説明

安全スイッチ

【課題】施錠機構の保持管理に面倒を掛けないようにすると共に、部品点数が少なく、コストを低減することができる。
【解決手段】作業ロボットRのメンテナンスを行なうために、作業者がスライダー26のハンドル30を引き、このスライダー26を後退させることで、スライダー嵌合部37を嵌合孔部15より抜き出すと共に、アクチュエータ33をドアスイッチ20の操作部33から抜き出す。この場合、錠前16の鍵穴16aに挿入した鍵18を90°回転させ、干渉用突起部17Aを縦方向に向けて、スライダー嵌合部37の嵌合孔部15への嵌合を阻止する。この状態の場合でのみ、鍵18を錠前16の鍵穴16aから外すことができるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業ロボット等の機械が設置された作業領域内への出入口を開閉する開閉扉の開放を検知して、機械の駆動を停止させる安全スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
作業ロボットのような機械の駆動範囲付近をフェンス等で取り囲んで周囲の安全を確保した作業領域がある。このような作業領域の出入口の開閉扉には、内部に入った作業者等の安全を確保するため、開閉扉の開放を検知して、機械を停止させる安全スイッチが取り付けられている。
【0003】
従来、この種の安全スイッチとして、例えば、開閉扉が閉止されるとアクチュエータを安全スイッチ本体に挿入させて作業ロボットを動作可能とするが、開閉扉が開放されるとアクチュエータを安全スイッチ本体から抜き去って機械を停止させる構造となっている(特許文献1参照)。
【0004】
このような安全スイッチに対して、作業領域内に作業者が残っている場合に誤って開閉扉が閉止されても機械が動作してしまうことのないように、アクチュエータを安全スイッチ本体側へ突出させない格納状態にロックして、単に開閉扉が閉まってもアクチュエータが安全スイッチ本体に挿入出来ないようにする構造のものが開発されている。
【0005】
この種の安全スイッチとしては、開閉扉に設けられるアクチュエータと、この開閉扉が作業領域の出入口を閉じた際にアクチュエータと相対する位置に設けられてアクチュエータが挿入される挿入口と、この挿入口に挿入されるアクチュエータと係合可能に構成され、且つこの係合状態にあるアクチュエータが挿入口より退出移動することによりその係合状態が解除されるよう構成された係合手段とを有する安全スイッチ本体と、挿入口を閉塞する閉塞位置と挿入口を開口させる開放位置との間で回動する閉塞片と、この閉塞片を閉塞位置に係止する施錠機構(南京錠)を備えたものがある(特許文献2参照)。
【0006】
この安全スイッチにおいて、安全スイッチ本体の挿入口が閉塞片で閉塞されると、アクチュエータの安全スイッチ本体内への進入が規制される。これにより、誤って開閉扉を閉じてしまった場合でもアクチュエータと安全スイッチ本体とが係合して機械が誤って動作可能になることを防止できるし、施錠機構に施錠を行うことで閉塞片を確実に閉塞位置に固定できる。
【特許文献1】特開平10−302580号公報
【特許文献2】特開2004−353849号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記した従来の安全スイッチにあっては、アクチュエータの安全スイッチ本体内への進入を規制するために、安全スイッチ本体の挿入口を閉塞片で閉塞する必要があり、また、閉塞片を確実に閉塞位置に固定するために、施錠機構で施錠を行うようにしており、挿入口を閉塞する閉塞位置と挿入口を開口させる開放位置との間で回動する閉塞片と、この閉塞片を閉塞位置に係止する施錠機構(南京錠)が必要になって、閉塞片による挿入口の開放状態においては、施錠機構は当該作業者が持ち歩いたり、適当な保管場所に保管しておくことになり、保持管理が面倒となって、しかもいざ施錠機構が必要なときに保管場所や保管者がわからないために使用できない等の不便さが内在するものであるといえ、また、安全スイッチとしての部品点数が多く、コスト高になることも生起する。
【0008】
本発明は上記の点に鑑み、施錠機構の保持管理に面倒を掛けないようにすると共に、部品点数が少なく、コストを低減することができる安全スイッチを提供することを解決すべき課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明に係る安全スイッチは、機械が設置された作業領域の出入口を開閉する開閉扉に設けられるアクチュエータと、前記出入口の縁部に設けられて、前記開閉扉が前記出入口を閉じた際に、前記アクチュエータの操作部への進入に応じてスイッチ部の接続接点が切り換わり前記機械を運転可能な状態にするドアスイッチを備えた安全スイッチであって、前記アクチュエータを保持して前記ドアスイッチ側に往復動し、前記アクチュエータの前記操作部への進入及び前記操作部からの抜き出しを行なうスライダーと、鍵操作によりスライダー移動阻止部材を制御する錠前とを一体構成としたスライドキー手段とを有して構成し、該スライドキー手段が、前記錠前を鍵操作することによって前記スライダー移動阻止部材で前記スライダーの移動を阻止する移動阻止とこの移動阻止の解除とを選択するように構成としたものである。
【0010】
かかる構成により、機械のメンテナンスを行なうために、作業者が作業領域内に進入しようとする場合には、機械への電源供給を遮断して開閉扉を開放可能状態にする。そして、作業者がスライダーを後退させることで、アクチュエータを操作部から抜き出す。この場合、スライドキー手段は、錠前を鍵操作してスライダー移動阻止部材でスライダーの移動を阻止してアクチュエータの操作部への進入を阻むことができる。
【0011】
このように、スライダーを後退させて、アクチュエータを操作部から抜き出した場合に、スライドキー手段によりスライダーの移動を阻止してアクチュエータの操作部への進入を阻むことができ、ドアスイッチが作動できず機械が稼働できなくなることにより、作業者の安全が確保できる。
【0012】
したがって、本発明に係る安全スイッチの場合、作業領域内に作業者が残っている場合に誤って開閉扉が閉止されても機械が動作してしまうことのないように、アクチュエータの移動を阻止するために、従来の安全スイッチが必要とした閉塞片と、この閉塞片を閉塞位置に係止する施錠機構(南京錠)が不要になって、安全スイッチとして部品点数が少なく、コストを低減することができる。
【0013】
また、本発明に係る安全スイッチにおけるスライドキー手段は、上記した本発明に係る安全スイッチにおいて、前記移動阻止状態でのみ前記錠前から前記鍵を外すことを可能にする構成としたものである。
【0014】
