説明

安全保持具

【課題】安全スイッチに取り付けられて一体化し、且つワンタッチ操作によりアクチュエータ挿入口を塞ぐことが可能な安全保持具を提供する。
【手段】安全スイッチ1は、スイッチ本体2とアクチュエータ3とから構成される。スイッチ本体2には、操作ヘッド部とスイッチ部とから構成される。操作ヘッド部には、アクチュエータ挿入口7,8が設けられる。アクチュエータ3の誤挿入を防止する安全保持具20は、スイッチ本体2に取り付けられ、施錠部材取付用孔H1を有する基体21と、施錠部材取付用孔H2を有し、アクチュエータ挿入口を開放する第1位置と、アクチュエータ挿入口を塞ぐ第2位置とに亘って移動可能に基体21に取り付けられた可動体22とを備える。可動体22の移動操作により可動体22が第2位置に達すると、基体21の施錠部材取付用孔H1と可動体22の施錠部材取付用孔H2とが重なり合う状態が出現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業機械が設置される部屋の出入口などの壁面に装着され、その出入口の扉が開かれたときには産業機械等への電源供給を停止する安全スイッチに使用される安全保持具に関するものであって、より詳しくは、出入口の扉が開かれた状態で安全スイッチに装着され、安全スイッチ内の駆動カムの回転及びアクチュエータの挿入を防止する安全保持具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
産業機械が設置された部屋や工場あるいは産業機械自体の危険ゾーンでは、作業者が機械に巻き込まれて負傷するといったトラブルの発生を防止することを目的として、部屋や危険ゾーンの出入口の扉が完全に閉まっていないときには、機械の駆動をロックするシステムを設けることが要求されており、このような要求に応じるために安全スイッチ(以下の特許文献1参照)が提案されている。この安全スイッチは、スイッチ本体が部屋の出入口周辺の壁面に装着され、その出入口の扉を閉じたときに扉に固着された専用のアクチュエータがスイッチ本体の挿入口から挿入されると、スイッチ本体内の駆動カムが回転し、その駆動カムの回転に応じて操作ロッドが移動して接点の接続状態が切り替わる構造のスイッチであって、このような接点の切り替わり動作で回路接続が主回路(産業機械への電源供給回路)側へと切り替わって部屋内の機械が運転可能な状態となる。
【0003】
ところで、このような安全スイッチは、機械の停止状態を維持したまま機械の点検等のため作業者が部屋内に入ったときに、そのことを知らない他の作業者が扉を閉めてしまうと、機械が作動してしまい、部屋内の作業者が危険に陥る恐れがある。
【0004】
そこで、本出願人は、このような事態を防止すべく、異なる2つの面に設けられたアクチュエータ挿入口の一方のアクチュエータ挿入口に係合して当該アクチュエータ挿入口を塞ぐ基体と、基体が一方のアクチュエータ挿入口に係合した状態において、上記異なる2つの面に設けられたアクチュエータ挿入口の他方のアクチュエータ挿入口に係合して当該アクチュエータ挿入口を塞ぐことが可能なように上記基体に移動可能に取り付けられたスライド体とを備えた安全保持具を既に提案している(以下の特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−73229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来例の安全保持具では、以下のような課題がある。
安全保持具が安全スイッチと一体化されていなため、不使用時には紐等で繋いでおく必要がある。また、紐が切れた時や、紐等で繋いでいない場合は、紛失する恐れがある。加えて、安全保持具をアクチュエータ挿入口に装着するためには、スライド体を引き戻し、安全スイッチへ引っ掛け、スライド体を押し込む、計3回の動作が必要となり、工場で手袋等を使用している作業者にとって装着が困難である。
【0007】
本発明は、上記の実情を鑑みて考え出されたものであり、その目的は、安全スイッチに取り付けられて一体化し、且つワンタッチ操作によりアクチュエータ挿入口を塞ぐことが可能な安全保持具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1記載の発明は、アクチュエータが挿入されるアクチュエータ挿入口が設けられ、内部に前記アクチュエータの挿入により回動する駆動カムを備えた操作ヘッド部と、前記操作ヘッド部に結合され、内部に前記駆動カムの回動に応じて接続が切り替わる接点を備えたスイッチ部とから構成される安全スイッチに使用され、前記アクチュエータの誤挿入を防止する安全保持具であって、前記安全スイッチに取り付けられ、施錠部材取付用孔を有する基体と、施錠部材取付用孔を有し、前記アクチュエータ挿入口を開放する第1位置と、アクチュエータ挿入口を塞ぐ第2位置とに亘って移動可能に前記基体に取り付けられた可動体と、を備え、前記可動体の移動操作により可動体が第2位置に達すると、基体の施錠部材取付用孔と可動体の施錠部材取付用孔とが重なり合う状態が出現することを特徴する。
【0009】
上記構成により、安全保持具は安全スイッチと一体化されることになり、従来例のように紐等で繋いでおく必要がない。この結果、従来例における紐が切れた時や、紐等で繋いでいない場合は紛失する恐れがある等の問題を解消することができる。加えて、可動体の移動操作というワンタッチ操作によりアクチュエータ挿入口を塞ぐことが可能なる。
【0010】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の安全保持具であって、前記操作ヘッド部をスイッチ部に固定するための第1のネジ又は、前記安全スイッチを所定の取付面に固定するための第2のネジを用いて、前記基体が安全スイッチに取り付けられていることを特徴とする。
【0011】
上記の如く、安全スイッチに備わったネジの使用により、特別の固定手段を用いずに、安価で、且つ容易に安全保持具を安全スイッチに取り付けることができる。
【0012】
また、請求項3記載の発明は、請求項2記載の安全保持具であって、前記可動体が第2位置に達すると、前記操作ヘッド部をスイッチ部に固定するための第1のネジの脱着が不能となることを特徴とする。
【0013】
上記構成により、可動体が第2位置にある場合に、第1のネジを緩めて安全保持具を安全スイッチから取り外すことはできない。従って、アクチュエータ挿入口を塞ぐ状態を維持でき、安全性が向上する。
【0014】
