説明

学習能力評価システム

【課題】ペーパーテストによる学力評価と質問紙による内観評価とを連動させ、それを学校独自の通知表や個人カルテに簡単に作成することのできる学習能力評価システムを提供する。
【解決手段】ペーパーテストにより得られた学力評価を行う学力評価手段3と、質問紙により得られた個人内評価を行う個人内評価手段4と、学力評価及び個人内評価を関連付けする関連付け手段5と、関連付け手段5によって関連付けされた学力評価及び個人内評価に基づいて総合評価を行う総合評価手段6と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータを用いて児童・生徒等の学習能力を評価し、その評価内容を成績表として出力する業務を効率的に実施することができる学習能力評価システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、小・中学校等の児童・生徒等に対する学習状況や日常行動の評価は、学期末に通知表や個人カルテといった成績表により提供されており、この成績表には、ペーパーテストによる学力評価と、児童・生徒の内観評価と、を総合的に評価した評価内容が含まれている。
【0003】
ペーパーテストによる学力評価は、教科内容の学習によって到達すべき学力目標が設定され、設定された学力目標に到達できたか否かの判定が可能なように、例えば、単元別観点別に問題が作成され、児童・生徒等がそのテストを行うことにより単元別観点別に教科内容に対する学習の到達度を計ることができるように構成されたペーパーテストによる。かかるペーパーテストは、学習教材図書出版社等が作成した所謂直販テストといわれるものや、教師自らが作成したものがある。
【0004】
児童・生徒の内観評価は、ペーパーテストで評価できない部分として、日常の発言、行動、作品等を評価する。内観評価は、基本的には教師による児童・生徒に対する評価であるが、近年では「自ら学ぶ意欲」や「思考力、判断力、表現力の育成」を重視し、児童・生徒の可能性を積極的に評価するという学習指導要領の下で、児童・生徒が主体的になって評価するものもあり、ペーパーテストによって評価できる知識、理解力や記憶力以外を評価するものである。また、内観評価には、「生活のきまりやめあてを守って行動しているか」「自分できめたことを根気よくやり通しているか」などの日常行動の評価も含まれており、上記同様にペーパーテストによって評価できる知識、理解力や記憶力以外を評価するものである。
【0005】
そして、これらの学力評価や内観評価の結果は、「学習のようす」や「行動のようす」といった項目に分けられて評価された成績表として児童・生徒等に提供される。
【0006】
「学習のようす」は、科目別観点別に評価をした図18乃至図25に示すように、観点名が列挙されて○つけ方式で評価されたもの(図18)、観点の説明文が列挙されてABC記入方式で評価されたもの(図19)、観点の説明文が列挙されて○つけ方式で評価されたもの(図20)、観点名及び観点の説明文が対応して列挙されてABC記入方式で評価されたもの(図21))など、種々の形式によって提供される。また、観点の評価項目を増やして、例えば、関心・意欲・態度の観点の評価内容を細分化してABC記入方式で評価されたもの(図22)、知識・理解の観点の評価内容を細分化してABC記入方式で評価されたもの(23)などによっても提供される。また、マトリックスによる○つけ方式によって単元・題材ごとに観点別評価をしたもの(図24)によっても提供される。
【0007】
「行動のようす」は、通常、教師による児童・生徒の観察、児童・生徒との面接、児童・生徒と親とを交えた三者面接等によって評価され、行動の記録として図25に示すような形式で提供される。
【0008】
このような成績表は、保護者や児童・生徒等に評価内容を伝えるために、教師が作成することになるが、作成作業は煩雑であるから、その効率化のために、児童・生徒の成績管理をコンピュータで集計・管理し、成績表をコンピュータから出力することが広まりつつある。例えば、学業成績とそこに至るプロセスを結合した成績表の作成をコンピュータを利用して省力化することができるシステムが存在する(特許文献1参照)。
【0009】
【特許文献1】特開2002−230242号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に記載のシステムは、出力できる資料の形式は予め設定されていることから、ユーザーが独自の形式に変更できるような配慮はない。
【0011】
従来の教育方法は概ね教育委員会ごとに一律に定められ、各学校は教育委員会ごとの一律の形式で成績表を作成すればよく、学校独自で成績表を作成することはごく少数であったため、学校独自の形式の成績表を作成する機能がなくても、不都合が生じることが少なかった。
【0012】
ところが、近年では、学校独自の教育カリキュラムによって特色ある教育課程を計画・実行する学校も多く、このような特色ある教育課程における学習能力の評価を適切に行うためには、学校独自の形式で自由に成績表を作成し、評価内容を記載する必要が生じてきた。
【0013】
特に、近年では、児童・生徒等自身が自らの学習状況を自分自身で確認・調整することの重要性を認識する視点から、「自ら学び自ら考える力をもった生きる力」を育むために、児童・生徒等が主体的に評価に参加する自己評価の作用に期待が高まっており、ペーパーテストとは別の質問紙(アンケート)法が多用されるようになってきているが、かかるアンケートの分析や成績との相関等の資料作成を学校独自に行わなければならず、多大な労力を必要とする。すなわち、ペーパーテストを実施するたびに、ペーパーテストの問題に対応したアンケートを作成して実施するのは、時間的にも労力的にも困難であり、実施できたとしても、回収したアンケートを基にして児童・生徒ごとの自己評価を読み取りながら、客観的評価を参照して学習能力を評価するのは非常に煩雑な作業である。また、地域規模や全国規模で行われる一斉の学力テストのように、その結果の集計や分析を外部の業者や教育委員会に一括で委託するのとは違い、学校現場においては、各学校においてペーパーテストの得点の集計やアンケートの分析、ペーパーテストとアンケートとの相関などを独自に行わなければならず、多大な労力を必要とする。
【0014】
そのため、せっかく学校独自で頻繁に児童・生徒のアンケートをとったにもかかわらず、単にその回答数の集計を出して全体の状況を把握するだけにとどまり、成績との相関関係を示し、個人内評価や自己評価に求められる「一人一人のよい点や可能性、進歩の状況などを評価」して、次の学習に役立たせるようなきめの細かい指導はできなかった。
【0015】
また、児童・生徒の評価は、通常観点別評価で行われ、各教科の学習の到達状況を複数の観点(「関心・意欲・態度」「思考・判断」「技能・表現」「知識・理解」の4観点)から分析的に見るが、これらの観点のうち「関心・意欲・態度」「思考・判断」は、ペーパーテストで判断することが難しく、「関心・意欲・態度」は児童・生徒の内面に関することであり、ペーパーテスト以外の日常的評価の他にアンケートによる自己評価が必要であるが、アンケートによる場合も質問作りに苦労するものである。