従って、本発明に係る安全スイッチの場合、スライダキー手段の進入阻止状態(スライダーの移動阻止状態)でのみ錠前から鍵の抜き出しを可能にするものであるために、鍵を錠前の鍵穴から外すことができる。
【0015】
また、スライダーを後退させて、アクチュエータの操作部への進入を阻止した場合のみ錠前から鍵の抜き出しを可能にするものであるために、誤って鍵を持ち去ることが無くなる。
【0016】
また、本発明に係る安全スイッチは、上記した本発明に係る安全スイッチにおいて、スライダーは、その先部にスライダー嵌合部を有しており、スライドキー手段は、ドアスイッチ側に設けられ且つ嵌合孔部を有するガイドと、このガイドに設けられた錠前とを有しており、この錠前は、その可動部でスライダー移動阻止部材としてのスライドロックを回転可能に保持していて、錠前の鍵穴に挿入した鍵の所定量の回転操作でスライドロックを嵌合孔部内において回転させて嵌合孔部の形状を変えて、スライダー嵌合部の嵌合孔部への嵌合と、この嵌合の阻止を選択し、且つスライダー嵌合部の嵌合阻止の場合にのみ鍵の抜き出しを可能にするものである。
【0017】
かかる構成により、作業領域において、開閉扉を閉じて機械を動作させる場合には、錠前の鍵穴に挿入した鍵を所定角度(例えば、90度)回転させることにより、スライドロックを嵌合孔部内において所定角度(例えば、90度)回転させて嵌合孔部の形状を変えて、スライダー嵌合部の嵌合孔部へ嵌合を可能にする。そして、開閉扉を閉じて出入口を塞ぎ、スライダーを移動(前進)させることで、スライダー嵌合部を嵌合孔部に嵌合させると共に、アクチュエータをドアスイッチの操作部に進入させる。これによりスイッチ部の接続接点が切り換わり機械を運転可能な状態にすると共に、開閉扉を開けられないように機械的にロックするようになる。
【0018】
この場合、スライドキー手段は、スライダー嵌合部の嵌合阻止の場合にのみ鍵の抜き出しを可能にするものであるために、鍵を錠前から外すことが出来ない。
【0019】
機械のメンテナンスを行なうために、作業者が作業領域内に進入しようとする場合には、機械への電源供給を遮断しロックを解除して開閉扉を開放可能状態にする。そして、作業者がスライダーを後退させることで、アクチュエータを操作部から抜き出す。この場合、スライダー嵌合部の嵌合阻止の場合にのみ鍵の抜き出しを可能にするものであるために、鍵を錠前の鍵穴から外すことができる。
【0020】
このように、スライダーを後退させて、アクチュエータを操作部から抜き出した場合に、スライドキー手段によりスライダーの移動を阻止してアクチュエータの操作部への進入を阻むことができ、ドアスイッチが作動できず機械が稼働できなくなることにより、作業者の安全が確保できる。また、スライダーを後退させて、アクチュエータの操作部への進入を阻止した場合のみ錠前から鍵の抜き出しを可能にするものであるために、誤って鍵を持ち去ることが無くなる。
【0021】
したがって、本発明に係る安全スイッチでは、作業領域内に作業者が残っている場合に誤って開閉扉が閉止されても機械が動作してしまうことのないように、アクチュエータの移動を阻止するために、従来の安全装置が必要とした閉塞片と、この閉塞片を閉塞位置に係止する施錠機構(南京錠)が不要になって、安全スイッチとして部品点数が少なく、コストを低減することができる。
【0022】
また、本発明に係る安全スイッチは、上記した本発明に係る安全スイッチにおいて、スライダー嵌合部にスライダー移動方向に沿う干渉用突起挿入部を形成し、スライドロックに干渉用突起部を設けて、スライダー嵌合部の嵌合孔部への嵌合時に、干渉用突起部を干渉用突起挿入部内に位置させてスライドロックの回転を阻止し、鍵の引き抜きを不可能にするようにしたものである。
【0023】
かかる構成により、作業領域において、開閉扉を閉じて機械を動作させる場合には、錠前の鍵穴に挿入した鍵を所定角度(例えば、90度)回転させることにより、スライドロックを嵌合孔部内において所定角度(例えば、90度)回転させて、干渉用突起部を、例えば、横方向に向けると、干渉用突起部はスライダー嵌合部の干渉用突起挿入部に干渉せず、その嵌合を可能にする。
【0024】
そして、開閉扉を閉じて出入口を塞ぎ、スライダーを移動(前進)させることで、アクチュエータをドアスイッチの操作部に進入させるが、この場合、錠前の鍵穴に挿入した鍵を回転させようとしても、スライドロックの干渉用突起部が干渉用突起挿入部内にあって、干渉用突起挿入部の側壁部に干渉して回転させることができず、鍵を錠前から外すことが出来ない。
【0025】
また、機械のメンテナンスを行なう場合に、作業者がスライダーを後退させることで、アクチュエータをドアスイッチの操作部から抜き出し、錠前の鍵穴に挿入した鍵を逆に所定角度(例えば、90度)回転させ、干渉用突起部を縦方向に向けて、スライダー嵌合部の嵌合孔部への嵌合を阻止する。この状態で、鍵を錠前の鍵穴から外すことができる。
【0026】
このように、スライダーを後退させて、スライダー嵌合部を嵌合穴部より抜き出した場合に、鍵を逆に所定角度(例えば、90度)回転して錠前の鍵穴から外すことで、ドアスイッチが作動できず機械が稼働できなくなることにより、作業者の安全が確保できる。また、スライダーを後退させて、スライダー嵌合部を嵌合穴部より抜き出した場合にのみ、鍵を錠前の鍵穴から外すことが可能であるために、誤って鍵を持ち去ることが無くなる。
【0027】
また、本発明に係る安全スイッチは、上記した本発明に係る安全スイッチにおいて、スライダーはスライドベースにスライダー移動方向に移動可能に保持されており、スライドキー手段は、スライダーに設けた錠前と、この錠前が有する可動部に連結したスライダー移動阻止部材としてのロックレバーと、スライドベースに設けられてロックレバーが係脱可能に係合するレバー係合部を備えており、錠前は、その鍵穴に挿入した鍵の所定量の回転操作でロックレバーを回転させて、このロックレバーをレバー係合部に係脱可能に係合させて行なうスライダーのロックと、このロックの解除を選択し、且つスライダーのロックの場合にのみ鍵の抜き出しを可能にするものである。
【0028】
かかる構成により、作業領域において、開閉扉を閉じて機械を動作させる場合には、鍵を錠前の鍵穴に差し込み、鍵を、所定角度(例えば、90度)回転させることによりロックレバーを回動させて、このロックレバーの先部をレバー係合部より外してスライダーのロックを解除する。そして、開閉扉を閉じて出入口を塞ぎ、スライダーを移動(前進)させることで、アクチュエータをドアスイッチの操作部に進入させる。これによりスイッチ部の接続接点が切り換わり機械を運転可能な状態にすると共に、開閉扉を開けられないように機械的にロックするようになる。この場合、スライダーのロックの場合にのみ鍵の抜き出しを可能にするものであるために、鍵を錠前から外すことが出来ない。