また、請求項4記載の本発明は、請求項1〜3の何れかに記載の安全保持具であって、前記スイッチ部は、スイッチ部に配線する際に開閉又は脱着する蓋を有し、前記基体の少なくとも一部分が前記蓋の少なくとも一部を覆う状態となっていることを特徴とする。
【0015】
作業者が蓋を開け、内部の接点を短絡させ導通させることにより、安全スイッチの無効化を図る場合がある。このような行為は、安全スイッチの安全性の観点から、本来的には禁止されている。しかし、作業者が利便性のために上記行為を行う場合がある。そこで、安全保持具によって蓋を開くことができない構成とすることにより、上記行為を防止でき、安全性を確保できる。
【0016】
また、請求項5記載の本発明は、請求項4記載の安全保持具であって、前記基体の安全スイッチへの取り付けが、安全スイッチが所定の取付面に設置された後であることを特徴とする。
【0017】
また、請求項6記載の本発明は、請求項5記載の安全保持具であって、前記安全スイッチは、操作ヘッド部をスイッチ部から分離すると接点がOFFする構造の安全スイッチであり、前記第1のネジを用いて基体が安全スイッチに取り付けられていることを特徴とする。
【0018】
安全スイッチが取付面に設置された既設状態の場合であって、且つ、スイッチ部から操作ヘッド部を分離すると接点がONする構造の安全スイッチの場合には、第1のネジを用いて安全保持具を安全スイッチに取り付ける際に、スイッチ部から操作ヘッド部を分離すると、接点ONとなり危険である。しかし、スイッチ部から操作ヘッド部を分離すると接点がOFFする構造の安全スイッチの場合には、第1のネジを用いて取り付けても、危険はなく問題はない。一方、スイッチ部から操作ヘッド部を分離すると接点がONする構造の安全スイッチの場合に、第2のネジを用いて取り付けることも考えられるが、第2のネジを用いる場合には、第2のネジを一旦緩め、再度締結することが必要となり、安全スイッチの位置ずれが生じる恐れがある。これに対して、第1のネジを用いて取り付ける場合は、このような問題は生じない。
【0019】
また、請求項7記載の本発明は、請求項5記載の安全保持具であって、前記安全スイッチは、操作ヘッド部をスイッチ部から分離すると接点がONする構造の安全スイッチであり、前記第2のネジを用いて基体が安全スイッチに取り付けられていることを特徴とする。
【0020】
スイッチ部から操作ヘッド部を分離すると接点がONする構造の安全スイッチの場合、第1のネジを用いて取り付ける際、スイッチ部から操作ヘッド部が分離され、接点がONとなり危険である。従って、第2のネジを用いることにより、危険を回避でき、安全性が確保される。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、安全保持具は安全スイッチと一体化されることになり、従来例のように紐等で繋いでおく必要がない。この結果、従来例における紐が切れた時や、紐等で繋いでいない場合は紛失する恐れがある等の問題を解消することができる。加えて、可動体の移動操作というワンタッチ操作によりアクチュエータ挿入口を塞ぐことが可能なる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る安全保持具が使用される安全スイッチの使用状態を示す図。
【図2】本発明に係る安全保持具が使用される安全スイッチの平面図。
【図3】本発明に係る安全保持具が使用される安全スイッチの正面図。
【図4】図3のA−A矢視断面図。
【図5】図3のB−B矢視断面図。
【図6】本発明に係る安全保持具が使用される安全スイッチの内部構造を簡略して示す図。
【図7】実施の形態1に係る安全保持具が取り付けられたスイッチ本体(アクチュエータ挿入口7が開放されている状態)の斜視図。
【図8】図7の正面図。
【図9】図7の平面図。
【図10】図7の左側面図。
【図11】実施の形態1に係る安全保持具が取り付けられたスイッチ本体(アクチュエータ挿入口7が塞がれている状態)の斜視図。
【図12】図11の正面図。
【図13】図11の平面図。
【図14】図11の左側面図。
【図15】安全保持具の構成部品である基体の正面図。
【図16】安全保持具の構成部品である基体の平面図。
【図17】安全保持具の構成部品である基体の底面図。
【図18】安全保持具の構成部品である基体の右側面図。
【図19】安全保持具の構成部品である基体の左側面図。
【図20】安全保持具の構成部品である可動体の正面図。
【図21】安全保持具の構成部品である可動体の平面図。
【図22】安全保持具の構成部品である可動体の底面図。
【図23】安全保持具の構成部品である可動体の右側面図。
【図24】安全保持具の構成部品である可動体の左側面図。
【図25】安全スイッチ1Aの内部構造を簡略して示す図。
【図26】図25の側面から見た安全スイッチ1Aの内部構造を簡略して示す図。
【図27】安全スイッチ1Aの内部構造を簡略して示す図。
【図28】図27の側面から見た安全スイッチ1Aの内部構造を簡略して示す図。
【図29】実施の形態2に係る安全保持具が取り付けられたスイッチ本体(アクチュエータ挿入口8が開放されている状態)の斜視図。
【図30】実施の形態2に係る安全保持具が取り付けられたスイッチ本体(アクチュエータ挿入口8が塞がれている状態)の斜視図。
【図31】実施の形態3に係る安全保持具が取り付けられたスイッチ本体(アクチュエータ挿入口8が開放された状態)の正面図。
【図32】実施の形態3に係る安全保持具が取り付けられたスイッチ本体(アクチュエータ挿入口8が開放された状態)の側面図。
【図33】実施の形態3に係る安全保持具が取り付けられたスイッチ本体(アクチュエータ挿入口8が塞がれた状態)の正面図。
【図34】実施の形態3に係る安全保持具が取り付けられたスイッチ本体(アクチュエータ挿入口8が塞がれた状態)の側面図。
【図35】実施の形態4に係る安全保持具が取り付けられたスイッチ本体(アクチュエータ挿入口8が開放された状態)の正面図。
【図36】実施の形態4に係る安全保持具が取り付けられたスイッチ本体(アクチュエータ挿入口8が開放された状態)の側面図。
【図37】実施の形態4に係る安全保持具が取り付けられたスイッチ本体(アクチュエータ挿入口8が塞がれた状態)の正面図。
【図38】実施の形態4に係る安全保持具が取り付けられたスイッチ本体(アクチュエータ挿入口8が塞がれた状態)の側面図。
【図39】実施の形態5に係る安全保持具が取り付けられたスイッチ本体(アクチュエータ挿入口8が開放された状態)の正面図。
【図40】実施の形態5に係る安全保持具が取り付けられたスイッチ本体(アクチュエータ挿入口8が開放された状態)の側面図。
