完全な窒素除去のための方法及びシステム
本発明は、水を含むシステムから還元窒素系コンポーネントを除去する方法であって、この方法は、硝化バクテリア、脱窒素バクテリア及び水を含む還元窒素コンポーネントを含むシステムを準備し、該システムに独立して酸素及び水素を接触させ、及び該コンポーネントを酸化及び還元して窒素ガスを発生させることを含む水を含む。これにより、アンモニウム化合物及び関連した有機アミン並びに4級アミン汚染物質を含む還元窒素系汚染物質の1以上を、州及び/又は連邦規制基準を満たすレベルに除去することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、US出願番号60/571,344号(2004年5月14日出願)の優先権の利益を享受し、全趣旨を参照することによりここに取り込む。
【背景技術】
【0002】
水溶液への過剰な窒素の流入は、相当な環境問題になっている。一般に、高濃度の窒素含有種(N)、例えば、アンモニウム又は硝酸塩等は、富栄養化を加速し、低酸素、臭気、色及び他の好ましくない水質変化をもたらし得る。また、アンモニウムは、魚に直接的に有毒となり、かなりの酸素要求量を示すかもしれない。さらに、飲料水における高濃度の硝酸塩は、幼児のメトヘモグロビン血症の原因となる(Maxcy, 1950;Masters, 1998)。その結果、USEPAは、飲料水に対して、硝酸塩の最大汚染濃度(MCL)を10mgNO3―−N/lに設定した(Masters, 1998)。皮肉にも、水環境におけるNの問題は、MCLよりはるかに低い濃度を必要とする。将来、流域が富栄養化又は低酸素に敏感となった場合、総窒素に対する廃水放出基準は、1〜3mgN/Lと低減されるかもしれない。
【0003】
アンモニウムは、種々のタイプの廃水における窒素汚染の最も一般的な形態である。それは、肥料及び化学製品の製造の間に発生する。その結果、農業流出液及び肥料産業からの廃水中において大量のアンモニウムが存在する。また、アンモニウム汚染は、過剰な肥沃化及び集中的な畜産業に起因する。ヒトの排泄物中の有機物質の窒素が存在するために、アンモニウム又はアンモニウムが加水分解され得る有機窒素となるため、アンモニウム窒素のもう一つの主要な源は、生活排水である。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【図1A】本発明の1以上の実施形態による1以上の本発明の方法を例示する概略図である。
【図1B】本発明の1以上の実施形態による、膜壁を通って拡散するガス(H2又はO2)を有する中空繊維(バイオフィルムの外側で利用される)の概略図である。
【図2A】本発明の1以上の実施形態による、有酸素及び無酸素MBfRコンポーネント・システムの形態を示す。
【図2B】本発明の1以上の実施形態による、有酸素及び無酸素MBfRコンポーネント・システムの形態を示す。
【図3】処理の最初の100時間の間のN種の濃度を示す。
【図4】H2圧が2.5psiの場合、O2圧はN種濃度に作用する。最初の100時間は、ベースライン動作を意味する。
【図5】O2圧が3.6psiで一定の状態に保たれた場合、H2はN種濃度に作用する。
【図6A】硝酸塩(NO3-)濃度へのO2圧の影響。
【図6B】硝酸塩(NO2-)濃度へのO2圧の影響。
【図7A】O2<2.0psiの場合のO2ガスのNH4+濃度に対する影響(注:図7A中の傾向線は、指数関数的である。)
【図7B】O2>2.0psiの場合のO2ガスのNH4+濃度に対する影響(注:図7B中の傾向線は、直線的である。)
【図8】定圧(2.5psi)及び50mgN/Lの流入NH4+濃度での全N除去の割合。
【図9】定O2圧(〜3.6)及び50mgN/Lの流入NH4+濃度での全N除去の割合。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記を考慮して、限定されることなく、アンモニア及びアンモニウム化合物を含む窒素系汚染物質の廃棄物流のための1以上の方法、装置及びシステムを提供することが本発明の目的であり、それによって、上述したものを含む従来技術に関する種々の懸念及び問題に対処することができる。本発明の1以上の形態が特定の目的に対処することができ、一方、1以上の他の形態が特定の他の目的に対処することができることは当業者によってよく理解されている。各目的は、本発明のその観点の全てにおいて、全ての形態に等しくあてはまらないかもしれない。よって、以下の目的は、本発明のいずれか1つの面に関して、選択的に考えることができる。