【0016】
さらに、アンケートによる児童・生徒自身の自己評価は、児童・生徒によっては、アンケートの用語の意味を理解できずに見当違いの答えをされたり、いい評価を得ようと型通りの答えをされたり、意図した反応しか得られなかったりという欠点もあり、これらの欠点の解消も課題となっていた。
【0017】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、その目的は、個人の学力評価と内観評価とを連動させ、それを学校独自の通知表や個人カルテに簡単に作成することのできる学習能力評価システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
以上のような課題を解決するために、本発明は、ペーパーテストによる学力評価と、質問紙による児童・生徒自身の内観評価と、を関連付けて総合的に学習能力を評価するとともに、その評価内容を載せた成績表の形式を、学校独自で簡単に自由に変更することができることを特徴とする。
【0019】
より具体的には、本発明は、以下のものを提供する。
【0020】
(1) ペーパーテストによる解答内容に従って入力された解答データに基づいて学力評価を行う学力評価手段と、質問紙による回答内容に従って入力された回答データに基づいて個人内評価を行う個人内評価手段と、前記学力評価手段及び前記個人内評価手段によってそれぞれ行われた学力評価及び個人内評価を関連付けする関連付け手段と、前記関連付け手段によって関連付けされた学力評価及び個人内評価に基づいて総合評価を行う総合評価手段と、を有することを特徴とする学習能力評価システム。
【0021】
上記構成を有する本発明によれば、ペーパーテストによる解答内容と質問紙による回答内容とを、学力評価及び個人内評価として自動的に関連付けすることができ、関連付けされた総合評価を得ることができることから、ペーパーテストと質問紙との相関に多大な労力を必要とすることなく、総合評価の提供によって、次の学習に役立たせるようなきめの細かい指導が可能となる。
【0022】
すなわち、ペーパーテストによる通常の学力評価と、ペーパーテストでは評価が難しい児童・生徒の内面に関する質問を行う質問紙による個人内評価と、によって総合評価する際に、関連付け手段によって関連付けされた学力評価及び個人内評価に基づいた客観的な評価を行うことができる。
【0023】
(2) 前記関連付け手段は、学力評価の評価項目と個人内評価の質問項目とを予め関連付けて設定しておくことにより関連付けが行われることを特徴とする学習能力評価システム。
【0024】
上記構成を有する本発明によれば、学力評価と個人内評価とはあらかじめ関連付けされていることから、ペーパーテストと質問紙との相関に多大な労力を必要とすることなく、総合評価の提供によって、次の学習に役立たせるようなきめの細かい指導が可能となる。
【0025】
(3) あらかじめ学力評価に関連付けされた個人内評価の質問項目に従って、質問紙による質問項目を作成する質問紙作成手段を有することを特徴とする学習能力評価システム。
【0026】
上記構成を有する本発明によれば、学力評価と個人内評価とはあらかじめ関連付けされており、学力評価に関連付けされた個人内評価の質問項目に従って質問紙を作成することで、ペーパーテストと質問紙との相関に多大な労力を必要とすることなく、総合評価の提供によって、次の学習に役立たせるような極めの細かい指導が可能となるような質問紙を提供することができる。また、このような質問紙の提供によって、適切な個人内評価が可能となることから、適切な総合評価をすることができる。
【0027】
(4) 前記学力評価手段による学力評価に基づいて、質問紙による質問項目を作成変更する質問紙作成手段を有することを特徴とする学習能力評価システム。
【0028】
上記構成を有する本発明によれば、学力評価に基づいた質問項目を新規に作成したり既存のものを変更することができることから、質問紙の用語の意味を理解できずに見当違いの答えをされたり、いい評価を得ようと型通りの答えをされたり、意図した反応しか得られなかったりという欠点を解消することができるような質問紙を提供することができる。また、このような質問紙の提供によって、より適切な個人内評価が可能となることから、より適切な総合評価をすることができる。
【0029】
すなわち、ペーパーテストによる学力評価と質問紙による個人内評価を得るにあたり、まず、ペーパーテストを実施して学力評価を得てから、学力評価に基づいた質問項目を作成変更することによって、児童・生徒の適応能力に応じた適切な質問項目の提供が可能となり、児童・生徒も質問項目への適切な回答が可能となる。
【0030】
(5) 成績表の様式を入力する様式入力手段と、入力された様式に則って、前記学力評価、前記個人内評価及び前記総合評価を出力する出力手段と、を有することを特徴とする学習能力評価システム。
【0031】
上記構成を有する本発明によれば、所望の様式に則って学力評価、個人内評価及び総合評価を出力することができ、適切な様式の成績表の作成を容易に行うことができることから、学校独自の成績表に簡単に作成することのできる学習能力評価システムを提供することができる。
【発明の効果】
【0032】
以上のように本発明は、学校現場で、パソコンを使って、簡単に個人内評価と連動した成績処理を行い、それを学校独自の形式・体裁による通知表や個人カルテに出力できる学習能力評価システムである。
【0033】
学校現場において、簡単に質問紙を作成でき、記入が終わった質問紙もパソコンの画面上で簡単に集計できる。さらに、集計結果は複数のグラフで出力でき、個人ごとに学力との相関を見ることができる。また、集計した質問紙の結果は、個人内評価として、通知表や個人カルテに自動的に掲載され、その結果に連動して、自動的に所見文が提示される。さらに、児童の教科ごとの成績は、単元ごと・観点ごとなどに集計され、その集計データをもとに、あらかじめ提示されたレイアウト(雛形)から選んで、自由に設定できるので、学校独自の通知表や個人カルテが簡単に作成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態に係る学習能力評価システムについて、図面をもとに説明する。
【0035】
[学習能力評価システムの概要]
図1は、本発明の実施の形態に係る学習能力評価システムの概要を示すブロック図である。
【0036】
学習能力評価システムは、入力手段1、記憶手段2、学力評価手段3、個人内評価手段4、関連付け手段5、総合評価手段6及び出力手段7を有し、各手段はバスにより接続され、それぞれの機能が実行される。
【0037】