【図41】実施の形態5係る安全保持具が取り付けられたスイッチ本体(アクチュエータ挿入口8が塞がれた状態)の正面図。
【図42】実施の形態5に係る安全保持具が取り付けられたスイッ本体(アクチュエータ挿入口8が塞がれた状態)の側面図。
【図43】実施の形態6に係る安全保持具が取り付けられたスイッチ本体(アクチュエタ挿入口8が開放された状態)の正面図。
【図44】実施の形態6に係る安全保持具が取り付けられたスイッチ本体(アクチュエータ挿入口8が開放された状態)の側面図。
【図45】実施の形態6係る安全保持具が取り付けられたスイッチ本体(アクチュエータ挿入口8が塞がれた状態)の正面図。
【図46】実施の形態6に係る安全保持具が取り付けられたスイッ本体(アクチュエータ挿入口8が塞がれた状態)の側面図。
【図47】実施の形態7に係る安全保持具が取り付けられたスイッチ本体(アクチュエタ挿入口8が開放された状態)の正面図。
【図48】実施の形態7に係る安全保持具が取り付けられたスイッチ本体(アクチュエータ挿入口8が開放された状態)の側面図。
【図49】実施の形態7係る安全保持具が取り付けられたスイッチ本体(アクチュエータ挿入口8が塞がれた状態)の正面図。
【図50】実施の形態7に係る安全保持具が取り付けられたスイッ本体(アクチュエータ挿入口8が塞がれた状態)の側面図。
【図51】実施の形態8に係る安全保持具が取り付けられたスイッチ本体(アクチュエタ挿入口8が開放された状態)の正面図。
【図52】実施の形態8に係る安全保持具が取り付けられたスイッチ本体(アクチュエータ挿入口8が開放された状態)の側面図。
【図53】実施の形態8係る安全保持具が取り付けられたスイッチ本体(アクチュエータ挿入口8が塞がれた状態)の正面図。
【図54】実施の形態8に係る安全保持具が取り付けられたスイッ本体(アクチュエータ挿入口8が塞がれた状態)の側面図。
【図55】実施の形態9に係る安全保持具が取り付けられたスイッチ本体(アクチュエタ挿入口8が開放された状態)の正面図。
【図56】実施の形態9に係る安全保持具が取り付けられたスイッチ本体(アクチュエータ挿入口8が開放された状態)の側面図。
【図57】実施の形態9係る安全保持具が取り付けられたスイッチ本体(アクチュエータ挿入口8が塞がれた状態)の正面図。
【図58】実施の形態9に係る安全保持具が取り付けられたスイッ本体(アクチュエータ挿入口8が塞がれた状態)の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を実施の形態に基づいて詳述する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0024】
[実施の形態1]
先ず、本発明に係る安全保持具が取り付けられる安全スイッチの概略構造を図1〜図6を参照して説明し、次いで、本発明に係る安全保持具の構成を説明する。
【0025】
(安全スイッチの概略構造)
安全スイッチ1は、図1に示すように、部屋に設置される産業機械に電気的に接続されるスイッチであって、主にスイッチ本体2と、アクチュエータ3によって構成されている。スイッチ本体2は部屋の出入口の周縁の壁面に固着され、アクチュエータ3は扉4に固着されている。
【0026】
スイッチ本体2は、アクチュエータ3が差し込まれる操作ヘッド部5と、接点ブロック(図示せず)が内蔵されたスイッチ部6によって構成されている。操作ヘッド部5とスイッチ部6とは、操作ヘッド部5上面の4隅にそれぞれ配置された固定用の第1のネジ100により分離可能に結合されている。さらに、操作ヘッド部5には、設置場所の状況に応じてアクチュエータ挿入方向の選択が可能なように、その異なる2つの面にアクチュエータ挿入口7、8が設けられている。従って、このように操作ヘッド部5とスイッチ部6とが分離可能に結合されていること、及び異なる2つの面にアクチュエータ挿入口7、8が設けられていることにより、操作ヘッド部5を90度毎に回転させた各位置でスイッチ部6に結合することにより、アクチュエータ挿入口7、8の配置が異なる8通りの態様が得られる。従って、設置場所の状況に応じて8通りのアクチュエータ挿入口の態様の何れかを適宜選択して安全スイッチを設置することができるようになっている。
【0027】
また、スイッチ部6には、正面側から背面側に向けて貫通した2つの貫通穴(図示せず)が形成されており、スイッチ本体2が所定の取付面に取り付けるに際しては、当該貫通穴に固定用の第2のネジ102を挿入して所定の取付面にネジ止めすることにより固定することができるようになっている。
【0028】
また、操作ヘッド部5には、図4に明らかに示すように、駆動カム9が設けられている。この駆動カム9はスイッチ部6に内蔵の可動接点200aと固定接点200bからなる接点開閉機構(図6参照)の操作ロッド10に変位を与えるためのもので、カムシャフト11に回転自在に支持されている。操作ロッド10は、コイルバネ201(図6参照)によって上方に付勢されている。駆動カム9の外周面には、アクチュエータ挿入口7、8に対応して矩形状の凹部12、13が形成されている。
【0029】
なお、スイッチ部6の正面部を構成する蓋105は開閉可能であって、第3のネジ103により蓋105をスイッチ部6に固定することができるようになっている。
【0030】
以上の構造の安全スイッチにおいて、図6(B)に示すように、アクチュエータ3がアクチュエータ挿入口7を通じて操作ヘッド部5の内部に進入すると、アクチュエータ3の押圧片3a(図1(A)参照)が駆動カム9に当たった時点で、駆動カム9が回転し、この駆動カム9の回転に応じてスイッチ部6の操作ロッド10が操作ヘッド部5の駆動カム9側に移動する。そして、アクチュエータ3が挿入端まで進んだ時点で接点ブロックの接続接点が切り換わり部屋内の機械が駆動可能な状態となるとともに、アクチュエータ3の押圧片3aが駆動カム9の凹部12(図4参照)に嵌まり込む。
【0031】
次いで、この状態からアクチュエータ3が抜き取られると、そのアクチュエータ3の後退により駆動カム9が前述とは逆向きに回転し、これに伴って操作ロッド10がスイッチ部6の接続接点側に移動して(図6(A)参照)、接続接点が切り換わり機械への電源供給がオフされる。
【0032】
また、操作ヘッド部5の他方のアクチュエータ挿入口8を通じてアクチュエータ3が操作ヘッド部5の内部に進入すると、アクチュエータ3の押圧片3aが駆動カム9に当たって駆動カム9が回転し、この駆動カム9の回転に応じて、スイッチ部6の操作ロッド10が操作ヘッド部5の駆動カム9側に移動して接続接点が切り換わると共に、アクチュエータ3の押圧片3aが駆動ム9の凹部13(図4参照)に嵌まり込む。この状態からアクチュエータ3が抜き取られると、駆動カム9が逆向きに回転し、操作ロッド10がスイッチ部6の接続接点側に移動して接続接点が切り換わる。
