説明

安定化抗菌性組成物

活性酸素化合物と、二酸化塩素の前駆物質とを含有する溶解可能な固体を含む組成物であって、前記固体が、総量約5gの重量である場合に、25℃の水約3.8リットルに30分未満で溶解し、それによって、二酸化塩素を少なくとも10ppm含有する抗菌溶液が生成されることを特徴とする組成物が開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌性脱臭剤および消毒剤として使用される安定化組成物から二酸化塩素と活性酸素の混合物を生成する分野に関する。
【背景技術】
【0002】
二酸化塩素は、抗菌剤および/または脱臭剤として使用されるが、誤用された場合には非常に有毒であり、ヒトおよび動物への曝露を安全限界までに維持するように細心の注意を払わなければならない。二酸化塩素はまた、溶解状態で不安定であり、長時間の間、保存することができない。その代わりとして、制御条件下にて、酸性化を用いて二酸化塩素を発生させる、金属亜塩素酸塩を使用ことができる。
【0003】
(特許文献1)には、酸化還元開始剤(ペルオキソ二硫酸塩またはシュウ酸などの)の存在下にて酸性水溶液中でペルオキシ一硫酸塩と亜塩素酸塩を反応させることによって、酸素と混合された二酸化塩素を製造する方法が開示されている。低温での反応を促進するために、塩化物塩、好ましくは塩化ナトリウム、および/または硫酸水素塩が添加され得る。(特許文献1)には、この反応を行うためのキットであって、1つの組成物が亜塩素酸塩を含有し、第2の個別の組成物が酸化還元開始剤と混合されたペルオキシ一硫酸塩を含有するキットも開示されている。一実施形態において、その2種類の乾燥組成物は、2つの個別のタブレットの形をとり得る。すべての実施例によって、高温の水に上記の2種類の組成物を別々に投入することが示されている。二酸化塩素と酸素の混合物を生成するこの方法では、単一の、容易に溶解可能な組成物が得られない。
【0004】
水に溶解すると短時間で、活性酸素と、安全濃度の二酸化炭素とを含有する、脱臭および消毒の目的に適している水溶液を生成する組成物が必要とされる。一貫して安全な取り扱いレベルで、不溶性物質を全く残さず、溶解状態の二酸化塩素を提供するために、使い易い、取り扱いおよび保管するのが安全な形態で、好ましくはタブレットの形態で、予め測定された、簡便な適用量を提供することによって、特殊かつ高価な二酸化塩素発生装置の代わりの手段を提供することが望まれる。さらに、二酸化塩素の生成のために、多量の亜塩素酸ナトリウムおよび酸を保管する必要を無くすことが望まれる。本発明は、かかる組成物を提供する。
【0005】
【特許文献1】国際公開第03/055797号パンフレット
【非特許文献1】AOAC Fungicidal Activity of Disinfectants Protocol,Method 955.17
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、活性酸素化合物と、二酸化塩素の前駆物質とを含む固体の形態にある組成物を含み、前記固体は、総量約5gの重量である場合に、25℃の水約3.8リットルに30分未満で溶解し、それによって、二酸化塩素を少なくとも10ppm含有する溶液が生成される。好ましくは、この組成物は:
a)硫黄含有オキシ酸を約60重量%〜約90重量%と、
b)可溶性亜塩素酸塩を約3重量%〜約25重量%と、
c)アルカリ金属ハロゲン化物塩またはアルカリ土類金属ハロゲン化物塩であって、前記アルカリ金属ハロゲン化物塩またはアルカリ土類金属ハロゲン化物塩のカチオンは、25℃の水への溶解性が1%未満である硫酸塩を形成しないものである塩を約3重量%〜約12重量%と、
d)アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ金属重炭酸塩、またはアルカリ土類金属重炭酸塩であって、前記アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ金属重炭酸塩、またはアルカリ土類金属重炭酸塩のカチオンは、25℃の水への溶解性1%未満を有する硫酸塩を形成しないものである塩を約2重量%〜約20重量%
含む。
【0007】
本発明はさらに、上述の溶解組成物を含有する溶液を、表面へ塗布することを含む、表面を脱臭する方法を含む。
【0008】
本発明はさらに、上述の溶解組成物を含有する溶液を、表面へ塗布することを含む、表面を脱臭、清浄化および/または消毒する方法を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
商標は、本明細書において大文字で示される。
【0010】
本発明は、汎用の抗菌剤、清浄化剤、消毒剤、殺菌剤、防カビ剤、および脱臭剤として使用される、二酸化塩素と活性酸素との水溶液を生成するための、容易に溶解可能な組成物、好ましくはタブレットに関する。この組成物は、活性酸素化合物と、二酸化塩素を発生する前駆物質と、を含む。本発明の組成物は、タブレットの形で、取り扱い時に破損に耐えるのに十分な硬度を有することによって、かつタブレットまたは他の単位は、重量約5gの場合に、25℃の水約1米国ガロン(3.8リットル)に30分未満、好ましくは15分未満で溶解し、それによって二酸化塩素を少なくとも10ppm含有する溶液を生成する特性によって特徴付けられる。最適な組成および処理条件を用いると、攪拌することなく、15分未満の溶解時間が得られ、15ppmを超える二酸化塩素溶液濃度が生じる。
【0011】
組成物は固体であり、いずれかの物理的形態をとり得る。例としては、粉末、凝集塊、ゲル、タブレット、またはいずれかの幾何学的形状の他の固体が挙げられる。タブレットが、本明細書での使用に好ましく、他の固体形態を組成物に使用することができる。
【0012】
本明細書で使用される「タブレット」という用語は、カプレット、ゲルキャップ、ブリケット、ディスク、ブロックまたはユニットなどの種々の物理的形態の、通常固められた、圧縮、成形、または押出しされた固形材料の塊を意味する。
【0013】
本明細書で使用される「微生物」という用語は、いずれかの非細胞または単細胞(コロニーを含む)生物を意味する。微生物は、すべての原核生物を含む。微生物としては、細菌(シアノバクテリアおよびマイコバクテリアを含む)、苔癬、真菌、カビ、原生動物、ビリノ、ウイロイド、ウイルス、および一部の藻類が挙げられる。本明細書において使用される、「微生物(microbe)」という用語は、微生物(microorganism)と同義である。
【0014】
本明細書で使用される「抗菌剤」という用語は、微生物を破壊または無能力にし、ならびに微生物の成長を抑制する、薬剤を意味する。
【0015】
本明細書で使用される「清浄化剤」という用語は、抗菌活性を提供する薬剤を意味する。US EPA基準では、30秒で5−logの殺菌が必要とされる。
【0016】
本明細書で使用される「消毒剤」という用語は、抗菌活性を提供する薬剤を意味する。US EPA基準では、10分で特定の病原性細菌の3logの殺菌が必要とされる。これらの細菌は、黄色ブドウ球菌(S.aureus)、緑膿菌(P.aeruginosa)、ブタコレラ菌(S.choleraesuis)である。
【0017】
本明細書で使用される「ppm」という用語は、マイクログラム/グラムを意味する。
【0018】
好ましくは、本発明の組成物は、成分の重量%の合計が100%になるという条件で、以下の成分:
a)硫黄含有オキシ酸を約60重量%〜約90重量%と、
b)可溶性亜塩素酸塩を約3重量%〜約25重量%と、
c)アルカリ金属ハロゲン化物塩またはアルカリ土類金属ハロゲン化物塩であって、前記アルカリ金属ハロゲン化物塩またはアルカリ土類金属ハロゲン化物塩のカチオンは、25℃の水への溶解性が1%未満である硫酸塩を形成しないものである塩を約3重量%〜約12重量%と、
d)アルカリ金属炭酸塩もしくは重炭酸塩、またはアルカリ土類金属炭酸塩もしくは重炭酸塩であって、前記炭酸塩または重炭酸塩のカチオンは、25℃の水への溶解性が1%未満である硫酸塩を形成しないものである塩を約2重量%〜約20重量%含む。
【0019】
任意に、本発明の組成物は、
e)糖アルコール、マルトデキストリンまたはコーンシロップ固形物などの水溶性タブレット結合剤を0〜約15重量%と、
f)水溶性デンプンまたは加工デンプンを0〜約5重量%と、
g)タブレット潤滑剤、好ましくは水溶性タブレット潤滑剤を0〜約5重量%と、
h)パンチ面付着防止剤、好ましくは水溶性パンチ面付着防止剤を0〜約5重量%と、
i)芳香向上剤を0〜約5重量%;
j)オキシ酸以外の酸を0〜約20重量%と、
k)いずれかの適切な充填剤を0〜約32重量%
もまた含有する。
【0020】
任意の成分が含有される場合、その量は、成分の重量%の合計が100%になるように選択される。
【0021】
本発明の組成物における主要な成分は、硫黄含有オキシ酸(a)である。これは、活性酸素を供給し、かつ可溶性亜塩素酸塩と反応して二酸化塩素を発生する。適切な活性酸素化合物は、活性酸素源を提供し、清浄化または消毒作用の源も提供することができる化合物である。ペルオキシ硫酸およびその塩などの硫黄含有オキシ酸が好ましい。その例としては、ペルオキソ一硫酸およびペルオキソ二硫酸およびそれらの塩が挙げられる。好ましくは、硫黄含有オキシ酸は、アルカリ一過硫酸塩および/またはアルカリ二過硫酸塩、さらに好ましくは一過硫酸カリウムを含有し、さらに好ましくは、一過硫酸カリウム、硫酸水素カリウム、および硫酸カリウムの三重塩を含有する。後者はおよそ、式:2KHSO・KHSO・KSOによって表され、商品名オキソン(OXONE)でデラウェア州ウィルミントン(Wilmington,DE)の本願特許出願人から市販されている。それは、タブレット中に約60重量%〜約90重量%、好ましくは約60重量%〜約80重量%、さらに好ましくは約70重量%〜約75重量%の量で存在する。
【0022】
本発明の組成物は、水中で上記のオキシ酸と反応して、二酸化塩素を生成する可溶性亜塩素酸塩(b)も含有する。好ましくは、それは可溶性亜塩素酸塩である。かかる可溶性亜塩素酸塩の例としては、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩が挙げられる。さらに好ましくは、可溶性亜塩素酸塩は亜塩素酸ナトリウムである。それは、タブレット中に約3重量%〜約25重量%、好ましくは約3重量%〜約10重量%の量で、さらに好ましくは約5重量%で存在する。
【0023】
本発明の組成物は、そのカチオンが、25℃の水への溶解性1%未満を有する硫酸塩を形成しないという条件で、アルカリ金属ハロゲン化物塩またはアルカリ土類金属ハロゲン化物塩(c)も含有する。好ましくは、そのハロゲン化物塩は、塩化マグネシウムおよび塩化ナトリウムからなる群から選択される。塩化亜鉛および臭化亜鉛もまた、本明細書での使用に適している。さらに好ましくは、可溶性ハロゲン化物塩は塩化マグネシウムである。ハロゲン化物塩は、二酸化塩素の生成の速度を増す触媒として作用することができる。塩化マグネシウムなどの特定のハロゲン化物塩が使用される場合、それらは、溶解熱のために局所的な加熱効果も提供し、その結果、タブレットの溶解および二酸化塩素の生成が促進される。ハロゲン化物塩は、タブレット中に約3重量%〜約12重量%、好ましくは約5重量%〜約10重量%の量で、さらに好ましくは約8重量%で存在する。
【0024】
本発明の組成物は、そのカチオンが、25℃の水への溶解性1%未満を有する硫酸塩を形成しないという条件で、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属重炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩またはアルカリ土類金属重炭酸塩(d)も含有する。好ましくは、それは、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、炭酸カリウム、重炭酸マグネシウム、および炭酸マグネシウムからなるリストから選択される。さらに好ましくは、それは重炭酸ナトリウムである。それは、タブレットに対して、約2〜約20重量%、好ましくは約2〜約10重量%の量で、さらに好ましくは約5重量%で存在する。溶液のpHを調整するその作用の他に、炭酸塩または重炭酸塩は、酸水性媒体中で反応して、二酸化炭素を発生し、その結果泡立ちが起こり、したがってタブレットの溶解がさらに促進される。