【0029】
また、機械のメンテナンスを行なうために、作業者が作業領域内に進入しようとする場合には、機械への電源供給を遮断しロックを解除して開閉扉を開放可能状態にする。そして、作業者がスライダーを後退させることで、アクチュエータをドアスイッチの操作部から抜き出す。この場合、錠前の鍵穴に挿入した鍵を逆に所定角度(例えば、90度)回転させ、ロックレバーを回動させてレバー係合部に係合して、スライダーをロックする。この状態で、鍵を錠前の鍵穴から外すことができる。
【0030】
このように、スライダーを後退させて、アクチュエータをドアスイッチの操作部から抜き出した場合に、鍵を逆に所定角度(例えば、90度)回転して錠前の鍵穴から外すことで、ドアスイッチが作動できず機械が稼働できなくなることにより、作業者の安全が確保できる。また、スライダーを後退させて、アクチュエータをドアスイッチの操作部から抜き出した場合にのみ、鍵を錠前の鍵穴から外すことが可能であるために、誤って鍵を持ち去ることが無くなる。
【0031】
したがって、本発明に係る安全スイッチの場合、作業領域内に作業者が残っている場合に誤って開閉扉が閉止されても機械が動作してしまうことのないように、アクチュエータの移動を阻止するために、従来の安全装置が必要とした閉塞片と、この閉塞片を閉塞位置に係止する施錠機構(南京錠)が不要になって、安全スイッチとして部品点数が少なく、コストを低減することができる。
【0032】
また、本発明に係る安全スイッチは、上記した本発明に係る安全スイッチにおいて、スライドベースにスライダー移動方向に沿うスライド用凹部を設けて、このスライド用凹部の側面側にレバー係合部を連ね、スライダーの背面に凹部を設けて、この凹部内にロックレバーを位置させ、スライド用凹部にスライダーを移動可能に挿入して、スライドベースにスライダーを保持させ、スライダーの移動によるアクチュエータの操作部への進入時に、ロックレバーをスライド用凹部内に位置させてロックレバーの回転を阻止し、鍵の引き抜きを不可能にするようにしたものである。
【0033】
かかる構成により、作業領域において、開閉扉を閉じて機械を動作させる場合には、鍵を錠前の鍵穴に差し込み、鍵を、所定角度(例えば、90度)回転させることによりロックレバーを回動させて、このロックレバーの先部をレバー係合部より外してスライダーのロックを解除し、開閉扉を閉じて出入口を塞ぎ、スライダーを移動(前進)させることで、アクチュエータをドアスイッチの操作部に進入させるが、この場合、錠前の鍵穴に挿入した鍵を回転させようとしても、ロックレバーがスライド用凹部内にあって、回転させることができず、鍵を錠前から外すことがない。
【0034】
また、機械のメンテナンスを行なう場合に、作業者がスライダーを後退させることで、アクチュエータをドアスイッチの操作部から抜き出し、錠前の鍵穴に挿入した鍵を逆に所定角度(例えば、90度)回転させ、ロックレバーを回動させてレバー係合部に係合してスライダーをロックする。この状態で、鍵を錠前の鍵穴から外すことができる。
【0035】
このように、スライダーを後退させて、アクチュエータをドアスイッチの操作部から抜き出した場合に、鍵を逆に所定角度(例えば、90度)回転して錠前の鍵穴から外すことで、ドアスイッチが作動できず機械が稼働できなくなることにより、作業者の安全が確保できる。また、スライダーを後退させて、アクチュエータをドアスイッチの操作部から抜き出した場合にのみ、鍵を錠前の鍵穴から外すことが可能であるために、誤って鍵を持ち去ることが無くなる。
【0036】
また、本発明に係る安全スイッチは、上記した本発明に係る安全スイッチにおいて、スライダーはスライドベースにスライダー移動方向に移動可能に保持されており、スライドキー手段は、スライドベースに設けた錠前と、この錠前が有する可動部に連結したスライダー移動阻止部材としてのロックレバーと、スライダーに設けられてロックレバーが係脱可能に係合するレバー係合部を備えており、錠前は、その鍵穴に挿入した鍵の所定量の回転操作でロックレバーを回転させて、このロックレバーをレバー係合部に係脱可能に係合させて行なうスライダーのロックと、このロックの解除を選択し、且つスライダーのロックの場合にのみ鍵の抜き出しを可能にするものである。
【0037】
かかる構成により、作業領域において、開閉扉を閉じて機械を動作させる場合には、鍵を錠前の鍵穴に差し込み、鍵を所定角度(例えば、90度)回転させることによりロックレバーを回動させて、このロックレバーの先部をレバー係合部より外してスライダーのロックを解除する。そして、開閉扉を閉じて出入口を塞ぎ、スライダーを移動(前進)させることで、アクチュエータをドアスイッチの操作部に進入させる。
【0038】
これによりスイッチ部の接続接点が切り換わり機械を運転可能な状態にすると共に、開閉扉を開けられないように機械的にロックするようになる。この場合、スライダーのロックの場合にのみ鍵の抜き出しを可能にするものであるために、鍵を錠前から外すことが出来ない。
【0039】
また、機械のメンテナンスを行なうために、作業者が作業領域内に進入しようとする場合には、機械への電源供給を遮断しロックを解除して開閉扉を開放可能状態にする。そして、作業者がスライダーを後退させることで、アクチュエータをドアスイッチの操作部から抜き出す。この場合、錠前の鍵穴に挿入した鍵を逆に所定角度(例えば、90度)回転させ、ロックレバーを回動させてレバー係合部に係合して、スライダーをロックする。この状態で、鍵を錠前の鍵穴から外すことができる。
【0040】
このように、スライダーを後退させて、アクチュエータをドアスイッチの操作部から抜き出した場合に、鍵を逆に所定角度(例えば、90度)回転して錠前の鍵穴から外すことで、ドアスイッチが作動できず機械が稼働できなくなることにより、作業者の安全が確保できる。また、スライダーを後退させて、アクチュエータをドアスイッチの操作部から抜き出した場合にのみ、鍵を錠前の鍵穴から外すことが可能であるために、誤って鍵を持ち去ることが無くなる。
【0041】
したがって、本発明に係る安全スイッチの場合、作業領域内に作業者が残っている場合に誤って開閉扉が閉止されても機械が動作してしまうことのないように、アクチュエータの移動を阻止するために、従来の安全装置が必要とした閉塞片と、この閉塞片を閉塞位置に係止する施錠機構(南京錠)が不要になって、安全スイッチとして部品点数が少なく、コストを低減することができる。
【0042】
