説明

安全監視入力装置

【課題】安全状態の監視に使用される信号経路を遮断することなく、その信号経路の安全状態を監視すること。
【解決手段】容量結合された経路を伝送されるパルス列信号に基づいて、ゲート信号を出力するデカップリング回路と、前記ゲート信号に基づいて、前記パルス列信号が伝送される経路の安全状態を示す信号を出力するゲート回路とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は安全監視入力装置に関し、特に、自動車、液晶、半導体などの製造設備が安全に稼動されているかどうかを監視する安全監視入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車、液晶、半導体などの製造分野では、搬送ラインや溶接ロボットなどの製造設備が安全に稼動されているかどうかを監視するために、高電位などのエネルギーの高い状態に維持された信号経路を構築し、その信号経路が遮断されたかどうかを検出することが行われている。ここで、エネルギーの高い状態に維持された信号経路が遮断された場合に、その信号経路のエネルギー状態を監視する安全監視入力装置自体に故障があると、製造設備を緊急停止させることができなくなり、安全性が損なわれることがある。このため、従来の安全監視入力装置では、安全監視入力装置のダークテストを行い、緊急時などに製造設備を安全に停止させることができるかどうかの診断が行われていた。
【0003】
また、特許文献1には、駆動信号のパルス周期よりも十分に短い周期のサンプリング信号のタイミングにより制御信号及び検出信号を比較し、比較結果が不一致となる状態が所定期間以上継続したときにソレノイドの故障を判定する方法が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、出力信号の出力に続いてクロック出力をCPUから出力させ、この出力信号を遮断するゲートと、クロック出力が正常であるか否かを確認して正常であればゲートを開いて出力信号を出力させる方法が開示されている。
【0005】
また、特許文献3には、セーフティドアスイッチなどの入力機器からの安全入力および他のセーフティコントローラからの論理接続用の内部安全入力に基づいて、マグネットコンタクタなどの安全出力制御対象に対する安全出力を制御するCPUを設け、そのCPUは、内部安全入力が正常であるか否かを判定し、異常時には機械設備の稼動を禁止する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−84636号公報
【特許文献2】特開平10−307601号公報
【特許文献3】特開2005−157667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の安全監視入力装置では、安全状態では、安全状態の監視に使用される信号経路がエネルギーの高い状態に設定され、非安全状態では、安全状態の監視に使用される信号経路がエネルギーの低い状態に設定される。そのため、非安全状態時に製造設備を緊急停止させることができるかどうかを確認するには、安全状態時に安全状態の監視に使用される信号経路を遮断し、その信号経路のエネルギーの低い状態を検出することができるかどうかを確認する必要があり、診断間隔が短くなると、診断を行うプロセッサの負荷が大きくなるという問題があった。
【0008】
また、特許文献1に開示された方法では、ソレノイドの故障を判定する制御信号が駆動回路に直接入力され、制御信号がソレノイドの駆動状態に影響を及ぼすことがあるという問題があった。
【0009】
また、特許文献2、3に開示された方法では、パルス列信号が送受される経路が、駆動回路の入力信号系とは別個に設けられている。このため、駆動回路の入力信号系が安全状態にあるかどうかを判別することができず、駆動回路の入力信号系に異常があると、フェイルセーフリレーを遮断することができないという問題があった。
【0010】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、安全状態の監視に使用される信号経路を遮断することなく、その信号経路の安全状態を監視することが可能な安全監視入力装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、容量結合された経路を伝送されるパルス列信号に基づいて、ゲート信号を出力するデカップリング回路と、前記ゲート信号に基づいて、前記パルス列信号が伝送される経路の安全状態を示す信号を出力するゲート回路とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、安全状態の監視に使用される信号経路を遮断することなく、その信号経路の安全状態を監視することが可能という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明に係る安全監視入力装置の実施の形態1が適用される製造設備の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、本発明に係る安全監視入力装置の実施の形態1の概略構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、図2の安全監視入力装置の各部の信号波形を示すタイミングチャートである。
【図4】図4は、本発明に係る安全監視入力装置の実施の形態2の概略構成を示すブロック図である。
【図5】図5は、本発明に係る安全監視入力装置の実施の形態3の概略構成を示すブロック図である。
【図6】図6は、本発明に係る安全監視入力装置の実施の形態4の概略構成を示すブロック図である。
【図7】図7は、本発明に係る安全監視入力装置の実施の形態5の概略構成を示すブロック図である。
【図8】図8は、本発明に係る安全監視入力装置の実施の形態6の概略構成を示すブロック図である。
【図9】図9は、本発明に係る安全監視入力装置の実施の形態7の概略構成を示すブロック図である。
【図10】図10は、図9の安全監視入力装置の各部の信号波形を示すタイミングチャートである。
【図11】図11は、本発明に係る安全監視入力装置の実施の形態8の概略構成を示すブロック図である。
【図12】図12は、図11の安全監視入力装置の各部の信号波形を示すタイミングチャートである。
【図13】図13は、本発明に係る安全監視入力装置の実施の形態9の概略構成を示すブロック図である。
【図14】図14は、図13の安全監視入力装置の各部の信号波形を示すタイミングチャートである。
【図15】図15は、本発明に係る安全監視入力装置の実施の形態10の概略構成を示すブロック図である。
【図16】図16は、本発明に係る安全監視入力装置の実施の形態11の概略構成を示すブロック図である。
【図17】図17は、図16の安全監視入力装置の各部の信号波形を示すタイミングチャートである。
【図18】図18は、本発明に係る安全監視入力装置の実施の形態12の各部の信号波形を示すタイミングチャートである。
【図19】図19は、図18の安全監視入力装置のブリッジ発生時の信号波形を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る安全監視入力装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0015】
実施の形態1.