入力手段1は、児童・生徒から得られたペーパーテストの解答や質問紙の回答等のデータを入力するためのものであり、入力の手段としては、キーボード1A、採点用ペン機器1B、入力用タブレット等1C、スキャナ等1Dの入力媒体が利用できるが、これら限定されるものではない。例えば、キーボードやマウスは主として本システムの制御情報を、採点用ペン機器1B,入力用タブレット1C,スキャナ1D等は主としてペーパーテストの解答内容を入力する際に使用される。また、入力の状態を確認するために、CRT,液晶モニタ等の表示機器1Eを接続することができる。
【0038】
記憶手段2は、入力手段1によって入力された入力データやその他の各種手段で得られたデータ(後述する解答データ、回答データ、総合評価データ等)を電子データとして記憶するものであり、記憶されて後の処理に備える。
【0039】
学力評価手段3は、記憶手段2に記憶されたペーパーテストの解答データを基にして、ペーパーテストの解答を評価するものであり、その処理内容については後述する。
【0040】
個人内評価手段4は、記憶手段2に記憶された質問紙の回答データを基にして、質問紙の回答を評価するものであり、その処理内容については後述する。
【0041】
関連付け手段5は、学力評価手段3によるペーパーテストの解答の評価及び個人内評価手段4による質問紙の回答の評価を関連付けするものであり、その処理内容については後述する。
【0042】
総合評価手段6は、関連付け手段5で関連付けられたペーパーテストの解答の評価及び質問紙の回答の評価を基にして総合評価を行い、総合評価データを生成するものであり、その処理内容については後述する。
【0043】
出力手段7は、記憶手段2に記憶された解答データ、回答データ、総合評価データを可視化するものであり、学力評価、個人内評価、総合評価をプリンタ7A等によって用紙に印刷したり、CRT7B等によって画面表示したり、あるいは表計算ファイル7C等によって出力したりされ、また、これらの手段だけに限定されるものではない。なお、出力手段7に接続される機器は、入力手段1に接続される入力の状態を確認するための機器と兼用することもできる。
【0044】
[学力評価]
図2は、本発明の実施の形態に係る学習能力評価システムの学力評価手段3の機能を説明するためのブロック図であり、これに従って学力評価手段3の構造を説明する。
【0045】
学力評価手段3は、入力手段1及び記憶手段2と接続されている。入力手段1は、入力部21F、表示部21H、入出力制御部21Gを有し、入力部21Fで受信された情報は入出力制御部21Gに送信され、表示部21Hや学力評価手段3に送信される。入力部21Fは、実施されたペーパーテストの解答がキーボード1A、採点用ペン機器1B、入力用タブレット等1C、スキャナ等1Dを利用して、解答データとしての入力を受け付ける。また、表示部21Hは、CRT,液晶モニタ等の表示機器1Eが接続されており、本システムの表示手段を提供し、後述する入力画面及び出力画面等のあらかじめ定義された各種の画面を可視表示する。
【0046】
入出力制御部21Gは、入力部21Fを通じて指令又は入力された内容を解釈してこれを学力評価手段3に与えるとともに、学力評価手段3から発せられる各種の表示指令を解釈して表示部21Hに対する表示制御を行うインターフェースとして機能する。
【0047】
学力評価手段3は、CPU,その動作を制御するアプリケーションプログラムを有していて、本システムの集計手段を提供する。入力部21Fを通じて指令又は入力された内容が入出力制御部21Gを介して与えられることによって記憶手段2とのやり取りを伴いながらアプリケーションシステムプログラムとしてあらかじめ記述された内容に従った演算処理ないし制御を実行する。
【0048】
記憶手段2は、メインメモリ(RAM)におかれる作業領域23Aと、ディスク装置(フロッピーディスク、ハードディスク又は光磁気ディスク等)等の二次記憶装置におかれるデータ記憶領域23Bと、画面定義記憶領域23Cと、を有している。
【0049】
作業領域23Aは、本システムの起動とともに学力評価手段3により確保されて、入力された解答データや演算結果等のデータが一時的に記憶される領域である。データ記憶領域23Bは、作業領域23Aに一時的に記憶されたデータについてセーブ要求があったときに、学力評価手段3による書き込み制御を通じてデータが半恒久的に記憶される領域である。画面定義記憶領域23Cは、本システムとして表示部21Hに表示すべき各種画面の画面定義情報があらかじめ記憶された領域である。
【0050】
データ記憶領域23Bは、「正答フラグ」,「誤答フラグ」,「部分点」の情報を格納する正誤情報データベース23B、問題ごとの配点を格納しておき、得点集計部22Bによって正答だけの配点情報が取り出されたり、正答及び誤答の配点情報が取り出される配点データベース23B、到達目標や評価項目の情報を格納する到達目標データベース23B、得点集計部22Bによって得られた問題ごとの得点や合計得点を格納する得点データベース23B、ペーパーテストの得点から評価を決定するための基準値を格納する評価基準値データベース23B、学力評価部22Cによって得られた評価を格納する評価データベース23Bを有する。
【0051】
図3は、本発明の実施の形態に係る学習能力評価システムの学力評価手段3の処理の流れを説明するためのフローチャートであり、図3(A)はペーパーテストの問題別の正誤情報を入力した場合、図3(B)はペーパーテストの観点別得点を入力した場合の処理である。以下、図2と図3に基づいて、処理の概要を説明する。
【0052】
[問題別の正誤情報を入力する場合]
問題別の正誤情報を入力する場合について(図3(A)参照)、例えばある単元でペーパーテストの実施を終了して(ステップS0)、教師が本システムを起動すると、学力評価手段3は、まず記憶手段2の作業領域23Aを確保し、次いで画面定義記憶領域23Cから初期画面を読み込んでこれを表示部21Hに接続された表示機器に表示する。その間、入力手段1の初期化が行われる(ステップS1)。その後、表示手段に「入力画面」が表示される(ステップS2)。
【0053】
次に、教師は採点用ペン機器1B等によって、ペーパーテストの1問ごとの解答情報を入力する。以下は、採点用ペン機器1Bを使用した場合の例であるが、これ以外にも、キーボードで入力する、解答の画像をスキャナで読み取りOCRで入力するなどが可能であり、入力方法を限定するものではない。
【0054】
まず、採点をする児童・生徒の出席番号と、採点する問題番号を選択する(ステップS3)。問題番号は、任意の番号を選択できるほか、1問の採点が終了すると同時に問題番号を1つ加算する、あらかじめ順序を登録しておくなどの方法で、一定の規則で自動的に変化させることができ、これにより採点処理の効率を上げることが可能となる。
【0055】