【0006】
限定されることなく、アンモニウム化合物及び関連した有機アミン並びに4級アミン汚染物質を含む還元窒素系汚染物質の1以上を、州及び/又は連邦規制基準を満たすレベルに除去する方法を提供することを目的とする。
本発明の他の目的は、水を含むシステムからの完全な窒素除去の過程で、単独で又は1以上の流入酸化窒素汚染物質との組み合わせにおいて、還元窒素系汚染物質の酸化を提供することである。
水を含む廃棄物流からのN除去に対して、窒素系汚染物質の同時の又は協調的な酸化及び還元に作用する本発明の方法論とともに使用するための、1以上の装置及び/又はシステム構成を提供することを他の目的とする。
本発明の他の目的、特徴、利点及び長所は、要約及び種々の実施形態の説明から、種々の酸化/還元反応及び廃棄物処理システムについての知識を有する当業者から明らかなように、明瞭となるであろう。それらから得られる付随の実施例、データ、図面及び全ての合理的な結論との関連を考慮して、そのような目的、特徴、利益及び利点は上記から明らかである。
【0007】
本発明は、水を含む廃棄物流からの完全な窒素除去の過程で、窒素系廃棄物コンポーネントの硝化及び脱窒素のために、それらとともに使用される装置及びシステムと伴う1以上の方法を含む。それらによれば、硝化は、硝化バクテリアによるアンモニウム種(例えば、NH4+)の硝酸塩(例えば、NO3-)への酸化に照らして考慮することができ、酸化によって説明することができ、以下の非限定的な反応によって表わすことができる。
NH4++2O2 → NO3- + 2H+ + H2O
アンモニウムの硝酸塩への酸化は、示されたように、有効な酸素分子(O2)とともに、酸化された窒素1モル当り2つの酸当量(H+)を生じさせることができる(2モルO2/モルNH4+)。逆に、脱窒素は、限定されない半反応に従って、硝酸塩が窒素ガス(N2)に還元される還元とみなすことができ、
NO3- + 6H+ + 5e- → 0.5N2(g) + 3H2O
N2ガスを放出し、よって、水からNを消失させる。H2は、硝酸塩を還元させるために電子(e-)を与えるために微生物学的に酸化され、酸化半反応は、
H2 → 2e- + 2H+
2つの半反応を組み合わせると、脱窒素を、
NO3- + 2.5H2(g)→ 0.5N2(g)+2H2O +OH-
のように表わすことができる。
概して、脱窒素は硝酸塩の窒素ガスへの還元のために、還元された窒素1モル当り1塩基当量(OH-)を与える。
【0008】
よって、本発明は、水を含む廃棄物システムから窒素成分を除去する方法を提供する。そのような方法は、(1)少なくとも1つの硝化バクテリア及び少なくとも1つの脱窒素バクテリアを含むシステムを準備し、(2)そのシステムに、還元窒素系成分を含む水を含む廃棄物流又は給水を導入し、(3)そのシステムに独立して酸素と水素とを接触させることを含む。有酸素条件は、公知の硝化バクテリアの蓄積を促進し、一方、逆に、無酸素条件は、公知の脱窒素バクテリアの蓄積を促進する。あるいは、そのようなシステムは、硝化及び/又は脱窒素バクテリアで植菌することができる。還元窒素系廃棄物成分、限定されないが、例えば、アンモニウム化合物の導入と同時に、酸化及び還元によって、水を含むシステムから還元及び酸化された窒素の双方を効果的に除去する。
【0009】
あるいは、本発明は、また、廃棄物流又は給水から還元窒素系汚染物質を除去するために脱窒素バクテリアを使う方法を提供することができる。そのような方法は、(1)少なくとも1つの硝化バクテリアと、還元窒素系汚染物質を含有する水を含むボリュームとを含む第1コンポーネント及び少なくとも1つの脱窒素バクテリアを含む第2コンポーネントを含むシステムを準備し、(2)ガス状の酸素を第1コンポーネントに接触させて、窒素系汚染物質を酸化し、(3)酸化された窒素系汚染物質を第2コンポーネントに導入及び/又は移動させ、(4)第2コンポーネントをガス状水素に接触させることを含む。そのような方法の特定の実施形態は、還元窒素系汚染物質(例えば、限定されないが、アンモニア又はアンモニウム化合物等)との関連で考慮することができる。有酸素条件は、硝化バクテリアを含むバイオマスの蓄積及び1以上の酸化された(例えば、硝酸塩、亜硝酸塩等)窒素系汚染物質への酸化を促進することができる。続いて、そのような酸化汚染物質の第2コンポーネント及び脱窒素バクテリアを含むバイオマスへの導入が、無酸素条件下に促進することができるので、廃棄物流除去のための汚染物質を還元する。