図1は、本発明に係る安全監視入力装置の実施の形態1が適用される製造設備の概略構成を示すブロック図である。図1において、例えば、自動車、液晶、半導体などの製造ラインには、搬送を行ったり、溶接を行ったりするロボット14が配置されているものとする。そして、ロボット14には、ロボット14の動作を制御するコントローラ11が設けられている。
【0016】
また、ロボット14の近傍には、非常時などにロボット14の停止を指示する非常停止ボタン16が設置されている。なお、非常時などにロボット14の停止を指示するために、非常停止ボタン16の他、ライトカーテンや人体感知センサなどを用いるようにしてもよい。また、製造ラインには、非常停止ボタン16がオンされたかどうかを検出することで、現在の状態が安全状態にあるか非安全状態にあるかを監視する安全監視入力装置13が設けられている。また、安全監視入力装置13にて非安全状態にあると判断された場合、ロボット14の動作を停止させる安全制御装置12が設けられている。
【0017】
また、非常停止ボタン16にてオン/オフされる信号経路上には、その信号経路にパルス列信号Sを送出するパルス列信号発生装置17が設けられている。ここで、パルス列信号発生装置17には、パルス列信号Sを発生するパルス列信号発生部18が設けられている。
【0018】
そして、コントローラ11、安全制御装置12および安全監視入力装置13は、通信ネットワーク15を介して互いに接続され、互いに信号をやり取りできるように構成されている。なお、通信ネットワーク15としては、例えば、イーサネット(登録商標)を用いることができる。また、パルス列信号発生装置17の出力端子T0は、非常停止ボタン16を介して安全監視入力装置13の入力端子X0に接続されている。
【0019】
ここで、安全監視入力装置13は、パルス列信号発生装置17から送出されたパルス列信号Sの検出結果に基づいて、非常停止ボタン16にてオン/オフされる信号経路の安全状態を判定することができる。
【0020】
そして、パルス列信号発生装置17の出力端子T0を介し、非常停止ボタン16にてオン/オフされる信号経路にパルス列信号Sが送出される。そして、非常停止ボタン16がオフの場合、そのパルス列信号Sは、非常停止ボタン16を介して安全監視入力装置13の入力端子X0に入力され、パルス列信号Sの立ち上がりおよび立ち下がりが検出される。そして、入力端子X0を介して検出されたパルス列信号Sの立ち上がりおよび立ち下がりが所定時間内にどの程度の頻度で含まれるかが判定され、その立ち上がりおよび立ち下がりが所定範囲内の頻度で検出された場合、非常停止ボタン16にてオン/オフされる信号経路は安全状態であると判定される。
【0021】
そして、非常停止ボタン16にてオン/オフされる信号経路が安全状態であると判定されると、安全状態を示す信号が安全監視入力装置13の出力端子RX0を介して安全制御装置12に送られる。そして、安全状態を示す信号が安全制御装置12に送られると、安全制御装置12は、コントローラ11を通常動作させる。
【0022】
一方、安全監視入力装置13において、入力端子X0を介して検出されたパルス列信号Sの立ち上がりおよび立ち下がりが所定範囲内の頻度で検出されなかった場合、非常停止ボタン16にてオン/オフされる信号経路は非安全状態であると判定される。そして、非常停止ボタン16にてオン/オフされる信号経路が非安全状態であると判定されると、非安全状態を示す信号が安全監視入力装置13の出力端子RX0を介して安全制御装置12に送られる。そして、非安全状態を示す信号が安全制御装置12に送られると、安全制御装置12は、コントローラ11に現在の状態が非安全状態にあることを通知する。そして、コントローラ11は、現在の状態が非安全状態にあるという通知を受け取ると、ロボット14の動作を強制的に停止する。
【0023】
そして、非常時などに非常停止ボタン16にてオフされると、パルス列信号Sが伝送される信号経路が遮断される。この結果、パルス列信号発生装置17の出力端子T0を介して送出されたパルス列信号Sは、安全監視入力装置13の入力端子X0に入力されないようになる。そして、パルス列信号Sが安全監視入力装置13の入力端子X0に入力されなくなると、入力端子X0はロウレベルに固定され、入力端子X0を介して検出されたパルス列信号Sの立ち上がりおよび立ち下がりが所定範囲内の頻度で検出されなくなる。
【0024】
このため、非常停止ボタン16にてオン/オフされる信号経路が非安全状態であると判定され、非安全状態を示す信号が安全監視入力装置13の出力端子RX0を介して安全制御装置12に送られる。そして、非安全状態を示す信号が安全制御装置12に送られると、安全制御装置12は、コントローラ11に現在の状態が非安全状態にあることを通知する。そして、コントローラ11は、現在の状態が非安全状態にあるという通知を受け取ると、ロボット14の動作を強制的に停止する。
【0025】
図2は、本発明に係る安全監視入力装置の実施の形態1の概略構成を示すブロック図である。図2において、安全監視入力装置13には、タイマ13aおよびゲート回路13bが設けられている。
【0026】
ここで、タイマ13aは、パルス列信号Sの立ち上がりおよび立ち下がりに基づいて計時値をリセットし、計時値がタイムアップするまでゲート信号SGを出力することができる。ゲート回路13bは、タイマ13aから出力されたゲート信号SGに基づいて、パルス列信号Sが伝送される経路の安全状態を示す信号を出力することができる。なお、ゲート回路13bとしては、例えば、ゲート信号SGがベースに入力され、コレクタが電源に接続され、安全状態の時にはエミッタがハイレベル、非安全状態の時にはエミッタがロウレベルになるバイポーラトランジスタを用いるようにしてもよい。あるいは、ゲート回路13bとして、例えば、ゲート信号SGがゲートに入力され、ドレインが電源に接続され、安全状態の時にはソースがハイレベル、非安全状態の時にはソースがロウレベルになる電界効果トランジスタを用いるようにしてもよい。
【0027】
そして、図1のパルス列信号発生部18にて発生されたパルス列信号Sは、非常停止ボタン16にてオン/オフされる信号経路に出力端子T0を介して送出される。そして、非常停止ボタン16がオフの場合または非常停止ボタン16にてオン/オフされる信号経路に故障が発生してない場合、その信号経路に送出されたパルス列信号Sは、その信号経路を介して伝送され、入力端子X0を介してタイマ13aに入力される。そして、パルス列信号Sがタイマ13aに入力されると、そのパルス列信号Sの立ち上がりおよび立ち下がりに基づいてタイマ13aの計時値がリセットされ、タイマ13aからのゲート信号SGが出力される。そして、タイマ13aからのゲート信号SGが出力されると、ゲート回路13bから安全状態を示す信号が出力される。
【0028】
一方、非常停止ボタン16がオンされた場合または非常停止ボタン16にてオン/オフされる信号経路に故障が発生すると、非常停止ボタン16にてオン/オフされる信号経路を伝送される信号がロウレベルまたはハイレベルに固定される。そして、非常停止ボタン16にてオン/オフされる信号経路を伝送される信号がロウレベルまたはハイレベルに固定されると、パルス列信号Sの立ち上がりおよび立ち下がりがタイマ13aにて検出されなくなり、タイマ13aの計時値がリセットされなくなるため、タイマ13aの計時値がカウントアップする。そして、タイマ13aの計時値がカウントアップすると、タイマ13aからのゲート信号SGの出力が停止される。そして、タイマ13aからのゲート信号SGの出力が停止されると、ゲート回路13bから非安全状態を示す信号が出力される。
【0029】
図3は、図2の安全監視入力装置の各部の信号波形を示すタイミングチャートである。図3において、図1のパルス列信号発生部18では、パルス列信号Sが発生され、出力端子T0を介して送出される。そして、非常停止ボタン16がオフで、非常停止ボタン16にてオン/オフされる信号経路に故障がない場合、パルス列信号Sが入力端子X0に到達する。
【0030】
そして、タイマ13aにおいて、パルス列信号Sの立ち上がりおよび立ち下がりに基づいて計時値がリセットされ、タイマ13aから出力されるゲート信号SGがハイレベルに維持される。そして、タイマ13aから出力されるゲート信号SGがハイレベルに維持されると、ゲート回路13bにて安全状態がオンにされ、出力端子RX0から出力される信号がハイレベルに設定される。
【0031】
一方、非常停止ボタン16がオンした場合または非常停止ボタン16にてオン/オフされる信号経路に故障がある場合、パルス列信号Sの立ち上がりおよび立ち下がりがタイマ13aにて検出されなくなる。そして、タイマ13aの計時値がリセットされなくなると、タイマ13aの計時値がタイムアップ値TPに到達し、タイマ13aから出力されるゲート信号SGがハイレベルからロウレベルに変化する。そして、タイマ13aから出力されるゲート信号SGがハイレベルからロウレベルに変化すると、安全状態がオフにされ、出力端子RX0から出力される信号がロウレベルに設定される。
【0032】
これにより、図1の非常停止ボタン16にてオン/オフされる信号経路にパルス列信号Sを出力することで、その信号経路の安全状態を監視することが可能となる。このため、図1の非常停止ボタン16にてオン/オフされる信号経路の安全状態を監視するために、その信号経路を遮断する必要がなくなり、システム全体の応答時間よりも短い周期で安全状態の診断を行う必要がなくなることから、その信号経路の安全状態の診断にかかる負荷を低減することができる。
【0033】
実施の形態2.