次に、問題の解答情報の入力を行う(ステップS4)。選択した問題の解答が正答であれば、採点用ペン機器1Bでペーパーテスト用紙に「○」印を記入すると、同時に本システムに「○」の解答データが入力される。正誤判定部22Aは「○」が入力された場合は正答と判定して(ステップS5)、記憶手段2の正誤情報データベース23Bの正誤情報記録領域に正答の情報として「正答フラグ」を生成して保存する(ステップS6)。一方、誤答であれば、採点用ペン機器1Bでペーパーテスト用紙に「/」印又は「×」印を記入すると、同時に本システムに「/」あるいは「×」の解答データが入力される。正誤判定部22Aは「/」又は「×」が入力された場合は誤答と判定して(ステップS5)、記憶手段2の正誤情報データベース23Bの正誤情報記録領域に誤答の情報として「誤答フラグ」を生成して保存する(ステップS6)。なお、入力手段1の機能によっては「△」又は部分点の入力も可能であり、その場合は正誤情報データベース23Bの正誤情報記録領域に部分点の情報が入力される。
【0056】
次に、記憶手段2から正答の配点を取得して(ステップS7)、正誤を得点化し(ステップS8)、得点化された点数を得点データとして記憶手段2に保存する(ステップS9)。具体的には、得点集計部22Bは、正誤情報データベース23Bと配点データベース23Bとを参照して正答,誤答の配点を取得し(ステップS7)、問題1問ごとに、正答の場合は配点を加算し、誤答の場合は加算しない、部分点の場合は部分点を加算する、という処理を行って得点を計算する(ステップS8)。さらに、問題1問ごとの得点や合算した得点を得点データとして得点データベース23Bに保存する(ステップS9)。
【0057】
次に、問題の解答情報の入力が終了したか否かを判断する(ステップS10)。具体的には、1問の解答情報の入力が終了した時点で、次の問題の解答情報を入力するか、終了するかを選択する。次の問題の解答情報の入力を選択した場合は、出席番号と問題番号の選択(ステップS3)に戻り処理を反復する。
【0058】
入力が終了すると、得点集計部22Bは到達目標データベース23Bから問題番号ごとにどの到達目標が関連付けられているかという情報を取得し(ステップS11)、得点データベース23Bに記憶された問題ごとの得点を、到達目標ごとに集計する(ステップS12)。
【0059】
次に、学力評価部22Cは、評価基準値データベース23Bから評価基準値を取得して(ステップS13)、得点データベース23Bに記憶された得点と比較して、学力評価を行なう(ステップS14)。例えば、3段階の評価A,B,Cがある場合、A評価の評価基準値は到達度80%以上、B評価の評価基準値は到達度60%以上80%未満、C評価の評価基準値は60%未満であるとすると、100点満点で得点が79点の場合は、A評価の評価基準値に達せずC評価の評価基準値は達しているため、B評価とする。
【0060】
最後に、学力評価部22Cは、評価を評価データベース23Bに保存して(ステップS15)、処理を終了する。
【0061】
[観点別の得点情報を入力する場合]
観点別の得点情報を入力する場合について(図3(B)参照)、例えばある単元でペーパーテストの実施を終了して(ステップS20)、教師が本システムを起動すると、学力評価手段3は、まず記憶手段2の作業領域23Aを確保し、次いで画面定義記憶領域23Cから初期画面を読み込んでこれを表示部21Hに接続された表示機器に表示する。その間、入力手段1の初期化が行われる(ステップS21)。その後、表示手段に「入力画面」が表示される(ステップS22)。
【0062】
次に、教師はキーボード1A等の入力手段で、ペーパーテストの観点ごとの得点情報を入力する。
【0063】
まず、入力をする児童・生徒の出席番号と、入力する観点を選択する(ステップS23)。これは任意の番号・観点を選択できるほか、1人の入力が終了すると同時に出席番号を加算する、あらかじめ観点の順序を登録しておくなどの方法で、一定の規則で自動的に変化させることができ、これにより採点処理の効率を上げることが可能となる。
【0064】
次に、教師が観点別の得点を入力すると(ステップS24)、学力評価部22Cは、記憶手段2の得点データベース23Bに得点データを保存する(ステップS25)。次に、学力評価部22Cは、評価基準値データベース23Bから評価基準値を取得して(ステップS26)、得点データベース23Bに記憶された得点と比較して、学力評価を行なう(ステップS27)。例えば、3段階の評価A,B,Cがある場合、A評価の評価基準値は到達度80%以上であるとすると、100点満点で得点が79点の場合はA評価の評価基準値に達しないためB評価とする。
【0065】
次に、学力評価部22Cは、評価を評価データベース23Bに保存する(ステップS28)。
【0066】
次に、観点別の得点の入力が終了したか否かを判断する(ステップS29)。具体的には、1人の1観点の情報の入力が終了した時点で、次の得点情報を入力するか、終了するかを選択する。次の得点の入力を選択した場合は、出席番号と観点の選択(ステップS23)に戻り処理を反復する。一方、終了すると選択した場合は、本サブルーチンを終了する。
【0067】
[質問紙の作成、処理]
図4は、本発明の実施の形態に係る学習能力評価システムにおいて、質問紙を作成し、回答された質問紙の処理の概略を説明するための図である。
【0068】
教師は、キーボード1A,スキャナ1D等から質問紙の質問項目、回答の選択肢など必要な項目を入力すると、その質問紙データが質問紙作成手段41に送信される。作成される質問紙データは、CRT1E等で質問紙の内容を確認しながら作業を行うことができる。質問紙の質問項目は教師が任意に設定することができるし、あらかじめ記憶手段2に記憶された質問項目を使用することもできる。作成した質問紙は記憶手段2に記憶して、後で内容の修正をして別の質問紙で再利用することもできる。
【0069】
このように、質問紙作成手段41によって作成された質問紙は、質問紙印刷手段42でプリンタ42A等によって、必要数の用紙に印刷することができる。図11は、作成、印刷した質問紙の例である。
【0070】
教師が質問紙を児童・生徒に配布して回答を記入させ、回収された質問紙の回答は、入力手段1に入力する。入力の方法は、キーボード1A等による入力や、スキャナ1D等で質問紙の画像を取込んでOCR処理するなどが考えられるが、方法は限定されない。
【0071】
入力された回答は、回答データとして記憶手段2に記憶され、さらに、個人内評価手段4で回答数が集計される。また、詳細は後述するが、個人内評価手段4で換算点換算されて集計され、評価基準値に基づいて評価される。回答と集計結果、評価は出力手段7によって可視化される。出力手段7による出力方法としては、プリンタ7A等によって用紙に印刷したり、CRT7B等によって画面表示したり、あるいは表計算ファイル7C等によって出力したりされ、また、これらの手段だけに限定されるものではない。なお、出力手段7に接続される機器は、入力手段1に接続される入力の状態を確認するための機器と兼用することもできる。このように、質問紙の作成から印刷、回答入力、回答集計、集計結果印刷までを一貫して処理することができる。
【0072】
[個人内評価]
図5は、本発明の実施の形態に係る学習能力評価システムの個人内評価手段4の機能を説明するためのブロック図であり、これに従って学力評価手段3の構造を説明する。
【0073】