【0010】
有酸素及び無酸素条件は、特定の廃棄物流及び窒素種/含量によって、酸素及び水素圧の変動により、それぞれ、変化及び/又は最適化することができる(以下の実施例2〜4参照)。そのような協調的酸化及び還元は、特定の還元又は酸化窒素汚染物質を約1mgN/L未満に廃水濃度を低減させることができる。同様に、適用できる州及び連邦の規制基準に従って、全窒素廃水を、約2mg/L未満の濃度にすることができる。同時に、連続又は協調して、酸化及び還元が、脱窒素の塩基性副産物によって、硝化の酸性副産物の中和のために提供され、それによって外部システムpH制御の必要性を最小にするか、なくすことができる。酸/塩基中和の利益に加えて、廃水再流は、種々の他の利点を有することができる。例えば、反復処理又は循環は、汚染物質除去を強化することができる。あるいは、再流通は、流入速度と独立して、硝化及び脱窒素反応器(つまり、NR及びDR)コンポーネントの一方又は双方を通過する水流速度を制御するために用いることができる。一方のコンポーネントにおける高流速は、強力で、緻密なバイオフィルム、及びバイオフィルムへ還元又は酸化窒素汚染物質を移送させるマストランスファーを促進することができる。本発明の方法論のそのような観点及び関連した利益は、以下の図1A〜B及び2A〜Bを参照して考慮することができ、そのような図面は、そこに示されたどのような特定の方法/プロセスパラメータ又はシステムコンポーネント材料、寸法又は構成について限定されない。
【0011】
そのような方法は、どのような装置又はコンポーネント構成に限定されることなく使用することができる。それにもかかわらず、本発明の1以上の方法は、
(1)少なくとも1つの中空膜を含む第1コンポーネント(それぞれは、酸素源と流体伝達されている)、及び(2)第1コンポーネントと液体伝達されている第2コンポーネント(第2コンポーネントは、少なくとも1つの中空膜を含み、それぞれは、水素源と流体伝達されている)を含む装置とともに使用することができる。特定の実施形態において、その膜は、第1の密度を有する内外層及びそれらの間に配置される第1の密度よりも大きな第2の密度を有する層を含むかもしれない。種々の好ましい実施形態において、先の層は多孔質とすることができ、後の層は、実質的に非多孔質として水素又は酸素のスパージを低減又は回避するか、あるいは、バイオマスの蓄積に有害とならない条件とすることができる。
【0012】
同様に、どのような廃棄物処理システム、装置又はコンポーネント構造にも限定されることなく、本発明は、また、還元窒素系汚染物質の酸化方法を提供することができる。そのような方法は、(1)膜及びその上に硝化バクテリアを含むコンポーネントと、還元窒素系汚染物質と含む水を含むボリュームとを含有するシステムを準備し、(2)そのシステムに酸素を接触させて窒素系汚染物質を酸化することを含むことができる。他で議論したように、そのようなシステムは、バクテリアを植菌することができ、又は有酸素条件により、硝化バクテリアを含むバイオマスの蓄積を選択的に促進することができる。特定の実施形態では、そのようなシステムは、酸素源と流体伝達されている少なくとも1つの膜コンポーネントを含むことができる。そのようなコンポーネントは、上述したように又は下記に引用される組み込まれた参照文献の1以上のように、配置及び構成することができる。次いで、他に記載されているように、対応する酸化された汚染物質を、限定されることなく、脱窒素バクテリアを含む第2システム又はコンポーネントに導入し、それに続く除去のために汚染物質を還元することができる。あるいは、そのような酸化方法及び/又は硝化バクテリアの使用は、当該分野で公知のどのような還元又は脱窒素プロセスとともに用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
使用することができるようなシステム/装置コンポーネント構成は、米国特許第6387262号及び係属中の第10/930051号(2004年8月30日出願)(それぞれについて、全趣旨を参照することによりここに取り込む)により詳しく記載されている。列挙され、そのように組み込まれた参照文献の図面及び対応する記載に与えられているように、装置コンポーネント及び構成を、本発明とともに有効に使用することができる。従って、特定の実施形態において、膜バイオフィルム反応器(MBfR)は、無気泡膜の壁を通って拡散させることにより、水素又は酸素ガスを、それぞれ、脱窒素又は硝化バクテリアに供給することができる。バクテリアのバイオフィルムは、対応する細胞壁の外側に自然に生じる。硝化バクテリアは、酸素を利用して、還元された窒素コンポーネント、つまり、NO3-への酸化を促進する。脱窒素に関しては、バイオフィルム中のバクテリアは、膜の外側に拡散された水素から電子を除去し、NO3-をN2ガスに還元する。
