説明

安定なサイレージ及びサイレージ添加物

【課題】茶殻等の再利用方法として、副資材を使用することなくスムーズに乳酸発酵が行われて良質のサイレージが製造できる茶殻等を使用したサイレージ添加物、及びサイレージを提供する。
【解決手段】緑茶、紅茶、ウーロン茶、プーアール茶、観音茶等の茶木、茶茎、茶葉採取滓、茶葉、茶殻、茶液清澄化残滓、茶液濾過残滓からなる群から選んだ1もしくは2以上をサイレージ原料に添加し、他の副資材を使用することなく嫌気発酵を行い、乳酸は多く酪酸は少ない良質なサイレージを製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイレージ及びサイレージ添加物に関するものであり、更に詳細には、茶木、茶茎、茶葉採取滓、茶葉、茶殻、茶液清澄化残滓、茶液濾過残滓からなる群から選んだ1もしくは2以上を含有するサイレージ添加物、及びそれを使用するサイレージに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、茶系飲料が急増しそれに伴い排出される茶殻の量も緑茶殻だけでも年間約53000トンにも及ぶ。これらは主に家畜の敷料や堆肥の副資材として処理されているが、茶系飲料はその生産量を年々増加させ、1990年から1999年までに約2.85倍にまで増やしており、今後も排出量の増加する茶殻、茶液清澄化残滓、茶液濾過残滓などを再利用する為に有効な活用法を模索する必要がある。また、製茶においても、茶木、茶茎、茶葉採取滓が排出されるため、これらの再利用も検討が必要である。
【0003】
さらに、近年、海外の家畜飼料の価格が安価であるため、飼料の輸入が増加し、飼料自給率が低くなっている。物質循環という面から考えると、必ずしも安価な輸入飼料を利用する事が優れているとは言えない。輸入飼料を食べた家畜やそれを食べた人間の排泄物が輸入国にとどまり、輸出国の農地へは還元されないため、物質環境が滞った状態である。強いては輸出国での地力低下、砂漠化を招き、輸入国では養分蓄積により富栄養化がおこり環境汚染等の問題が生じる。このような面からも物質循環ということで、食品副産物である製茶滓の利用は環境保全へと繋がると考えられる。
【0004】
従来、茶殻の利用方法としては、茶殻を飼料に直接添加して給餌する方法が知られている。例えば茶殻は再資源化の方法として鶏、乳牛、肉牛等の家畜の飼料に混合して与えるなどして活用されてきた。今までに採卵鶏に与えることによって、卵の品質改善、特に気泡力の改良、過酸化脂質量、脂肪量の低下や卵白透明度の改善などの効果があることが認められている。
【0005】
一方、サイレージ化技術に関しては、サイレージ原料(牧草類)の繊維を分解して糖分を生成する分解酵素(セルラーゼ等)や、発酵を促進する乳酸菌を添加することが報告されており、また、通常、良好なサイレージを製造するには糖分の多い副資材を添加することによって良好な乳酸発酵が促進されるとするのが技術常識とされており、例えばグルコースや糖蜜、ビートパルプ等の添加が報告されている。
【0006】
したがって、茶葉や茶殻は糖分が少ないため、これをそのままサイレージ原料として使用することは従来の技術常識レベルでは不可とされており、事実、茶葉や茶殻を用いて糖分、糖分生成酵素、乳酸菌等の副資材を使用することなく、サイレージを製造し成功した例は知られていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
茶殻や、屑茶葉、古茶葉等の茶葉の排出量は、大幅に増加している。すなわち、茶系飲料の急増に伴い排出が増加している茶殻を再利用する為に有効な活用法を模索する必要がある。工場からの排出量は非常に多く、飼料だけでは処理しきれないため、多岐に亘った利用法が望まれる現状にあることは事実である。製茶に利用できない茶葉や、製茶する段階で、製品として不適合な茶葉が副産物として出てきたり、余剰分の茶葉、古くなった茶葉等を再利用する方法も検討する必要がある。
【0008】
また、乳酸菌製剤はサイレージ製造においてよく利用されるが、菌を増殖させる為には基質(栄養)、水分、温度などの環境が整っていないと期待していたほどの効果を得られない。プロピオン酸等の酸添加では有害微生物の汚染防止には有効であるが、サイロ等の設備を腐蝕させたり作業時の人体への危険性がある。