個人内評価手段4は、入力手段1及び記憶手段2と接続されている。入力手段1の入出力制御部21Gは、入力部21Fを通じて指令又は入力された内容を解釈してこれを個人内評価手段4に与えるとともに、個人内評価手段4から発せられる各種の表示指令を解釈して表示部21Hに対する表示制御を行うインターフェースとして機能する。その他の入力手段1の構成は、図2を用いて説明したものと同様であるから、省略する。
【0074】
個人内評価手段4は、CPU,その動作を制御するアプリケーションプログラムを有していて、本システムの集計手段を提供する。入力部21Fを通じて指令又は入力された内容が入出力制御部21Gを介して与えられることによって記憶手段2とのやり取りを伴いながらアプリケーションシステムプログラムとしてあらかじめ記述された内容に従った演算処理ないし制御を実行する。
【0075】
記憶手段2は、メインメモリ(RAM)におかれる作業領域53Aと、ディスク装置(フロッピーディスク、ハードディスクまたは光磁気ディスク等)等の二次記憶装置におかれるデータ記憶領域53Bと、画面定義記憶領域53Cと、を有している。
【0076】
作業領域53Aは、本システムの起動とともに個人内評価手段4により確保されて、入力された回答データや演算結果等のデータが一時的に記憶される領域である。データ記憶領域53Bは、作業領域53Aに一時的に記憶されたデータについてセーブ要求があったときに、個人内評価手段4による書き込み制御を通じてデータが半恒久的に記憶される領域である。画面定義記憶領域53Cは、本システムとして表示部21Hに表示すべき各種画面の画面定義情報があらかじめ記憶された領域である。
【0077】
データ記憶領域53Bは、入力された質問紙の解答情報を格納する選択肢情報データベース53B、選択肢ごとに回答内容を点数換算するための換算点素点情報を格納する換算点素点データベース53B、質問ごとの到達目標や質問項目の情報を格納する到達目標データベース53B、換算点集計部52Bによって得られ質問ごとの換算点や合計点を格納する換算点データベース53B、質問の換算点から評価を決定するための基準値を格納する評価基準値データベース53B、個人内評価部52Cによって得られた評価を格納する個人内評価データベース53Bを有する。
【0078】
図6は、本発明の実施の形態に係る学習能力評価システムの個人内評価手段4の処理の流れを説明するためのフローチャートである。以下、図5と図6に基づいて、処理の概要を説明する。
【0079】
例えばある質問紙の実施を終了して(ステップS40)、教師が本システムを起動すると、個人内評価手段4は、まず記憶手段2の作業領域53Aを確保し、次いで画面定義記憶領域53Cから初期画面を読み込んでこれを表示部21Hに接続された表示機器に表示する。その間、入力手段1の初期化が行われる(ステップS41)。その後、表示機器に「入力画面」が表示される(ステップS42)。
【0080】
次に、教師はキーボード1A等によって、質問1問ごとの回答情報を入力する。以下は、キーボード1Aを使用した場合の例であるが、これ以外にも、回答の画像をスキャナで読み取りOCRで入力するなどが可能であり、入力手段を限定するものではない。
【0081】
まず採点をする児童・生徒の出席番号と、入力する質問番号を選択する(ステップS43)。番号は任意の番号を選択できるほか、1問の入力が終了すると同時に質問番号を1つ加算する、あらかじめ順序を登録しておくなどの方法で、一定の規則で自動的に変化させることができ、これにより採点処理の効率を上げることが可能となる。
【0082】
次に、質問紙の解答情報の入力を行う(ステップS44)。選択した問題の回答の選択肢番号をキーボード等で入力すると、選択肢判定部52Aは記憶手段2の選択肢情報データベース53Bの選択肢情報記録領域に選択肢番号を記録することで、回答データを保存する(ステップS45)。
【0083】
次に、記憶手段2から回答の換算点を取得して(ステップS46)、回答を換算点化し(ステップS47)、換算点化された点数を換算点データとして記憶手段2に保存する(ステップS48)。具体的には、換算点集計部52Bは、選択肢情報データベース53Bと換算点素点データベース53Bを参照して選択枝ごとの回答の換算点を取得し(ステップS46)、回答一問ごとに換算点への変換を行う(ステップS47)。さらに、回答1問ごとの換算点や合計得点を得点データとして換算点データベース53Bに保存する(ステップS48)。
【0084】
次に、質問の回答情報の入力が終了したか否かを判断する(ステップS49)。具体的には、1問の回答情報の入力が終了した時点で、次の質問の回答情報を入力するか、終了するかを選択する。次の質問の回答情報の入力を選択した場合は、出席番号と質問番号の選択(ステップS43)に戻り処理を反復する。
【0085】
次の質問の回答情報の入力の終了を選択した場合は、換算点集計部52Bは到達目標データベース53Bから質問番号ごとにどの到達目標が関連付けられているかという情報を取得し(ステップS50)、換算点データベース53Bに記憶された質問ごとの換算点を、到達目標ごとに集計する(ステップS51)。
【0086】
次に、個人内評価部52Cは、評価基準値データベース53Bから評価基準値を取得して(ステップS)52)、換算点データベース53Bに記憶された換算点と比較して、換算点の評価を行なう(ステップS53)。例えば、3段階の評価A,B,Cがある場合、A評価の評価基準値は80点以上であるとすると、換算点が79点の場合はA評価の評価基準値に達しないため、B評価とする。
【0087】
最後に、個人内評価部52Cは、評価を評価データベース53Bに保存して(ステップS54)、処理を終了する。
【0088】
[関連付け、総合評価]
図7は、本発明の実施の形態に係る学習能力評価システムの学力評価と個人内評価の評価項目の関連付けの状態を説明するための図である。
【0089】
図7(A)は、学習した単元の到達目標ごとに関連付けした学力評価と個人内評価とを比較する方法を示す。あらかじめ設定された単元の到達目標ごとに、学力評価の識別番号と個人内評価の識別番号とを設定しておき、これらの識別番号が一致しているものを関連付けすることができる。例えば、「1桁×1桁のかけ算ができる」という到達目標に識別番号「001」を、「2桁×1桁のかけ算ができる」という到達目標に識別番号「002」を、「2桁×2桁のかけ算ができる」という到達目標に識別番号「003」を、それぞれ割り当てて、これらが記憶手段2の到達目標データベース23B,53B,83Dに記憶されている場合に、学力評価の識別番号と個人内評価の識別番号とが一致しているものを関連付けする。
【0090】
図7(B)は、学習した単元の観点ごとに関連付けした学力評価と個人内評価とを比較する方法を示す。あらかじめ設定された単元の観点ごとに、学力評価の識別番号と個人内評価の識別番号とを設定しておき、これらの識別番号が一致しているものを関連付けすることができる。例えば、「考え方」という単元に識別番号「001」を、「表現・処理」という到達目標に識別番号「002」を、「知識・理解」という到達目標に識別番号「003」を、それぞれ割り当てて、これらが記憶手段2の到達目標データベース23B,53B,83Dに記憶されている場合に、学力評価の識別番号と個人内評価の識別番号とが一致しているものを関連付けする。