【0014】
硝化バクテリアは、公知のように、限定されないが、Nitrosomonas europaea、Nitrosomonas eutropha、Nitrosospira briensa、Nitrobacter agilis及びNitrospira marinaを含む典型的な種である。同様に脱窒素バクテリアは、また、入手可能であり、よく知られている。独立栄養(つまり、水素−酸化)種に限定されないが、そのような生物の代表例は、限定されないが、Paracoccus denitrificans、Alcaligenes eutrophus、Pseudomonas pseudoflava及びRalstonia eutrophaを含む。そのようなバクテリアは、既存の窒素処理システムから又はその中で誘導される有酸素又は無酸素条件下での選択的反応器バイオマス蓄積によって、対応する接種原を使って、各酸化及び還元反応器に導入することができる(上記で組み込んだ’262特許及び係属中の’051出願参照)。
【0015】
H2ベースのMBfRは、NO3-(または、例えば、亜硝酸塩、NO2-)からN2ガスに還元するために有用である。H2は、まとめて購入することができる安価な電子ドナーであり、ヒトに対して無毒性である。H2を用いることにより、有機炭素源(それは費用がかかり、しばしば取り扱い及び安全性の問題を引き起こし、簡単に過小量又は過量となり得る)を供給する必要がなくなる。膜壁を通って拡散させることにより、H2の供給の過量のリスクを除き、過小量は、膜に対するH2圧力を増加することによって、簡便かつ迅速に改善される。膜壁上にバイオフィルムを有することによって、プロセスの費用効果を改善するH2使用のほぼ100%の効率を確実にする。無気泡膜を使うことにより、H2ガスを安全に供給するという利点がある。他の供給方法では、水素ガスは、ガス相を蓄積し、爆発しやすい環境をもたらすかもしれず、よって、実質的に安全性に関するリスクがある(水素の爆発範囲は、空気中に約4〜74.5%である)。無気泡供給及びバイオフィルムによる迅速なH2消費は、爆発しやすいガス相の形成を防ぐ。
【0016】
完全な窒素除去のために、存在するいずれの還元窒素コンポーネント(例えば、アンモニア又はアンモニウム種)でも、有酸素硝化バクテリアによって、NO3-(又は亜硝酸塩、NO2-)に酸化される。また、MBfRシステム及び本発明の装置を、脱窒素及び硝化の双方に使用することができる。図1Bで示されるように、O2ガスは、膜壁を通って拡散によって供給することができる。起泡を防止するために、繊維成分は、マイクロ−多孔質ポリエチレン壁間に配置された1μm厚の無孔の疎水性ポリウレタン層を含むことができる。図1Bで示されているようなシステム/装置コンポーネントにおいて有用な繊維は、三菱レイヨン(Model MHF 200TL)によって製造され、複合体として市販されている。密度が高く、無孔の層は、早計な泡形成なしにガス溶解に対する高い推進力をもたらすことを可能にし、それによって効果的な酸素使用と望ましい硝化バクテリアの蓄積を促進する。中空繊維は、一端を封止することができ、反対側で加圧した酸素(又は水素)に通じる。当該分野で知られている他の繊維構成により、より少ない泡での操作を提供することができる。誘導されたバイオフィルム蓄積は、水を含む窒素コンポーネント(例えば、NH4+又はNO3-)及び導入されたガス(例えば、O2又はH2)の間で電子伝達を容易にする。
【0017】
このように、本発明の有酸素及び無酸素システムは、統合した操作のために2つのMBfRを含むことができる。一方のMBfRコンポーネントは、硝化(NR)を成し遂げるために、O2ガスが供給される。他のMBfRコンポーネントは、脱窒素(DR)を達成するために、H2ガスが供給され、完全なN除去に近づく。そのような有酸素及び無酸素性コンポーネント構成を、図2Aに示す。特定の実施形態では、各カラムは、25cmの長さの32の中空繊維を有し、各MBfRコンポーネントに対して、70.6cm2の総バイオフィルム表面積を与える。各MBfRの容積は、約10cm3である。有用な流入のポンピング速度として、0.11cm3/分に設定され、MBfRシステムに対する滞留時間は約3時間である。2つのMBfRを連結し、十分な混合を提供し、十分な酸化/還元を確実にするために、図2Aに示されるリサイクル流速(例えば、50ml/分でのポンプ及び150ml/分でのポンプ)を用いることができる。交互に並ぶコンポーネント構成が図2Bに示されており、任意に、外部緩衝能を提供する。緩衝コンポーネントの導入(つまり、酸及び/又は塩基の中性化のために)は、高レベルの窒素系廃棄物を有する廃棄物流の処理に望ましいかもしれない。同様に、容積又は汚染物質濃度によって、複数の中空繊維膜コンポーネントを、本発明の硝化及び/又は脱窒素の観点から使用することができる。
