説明

安定した無水結晶形ドセタキセル及びその製造方法

本発明は、抗癌及び抗白血病活性を有する安定した無水結晶形ドセタキセル及びその製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は安定した無水結晶形ドセタキセル及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ドセタキセルは、広範囲の抗腫瘍及び抗白血病活性を有する強力な抗癌化学療法剤であり、乳房癌及び卵巣癌に対する有効な治療剤として販売が承認されている。
主要なドセタキセルの結晶形としては、ドセタキセル三水和物(a);ドセタキセル半水和物(b);及びドセタキセル無水物(c)の三つが報告されており、これらの粉末X線回折スペクトルを図1に示す(特許文献1及び[非特許文献1]参照)。現在、ドセタキセル三水和物の形態が市販されている。
【0003】
特許文献1には、メチルイソブチルケトン、アセトン及び水の混合物を用いてドセタキセル三水和物を製造する方法が開示されている。しかし、同方法は遠心分配クロマトグラフィー(centrifugal partition chromatography)という特殊な工程を用いなければならない。
【0004】
また、特許文献2には、ドセタキセルをエタノールに溶解させ、前記溶液に水を50℃で滴加して結晶化を誘発し、結晶化されたドセタキセル結晶を5.07kPaの圧力下、38℃及び相対湿度80%の下で48時間乾燥してドセタキセル三水和物を製造する方法が開示されている。また、特許文献3には、ドセタキセルをアセトニトリルに溶解させ、前記溶液に水を68℃で滴加して結晶化を誘発し、結晶化したドセタキセル結晶を36℃の温度で650トルの減圧下で36時間乾燥してドセタキセル三水和物を製造する方法が開示されている。
【0005】
前記方法は、最終産物に残っている残留溶媒を除去し難く、7−エピマー(epimer)、すなわち、4−アセトキシ−2α−ベンゾイルオキシ−5−β,20−エポキシ−1,7α,10β−トリヒドロキシ−9−オキソ−タック(tac)−11−エン−13−α−イル(2R,3S)−3−t−ブトキシカルボニルアミノ−2’−ヒドロキシ−3−フェニルプロピオ酸の含量が0.4〜0.8%の範囲であり、7−エピマーの含量が0.5%以下という純度要件(purity requirement)を満たすためには、さらに精製しなければならないという問題点がある。
【0006】
従って、本発明者らは7−エピマーの含量が0.1%以下であり、非吸湿性で且つ高温高湿条件下でも安定な無水結晶形ドセタキセルの開発に努めてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,723,635号
【特許文献2】米国特許第6,022,985号
【特許文献3】米国特許第6,838,569号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】J.Phys.IV France 11,Pr10−221(2001)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明の目的は、安定した無水結晶形ドセタキセル及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様によれば、下記式Iの無水結晶形ドセタキセルを提供する。
【化1】