【0091】
図7(C)は、学習した単元ごとに任意の評価項目と質問項目とを設定して関連付けをする方法である。単元ごとに、学力評価の評価項目の識別番号と個人内評価の質問項目の識別番号とを設定しておき、これらの識別番号が一致又は同等のものを関連付けすることができる。例えば、「部分積の繰り上がりなし」という評価項目に識別番号「A01」を、「部分積に繰り上がりあり」という評価項目に識別番号「B01」を、「部分積の和に繰り上がりあり」という評価項目に識別番号「C01」を、それぞれ割り当てて、これらが記憶手段2の到達目標データベース23Bに記憶されている。また、「九九は全部言えますか?」という質問項目に識別番号「A02」を、「くり上がりのあるたしざんはとくいですか?」という質問項目に識別番号「B02」を、というようにそれぞれ割り当てて、これらが記憶手段2の到達目標データベース53Bに記憶されている。この場合に、評価項目の識別番号「A01」と質問項目の識別番号「A02」とは同等であるとして、これらを関連付けする。なお、「部分積に繰り上がりがないかけざんはとくいですか?」という質問項目に識別番号「A01」を割り当てて、これを質問項目として採用して回答を求めた場合には、評価項目の識別番号「A01」と質問項目の識別番号「A01」とは一致であるとして、これらを関連付けすることができる。
【0092】
以上のようにして、ペーパーテストで得られた学力評価と質問紙で得られた個人内評価とを関連付けすることができる。なお、関連付けはこれらに限定されるものではなく、学力評価と個人内評価から得られる全ての情報が関連付けの対象になる。例えば、起床時刻や朝食の有無などの生活習慣から得られる個人内評価と、学力評価と、を関連付けして、これを総合評価の対象にすることもできる。
【0093】
図8は、本発明の実施の形態に係る学習能力評価システムの関連付け手段5及び総合評価手段6の機能を説明するためのブロック図である。
【0094】
総合評価手段6は、入力手段1、記憶手段2及び関連付け手段5と接続されている。入力手段1の入出力制御部21Gは、入力部21Fを通じて指令又は入力された内容を解釈してこれを総合評価手段6に与えるとともに、総合評価手段6から発せられる各種の表示指令を解釈して表示部21Hに対する表示制御を行うインターフェースとして機能する。その他の入力手段1の構成は、図2を用いて説明したものと同様であるから、省略する。
【0095】
総合評価手段6は、CPU,その動作を制御するアプリケーションプログラムを有している。総合評価手段6が有する総合評価部82Aは、ペーパーテストの評価及び質問紙の個人内評価を基にして、関連付けされた評価項目の総合評価を行う。
【0096】
記憶手段2は、メインメモリ(RAM)におかれる作業領域83Aと、ディスク装置(フロッピーディスク、ハードディスクまたは光磁気ディスク等)等の二次記憶装置におかれるデータ記憶領域と、画面定義記憶領域83Fと、を有している。
【0097】
データ記憶領域は、学力評価手段3で学力評価部22Cが使用する評価データベース23B(図2参照)と同一である評価データベース83B、個人内評価手段4で個人内評価部52Cが使用する個人内評価データベース53B(図5参照)と同一である個人内評価データベース83C、到達目標データベース23B,53Bと同一である到達目標データベース83D、総合評価部82Aによる総合評価に応じた適切な診断文を格納する診断文データベース83E、総合評価部82Aによる総合評価データを格納する総合評価データベース83Fを有する。
【0098】
図9は、本発明の実施の形態に係る学習能力評価システムの総合評価手段6の処理の流れを説明するためのフローチャートである。以下、図8と図9に基づいて、処理の概要を説明する。
【0099】
本システムを起動すると、総合評価手段6は、まず記憶手段2の作業領域83Aを確保し、次いで画面定義記憶領域83Fから初期画面を読み込んでこれを表示部21Hに接続された表示機器に表示する。その間、総合評価手段6の初期化が行われる(ステップS61)。その後、表示機器に「入力画面」が表示される(ステップS62)。
【0100】
次に、教師はキーボード1A等によって、児童・生徒の出席番号を選択する(ステップS63)。出席番号は、任意の番号を選択できるほか、一人の処理が終了すると同時に出席番号を1つ加算する、あらかじめ順序を登録しておくなどの方法で、一定の規則で自動的に変化させることができ、これにより処理の効率を上げることが可能となる。
【0101】
次に、総合評価部82Aは、記憶手段2の評価データベース83Bから、その児童・生徒の学力評価情報を取得して、作業領域83Aに一時的に保存する(ステップS64)。そして、総合評価部82Aは、記憶手段2の個人内評価データベース83Cから、その児童・生徒の個人内評価情報を取得して、作業領域83Aに一時的に保存する(ステップS65)。
【0102】
次に、評価項目関連付部84Aは到達目標データベース83Dから、あらかじめ到達目標ごとに関連付けされたペーパーテストの問題番号と質問紙の質問番号を取得する(ステップS66)。なお、関連付けは、問題番号と質問番号との関連付けに限らず、前述したように、任意の評価項目に割り当てた識別番号と任意の質問項目に割り当てた識別番号とが一致するか否か又は同等であるか否かを判断することによっても行うことができる。
【0103】
次に、評価項目関連付部84Aは、互いに関連付けがされた学力評価と個人内評価と総合評価部82Aに渡し、総合評価部82Aはそれらを比較し(ステップS67)、それらの組み合わせに応じた総合評価を出力して(ステップS68)、総合評価データベース83Fに保存する(ステップS69)。なお、総合評価として診断文を出力する場合には、診断文データベース83Eから適切な診断文を取得して総合評価として出力し(ステップS68)、総合評価データベース83Fに保存する(ステップS69)。
【0104】
最後に、一人の総合評価が終了した時点で、次の児童・生徒の総合評価を処理するか、終了するかを選択する(ステップS70)。入力終了を選択した場合は、処理を終了する(ステップS71)。一方、次の児童・生徒の総合評価の処理を選択した場合は、出席番号の選択(ステップS63)に処理を戻して反復する。
【0105】
総合評価部82Aにおいて行われる学力評価と個人内評価とを比較して、総合評価を出力する処理(ステップS67〜S68)について、総合評価の方法の例として図12(A)が考えられる。具体的には、学力評価と個人内評価がそれぞれA,B,Cの3段階で評価される場合の組み合わせは9通り存在し、それぞれの場合によって、異なる総合評価が可能になる。なお、組み合わせはこの方法に限定されるものではなく、評価の段階数は任意に決めることができる。
【0106】