【0009】
一方、茶木、茶茎、茶葉採取滓、茶葉、茶殻、茶液清澄化残滓、茶液濾過残滓からなる群から選んだ1もしくは2以上は人体に無害であるばかりでなく、さらに廃棄物として処理されてきた有機性廃棄物を有効利用することができれば、環境保全に貢献できる。また、これらにはカテキンも含まれており、この成分も有効利用していくことが望まれる。
【0010】
ただ、茶殻、茶葉には消化酵素の失活、栄養素の吸収阻害等を引き起こすと言われるタンニン類が含まれる為、基本的に飼料に不向きであり敬遠されてきた。事実、茶殻や茶葉を直接家畜に与えた時、給与量が多ければ多いほど家畜の生育を減少させる傾向があり、大量に排出される茶殻を再利用する為には大量に給与することが必要で、その為には生育阻害の少ない利用方法を模索する必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記した技術の現状に鑑み、大量に排出される茶木、茶茎、茶葉採取滓、茶葉、茶殻、茶液清澄化残滓、茶液濾過残滓からなる群から選んだ1もしくは2以上の有効利用の途を新たに開発する目的でなされたものである。しかしながら、茶、特に緑茶抽出残渣には、栄養価が低く、タンニンも含まれ、更にサイレージ化に必要な糖分が少ないため、全量をサイレージ化には適さないと考えられてきた。そして、事実、乳酸菌等を特に添加せず、茶殻や茶葉を用いてサイレージを製造するのに成功した例は知られていない。
【0012】
上記したように茶殻や茶葉はサイレージの製造には使用できないとするのが技術常識である。しかしながら、本発明者らは、このような技術常識にあえて挑戦し、糖分が少ない等サイレージの製造には使用不可能とされていた茶殻、茶葉をサイレージ原料に対して5〜30%添加したところ、全く予期せざることに、サイレージの製造ができないと予測されていたにもかかわらず、全くその逆に良好な発酵が進み、微生物等を添加していないにもかかわらず、乳酸菌が増殖して、乳酸が多く酪酸は少ない良質なサイレージを製造できるという有用な新知見を得た。
【0013】
また、良質なサイレージの指標である乳酸量も多くなり、その効果は安定しており明らかである。製造したサイレージを乳牛に給与した所、ルーメン内の微生物活性を高めた。品質も良好であったことが給与結果からも明らかであった。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、茶殻、茶葉を5〜30%添加することによって良好な発酵が進み、微生物等を添加していないのにも関わらず、乳酸菌が増えたことにより乳酸が多く生成され、これが品質を劣化させる微生物の増殖を抑さえ、酪酸の少ない良質なサイレージを製造できる。また、茶殻、茶葉を添加することにより、良質なサイレージの指標である乳酸量も多くなり、安定して得られる。さらに、効率よく高品質のサイレージ製造ができるだけでなく、大量に排出される茶殻や屑茶葉も有効利用でき、環境保全上もすぐれた効果が奏される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、上記した有用新知見に基づき更に研究の結果、遂に完成されたものであって、茶木、茶茎、茶葉採取滓、茶葉、茶殻、茶液清澄化残滓、茶液濾過残滓からなる群から選んだ1もしくは2以上を用いてサイレージを製造するものである。以下、本発明について詳述する。
【0016】
本発明では、茶木、茶茎、茶葉採取滓、茶葉など乾燥状態のものは、まとめて微粉砕粉にしておけば、そのままいつでも使用することができ、また茶殻や一次抽出液、二次抽出液、茶液清澄化残滓、茶液濾過残滓などと混ぜて使用することができる。茶殻は、水分を多く含んでおり、そのままの状態で放置するとその形状が起因し通気性が悪くすぐに腐敗する。よって茶殻を保管する事は非常に難しい。直ぐに利用する場合はそのまま利用し、長期間保存が必要な場合は、冷蔵したり、冷凍したり、乾燥させたりするのが好ましい。添加前の形態は保存時を考えると茶木、茶茎、茶葉採取滓、茶葉などの微粉砕粉と混ぜて、乾燥していたほうがより扱いやすい。添加時の茶殻の水分含量に関係なくサイレージ化することができる。また、茶葉は製茶前のものでも、製茶途中、製茶後のものでも良い。乾燥した環境下で保管しておくのがよい。