【0025】
本発明の組成物は任意に、タブレットの硬度を高めるために、かつ水へのタブレットの溶解性を高めるためにも、水溶性タブレット結合剤(e)0〜約15%を含有する。入手可能ないずれかのかかる結合剤を使用することができる。糖アルコール、マルトデキストリンまたはコーンシロップ固形物などの結合剤が好ましい。さらに好ましくは、結合剤は糖アルコールである。さらに好ましくは、糖アルコールはソルビトールである。タブレット結合剤は、好ましくは約1〜約10重量%、さらに好ましくは約4重量%の量で存在する。
【0026】
本発明の組成物は任意に、水溶性デンプンまたは加工デンプン(f)0〜約5重量%も含有する。それは好ましくは、約2〜約3重量%で存在する。トウモロコシ、コムギ、ダイズ、米、ジャガイモ、またはセルロース由来のデンプンなど、入手可能ないずれかのかかるデンプンを使用することができる。デンプンは、水にエントリーポイントを提供し、そのため水への溶解を助ける。
【0027】
本発明の組成物は任意に、潤滑剤(g)0〜約5重量%もまた含有する。潤滑剤および圧縮助剤は、タブレットの型からタブレットの良好な離型を確実にし、かつ当技術分野でよく知られている。適切な潤滑剤としては、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸スクロースなどのステアレート、鉱油、およびシリコーン潤滑剤が挙げられる。約1〜約2重量%の量のポリエチレングリコールなどの水溶性タブレット潤滑剤が好ましい。好ましくは、それは、分子量3000〜10000、さらに好ましくは3000〜9000、またさらに好ましくは約7000〜9000を有する。好ましくは、潤滑剤は、ミシガン州ミッドランドのダウ・ケミカル社(Dow Chemicals,Midland,Michigan)から市販のポリエチレングリコール180(PEG 180)である。潤滑剤は、タブレット化プロセス中に使用される装置における各ユニットのキャビティの側壁に作用する。これは、タブレット化装置の整備問題を回避する助けとなり、タブレットの適切な離型およびタブレットの完全性を確保する助けとなる。
【0028】
本発明の組成物は任意に、パンチ面付着防止剤(h)0〜約5%もまた含有する。安息香酸ナトリウムなどの水溶性パンチ面付着防止剤が好ましい。これは、タブレット化プロセスにおいて、単位キャビティの底およびタブレット化装置におけるパンチ面に潤滑剤を提供することによって、助けとなる。これは、タブレット化装置の整備問題を回避する助けとなり、タブレットの適切な離型およびタブレットの完全性を確保する助けとなる。好ましくは、付着防止剤は、タブレットに対して0〜約1重量%で存在する。
【0029】
本発明の組成物は任意に、芳香向上剤(i)0〜約5%もまた含有する。酸化剤の存在下で、その芳香が安定であるという条件で、入手可能ないずれかの芳香向上剤を使用することができる。好ましくは、芳香向上剤は、0〜約0.5重量%で存在する。
【0030】
本発明の組成物は任意に、pH調整のための、共酸(j)、オキシ酸以外の酸0〜約20重量%も含有する。好ましくは、溶液のpHは、ClOの最適な生成のために、2.5〜5.0に調整される。好ましくは、共酸は、アジピン酸、リンゴ酸、スルファミン酸、クエン酸、酒石酸、グルタル酸、コハク酸または重硫酸ナトリウムの群から選択される。
【0031】
本発明の組成物は任意に、充填剤約0〜約32%も含有する。いずれかの適切な充填剤、例えば、アルカリ金属硫酸塩またはアルカリ土類金属硫酸塩を使用することができる。硫酸カリウムおよび硫酸ナトリウムが、かかる充填剤の例として挙げられる。
【0032】
本発明の組成物は、室温で水に容易に溶解することができる。水に溶解するのにかかる正確な時間は、著しく異なり得る。それは、組成を除く多くの因子;例えば物理的形態、サイズ、数および形状、その表面および内部硬度、その表面粗さまたは艶、その含水率、溶解する水の温度、水の量、攪拌の程度などの因子に依存する。さらに、ブレンド中の個々の成分の粒径およびブレンドの均一性によって、溶解時間の変化を予期することができる。特定の組成物の正確な溶解時間は、これらの因子に応じて異なる。それは、主に比較の目的のために、つまり、一方の組成物をもう一方の組成物と比較するために重要であり、その比較試験は、標準化された混合、タブレット化および溶解手順を用いて、かつ特定のタブレット化装置を使用して行われる。
【0033】
混合、混練、ブレンド、ペレット化、タブレット化、または押出し成形などの当業者に公知のいずれかの方法を用いて、本発明の組成物を製造することができる。組成物を製造するプロセスは、従来の装置を使用して、周囲温度および圧力などの適切な手法の下で行われる。例えば、タブレット化を用いて、水に容易に溶解し、さらに包装および取り扱い中の破損を低減するのに十分な硬度を有するタブレットを製造することができる。所望の場合には、速すぎる反応速度を防ぐために注意を払って、多少高温の水を使用することによって、より速い溶解時間を得ることができる。
【0034】
例えば、タブレットは、従来のタブレット化プロセスおよび装置を用いて製造される。成分を計量し、ふるいにかけて、凝集塊のサイズを低減することができる。例えばホバート(Hobart)ミキサーを使用して、成分を物理的に合わせ、混合する。存在する場合には、損失を低減し、ブレンドを容易にするために、芳香は一般に、他の固形成分のうちの1つと予備混合される。成分を混合し、ブレンドをタブレットプレス、例えば02601マサチューセッツ州ハイアニスキッズヒルロード400(Kidd’s Hill Road,Hyannis,MA )のDTコンバーティングテクノロジーズ(Converting Technologies)から市販のストークス(Stokes)DD2回転式プレスに供給する。所望のサイズおよび硬度のタブレット、およびプレスされたタブレットが得られるように、プレスを調整する。
【0035】
本発明はさらに、本発明の組成物の水溶液を表面へ塗布することを含む、表面を脱臭および/または清浄化および/または消毒する方法を含む。この方法は、抗菌または殺菌作用を提供するのにも有用である。この方法は、水に溶解すると、活性酸素と、安全濃度の二酸化塩素とを含有する、繊維状基材および硬質表面を脱臭および清浄化するのに適している水溶液を短時間で生成する固形組成物を提供するのに有用である。繊維状基材としては、カーペット、織物、椅子張り材料、ドレープ生地、および他の家庭用材料が挙げられる。適切な材料としては、天然および合成繊維の材料が挙げられる。溶解組成物を含有する水溶液は、吹付け塗布、発泡、パディング、および同様な技術など従来の手段によって、織物またはカーペットなどの繊維状基材に塗布される。本発明での処理に適している硬質表面としては、多孔質コンクリート、れんが、タイル、石、グラウト、モルタル、テラゾ、セッコウボード、木材、金属、FORMICAなどの積層材、ビニル、磁器、花崗岩、またはカウンタートップ、棚、床、および他の家庭の表面に使用される、家庭で一般に見られる複合材料が挙げられる。溶解組成物を含有する水溶液は、吹付け塗布、発泡、流し込み、スポンジング、および同様な技術など従来の手段によって、硬質表面を有する基材に塗布される。
【0036】
本発明の組成物は、二酸化塩素への亜塩素酸ナトリウムの効率的な変換を提供し、すべての成分が水溶性であり、そのため清浄化された表面に不溶性残留物が残らないという利点を有する。表面上に残った未変換の亜塩素酸ナトリウムは、殺菌および脱臭作用を有するだろう。
【0037】
本発明の組成物の水溶液は、抗菌剤として有効である。それは、微生物の成長を抑制し、微生物細胞を破壊し、かつ/または無能力にする致死剤としても作用する。特に、本発明の組成物の水溶液は、殺菌剤および殺真菌剤として有効である。このように、かかる溶液は、上述の種々の表面に使用する清浄化剤、消毒剤、および脱臭剤として有用かつ有効である。処理表面上の微生物の個体数の低減は、かかる表面と接触しているものに対する保護を提供することにおいて利益となる。
【0038】
以下の実施例で使用される手順は、本発明の実例を意図するものであるが、本発明の範囲を制限することを意図するものではまったくなく、添付の特許請求の範囲によってのみ制限される。
【0039】
(分析)
以下のすべての実施例において、ppm ClO濃度および活性酸素は以下のように決定した。タブレットを最初に、脱イオン水3.8Lに溶解した。私書箱389,80539コロラド州ラブランドのザハッチカンパニー(The Hach Company,P.O. Box 389,Loveland,Colorado 80539)から市販のHach DR/890シリーズ色彩計およびHach Method 8345を用いてppm ClO濃度を測定した。「ppm AO(ClO)」と略記される、ClOによる活性酸素のppmを決定するために、上記の結果に0.593を乗ずる。
【0040】
「ppm AO(オキソン(OXONE))」と略記される、硫黄含有オキシ酸(オキソン(OXONE))、による活性酸素のppmを以下のように決定した。最初に、上記の溶液の活性酸素総含有量を決定した。タブレットを脱イオン水3.8Lに溶解した。溶液の試料50gに、20%硫酸10mLおよび25%ヨウ化カリウム10mLを添加した。次いで、19805デラウェア州ウィルミントンランカスターパイク4417,バーリーミルプラザ23(Barley Mill Plaza 23,4417 Lancaster Pike,Wilmington,DE 19805)の本願特許出願人から入手可能なオキソン(OXONE)のデュポン技術報告において、かつインターネットで「http://www.dupont.com/oxone/techinfo/」に開示されているように、溶液をチオ硫酸ナトリウムで滴定した。次いで、この値を上記で決定されたppm AO(ClO)を差し引くことによって補正し、ppm AO(オキソン(OXONE))を決定した。
【実施例】
【0041】
(実施例1〜5)
タブレットを以下のように製造した:個々の成分を化学てんびんで計量した。亜塩素酸ナトリウムを乳鉢および乳棒で予め粉砕し、粒径および塊を低減した。芳香を個々の成分、通常安息香酸ナトリウムと予め混合して、混合物中にそれを均一に導入するのを容易にした。次いで、すべての材料を広口瓶中で手作業で合わせ、5分間または均一な混合物が得られるまで、混合した。次いで、46992インディアナ州ワバッシュモーリスストリート1569(1569 Morris St.,Wabash,IN 46992)のカーバー(Carver)社から市販のカーバー実験室用プレス(Carver lab press)を使用して、混合した材料をプレスしてタブレットにした。ダイにかけられた圧力は10,000psi(69.0×10Pa)であった。このようにして、表1に示す配合を有する、重さ5.75グラムまたは10グラムの単一タブレットを製造した。B656デンプンは、アイオワ州マスカティーン(Mascatine,Iowa)のグレインプロセッシングコーポレーション(Grain Processing Corporation)から市販のINSCOSITY B656トウモロコシデンプンを指す。脱イオン水3.8Lにタブレットを溶解することによって、溶液を調製し、溶解時間を測定した。上述の方法を用いて、二酸化塩素および活性酸素について、ならびにpHおよび溶解時間について、溶液を試験した。その結果を表1に示す。
【0042】
【表1】