【0033】
上記構造の安全スイッチにおいて、機械の点検等のため作業者が部屋内に入ったときには、扉4を開けておけば、機械の停止状態が維持されているので作業者の安全は確保されている。しかし、誤って扉4が閉められると、機械が作動してしまい、部屋内の作業者が危険に陥る恐れがある。そこで、このような事態を防止し、作業者の安全を確保するため、本発明に係る安全保持具が使用されている。この本発明に係る安全保持具の特徴は、従来例のように紐等によりスイッチ本体2に繋がれているのではなく、後述するようにスイッチ本体2に一体的に取り付けられて使用される点にある。
【0034】
(安全保持具の構造)
図7は実施の形態1に係る安全保持具が取り付けられたスイッチ本体の斜視図、図8は図7の正面図、図9は図7の平面図、図10は図7の左側面図、図11は実施の形態1に係る安全保持具が取り付けられたスイッチ本体の斜視図、図12は図11の正面図、図13は図11の平面図、図14は図11の左側面図、図15は安全保持具の構成部品である基体の正面図、図16は安全保持具の構成部品である基体の平面図、図17は安全保持具の構成部品である基体の底面図、図18は安全保持具の構成部品である基体の右側面図、図19は安全保持具の構成部品である基体の左側面図、図20は安全保持具の構成部品である可動体の正面図、図21は安全保持具の構成部品である可動体の平面図、図22は安全保持具の構成部品である可動体の底面図、図23は安全保持具の構成部品である可動体の右側面図、図24は安全保持具の構成部品である可動体の左側面図である。図7〜図10は安全保持具によってアクチュエータ挿入口7が開放されている状態を示し、図11〜図14は安全保持具によってアクチュエータ挿入口7が塞がれている状態を示している。
【0035】
本実施の形態における安全保持具20は上面使用、換言すれば、アクチュエータ挿入口7を塞ぐために使用される。なお、アクチュエータ挿入口8は取付面で塞がれるので、安全保持具20によってアクチュエータ挿入口8を塞ぐ必要はない。
【0036】
以下、図7〜図24を参照して、実施の形態1に係る安全保持具の構成を説明する。安全保持具20は、スイッチ本体2に取り付けられる基体21と、図7に示すアクチュエータ挿入口7を開放する第1位置と、図11に示すアクチュエータ挿入口7を塞ぐ第2位置とに亘って回動可能に基体21に取り付けられた可動体22とから構成されている。基体21及び可動体22は、例えば板状の金属製部材である。なお、基体21及び可動体22は剛性の高い合成樹脂製部材であってもよい。
【0037】
基体21は逆L字状の本体部21a(図18参照)を有する。本体部21aは、スイッチ本体2の正面部の蓋105を覆う垂直部21a1と、スイッチ本体2の上面部を覆う水平部21a2とを備える。このように、垂直部21a1によって蓋105が覆われることにより、作業者が蓋105を開けることを防止できる。即ち、作業者が蓋105を開け、内部の接点を短絡させ導通させることにより、安全スイッチの無効化を図る場合がある。このような行為は、安全スイッチの安全性の観点から、本来的には禁止されている。しかし、作業者が利便性のために上記行為を行う場合がある。本実施の形態では、蓋105を開くことができない構成とすることにより、上記行為を防止でき、安全性を確保できることになる。
【0038】
また、垂直部21a1の両端部には、前方側(図7のX1方向側)に突出した一対のフランジ部21bが設けられている。また、垂直部21a1の上部側には、開口21k(図15参照)が形成されている。なお、開口21kは、後述する安全保持具20を正面使用する場合(実施の形態2の場合)に、アクチュエータ挿入口8の前側位置でアクチュエータ挿入口8と重なって、アクチュエータ3をアクチュエータ挿入口8に挿入することができるように使用される。また、水平部21a2の両端部には、上方側(図7のX2方向側)に突出した一対のフランジ部21dが設けられている。このフランジ部21dには、施錠部材取付用孔H1が形成されている。また、水平部21a2には、開口21f(図16及び図17参照)、及び第1のネジ100の挿入用孔110(図16及び図17参照)が形成されている。
【0039】
可動体22は、略L字状に屈曲形成された本体部22a、本体部22aの上端部の両側部が後方側に突出して形成された一対のフランジ部22bと、本体部22aの下端部の両側部が後方側に突出して形成された一対のフランジ部22cとを備える。フランジ部22cには、施錠部材取付用孔H2が形成されている。なお、基体21と可動体22とは、ピン23により回動可能に結合されている。
【0040】
上記構成の安全保持具20を、第1のネジ100を用いてスイッチ本体2に取り付けるに際しては、以下のように行う。即ち、操作ヘッド部5上面の4隅には、第1のネジ100用のネジ孔(図示せず)が予め形成されており、これら4つのネジ孔のうち前面側の2つのネジ孔上に基体21の挿入用孔110(図16及び図17参照)がそれぞれ配置されるように、安全保持具20をスイッチ本体2に載置する。次いで、2つの第1のネジ100を、挿入用孔110に挿入させて上記前面側の2つのネジ孔に螺合させることにより、安全保持具20がスイッチ本体2に取り付けられる。なお、安全保持具20をスイッチ本体2に取り付けるために使用するネジ孔は、上記のように前面側の2つのネジ孔に限定されるものではない。4つのネジ孔のうちのいずれか2つのネジ孔を使用するようにしてもよい。また、いずれか3つのネジ孔を使用してもよく、さらには4つのネジ孔を使用するようにしてもよい。勿論、基体21には、使用するネジ孔に対応して挿入用孔110を形成しておく必要がある。
【0041】
次いで、スイッチ本体2に取り付けられた安全保持具20の使用方法について説明する。安全保持具20の不使用時には、図7に示すように、可動体22はアクチュエータ挿入口7を開放する第1位置にある。この状態では、開口21fとアクチュエータ挿入口7とはぴったりと重なっており、アクチュエータ3をアクチュエータ挿入口7に挿入可能である。一方、安全保持具20の使用時には、可動体22を回動操作して図11に示す第2位置に移動させる。図11に示す第2位置では、可動体22によって開口21fが塞がれる。即ち、アクチュエータ挿入口7が可動体22によって塞がれた状態となる。そして、可動体22が第2位置に達した状態では、施錠部材取付用孔H1と施錠部材取付用孔H2とがぴったりと重なった状態が出現するので、施錠部材取付用孔H1,H2に南京錠(施錠部材に相当)を施錠することが可能となる。従って、誤ってアクチュエータ3をアクチュエータ挿入口7に挿入することが防止され、作業者の安全が確保される。
