孔版印刷装置
【課題】割り込み印刷を行うことが可能な孔版印刷装置を提供する。
【解決手段】版胴11にマスタ22を巻装して印刷を行う孔版印刷装置1において、割り込み印刷を行う割り込み印刷キー46と、装置の状態を記憶する記憶手段49とを有し、印刷動作中に割り込み印刷キー46が押下された際には、実行中の印刷動作を中断させると共に中断時における残り印刷枚数等の印刷条件を記憶手段49に記憶させ、割り込み印刷完了後には記憶手段49より前記印刷条件を呼び出して中断時の印刷動作を継続する構成とした。
【解決手段】版胴11にマスタ22を巻装して印刷を行う孔版印刷装置1において、割り込み印刷を行う割り込み印刷キー46と、装置の状態を記憶する記憶手段49とを有し、印刷動作中に割り込み印刷キー46が押下された際には、実行中の印刷動作を中断させると共に中断時における残り印刷枚数等の印刷条件を記憶手段49に記憶させ、割り込み印刷完了後には記憶手段49より前記印刷条件を呼び出して中断時の印刷動作を継続する構成とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は孔版印刷装置に関し、詳しくは割り込み印刷を行うことが可能な孔版印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、簡便な印刷方法としてデジタル式感熱孔版印刷が知られている。これは、熱可塑性樹脂フィルムと多孔性支持体とを貼り合わせたマスタに微細な発熱素子を複数有するサーマルヘッドを接触させ、この発熱素子に対しパルス的に通電を行いながらマスタをプラテンローラ等の搬送手段で搬送することにより、マスタの熱可塑性樹脂フィルムに画像情報に基づいた穿孔画像を熱溶融穿孔製版した後、この穿孔製版されたマスタを多孔性円筒状の版胴に巻装させ、プレスローラ等の押圧手段によって用紙を版胴外周面に押圧させることで版胴内周面に供給されたインキを版胴開孔部及びマスタ穿孔部から滲出させ、このインキを用紙に転移させることにより用紙上に印刷画像を得るものである。
【0003】
上述した孔版印刷を行う孔版印刷装置として、装置本体に対して着脱自在な版胴と版胴固有の情報を読み書き可能な記憶部とを有し、複数の版胴を装置本体に対して着脱することにより色替え等の印刷を行うことが可能であると共に、個々の版胴の情報を表示部に表示することにより各版胴の内容及び状態を知ることができ、各版胴のそれぞれに好適な印刷条件を設定して動作制御を行うことが可能な孔版印刷装置が、例えば「特許文献1」に開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−79652号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電子写真式複写装置等の画像形成装置では、マスタを使用することなく原稿画像に対応したトナー像を潜像担持体上に用紙1枚毎に形成し、形成したトナー像を用紙に転写させているため、原稿画像が変更される割り込み画像形成が頻繁に行われている。これに対して、マスタ上に製版画像を形成してこれに用紙を圧接させることにより印刷を行う孔版印刷装置では、原稿画像が変更された際にはマスタ上の製版画像を変更する必要があるため、割り込み印刷は行われていない。
【0006】
このため、先に大量の印刷が実行されている場合には、その印刷が終了するまで待つかあるいは実行途中の印刷をキャンセルさせてから印刷を行う必要があった。これにより、先の印刷物が他人によるものであった場合には再度印刷を行う必要があると共に、自分の印刷物であっても残りの印刷枚数を忘れてしまったり誤って入力してしまったりする場合があり、作業の効率悪化及び用紙の過不足が生じてしまうという問題点がある。
本発明は上述した各問題点を解決し、割り込み印刷を行うことが可能な孔版印刷装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、版胴にマスタを巻装して印刷を行う孔版印刷装置において、割り込み印刷を行う割り込み印刷キーと、装置の状態を記憶する記憶手段とを有し、印刷動作中に前記割り込み印刷キーが押下された際には、実行中の印刷動作を中断させると共に中断時における残り印刷枚数等の印刷条件を前記記憶手段に記憶させ、割り込み印刷完了後には前記記憶手段より前記印刷条件を呼び出して中断時の印刷動作を継続することを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の孔版印刷装置において、さらに印刷動作中に前記割り込み印刷キーが押下された際には、実行中の印刷動作を中断させると共に中断時における前記印刷条件及び原稿画像情報を前記記憶手段に記憶させ、割り込み印刷完了後には前記版胴より割り込み印刷に用いたマスタを排版させた後に前記記憶手段に記憶された前記原稿画像情報に基づいて製版されたマスタを前記版胴に巻装し、前記記憶手段より前記印刷条件を呼び出して中断時の印刷動作を継続することを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の孔版印刷装置において、さらに前記版胴が装置本体に対して着脱自在であると共に表示を行う表示手段を有し、印刷動作中に前記割り込み印刷キーが押下された際には、実行中の印刷動作を中断させると共に中断時における前記印刷条件を前記記憶手段に記憶させ、さらに前記版胴を割り込み印刷用の版胴に交換する旨の表示を前記表示手段に表示させ、割り込み印刷完了後には割り込み印刷用の版胴を前記版胴に交換する旨の表示装置本体前記表示手段に表示させると共に前記記憶手段より前記印刷条件を呼び出し、前記装置本体に前記版胴が装着された後に中断時の印刷動作を継続することを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の孔版印刷装置において、さらに版胴を識別する版胴識別手段と、警告を行う警告手段を有し、割り込み印刷後に前記装置本体に装着された版胴を前記版胴識別手段により識別し、装着された版胴が前記版胴とは異なる場合には前記警告手段により警告を行うと共に印刷動作の開始を中止することを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項1記載の孔版印刷装置において、さらに前記版胴が装置本体に対して着脱自在であると共に、表示を行う表示手段と、前記割り込み印刷として第1の割り込み印刷と第2の割り込み印刷とを設定する割り込み印刷設定手段とを有し、前記割り込み印刷設定手段により第1の割り込み印刷が設定された後、印刷動作中に前記割り込み印刷キーが押下された際には、実行中の印刷動作を中断させると共に中断時における前記印刷条件及び原稿画像情報を前記記憶手段に記憶させ、割り込み印刷完了後には前記版胴より割り込み印刷に用いたマスタを排版させた後に前記記憶手段に記憶された前記原稿画像情報に基づいて製版されたマスタを前記版胴に巻装し、前記記憶手段より前記印刷条件を呼び出して中断時の印刷動作を継続し、前記割り込み印刷設定手段により第2の割り込み印刷が設定された後、印刷動作中に前記割り込み印刷キーが押下された際には、実行中の印刷動作を中断させると共に中断時における前記印刷条件を前記記憶手段に記憶させ、さらに前記版胴を割り込み印刷用の版胴に交換する旨の表示を前記表示手段に表示させ、割り込み印刷完了後には割り込み印刷用の版胴を前記版胴に交換する旨の表示装置本体前記表示手段に表示させると共に前記記憶手段より前記印刷条件を呼び出し、前記装置本体に前記版胴が装着された後に中断時の印刷動作を継続することを特徴とする。
【0012】
請求項6記載の発明は、請求項1ないし5の何れか1つに記載の孔版印刷装置において、さらに印刷される用紙が積載される給紙トレイと、前記給紙トレイ上における用紙の有無を検知する用紙有無検知手段とを有し、印刷動作中に前記割り込み印刷キーが押下された際に前記用紙有無検知手段が用紙を検知した場合には、装置使用者に用紙の確認を促すことを特徴とする。
【0013】
請求項7記載の発明は、請求項1ないし6の何れか1つに記載の孔版印刷装置において、さらに印刷済みの用紙が積載される排紙トレイと、前記排紙トレイ上における用紙の有無を検知する排紙有無検知手段とを有し、印刷動作中に前記割り込み印刷キーが押下された際に前記排紙有無検知手段が用紙を検知した場合には、装置使用者に用紙の確認を促すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、先行印刷として大量の印刷動作が行われている場合であっても印刷動作の完了を待つことなく割り込み印刷を行うことができるので、印刷作業効率を大幅に向上することができ、さらに先行印刷の印刷条件が記憶手段に記憶されるので、印刷再開時における残り印刷枚数等の条件設定ミスを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、本発明の一実施形態を採用した孔版印刷装置を示している。この孔版印刷装置は、特開2003−200645号に開示された両面印刷装置と関連した構成を有しているので、各部位の説明をできるだけ省略する。
【0016】
図1において孔版印刷装置1は、印刷部2、製版部3、給紙部4、排版部5、排紙部6、画像読取部7、補助トレイ8を有する再給紙手段9、切替部材10等を有している。
【0017】