【0043】
表1に、一般に10分未満の溶解時間と共に、17ppmを超えるClOレベルを有する配合物が記録されている。ClOの生成は、タブレット5.75グラムと比較して、タブレット10グラムではおよそ2倍となった。
【0044】
(実施例6〜9)
表2に示される量で主要成分としてオキソン(OXONE)、亜塩素酸ナトリウム、塩化マグネシウム、および重炭酸ナトリウムを含有する試料タブレットを製造した。表2に示される、少量の糖アルコール、デンプン、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウムおよび芳香剤を使用して、溶解またはタブレット化を助け、または風合いを付与した。個々のバッチを、重量約8Kgの種々のサイズで製造した。
【0045】
大きな埋込みばかりを使用して、成分を計量した。次いで、パドル付きの工業用「キッチン様式」ホバート(Hobart)ミキサーで成分を混合した。ブレンドされた粉末をストークス(Stokes)DD2回転式プレス中に供給した。それぞれ約2グラムのタブレットを製造した。タブレットを砕くのに必要な圧力を測定することによって、タブレットの「硬度」を定量化した。商業包装のための最適な硬度を示す硬度約5と共に、1〜約12のキロポンド尺度を用いて、結果を測定した。先に記載される二酸化塩素および活性酸素について、ならびにpHおよび溶解時間について、タブレットを分析した。ClOレベルを維持しながら、様々なタブレットサイズの溶解時間に対する効果を観察した。2〜2.5グラムの小さなタブレットを一度に2つ試験して、表1の単一の5.75グラムのタブレットに匹敵する結果を得た。得られたデータを表2に示す。
【0046】
【表2】