【0017】
また、本発明は、茶木、茶茎、茶葉採取滓、茶葉、茶殻、茶液清澄化残滓、茶液濾過残滓からなる群から選んだ1もしくは2以上粉末化したり、ペレット錠剤に製剤化したりして、サイレージ添加物を提供するものである。
【0018】
茶木、茶茎、茶葉採取滓、茶葉、茶殻、茶液清澄化残滓、茶液濾過残滓からなる群から選んだ1もしくは2以上は、緑茶、紅茶、ウーロン茶、プーアール茶、観音茶その他不発酵茶、半発酵茶、発酵茶のいずれもが使用可能であるが、ビタミン類、カテキン類、アミノ酸含量の高いものがより好適である。場合によっては、一次抽出液、二次抽出液を混合しても構わない。緑茶や、ウーロン茶等の中国茶も良好なサイレージ化効果を奏するが、緑茶の方が更にすぐれた効果を奏する。また、茶葉や茶殻はすぐれたサイレージ化効果を奏するが、茶木、茶茎、茶葉採取滓、茶葉、茶殻、茶液清澄化残滓、茶液濾過残滓などから選んだものを適宜混合してもすぐれた効果を安定的に奏する。
【0019】
茶殻、茶葉を添加する方法としては、茶殻や茶葉を添加する際、サイレージ原料の水分含量に合わせて水分調節をするのが望ましく、添加方法はサイレージ製造時にまんべんなく振りかけるようにして混合すればよい。
【0020】
茶木、茶茎、茶葉採取滓、茶葉、茶殻、茶液清澄化残滓、茶液濾過残滓からなる群から選んだ1もしくは2以上の添加量が乾燥重量で、牧草等のサイレージ原料に対して、全体の0.2〜40%、好ましくは1〜30%、更に好ましくは10〜20%の割合で混合することによって1ヶ月以上の保管(熟成)が可能となった。更に約4ヶ月以上保管してもサイレージとして充分利用可能であった。なお、茶木、茶茎、茶葉採取滓、茶葉、茶殻、茶液清澄化残滓、茶液濾過残滓からなる群から選んだ1もしくは2以上の添加量は、上記に限定されることなく、適宜設定することが可能であり、サイレージ原料やサイレージ副資材の使用等により適宜最適値を添加すればよい。
【0021】
サイレージ原料としては、常用される原料が適宜単用ないし2種以上併用され、その非限定例としては次のものが挙げられる:オーチャードグラス、チモシー、ペレニアンライグラス、イタリアンライグラス、ケンタッキーブルーグラス、トールフェスク、スーダングラス、ワラ等のイネ科植物;シロクローバー、アカクローバー、アルファルファ等のマメ科植物;トウモロコシ類;その他あぜ草、野草、野菜屑、各種牧草類。また、近年、行われているオールインサイレージのように、穀類、ぬか類、大豆、大豆粕、ビール粕、などの濃厚飼料や未利用・低利用飼料資源などの副資材を一緒に混ぜてサイレージ化することも可能である。
【0022】
サイレージ化の方法としては、通常のサイレージを作る方法で良く、適度な水分含量(通常、60〜70%)にした原料を密封条件下において乳酸発酵させればよい。その際、密封は充分であってもサイロ等の内部の原料密度が低いと酸素の残存量が多くなるため、サイレージ原料を細断したり、踏圧したりして密度を上げるようにすると良いサイレージが得られる。
【0023】
サイレージ化は、青刈りしたあるいは乾燥した原料を密封して一定期間(通常は2〜3ヶ月間)嫌気発酵すればよく、例えばサイロ内に原料を充填して嫌気発酵を行うタワーサイロサイレージ、原料をロール状に巻いてラップしたものを発酵させるロールベールサイレージ、丘陵地の斜面を削ってコンクリートを張りそこに原料を敷き詰めてビニールを張ったバンカーサイロで発酵を行うバンカーサイロサイレージ、原料をビニールで包んで密封したバッグサイロで発酵を行うバッグサイロサイレージ等が挙げられる。
【0024】
サイレージ化した飼料は、そのまま飼料として与えても良いし、穀類、ぬか類、大豆などの蛋白質含量の高い濃厚飼料を添加して混合飼料としたり、栄養バランスのとれたTMR(Total Mixed Ration)として調整をしても良い。
【実施例】
【0025】
以下、本発明の実施例について述べる。
【0026】
(実施例1)
材料草として、スーダングラス1番草(無予乾、3cmにカット)を使用し、そこへ緑茶殻、紅茶殻、ウーロン茶殻を乾燥させずそのまま添加したもの400gを、900mlのガラスボトルに詰めて、25℃で、1ヶ月間貯蔵を行った。処理区分は表1のとおりとした。
【0027】
【表1】