装置本体42のほぼ中央に配置された印刷部2は、版胴11とプレスローラ12とを有している。版胴11は装置本体42に回転自在に支持されており、図示しない版胴駆動手段によって回転駆動される。版胴11はその外周面に開閉自在なクランパ13を有しており、両面印刷時において版胴11の外周面には製版部3で製版された分割製版済みマスタ14が巻装される。分割製版済みマスタ14には表面画像に応じた第1製版画像と裏面画像に応じた第2製版画像とが形成されており、各製版画像間には未製版部分が形成されている。分割製版済みマスタ14は、版胴11上において、第1製版画像が図1に示す表面領域に、第2製版画像が同裏面領域に、未製版部分が同中間領域にそれぞれ対応するように巻装される。版胴11は、装置本体42に対して着脱自在に構成されている。
【0018】
版胴11の下方にはプレスローラ12が配設されている。フッ素樹脂等の撥水性を有する弾性体からなるプレスローラ12は図示しないアーム部材にその両端を回転自在に支持されており、図示しないアーム部材は図示しない揺動手段によって揺動自在に支持されている。プレスローラ12はその周面が版胴11より離間する図1に示す離間位置と、その周面が版胴11上の分割製版済みマスタ14に圧接する圧接位置とを選択的に占める。プレスローラ12の周面近傍には、プレスローラ12の周面に接触してクリーニングを行うクリーニングローラ16が配設されている。クリーニングローラ16は、図示しない駆動手段によって回転駆動される。
【0019】
プレスローラ12の右方近傍には再給紙手段9から送られた表面印刷済みの用紙Pをプレスローラ12の周面に沿わせて搬送するための再給紙案内部材17が配設されており、プレスローラ12の下方には補助トレイ8上に貯留された用紙Pをプレスローラ12の周面に接触させて送り出す再給紙レジストローラ18が配設されている。プレスローラ12の左下方には上面に補助トレイ8を有する再給紙搬送ユニット19が配設されており、これには再給紙位置決め部材20が一体的に設けられている。再給紙搬送ユニット19の上方には、補助トレイ8の上面に沿って移動自在な用紙受け板21が配設されている。これら補助トレイ8、再給紙案内部材17、再給紙レジストローラ18、再給紙位置決め部材20、再給紙搬送ユニット19及び用紙受け板21によって再給紙手段9が構成されている。
【0020】
版胴11とプレスローラ12との接触位置の左方であって、用紙Pの搬送経路上には切替部材10が配設されている。切替部材10はその用紙搬送方向下流側端部を装置本体42に回動自在に支持されており、図示しない移動手段によって移動され、図1に実線で示す第1の位置と二点鎖線で示す第2の位置とを選択的に占める。版胴11とプレスローラ12との間を通過した用紙Pは、切替部材10が第1の位置を占めているときに排紙部6へと案内され、切替部材10が第2の位置を占めているときに補助トレイ8へと案内される。
【0021】
印刷部2の右上方には製版部3が配設されている。製版部3は、マスタ22をロール状に巻成したマスタロールを保持するマスタ保持部材23、プラテンローラ24、サーマルヘッド25、マスタ切断手段26、マスタストック部27、テンションローラ対28、反転ローラ対29等を有する周知の構成であり、製版部3では分割製版済みマスタ14が作成される。
【0022】
製版部3の下方には給紙部4が配設されている。給紙部4は、給紙トレイ43、給紙ローラ、分離ローラ、分離パッド、レジストローラ対等を有する周知の構成である。上面に多数の用紙Pを積載可能な給紙トレイ43は装置本体42に上下動自在に支持されており、図示しない昇降手段によって上下動される。筐体状をなす給紙トレイ43は、用紙Pの有無を検出する用紙有無検知手段としてのセンサ44をその内部に有しており、その上面には一対のサイドフェンスが配設されている。
【0023】
印刷部2の左上方に配設された排版部5は、上排版部材、下排版部材、排版ボックス、圧縮板等を有する周知の構成であり、使用済みの分割製版済みマスタ14を版胴11の外周面より剥離して排版ボックスの内部に廃棄する。
【0024】
排版部5の下方には排紙部6が配設されている。排紙部6は、剥離爪31、排紙搬送ユニット32、排紙トレイ33、剥離ファン34等を有している。剥離爪31は図示しない揺動手段によってその先端部が版胴11の外周面に対して近接・離間自在に設けられており、近接位置を占めた際に版胴11の外周面上より用紙Pを剥離する。排紙搬送ユニット32は、駆動ローラ、従動ローラ、無端ベルト、吸引ファン等を有しており、無端ベルトの上面に印刷済みの用紙Pを吸引しつつ図1の矢印方向に搬送する。排紙トレイ33は1個のエンドフェンスと一対のサイドフェンスとを有しており、その上面に印刷済みの用紙Pを積載する。排紙トレイ33には、印刷済みの用紙Pの有無を検出する排紙有無検知手段としてのセンサ45が設けられている。剥離ファン34は剥離爪31の上方に配設されており、版胴11の外周面に向けて送風を行うことにより表面印刷工程を終えて切替部材10によって版胴11の外周面上から剥離される用紙P、及び裏面印刷工程を終えて剥離爪31によって版胴11の外周面上から剥離される用紙Pの先端をそれぞれ送風によって浮き上がらせる。
【0025】
装置本体の上部には画像読取部7が配設されている。画像読取部7は、図示しないコンタクトガラス、コンタクトガラスに対して接離自在に設けられた図示しない圧板、原稿画像を走査して読み取るそれぞれ図示しない反射ミラー及び蛍光灯、走査された画像を集束する図示しないレンズ、集束された画像を処理する図示しない画像センサ等を有している。
【0026】
図2は、孔版印刷装置1の操作パネルを示している。同図において操作パネル15には、製版スタートキー35、印刷スタートキー36、クリア/ストップキー37、テンキー38、7セグメントLEDからなる表示装置39、表示手段としてのLCDからなる表示装置40、両面印刷を行う際に押下される両面印刷キー41、割り込み印刷を行う際に押下される割り込み印刷キー46、選択設定キー50等が配設されている。
【0027】
図3は、孔版印刷装置1に用いられる制御手段のブロック図である。同図において制御手段30は、内部にCPU47、ROM48、RAM49等を有するマイクロコンピュータであり、操作パネル15からの動作信号、センサ44,45を含む各種センサからの信号に基づいて印刷部2、製版部3、給紙部4、排版部5、排紙部6、画像読取部7、再給紙手段9、切替部材10の作動をそれぞれ制御する。ROM48には孔版印刷装置1の動作プログラムが記憶されていると共に、RAM49には各種数値や情報等が一時的に記憶され、CPU47はRAM49に記憶された数値や情報等及びROM48から呼び出された動作プログラムに基づいて孔版印刷装置1の動作制御を行う。またRAM49には、印刷動作中に割り込み印刷キー46が押下された際に実行中の印刷動作の残り印刷枚数等の印刷条件が記憶され、このときにRAM49は記憶手段として機能する。
【0028】
上述した孔版印刷装置1では、画像読取部7に原稿がセットされ製版スタートキー35が押下されることにより、排版部5が作動して排版動作が行われた後に製版部3が作動して製版動作が行われ、版胴11に製版済みマスタが巻装されて片面印刷待機状態となる。その後、印刷枚数が置数された後に印刷スタートキー36が押下されることにより、給紙部4より用紙Pが連続的に給送されて片面印刷動作が行われる。置数された印刷枚数に達すると片面印刷動作が完了して孔版印刷装置1は再び片面印刷待機状態となる。
【0029】
また、画像読取部7に原稿がセットされ両面印刷キー41が押下された後に製版スタートキー35が押下されることにより、排版部5が作動して排版動作が行われた後に製版部3が作動して製版動作が行われ、版胴11に分割製版済みマスタ14が巻装されて両面印刷待機状態となる。その後、印刷枚数が置数された後に印刷スタートキー36が押下されることにより、給紙部4より用紙Pが連続的に給送されて特開2003−200645号に開示された両面印刷装置と同様に両面印刷が行われる。
【0030】
本発明の特徴である割り込み印刷は、上述した印刷動作中に割り込み印刷キー46が押下されることにより行われる。以下、図4に示すフローチャートに基づいて説明する。
孔版印刷装置1が片面印刷動作中あるいは両面印刷動作中である場合に、印刷枚数等の各種印刷条件が設定された後に割り込み印刷キー46が押下されると(ST01)、現在印刷中の印刷動作が中断される(ST02)と共に現在印刷中の残り印刷枚数等の印刷条件がRAM49に記憶される(ST03)。その後、割り込み印刷が開始され(ST04)、割り込み印刷が完了すると(ST05)RAM49から記憶されている先の印刷条件が呼び出され(ST06)、中断された印刷動作が再開される(ST07)。
【0031】
上述の構成により、先行印刷として大量の印刷動作が行われている場合であっても印刷動作の完了を待つことなく割り込み印刷を行うことができるので、印刷作業効率を大幅に向上することができ、さらに先行印刷の印刷条件がRAM49に記憶されるので、印刷再開時における残り印刷枚数等の条件設定ミスを防止することができる。以下に、この割り込み印刷動作について詳述する。
【0032】
先ず第1の実施形態として、版胴11を交換せずに割り込み印刷動作を行う場合を図5に示すフローチャートに基づいて説明する。
孔版印刷装置1が片面印刷動作中あるいは両面印刷動作中である場合、この印刷動作に用いられた原稿の画像情報がRAM49に一時的に記憶されている(ST11)。この状態から印刷枚数等の各種印刷条件が設定された後に割り込み印刷キー46が押下されると(ST12)、現在印刷中の印刷動作が中断される(ST13)と共に現在印刷中の残り印刷枚数等の印刷条件及び一時記憶されている原稿の画像情報がRAM49に記憶される(ST14)。
