水平に維持するストッパノブとを有しており、
コンベヤ稼動時には、前記フレーム端部分を水平に維持し、テークアップ装置により搬送ベルトを緊張させることで搬送ベルトを駆動し、
搬送ベルトの着脱時には、前記ストッパノブを解除して、前記ヒンジを形成する回動軸を中心に、前記フレーム端部分を水平面から下向きに所定角度回動させることで、搬送ベルトを緩めた後、コンベヤフレームの支持脚部固着側部と対面するコンベヤフレームのもう一方の側部から搬送ベルトを横方向にスライドして着脱可能としたことを特徴とする請求項9に記載の孔明き紙ベルトのエンドレスコンベヤ。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−30909(P2008−30909A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−207234(P2006−207234)
【出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【出願人】(000001834)三機工業株式会社 (316)
【Fターム(参考)】