【0028】
サイレージの発酵品質評価として、各区分のpH、乳酸含量、酪酸含量、VBN(揮発性塩基態窒素)を測定した。また、材料牧草及びサイレージの成分分析は、通風乾燥処理した風乾試料とホモジナイザーで作成した抽出液を用いて行なった。VBN含量は水蒸気蒸発法で測定した。pH値はガラス電極pHメーター、乳酸含量は比色光度測定法(Barnettら、1951)、酢酸、酪酸、プロピオン酸についてはガスクロマトグラフィー(径3mm、長さ1.5mmのガラスカラム、充填材として、Chromosorb
W(25%FAL−M on 80 to 100mesh)、温度条件は136℃−200℃−200℃、キャリアーガス:窒素(1.6kg/cm2)、イオン化検出器を用いた)にて測定した。得られた結果を下記表2に示す。表中、FM%、DM%、T−Nはそれぞれ湿重量%、乾物重量%、全窒素を表わす。
【0029】
【表2】

【0030】
上記結果から明らかなように、無添加のサイレージはpHが高く、乳酸含量が低く、酪酸含量が高くなった。通常、サイレージの品質は、乳酸含量が高いものは嗜好性が高くなるため品質が良いとされ、また、酪酸含量がより低いものは雑菌の繁殖を抑制しているとして品質が良いものとされてきたことから、無添加のサイレージは、あまり品質の良いものではないと言える。各種茶殻を添加したサイレージのpHは、緑茶殻を展開したサイレージが最も低くなり、次いでウーロン茶殻、紅茶殻の順であった。
【0031】
また、各区分、VBNの値が無添加サイレージより低くなった。これは乳酸発酵の進行によりサイレージのpHが低下し、微生物(クロストリジウム)のプロテアーゼ活性の抑制により蛋白質の分解が抑えられたことと、茶殻に含まれる蛋白含量が高かったためと思われる。蛋白質の分解が進むと、サイレージの栄養価が低くなるので、茶殻を添加したほうがより良いということが確認された。
【0032】
(実施例2)
材料草として、エンバク極早生品種1番草、冬収穫(無予乾、3cmにカット)を使用し、材料草400gに乾燥せずそのまま緑茶殻、乾燥させた緑茶殻を添加して、900mlガラスボトルに詰めて、25℃で、1ヶ月間貯蔵を行った。処理区分は表3のとおりとした。
【0033】
【表3】

【0034】
サイレージの発酵品質評価として、各区分のpH、乳酸含量、酢酸含量、酪酸含量を測定した。測定方法は、実施例1と同様に行った。
【0035】
【表4】

【0036】
上記の結果から明らかのように、実施例1と同様無添加のサイレージはpHが高く、乳酸含量が低く、酪酸含量が高くなった。乾燥せずそのまま添加した緑茶殻と乾燥した緑茶殻とのpHは、無添加区と比べ低くなった。このことから乾燥せずそのままの緑茶殻及び乾燥緑茶殻のどちらも牧草に添加することで、良好なサイレージをうることがわかった。
【0037】
(実施例3)
材料草として、スーダングラス2番草(無予乾、3cmにカット)を使用し、材料草400gに滅菌せずにそのままの緑茶殻又は120℃15分でオートクレーブした緑茶殻を添加して、900mlガラスボトルに詰めて、25℃で、1ヶ月間貯蔵を行った。処理区分は表5のとおりとした。
【0038】
【表5】

【0039】
サイレージの発酵品質評価として、各区分のpH、乳酸含量を測定した。測定方法は、実施例1と同様に行った。
【0040】

【表6】

【0041】
上記の結果から明らかのように、実施例1と同様無添加のサイレージはpHが高く、乳酸含量が低くなった。滅菌した緑茶殻も緑茶殻と同様pHは、無添加区と比べ低く、乳酸含量は高くなった。このことから滅菌した緑茶殻を添加することでも、乳酸発酵を高め良好なサイレージを得ることがわかった。
【0042】
(実施例4)
材料草として、エンバク1番草(無予乾、フォレージハーベスタでカット)を使用し、材料草10kgに緑茶殻を添加してポリエチレンパック(幅625cm×高さ800mm×厚さ0.06mm)サイロに詰め込み、吸引ポンプで脱気した後、ビニール紐で開口部を閉じ密閉した。調製したサイレージは、室内で30日間貯蔵した。処理区分は表7のとおりとした。
【0043】
【表7】