また、本発明に係る安全スイッチは、上記した本発明に係る安全スイッチにおいて、スライドベースにスライダー移動方向に沿うスライド用凹部を設けて、スライド用凹部にスライダーを移動可能に挿入して、スライドベースにスライダーを保持させ、スライドベースに錠前取付部を形成して、この錠前取付部の内部にレバー収容部を設け、錠前取付部に錠前を取付けて、ロックレバーをレバー収容部内に収容して、ロックレバーをレバー係合部から外してスライダーの移動によるアクチュエータの操作部への進入時に、ロックレバーをスライダーに干渉させてロックレバーの回転を阻止し、鍵の引き抜きを不可能にするようにしたものである。
【0043】
かかる構成により、作業領域において、開閉扉を閉じて機械を動作させる場合には、鍵を錠前の鍵穴に差し込み、鍵を、所定角度(例えば、90度)回転させることによりロックレバーを回動させて、このロックレバーの先部をレバー係合部より外してスライダーのロックを解除し、開閉扉を閉じて出入口を塞ぎ、スライダーを移動(前進)させることで、アクチュエータをドアスイッチの操作部に進入させるが、この場合、錠前の鍵穴に挿入した鍵を回転させようとしても、ロックレバーがスライダーに干渉してロックレバーを回転させることができず、鍵を錠前から外すことが出来ない。
【0044】
また、機械のメンテナンスを行なう場合に、作業者がスライダーを後退させることで、アクチュエータをドアスイッチの操作部から抜き出し、錠前の鍵穴に挿入した鍵を逆に所定角度(例えば、90度)回転させ、ロックレバーを回動させてレバー係合部に係合してスライダーをロックする。この状態で、鍵を錠前の鍵穴から外すことができる。
【0045】
このように、スライダーを後退させて、アクチュエータをドアスイッチの操作部から抜き出した場合に、鍵を逆に所定角度(例えば、90度)回転して錠前の鍵穴から外すことで、ドアスイッチが作動できず機械が稼働できなくなることにより、作業者の安全が確保できる。また、スライダーを後退させて、アクチュエータをドアスイッチの操作部から抜き出した場合にのみ、鍵を錠前の鍵穴から外すことが可能であるために、誤って鍵を持ち去ることが無くなる。
【発明の効果】
【0046】
本発明に係る安全スイッチによれば、スライダーを後退させて、アクチュエータを操作部から抜き出した場合に、スライドキー手段によりスライダーの移動を阻止してアクチュエータの操作部への進入を阻むことができ、ドアスイッチが作動できず機械が稼働できなくなることにより、作業者の安全が確保できる。
【0047】
したがって、作業領域内に作業者が残っている場合に誤って開閉扉が閉止されても機械が動作してしまうことのないように、アクチュエータの移動を阻止するために、従来の安全装置が必要とした閉塞片と、この閉塞片を閉塞位置に係止する施錠機構(南京錠)が不要になって、安全スイッチとして部品点数が少なく、コストを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
本発明の実施形態について説明する。
【0049】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1を図1乃至図11に基づいて説明する。
【0050】
図1において符号Sは作業領域を示している。この作業領域Sは機械である作業ロボットRの駆動範囲付近をフェンスFで取り囲んで周囲の安全を確保したものであり、フェンスFの出入口にはヒンジ式の開閉扉Dが設けてある。そして、図1において符号10は本発明の安全スイッチを示している。
【0051】
この安全スイッチ10は、図2に示すように、出入口の縁部を形成する支柱Pに設けられたドアスイッチユニット11と、開閉扉Dに設けられたスライダーユニット12を備え、ドアスイッチユニット11とスライダーユニット12とは開閉扉Dが閉じた状態で対向するように配設してある。
【0052】
ドアスイッチユニット11は、短冊状のベース13を有しており、このベース13の上、下端部には取付穴13aが設けてある。また、ベース13の上部にはスライドキー手段であるスライドキー機構Kが設けてある。このスライドキー機構Kはベース13に形成されたガイド14を有しており、このガイド14は、図5に示すように、上面部14aと側面部14bと下面部14cとを有するコ字形状を成しており、このガイド14とベース13とで、スライダー移動方向である水平方向に抜ける嵌合孔部15を形成している。この嵌合孔部15は、上面部14aの内面に形成された上側案内溝部15aと下面部14cの内面に形成された下側案内溝部15bを有している。
【0053】
ガイド14の側面部14bには錠前16が固定してある。この錠前16は、図5及び図8に示すように、その可動部16Aでスライダー移動阻止部材であるスライドロック17を回転可能に保持していて、このスライドロック17は、その下端部に干渉用突起部17Aを有している。そして、錠前16は、その鍵穴16aに挿入した鍵18を90°回転させることによりスライドロック17を嵌合孔部15内において90°回転させることができるものであり、このスライドロック17の回転で嵌合孔部15の形状は、後述するスライダー嵌合部37の嵌合を阻止する形状と嵌合を許す形状に変化する。
【0054】
この場合、図3に示すように、鍵18の板状の操作部18Aが縦方向に位置した状態では、図9に示すように、干渉用突起部17Aは縦方向に向いていて、スライダー嵌合部37の嵌合孔部15への嵌合は阻止されるし、また、図4及び図10に示すように、鍵18の操作部18Aが横方向に向くように、当該鍵18を90度回転させて、スライドロック17を90度回転すると、図5に示すように、干渉用突起部17Aは横方向に向き、嵌合孔部15が嵌合可能状態になり、図11に示すように、スライダー嵌合部37の嵌合孔部15への嵌合が可能になる。
【0055】
上記したように、スライドロック17の干渉用突起部17Aが縦方向に向いていて、スライダー嵌合部37の嵌合孔部15への嵌合が阻止された状態では、鍵18を錠前16の鍵穴16aから引き抜くことは可能であるが、ライダー嵌合部37が嵌合孔部15に嵌合された状態では、図11に示すように、干渉用突起部17Aがスライダー嵌合部37の一対の凸条部36A間に位置するために、スライドロック17を回転させることができず、鍵18を錠前16の鍵穴16aから引き抜くことは不可能である。
【0056】
また、図2に示すように、ベース13にはドアスイッチ20が固定してある。このドアスイッチ20は、後述するアクチュエータ33が操作部22に進入し、これに応じてスイッチ部の操作ロッド(いずれも図示せず)が移動することにより接続接点が切り換わるように構成されていると共に、その操作部22に進入したアクチュエータ33の抜けを自動的かつ機械的に阻止するロック機構(図示せず)を備えたスイッチである。
【0057】