【0042】
また、可動体22が第2位置に達すると、図11に示すように、第1のネジ100が可動体22によって覆われた状態となる。そのため、第1のネジ100を緩めて安全保持具20をスイッチ本体2から取り外すことはできない。従って、アクチュエータ挿入口7を塞ぐ状態を維持でき、安全性が向上する。
【0043】
(安全保持具のスイッチ本体への取付態様)
安全保持具20をスイッチ本体2に取付ける態様としては、スイッチ本体2が取付面に設置された既設状態の場合と、既設前の場合の2つの態様がある。但し、この2つの取付態様は、安全スイッチのタイプによって規制される場合がある。以下、この点に関して説明する。安全スイッチは、操作ヘッド部5がスイッチ部6から分離すると接点がOFFする構造の安全スイッチと、操作ヘッド部がスイッチ部から分離すると接点がONする構造の安全スイッチの2種類が存在している。図1〜図6に示す安全スイッチ1は、後者の安全スイッチに該当する。なぜなら、操作ヘッド部5をスイッチ部6から分離すると、操作ロッド10がコイルバネ201の付勢力により上方に移動し、これにより、可動接点200aが固定接点200bに接触して接点ON状態となるからである。
【0044】
一方、前者の安全スイッチの概略構造は、図25〜図28に示されている。この安全スイッチ1Aは、可動接点200aがコイルバネ201によって固定接点200bに対して開離方向に付勢されている。そして、アクチュエータ3の挿入に伴う駆動カム9の回転により、連結部30がコイルバネ201の付勢力に抗しつつガイド溝31に沿って移動することにより操作ロッド10が移動して、可動接点200aが固定接点200bに接触して接点ON状態となる。従って、このような構造の安全スイッチ1Aの場合には、コイルバネ201により操作ロッド10が下方に付勢されて可動接点200aが固定接点200bに対して開離方向に付勢されているため、操作ヘッド部5をスイッチ部6から分離された場合であっても、可動接点200aが固定接点200bに対して開離した接点OFF状態が維持されることになる。
【0045】
そこで、操作ヘッド部5をスイッチ部6から分離すると接点がONする構造の安全スイッチ1に対して、第1のネジ100を用いて安全保持具をスイッチ本体に取り付ける場合には、操作ヘッド部5をスイッチ部6から分離する必要があるため、接点ON状態となり、危険である。そのため、スイッチ本体2が機械に配線接続されている場合は、接点ON状態となるか否か考慮する必要がある。
【0046】
これに対して、操作ヘッド部5をスイッチ部6から分離すると接点がOFFする構造の安全スイッチ1Aに対して、第1のネジ100を用いて安全保持具をスイッチ本体に取り付ける場合には、操作ヘッド部5をスイッチ部6から分離しても、接点OFF状態となり、危険でない。そのため、スイッチ本体2が機械に配線接続されている場合か否かを考慮する必要がない。
【0047】
このように、第1のネジ100を用いて安全保持具をスイッチ本体に取り付ける場合には、取付態様が安全スイッチのタイプによって規制される場合がある。
【0048】
なお、操作ヘッド部5がスイッチ部6から分離すると接点がONする構造の安全スイッチ1の場合において、スイッチ本体が取付面に設置された既設状態で安全保持具をスイッチ本体に取り付けるためには、第2のネジ102を用いることになる。即ち、安全性のために、操作ヘッド部とスイッチ部とを分離する方式を採用できないので、分離しないで第2のネジ102を用いて安全保持具をスイッチ本体に取り付ける方式を採用することになる。この点に関しては、後述する実施の形態8,9において詳述する。
【0049】
[実施の形態2]
図29及び図30は実施の形態2に係る安全保持具が取り付けられたスイッチ本体の斜視図であり、図29は安全保持具によってアクチュエータ挿入口8が開放されている状態を示し、図30は安全保持具によってアクチュエータ挿入口8が塞がれている状態を示している。本実施の形態における安全保持具は上記実施の形態1における安全保持具と同様のものが用いられる。また、上記実施の形態1では、安全保持具20は上面使用、換言すれば、アクチュエータ挿入口7を塞ぐために使用されたが、本実施の形態2では、アクチュエータ挿入口8を塞ぐために使用される。なお、アクチュエータ挿入口7は、安全保持具20の基体21によって塞がれている。
【0050】
本実施の形態2では、基体21の開口21kとアクチュエータ挿入口8とが重なった状態となるように、安全保持具20がスイッチ本体2に取り付けられている。これにより、アクチュエータ3をアクチュエータ挿入口8に挿入することができるように使用される。
【0051】
次いで、安全保持具20の使用方法について説明する。安全保持具20の不使用時には、図29に示すように、可動体22はアクチュエータ挿入口8を開放する第1位置にある。この状態では、開口21kとアクチュエータ挿入口8とはぴったりと重なっており、アクチュエータ3をアクチュエータ挿入口8に挿入可能である。一方、安全保持具20の使用時には、可動体22を回動操作して図30に示す第2位置に移動させる。図30に示す第2位置では、可動体22によって開口21kが塞がれる。即ち、アクチュエータ挿入口8が可動体22によって塞がれた状態となる。そして、可動体22が第2位置に達した状態では、図30に示すように、施錠部材取付用孔H1と施錠部材取付用孔H2とがぴったりと重なった状態が出現するので、施錠部材取付用孔H1,H2に南京錠を施錠することが可能となる。従って、誤ってアクチュエータ3をアクチュエータ挿入口8に挿入することが防止され、作業者の安全が確保される。
【0052】
[実施の形態3]
図31は実施の形態3に係る安全保持具が取り付けられたスイッチ本体(アクチュエータ挿入口8が開放された状態)の正面図、図32は実施の形態3に係る安全保持具が取り付けられたスイッチ本体(アクチュエータ挿入口8が開放された状態)の側面図、図33は実施の形態3に係る安全保持具が取り付けられたスイッチ本体(アクチュエータ挿入口8が塞がれた状態)の正面図、図34は実施の形態3に係る安全保持具が取り付けられたスイッチ本体(アクチュエータ挿入口8が塞がれた状態)の側面図である。
【0053】