【0044】
サイレージの発酵品質評価として、各区分のpH、乳酸含量を測定した。測定方法は、実施例1と同様に行った。
【0045】
【表8】

【0046】
上記の結果から明らかのように、実施例1と同様無添加のサイレージはpHが高く、乳酸含量が低くなった。緑茶殻のpHは、無添加区と比べ低く、乳酸含量は高くなった。このことから、小スケール規模ばかりでなく実用規模に近いバックサイロにおいても緑茶殻を添加することでも、良好なサイレージを得ることがわかった。
【0047】
本発明により、茶殻、茶葉を5〜30%添加することによって良好な発酵が進み、微生物等を添加していないのにも関わらず、乳酸菌が増えたことにより乳酸が多く生成され、これが品質を劣化させる微生物の増殖を抑さえ、酪酸の少ない良質なサイレージを製造できることを見出した。また、茶殻、茶葉を添加することにより、良質なサイレージの指標である乳酸量も多くなり、安定して得られることが明らかとなった。このことは、乳牛、肉牛の食欲増進にも繋がると考えられる。
【0048】
このように製造したサイレージを乳牛に給与したところ、ルーメン内の微生物活性を高め、品質も良好であったことが給与結果からも明らかであった。故に、茶殻等を添加してサイレージ化することは、発酵品質を高める働きがある。そして、廃棄物を有効利用するため、本発明は環境保全技術としてもすぐれている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
茶木、茶茎、茶葉採取滓、茶葉、茶殻、茶液清澄化残滓、茶液濾過残滓からなる群から選んだ1もしくは2以上をサイレージ添加物としてサイレージ原料に添加すること、を特徴とする糖分、糖分生成酵素、乳酸菌の副資材を使用することなくサイレージを製造する方法によって製造してなる、乳酸が多く酪酸は少ない良質なサイレージ。
【請求項2】
茶木、茶茎、茶葉採取滓、茶葉、茶殻、茶液清澄化残滓、茶液濾過残滓からなる群から選んだ1もしくは2以上の添加量が乾燥重量で、サイレージ原料あたり0.2〜40%であること、を特徴とする請求項1に記載のサイレージ。
【請求項3】
茶木、茶茎、茶葉採取滓、茶葉、茶殻、茶液清澄化残滓、茶液濾過残滓からなる群から選んだ1もしくは2以上の添加量が乾燥重量で、サイレージ原料あたり0.2〜20%であること、を特徴とする請求項1又は2に記載のサイレージ。
【請求項4】
茶木、茶茎、茶葉採取滓、茶葉、茶殻、茶液清澄化残滓、茶液濾過残滓からなる群から選んだ1もしくは2以上が、緑茶、紅茶、ウーロン茶、プーアール茶、観音茶から選ばれるものであること、を特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のサイレージ。
【請求項5】
サイレージが、ロールベールサイレージ、タワーサイロサイレージ、バンカーサイロサイレージ、バッグサイロサイレージから選ばれる少なくともひとつであること、を特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のサイレージ。
【請求項6】
サイレージ原料として、イネ科植物、マメ科植物、トウモロコシから選ばれる少なくともひとつを使用するものであること、を特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のサイレージ。
【請求項7】
茶木、茶茎、茶葉採取滓、茶葉、茶殻、茶液清澄化残滓、茶液濾過残滓からなる群から選んだ1もしくは2以上を含有してなること、を特徴とする乳酸が多く酪酸は少ない良質なサイレージを製造することができるサイレージ添加物。

【公開番号】特開2008−253278(P2008−253278A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−196858(P2008−196858)
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【分割の表示】特願2002−279893(P2002−279893)の分割
【原出願日】平成14年9月25日(2002.9.25)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成13年3月31日 日本草地学会発行の「日本草地学会誌 第47巻別号」に発表
【出願人】(308009277)株式会社ポッカコーポレーション (31)
【Fターム(参考)】