【0018】
本発明の種々の他の実施形態は、上記で組み込まれた’262特許及び’051係属中の出願、特にそれらの図1〜2において示されているシステムの装置コンポーネント及び材料に関して考慮することができる。あるいは、本発明とともに有用な膜は、当該分野で知られている1以上のシート又は他の材料機構を含むことができる。にもかかわらず、繊維、シート又は他の機構、膜コンポーネントは、ランダムに配置することができ、又は限定されることなく、列形態、行列形態のような所定の空間形態で配置することができる。後者に関して、1以上の格子支持コンポーネントを、1以上の酸素又は水素源に対する点に、繊維又はシートを配置するために使用することができる。そのようなコンポーネントの配置構成として、それを通る水の移動のために、コンポーネント間の空間を規定することができる。限定されることなく、特に、廃水の処理及び固体粒子状物質を含む他の水を含むシステムに有用であるように、そのような間隔は、膜コンポーネントに対して垂直に水質汚染物質を移動させる。そのようなコンポーネント及び関連装置の構成は、係属中の出願No10/876,745号、特に図2AからCにおいて、より詳しく記述されており、その出願は全趣旨を参照することによりここに取り込む。
【0019】
実施例
以下の非限定的な実施例及びデータは、本発明の方法及び/又は装置に関する種々の見地及び特徴を例示する。先行技術と比較すると、本発明の方法及び装置は、意外で、予想外で、かつ対照的な結果及びデータを提供する。本発明の有用性は、いくつかの装置構成を用いることにより示され、本発明の方法論の幅広い範囲に相応するように、それに伴って窒素系廃棄物流をシミュレーションしながら、類似の結果が、種々の他の装置及び廃棄物流組成物(例えば、有機アミン及びアンモニウム化合物)で得ることができることは、当業者によってよく理解される。このように、本発明は、酸素及び水素ガス供給速度及び圧力の範囲にわたって連続又は同時の硝化及び脱窒素のために有酸素及び無酸素のコンポーネントを伴う装置/システムを意図し、還元及び酸化された窒素廃棄物成分双方に対して、約1mg/L未満の廃水濃度を達成し、アンモニアを含む流入廃棄物流に対して、実質的に完全な窒素除去を達成する。
【0020】
当該分野で理解されるように、本発明の広範な有用性を示すため、以下の実施例で使用される媒体を、表1に示される組成物を有する合成廃水とした。アンモニウム濃度は、50mgのNH4+−N/であった。水の緩衝能は、0.252g/1 HCO3-、0.136g/1 H2PO4-及び1.134g/1 HPO42-の形態で加えた。媒体を、炭酸塩系の制御されない変化を防ぐために、N2ガスがスパージされたビンに収容した。
【0021】
【表1】
測定されたパラメータは、NH4+、NO3-、NO2-及びpHであった。分析方法を表2に要約する。各方法を、既知標品に対して換算して、測定精度を確保した。Spectronic Spec 20を用いて、NH4+、NO3-及びNO2-サンプルの吸収を測定した。
【0022】
【表2】
媒体は、バイオフィルムが中空繊維膜(図1B及び図2A参照)の外側に蓄積される間、連続的に数週間供給し、ベースライン動作を確保した。バイオフィルムの認識できる層が存在し、N除去がベースライン条件で安定した時点で、MBfRにおける異なるガス圧力条件下で、窒素除去を測定するために実験を行った。一定のH2圧(2.5psi)下、窒素除去を、以下のO2圧(1.25psi、2.0psi及び6.0psi)に対して測定した。一定のO2圧(3.6psi)下、窒素除去を、1.25psi及び5.0psiのH2圧に対して測定した。O2又はH2圧を変える前に、そのシステムを定常状態の動作に到達させた。O2圧を変化させる間、H2ガス圧力を、当初2.5psiに維持した。次いで、O2圧を3.6psiに維持して、H2圧を変化させた。少なくとも3つのサンプルを、サンプリング間、最低9時間で、各ガス圧力で採取した。各サンプルをろ過し(0.45μmメンブレンフィルター)、バイオフィルムから脱着したいかなる浮遊細菌をも除去した。