すなわち、アクチュエータ33が操作部22に進入し、これにより接点ブロック(図示せず)の可動接点が切り換わる構造のスイッチであって、このような切り換わり動作で回路接続が主回路(産業機械への電源供給回路)側へと切り換わって作業ロボットRが運転可能な状態となると共に、ロック機構がアクチュエータ33に対し自動的にロックする、つまり開閉扉Dを開けられないように機械的にロックするようになっている。一方、作業ロボットRへの電源供給を遮断するように操作されたときに、その作動オフ信号により、ソレノイド(図示せず)が励磁してロック機構によるロックを解除し、開閉扉Dを開放可能状態にする構成になっている。
【0058】
なお、ドアスイッチユニット11は、ベース13に設けた取付穴13aを用いて固着部材(図示せず)により出入口の縁部に相当する支柱Pに固定してある。
【0059】
スライダーユニット12は、図2に示すように、スライドベース25と、このスライドベース25上をスライドするスライダー26を備えている。スライドベース25は、図6に示すように、その表面の中央部にスライド用凹部27が形成してあり、このスライド用凹部27の上、下辺部には係合部28が形成してあって、スライド用凹部27は蟻溝形状を成している。また、スライドベース25の表面にはストッパー29が設けてあり、スライドベース25には取付穴25aが設けてある。また、スライダー本体26Aの背面には、スライダー26の前進位置(ドアスイッチユニット12側に移動した位置)を決めるストッパー(図示せず)が設けてある。
【0060】
スライダー26は、図2及び図7に示すように、スライド本体26Aを有しており、このスライド本体26Aにはハンドル30が設けてあり、このハンドル30の先部には、スライダー移動方向に対して直交するようにして上下のアーム31,32が突設してあり、下側のアーム32の先部にはアクチュエータ33が固着してある。また、スライド本体26Aの上、下面部26a,26bにはスライド溝部34が形成してある。また、スライダー26の先側には短冊状の突出部35が形成してあり、この突出部35の表面には一対の凸条部36Aが平行状態で設けてあって、スライダー嵌合部37にしてある。この場合、一対の凸条部36A間が干渉用突起挿入部36になっている。
【0061】
そして、スライダー26は、スライドベース25のスライド用凹部27に摺動可能に挿入してあり、この場合、スライド用凹部27の上、下の係合部28がスライド溝部34に摺動可能に係合しており、このスライダー26は、その後退位置でストッパー29に衝接するようになっている。また、ハンドル30を操作してスライダー26をドアスイッチユニット11側に移動(前進)させることで、スライダー嵌合部37をスライドベース25の先端部25cよりドアスイッチユニット11側に突出させることが可能である。この場合、ストッパー29がスライドベース25の後端部に衝合する。
【0062】
そして、スライダーユニット12は、そのスライドベース25を、取付穴25aを用いて開閉扉Dに固着することで、この開閉扉Dに装着してある。
【0063】
次に、安全スイッチ10の動作について説明する。
【0064】
作業領域Sにおいて、開閉扉Dを閉じて作業ロボットRを動作させる場合には、錠前16の鍵穴16aに挿入した鍵18を90°回転させることにより、スライドロック17を嵌合孔部15内において90°回転させ、干渉用突起部17Aを横方向に向けると、図11に示すように、干渉用突起部17Aはスライダー嵌合部37の一対の凸条部36Aに干渉せず、その嵌合を可能にする。
【0065】
そして、開閉扉Dを閉じて出入口を塞ぎ、ハンドル30を操作してスライダー26をドアスイッチユニット11側に移動(前進)させることで、スライダー嵌合部37を嵌合孔部15に嵌合させると共に、アクチュエータ33をドアスイッチ20の操作部22に進入させる。
【0066】
これによりドアスイッチ20の接点ブロックの可動接点を切り換えて、回路接続が主回路(産業機械への電源供給回路)側へと切り換わって作業ロボットRが運転可能な状態となると共に、ロック機構がアクチュエータ33に対し自動的にロックする、つまり開閉扉Dを開けられないように機械的にロックするようになる。
【0067】
この場合、錠前16の鍵穴16aに挿入した鍵18を回転させようとしても、スライドロック17の干渉用突起部17Aがスライダー嵌合部37の一対の凸条部36A間にあって、これらの凸条部36Aに干渉して回転させることができず、鍵18を錠前16から外すことが出来ない状態である。
【0068】
また、作業ロボットRのメンテナンスを行なうために、作業者が作業領域S内に進入しようとする場合には、作業ロボットRへの電源供給を遮断し、その作動オフ信号により、ソレノイドが励磁してロック機構によるロックを解除し、開閉扉Dを開放可能状態にする。そして、作業者がスライダー26のハンドル30を引き、このスライダー26を、図3に示すように後退させることで、スライダー嵌合部37を嵌合孔部15より抜き出すと共に、アクチュエータ33をドアスイッチ20の操作部33から抜き出す。
【0069】
この場合、錠前16の鍵穴16aに挿入した鍵18を逆に90°回転させ、図9に示すように、干渉用突起部17Aを縦方向に向けて、スライダー嵌合部37の嵌合孔部15への嵌合を阻止する。この状態で、鍵18を錠前16の鍵穴16aから外す。そして、開閉扉Dを回動させて出入口を開けて、作業者が作業領域S内に入る。
【0070】
このように、スライダー26を後退させて、スライダー嵌合部37を嵌合穴部15より抜き出した場合に、鍵18を逆に90°回転して錠前16の鍵穴16aから外すことで、ドアスイッチ20が作動できず作業ロボットRが稼働できなくなることにより、作業者の安全が確保できる。また、スライダー26を後退させて、スライダー嵌合部37を嵌合穴部15より抜き出した場合にのみ、鍵18を錠前16の鍵穴16aから外すことが可能であるために、誤って鍵18を持ち去ることが無くなる。
【0071】
したがって、作業領域S内に作業者が残っている場合に誤って開閉扉Dが閉止されても作業ロボットRが動作してしまうことのないように、アクチュエータ33の移動を阻止するために、従来の安全スイッチが必要とした閉塞片と、この閉塞片を閉塞位置に係止する施錠機構(南京錠)が不要になって、安全スイッチとして部品点数が少なく、コストを低減することができる。
【0072】
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2を図12乃至図19に基づいて説明する。
【0073】