【0047】
表2のデータから、硬度試験測定値約5で最良のバランスが見出され、20ppm中程の範囲のClOレベルおよび溶解時間約5分を有するタブレットが得られることが実証された。
【0048】
(実施例10)
表2に示す半分の量の成分を使用し、化学物質を乾燥状態に維持し、低湿度環境に維持するのに必要な特定のプロトコルを用いて、実施例9の組成物のバッチ50グラムを製造した。オキソン(OXONE)と混合する前に、亜塩素酸ナトリウムを乳鉢および乳棒で粉砕した。次いで、重炭酸ナトリウム、塩化マグネシウム、ソルビトール、安息香酸ナトリウム、PEG−180、およびデンプン−芳香剤ブレンドをこの順序で添加した。次いで、バッチ50グラムをガラス広口瓶中で混合し、ローラーミルで完全に混合して、ブレンドの均一性を確保した。ダイ寸法は、上記のブレンド5グラムを計量し、3つに分け、カーバー(Carver)プレスで3つのタブレットにプレスすることを要した。3つのタブレットの全重量は5グラムであった。3つのタブレットを蒸留水3780グラムに入れ、攪拌することなく溶解させた。溶解時間、pH、温度およびClOのppmを測定した。上述のHach DR890色彩計を使用して、ClOのppmを測定した。その結果を表3に示す。
【0049】
【表3】