前記式中、
Phはフェニル;
Acはアセチル;
Bzはベンゾイル;及び
Bocはt−ブトキシカルボニルである。
【0011】
本発明の他の態様によれば、
(i)ドセタキセルを有機溶媒中に溶解させる段階;
(ii)得られた溶液に貧溶媒(anti−solvent)を添加する段階;及び
(iii)生成した結晶を回収する段階
を含む、前記式Iの化合物の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
0.1%以下の7−エピマーの含量を有し、非吸湿性で且つ高温高湿条件下でも安定した本発明の無水結晶形ドセタキセルは、腫瘍及び白血病の治療に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明によるドセタキセル三水和物(a)、ドセタキセル半水和物(b)及びドセタキセル無水物(c)の粉末X線回折スペクトルを示す図である。
【図2】本発明による無水結晶形ドセタキセルAの粉末X線回折スペクトルを示す図である。
【図3】本発明による無水結晶形ドセタキセルBの粉末X線回折スペクトルを示す図である。
【図4】本発明による無水結晶形ドセタキセルCの粉末X線回折スペクトルを示す図である。
【図5】本発明による無水結晶形ドセタキセルDの粉末X線回折スペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の無水結晶形ドセタキセルは、ドセタキセルを有機溶媒中に溶解させ、得られた溶液に貧溶媒を添加して結晶化を誘導し、生成された結晶を濾過により回収し、ドセタキセルの結晶を減圧下で乾燥して製造することができる。
【0015】
本発明のドセタキセルの無水結晶形は製造工程によって変わることがある。本発明によると、本発明のドセタキセルの無水結晶形は、無水結晶形ドセタキセルA、B、C及びDのいずれか一つであって良い。
【0016】
具体的に、本発明の一態様によると、無水結晶形ドセタキセルAのX線回折スペクトルは、4.64、8.04、9.24、11.34、12.54、13.86、15.52、16.92、18.48、19.64、20.40、23.36及び24.20の回折角(2θ±0.1)で、56%以上の相対ピーク強度(100×I/I;I:ピークの強度、I:最大ピーク強度)を有する主要ピークを示す(表1及び図2参照)。
【0017】
本発明の他の態様によると、無水結晶形ドセタキセルBのX線回折スペクトルは、4.88、9.22、9.72、10.38、11.30、11.88、13.34、14.56、15.14、16.62、17.28、17.66、19.02、19.62、19.86、20.86、21.86、24.58及び26.98の回折角(2θ±0.1)で、100%以上の相対ピーク強度(100×I/I;I:ピークの強度、I:最大ピーク強度)を有する主要ピークを示す(表2及び図3参照)。
【0018】
本発明のまた他の実施形態によると、無水結晶形ドセタキセルCのX線回折スペクトルは、4.62、8.22、9.20、10.64、11.44、12.42、13.80、14.20、15.28、17.28、18.46、20.62及び21.86の回折角(2θ±0.1)で、55%以上の相対ピーク強度(100×I/I;I:ピークの強度、I:最大ピーク強度)を有する主要ピークを示す(表3及び図4参照)。
【0019】
本発明のまた別の実施形態によると、無水結晶形ドセタキセルDのX線回折スペクトルは、4.06、4.82、7.58、8.20、9.84、11.44、12.76、13.62、14.16、16.98、19.18、19.60及び19.90の回折角(2θ±0.1)で、50%以上の相対ピーク強度(100×I/I;I:ピークの強度、I:最大ピーク強度)を有する主要ピークを示す(表4及び図5参照)。
【0020】
図2〜図5に示したような無水結晶形ドセタキセルA、B、C及びDのX線回折パターンは、図1の(a)のような従来の方法によって製造された無水結晶形のパターンとは各々異なる。また、本発明の無水結晶形ドセタキセルは、非常に向上した保存安定性を示す:例えば、高温高湿の条件(温度:60±2℃、湿度:75±5%)下で長期間保存しても殆ど分解(degradation)しない。
【0021】
本発明において出発物質として用いられるドセタキセルは、反応スキーム(I)で示された工程によって製造することができ、この工程は:
(i)式(2)の(2R,3S)−N−t−ブトキシカルボニル−4−フェニルイソセリンメチルエステルを有機溶媒中において酸触媒の存在下で1−ジメトキシメチルナフタレンと反応させて、式(3)のオキサゾリジンメチルエステル誘導体を収得し、式(3)の化合物を塩基の存在下で加水分解して式(4)のオキサゾリジン酸誘導体を製造する段階;
(ii)前記式(4)の化合物を溶媒中において縮合剤の存在下で式(5)の保護された10−デアセチルバッカチンとカップリング反応させて、式(6)のオキサゾリジン側鎖含有タキサンを製造する段階;
(iii)前記式(6)の化合物を有機溶媒中において酸の存在下で反応させて、保護された7−及び10−ヒドロキシ基を有する式(7)のドセタキセルを製造する段階;及び
(iv)前記段階(iii)で得られた化合物から7−及び10−ヒドロキシ基を除去する段階を含む。
【化2】