上記した本発明の実施の形態1では、スライドキー機構Kがドアスイッチユニット11側に位置するようにしたが、本発明の実施の形態2では、スライドキー手段であるスライドキー機構K−1がスライダーユニット12側に設けてある。したがって、ドアスイッチユニット11には、上記した本発明の実施の形態1におけるガイド14及びこのガイド14が形成する嵌合孔部15は存在しないし、スライダー26には、上記した本発明の実施の形態1におけるスライダー嵌合部37はなく、スライダー本体26Aの先側には突出部35のみが存在する。なお、本発明の実施の形態2において、上記した本発明の実施の形態1と同じ部品及び部位には同じ符号を付して説明を省略する。
【0074】
上記のスライドキー機構K−1は、スライダー26のスライダー本体26Aに設けた錠前16(図12参照)と、この錠前16が有する可動部16Aの先端部に連結したスライダー移動阻止部材であるロックレバー40(図15参照)と、このロックレバー40が係脱可能に係合するスライドベース25のレバー係合部41(図13参照)を備えており、このレバー係合部41は、図13に示すように、スライド用凹部27に連なっている。
【0075】
すなわち、図14に示すように、スライダー本体26Aの背面には凹部42が形成してあり、錠前16はスライダー本体26Aの表面側に装着してあって、ロックレバー40は凹部42内にあって、錠前16の鍵穴16aに挿入した鍵18を90°回転することによりロックレバー40を回動して、このロックレバー40の先部をレバー係合部41に係合させてスライダー26をロックし、また、鍵18を逆に90°回転させることによりロックレバー40の先部をレバー係合部41より外してスライダー26のロックを解除することが可能である。また、スライダー本体26Aの背面には、スライダー26の前進位置を決めるストッパー42が設けてある。
【0076】
したがって、作業領域Sにおいて、開閉扉Dを閉じて作業ロボットRを動作させる場合には、鍵18を錠前16の鍵穴16aに差し込み、鍵18を90°回転させることにより図16の矢印方向にロックレバー40を回動させて、このロックレバー40の先部をレバー係合部41より外してスライダー26のロックを解除する。
【0077】
そして、開閉扉Dを閉じて出入口を塞ぎ、ハンドル30を操作してスライダー26をドアスイッチユニット11側に移動(前進)させることで、アクチュエータ33をドアスイッチ20の操作部22に進入させる。この場合、ストッパー42がスライドベース25の後端部に衝合する。
【0078】
これによりドアスイッチ20の接点ブロックの可動接点を切り換えて、回路接続が主回路(産業機械への電源供給回路)側へと切り換わって作業ロボットRが運転可能な状態となると共に、ロック機構がアクチュエータ33に対し自動的にロックする、つまり開閉扉Dを開けられないように機械的にロックするようになる。
【0079】
この場合、錠前16の鍵穴16aに挿入した鍵18を回転させようとしても、図19に示すように、ロックレバー40がスライド用凹部27内にあって、回転させることができず、鍵18を錠前16から外すことが出来ない状態である。
【0080】
また、作業ロボットRのメンテナンスを行なうために、作業者が作業領域S内に進入しようとする場合には、作業ロボットRへの電源供給を遮断し、その作動オフ信号により、ソレノイドが励磁してロック機構によるロックを解除し、開閉扉Dを開放可能状態にする。そして、作業者がスライダー26のハンドル30を引き、このスライダー26を、図12に示すように後退させることで、アクチュエータ33をドアスイッチ20の操作部33から抜き出す。
【0081】
この場合、錠前16の鍵穴16aに挿入した鍵18を逆に90°回転させ、図16に示すように、ロックレバー40を縦方向に回動させてレバー係合部41に係合して、スライダー26をロックする。この状態で、鍵18を錠前16の鍵穴16aから外す。そして、開閉扉Dを回動させて出入口を開けて、作業者が作業領域S内に入る。
【0082】
このように、スライダー26を後退させて、アクチュエータ33をドアスイッチ20の操作部33から抜き出した場合に、鍵18を逆に90°回転して錠前16の鍵穴16aから外すことで、ドアスイッチ20が作動できず作業ロボットRが稼働できなくなることにより、作業者の安全が確保できる。また、スライダー26を後退させて、アクチュエータ33をドアスイッチ20の操作部33から抜き出した場合にのみ、鍵18を錠前16の鍵穴16aから外すことが可能であるために、誤って鍵18を持ち去ることが無くなる。
【0083】
したがって、作業領域S内に作業者が残っている場合に誤って開閉扉Dが閉止されても作業ロボットRが動作してしまうことのないように、アクチュエータ33の移動を阻止するために、従来の安全スイッチが必要とした閉塞片と、この閉塞片を閉塞位置に係止する施錠機構(南京錠)が不要になって、安全スイッチとして部品点数が少なく、コストを低減することができる。
【0084】
(実施の形態3)
以下、本発明の実施の形態3を図20乃至図27に基づいて説明する。
【0085】
上記した本発明の実施の形態1では、スライドキー機構Kがドアスイッチユニット11側に位置するようにしたが、本発明の実施の形態3では、スライドキー手段であるスライドキー機構K−2がスライダーユニット12側に設けてある。したがって、ドアスイッチユニット11には、上記した本発明の実施の形態1におけるガイド14及びこのガイド14が形成する嵌合孔部15は存在しないし、スライダー26には、上記した本発明の実施の形態1におけるスライダー嵌合部37はなく、スライダー本体26Aの先側には突出部35のみが存在する。なお、本発明の実施の形態3において、上記した本発明の実施の形態1と同じ部品及び部位には同じ符号を付して説明を省略する。
【0086】
上記のスライドキー機構K−2は、スライダーユニット12のスライドベース25に設けた錠前16(図20参照)と、この錠前16の可動部16Aの先端部に連結したスライダー移動阻止部材であるロックレバー50(図23参照)と、このロックレバー50が係脱可能に係合するスライダー26のレバー係合部46(図21参照)とを備えており、このレバー係合部46は、図21に示すように、スライダー本体26Aの背面に形成してある。また、スライダー本体26Aの背面には、スライダー26の前進位置を決めるストッパー51が設けてある。
【0087】
すなわち、図22に示すように、スライドベース25には錠前取付部47が形成してあり、この錠前取付部47の内部は空間でレバー収容部47Aにしてある。そして、錠前取付部47の表側には錠前16が装着してあって、ロックレバー50はレバー収容部47A内にあって、錠前16の鍵穴16aに挿入した鍵18を90°回転させることにより90°回転させ、ロックレバー50の先部をレバー収容部47Aの外に突出させてレバー係合部46に係合させてスライダー26をロックし、また、鍵18を逆に90°回転させることによりロックレバー50の先部をレバー係合部46より外してスライダー26のロックを解除することが可能である。また、スライドベース25の後端部には、ストッパー受け部52が形成してある。