図4は、本発明に係る安全監視入力装置の実施の形態2の概略構成を示すブロック図である。図4において、安全監視入力装置13´には、図2の安全監視入力装置13の構成に加え、パルス列信号発生部18が設けられている。そして、安全監視入力装置13´の出力端子T0は、非常停止ボタン16を介して安全監視入力装置13´の入力端子X0に接続されている。
【0034】
そして、安全監視入力装置13´にて発生されたパルス列信号Sは、非常停止ボタン16にてオン/オフされる信号経路に出力端子T0を介して送出される。そして、その信号経路に送出されたパルス列信号Sは、その信号経路を介して伝送され、入力端子X0を介して安全監視入力装置13´に入力される。そして、パルス列信号Sが安全監視入力装置13´に入力されると、タイマ13aにおいて、パルス列信号Sの立ち上がりおよび立ち下がりに基づいて計時値がリセットされ、タイマ13aから出力されるゲート信号SGがハイレベルに維持される。そして、タイマ13aから出力されるゲート信号SGがハイレベルに維持されると、ゲート回路13bにて安全状態がオンにされ、出力端子RX0から出力される信号がハイレベルに設定される。
【0035】
一方、タイマ13aにおいて、パルス列信号Sの立ち上がりおよび立ち下がりが検出されなくなると、タイマ13aの計時値がカウントアップし、タイマ13aから出力されるゲート信号SGがハイレベルからロウレベルに変化する。そして、タイマ13aから出力されるゲート信号SGがハイレベルからロウレベルに変化すると、安全状態がオフにされ、出力端子RX0から出力される信号がロウレベルに設定される。
【0036】
ここで、安全監視入力装置13´にパルス列信号発生部18を設けることにより、安全監視入力装置13´とは別個に図1のパルス列信号発生装置17を用意する必要がなくなり、安全監視システムのコストダウンを図ることができる。
【0037】
実施の形態3.
図5は、本発明に係る安全監視入力装置の実施の形態3の概略構成を示すブロック図である。図5において、安全監視入力装置23には、タイマ23aおよびラッチ回路23bが設けられている。
【0038】
ここで、タイマ23aは、パルス列信号Sの立ち上がりおよび立ち下がりに基づいて計時値をリセットし、計時値がタイムアップするまでゲート信号SGを出力することができる。ラッチ回路23bは、タイマ13aから出力されたゲート信号SGに基づいて、パルス列信号Sが伝送される経路の安全状態を示す信号を保持することができる。なお、ラッチ回路23bは、例えば、マイクロプロセッサにて実現するようにしてもよい。
【0039】
そして、図1のパルス列信号発生装置17にて発生されたパルス列信号Sは、非常停止ボタン16にてオン/オフされる信号経路に出力端子T0を介して送出される。そして、その信号経路に送出されたパルス列信号Sは、その信号経路を介して伝送され、入力端子X0を介して安全監視入力装置23に入力される。そして、パルス列信号Sが安全監視入力装置23に入力されると、タイマ13aにおいて、パルス列信号Sの立ち上がりおよび立ち下がりに基づいて計時値がリセットされ、タイマ13aから出力されるゲート信号SGがハイレベルに維持される。そして、タイマ13aから出力されるゲート信号SGがハイレベルに維持されると、パルス列信号Sが伝送される経路の安全状態を示す信号がラッチ回路23bに保持される。
【0040】
一方、タイマ13aにおいて、パルス列信号Sの立ち上がりおよび立ち下がりが検出されなくなると、タイマ13aの計時値がカウントアップし、タイマ13aから出力されるゲート信号SGがハイレベルからロウレベルに変化する。そして、タイマ13aから出力されるゲート信号SGがハイレベルからロウレベルに変化すると、パルス列信号Sが伝送される経路の非安全状態を示す信号がラッチ回路23bに保持される。
【0041】
ここで、パルス列信号Sが伝送される経路の安全状態または非安全状態を示す信号をラッチ回路23bに保持させることにより、その信号のデータ形式を変換して出力することが可能となり、安全監視システムの様々の仕様に適合させることができる。
【0042】
実施の形態4.
図6は、本発明に係る安全監視入力装置の実施の形態4の概略構成を示すブロック図である。図6において、この安全監視入力装置33には、図2の安全監視入力装置13の構成に加え、タイムアップ値設定部13cが設けられている。ここで、タイムアップ値設定部13cは、タイマ13aにて計時される計時値がタイムアップしたことを示すタイムアップ値TPを設定することができる。
【0043】
そして、タイマ13aの計時値がタイムアップ値TPに到達すると、タイマ13aから出力されるゲート信号SGがハイレベルからロウレベルに変化し、ゲート回路13bにて安全状態がオフにされる。
【0044】
ここで、安全監視入力装置33にタイムアップ値設定部13cを設けることにより、パルス列信号Sの立ち上がりおよび立ち下がりが検出されなくなったら直ぐに安全状態をオフにすることができる。このため、安全状態から非安全状態に移行させる時のタイムラグを短くすることができ、製造設備の正常動作に支障をきたすことなく、製造設備の安全性を向上させることができる。
【0045】
実施の形態5.