本実施の形態3に係る安全保持具20Aは、可動体22Aが上下方向に移動可能であることを特徴とするものである。以下、安全保持具20Aの構成を具体的に説明する。本実施の形態3の基体21Aは、L字状の部分40と、一対の腕部41と、スイッチ本体2の側部側から正面部側に亘って延在する部分42とから構成されている。腕部41の先端部には、施錠部材取付用孔H1が形成されている。部分42の前面側には案内突起43が形成されている。一方、本実施の形態3の可動体22Aは、本体部44と、本体部44の両側部に形成されているフランジ部45とを有する。フランジ部45には施錠部材取付用孔H2が形成されている。本体部44には上下方向に延びるガイド孔46が形成されている。そして、このガイド孔46に案内突起43が嵌り込み、可動体22Aは上下方向に移動可能に基体21Aに取り付けられている。なお、安全保持具20Aは上記実施の形態1と同様に、第1のネジ100を用いてスイッチ本体2に取り付けられる。
【0054】
上記構成の安全保持具20Aにおいては、安全保持具の不使用時には、図31及び図32に示すように、可動体22Aはアクチュエータ挿入口8を開放する第1位置にある。従って、アクチュエータ3をアクチュエータ挿入口8に挿入可能である。一方、安全保持具20Aの使用時には、可動体22Aを上方に移動操作して図33及び図34に示す第2位置に移動させる。図33及び図34に示す第2位置では、可動体22Aによってアクチュエータ挿入口8が塞がれた状態となる。そして、可動体22Aが第2位置に達した状態では、図33及び図34に示すように、施錠部材取付用孔H1と施錠部材取付用孔H2とがぴったりと重なった状態が出現するので、施錠部材取付用孔H1,H2に南京錠を施錠することが可能となる。従って、誤ってアクチュエータ3をアクチュエータ挿入口8に挿入することが防止され、作業者の安全が確保される。
【0055】
[実施の形態4]
図35は実施の形態4に係る安全保持具が取り付けられたスイッチ本体(アクチュエータ挿入口8が開放された状態)の正面図、図36は実施の形態4に係る安全保持具が取り付けられたスイッチ本体(アクチュエータ挿入口8が開放された状態)の側面図、図37は実施の形態4に係る安全保持具が取り付けられたスイッチ本体(アクチュエータ挿入口8が塞がれた状態)の正面図、図38は実施の形態4に係る安全保持具が取り付けられたスイッチ本体(アクチュエータ挿入口8が塞がれた状態)の側面図である。
【0056】
本実施の形態4に係る安全保持具20Bは、可動体22Bがバネの使用により上下方向に移動可能であることを特徴とするものである。本実施の形態4に係る安全保持具20Bは、スイッチ本体2に取り付けられる基体21Bと、アクチュエータ挿入口8を開放する第1位置と、アクチュエータ挿入口8を塞ぐ第2位置とに亘って上下に移動可能に基体21Bに取り付けられた可動体22Bとから構成されている。基体21Bは、スイッチ本体2の上面を覆う部分50、スイッチ本体2の正面部を覆う前面部分51等を備える。部分50の前面側垂直部50aには、施錠部材取付用孔H1が形成されている。前面部分51には、上方に開口した案内孔52が形成されている。可動体22Bは、板状体であり、その上部側に施錠部材取付用孔H2が形成されている。可動体22Bは、案内孔52に挿入され、その下端部が案内孔52内に配置されたバネ53に連結されている。そして、バネ53によって可動体22Bは上方に付勢されている。
【0057】
上記構成の安全保持具20Bにおいては、通常は、可動体22Bは上方に付勢され、図37及び図38に示す第2位置に存在している。従って、アクチュエータ挿入口8が塞がれた状態となっている。そして、この状態においては、施錠部材取付用孔H1と施錠部材取付用孔H2とがぴったりと重なった状態が出現しているので、施錠部材取付用孔H1,H2に南京錠を施錠することが可能となる。従って、誤ってアクチュエータ3をアクチュエータ挿入口8に挿入することが防止され、作業者の安全が確保される。
【0058】
アクチュエータ3をアクチュエータ挿入口8に挿入するに際しては、可動体22Bを下方に移動させ、図35及び図36に示すように、アクチュエータ挿入口8を開放させる。
【0059】
なお、アクチュエータ3をアクチュエータ挿入口8から引き抜くと、バネ53の付勢力によって可動体22Bは上方に移動し、図37及び図38に示すように、アクチュエータ挿入口8が塞がれた状態となる。このように、アクチュエータ3を引き抜くと自動的にアクチュエータ挿入口8が塞がれた状態になり、安全性が向上する。
【0060】
[実施の形態5]
図39は実施の形態5に係る安全保持具が取り付けられたスイッチ本体(アクチュエータ挿入口8が開放された状態)の正面図、図40は実施の形態5に係る安全保持具が取り付けられたスイッチ本体(アクチュエータ挿入口8が開放された状態)の側面図、図41は実施の形態5係る安全保持具が取り付けられたスイッチ本体(アクチュエータ挿入口8が塞がれた状態)の正面図、図42は実施の形態5に係る安全保持具が取り付けられたスイッチ本体(アクチュエータ挿入口8が塞がれた状態)の側面図である。
【0061】
本実施の形態5に係る安全保持具20Cは、スイッチ本体2に取り付けられる基体21Cと、アクチュエータ挿入口8を開放する第1位置と、アクチュエータ挿入口8を塞ぐ第2位置とに亘って上下に移動可能に基体21Cに取り付けられた可動体22Cとから構成されている。基体21Cは、スイッチ本体2の上面に取り付けられる上面部55と、スイッチ本体2の正面部を覆う前面部56と、上面部55に立設される立設部57とから構成される。前面部56には、開口21kが形成されている。立設部57には施錠部材取付用孔H1(図40参照)が形成されている。また、立設部57には、案内突起58が形成されている。可動体22Cは、第1垂直部59と、水平部60と、第2垂直部61とから構成されている。第1垂直部59には施錠部材取付用孔H2が形成されている。また、第1垂直部59には、上下方向に延びるガイド孔62が形成されている。そして、このガイド孔62に案内突起58が嵌り込み、可動体22Cは上下方向に移動可能に基体21Cに取り付けられている。なお、安全保持具20Cは上記実施の形態1と同様に、第1のネジ100を用いてスイッチ本体2に取り付けられる。
【0062】
上記構成の安全保持具20Cにおいては、通常は、可動体22Cは自重で図41及び図42に示す第2位置に存在している。従って、アクチュエータ挿入口8が塞がれた状態となっている。そして、この状態においては、施錠部材取付用孔H1と施錠部材取付用孔H2とがぴったりと重なった状態が出現しているので、施錠部材取付用孔H1,H2に南京錠を施錠することが可能となる。従って、誤ってアクチュエータ3をアクチュエータ挿入口8に挿入することが防止され、作業者の安全が確保される。