【0088】
したがって、作業領域Sにおいて、開閉扉Dを閉じて作業ロボットRを動作させる場合には、鍵18を錠前16の鍵穴16aに差し込み、鍵18を90°回転させることにより図24の矢印方向にロックレバー50を回動させて、このロックレバー50の先部をレバー係合部46より外してスライダー26のロックを解除する。
【0089】
そして、開閉扉Dを閉じて出入口を塞ぎ、ハンドル30を操作してスライダー26をドアスイッチユニット11側に移動(前進)させることで、アクチュエータ33をドアスイッチ20の操作部22に進入させる。この場合、ストッパー51がスライドベース25の後端部のストッパー受け部52に衝合する。
【0090】
これによりドアスイッチ20の接点ブロックの可動接点を切り換えて、回路接続が主回路(産業機械への電源供給回路)側へと切り換わって作業ロボットRが運転可能な状態となると共に、ロック機構がアクチュエータ33に対し自動的にロックする、つまり開閉扉Dを開けられないように機械的にロックするようになる。
【0091】
この場合、錠前16の鍵穴16aに挿入した鍵18を回転させようとしても、図27に示すように、ロックレバー50がスライドベース25のレバー収容部47A内にあって、ロックレバー50がスライダー26に干渉するようになるために回転させることができず、鍵18を錠前16から外すことが出来ない状態である。
【0092】
また、作業ロボットRのメンテナンスを行なうために、作業者が作業領域S内に進入しようとする場合には、作業ロボットRへの電源供給を遮断し、その作動オフ信号により、ソレノイドが励磁してロック機構によるロックを解除し、開閉扉Dを開放可能状態にする。そして、作業者がスライダー26のハンドル30を引き、このスライダー26を、図20に示すように後退させることで、アクチュエータ33をドアスイッチ20の操作部33から抜き出す。
【0093】
この場合、錠前16の鍵穴16aに挿入した鍵18を逆に90°回転させ、図22に示すように、ロックレバー50を縦方向に回動させてレバー係合部46に係合して、スライダー26をロックする。この状態で、鍵18を錠前16の鍵穴16aから外す。そして、開閉扉Dを回動させて出入口を開けて、作業者が作業領域S内に入る。
【0094】
このように、スライダー26を後退させて、アクチュエータ33をドアスイッチ20の操作部33から抜き出した場合に、鍵18を逆に90°回転して錠前16の鍵穴16aから外すことで、ドアスイッチ20が作動できず作業ロボットRが稼働できなくなることにより、作業者の安全が確保できる。また、スライダー26を後退させて、アクチュエータ33をドアスイッチ20の操作部22から抜き出した場合にのみ、鍵18を錠前16の鍵穴16aから外すことが可能であるために、誤って鍵18を持ち去ることが無くなる。
【0095】
したがって、作業領域S内に作業者が残っている場合に誤って開閉扉Dが閉止されても作業ロボットRが動作してしまうことのないように、アクチュエータ33の移動を阻止するために、従来の安全スイッチが必要とした閉塞片と、この閉塞片を閉塞位置に係止する施錠機構(南京錠)が不要になって、安全スイッチとして部品点数が少なく、コストを低減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明に係る安全スイッチによれば、従来の安全装置が必要とした閉塞片と、この閉塞片を閉塞位置に係止する施錠機構(南京錠)が不要になって、安全スイッチとして部品点数が少なく、コストを低減することができるという効果を有していて、機械が設置された作業領域内への出入りを可能とする出入口を開閉する開閉扉の開放を検知して、機械の駆動を停止させる安全スイッチ等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】作業領域及び本発明に係る安全スイッチを示す斜視図である。
【図2】本発明に係る安全スイッチにおける実施の形態1の斜視図である。
【図3】同安全スイッチにおいてスライダーを後退させてアクチュエータを操作部から引き抜いてドアスイッチを作動させない状態の正面図である。
【図4】同安全スイッチにおいてスライダーを前進させてアクチュエータを操作部に進入させてドアスイッチを作動させた状態の正面図である。
【図5】図3のX方向からの矢視図である。
【図6】スライドベースの斜視図である。
【図7】スライダーの斜視図である。
【図8】錠前と鍵とを分離した状態の斜視図である。
【図9】錠前のスライドロックによるスライダー嵌合部の嵌合孔部への嵌合を阻止した状態を説明するための説明図である。
【図10】錠前の鍵穴に鍵を差し込んだ状態の斜視図である。
【図11】錠前のスライドロックの回転によりスライダー嵌合部の嵌合孔部への嵌合阻止が解除された状態を説明するための説明図である。
【図12】本発明に係る安全スイッチにおける実施の形態2において、スライダーを後退させてアクチュエータを操作部から引き抜いてドアスイッチを作動させない状態の正面図である。
【図13】スライドベースの斜視図である。
【図14】スライダーにおいてロックレバーを縦方向に位置させた状態を背面から見た斜視図である。
【図15】錠前と鍵とを分離した状態の斜視図である。
【図16】スライダーのロックの状態を説明するための説明図である。
【図17】スライダーにおいてロックレバーを横方向に位置させた状態を背面から見た斜視図である。
【図18】錠前の鍵穴に鍵を差し込んだ状態の斜視図である。
【図19】スライドロックの解除の状態を説明するための説明図である。
【図20】本発明に係る安全スイッチにおける実施の形態3において、スライダーを後退させてアクチュエータを操作部から引き抜いてドアスイッチを作動させない状態の正面図である。
【図21】スライダーを背面から見た斜視図である。
【図22】スライダーユニットを背面から見た斜視図である。
【図23】錠前と鍵とを分離した状態の斜視図である。
【図24】スライダーのロックの状態を説明するための説明図である。
【図25】スライダーユニットにおいてロックレバーを横方向に位置させた状態を背面から見た斜視図である。
【図26】錠前の鍵穴に鍵を差し込んだ状態の斜視図である。
【図27】スライドロックの解除状態を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0098】
D 開閉扉
F フェンス
K スライドキー機構(スライドキー手段)