【0033】
その後、排版部5が作動して版胴11の外周面上から前版のマスタ22が剥離されると共に割り込み印刷される原稿画像が製版部3においてマスタ22上に製版され、製版されたマスタ22が版胴11上に巻装された後に割り込み印刷が開始される(ST15)。そして、設定された印刷枚数が消化されると割り込み印刷が完了し(ST16)、RAM49から記憶されている先の印刷条件が呼び出される(ST17)と共に原稿画像情報が呼び出される(ST18)。
【0034】
その後、排版部5が作動して版胴11の外周面上から割り込み印刷に使用されたマスタ22が剥離されると共に、印刷を再開される前版の原稿画像が製版部3においてマスタ22上に製版され(ST19)、製版されたマスタ22が版胴11上に巻装された後に中断された印刷動作が再開される(ST20)。
【0035】
上述の構成により、版胴11を1つのみ有する場合であっても割り込み印刷を行うことができ、版胴11を複数所有することによるコストアップの問題及び保管場所の問題を考慮することなく印刷作業効率を大幅に向上することができる。
【0036】
次に第2の実施形態として、版胴11を交換して割り込み印刷動作を行う場合を図6に示すフローチャートに基づいて説明する。
孔版印刷装置1が片面印刷動作中あるいは両面印刷動作中である場合に、印刷枚数等の各種印刷条件が設定された後に割り込み印刷キー46が押下されると(ST21)、現在印刷中の印刷動作が中断される(ST22)と共に現在印刷中の残り印刷枚数等の印刷条件がRAM49に記憶される(ST23)。
【0037】
その後、操作パネル15上のLCD表示装置40に版胴11を交換する旨の表示がなされ、オペレータにより版胴11が交換された(ST24)後に割り込み印刷が開始され(ST25)、割り込み印刷が完了すると(ST26)LCD表示装置40に版胴11を再び元の版胴11に交換する旨の表示がなされる。オペレータにより版胴11が再度交換されて元の版胴11が装置本体42に装着されると(ST27)、RAM49から記憶されている先の印刷条件が呼び出され(ST28)、中断された印刷動作が再開される(ST29)。
上述の構成により、前版のマスタ22を排版することなく割り込み印刷を行うことができ、マスタ22によるコストアップを防止しつつ印刷作業効率を大幅に向上することができる。
【0038】
次に第3の実施形態として、版胴11を交換して割り込み印刷動作を行う場合であり、使用される各版胴11がそれぞれを識別するICタグを有すると共に孔版印刷装置1が警告を行うブザー等の警告手段を有し、版胴11が装置本体42に装着された際に版胴識別手段として機能する制御手段30が各版胴11のICタグを識別し、装着された版胴11が前版の版胴11とは異なる際に警告を行う場合の動作を図7に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0039】
孔版印刷装置1が片面印刷動作中あるいは両面印刷動作中である場合に、印刷枚数等の各種印刷条件が設定された後に割り込み印刷キー46が押下されると(ST31)、現在印刷中の印刷動作が中断される(ST32)と共に現在印刷中の残り印刷枚数等の印刷条件がRAM49に記憶される(ST33)。その後、装置本体42より取り外される版胴11のICタグ情報がRAM49に記憶される(ST34)と共にLCD表示装置40に版胴11を交換する旨の表示がなされ、オペレータにより版胴11が交換された(ST35)後に割り込み印刷が開始され(ST36)、割り込み印刷が完了すると(ST37)LCD表示装置40に版胴11を再び元の版胴11に交換する旨の表示がなされる。
【0040】
オペレータにより版胴11が再度交換されて版胴11が装置本体42に装着されると(ST38)、制御手段30は装着された版胴11のICタグ情報を認証し(ST39)、装着された版胴11が元の版胴11であるか否かの判断を行う(ST40)。ST40で元の版胴11であると判断された場合には、RAM49から記憶されている先の印刷条件が呼び出され(ST41)、中断された印刷動作が再開される(ST42)。ST40で元の版胴11ではないと判断された場合には、警告手段により警告が行われる(ST43)と共に中断された印刷動作の再開が中止され(ST44)、LCD表示装置40に版胴11を再び元の版胴11に交換する旨の表示がなされる。
【0041】
上述の構成により、割り込み印刷の実行前と実行後とにおいて装置本体42に対して版胴11を誤装着してしまうことが防止でき、印刷途中の版と異なる版での印刷再開を防止することができる。
【0042】
次に第4の実施形態として、第1の実施形態で示した版胴11を交換することなく割り込み印刷を行う形態(以下、第1の割り込み印刷という)と、第3の実施形態で示した版胴11を交換して割り込み印刷を行う形態(以下、第2の割り込み印刷という)とを選択可能である場合の動作を図8に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0043】
孔版印刷装置1が片面印刷動作中あるいは両面印刷動作中である場合、この印刷動作に用いられた原稿の画像情報がRAM49に一時的に記憶されている(ST51)。この状態から印刷枚数等の各種印刷条件が設定され、第1の割り込み印刷または第2の割り込み印刷の何れかが設定された後に割り込み印刷キー46が押下されると(ST52)、現在印刷中の印刷動作が中断される(ST53)と共に現在印刷中の残り印刷枚数等の印刷条件及び一時記憶されている原稿の画像情報がRAM49に記憶され(ST54)、さらに装置本体42より取り外される版胴11のICタグ情報がRAM49に記憶される(ST55)。本実施形態において、第1の割り込み印刷を行うか第2の割り込み印刷を行うかは選択設定キー50によって選択設定され、選択設定キー50が印刷設定手段として機能する。
【0044】
その後、制御手段30は第1の割り込み印刷が選択されたか第2の割り込み印刷が選択されたかを判断し(ST56)、第1の割り込み印刷であると判断すると、排版部5が作動して版胴11の外周面上から前版のマスタ22が剥離されると共に割り込み印刷される原稿画像が製版部3においてマスタ22上に製版され、製版されたマスタ22が版胴11上に巻装された後に割り込み印刷が開始される(ST57)。そして、設定された印刷枚数が消化されると割り込み印刷が完了し(ST58)、RAM49から記憶されている先の印刷条件が呼び出される(ST59)と共に原稿画像情報が呼び出される(ST60)。その後、排版部5が作動して版胴11の外周面上から割り込み印刷に使用されたマスタ22が剥離されると共に、印刷を再開される前版の原稿画像が製版部3においてマスタ22上に製版され(ST61)、製版されたマスタ22が版胴11上に巻装された後に中断された印刷動作が再開される(ST62)。
ST56において制御手段30が第2の割り込み印刷であると判断すると、LCD表示装置40に版胴11を交換する旨の表示がなされ、オペレータにより版胴11が交換された(ST63)後に割り込み印刷が開始され(ST64)、割り込み印刷が完了すると(ST65)LCD表示装置40に版胴11を再び元の版胴11に交換する旨の表示がなされる。
【0045】
オペレータにより版胴11が再度交換されて版胴11が装置本体42に装着されると(ST66)、制御手段30は装着された版胴11のICタグ情報を認証し(ST67)、装着された版胴11が元の版胴11であるか否かの判断を行う(ST68)。ST68で元の版胴11であると判断された場合には、RAM49から記憶されている先の印刷条件が呼び出され(ST69)、中断された印刷動作が再開される(ST70)。ST68で元の版胴11ではないと判断された場合には、警告手段により警告が行われる(ST71)と共に中断された印刷動作の再開が中止され(ST72)、LCD表示装置40に版胴11を再び元の版胴11に交換する旨の表示がなされる。
【0046】
上述の構成により、第1の割り込み印刷と第2の割り込み印刷とを選択可能であるので、版胴11を1つのみ有する場合であっても割り込み印刷を行うことができると共に、版胴11を複数有する場合にはコストダウンを図ることができ、印刷作業の作業効率を大幅に広げることができる。
【0047】
次に第5の実施形態として、第4の実施形態において割り込み印刷キー46が押下された際に、センサ44からの信号に基づいてオペレータに給紙トレイ43上の用紙Pの確認を促す場合の動作を図9に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0048】
この第5の実施形態における動作は、ST51〜ST55及びST56〜ST72は第4の実施形態と同様であり、ST55とST56との間に給紙トレイ43上の用紙確認を行う点においてのみ相違している。ST55において版胴11のICタグ情報がRAM49に記憶されると、給紙トレイ43上の用紙Pが交換されたか否かが判断される(ST73)。この判断は、センサ44からの信号が一度オフした後にオンした場合に用紙Pが交換されたと判断し、オンし続けている場合に用紙Pが交換されていないと判断する。用紙Pが交換されたと判断されると、割り込み印刷に用いられる用紙Pが給紙トレイ43上に載置されているものとしてST56に進む。