図7は、本発明に係る安全監視入力装置の実施の形態5の概略構成を示すブロック図である。図7において、安全監視入力装置43には、デカップリング回路43aおよびゲート回路43bが設けられている。
【0046】
ここで、デカップリング回路43aは、容量結合された経路を伝送されるパルス列信号Sに基づいて、ゲート信号SGを出力することができる。なお、デカップリング回路43aとしては、例えば、コンデンサを用いることができる。ゲート回路43bは、デカップリング回路43aから出力されたゲート信号SGに基づいて、パルス列信号Sが伝送される経路の安全状態を示す信号を出力することができる。
【0047】
そして、図1のパルス列信号発生装置17にて発生されたパルス列信号Sは、非常停止ボタン16にてオン/オフされる信号経路に出力端子T0を介して送出される。そして、その信号経路に送出されたパルス列信号Sは、その信号経路を介して伝送され、入力端子X0を介して安全監視入力装置43に入力される。そして、パルス列信号Sが安全監視入力装置43に入力されると、デカップリング回路43aにおいて、ゲート信号SGの立ち上がりおよび立ち下がりの頻度に応じてゲート信号SGのレベルが設定される。
【0048】
例えば、デカップリング回路43aがコンデンサから構成されるものとすると、パルス列信号Sの立ち上がりおよび立ち下がりの頻度が高い場合、パルス列信号Sにてコンデンサを充電させることができ、ゲート信号SGのレベルをハイレベルにすることができる。一方、パルス列信号Sの立ち上がりおよび立ち下がりの頻度が低い場合、パルス列信号Sにてコンデンサが充電されなくなり、ゲート信号SGのレベルをロウレベルにすることができる。
【0049】
そして、デカップリング回路43aから出力されるゲート信号SGがハイレベルに維持されると、ゲート回路43bにて安全状態がオンにされ、出力端子RX0から出力される信号がハイレベルに設定される。
【0050】
一方、デカップリング回路43aから出力されるゲート信号SGがロウレベルに維持されると、ゲート回路43bにて安全状態がオフにされ、出力端子RX0から出力される信号がロウレベルに設定される。
【0051】
これにより、図1の非常停止ボタン16にてオン/オフされる信号経路にパルス列信号Sを出力することで、その信号経路の安全状態を監視することが可能となる。このため、図1の非常停止ボタン16にてオン/オフされる信号経路の安全状態を監視するために、その信号経路を遮断する必要がなくなり、システム全体の応答時間よりも短い周期で安全状態の診断を行う必要がなくなることから、その信号経路の安全状態の診断にかかる負荷を低減することができる。
【0052】
実施の形態6.
図8は、本発明に係る安全監視入力装置の実施の形態6の概略構成を示すブロック図である。図8において、この安全監視入力装置53には、図7の安全監視入力装置43の構成に加え、時定数設定部43cが設けられている。ここで、時定数設定部43cは、デカップリング回路43aの時定数を設定することができる。
【0053】
そして、パルス列信号Sの立ち上がりおよび立ち下がりの頻度が時定数で決まる値に到達しなくなると、デカップリング回路43aから出力されるゲート信号SGがハイレベルからロウレベルに変化し、ゲート回路43bにて安全状態がオフにされる。
【0054】
ここで、安全監視入力装置53に時定数設定部43cを設けることにより、パルス列信号Sの立ち上がりおよび立ち下がりが検出されなくなったら直ぐに安全状態をオフにすることができる。このため、安全状態から非安全状態に移行させる時のタイムラグを短くすることができ、製造設備の正常動作に支障をきたすことなく、製造設備の安全性を向上させることができる。
【0055】
実施の形態7.
図9は、本発明に係る安全監視入力装置の実施の形態7の概略構成を示すブロック図である。図9において、安全監視入力装置63には、カウンタ63c、タイマ63aおよびゲート回路63bが設けられている。
【0056】
ここで、カウンタ63cは、パルス列信号Sの立ち上がりおよび立ち下がりの回数を所定時間内にカウントし、そのカウント値に基づいてリセット信号RSを出力することができる。タイマ63aは、カウンタ63cから出力されたリセット信号RSに基づいて計時値をリセットし、計時値がタイムアップするまでゲート信号SGを出力することができる。ゲート回路63bは、タイマ63aから出力されたゲート信号SGに基づいて、パルス列信号Sが伝送される経路の安全状態を示す信号を出力することができる。
【0057】
そして、図1のパルス列信号発生装置17にて発生されたパルス列信号Sは、非常停止ボタン16にてオン/オフされる信号経路に出力端子T0を介して送出される。そして、その信号経路に送出されたパルス列信号Sは、その信号経路を介して伝送され、入力端子X0を介して安全監視入力装置63に入力される。そして、パルス列信号Sが安全監視入力装置63に入力されると、カウンタ63cにおいて、パルス列信号Sの立ち上がりおよび立ち下がりの回数が所定時間内にカウントされ、そのカウント値がしきい値以上の場合、リセット信号RSが出力される。
【0058】
そして、リセット信号RSがカウンタ63cから出力されると、タイマ63aの計時値がリセットされ、タイマ63aから出力されるゲート信号SGがハイレベルに維持される。そして、タイマ63aから出力されるゲート信号SGがハイレベルに維持されると、ゲート回路63bにて安全状態がオンにされ、出力端子RX0から出力される信号がハイレベルに設定される。
【0059】
一方、カウンタ63cにおいて、カウント値がしきい値に満たない場合、リセット信号RSの出力が停止される。そして、リセット信号RSの出力が停止されると、タイマ63aの計時値がリセットされることなくタイマ63aの計時が継続される。そして、タイマ63aの計時値がタイムアップすると、タイマ63aから出力されるゲート信号SGがハイレベルからロウレベルに変化する。そして、タイマ63aから出力されるゲート信号SGがハイレベルからロウレベルに変化すると、ゲート回路63bにて安全状態がオフにされ、出力端子RX0から出力される信号がロウレベルに設定される。