この組み合わせの場合ごとに、診断文を診断文データベース83Dに記憶させておき、児童・生徒ごとの総合評価の診断文を作成して総合評価データベース83Fに保存する。図12(B)は、図7(C)の任意の評価項目と質問項目によって診断文を作成した場合の例である。
【0107】
このように、ペーパーテストによる学力評価と、質問紙による個人内評価とを組み合わせた総合評価ができると、更に精度の高い学習評価が可能になる。客観的評価の項目に対応した適切な質問を設定することで、児童・生徒の内面まで踏み込んだ、学習のつまずきの診断と治療に役立ち、教育上の高い効果が期待できる。
【0108】
例えば、小学校5年の「小数のかけ算とわり算」の単元で、「小数のわり算ができる」というめあて(到達目標)を測定するばあい、ペーパーテストで、高い到達度を得ていたとしても(例えば、到達度A)、児童・生徒の内面を質問紙によって問うてみて、「小数のわり算についてよく分かっていない」という回答があるとすると(例えば、到達度C)、この児童・生徒はたまたまペーパーテストができていたのか、あるいは、ペーパーテストはできていても、まだ本当の学力が定着していないということになる。この場合、児童・生徒にさらに学習に対する自信をつけさせるか、あるいは定着させるためのさらなる指導が必要であることがわかってくるので、そのような診断文を作成することで、教育上の高い効果が期待できる。
【0109】
[成績表の作成・出力]
図10は、本発明の実施の形態に係る学習能力評価システムの成績表の作成・出力の機能を説明するためのブロック図である。
【0110】
様式入力手段101は、キーボード1A、入力用タブレット等1C、スキャナ等1Dなどを利用して、通知表や個人カルテ等の定められた様式を入力して、教師が入力した情報を受け付けて処理するものであり、図14に示す様式入力画面のように、レイアウトツール104Aを用いて、キーボードやマウスを利用してレイアウト画面140Bに様式を入力する。また、評価などのデータ項目140Cを選択して、キーボードやマウスを使用してレイアウト画面140Bに配置することができる。
【0111】
様式記憶手段102は、記憶手段2の様式記憶データベース105Bに様式の情報を保存する。様式記憶データベース105Bに保存できる様式の情報は一つだけではなく、複数の様式の情報を記憶できる。
【0112】
様式選択手段103は、様式記憶データベース105Bに保存されている様式の情報から、所望の様式の選択を受け付けるものであり、図15に示す様式選択画面のように、CRT1E等に様式記憶データベース105Bに保存された複数の様式の情報が表示され、この中から使用したい様式を選択することができる。
【0113】
通知表出力手段104は、記憶手段2の評価データベース105C、個人内評価データベース105D、総合評価データベース105E、到達目標データベース105F、更には所見データベース105Gに保存された各種情報を取得して、通知表を出力する手段である。選択した様式に従って、学力評価、個人内評価及び総合評価を出力(印刷)することができる。ここで、評価データベース105C、個人内評価データベース105D、総合評価データベース105E、到達目標データベース105Fは、評価データベース23B、個人内評価データベース53B、総合評価データベース83F、到達目標データベース23B,53Bと同一である。また、所見データベース105Gは、出欠席情報や学習態度についての所見の情報を格納する。
【0114】
すなわち、通知表出力手段104は、作業領域105Aに保存した様式の情報に従って、評価、個人内評価、総合評価、および出欠席情報や学習態度についての所見などの情報を組み合わせて出力する。学力評価、個人内評価、到達目標は、関連付け手段5で関連付けがされている範囲内で、どのような組み合わせも可能である。図16は、学力評価と個人内評価の組み合わせた様式の例を説明するための図であり、(A)は単元の到達目標ごと整理した例、(B)は単元の問題ごとの到達目標で整理した例、(C)は教科の観点の到達目標で整理した例、(D)は観点ごとに単元の到達目標で整理した例、(E)は単元ごとに観点の到達目標で整理した例、(F)は単元と観点をマトリクス形式で整理した例である。
【0115】
図13は、本発明の実施の形態に係る学習能力評価システムの成績表の作成・出力の処理の流れを示すフローチャートである。以下、図10と図13に基づいて、処理の概要を説明する。
【0116】
本システムを起動すると、様式入力手段101は、まず記憶手段2の作業領域105Aを確保し、次いで画面定義記憶領域105Hから初期画面を読み込んでこれを表示機器に表示する。その間、様式入力手段101の初期化が行われる(ステップS81)。その後、表示機器に「入力画面」が表示される(ステップS82)。
【0117】
次に、教師はキーボード1A等によって、通知表の様式の情報を入力すると、入力した様式の情報が様式入力手段101に送信される。通知表の様式は学校ごとに定めることができ、決まった形式はないが、記載する情報は、教科ごとの学力評価、個人内評価、総合評価、診断文のほか、学習態度についての教師の所見、家庭への連絡、出欠の状況などが含まれる。CRT1E等に表示される入力画面を参照して、これらの記載する情報と表示する位置を指定することで、様式の情報を入力することができる。なお、入力は、キーボード1Aやマウス以外にも紙に作成した様式の画像をスキャナ1Dで読み取るなどが可能であり、限定するものではない。
【0118】
入力した様式の情報は、記憶手段2の様式記憶データベース105Bに保存される(ステップS84)。
【0119】
次に、保存された様式から一つを選択する。まず、様式選択手段103が記憶手段2の作業領域105Aを確保し、次いで画面定義記憶領域105Hから初期画面を読み込んで初期化し(ステップS85)、CRT1E等に「様式選択画面」が表示される(ステップS86)。
【0120】
様式選択画面には、様式記憶データベース105Bに保存された複数の様式の情報が表示され、この中から使用したい様式を選択すると、様式選択手段103は様式記憶データベース105Bから、選択された様式の情報を取得して作業領域105Aに保存する(ステップS87)。
【0121】
次に、通知表出力手段104は、まず記憶手段2の作業領域105Aを確保し、ついで画面定義記憶領域105Hから初期画面を読み込んで初期化し(ステップS88)、CRT1E等に「印刷指示画面」が表示される(ステップS89)。教師は印刷指示画面で、印刷をする児童・生徒の出席番号を選択する(ステップS90)。これは任意の番号を選択できるほか、一人の入力が終了すると同時に出席番号を1つ加算する、あらかじめ順序を登録しておくなどの方法で、一定の規則で自動的に変化させることができ、これにより処理の効率を上げることが可能となる。
【0122】
次に、通知表出力手段104は、評価データベース105C、個人内評価データベース105D及び総合評価データベース105Eから、その児童・生徒の評価、個人内評価及び総合評価をそれぞれ取得して作業領域105Aに保存する(ステップS91)。また、出欠席情報や学習態度についての所見も通知表に出力する場合は、所見データベース105Gから、所見データを取得して作業領域105Aに保存することができる。