【0049】
ST73において、用紙Pが交換されていないと判断されると、LCD表示装置40に例えば「用紙サイズを確認してください」というような確認メッセージを表示する(ST74)。そして、給紙トレイ43に設けられた図示しない用紙サイズ検知センサにより用紙の交換が必要であるか否かが判断され(ST75)、用紙交換の必要がなければST56に進む。用紙の交換が必要であれば、オペレータにより用紙Pが交換された(ST76)後にST56に進む。
【0050】
上述の構成により、給紙トレイ43上に用紙Pが残っていた場合に、オペレータに用紙Pの確認を促すことができ、先の印刷と割り込み印刷とにおいて使用する用紙Pが異なる場合においても誤ったサイズあるいは種類の用紙Pに対して割り込み印刷を行うことが防止され、作業効率をさらに向上することができる。
【0051】
次に第6の実施形態として、第4の実施形態において割り込み印刷キー46が押下された際に、センサ45からの信号に基づいてオペレータに排紙トレイ33上の用紙Pの確認を促す場合の動作を図10に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0052】
この第6の実施形態における動作は、ST51〜ST55及びST56〜ST72は第4の実施形態と同様であり、ST55とST56との間に排紙トレイ33上の用紙確認を行う点においてのみ相違している。ST55において版胴11のICタグ情報がRAM49に記憶されると、排紙トレイ33上に用紙Pが載置されているか否かが判断される(ST77)。この判断は、センサ45からの信号がオンしている場合に用紙Pが載置されていると判断し、オフしている場合に用紙Pが載置されていないと判断する。用紙Pが載置されていないと判断されると、割り込み印刷された印刷済みの用紙Pのみが排紙トレイ33上に積載されるのでST56に進む。
【0053】
ST77において、排紙トレイ33上に用紙Pが載置されていると判断されると、LCD表示装置40に例えば「排紙トレイより用紙を取り除いてください」というような確認メッセージを表示する(ST78)。そして、オペレータの目視により排紙トレイ33上からの用紙Pの除去が必要であるか否かが判断され(ST79)、オペレータにより用紙Pが除去された(ST80)後にST56に進む。オペレータの判断により、排紙トレイ33上に積載されている用紙Pと割り込み印刷により排紙トレイ33上に排出される用紙Pとが混合してもかまわないと判断されると、用紙Pの除去が行われることなくST56に進む。
【0054】
上述の構成により、排紙トレイ33上に印刷済みの用紙Pが残っていた場合に、オペレータに印刷済みの用紙Pの確認を促すことができ、先の印刷により印刷された用紙Pと割り込み印刷により印刷された用紙Pとが混合してしまうことが防止され、作業効率をさらに向上することができる。
【0055】
次に第7の実施形態として、第4の実施形態において割り込み印刷キー46が押下された際に、各センサ44,45からの信号に基づいてオペレータに給紙トレイ43及び排紙トレイ33上の用紙Pの確認を促す場合の動作を図11に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0056】
この第7の実施形態における動作は、ST51〜ST55及びST56〜ST72は第4の実施形態と同様であり、ST55とST56との間に、第5の実施形態で示したST73〜ST76と第6の実施形態で示したST77〜ST80とを有する動作となっている。図11では、ST73〜ST76を行った後にST77〜ST80を行う構成としたが、ST77〜ST80を行った後にST73〜ST76を行う構成としてもよい。
上述の構成により、上述した第1ないし第6の実施形態における作用効果を全て得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の一実施形態を採用した両面印刷が可能な孔版印刷装置の概略正面図である。
【図2】本発明の一実施形態に用いられる操作パネルの概略図である。
【図3】本発明の一実施形態に用いられる制御手段のブロック図である。
【図4】本発明の動作を説明するフローチャートである。
【図5】本発明の第1の実施形態における動作を説明するフローチャートである。
【図6】本発明の第2の実施形態における動作を説明するフローチャートである。
【図7】本発明の第3の実施形態における動作を説明するフローチャートである。
【図8】本発明の第4の実施形態における動作を説明するフローチャートである。
【図9】本発明の第5の実施形態における動作を説明するフローチャートである。
【図10】本発明の第6の実施形態における動作を説明するフローチャートである。
【図11】本発明の第7の実施形態における動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0058】
1 孔版印刷装置
11 版胴
22 マスタ
30 版胴識別手段(制御手段)
33 排紙トレイ
40 表示手段(LCD表示装置)
42 装置本体
43 給紙トレイ
44 用紙有無検知手段(センサ)
45 排紙有無検知手段(センサ)
46 割り込み印刷キー
49 記憶手段(RAM)
50 印刷設定手段(選択設定キー)
P 用紙
【技術分野】
【0001】
本発明は孔版印刷装置に関し、詳しくは割り込み印刷を行うことが可能な孔版印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、簡便な印刷方法としてデジタル式感熱孔版印刷が知られている。これは、熱可塑性樹脂フィルムと多孔性支持体とを貼り合わせたマスタに微細な発熱素子を複数有するサーマルヘッドを接触させ、この発熱素子に対しパルス的に通電を行いながらマスタをプラテンローラ等の搬送手段で搬送することにより、マスタの熱可塑性樹脂フィルムに画像情報に基づいた穿孔画像を熱溶融穿孔製版した後、この穿孔製版されたマスタを多孔性円筒状の版胴に巻装させ、プレスローラ等の押圧手段によって用紙を版胴外周面に押圧させることで版胴内周面に供給されたインキを版胴開孔部及びマスタ穿孔部から滲出させ、このインキを用紙に転移させることにより用紙上に印刷画像を得るものである。
【0003】
上述した孔版印刷を行う孔版印刷装置として、装置本体に対して着脱自在な版胴と版胴固有の情報を読み書き可能な記憶部とを有し、複数の版胴を装置本体に対して着脱することにより色替え等の印刷を行うことが可能であると共に、個々の版胴の情報を表示部に表示することにより各版胴の内容及び状態を知ることができ、各版胴のそれぞれに好適な印刷条件を設定して動作制御を行うことが可能な孔版印刷装置が、例えば「特許文献1」に開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−79652号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電子写真式複写装置等の画像形成装置では、マスタを使用することなく原稿画像に対応したトナー像を潜像担持体上に用紙1枚毎に形成し、形成したトナー像を用紙に転写させているため、原稿画像が変更される割り込み画像形成が頻繁に行われている。これに対して、マスタ上に製版画像を形成してこれに用紙を圧接させることにより印刷を行う孔版印刷装置では、原稿画像が変更された際にはマスタ上の製版画像を変更する必要があるため、割り込み印刷は行われていない。
【0006】
このため、先に大量の印刷が実行されている場合には、その印刷が終了するまで待つかあるいは実行途中の印刷をキャンセルさせてから印刷を行う必要があった。これにより、先の印刷物が他人によるものであった場合には再度印刷を行う必要があると共に、自分の印刷物であっても残りの印刷枚数を忘れてしまったり誤って入力してしまったりする場合があり、作業の効率悪化及び用紙の過不足が生じてしまうという問題点がある。
本発明は上述した各問題点を解決し、割り込み印刷を行うことが可能な孔版印刷装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、版胴にマスタを巻装して印刷を行う孔版印刷装置において、割り込み印刷を行う割り込み印刷キーと、装置の状態を記憶する記憶手段とを有し、印刷動作中に前記割り込み印刷キーが押下された際には、実行中の印刷動作を中断させると共に中断時における残り印刷枚数等の印刷条件を前記記憶手段に記憶させ、割り込み印刷完了後には前記記憶手段より前記印刷条件を呼び出して中断時の印刷動作を継続することを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の孔版印刷装置において、さらに印刷動作中に前記割り込み印刷キーが押下された際には、実行中の印刷動作を中断させると共に中断時における前記印刷条件及び原稿画像情報を前記記憶手段に記憶させ、割り込み印刷完了後には前記版胴より割り込み印刷に用いたマスタを排版させた後に前記記憶手段に記憶された前記原稿画像情報に基づいて製版されたマスタを前記版胴に巻装し、前記記憶手段より前記印刷条件を呼び出して中断時の印刷動作を継続することを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の孔版印刷装置において、さらに前記版胴が装置本体に対して着脱自在であると共に表示を行う表示手段を有し、印刷動作中に前記割り込み印刷