【0023】
実施例1
ベースラインN除去
図3の結果の最初の100時間は、H2圧2.5psi、平均O2圧2.5psiの場合のベースラインのN除去を示す。全N種の濃度は、NH4+及びNO3-は約1mgN/L以下、NO2-はほぼゼロと、低かった。全N濃度(つまり、Nとして、NH4++NO3-+NO2-の合計)は、常に3mgN/L未満であり、通常2mgN/L未満であった。これらの結果は、有酸素及び無酸素のMBfRシステムは、全N種及び総Nを非常に低い濃度とすることができることを明確に示す。
【0024】
実施例2
O2圧の変化
図4は、また、酸素圧が時間(110から280時間)に対して変化した際の硝酸塩及びアンモニウムの一般的な傾向を示す。アンモニウム濃度は、低い酸素圧(1.25psi)によって非常に増加した。これは、有酸素MBfRにおける硝化反応の酸素規制のためであった。一方、硝酸塩濃度は、酸素圧が増加(6psi)した際に高かった。おそらく有酸素MBfRから無酸素MBfRにわたって持ち越した溶存酸素が、NO3-からN2への脱窒素を阻害したためである。亜硝酸塩濃度は少なく、用いられた条件下で、ガス圧力に影響を受けなかった。全窒素濃度は、O2圧の変化のために濃度が増加したN種の濃度を反映した。
図4の結果は、O2利用で予想された傾向を実証する。O2利用が非常に小さいことにより、有酸素MBfRで硝化を遅らせ、NH4+を未酸化状態のままにした。有酸素MBfRでのO2利用が非常に大きければ、溶存酸素を持ち越し、それは、無酸素性MBfRにおけるNO3-還元を阻害した。このように、統合された有酸素及び無酸素システムは、予想可能な方法でふるまい、有酸素MBfRでO2圧をコントロールすることが完全なN除去を最適化するのに利用することができることを示した。最初の100時間の間の結果で示されるように、O2圧の適当な制御によって、全N種(<1mgN/L)及び総N(<3mgN/L)を良好に除去することができる。
【0025】
実施例3
H2圧の変化
図5は、O2圧を3.6psiに保っている間のH2圧の変化の結果を示す。水素圧を変化させることは、酸素圧の変化ほど、劇的に濃度を変化させなかった。アンモニウム及び亜硝酸塩の濃度は、H2圧変化にほとんど全く影響を受けなかった。他方、H2圧が低かった(1.25psi)際、硝酸塩の濃度はかなり増加した。総N濃度は、NO3-と同等である。
図5の結果は、H2利用で予想された傾向を実証する。H2利用が非常に小さいことにより無酸素MBfRでの脱窒素を遅延し、NO3-を未還元のままにした。しかし、無酸素MBfRにおけるH2利用の増加は、有酸素MBfRで硝化に否定的な影響を及ぼさないようであった。H2の水溶解性が低いため、この良好な結果がもたらされたのかも知れず、それは有酸素MBfRへの顕著な持ち越しを不可能にする。また、統合された有酸素及び無酸素システムは、予想可能な方法でふるまい、無酸素性MBfRにH2圧をコントロールすることが完全なN除去を達成するために利用できることを示した。最初の100時間(図3)での結果が示すように、H2圧の適当な制御によって、全N種及び総Nを良好に除去することができる。
【0026】
実施例4
ガス圧効果の要約
図6A〜Bは、O2圧が、全実験でNO3-及びNO2-濃度に影響を及ぼした状況を要約する。明らかに、硝酸塩は、有酸素MBfRから酸素を持ち越したために、O2圧(図6A)が増加するとともに増加した。他方、NO2-濃度は、O2圧(図6B)にほとんど影響を受けなかった。図5で示すように、H2圧は、廃水NO3-を強力に制御し、1.25psiより大きなH2圧によって、顕著に硝酸塩除去を増加させた。
【0027】
実施例5
図7A〜Bは、O2圧が1.25psiより大きい場合、アンモニウム濃度を劇的に減少させたことを示す。O2圧が低いとき(図7A)、酸素は、有酸素MBfRにおいて十分に硝化させるのに不十分であった。その結果、NH4+の酸化速度が遅れた。O2圧が2.5psiより大きくなった時点で(図7B)、2変数(R=−0.23)間の傾向がわずかに下へ傾斜したものであったが、NH4+除去はO2圧に強く相関しなかった。図5で示すように、NH4+はH2圧に相関しなかった。
【0028】
実施例6
窒素除去効果の要約