【0060】
図10は、図9の安全監視入力装置の各部の信号波形を示すタイミングチャートである。図10において、図1のパルス列信号発生部18では、パルス列信号Sが発生され、出力端子T0を介して送出される。そして、非常停止ボタン16がオフで、非常停止ボタン16にてオン/オフされる信号経路に故障がない場合、パルス列信号Sが入力端子X0に到達する。
【0061】
そして、カウンタ63cにおいて、パルス列信号Sの立ち上がりおよび立ち下がりの回数が所定時間内にカウントされ、そのカウント値がしきい値以上の場合、リセット信号RSのレベルが変化する。
【0062】
そして、リセット信号RSのレベルが変化すると、タイマ63aの計時値がリセットされ、タイマ63aから出力されるゲート信号SGがハイレベルに維持される。そして、タイマ63aから出力されるゲート信号SGがハイレベルに維持されると、ゲート回路63bにて安全状態がオンにされ、出力端子RX0から出力される信号がハイレベルに設定される。
【0063】
一方、非常停止ボタン16がオンした場合または非常停止ボタン16にてオン/オフされる信号経路に故障がある場合、非常停止ボタン16にてオン/オフされる信号経路を伝送される信号がロウレベルまたはハイレベルに固定される。そして、非常停止ボタン16にてオン/オフされる信号経路を伝送される信号がロウレベルまたはハイレベルに固定されると、カウンタ63cにおいて、所定時間内にカウントされるカウント値がしきい値に満たなくなる。そして、カウンタ63cにおいて、カウント値がしきい値に満たない場合、リセット信号RSのレベルが変化しないようになる。
【0064】
そして、リセット信号RSのレベルが変化しないようになると、タイマ63aの計時値がリセットされることなくタイマ63aの計時が継続され、タイマ63aの計時値がタイムアップ値TPに到達する。そして、タイマ63aの計時値がタイムアップ値TPに到達すると、タイマ63aから出力されるゲート信号SGがハイレベルからロウレベルに変化する。そして、タイマ63aから出力されるゲート信号SGがハイレベルからロウレベルに変化すると、ゲート回路63bにて安全状態がオフにされ、出力端子RX0から出力される信号がロウレベルに設定される。
【0065】
ここで、カウンタ63cは、パルス列信号Sの立ち上がりおよび立ち下がりを連続して検出した時に、リセット信号RSを出力するようにしてもよい。これにより、パルス列信号Sの立ち上がりまたは立ち下がりが1回発生しただけで、非安全状態から安全状態に移行されるのを防止することができる。このため、電源をオフしたタイミングでパルス列信号Sの立ち下がりが1回だけ発生したり、電源をオンしたタイミングでパルス列信号Sの立ち上がりが1回だけ発生した場合においても、安全状態を維持することが可能となり、製造設備の安全性を向上させることができる。
【0066】
あるいは、カウンタ63cは、パルス列信号Sの立ち上がりおよび立ち下がりを2回だけ連続して検出した時に、リセット信号RSを出力するようにしてもよい。これにより、電源をオン/オフした際に1発分のパルス列信号Sが発生した場合においても、非安全状態から安全状態に移行されるのを防止することができ、製造設備の安全性を向上させることができる。
【0067】
あるいは、カウンタ63cは、パルス列信号Sの立ち上がりおよび立ち下がりを3回だけ連続して検出した時に、リセット信号RSを出力するようにしてもよい。
【0068】
実施の形態8.
図11は、本発明に係る安全監視入力装置の実施の形態8の概略構成を示すブロック図である。図11において、この安全監視入力装置73には、図9の安全監視入力装置63の構成に加え、立ち上がり検出部63dが設けられている。ここで、立ち上がり検出部63dは、パルス列信号Sが伝送される経路が非安全状態にある場合、パルス列信号Sの立ち上がりを1回だけ検出した時に、パルス列信号Sが伝送される経路の安全状態を示す信号をゲート回路63bに出力させることができる。
【0069】
図12は、図11の安全監視入力装置の各部の信号波形を示すタイミングチャートである。図12において、非常停止ボタン16がオンにされると、タイマ63aから出力されたゲート信号SGがロウレベルになる。このため、ゲート回路63bにて安全状態がオフにされ、出力端子RX0から出力される信号がロウレベルに設定される。
【0070】
また、タイマ63aから出力されたゲート信号SGは、立ち上がり検出部63dに入力され、ゲート信号SGがロウレベルになると、パルス列信号Sが伝送される経路が非安全状態にあると判定される。
【0071】
そして、非常停止ボタン16がオフにされると、パルス列信号Sが、入力端子X0を介して安全監視入力装置73に入力される。そして、パルス列信号Sが安全監視入力装置73に入力されると、立ち上がり検出部63dにてパルス列信号Sの立ち上がりが検出される。そして、パルス列信号Sが伝送される経路が非安全状態にある時に、パルス列信号Sの立ち上がりが立ち上がり検出部63dにて1回だけ検出されると、ゲート信号SGをハイレベルにするようにタイマ63aに指示する。そして、タイマ63aにてゲート信号SGがハイレベルにされると、ゲート回路63bにて安全状態がオンにされ、出力端子RX0から出力される信号がハイレベルに設定される。
【0072】
これにより、パルス列信号Sの立ち上がりを1回だけ検出することで、非安全状態から安全状態に移行させることができ、安全状態の検出を高速化することができる。このため、非安全状態の時に図1のロボット14の動作が停止されていた場合においても、安全状態への移行とともに、図1のロボット14の動作を速やかに復帰させることができ、製造設備の稼働時間を増大させることができる。
【0073】
実施の形態9.