キーが押下された際には、実行中の印刷動作を中断させると共に中断時における前記印刷条件を前記記憶手段に記憶させ、さらに前記版胴を割り込み印刷用の版胴に交換する旨の表示を前記表示手段に表示させ、割り込み印刷完了後には割り込み印刷用の版胴を前記版胴に交換する旨の表示装置本体前記表示手段に表示させると共に前記記憶手段より前記印刷条件を呼び出し、前記装置本体に前記版胴が装着された後に中断時の印刷動作を継続することを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の孔版印刷装置において、さらに版胴を識別する版胴識別手段と、警告を行う警告手段を有し、割り込み印刷後に前記装置本体に装着された版胴を前記版胴識別手段により識別し、装着された版胴が前記版胴とは異なる場合には前記警告手段により警告を行うと共に印刷動作の開始を中止することを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項1記載の孔版印刷装置において、さらに前記版胴が装置本体に対して着脱自在であると共に、表示を行う表示手段と、前記割り込み印刷として第1の割り込み印刷と第2の割り込み印刷とを設定する割り込み印刷設定手段とを有し、前記割り込み印刷設定手段により第1の割り込み印刷が設定された後、印刷動作中に前記割り込み印刷キーが押下された際には、実行中の印刷動作を中断させると共に中断時における前記印刷条件及び原稿画像情報を前記記憶手段に記憶させ、割り込み印刷完了後には前記版胴より割り込み印刷に用いたマスタを排版させた後に前記記憶手段に記憶された前記原稿画像情報に基づいて製版されたマスタを前記版胴に巻装し、前記記憶手段より前記印刷条件を呼び出して中断時の印刷動作を継続し、前記割り込み印刷設定手段により第2の割り込み印刷が設定された後、印刷動作中に前記割り込み印刷キーが押下された際には、実行中の印刷動作を中断させると共に中断時における前記印刷条件を前記記憶手段に記憶させ、さらに前記版胴を割り込み印刷用の版胴に交換する旨の表示を前記表示手段に表示させ、割り込み印刷完了後には割り込み印刷用の版胴を前記版胴に交換する旨の表示装置本体前記表示手段に表示させると共に前記記憶手段より前記印刷条件を呼び出し、前記装置本体に前記版胴が装着された後に中断時の印刷動作を継続することを特徴とする。
【0012】
請求項6記載の発明は、請求項1ないし5の何れか1つに記載の孔版印刷装置において、さらに印刷される用紙が積載される給紙トレイと、前記給紙トレイ上における用紙の有無を検知する用紙有無検知手段とを有し、印刷動作中に前記割り込み印刷キーが押下された際に前記用紙有無検知手段が用紙を検知した場合には、装置使用者に用紙の確認を促すことを特徴とする。
【0013】
請求項7記載の発明は、請求項1ないし6の何れか1つに記載の孔版印刷装置において、さらに印刷済みの用紙が積載される排紙トレイと、前記排紙トレイ上における用紙の有無を検知する排紙有無検知手段とを有し、印刷動作中に前記割り込み印刷キーが押下された際に前記排紙有無検知手段が用紙を検知した場合には、装置使用者に用紙の確認を促すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、先行印刷として大量の印刷動作が行われている場合であっても印刷動作の完了を待つことなく割り込み印刷を行うことができるので、印刷作業効率を大幅に向上することができ、さらに先行印刷の印刷条件が記憶手段に記憶されるので、印刷再開時における残り印刷枚数等の条件設定ミスを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、本発明の一実施形態を採用した孔版印刷装置を示している。この孔版印刷装置は、特開2003−200645号に開示された両面印刷装置と関連した構成を有しているので、各部位の説明をできるだけ省略する。
【0016】
図1において孔版印刷装置1は、印刷部2、製版部3、給紙部4、排版部5、排紙部6、画像読取部7、補助トレイ8を有する再給紙手段9、切替部材10等を有している。
【0017】
装置本体42のほぼ中央に配置された印刷部2は、版胴11とプレスローラ12とを有している。版胴11は装置本体42に回転自在に支持されており、図示しない版胴駆動手段によって回転駆動される。版胴11はその外周面に開閉自在なクランパ13を有しており、両面印刷時において版胴11の外周面には製版部3で製版された分割製版済みマスタ14が巻装される。分割製版済みマスタ14には表面画像に応じた第1製版画像と裏面画像に応じた第2製版画像とが形成されており、各製版画像間には未製版部分が形成されている。分割製版済みマスタ14は、版胴11上において、第1製版画像が図1に示す表面領域に、第2製版画像が同裏面領域に、未製版部分が同中間領域にそれぞれ対応するように巻装される。版胴11は、装置本体42に対して着脱自在に構成されている。
【0018】
版胴11の下方にはプレスローラ12が配設されている。フッ素樹脂等の撥水性を有する弾性体からなるプレスローラ12は図示しないアーム部材にその両端を回転自在に支持されており、図示しないアーム部材は図示しない揺動手段によって揺動自在に支持されている。プレスローラ12はその周面が版胴11より離間する図1に示す離間位置と、その周面が版胴11上の分割製版済みマスタ14に圧接する圧接位置とを選択的に占める。プレスローラ12の周面近傍には、プレスローラ12の周面に接触してクリーニングを行うクリーニングローラ16が配設されている。クリーニングローラ16は、図示しない駆動手段によって回転駆動される。
【0019】
プレスローラ12の右方近傍には再給紙手段9から送られた表面印刷済みの用紙Pをプレスローラ12の周面に沿わせて搬送するための再給紙案内部材17が配設されており、プレスローラ12の下方には補助トレイ8上に貯留された用紙Pをプレスローラ12の周面に接触させて送り出す再給紙レジストローラ18が配設されている。プレスローラ12の左下方には上面に補助トレイ8を有する再給紙搬送ユニット19が配設されており、これには再給紙位置決め部材20が一体的に設けられている。再給紙搬送ユニット19の上方には、補助トレイ8の上面に沿って移動自在な用紙受け板21が配設されている。これら補助トレイ8、再給紙案内部材17、再給紙レジストローラ18、再給紙位置決め部材20、再給紙搬送ユニット19及び用紙受け板21によって再給紙手段9が構成されている。
【0020】
版胴11とプレスローラ12との接触位置の左方であって、用紙Pの搬送経路上には切替部材10が配設されている。切替部材10はその用紙搬送方向下流側端部を装置本体42に回動自在に支持されており、図示しない移動手段によって移動され、図1に実線で示す第1の位置と二点鎖線で示す第2の位置とを選択的に占める。版胴11とプレスローラ12との間を通過した用紙Pは、切替部材10が第1の位置を占めているときに排紙部6へと案内され、切替部材10が第2の位置を占めているときに補助トレイ8へと案内される。
【0021】
印刷部2の右上方には製版部3が配設されている。製版部3は、マスタ22をロール状に巻成したマスタロールを保持するマスタ保持部材23、プラテンローラ24、サーマルヘッド25、マスタ切断手段26、マスタストック部27、テンションローラ対28、反転ローラ対29等を有する周知の構成であり、製版部3では分割製版済みマスタ14が作成される。
【0022】
製版部3の下方には給紙部4が配設されている。給紙部4は、給紙トレイ43、給紙ローラ、分離ローラ、分離パッド、レジストローラ対等を有する周知の構成である。上面に多数の用紙Pを積載可能な給紙トレイ43は装置本体42に上下動自在に支持されており、図示しない昇降手段によって上下動される。筐体状をなす給紙トレイ43は、用紙Pの有無を検出する用紙有無検知手段としてのセンサ44をその内部に有しており、その上面には一対のサイドフェンスが配設されている。
【0023】
印刷部2の左上方に配設された排版部5は、上排版部材、下排版部材、排版ボックス、圧縮板等を有する周知の構成であり、使用済みの分割製版済みマスタ14を版胴11の外周面より剥離して排版ボックスの内部に廃棄する。
【0024】
排版部5の下方には排紙部6が配設されている。排紙部6は、剥離爪31、排紙搬送ユニット32、排紙トレイ33、剥離ファン34等を有している。剥離爪31は図示しない揺動手段によってその先端部が版胴11の外周面に対して近接・離間自在に設けられており、近接位置を占めた際に版胴11の外周面上より用紙Pを剥離する。排紙搬送ユニット32は、駆動ローラ、従動ローラ、無端ベルト、吸引ファン等を有しており、無端ベルトの上面に印刷済みの用紙Pを吸引しつつ図1の矢印方向に搬送する。排紙トレイ33は1個のエンドフェンスと一対のサイドフェンスとを有しており、その上面に印刷済みの用紙Pを積載する。排紙トレイ33には、印刷済みの用紙Pの有無を検出する排紙有無検知手段としてのセンサ45が設けられている。剥離ファン34は剥離爪31の上方に配設されており、版胴11の外周面に向けて送風を行うことにより表面印刷工程を終えて切替部材10によって版胴11の外周面上から剥離される用紙P、及び裏面印刷工程を終えて剥離爪31によって版胴11の外周面上から剥離される用紙Pの先端をそれぞれ送風によって浮き上がらせる。
【0025】