図8及び9は、排水が固定50mgN/Lの一定のN濃度であった場合(全てNH4+として)の完全なN除去効率を要約する。無酸素MBfRに対して一定のH2圧(2.5psi)で、完全な窒素除去は、2.0psiと有酸素MBfR(97.1%)の中間のO2圧に対して最大であった(図8)。これは、わずか1.5mgN/Lの廃水の総Nと一致する。6.0psiで、窒素除去は91.9%であり、減少は、増加したNO3-のためであった。適度の除去が、58.1%の窒素除去(大部分は廃水中のNH4+)で、1.25psiで達成された。また、有酸素MBfRでのO2利用をコントロールすることは、非常に高い総N除去を達成するために用いることができる。
一定のO2圧(〜3.6psi)で、用いられる条件/装置において、完全な窒素除去が、H2(95.1%、廃水に2.5mgN/Lの総Nを与える)5psiで最適化された。1.25psiで、窒素除去は、より少ない脱窒素によって92.2%と、わずかに少なかった。無酸素MBfRでH2利用をコントロールすることは効果的かもしれないが、最大総N除去は、有酸素MBfRでのO2利用に直接関連があるようである。
【0029】
本発明によれば、先行する実施例は、有酸素及び無酸素システムが、総Nのほぼ完全な除去を提供することができることを示す。ここで用いられる還元N汚染物質及〜50mgN/L濃度は、地方の廃水に一般的で、多くの他の廃水に関連する条件である。有酸素条件(O2ガス)下で、硝化バイオフィルムは、NH4+をNO3-及びNO2-に酸化し、一方、無酸素条件下(N2ガス)で、脱窒素バイオフィルムがNO3-及びNO2-をN2ガスに還元した。硝化及び脱窒素バクテリアは、独立栄養細菌であるため、炭素質のエネルギー源は必要でなく、よって、相当の材料費及びプロセスハザードをなくすことができる。
【0030】
不十分なO2圧はNH4+のNO3-又はNO2-への硝化を減少させ、一方、無酸素コンポーネントにおいて、高いO2圧がNO3-のN2ガスへの脱窒素を阻害することができるように、完全なN除去はO2圧によって影響を及ぼすことができる。完全な窒素除去はH2圧によってあまり影響されないが、H2圧を増加することは硝化に影響を及ぼすことなく、より良好な脱窒素を提供することができる。
【0031】
この発明の原則が特定の具体化と関連して記述され、これらの説明が例証として加えられ、いかなる方法においても、本発明の範囲を制限することを意図するものでないことは明確によく理解されなければならない。例えば、同時又は協同的な硝化及び脱窒素は、ここで、完全なN除去との関連で示されるが、還元及び酸化汚染物質が共存するとき、本発明は種々の他の廃棄物流とともに使うことができる。還元汚染物質は、さらに、限定されることなく、全ての有機物質及び有機窒素系化合物を含むが、酸化汚染物質は、同様に限定されることなく、過塩素酸塩、塩素酸塩、亜塩素酸塩、クロム酸塩、セレン酸塩、亜セレン酸塩、臭素酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、ウラン、プルトニウム、ネプツニウム及び、例えば限定されないがトリクロロエテン及びトリクロロエテン等の他の有機塩素系化合物を含むことができる。
【技術分野】
【0001】
この出願は、US出願番号60/571,344号(2004年5月14日出願)の優先権の利益を享受し、全趣旨を参照することによりここに取り込む。
【背景技術】
【0002】
水溶液への過剰な窒素の流入は、相当な環境問題になっている。一般に、高濃度の窒素含有種(N)、例えば、アンモニウム又は硝酸塩等は、富栄養化を加速し、低酸素、臭気、色及び他の好ましくない水質変化をもたらし得る。また、アンモニウムは、魚に直接的に有毒となり、かなりの酸素要求量を示すかもしれない。さらに、飲料水における高濃度の硝酸塩は、幼児のメトヘモグロビン血症の原因となる(Maxcy, 1950;Masters, 1998)。その結果、USEPAは、飲料水に対して、硝酸塩の最大汚染濃度(MCL)を10mgNO3―−N/lに設定した(Masters, 1998)。皮肉にも、水環境におけるNの問題は、MCLよりはるかに低い濃度を必要とする。将来、流域が富栄養化又は低酸素に敏感となった場合、総窒素に対する廃水放出基準は、1〜3mgN/Lと低減されるかもしれない。
【0003】