【0022】
本発明の方法によって製造されたドセタキセルの無水結晶形は、当該反応に用いられた溶媒によって変わることがある。また、本発明の無水結晶形ドセタキセルは、7−エピマー不純物を0.1%以下の量で含み、98%以上の高純度を有する。
【0023】
ドセタキセルを溶解させるのに用いられる有機溶媒としては、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、またはテトラヒドロフランのようなエーテル;酢酸エチルまたは酢酸メチルのようなエステル;メチルエチルケトンのようなケトン;ジクロロメタンとメタノールとの混合物;ジクロロメタンとアセトニトリルとの混合物であっても良い。本発明の反応で用いられた有機溶媒の量は、1gのドセタキセルに対して5〜30mlの範囲が好ましい。
【0024】
本発明によれば、無水結晶形ドセタキセルの結晶は、前記有機溶媒にドセタキセルを溶解して製造された溶液に貧溶媒(anti−solvent)を添加することで製造され、前記貧溶媒はペンタン、ヘキサンまたはヘプタンのようなC5−7アルカンであっても良い。前記貧溶媒は前記有機溶媒の容量に対して1〜5倍の容量で用いることが好ましい。
【0025】
得られた無水結晶形ドセタキセルは、濾過により結晶を収得し、得られた結晶を20〜80℃の温度範囲、0.1〜10トルの減圧下で乾燥させることによって製造することができる。得られた無水結晶形ドセタキセルは、残留溶媒の量を厳しく制限するICH(International Conference on Harmonization)の基準によって定められた純度要件を満たしている。
【0026】
本発明の無水結晶形ドセタキセルは、長期間、すなわち、40℃で7日間、相対湿度25%〜50%の条件下で保存する間、安定でほとんど分解しないのに比べて、ドセタキセル三水和物は同等の条件下で50%以上の脱水が起こる。
【0027】
本発明の方法により、7−エピマーの含量が低く且つ貯蔵安定性に優れた高純度のドセタキセルが初めて提供される。
【0028】
以下、本発明を下記実施例により更に詳細に説明する。但し、下記実施例は本発明を例示するためのものであって、本発明の範囲がこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0029】
実施例1:無水結晶形ドセタキセルAの製造(1)
1gのドセタキセル(HPLC純度:99.7%)を室温で20mlの酢酸エチルに溶解させた後、これに30mlのn−ヘキサンを滴加した。前記混合液を室温で12時間攪拌した後、得られた沈殿物を濾過した。次いで、60℃において0.1トルの圧力下で24時間乾燥させて無水結晶形ドセタキセル0.95gを得た(収率:95%)。
HPLC純度:99.8%
7−エピマーの含量:0.03%
標題化合物の含量:99.8%
融点:196−203℃
残留溶媒:酢酸エチル(63ppm)、n−ヘキサン(5ppm以下)
【0030】
前記無水結晶形ドセタキセルの粉末X線回折スペクトルは、図2及び下記表1に示されているように、20%以上の相対ピーク強度(100×I/I;I:ピークの強度、I:最大ピーク強度)を有する主要ピークを示し、本発明者らは、これを“無水結晶形ドセタキセルA”と命名した。
表1
【表1】