【0050】
上記の試験から、ClO測定値は非常に一貫性があり、かつ試験されたタブレットそれぞれのpHおよび溶解時間は、非常に類似していることが示された。
【0051】
(実施例11)
工業規模の装置を使用して、表2に示す実施例9の組成物を用いて、タブレットを製造した。以下の手順を用いて、バッチ10kgを製造した:大きな埋込みばかりを使用して、成分を計量した。亜塩素酸ナトリウを予め粉砕して、粒径を低減し、芳香剤をソルビトールと混合して、導入を容易にし、全部で10kgの混合物を、パドル付きの「キッチン様式」ホバート(Hobart)ミキサーで10分間ブレンドした。ブレンドされた粉末をストークス(Stokes)DD2回転式プレス中に供給した。タブレットの「硬度」は5であり、それは商業包装用途の最低限の硬度を示す。タブレット1個当たりおよその重量2.6グラムのサイズにした。26℃の水に溶解することによって試験した場合に、タブレットの溶解時間は5分を下回った。タブレットの安定性を試験し、その結果を表4に示す。
【0052】
【表4】

タブレットの性能および安定性はどちらも満足のいくものであった。
【0053】
(実施例12)
これらの実験の目的は、タブレット化中にカーバー(Carver)プレスの圧力を変化させることによって、タブレットの性能への効果を決定することであった。表2に示す実施例9の組成物を使用して、一連のタブレットを製造した。14mmダイを使用して、厚さ約3/8インチのタブレットを得た。溶解試験は、合計5グラムのタブレット3つを使用して行った。上述のように、水1ガロンにタブレットを溶解し、試験した。
【0054】
【表5】

【0055】
上記の試験から、タブレットの化学的性能は、タブレット化の圧力に関係なく非常に一貫性があり、かつ溶解時間に対して、特に圧力基準の下端で、顕著な効果があることが示された。
【0056】
(実施例13〜17および比較例A〜D)
塩化マグネシウムの代わりに、等量の種々の化学物質を使用したことを除いては、実施例8の手順および組成物を使用して、一連のタブレットを製造した。これらの試験の目的は、他のいずれかの化学物質が、タブレットの溶解およびClOの生成の促進における塩化マグネシウムの有益な効果を示すかどうかを見出すことであった。試験される化学物質の一部は、それらが水に溶解すると熱を発生することが知られていることから選択され、他の化学物質は、ClOの生成を促進するため、他のハロゲン化物塩の有用性を調べるために選択された。
【0057】
【表6】

【0058】
注記1.ClO試験が行われた時間は、タブレットの溶解速度に依存し、それに応じて変化した。
注記2.タブレットが60分の最後に完全に溶解しない場合には、実験を中止した。
注記3.塩化第二鉄の試験は、ClO試験を明らかに妨げる黄色のために中断した。臭化カルシウムもまた、結果を妨げるオレンジ色を生じた。
【0059】
ハロゲン化物塩のみが、10ppmを超えるClO生成率を生じた。特定の非ハロゲン化物塩が溶解すると示す発熱性は助けとなるが、発生する熱の量と溶解速度またはClO濃度との間の明確な関係はなかった。
【0060】
迅速なタブレットの溶解に関しては、塩化マグネシウム組成物が、試験された他のハロゲン化物塩よりも明らかに優れていた。塩化亜鉛および臭化亜鉛組成物もまた、測定されたすべての特性のバランスをとることにおいて一般に満足のいくものであった。塩化カルシウム組成物はClOの生成に関して満足のいくものであったが、おそらくオキソン(OXONE)との反応によって硫酸カルシウムが形成されるために、上記の試験での溶解性が乏しいと思われた。
【0061】
(実施例18〜19および比較例E)
過硫酸カリウムまたは過硫酸ナトリウムをオキソン(OXONE)の代わりに使用したことを除いては、実施例8の組成物を使用して、試験用タブレットを製造した。成分を化学てんびんで計量した。乳鉢および乳棒を使用して、過硫酸カリウムまたは過硫酸ナトリウムおよび亜塩素酸ナトリウムの粒径を低減し、次いで、他の成分と共に同様に粉砕した。混合物を広口瓶に入れ、ローラーミルで20分間混合した。カーバー実験室用プレス(Carver lab press)を使用して、混合物5グラムをほぼ同じサイズのタブレット3つに形成した。タブレットを水1ガロン(3.75L)にいれ、溶解させた。次いで、代わりの成分を使用して、二酸化塩素を発生する能力を決定するために、測定を行った。
【0062】
【表7】