装置本体の上部には画像読取部7が配設されている。画像読取部7は、図示しないコンタクトガラス、コンタクトガラスに対して接離自在に設けられた図示しない圧板、原稿画像を走査して読み取るそれぞれ図示しない反射ミラー及び蛍光灯、走査された画像を集束する図示しないレンズ、集束された画像を処理する図示しない画像センサ等を有している。
【0026】
図2は、孔版印刷装置1の操作パネルを示している。同図において操作パネル15には、製版スタートキー35、印刷スタートキー36、クリア/ストップキー37、テンキー38、7セグメントLEDからなる表示装置39、表示手段としてのLCDからなる表示装置40、両面印刷を行う際に押下される両面印刷キー41、割り込み印刷を行う際に押下される割り込み印刷キー46、選択設定キー50等が配設されている。
【0027】
図3は、孔版印刷装置1に用いられる制御手段のブロック図である。同図において制御手段30は、内部にCPU47、ROM48、RAM49等を有するマイクロコンピュータであり、操作パネル15からの動作信号、センサ44,45を含む各種センサからの信号に基づいて印刷部2、製版部3、給紙部4、排版部5、排紙部6、画像読取部7、再給紙手段9、切替部材10の作動をそれぞれ制御する。ROM48には孔版印刷装置1の動作プログラムが記憶されていると共に、RAM49には各種数値や情報等が一時的に記憶され、CPU47はRAM49に記憶された数値や情報等及びROM48から呼び出された動作プログラムに基づいて孔版印刷装置1の動作制御を行う。またRAM49には、印刷動作中に割り込み印刷キー46が押下された際に実行中の印刷動作の残り印刷枚数等の印刷条件が記憶され、このときにRAM49は記憶手段として機能する。
【0028】
上述した孔版印刷装置1では、画像読取部7に原稿がセットされ製版スタートキー35が押下されることにより、排版部5が作動して排版動作が行われた後に製版部3が作動して製版動作が行われ、版胴11に製版済みマスタが巻装されて片面印刷待機状態となる。その後、印刷枚数が置数された後に印刷スタートキー36が押下されることにより、給紙部4より用紙Pが連続的に給送されて片面印刷動作が行われる。置数された印刷枚数に達すると片面印刷動作が完了して孔版印刷装置1は再び片面印刷待機状態となる。
【0029】
また、画像読取部7に原稿がセットされ両面印刷キー41が押下された後に製版スタートキー35が押下されることにより、排版部5が作動して排版動作が行われた後に製版部3が作動して製版動作が行われ、版胴11に分割製版済みマスタ14が巻装されて両面印刷待機状態となる。その後、印刷枚数が置数された後に印刷スタートキー36が押下されることにより、給紙部4より用紙Pが連続的に給送されて特開2003−200645号に開示された両面印刷装置と同様に両面印刷が行われる。
【0030】
本発明の特徴である割り込み印刷は、上述した印刷動作中に割り込み印刷キー46が押下されることにより行われる。以下、図4に示すフローチャートに基づいて説明する。
孔版印刷装置1が片面印刷動作中あるいは両面印刷動作中である場合に、印刷枚数等の各種印刷条件が設定された後に割り込み印刷キー46が押下されると(ST01)、現在印刷中の印刷動作が中断される(ST02)と共に現在印刷中の残り印刷枚数等の印刷条件がRAM49に記憶される(ST03)。その後、割り込み印刷が開始され(ST04)、割り込み印刷が完了すると(ST05)RAM49から記憶されている先の印刷条件が呼び出され(ST06)、中断された印刷動作が再開される(ST07)。
【0031】
上述の構成により、先行印刷として大量の印刷動作が行われている場合であっても印刷動作の完了を待つことなく割り込み印刷を行うことができるので、印刷作業効率を大幅に向上することができ、さらに先行印刷の印刷条件がRAM49に記憶されるので、印刷再開時における残り印刷枚数等の条件設定ミスを防止することができる。以下に、この割り込み印刷動作について詳述する。
【0032】
先ず第1の実施形態として、版胴11を交換せずに割り込み印刷動作を行う場合を図5に示すフローチャートに基づいて説明する。
孔版印刷装置1が片面印刷動作中あるいは両面印刷動作中である場合、この印刷動作に用いられた原稿の画像情報がRAM49に一時的に記憶されている(ST11)。この状態から印刷枚数等の各種印刷条件が設定された後に割り込み印刷キー46が押下されると(ST12)、現在印刷中の印刷動作が中断される(ST13)と共に現在印刷中の残り印刷枚数等の印刷条件及び一時記憶されている原稿の画像情報がRAM49に記憶される(ST14)。
【0033】
その後、排版部5が作動して版胴11の外周面上から前版のマスタ22が剥離されると共に割り込み印刷される原稿画像が製版部3においてマスタ22上に製版され、製版されたマスタ22が版胴11上に巻装された後に割り込み印刷が開始される(ST15)。そして、設定された印刷枚数が消化されると割り込み印刷が完了し(ST16)、RAM49から記憶されている先の印刷条件が呼び出される(ST17)と共に原稿画像情報が呼び出される(ST18)。
【0034】
その後、排版部5が作動して版胴11の外周面上から割り込み印刷に使用されたマスタ22が剥離されると共に、印刷を再開される前版の原稿画像が製版部3においてマスタ22上に製版され(ST19)、製版されたマスタ22が版胴11上に巻装された後に中断された印刷動作が再開される(ST20)。
【0035】
上述の構成により、版胴11を1つのみ有する場合であっても割り込み印刷を行うことができ、版胴11を複数所有することによるコストアップの問題及び保管場所の問題を考慮することなく印刷作業効率を大幅に向上することができる。
【0036】
次に第2の実施形態として、版胴11を交換して割り込み印刷動作を行う場合を図6に示すフローチャートに基づいて説明する。
孔版印刷装置1が片面印刷動作中あるいは両面印刷動作中である場合に、印刷枚数等の各種印刷条件が設定された後に割り込み印刷キー46が押下されると(ST21)、現在印刷中の印刷動作が中断される(ST22)と共に現在印刷中の残り印刷枚数等の印刷条件がRAM49に記憶される(ST23)。
【0037】
その後、操作パネル15上のLCD表示装置40に版胴11を交換する旨の表示がなされ、オペレータにより版胴11が交換された(ST24)後に割り込み印刷が開始され(ST25)、割り込み印刷が完了すると(ST26)LCD表示装置40に版胴11を再び元の版胴11に交換する旨の表示がなされる。オペレータにより版胴11が再度交換されて元の版胴11が装置本体42に装着されると(ST27)、RAM49から記憶されている先の印刷条件が呼び出され(ST28)、中断された印刷動作が再開される(ST29)。
上述の構成により、前版のマスタ22を排版することなく割り込み印刷を行うことができ、マスタ22によるコストアップを防止しつつ印刷作業効率を大幅に向上することができる。
【0038】
次に第3の実施形態として、版胴11を交換して割り込み印刷動作を行う場合であり、使用される各版胴11がそれぞれを識別するICタグを有すると共に孔版印刷装置1が警告を行うブザー等の警告手段を有し、版胴11が装置本体42に装着された際に版胴識別手段として機能する制御手段30が各版胴11のICタグを識別し、装着された版胴11が前版の版胴11とは異なる際に警告を行う場合の動作を図7に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0039】
孔版印刷装置1が片面印刷動作中あるいは両面印刷動作中である場合に、印刷枚数等の各種印刷条件が設定された後に割り込み印刷キー46が押下されると(ST31)、現在印刷中の印刷動作が中断される(ST32)と共に現在印刷中の残り印刷枚数等の印刷条件がRAM49に記憶される(ST33)。その後、装置本体42より取り外される版胴11のICタグ情報がRAM49に記憶される(ST34)と共にLCD表示装置40に版胴11を交換する旨の表示がなされ、オペレータにより版胴11が交換された(ST35)後に割り込み印刷が開始され(ST36)、割り込み印刷が完了すると(ST37)LCD表示装置40に版胴11を再び元の版胴11に交換する旨の表示がなされる。
【0040】
オペレータにより版胴11が再度交換されて版胴11が装置本体42に装着されると(ST38)、制御手段30は装着された版胴11のICタグ情報を認証し(ST39)、装着された版胴11が元の版胴11であるか否かの判断を行う(ST40)。ST40で元の版胴11であると判断された場合には、RAM49から記憶されている先の印刷条件が呼び出され(ST41)、中断された印刷動作が再開される(ST42)。ST40で元の版胴11ではないと判断された場合には、警告手段により警告が行われる(ST43)と共に中断された印刷動作の再開が中止され(ST44)、LCD表示装置40に版胴11を再び元の版胴11に交換する旨の表示がなされる。
【0041】
上述の構成により、割り込み印刷の実行前と実行後とにおいて装置本体42に対して版胴11を誤装着してしまうことが防止でき、印刷途中の版と異なる版での印刷再開を防止することができる。
【0042】
次に第4の実施形態として、第1の実施形態で示した版胴11を交換することなく割り込み印刷を行う形態(以下、第1の割り込み印刷という)と、第3の実施形態で示した版胴11を交換して割り込み印刷を行う形態(以下、第2の割り込み印刷という)とを選択可能である場合の動作を図8に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0043】