【0123】
次に、通知表出力手段104は、所定の様式に従ってこれらの情報を可視化する(ステップS92)。プリンタ7A等によって用紙に印刷されるが、CRT7B等による画面表示の場合もあり、あるいは表計算ファイル7C等に出力される場合もあり、またこれらの手段だけに限定されるものではない。
【0124】
最後に、通知表の出力が終了した時点で、次の出席番号の通知表を出力するか、終了するかを選択する(ステップS93)。次の出席番号の通知表の出力を選択した場合は、出席番号の選択(ステップS90)に戻り処理を反復する。一方、終了すると選択した場合は、本サブルーチンを終了する。
【0125】
[質問紙作成]
図17は、本発明の実施の形態に係る学習能力評価システムの質問紙作成手段171の機能を説明するための図であり、図17(A)は、そのブロック図、図17(B)は、質問項目データベース172Cのデータ構造の例を示す図である。
【0126】
質問紙作成手段41は、記憶手段2と接続されており、CPU,その動作を制御するアプリケーションプログラムを有している。
【0127】
記憶手段2は、評価データベース172A、到達目標データベース172B、質問項目データベース172Cを有しており、評価データベース172Aは、学力評価手段3の学力評価部22Cが使用する評価データベース23Bと、到達目標データベース172Bは、学力評価手段3の得点集計部22Bが使用する到達目標データベース23Bと、同じである。
【0128】
質問紙の質問項目はキーボード等から任意に入力できるほか、あらかじめ記憶手段2に保存したものを使用できる。あらかじめ学力評価の到達目標と関連付けした質問項目を記憶しておき、これを質問紙に使用することで、学力評価と個人内評価の関連付けが容易に可能になる。
【0129】
また、児童・生徒の学力評価に応じて、適切な質問項目を設定することができる。これは、学力評価が先にされ、個人内評価を後から行う場合に、個人内評価の質問項目を学力評価の評価値に従って自動的に変更することで、児童・生徒の理解度、学力に応じた質問を行うことができる。すなわち、学力評価が良くない学力の低い児童・生徒は、質問項目そのものが正しく理解できない可能性があるので、到達目標ごとに学力評価に関連付けた複数の質問項目を記憶手段2に保存して用意しておき、適切な質問項目を選択して質問紙に使用することで、見当違いの答えをされることを防ぐことができる。一方、学力評価が良い学力の高い児童・生徒は、一般的な質問では、いい評価を得ようと型通りの答えをしたり、意図した反応しか得られないこともあるので、適切な質問項目を選択して質問紙に使用することで、これらを防ぐことができる。
【産業上の利用可能性】
【0130】
本発明に係る学習能力評価システムは、学校現場で、パソコンを使って、簡単に個人内評価と連動した成績処理を行い、それを学校独自の形式・体裁による通知表や個人カルテに出力できるものとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】学習能力評価システムの概要を示すブロック図。
【図2】学習能力評価システムの学力評価手段の機能を説明するためのブロック図。
【図3】学習能力評価システムの学力評価手段の処理の流れを説明するためのフローチャート。
【図4】学習能力評価システムにおいて、質問紙を作成し、回答された質問紙の処理の概略を説明するための図。
【図5】学習能力評価システムの個人内評価手段の機能を説明するためのブロック図。
【図6】学習能力評価システムの個人内評価手段の処理の流れを説明するためのフローチャート。
【図7】学習能力評価システムの学力評価と個人内評価の評価項目の関連付けの状態を説明するための図。
【図8】学習能力評価システムの関連付け手段及び総合評価手段の機能を説明するためのブロック図。
【図9】学習能力評価システムの総合評価手段の処理の流れを説明するためのフローチャート。
【図10】学習能力評価システムの成績表の作成・出力の機能を説明するためのブロック図。
【図11】質問紙の例を示す図。
【図12】総合評価の方法の例を示す図。
【図13】学習能力評価システムの成績表の作成・出力の処理の流れを示すフローチャート。
【図14】様式入力画面の例を示す図。
【図15】様式選択画面の例を示す図。
【図16】学力評価と個人内評価の組み合わせた様式の例を説明するための図。
【図17】学習能力評価システムの質問紙作成手段の機能を説明するための図。
【図18】通知表の例を示す図。
【図19】通知表の例を示す図。
【図20】通知表の例を示す図。
【図21】通知表の例を示す図。
【図22】通知表の例を示す図。
【図23】通知表の例を示す図。
【図24】通知表の例を示す図。
【図25】通知表の例を示す図。
【符号の説明】
【0132】
2 記憶手段
3 学力評価手段
4 個人内評価手段
5 関連付け手段
6 総合評価手段
7 出力手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペーパーテストによる解答内容に従って入力された解答データに基づいて学力評価を行う学力評価手段と、
質問紙による回答内容に従って入力された回答データに基づいて個人内評価を行う個人内評価手段と、
前記学力評価手段及び前記個人内評価手段によってそれぞれ行われた学力評価及び個人内評価を関連付けする関連付け手段と、
前記関連付け手段によって関連付けされた学力評価及び個人内評価に基づいて総合評価を行う総合評価手段と、
を有することを特徴とする学習能力評価システム。
【請求項2】
前記関連付け手段は、学力評価の評価項目と個人内評価の質問項目とを予め関連付けて設定しておくことにより関連付けが行われることを特徴とする請求項1記載の学習能力評価システム。
【請求項3】
あらかじめ学力評価に関連付けされた個人内評価の質問項目に従って、質問紙による質問項目を作成する質問紙作成手段を有することを特徴とする請求項1又は2記載の学習能力評価システム。
【請求項4】
前記学力評価手段による学力評価に基づいて、質問紙による質問項目を作成変更する質問紙作成手段を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか記載の学習能力評価システム。
【請求項5】
成績表の様式を入力する様式入力手段と、入力された様式に則って、前記学力評価、前記個人内評価及び前記総合評価を出力する出力手段と、を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか記載の学習能力評価システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図14】
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【図15】
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