図13は、本発明に係る安全監視入力装置の実施の形態9の概略構成を示すブロック図である。図13において、安全監視入力装置83には、カウンタ83aおよびゲート回路83bが設けられている。一方、パルス列信号発生装置87には、互いに周期の異なるパルス列信号S0、S1を発生するパルス列信号発生部88が設けられるとともに、パルス列信号S0が出力される出力端子T0、パルス列信号S1が出力される出力端子T1が設けられている。
【0074】
そして、安全監視入力装置83の入力端子X0は、非常停止ボタン86を介して出力端子T0、T1のいずれか一方に接続される。例えば、非常停止ボタン86がオフされた場合、入力端子X0は、出力端子T0に接続され、非常停止ボタン86がオンされた場合、入力端子X0は、出力端子T1に接続されることができる。
【0075】
ここで、カウンタ83aは、パルス列信号S0、S1の立ち上がりおよび立ち下がりの回数を所定時間内にカウントし、そのカウント値に基づいてゲート信号SGを出力することができる。ゲート回路83bは、カウンタ83aから出力されたゲート信号SGに基づいて、パルス列信号S0、S1が伝送される経路の安全状態を示す信号を出力することができる。なお、パルス列信号S0の周期は、パルス列信号S1の周期よりも小さくなるように設定することができる。
【0076】
そして、非常停止ボタン86がオフされた場合、入力端子X0は、出力端子T0に接続される。そして、パルス列信号発生部88にて発生されたパルス列信号S0は、非常停止ボタン86にてオン/オフされる信号経路に出力端子T0を介して送出される。そして、その信号経路に送出されたパルス列信号S0は、その信号経路を介して伝送され、入力端子X0を介してカウンタ83aに入力される。
【0077】
そして、パルス列信号S0がカウンタ83aに入力されると、パルス列信号S0の立ち上がりおよび立ち下がりの回数が所定時間内にカウントされ、そのカウント値がしきい値以上の場合、ゲート信号SGがハイレベルに維持される。そして、カウンタ83aから出力されるゲート信号SGがハイレベルに維持されると、ゲート回路83bにて安全状態がオンにされ、出力端子RX0から出力される信号がハイレベルに設定される。
【0078】
一方、非常停止ボタン86がオンされた場合、入力端子X0は、出力端子T1に接続される。そして、パルス列信号発生部88にて発生されたパルス列信号S1は、非常停止ボタン86にてオン/オフされる信号経路に出力端子T1を介して送出される。そして、その信号経路に送出されたパルス列信号S1は、その信号経路を介して伝送され、入力端子X0を介してカウンタ83aに入力される。
【0079】
そして、パルス列信号S1がカウンタ83aに入力されると、パルス列信号S1の立ち上がりおよび立ち下がりの回数が所定時間内にカウントされ、そのカウント値がしきい値に満たない場合、ゲート信号SGがロウレベルに維持される。そして、カウンタ83aから出力されるゲート信号SGがロウレベルに維持されると、ゲート回路83bにて安全状態がオフにされ、出力端子RX0から出力される信号がロウレベルに設定される。
【0080】
図14は、図13の安全監視入力装置の各部の信号波形を示すタイミングチャートである。図14において、図13のパルス列信号発生部88では、周期H0のパルス列信号S0および周期H1のパルス列信号S1が発生され、出力端子T0、T1をそれぞれ介して送出される。なお、周期H0は、周期H1よりも小さくなるように設定することができる。
【0081】
そして、図13の非常停止ボタン86がオフで、非常停止ボタン86にてオン/オフされる信号経路に故障がない場合、周期H0のパルス列信号S0が入力端子X0に到達する。一方、非常停止ボタン86がオンで、非常停止ボタン86にてオン/オフされる信号経路に故障がない場合、周期H1のパルス列信号S1が入力端子X0に到達する。
【0082】
そして、周期H0のパルス列信号S0が入力端子X0を介してカウンタ83aに入力されると、パルス列信号S0の立ち上がりおよび立ち下がりの回数が所定時間H内にカウントされ、そのカウント値がしきい値TH以上の場合、ゲート信号SGがハイレベルに維持される。そして、カウンタ83aから出力されるゲート信号SGがハイレベルに維持されると、ゲート回路83bにて安全状態がオンにされ、出力端子RX0から出力される信号がハイレベルに設定される。
【0083】
一方、周期H1のパルス列信号S1が入力端子X0を介してカウンタ83aに入力されると、パルス列信号S1の立ち上がりおよび立ち下がりの回数が所定時間H内にカウントされ、そのカウント値がしきい値THに満たない場合、ゲート信号SGがロウレベルに維持される。そして、カウンタ83aから出力されるゲート信号SGがロウレベルに維持されると、ゲート回路83bにて安全状態がオフにされ、出力端子RX0から出力される信号がロウレベルに設定される。
【0084】
なお、所定時間H内のパルス列信号S0の立ち上がりおよび立ち下がりの回数がしきい値TH以上になり、所定時間H内のパルス列信号S1の立ち上がりおよび立ち下がりの回数がしきい値THに満たないように、しきい値THを設定することができる。
【0085】
これにより、非常停止ボタン86によるオン/オフに応じてパルス列信号S0またはパルス列信号S1のいずれか一方を選択させることにより、その信号経路の安全状態を監視させることが可能となる。このため、非常停止ボタン86にてオン/オフされる信号経路の安全状態を監視するために、その信号経路を遮断する必要がなくなり、システム全体の応答時間よりも短い周期で安全状態の診断を行う必要がなくなることから、その信号経路の安全状態の診断にかかる負荷を低減することができる。
【0086】
なお、カウンタ83aは、パルス列信号S0、S1の立ち上がりおよび立ち下がりを連続して検出した時に、ゲート信号SGを出力するようにしてもよい。これにより、パルス列信号S0、S1の立ち上がりまたは立ち下がりが1回発生しただけで、非安全状態から安全状態に移行されるのを防止することができる。このため、電源をオフしたタイミングでパルス列信号S0、S1の立ち下がりが1回だけ発生したり、電源をオンしたタイミングでパルス列信号S0、S1の立ち上がりが1回だけ発生した場合においても、安全状態を維持することが可能となり、製造設備の安全性を向上させることができる。
【0087】
あるいは、カウンタ83aは、パルス列信号S0、S1の立ち上がりおよび立ち下がりを2回だけ連続して検出した時に、ゲート信号SGを出力するようにしてもよい。これにより、電源をオン/オフした際に1発分のパルス列信号S0、S1が発生した場合においても、非安全状態から安全状態に移行されるのを防止することができ、製造設備の安全性を向上させることができる。
【0088】
あるいは、カウンタ83aは、パルス列信号S0、S1の立ち上がりおよび立ち下がりを3回だけ連続して検出した時に、ゲート信号SGを出力するようにしてもよい。これにより、パルス列信号S0が伝送される経路とパルス列信号S1が伝送される経路とがショートした際に、パルス列信号S0、S1がワーヤードORまたはANDされた場合においても、非安全状態から安全状態に移行されるのを防止することができ、製造設備の安全性を向上させることができる。
【0089】
また、上述した実施の形態9では、非常停止ボタン86にてオン/オフされる信号経路にパルス列信号S0、S1を送出し、パルス列信号S0が安全監視入力装置83にて検出された時を安全状態、パルス列信号S1が安全監視入力装置83にて検出された時を非安全状態と判定する方法について説明した。この実施の形態9において、図1に示すように、非常停止ボタン86にてオン/オフされる信号経路にパルス列信号Sを送出し、パルス列信号Sが安全監視入力装置83にて検出された時を安全状態、パルス列信号Sが安全監視入力装置83にて検出されない時を非安全状態と判定するようにしてもよい。
【0090】
実施の形態10.