【0031】
実施例2:無水結晶形ドセタキセルAの製造(2)
1gのドセタキセル(HPLC純度:99.7%)を室温で20mlの酢酸メチルに溶解させた後、これに30mlのn−ヘキサンを滴加した。前記混合液を室温で12時間攪拌した後、得られた沈殿物を濾過した。次いで、60℃において0.1トルの圧力下で24時間乾燥させて標題化合物0.94gを得た(収率:94%)。
HPLC純度:99.8%
7−エピマーの含量:0.04%
標題化合物の含量:99.7%
融点:194−200℃
残留溶媒:酢酸エチル(20ppm以下)、n−ヘキサン(5ppm以下)
【0032】
実施例3:無水結晶形ドセタキセルAの製造(3)
1gのドセタキセル(HPLC純度:99.7%)を室温で20mlの炭酸ジメチルに溶解させた後、これに30mlのn−ヘキサンを滴加した。前記混合液を室温で12時間攪拌した後、得られた沈殿物を濾過した。次いで、60℃において0.1トルの圧力下で24時間乾燥させて標題化合物0.90gを得た(収率:90%)。
HPLC純度:99.8%
7−エピマーの含量:0.02%
標題化合物の含量:99.9%
融点:195−203℃
残留溶媒:炭酸ジメチル(185ppm)、n−ヘキサン(5ppm以下)
【0033】
実施例4:無水結晶形ドセタキセルBの製造
1gのドセタキセル(HPLC純度:99.7%)を室温で10mlのジクロロメタンと1mlのメタノールとの混合物に溶解させた後、これに30mlのn−ヘキサンを滴加した。前記混合液を室温で12時間攪拌した後、得られた沈殿物を濾過した。次いで、60℃において0.1トルの圧力下で24時間乾燥させて別の無水結晶形ドセタキセル0.98gを得た(収率:98%)。
HPLC純度:99.8%
7−エピマーの含量:0.02%
標題化合物の含量:99.9%
融点:202−209℃
残留溶媒:炭酸ジメチル(185ppm)、n−ヘキサン(5ppm以下)
【0034】
前記無水結晶形ドセタキセルの粉末X線回折スペクトルは、図3及び下記表2に示されているように、20%以上の相対ピーク強度(100×I/I)を有する主要ピークを示し、本発明者らは、これを“無水結晶形ドセタキセルB”と命名した。
表2
【表2】

【0035】
実施例5:無水結晶形ドセタキセルCの製造
1gのドセタキセル(HPLC純度:99.7%)を室温で10mlのジクロロメタンと1mlのアセトニトリルとの混合物に溶解させた後、これに30mlのn−ヘキサンを滴加した。前記混合液を室温で12時間攪拌した後、得られた沈殿物を濾過した。次いで、60℃において0.1トルの圧力下で24時間乾燥させてさらに別の無水結晶形ドセタキセル0.98gを得た(収率:98%)。
HPLC純度:99.8%
7−エピマーの含量:0.03%
標題化合物の含量:99.9%
融点:198−206℃
残留溶媒:アセトニトリル(50ppm)、n−ヘキサン(5ppm以下)
【0036】
前記無水結晶形ドセタキセルの粉末X線回折スペクトルは、図4及び下記表3に示されているように、20%以上の相対ピーク強度(100×I/I)を有する主要ピークを示し、本発明者らは、これを“無水結晶形ドセタキセルC”と命名した。
表3
【表3】

【0037】
実施例6:無水結晶形ドセタキセルDの製造
実施例1で得られた1gの無水結晶形ドセタキセルA(HPLC純度:99.7%)を30mlのジエチルエーテル中に溶解させてから12時間攪拌した後、これに20mlのn−ヘキサンを滴加した。前記混合液を室温で12時間攪拌した後、得られた沈殿物を濾過した。次いで、60℃において0.1トルの圧力下で24時間乾燥させて、さらなる無水結晶形ドセタキセル0.88gを得た(収率:88%)。
HPLC純度:99.8%
7−エピマーの含量:0.04%
標題化合物の含量:99.7%
融点:192−200℃
残留溶媒:ジエチルエーテル(180ppm)、n−ヘキサン(5ppm以下)
【0038】
前記無水結晶形ドセタキセルの粉末X線回折スペクトルは、図5及び下記表4に示されているように、20%以上の相対ピーク強度(100×I/I)を有する主要ピークを示し、本発明者らは、これを“無水結晶形ドセタキセルD”と命名した。
表4
【表4】

【0039】
試験例1:高温/高湿条件下での安定性
前記実施例1,4,5及び6で製造されたそれぞれの無水結晶形ドセタキセルと、米国特許第6,022,985の方法によって製造されたドセタキセル三水和物との長期間保存安定性を、高温高湿条件(60±2℃、75±5%湿度)下でそれらの試料をねかせることにより比較した。1、2、4及び8週後に各試料におけるオリジナル化合物の量を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で測定した。各試料の純度を下記表5に表した。
表5
【表5】