【0063】
アクチュエータ3をアクチュエータ挿入口8に挿入するに際しては、可動体22Cを上方に移動させ、図39及び図40に示すように、アクチュエータ挿入口8を開放させる。
【0064】
なお、アクチュエータ3をアクチュエータ挿入口8から引き抜くと、可動体22Cは自重で下方に移動し、図41及び図42に示すように、アクチュエータ挿入口8が塞がれた状態となる。このように、アクチュエータ3を引き抜くと自動的にアクチュエータ挿入口8が塞がれた状態になり、安全性が向上する。
【0065】
[実施の形態6]
図43は実施の形態6に係る安全保持具が取り付けられたスイッチ本体(アクチュエタ挿入口8が開放された状態)の正面図、図44は実施の形態6に係る安全保持具が取り付けられたスイッチ本体(アクチュエータ挿入口8が開放された状態)の側面図、図45は実施の形態6係る安全保持具が取り付けられたスイッチ本体(アクチュエータ挿入口8が塞がれた状態)の正面図、図46は実施の形態6に係る安全保持具が取り付けられたスイッチ本体(アクチュエータ挿入口8が塞がれた状態)の側面図である。なお、図43及び図45には、第2のネジ102が挿入する貫通穴101は描かれているが、第2のネジ102は省略して描いている。
【0066】
本実施の形態6に係る安全保持具20Dは、スイッチ本体2に取り付けられる基体21Dと、アクチュエータ挿入口8を開放する第1位置と、アクチュエータ挿入口8を塞ぐ第2位置とに亘って上下に回動可能に基体21Dに取り付けられた可動体22Dとから構成されている(図44参照)。基体21Dは、スイッチ本体2の上面を覆う本体部66、施錠部材取付用孔H1を有する立設部67等を備える。可動体22Dは、図44において側面視が略コ字状に形成され、一対の側部68と、側部68間を繋ぐ前面部69を備える。可動体22Dは、ピン90によって基体21Dに回動可能に取り付けられている。
【0067】
上記構成の安全保持具20Dにおいては、安全保持具不使用時には、図43及び図44に示すように、可動体22Dはアクチュエータ挿入口8を開放する第1位置にある。従って、アクチュエータ3をアクチュエータ挿入口8に挿入可能である。一方、安全保持具20Dの使用時には、可動体22Dを下方に回動操作して図45及び図46に示す第2位置に移動させる。図45及び図46に示す第2位置では、可動体22Dの前面部69によってアクチュエータ挿入口8が塞がれた状態となる。この状態において、施錠部材取付用孔H1に南京錠を施錠すると、可動体22Dを上方に回動操作しても、側部68が南京錠の係止フックに当接して回転が規制される。従って、南京錠を開錠しない限り、可動体22Dを上方に回動操作できないことになる。この結果、南京錠を開錠しない限り、アクチュエータ3をアクチュエータ挿入口8に挿入することができず、作業者の安全が確保される。
【0068】
[実施の形態7]
図47は実施の形態7に係る安全保持具が取り付けられたスイッチ本体(アクチュエタ挿入口8が開放された状態)の正面図、図48は実施の形態7に係る安全保持具が取り付けられたスイッチ本体(アクチュエータ挿入口8が開放された状態)の側面図、図49は実施の形態7係る安全保持具が取り付けられたスイッチ本体(アクチュエータ挿入口8が塞がれた状態)の正面図、図50は実施の形態7に係る安全保持具が取り付けられたスイッ本体(アクチュエータ挿入口8が塞がれた状態)の側面図である。
【0069】
本実施の形態7に係る安全保持具20Eは、スイッチ本体2に取り付けられる基体21Eと、アクチュエータ挿入口8を開放する第1位置と、アクチュエータ挿入口8を塞ぐ第2位置とに亘って回動可能に基体21Eに取り付けられた可動体22Eとから構成されている(図47参照)。基体21Eは、スイッチ本体2の上面を覆う本体部70、施錠部材取付用孔H1を有する一対の立設部71、スイッチ本体2の正面部を覆う前面部72等を備える。可動体22Eは、板状部73を備え、ピン75によって基体21Eに回動可能に取り付けられている。板状部73は、第1部分73aと第2部分73bとから成り、ヒンジ部74によって第2部分73bが第1部分73aに対して90度折れ曲げ可能となっている。
【0070】
上記構成の安全保持具20Eにおいては、安全保持具不使用時には、図47及び図48に示すように、可動体22Eはアクチュエータ挿入口8を開放する第1位置にある。従って、アクチュエータ3をアクチュエータ挿入口8に挿入可能である。一方、安全保持具20Eの使用時には、可動体22Eを回動操作して図49及び図50に示す第2位置に移動させる。図49及び図50に示す第2位置では、可動体22Eの第1部分73aによってアクチュエータ挿入口8が塞がれた状態となり、可動体22Eの第2部分73bは施錠部材取付用孔H1の下側を覆う状態となる。この状態において、施錠部材取付用孔H1に南京錠を施錠すると、第2部分73bを上方に回動操作しても、第2部分73bが南京錠の係止フックに当接して回転が規制される。従って、南京錠を開錠しない限り、可動体22Eを回動操作できないことになる。この結果、南京錠を開錠しない限り、アクチュエータ3をアクチュエータ挿入口8に挿入することができず、作業者の安全が確保される。
【0071】
[実施の形態8]
図51は実施の形態8に係る安全保持具が取り付けられたスイッチ本体(アクチュエタ挿入口8が開放された状態)の正面図、図52は実施の形態8に係る安全保持具が取り付けられたスイッチ本体(アクチュエータ挿入口8が開放された状態)の側面図、図53は実施の形態8に係る安全保持具が取り付けられたスイッチ本体(アクチュエータ挿入口8が塞がれた状態)の正面図、図54は実施の形態8に係る安全保持具が取り付けられたスイッ本体(アクチュエータ挿入口8が塞がれた状態)の側面図である。
【0072】
上記実施の形態1〜7では、第1のネジ100を用いて安全保持具をスイッチ本体に取り付ける方式であったが、本実施の形態では、第2のネジ102を用いて安全保持具をスイッチ本体に取り付ける方式を採用したことを特徴とするものである。
【0073】