図15は、本発明に係る安全監視入力装置の実施の形態10の概略構成を示すブロック図である。図15において、この安全監視入力装置93には、図13の安全監視入力装置83の構成に加え、しきい値設定部83cが設けられている。ここで、しきい値設定部83cは、カウンタ83aからゲート信号SGが出力される時のカウント値のしきい値THを設定することができる。
【0091】
そして、カウンタ83aのカウント値がしきい値THに到達すると、カウンタ83aから出力されるゲート信号SGがハイレベルからロウレベルに変化し、ゲート回路83bにて安全状態がオフにされる。
【0092】
ここで、安全監視入力装置93にしきい値THを設けることにより、パルス列信号S0からパルス列信号S1に切り替わったら直ぐに安全状態をオフにすることができる。このため、安全状態から非安全状態に移行させる時のタイムラグを短くすることができ、製造設備の正常動作に支障をきたすことなく、製造設備の安全性を向上させることができる。
【0093】
実施の形態11.
図16は、本発明に係る安全監視入力装置の実施の形態11の概略構成を示すブロック図である。図16において、この安全監視入力装置103には、図13の安全監視入力装置83の構成に加え、故障検出部83dが設けられている。ここで、故障検出部83dは、カウンタ83aによるカウント値に基づいて、パルス列信号S0、S1が伝送される経路の故障状態を検出することができる。
【0094】
図17は、図16の安全監視入力装置の各部の信号波形を示すタイミングチャートである。図17において、図13の非常停止ボタン86がオフで、非常停止ボタン86にてオン/オフされる信号経路に故障がない場合、周期H0のパルス列信号S0が入力端子X0に到達する。一方、非常停止ボタン86がオンで、非常停止ボタン86にてオン/オフされる信号経路に故障がない場合、周期H1のパルス列信号S1が入力端子X0に到達する。
【0095】
さらに、非常停止ボタン86にてオン/オフされる信号経路に故障がある場合、非常停止ボタン86のオン/オフに依存することなく、入力端子X0に到達する信号はハイレベルまたはロウレベルに固定される。
【0096】
そして、周期H0のパルス列信号S0が入力端子X0を介してカウンタ83aに入力されると、パルス列信号S0の立ち上がりおよび立ち下がりの回数が所定時間H内にカウントされ、そのカウント値がしきい値TH1以上の場合、ゲート信号SGがハイレベルに維持される。そして、カウンタ83aから出力されるゲート信号SGがハイレベルに維持されると、ゲート回路83bにて安全状態がオンにされ、出力端子RX0から出力される信号がハイレベルに設定される。
【0097】
一方、周期H1のパルス列信号S1が入力端子X0を介してカウンタ83aに入力されると、パルス列信号S1の立ち上がりおよび立ち下がりの回数が所定時間H内にカウントされ、そのカウント値がしきい値TH1に満たず、かつしきい値TH2以上の場合、ゲート信号SGがロウレベルに維持される。そして、カウンタ83aから出力されるゲート信号SGがロウレベルに維持されると、ゲート回路83bにて安全状態がオフにされ、出力端子RX0から出力される信号がロウレベルに設定される。
【0098】
一方、入力端子X0に到達する信号はハイレベルまたはロウレベルに固定され、カウンタ83aにて所定時間H内にカウントされたカウント値がしきい値TH2に満たない場合、ゲート信号SGがロウレベルに維持される。そして、カウンタ83aから出力されるゲート信号SGがロウレベルに維持されると、ゲート回路83bにて安全状態がオフにされ、出力端子RX0から出力される信号がロウレベルに設定される。
【0099】
また、カウンタ83aにて所定時間H内にカウントされたカウント値は、故障検出部83dに出力される。そして、故障検出部83dにおいて、カウンタ83aにて所定時間H内にカウントされたカウント値がしきい値TH2に満たない場合、非常停止ボタン86にてオン/オフされる信号経路が故障状態であると判定される。
【0100】
なお、所定時間H内のパルス列信号S0の立ち上がりおよび立ち下がりの回数がしきい値TH1以上になるように、しきい値TH1を設定することができる。また、所定時間H内のパルス列信号S1の立ち上がりおよび立ち下がりの回数がしきい値TH1に満たず、かつ所定時間H内のパルス列信号S1の立ち上がりおよび立ち下がりの回数がしきい値TH2以上になるように、しきい値TH2を設定することができる。
【0101】
これにより、非常停止ボタン86によるオン/オフに応じてパルス列信号S0またはパルス列信号S1のいずれか一方を選択させることにより、その信号経路の安全状態および故障状態を監視させることが可能となる。このため、非常停止ボタン86にてオン/オフされる信号経路の安全状態および故障状態を監視するために、その信号経路を遮断する必要がなくなり、システム全体の応答時間よりも短い周期で安全状態の診断を行う必要がなくなることから、その信号経路の安全状態および故障状態の診断にかかる負荷を低減することができる。
【0102】
実施の形態12.