K−1 スライドキー機構(スライドキー手段)
K−2 スライドキー機構(スライドキー手段)
P 支柱(出入口の縁部)
S 作業領域
R 作業ロボット
10 安全スイッチ
11 ドアスイッチユニット
12 スライダーユニット
13 ベース
14 ガイド
15 嵌合孔部
16 錠前
16a 鍵穴
16A 可動部
17 スライドロック(スライダー移動阻止部材)
17A 干渉用突起部
18 鍵
20 ドアスイッチ
22 操作部
25 スライドベース
26 スライダー
27 スライド用凹部
30 ハンドル
33 アクチュエータ
36 干渉用突起挿入部
36A 凸条部
37 スライダー嵌合部
40 ロックレバー(スライダー移動阻止部材)
41 レバー係合部
42 凹部
46 レバー係合部
47 錠前取付部
47A レバー収容部
50 ロックレバー(スライダー移動阻止部材)



【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械が設置された作業領域の出入口を開閉する開閉扉に設けられるアクチュエータと、前記出入口の縁部に設けられて、前記開閉扉が前記出入口を閉じた際に、前記アクチュエータの操作部への進入に応じてスイッチ部の接続接点が切り換わり前記機械を運転可能な状態にするドアスイッチを備えた安全スイッチであって、
前記アクチュエータを保持して前記ドアスイッチ側に往復動し、前記アクチュエータの前記操作部への進入及び前記操作部からの抜き出しを行なうスライダーと、鍵操作によりスライダー移動阻止部材を制御する錠前とを一体構成としたスライドキー手段とを有して構成し、該スライドキー手段が、前記錠前を鍵操作することによって前記スライダー移動阻止部材で前記スライダーの移動を阻止する移動阻止とこの移動阻止の解除とを選択するように構成したことを特徴とする安全スイッチ。
【請求項2】
前記スライドキー手段は、前記移動阻止状態でのみ前記錠前から前記鍵を外すことを可能にする構成としたことを特徴とする請求項1記載の安全スイッチ。
【請求項3】
前記スライダーは、その先部にスライダー嵌合部を有しており、前記スライドキー手段は、前記ドアスイッチ側に設けられ且つ嵌合孔部を有するガイドと、このガイドに設けられた前記錠前とを有しており、この錠前は、その可動部で前記スライダー移動阻止部材としてのスライドロックを回転可能に保持していて、前記錠前の鍵穴に挿入した鍵の所定量の回転操作で前記スライドロックを前記嵌合孔部内において回転させて前記嵌合孔部の形状を変えて、前記スライダー嵌合部の前記嵌合孔部への嵌合と、この嵌合の阻止を選択し、且つ前記スライダー嵌合部の嵌合阻止の場合にのみ前記鍵の抜き出しを可能にすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の安全スイッチ。
【請求項4】
前記スライダー嵌合部にスライダー移動方向に沿う干渉用突起挿入部を形成し、前記スライドロックに干渉用突起部を設けて、前記スライダー嵌合部の前記嵌合孔部への嵌合時に、前記干渉用突起部を前記干渉用突起挿入部内に位置させて前記スライドロックの回転を阻止し、前記鍵の引き抜きを不可能にするようにしたことを特徴とする請求項3に記載の安全スイッチ。
【請求項5】
前記スライダーはスライドベースに前記スライダー移動方向に移動可能に保持されており、前記スライドキー手段は、前記スライダーに設けた前記錠前と、この錠前が有する可動部に連結した前記スライダー移動阻止部材としてのロックレバーと、前記スライドベースに設けられて前記ロックレバーが係脱可能に係合するレバー係合部を備えており、前記錠前は、その鍵穴に挿入した鍵の所定量の回転操作で前記ロックレバーを回転させて、このロックレバーを前記レバー係合部に係脱可能に係合させて行なう前記スライダーのロックを行うと共に、このロック状態の解除を選択し且つ前記スライダーのロックの場合にのみ前記鍵の抜き出しを可能にするように構成したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の安全スイッチ。
【請求項6】
前記スライドベースに前記スライダー移動方向に沿うスライド用凹部を設けて、このスライド用凹部の側面側に前記レバー係合部を連ね、前記スライダーの背面に凹部を設けて、この凹部内に前記ロックレバーを位置させ、前記スライド用凹部に前記スライダーを移動可能に挿入して前記スライドベースに前記スライダーを保持させ、前記スライダーの移動による前記アクチュエータの前記操作部への進入時に、前記ロックレバーを前記スライド用凹部内に位置させて前記ロックレバーの回転を阻止し、前記鍵の引き抜きを不可能にするようにしたことを特徴とする請求項5に記載の安全スイッチ。
【請求項7】
前記スライダーはスライドベースに前記スライダー移動方向に移動可能に保持されており、前記スライドキー手段は、前記スライドベースに設けた前記錠前と、この錠前が有する可動部に連結した前記スライダー移動阻止部材としてのロックレバーと、前記スライダーに設けられて前記ロックレバーが係脱可能に係合するレバー係合部を備えており、前記錠前は、その鍵穴に挿入した鍵の所定量の回転操作で前記ロックレバーを回転させて、このロックレバーを前記レバー係合部に係脱可能に係合させて行なう前記スライダーのロックと、このロックの解除を選択し、且つ前記スライダーのロックの場合にのみ前記鍵の抜き出しを可能にすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の安全スイッチ。
【請求項8】
前記スライドベースに前記スライダー移動方向に沿うスライド用凹部を設けて、前記スライド用凹部に前記スライダーを移動可能に挿入して前記スライドベースに前記スライダーを保持させ、前記スライドベースに錠前取付部を形成して、この錠前取付部の内部にレバー収容部を設け、前記錠前取付部に前記錠前を取付けて、前記ロックレバーを前記レバー収容部内に収容して、前記ロックレバーを前記レバー係合部から外して前記スライダーの移動による前記アクチュエータの前記操作部への進入時に、前記ロックレバーを前記スライダーに干渉させて前記ロックレバーの回転を阻止し、前記鍵の引き抜きを不可能にするようにしたことを特徴とする請求項7に記載の安全スイッチ。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2007−227158(P2007−227158A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−47010(P2006−47010)
【出願日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)