孔版印刷装置1が片面印刷動作中あるいは両面印刷動作中である場合、この印刷動作に用いられた原稿の画像情報がRAM49に一時的に記憶されている(ST51)。この状態から印刷枚数等の各種印刷条件が設定され、第1の割り込み印刷または第2の割り込み印刷の何れかが設定された後に割り込み印刷キー46が押下されると(ST52)、現在印刷中の印刷動作が中断される(ST53)と共に現在印刷中の残り印刷枚数等の印刷条件及び一時記憶されている原稿の画像情報がRAM49に記憶され(ST54)、さらに装置本体42より取り外される版胴11のICタグ情報がRAM49に記憶される(ST55)。本実施形態において、第1の割り込み印刷を行うか第2の割り込み印刷を行うかは選択設定キー50によって選択設定され、選択設定キー50が印刷設定手段として機能する。
【0044】
その後、制御手段30は第1の割り込み印刷が選択されたか第2の割り込み印刷が選択されたかを判断し(ST56)、第1の割り込み印刷であると判断すると、排版部5が作動して版胴11の外周面上から前版のマスタ22が剥離されると共に割り込み印刷される原稿画像が製版部3においてマスタ22上に製版され、製版されたマスタ22が版胴11上に巻装された後に割り込み印刷が開始される(ST57)。そして、設定された印刷枚数が消化されると割り込み印刷が完了し(ST58)、RAM49から記憶されている先の印刷条件が呼び出される(ST59)と共に原稿画像情報が呼び出される(ST60)。その後、排版部5が作動して版胴11の外周面上から割り込み印刷に使用されたマスタ22が剥離されると共に、印刷を再開される前版の原稿画像が製版部3においてマスタ22上に製版され(ST61)、製版されたマスタ22が版胴11上に巻装された後に中断された印刷動作が再開される(ST62)。
ST56において制御手段30が第2の割り込み印刷であると判断すると、LCD表示装置40に版胴11を交換する旨の表示がなされ、オペレータにより版胴11が交換された(ST63)後に割り込み印刷が開始され(ST64)、割り込み印刷が完了すると(ST65)LCD表示装置40に版胴11を再び元の版胴11に交換する旨の表示がなされる。
【0045】
オペレータにより版胴11が再度交換されて版胴11が装置本体42に装着されると(ST66)、制御手段30は装着された版胴11のICタグ情報を認証し(ST67)、装着された版胴11が元の版胴11であるか否かの判断を行う(ST68)。ST68で元の版胴11であると判断された場合には、RAM49から記憶されている先の印刷条件が呼び出され(ST69)、中断された印刷動作が再開される(ST70)。ST68で元の版胴11ではないと判断された場合には、警告手段により警告が行われる(ST71)と共に中断された印刷動作の再開が中止され(ST72)、LCD表示装置40に版胴11を再び元の版胴11に交換する旨の表示がなされる。
【0046】
上述の構成により、第1の割り込み印刷と第2の割り込み印刷とを選択可能であるので、版胴11を1つのみ有する場合であっても割り込み印刷を行うことができると共に、版胴11を複数有する場合にはコストダウンを図ることができ、印刷作業の作業効率を大幅に広げることができる。
【0047】
次に第5の実施形態として、第4の実施形態において割り込み印刷キー46が押下された際に、センサ44からの信号に基づいてオペレータに給紙トレイ43上の用紙Pの確認を促す場合の動作を図9に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0048】
この第5の実施形態における動作は、ST51〜ST55及びST56〜ST72は第4の実施形態と同様であり、ST55とST56との間に給紙トレイ43上の用紙確認を行う点においてのみ相違している。ST55において版胴11のICタグ情報がRAM49に記憶されると、給紙トレイ43上の用紙Pが交換されたか否かが判断される(ST73)。この判断は、センサ44からの信号が一度オフした後にオンした場合に用紙Pが交換されたと判断し、オンし続けている場合に用紙Pが交換されていないと判断する。用紙Pが交換されたと判断されると、割り込み印刷に用いられる用紙Pが給紙トレイ43上に載置されているものとしてST56に進む。
【0049】
ST73において、用紙Pが交換されていないと判断されると、LCD表示装置40に例えば「用紙サイズを確認してください」というような確認メッセージを表示する(ST74)。そして、給紙トレイ43に設けられた図示しない用紙サイズ検知センサにより用紙の交換が必要であるか否かが判断され(ST75)、用紙交換の必要がなければST56に進む。用紙の交換が必要であれば、オペレータにより用紙Pが交換された(ST76)後にST56に進む。
【0050】
上述の構成により、給紙トレイ43上に用紙Pが残っていた場合に、オペレータに用紙Pの確認を促すことができ、先の印刷と割り込み印刷とにおいて使用する用紙Pが異なる場合においても誤ったサイズあるいは種類の用紙Pに対して割り込み印刷を行うことが防止され、作業効率をさらに向上することができる。
【0051】
次に第6の実施形態として、第4の実施形態において割り込み印刷キー46が押下された際に、センサ45からの信号に基づいてオペレータに排紙トレイ33上の用紙Pの確認を促す場合の動作を図10に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0052】
この第6の実施形態における動作は、ST51〜ST55及びST56〜ST72は第4の実施形態と同様であり、ST55とST56との間に排紙トレイ33上の用紙確認を行う点においてのみ相違している。ST55において版胴11のICタグ情報がRAM49に記憶されると、排紙トレイ33上に用紙Pが載置されているか否かが判断される(ST77)。この判断は、センサ45からの信号がオンしている場合に用紙Pが載置されていると判断し、オフしている場合に用紙Pが載置されていないと判断する。用紙Pが載置されていないと判断されると、割り込み印刷された印刷済みの用紙Pのみが排紙トレイ33上に積載されるのでST56に進む。
【0053】
ST77において、排紙トレイ33上に用紙Pが載置されていると判断されると、LCD表示装置40に例えば「排紙トレイより用紙を取り除いてください」というような確認メッセージを表示する(ST78)。そして、オペレータの目視により排紙トレイ33上からの用紙Pの除去が必要であるか否かが判断され(ST79)、オペレータにより用紙Pが除去された(ST80)後にST56に進む。オペレータの判断により、排紙トレイ33上に積載されている用紙Pと割り込み印刷により排紙トレイ33上に排出される用紙Pとが混合してもかまわないと判断されると、用紙Pの除去が行われることなくST56に進む。
【0054】
上述の構成により、排紙トレイ33上に印刷済みの用紙Pが残っていた場合に、オペレータに印刷済みの用紙Pの確認を促すことができ、先の印刷により印刷された用紙Pと割り込み印刷により印刷された用紙Pとが混合してしまうことが防止され、作業効率をさらに向上することができる。
【0055】
次に第7の実施形態として、第4の実施形態において割り込み印刷キー46が押下された際に、各センサ44,45からの信号に基づいてオペレータに給紙トレイ43及び排紙トレイ33上の用紙Pの確認を促す場合の動作を図11に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0056】
この第7の実施形態における動作は、ST51〜ST55及びST56〜ST72は第4の実施形態と同様であり、ST55とST56との間に、第5の実施形態で示したST73〜ST76と第6の実施形態で示したST77〜ST80とを有する動作となっている。図11では、ST73〜ST76を行った後にST77〜ST80を行う構成としたが、ST77〜ST80を行った後にST73〜ST76を行う構成としてもよい。
上述の構成により、上述した第1ないし第6の実施形態における作用効果を全て得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の一実施形態を採用した両面印刷が可能な孔版印刷装置の概略正面図である。
【図2】本発明の一実施形態に用いられる操作パネルの概略図である。
【図3】本発明の一実施形態に用いられる制御手段のブロック図である。
【図4】本発明の動作を説明するフローチャートである。
【図5】本発明の第1の実施形態における動作を説明するフローチャートである。
【図6】本発明の第2の実施形態における動作を説明するフローチャートである。
【図7】本発明の第3の実施形態における動作を説明するフローチャートである。
【図8】本発明の第4の実施形態における動作を説明するフローチャートである。
【図9】本発明の第5の実施形態における動作を説明するフローチャートである。
【図10】本発明の第6の実施形態における動作を説明するフローチャートである。
【図11】本発明の第7の実施形態における動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0058】
1 孔版印刷装置
11 版胴
22 マスタ
30 版胴識別手段(制御手段)
33 排紙トレイ
40 表示手段(LCD表示装置)
42 装置本体
43 給紙トレイ
44 用紙有無検知手段(センサ)
45 排紙有無検知手段(センサ)
46 割り込み印刷キー