図18は、本発明に係る安全監視入力装置の実施の形態12の各部の信号波形を示すタイミングチャートである。なお、この実施の形態12では、図13の安全監視入力装置83と同様の構成を用いることができる。ただし、図13の安全監視入力装置83では、カウンタ83aは、パルス列信号S0、S1の立ち上がりおよび立ち下がりの回数を所定時間内にカウントし、そのカウント値に基づいてゲート信号SGを出力することができる。これに対して、この実施の形態12では、カウンタ83aは、パルス列信号S0、S1の立ち上がりおよび立ち下がりのいずれか一方のみの回数を所定時間内にカウントし、そのカウント値に基づいてゲート信号SGを出力することができる。
【0103】
図18において、図13の非常停止ボタン86がオフで、非常停止ボタン86にてオン/オフされる信号経路に故障がない場合、周期H0のパルス列信号S0が入力端子X0に到達する。一方、非常停止ボタン86がオンで、非常停止ボタン86にてオン/オフされる信号経路に故障がない場合、周期H1のパルス列信号S1が入力端子X0に到達する。
【0104】
そして、周期H0のパルス列信号S0が入力端子X0を介してカウンタ83aに入力されると、パルス列信号S0の立ち上がりの回数が所定時間H2内にカウントされ、そのカウント値がしきい値TH以上の場合、ゲート信号SGがハイレベルに維持される。そして、カウンタ83aから出力されるゲート信号SGがハイレベルに維持されると、ゲート回路83bにて安全状態がオンにされ、出力端子RX0から出力される信号がハイレベルに設定される。
【0105】
一方、周期H1のパルス列信号S1が入力端子X0を介してカウンタ83aに入力されると、パルス列信号S1の立ち上がりの回数が所定時間H2内にカウントされ、そのカウント値がしきい値THに満たない場合、ゲート信号SGがロウレベルに維持される。そして、カウンタ83aから出力されるゲート信号SGがロウレベルに維持されると、ゲート回路83bにて安全状態がオフにされ、出力端子RX0から出力される信号がロウレベルに設定される。
【0106】
なお、所定時間H2内のパルス列信号S0の立ち上がりの回数がしきい値TH以上になり、所定時間H2内のパルス列信号S1の立ち上がりの回数がしきい値THに満たないように、しきい値THを設定することができる。
【0107】
これにより、非常停止ボタン86によるオン/オフに応じてパルス列信号S0またはパルス列信号S1のいずれか一方を選択させることにより、その信号経路の安全状態を監視させることが可能となる。このため、非常停止ボタン86にてオン/オフされる信号経路の安全状態を監視するために、その信号経路を遮断する必要がなくなり、システム全体の応答時間よりも短い周期で安全状態の診断を行う必要がなくなることから、その信号経路の安全状態の診断にかかる負荷を低減することができる。
【0108】
なお、図18の実施の形態12では、カウンタ83aは、パルス列信号S0、S1の立ち上がりの回数を所定時間H2内にカウントする方法について説明したが、パルス列信号S0、S1の立ち下がりの回数を所定時間H2内にカウントするようにしてもよい。
【0109】
図19は、図18の安全監視入力装置のブリッジ発生時の信号波形を示すタイミングチャートである。図19において、パルス列信号S1の周期H1がパルス列信号S0の周期H0の2倍であるものとする。そして、パルス列信号S0が伝送される経路とパルス列信号S1が伝送される経路とがショートすると、パルス列信号S0、S1がワーヤードORまたはANDされ、このワーヤードORまたはANDされた信号がカウンタ83aに入力される。
【0110】
ここで、パルス列信号S0、S1がワーヤードORまたはANDされた場合においても、この信号の立ち上がりのみまたは立ち下がりのみの周期は、パルス列信号S1の周期H1と同じになる。このため、カウンタ83aは、パルス列信号S0、S1の立ち上がりおよび立ち下がりのいずれか一方のみの回数を所定時間内にカウントすることにより、パルス列信号S0が伝送される経路とパルス列信号S1が伝送される経路とがショートした場合においても、非安全状態から安全状態に移行されるのを防止することができ、製造設備の安全性を向上させることができる。
【0111】
なお、上述した実施の形態1〜8では、非常停止ボタン16にてオン/オフされる信号経路にパルス列信号Sを送出し、パルス列信号Sが安全監視入力装置13、13´、23、33、43、53、63、73にて検出された時を安全状態、パルス列信号Sが安全監視入力装置13、13´、23、33、43、53、63、73にて検出されない時を非安全状態と判定する方法について説明した。これらの実施の形態1〜8において、図13に示すように、非常停止ボタン86にてオン/オフされる信号経路にパルス列信号S0、S1を送出し、パルス列信号S0が安全監視入力装置13、13´、23、33、43、53、63、73にて検出された時を安全状態、パルス列信号S1が安全監視入力装置13、13´23、33、43、53、63、73にて検出された時を非安全状態と判定するようにしてもよい。
【0112】
また、上述した実施の形態3〜8では、安全監視入力装置23、33、43、53、63、73とは別個にパルス列信号発生部18を設ける方法について説明したが、安全監視入力装置23、33、43、53、63、73にパルス列信号発生部18を内蔵するようにしてもよい。
【0113】
また、上述した実施の形態9〜12では、安全監視入力装置83、93、103とは別個にパルス列信号発生部88を設ける方法について説明したが、安全監視入力装置83、93、103にパルス列信号発生部88を内蔵するようにしてもよい。
【0114】
また、上述した実施の形態4〜12では、安全状態を示す信号を出力させるために、安全監視入力装置33、43、53、63、73、83、93、103にゲート回路13b、43b、63b、83bを設ける方法について説明したが、図5に示すように、ゲート回路13b、43b、63b、83bの代わりにラッチ回路23bを安全監視入力装置33、43、53、63、73、83、93、103に設けるようにしてもよい。
【0115】
また、上述した実施の形態1〜4では、パルス列信号Sの立ち上がりおよび立ち下がりに基づいて、タイマ13a、43aの計時値をリセットさせる方法について説明したが、パルス列信号Sの立ち上がりおよび立ち下がりのいずれか一方のみに基づいて、タイマ13a、43aの計時値をリセットさせるようにしてもよい。
【0116】
また、上述した実施の形態7、8では、カウンタ63cは、パルス列信号Sの立ち上がりおよび立ち下がりの回数を所定時間内にカウントし、そのカウント値に基づいてリセット信号RSを出力する方法について説明したが、パルス列信号Sの立ち上がりおよび立ち下がりのいずれか一方のみの回数を所定時間内にカウントし、そのカウント値に基づいてリセット信号RSを出力するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0117】
以上のように本発明に係る安全監視入力装置は、安全状態の監視に使用される信号経路を遮断することなく、その信号経路の安全状態を監視することが可能となり、システム全体の応答時間よりも短い周期で安全状態の診断を行う必要がなくなることから、その信号経路の安全状態の診断にかかる負荷を低減する方法に適している。
【符号の説明】
【0118】
11 コントローラ、12 安全制御装置、13,13´,23,33,43,53,63,73,83,93,103 安全監視入力装置、14 ロボット、15 通信ネットワーク、16,86 非常停止ボタン、17,87 パルス列信号発生装置、18,88 パルス列信号発生部、13a,23a,63a タイマ、13b,43b,63b,83b ゲート回路、23b ラッチ回路、13c タイムアップ値設定部、43a デカップリング回路、43c 時定数設定部、63c,83a カウンタ、63d 立ち上がり検出部、83c しきい値設定部、83d 故障検出部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容量結合された経路を伝送されるパルス列信号に基づいて、ゲート信号を出力するデカップリング回路と、
前記ゲート信号に基づいて、前記パルス列信号が伝送される経路の安全状態を示す信号を出力するゲート回路とを備えることを特徴とする安全監視入力装置。
【請求項2】
前記デカップリング回路の時定数を設定する時定数設定部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の安全監視入力装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate


【公開番号】特開2012−248232(P2012−248232A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−208441(P2012−208441)
【出願日】平成24年9月21日(2012.9.21)
【分割の表示】特願2009−100288(P2009−100288)の分割
【原出願日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】