【0040】
前記表5で示されているように、本発明の無水結晶形ドセタキセルは、高温高湿条件下で8週間安定であったのに対し、同一の条件下でドセタキセル三水和物は急速に分解された。前記結果は、本発明の無水結晶形ドセタキセルが従来の方法により製造されたドセタキセル三水和物よりも一層安定であることを示す。
【0041】
以上、本発明を上記の特定の実施例により説明したが、以下の特許請求の範囲に記載の本発明の範囲内おいて、多様な改変および変形もまた可能であることが認識されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0042】
0.1%以下の7−エピマーの含量を有し、非吸湿性で且つ高温高湿条件下でも高い安定性を有する本発明の無水結晶形ドセタキセルは、腫瘍及び白血病の治療に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、
Phはフェニル;
Acはアセチル;
Bzはベンゾイル;及び
Bocはt−ブトキシカルボニルである]
の無水結晶形ドセタキセル。
【請求項2】
0.1%以下の7−エピマーを含む、請求項1に記載の無水結晶形ドセタキセル。
【請求項3】
X線回折スペクトルが、4.88、9.22、9.72、10.38、11.30、11.88、13.34、14.56、15.14、16.62、17.28、17.66、19.02、19.62、19.86、20.86、21.86、24.58及び26.98の2θ値で、100%以上の相対ピーク強度(100×I/I;I:ピークの強度、I:最大ピークの強度)を有する主要ピークを示す、請求項1に記載の無水結晶形ドセタキセル。
【請求項4】
X線回折スペクトルが、4.62,8.22,9.20、10.64、11.44、12.42、13.80、14.20、15.28、17.28、18.46、20.62及び21.86の2θ値で、55%以上の相対ピーク強度(100×I/I;I:ピークの強度、I:最大ピークの強度)を有する主要ピークを示す、請求項1に記載の無水結晶形ドセタキセル。
【請求項5】
X線回折スペクトルが、4.06、4.82、7.58、8.20、9.84、11.44、12.76、13.62、14.16、16.98、19.18、19.60及び19.90の2θ値で、50%以上の相対ピーク強度(100×I/I;I:ピークの強度、I:最大ピークの強度)を有する主要ピークを示す、請求項1に記載の無水結晶形ドセタキセル。
【請求項6】
(i)ドセタキセルを有機溶媒中に溶解させる段階;
(ii)得られた溶液に貧溶媒を添加する段階;及び
(iii)生成された結晶を回収する段階
を含む、式(I):
【化2】

[式中、
Phはフェニル;
Acはアセチル;
Bzはベンゾイル;及び
Bocはt−ブトキシカルボニルである]
の無水結晶形ドセタキセルの製造方法。
【請求項7】
前記段階(iii)が濾過により結晶を回収し、得られた結晶を20〜80℃範囲の温度と0.1〜10トルの減圧下で乾燥することを含む、請求項6に記載の無水結晶形ドセタキセルの製造方法。
【請求項8】
前記段階(i)で用いられた有機溶媒がエーテル、エステル、ケトン、ジクロロメタンとメタノールとの混合物、ジクロロメタンとアセトニトリルとの混合物、及びこれらの混合物からなる群から選ばれる請求項6に記載の無水結晶形ドセタキセルの製造方法。
【請求項9】
前記有機溶媒が1gのドセタキセルに対して5〜30mlの量で用いられる請求項6に記載の無水結晶形ドセタキセルの製造方法。
【請求項10】
前記貧溶媒がペンタン、ヘキサン、またはヘプタンである請求項6に記載の無水結晶形ドセタキセルの製造方法。
【請求項11】
前記貧溶媒が前記有機溶媒の容量に対して1〜5倍の容量で用いられる請求項6に記載の無水結晶形ドセタキセルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−523647(P2010−523647A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−502936(P2010−502936)
【出願日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際出願番号】PCT/KR2008/002014
【国際公開番号】WO2008/123751
【国際公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(599139534)ハンミ ファーム. シーオー., エルティーディー. (56)
【Fターム(参考)】