本実施の形態は、基本的には実施の形態1に類似する構成であり、対応する部分には同一の参照符号を付す。本実施の形態8に係る安全保持具20Fは、スイッチ本体2に取り付けられる基体21Fと、アクチュエータ挿入口8を開放する第1位置と、アクチュエータ挿入口8を塞ぐ第2位置とに亘って回動可能に基体21Fに取り付けられた可動体22Fとから構成されている(図52参照)。実施の形態1と異なる点は、本実施の形態における安全保持具20Fでは、基体21Fの本体部21aがスイッチ本体2の背面側に延びて固定部80が形成されていることである。即ち、本実施の形態における本体部21aは、垂直部21a1と、水平部21a2と、固定部80とを備えている。この固定部80には第2のネジ102が挿通する貫通孔(図示せず)が形成されている。安全保持具20Fの取り付けに際しては、固定部80を所定の取付面に当接させ、第2のネジ102を用いて取り付ける。
【0074】
上記構成の安全保持具20Fでは、第2のネジ102を用いて安全保持具をスイッチ本体2に取り付ける方式のため、操作ヘッド部5をスイッチ部6から分離すると接点がONする構造の安全スイッチ1、操作ヘッド部5をスイッチ部6から分離すると接点がOFFする構造の安全スイッチ1Aの何れに対しても、スイッチ本体が取付面に設置された既設状態で安全保持具を取り付けることが可能となる。
【0075】
[実施の形態9]
図55は実施の形態9に係る安全保持具が取り付けられたスイッチ本体(アクチュエタ挿入口8が開放された状態)の正面図、図56は実施の形態9に係る安全保持具が取り付けられたスイッチ本体(アクチュエータ挿入口8が開放された状態)の側面図、図57は実施の形態9係る安全保持具が取り付けられたスイッチ本体(アクチュエータ挿入口8が塞がれた状態)の正面図、図58は実施の形態9に係る安全保持具が取り付けられたスイッチ本体(アクチュエータ挿入口8が塞がれた状態)の側面図である。
【0076】
本実施の形態は、上記実施の形態8と同様に、第2のネジ102を用いて安全保持具をスイッチ本体2に取り付ける方式を採用したことを特徴とするものである。本実施の形態9に係る安全保持具20Gは、スイッチ本体2に取り付けられる基体21Gと、アクチュエータ挿入口8を開放する第1位置と、アクチュエータ挿入口8を塞ぐ第2位置とに亘って回動可能に基体21Gに取り付けられた可動体22Gとから構成されている(図56参照)。上記実施の形態8ではスイッチ本体2の背面側で安全保持具20Fを固定したけれども、本実施の形態では、スイッチ本体の前面側で安全保持具20Gを固定するようにした。そのため、基体21Gは、スイッチ本体2の前面側に固定部80Aを備えており、この固定部80Aには、第2のネジ102が挿通する貫通孔(図示せず)が形成されている。
【0077】
このような構成により、上記実施の形態8と同様に、操作ヘッド部5をスイッチ部6から分離すると接点がONする構造の安全スイッチ1、操作ヘッド部5をスイッチ部6から分離すると接点がOFFする構造の安全スイッチ1Aの何れに対しても、スイッチ本体が取付面に設置された既設状態で安全保持具を取り付けることが可能となる。
【0078】
(その他の事項)
(1)上記実施の形態では、施錠部材としては南京錠を用いたが、南京錠に代えてチェーン錠やハスプなどを用いてもよい。
【0079】
(2)上記実施の形態では、1箇所のネジ(第3のネジ103に相当)で蓋105を開閉できるタイプのスイッチ本体を例示したが、本発明に係る安全保持具は、4隅にあるネジ(第3のネジ103に相当)で蓋105を脱着できるタイプのスイッチ本体にも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、安全スイッチの安全保持具に好適に実施することができる。
【符号の説明】
【0081】
1,1A:安全スイッチ 2:スイッチ本体
3:アクチュエータ 5:操作ヘッド部
6:スイッチ部 100:第1のネジ
102:第2のネジ 105:蓋
H1,H2:施錠部材取付用孔
20,20A,20B,20C,20D,20E,20F,20G:安全保持具
21,21A,21B,21C,21D,21E,21F,21G:基体
22,22A,22B,22C,22D,22E,22F,22G:可動体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクチュエータが挿入されるアクチュエータ挿入口が設けられ、内部に前記アクチュエータの挿入により回動する駆動カムを備えた操作ヘッド部と、前記操作ヘッド部に結合され、内部に前記駆動カムの回動に応じて接続が切り替わる接点を備えたスイッチ部とから構成される安全スイッチに使用され、前記アクチュエータの誤挿入を防止する安全保持具であって、
前記安全スイッチに取り付けられ、施錠部材取付用孔を有する基体と、
施錠部材取付用孔を有し、前記アクチュエータ挿入口を開放する第1位置と、アクチュエータ挿入口を塞ぐ第2位置とに亘って移動可能に前記基体に取り付けられた可動体と、
を備え、
前記可動体の移動操作により可動体が第2位置に達すると、基体の施錠部材取付用孔と可動体の施錠部材取付用孔とが重なり合う状態が出現することを特徴する安全保持具。
【請求項2】
前記操作ヘッド部をスイッチ部に固定するための第1のネジ又は、前記安全スイッチを所定の取付面に固定するための第2のネジを用いて、前記基体が安全スイッチに取り付けられている、請求項1記載の安全保持具。
【請求項3】
前記可動体が第2位置に達すると、前記操作ヘッド部をスイッチ部に固定するための第1のネジの脱着が不能となる、請求項2記載の安全保持具。
【請求項4】
前記スイッチ部は、スイッチ部に配線する際に開閉又は脱着する蓋を有し、
前記基体の少なくとも一部分が前記蓋の少なくとも一部を覆う状態となっている、請求項1〜3の何れかに記載の安全保持具。
【請求項5】
前記基体の安全スイッチへの取り付けが、安全スイッチが所定の取付面に設置された後である、請求項4記載の安全保持具。
【請求項6】
前記安全スイッチは、操作ヘッド部をスイッチ部から分離すると接点がOFFする構造の安全スイッチであり、前記第1のネジを用いて基体が安全スイッチに取り付けられている、請求項5記載の安全保持具。
【請求項7】
前記安全スイッチは、操作ヘッド部をスイッチ部から分離すると接点がONする構造の安全スイッチであり、前記第2のネジを用いて基体が安全スイッチに取り付けられている、請求項5記載の安全保持具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【公開番号】特開2011−159401(P2011−159401A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−17951(P2010−17951)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000000309)IDEC株式会社 (188)
【Fターム(参考)】