【0063】
過硫酸ナトリウムおよびカリウムのどちらの代替物も、溶解状態で許容可能かつ使用可能なレベルでClOを発生した。しかしながら、過硫酸カリウムは、許容できない溶解時間を有した。過硫酸ナトリウムも過硫酸カリウムも、オキソン(OXONE)の短い溶解時間を示さなかった。
【0064】
(実施例20)
実施例6の配合物を有する上述のタブレットを製造した。脱イオン水2ガロン(3.5L)中に2つのタブレットを溶解することによって溶液を調製し、微生物への有効性について試験した。
【0065】
接種物の作製:試験細菌は、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)ATCC 6538、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)ATCC 15442、およびブタコレラ菌(Salmonella choleraesuis)ATCC 10708を含む。修正されたAOACプロトコル965.13を用いて、各培養物をトリプチケースソイ寒天培地上に3日間毎日移植した。TSAプレートに無菌バターフィールドバッファー(BB)5mLを添加し、滅菌L形接種棒を使用してコロニーを懸濁することによって、各細菌の懸濁液を調製した。これを滅菌Nephaloフラスコに移した。BB5mLをさらにプレートに添加し、プレートをかき混ぜ、得られた懸濁液を同じNephaloフラスコに添加した。Klettによる測定を行い、懸濁液をBBでさらに希釈して、Klett測定値約24〜29(約89%T);これは、約1.0E+08CFU/mLに等しい)を得た。ストック接種物をさらに1:100に希釈して、表8に示す密度を得た。
【0066】
試験用システム:試験用接種物のアリコート0.1mLを試験物質9.9mLに添加し、管を混合し、タイマーを開始した。10分間の曝露時間後、段階稀釈プレートの計数をTSA上で行った。D/E(Dey/Engley)中和ブロス(Neutralizing Broth)(マサチューセッツ州ビルリカのベクトン・ディッキンソン社(Becton Dickinson,Billerica,MA)から市販されている)を最初の段階稀釈管において中和のために使用した。試験用接種物0.1mLをBB9.9mLに添加することによって、接種物対照も実施し、10分間の曝露時間後、TSA上にプレーティングした。すべてのプレートを35℃で18〜24時間インキュベートし、コロニーを計数し、密度を計算した。中和を検証するために、24時間TSAプレートからの1つのコロニーをBB9.9mLの管に添加し、この管からloopful 1uLを、成長を示さない各Dey/Engley管中に接種した。アリコート0.1mLをTSA上にプレーティングし、35℃で48時間インキュベートし、コロニーを計数した。アリコート0.1mLをTSAプレート上にプレーティングし、その結果、約200コロニー/プレートが得られた。各試験細菌についてこれを行った。
【0067】
濃HClで酸性化されたアンチウム・ジオキシド(Anthium Dioxide)(ロードアイランド州ノースキングストン(North Kingston,RI)のIDI社から市販の安定化亜塩素酸ナトリウム)を使用し、フィルター滅菌ミリポア(Millipore)(登録商標)水に溶解して、二酸化塩素対照溶液を調製した。0〜50ppmハッチキット(Hach kit)を使用して、調製された溶液のClO濃度を測定した。3回測定を行い:(1)23.2mg/L、(2)23.0mg/L、および(3)23.5mg/Lであり、ClO平均濃度は23.2ppmであった。
【0068】
【表8】

【0069】
細菌それぞれについて、曝露された細菌の密度および細菌への有効性の結果を以下の9A、9Bおよび9Cに示す。表8、9A、9Bおよび9Cにおいて、Eプラスまたはマイナス2桁の表記は、2桁が、Eの前の数字が乗される10の累乗を示す指数を意味する。例えば、1.1E+08は1.1×10である。
【0070】
【表9】