49 記憶手段(RAM)
50 印刷設定手段(選択設定キー)
P 用紙
【特許請求の範囲】
【請求項1】
版胴にマスタを巻装して印刷を行う孔版印刷装置において、
割り込み印刷を行う割り込み印刷キーと、装置の状態を記憶する記憶手段とを有し、印刷動作中に前記割り込み印刷キーが押下された際には、実行中の印刷動作を中断させると共に中断時における残り印刷枚数等の印刷条件を前記記憶手段に記憶させ、割り込み印刷完了後には前記記憶手段より前記印刷条件を呼び出して中断時の印刷動作を継続することを特徴とする孔版印刷装置。
【請求項2】
請求項1記載の孔版印刷装置において、
印刷動作中に前記割り込み印刷キーが押下された際には、実行中の印刷動作を中断させると共に中断時における前記印刷条件及び原稿画像情報を前記記憶手段に記憶させ、割り込み印刷完了後には前記版胴より割り込み印刷に用いたマスタを排版させた後に前記記憶手段に記憶された前記原稿画像情報に基づいて製版されたマスタを前記版胴に巻装し、前記記憶手段より前記印刷条件を呼び出して中断時の印刷動作を継続することを特徴とする孔版印刷装置。
【請求項3】
請求項1記載の孔版印刷装置において、
前記版胴が装置本体に対して着脱自在であると共に表示を行う表示手段を有し、印刷動作中に前記割り込み印刷キーが押下された際には、実行中の印刷動作を中断させると共に中断時における前記印刷条件を前記記憶手段に記憶させ、さらに前記版胴を割り込み印刷用の版胴に交換する旨の表示を前記表示手段に表示させ、割り込み印刷完了後には割り込み印刷用の版胴を前記版胴に交換する旨の表示装置本体前記表示手段に表示させると共に前記記憶手段より前記印刷条件を呼び出し、前記装置本体に前記版胴が装着された後に中断時の印刷動作を継続することを特徴とする孔版印刷装置。
【請求項4】
請求項3記載の孔版印刷装置において、
版胴を識別する版胴識別手段と、警告を行う警告手段を有し、割り込み印刷後に前記装置本体に装着された版胴を前記版胴識別手段により識別し、装着された版胴が前記版胴とは異なる場合には前記警告手段により警告を行うと共に印刷動作の開始を中止することを特徴とする孔版印刷装置。
【請求項5】
請求項1記載の孔版印刷装置において、
前記版胴が装置本体に対して着脱自在であると共に、表示を行う表示手段と、前記割り込み印刷として第1の割り込み印刷と第2の割り込み印刷とを設定する割り込み印刷設定手段とを有し、前記割り込み印刷設定手段により第1の割り込み印刷が設定された後、印刷動作中に前記割り込み印刷キーが押下された際には、実行中の印刷動作を中断させると共に中断時における前記印刷条件及び原稿画像情報を前記記憶手段に記憶させ、割り込み印刷完了後には前記版胴より割り込み印刷に用いたマスタを排版させた後に前記記憶手段に記憶された前記原稿画像情報に基づいて製版されたマスタを前記版胴に巻装し、前記記憶手段より前記印刷条件を呼び出して中断時の印刷動作を継続し、前記割り込み印刷設定手段により第2の割り込み印刷が設定された後、印刷動作中に前記割り込み印刷キーが押下された際には、実行中の印刷動作を中断させると共に中断時における前記印刷条件を前記記憶手段に記憶させ、さらに前記版胴を割り込み印刷用の版胴に交換する旨の表示を前記表示手段に表示させ、割り込み印刷完了後には割り込み印刷用の版胴を前記版胴に交換する旨の表示装置本体前記表示手段に表示させると共に前記記憶手段より前記印刷条件を呼び出し、前記装置本体に前記版胴が装着された後に中断時の印刷動作を継続することを特徴とする孔版印刷装置。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れか1つに記載の孔版印刷装置において、
印刷される用紙が積載される給紙トレイと、前記給紙トレイ上における用紙の有無を検知する用紙有無検知手段とを有し、印刷動作中に前記割り込み印刷キーが押下された際に前記用紙有無検知手段が用紙を検知した場合には、装置使用者に用紙の確認を促すことを特徴とする孔版印刷装置。
【請求項7】
請求項1ないし6の何れか1つに記載の孔版印刷装置において、
印刷済みの用紙が積載される排紙トレイと、前記排紙トレイ上における用紙の有無を検知する排紙有無検知手段とを有し、印刷動作中に前記割り込み印刷キーが押下された際に前記排紙有無検知手段が用紙を検知した場合には、装置使用者に用紙の確認を促すことを特徴とする孔版印刷装置。
【請求項1】
版胴にマスタを巻装して印刷を行う孔版印刷装置において、
割り込み印刷を行う割り込み印刷キーと、装置の状態を記憶する記憶手段とを有し、印刷動作中に前記割り込み印刷キーが押下された際には、実行中の印刷動作を中断させると共に中断時における残り印刷枚数等の印刷条件を前記記憶手段に記憶させ、割り込み印刷完了後には前記記憶手段より前記印刷条件を呼び出して中断時の印刷動作を継続することを特徴とする孔版印刷装置。
【請求項2】
請求項1記載の孔版印刷装置において、
印刷動作中に前記割り込み印刷キーが押下された際には、実行中の印刷動作を中断させると共に中断時における前記印刷条件及び原稿画像情報を前記記憶手段に記憶させ、割り込み印刷完了後には前記版胴より割り込み印刷に用いたマスタを排版させた後に前記記憶手段に記憶された前記原稿画像情報に基づいて製版されたマスタを前記版胴に巻装し、前記記憶手段より前記印刷条件を呼び出して中断時の印刷動作を継続することを特徴とする孔版印刷装置。
【請求項3】
請求項1記載の孔版印刷装置において、
前記版胴が装置本体に対して着脱自在であると共に表示を行う表示手段を有し、印刷動作中に前記割り込み印刷キーが押下された際には、実行中の印刷動作を中断させると共に中断時における前記印刷条件を前記記憶手段に記憶させ、さらに前記版胴を割り込み印刷用の版胴に交換する旨の表示を前記表示手段に表示させ、割り込み印刷完了後には割り込み印刷用の版胴を前記版胴に交換する旨の表示装置本体前記表示手段に表示させると共に前記記憶手段より前記印刷条件を呼び出し、前記装置本体に前記版胴が装着された後に中断時の印刷動作を継続することを特徴とする孔版印刷装置。
【請求項4】
請求項3記載の孔版印刷装置において、
版胴を識別する版胴識別手段と、警告を行う警告手段を有し、割り込み印刷後に前記装置本体に装着された版胴を前記版胴識別手段により識別し、装着された版胴が前記版胴とは異なる場合には前記警告手段により警告を行うと共に印刷動作の開始を中止することを特徴とする孔版印刷装置。
【請求項5】
請求項1記載の孔版印刷装置において、
前記版胴が装置本体に対して着脱自在であると共に、表示を行う表示手段と、前記割り込み印刷として第1の割り込み印刷と第2の割り込み印刷とを設定する割り込み印刷設定手段とを有し、前記割り込み印刷設定手段により第1の割り込み印刷が設定された後、印刷動作中に前記割り込み印刷キーが押下された際には、実行中の印刷動作を中断させると共に中断時における前記印刷条件及び原稿画像情報を前記記憶手段に記憶させ、割り込み印刷完了後には前記版胴より割り込み印刷に用いたマスタを排版させた後に前記記憶手段に記憶された前記原稿画像情報に基づいて製版されたマスタを前記版胴に巻装し、前記記憶手段より前記印刷条件を呼び出して中断時の印刷動作を継続し、前記割り込み印刷設定手段により第2の割り込み印刷が設定された後、印刷動作中に前記割り込み印刷キーが押下された際には、実行中の印刷動作を中断させると共に中断時における前記印刷条件を前記記憶手段に記憶させ、さらに前記版胴を割り込み印刷用の版胴に交換する旨の表示を前記表示手段に表示させ、割り込み印刷完了後には割り込み印刷用の版胴を前記版胴に交換する旨の表示装置本体前記表示手段に表示させると共に前記記憶手段より前記印刷条件を呼び出し、前記装置本体に前記版胴が装着された後に中断時の印刷動作を継続することを特徴とする孔版印刷装置。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れか1つに記載の孔版印刷装置において、
印刷される用紙が積載される給紙トレイと、前記給紙トレイ上における用紙の有無を検知する用紙有無検知手段とを有し、印刷動作中に前記割り込み印刷キーが押下された際に前記用紙有無検知手段が用紙を検知した場合には、装置使用者に用紙の確認を促すことを特徴とする孔版印刷装置。
【請求項7】
請求項1ないし6の何れか1つに記載の孔版印刷装置において、
印刷済みの用紙が積載される排紙トレイと、前記排紙トレイ上における用紙の有無を検知する排紙有無検知手段とを有し、印刷動作中に前記割り込み印刷キーが押下された際に前記排紙有無検知手段が用紙を検知した場合には、装置使用者に用紙の確認を促すことを特徴とする孔版印刷装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−137225(P2009−137225A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−318109(P2007−318109)
【出願日】平成19年12月10日(2007.12.10)
【出願人】(000221937)東北リコー株式会社 (509)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月10日(2007.12.10)
【出願人】(000221937)東北リコー株式会社 (509)
【Fターム(参考)】
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