【0071】
【表10】

【0072】
【表11】

【0073】
水2ガロン(7.6L)に溶解された本発明のタブレットは、3種類すべての細菌を殺すのに非常に有効であり、30秒で≧5−logの減少であった。黄色ブドウ球菌(S.aureus)に関しては、ClO対照もまた30秒で同じレベルの殺菌を示すことから(表9A参照)、このレベルの活性はおそらく、溶解状態でのClO(23.2ppm)の生成に起因する。緑膿菌(P.aeruginosa)についても同様に、1,008ppmでのオキソン(OXONE)単独からの有効性も10分間の曝露で示されているにもかかわらず(表9B参照)、5−logの殺菌はおそらく、30秒間の曝露におけるClOの生成に起因する。30秒でのClO対照は、完全な殺菌を示した(つまり、5−logの減少)。一方、10分でのオキソン(OXONE)もまた、完全な殺菌を示した(つまり、5−logの減少)。ブタコレラ菌(S.choleraesuis)については、このレベルの活性もおそらく、完全な殺菌(つまり、5−logの減少)を示す、30秒間の曝露におけるClOの生成に起因する。1,008ppmでのオキソン(OXONE)単独からの有効性(つまり、2.9−logの殺菌)が10分間の曝露で実証された(表9C参照)。
【0074】
(実施例21)
このアッセイは、公開されている(非特許文献1)からのいくつかの修正形態を有する。アスペルギルスフミガーツフ(Aspergillus fumigatus)ATCC 1098を麦芽エキス寒天(マサチューセッツ州ビルリカのベクトン・ディッキンソン社(Becton Dickinson,Billerica,MA)から市販されている)プレート上で成長させ、芽胞を収集した。フィルター滅菌ミリポア水中で−20℃で保存した。この実験に使用される芽胞の調製を以下に詳述する。アスペルギルスフミガーツフ(A.fumigatus)の冷凍ストックを解凍し、希釈して、この実験用の接種物懸濁液を得た。接種物試料は、約5×10分生胞子/mLであると推定された。蒸気滅菌4Lボトルにおいてフィルター滅菌ミリポア水を使用して、以下の試験溶液を調製した:
水の対照:(フィルター滅菌水のみ),pH6.28。
オキソン(OXONE)対照:重炭酸ナトリウム0.98g+10%HSO5.25gを使用して、pH4.43に緩衝された、滅菌水1ガロン(3.8L)中のオキソン(OXONE)3.78グラム。
亜塩素酸塩の対照:pH4.55に緩衝された(10%HSO1.8g)滅菌水1ガロン中の亜塩素酸ナトリウム0.26グラム。
バッファーの対照:重炭酸ナトリウム,pH4.4に調整。
二酸化塩素:アンチウム・ダイオキサイド(anthium dioxide)(ロードアイランド州ノースキングストン(North Kingston,RI)のIDI社から市販の安定化亜塩素酸ナトリウム)をHClで酸性化した。
クロロックス(CLOROX)の対照:クロロックス(CLOROX)漂白剤4.17mLと水を総量100mLまで混合することによる、カリフォルニア州オークランドのクロロックス社(Clorox Company,Oakland,CA)から市販されている、ミリポア水中の4.17%クロロックス(CLOROX)漂白剤。
タブレット試験溶液(実施例21):実施例6のタブレット2つを脱イオン水1ガロン(3.8L)に溶解した。タブレットの総量は5.13グラムであった。得られた溶液のpHは5.2であった。
【0075】
反応管:各試験溶液5mLを25×150mm試験培養管に分取し、蓋を閉め、表10に従ってラベルを付けた。D/E(Dey/Engley)中和ブロス(マサチューセッツ州ビルリカのベクトン・ディッキンソン社(Becton Dickinson,Billerica,MA)から市販されている)を試験管28本それぞれに添加し、試験管の蓋を閉めた。バターフィールドバッファーブランクを中和された試料の希釈のために準備し、希釈、中和された試料の芽胞の計数のために、麦芽エキス寒天プレートに番号を付けた。目盛り付きピペットを使用して、芽胞接種物0.5mL(約10分生胞子/mL)を試験溶液の最初の管に添加し、穏やかに振とうした。それぞれの試験溶液に5分間および15分間曝露した後、試料を穏やかに振とうし、エッペンドルフ型ピペットを使用して、試料1mLを各反応混合物(芽胞試験溶液)から取り出し、D/E(Dey/Engley)中和ブロス9mLに入れた。接種物をさらに、約10分生胞子/mLに希釈した。さらに2つの反応管(水およびオキソン(OXONE)−亜塩素酸塩)および4つのDey/Engley中和管を調製して、反応管における10分生胞子/mLの接種物最終密度に対するタブレット溶液の有効性を評価した。試料を15分間だけ反応させた。中和された試料の希釈溶液を調製した。D/E(Dey/Engley)中和ブロス中のすべての試料の100μLアリコート2つを麦芽エキス寒天上にプレーティングし、コロニーが現れるまで25℃でインキュベートした。コロニーが現れた後、インキュベーションしておよそ4日後に、プレートを計数した。接種物芽胞懸濁液のいくつかの希釈溶液も麦芽エキス寒天上にプレーティングし、接種物として使用される生存芽胞の正確な数を得た。試料を25℃でインキュベートし、コロニーが現れた後、インキュベーションの約4日後に、計数した。
【0076】
アスペルギルスフミガーツフ(A.fumigatus)芽胞を対照および試験溶液中に接種して最終密度約5.6〜6.25×10分生胞子/mLとし、水およびバッファー対照によって確認した。接種物溶液もプレーティングし、計数し、対照および試験溶液に添加された体積(0.5mL)を乗じて、密度を推定した;接種密度2.57×10分生胞子/mLは、水およびバッファー対照とかなり一致していた。バッファー対照のデータを15分後に取った。クロロックス(CLOROX)対照のデータを処理の5分後に取った。
【0077】
結果から、本発明のタブレット(実施例21)、二酸化塩素(約23ppm)、および4.17%クロロックス(CLOROX)の溶液は、5分以内にアスペルギルスフミガーツフ(A.fumigatus)芽胞を5log殺菌することができ;二酸化塩素およびクロロックス(CLOROX)が対照であった。オキソン(OXONE)対照および亜塩素酸塩対照は単独で、処理の15分以内に汚染微生物数を低減することができなかった。
【0078】
有効性は、汚染微生物数密度および有機土壌によって影響を受ける。低密度(6.7×10分生胞子/mL)の接種物を作製し、タブレット試験溶液(2タブレット/ガロン)に15分間曝露した。この試験は、より高い接種密度(10分生胞子/mL)が処理によって影響を受けない場合に行われた。実施例21のタブレット試験溶液の処理でも、このより低い接種物が殺菌された。
【0079】
本発明のタブレットの溶液(実施例21)は、5分以内にすべてのアスペルギルスフミガーツフ(A.fumigatus)芽胞(5〜6×10分生胞子/mL)を完全に殺菌することができた。対照によって、タブレット溶液中で見られる量に等しいオキソン(OXONE)溶液および亜塩素酸ナトリウム溶液は、真菌類汚染微生物数の低減に効果がないことが示された。二酸化塩素溶液を対照として、タブレットによって生成されるのと同じ濃度で調製し;23ppm二酸化塩素溶液もまた、5分以内にアスペルギルスフミガーツフ(A.fumigatus)接種物を完全に殺菌することができた。
【0080】
実施例21のタブレット溶液は、接種物を完全に殺菌するのに十分な二酸化塩素を発生した。タブレットの独立した成分、つまりオキソン(OXONE)および亜塩素酸ナトリウム溶液は単独で、汚染微生物数を低減することができなかったが、溶解状態でのその反応の結果は、アスペルギルスフミガーツフ(A.fumigatus)に対して強い殺真菌性であった。得られたデータを表10に示す。
【0081】
【表12】

【0082】
(実施例22および比較例G〜I)
表11に示す悪臭溶液を調製した。表11に、使用した化学物質または混合物を列記し、下方に列記されるそれぞれによって臭気が表されている。水に不溶性であるため、臭気の一部はエタノール(EtOH)ベース中で調製した。EtOHは、それ自体の認知可能な臭気を発生せず、そのため水性臭気が乾燥するのにかかった時間内で、EtOHも乾燥した。実施例7の配合物を使用して上述のように、本発明のタブレット(実施例22)を製造した。10000psi(69.0×10Pa)で28mmダイを使用して、カーバー実験室用プレス(Carver lab press)でタブレットを製造した。比較例F(オキソン(OXONE)1000ppm)および比較例G(オキソン(OXONE)2000ppm)は粉末であった。それぞれを脱イオン水3.8Lに溶解した。比較例H(ClO50ppm)および比較例I(ClO10ppm)は、水3.8L中にタブレット1つにつきClO5ppmを加えた市販の製品であった。所望のレベルのClOを得るのに十分なタブレットが脱イオン水に溶解された。
【0083】
【表13】

【0084】
4インチ×4インチ(10cm×10cm)のカーペットの布切れで試験を行った。カーペットの布切れ160枚を切断し、この試験を行った。8種類の悪臭それぞれを布切れ20枚の上で処理した:5つの対照(更なる処理なし)および15の試験(布切れ3枚を5種類の試験脱臭剤で処理した)。表11に示す悪臭溶液5mL(吹き付けた)でカーペットの布切れを処理した。8種類の悪臭に関して、その悪臭それぞれ5グラムをカーペット20枚に吹き付けた。標準引き金式噴霧器(standard trigger sprayer)を使用して、各布切れに悪臭を付けた。水およびエタノールベースが蒸発するように、すべてのカーペットを10分間乾燥させた。
【0085】
次いで、標準引き金式噴霧器によって塗布される脱臭剤配合物(実施例22および比較例F〜I)15mlで試験カーペットを処理した。各悪臭の対照の布切れおよび試験布切れを寸法約20cm×20cm×15cmの2クォートのプラスチック製保存容器に入れ、密閉した。パネリストがヘッドスペース内部の臭いをかぐことができ、次いで蓋を閉めることができるように、切断して、約1cm×1cmの開き蓋(hinged flap)を容器の上部に形成した。試験脱臭剤の有効性を評価するために、20名のパネリストは、評点尺度0〜100を用いて、処理された布切れを評価した。0は臭気なし、100は最高等級である。それぞれの臭いおよびそれぞれの処理の結果を以下の表12に平均し、まとめた。
【0086】
【表14】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性酸素化合物と、二酸化塩素の前駆物質とを含む固体の形態にある組成物であって、前記固体が、総量約5gの重量である場合に、25℃の水約3.8リットルに30分未満で溶解し、それによって、二酸化塩素を少なくとも10ppm含有する溶液が生成されることを特徴とする組成物。
【請求項2】
a)硫黄含有オキシ酸を約60重量%〜約90重量%と、
b)可溶性亜塩素酸塩を約3重量%〜約25重量%と、
c)アルカリ金属ハロゲン化物塩またはアルカリ土類金属ハロゲン化物塩であって、前記アルカリ金属塩またはアルカリ土類ハロゲン化物塩のカチオンは、25℃の水への溶解性1%未満を有する硫酸塩を形成しないものである塩を約3重量%〜約12重量%と、
d)アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ金属重炭酸塩、またはアルカリ土類金属重炭酸塩であって、前記アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属重炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩、またはアルカリ土類金属重炭酸塩のカチオンは、25℃の水への溶解性が1%未満である硫酸塩を形成しないものである塩を約2〜約20重量%
含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記硫黄含有オキシ酸が、一過硫酸カリウムまたは二過硫酸カリウム、またはそれらの混合物を含有することを特徴とする請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
一過硫酸カリウム、硫酸水素カリウム、および硫酸カリウムの三重塩を含有することを特徴とする請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記可溶性亜塩素酸塩が、亜塩素酸ナトリウムであることを特徴とする請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
前記アルカリ金属ハロゲン化物塩またはアルカリ土類金属ハロゲン化物塩が、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、臭化亜鉛および塩化ナトリウムからなる群から選択されることを特徴とする請求項2に記載の組成物。
【請求項7】
前記アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属重炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩またはアルカリ土類金属重炭酸塩が、重炭酸ナトリウムであることを特徴とする請求項2に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物がさらに、糖アルコールを約0.1重量%〜約5重量%、炭水化物を約0.1〜約5重量%、ポリエチレングリコールを約0.1重量%〜約5重量%、安息香酸ナトリウムを約0.1重量%〜約5重量%、芳香向上剤を約0.1重量%〜約5重量%、または充填剤を約0.1重量%〜約32重量%含むことを特徴とする請求項2に記載の組成物。
【請求項9】
タブレットの形態であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
抗菌剤、清浄化剤、消毒剤、脱臭剤、殺菌剤または防カビ剤であることを特徴とする、水溶液状態の請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
請求項1または2に記載の溶解組成物を含有する溶液を、表面へ塗布することを含むことを特徴とする、表面を脱臭、清浄化、または消毒する方法。
【請求項12】
前記表面が繊維状基材を含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記表面が、多孔質コンクリート、れんが、タイル、石、グラウト、モルタル、テラゾ、セッコウボード、木材、金属、ビニル、磁器、花崗岩、積層材または複合材料を含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。

【公表番号】特表2008−507533(P2008−507533A)
【公表日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−522692(P2007−522692)
【出願日】平成17年7月20日(2005.7.20)
【国際出願番号】PCT/US2005/025719
【国際公開番号】WO2006/014720
【国際公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】