アンモニウムは、種々のタイプの廃水における窒素汚染の最も一般的な形態である。それは、肥料及び化学製品の製造の間に発生する。その結果、農業流出液及び肥料産業からの廃水中において大量のアンモニウムが存在する。また、アンモニウム汚染は、過剰な肥沃化及び集中的な畜産業に起因する。ヒトの排泄物中の有機物質の窒素が存在するために、アンモニウム又はアンモニウムが加水分解され得る有機窒素となるため、アンモニウム窒素のもう一つの主要な源は、生活排水である。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【図1A】本発明の1以上の実施形態による1以上の本発明の方法を例示する概略図である。
【図1B】本発明の1以上の実施形態による、膜壁を通って拡散するガス(H2又はO2)を有する中空繊維(バイオフィルムの外側で利用される)の概略図である。
【図2A】本発明の1以上の実施形態による、有酸素及び無酸素MBfRコンポーネント・システムの形態を示す。
【図2B】本発明の1以上の実施形態による、有酸素及び無酸素MBfRコンポーネント・システムの形態を示す。
【図3】処理の最初の100時間の間のN種の濃度を示す。
【図4】H2圧が2.5psiの場合、O2圧はN種濃度に作用する。最初の100時間は、ベースライン動作を意味する。
【図5】O2圧が3.6psiで一定の状態に保たれた場合、H2はN種濃度に作用する。
【図6A】硝酸塩(NO3-)濃度へのO2圧の影響。
【図6B】硝酸塩(NO2-)濃度へのO2圧の影響。
【図7A】O2<2.0psiの場合のO2ガスのNH4+濃度に対する影響(注:図7A中の傾向線は、指数関数的である。)
【図7B】O2>2.0psiの場合のO2ガスのNH4+濃度に対する影響(注:図7B中の傾向線は、直線的である。)
【図8】定圧(2.5psi)及び50mgN/Lの流入NH4+濃度での全N除去の割合。
【図9】定O2圧(〜3.6)及び50mgN/Lの流入NH4+濃度での全N除去の割合。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記を考慮して、限定されることなく、アンモニア及びアンモニウム化合物を含む窒素系汚染物質の廃棄物流のための1以上の方法、装置及びシステムを提供することが本発明の目的であり、それによって、上述したものを含む従来技術に関する種々の懸念及び問題に対処することができる。本発明の1以上の形態が特定の目的に対処することができ、一方、1以上の他の形態が特定の他の目的に対処することができることは当業者によってよく理解されている。各目的は、本発明のその観点の全てにおいて、全ての形態に等しくあてはまらないかもしれない。よって、以下の目的は、本発明のいずれか1つの面に関して、選択的に考えることができる。
【0006】
限定されることなく、アンモニウム化合物及び関連した有機アミン並びに4級アミン汚染物質を含む還元窒素系汚染物質の1以上を、州及び/又は連邦規制基準を満たすレベルに除去する方法を提供することを目的とする。
本発明の他の目的は、水を含むシステムからの完全な窒素除去の過程で、単独で又は1以上の流入酸化窒素汚染物質との組み合わせにおいて、還元窒素系汚染物質の酸化を提供することである。
水を含む廃棄物流からのN除去に対して、窒素系汚染物質の同時の又は協調的な酸化及び還元に作用する本発明の方法論とともに使用するための、1以上の装置及び/又はシステム構成を提供することを他の目的とする。
本発明の他の目的、特徴、利点及び長所は、要約及び種々の実施形態の説明から、種々の酸化/還元反応及び廃棄物処理システムについての知識を有する当業者から明らかなように、明瞭となるであろう。それらから得られる付随の実施例、データ、図面及び全ての合理的な結論との関連を考慮して、そのような目的、特徴、利益及び利点は上記から明らかである。
【0007】
本発明は、水を含む廃棄物流からの完全な窒素除去の過程で、窒素系廃棄物コンポーネントの硝化及び脱窒素のために、それらとともに使用される装置及びシステムと伴う1以上の方法を含む。それらによれば、硝化は、硝化バクテリアによるアンモニウム種(例えば、NH4+)の硝酸塩(例えば、NO3-)への酸化に照らして考慮することができ、酸化によって説明することができ、以下の非限定的な反応によって表わすことができる。
NH4++2O2 → NO3- + 2H+ + H2O
アンモニウムの硝酸塩への酸化は、示されたように、有効な酸素分子(O2)とともに、酸化された窒素1モル当り2つの酸当量(H+)を生じさせることができる(2モルO2/モルNH4+)。逆に、脱窒素は、限定されない半反応に従って、硝酸塩が窒素ガス(N2)に還元される還元とみなすことができ、
NO3- + 6H+ + 5e- → 0.5N2(g) + 3H2O
N2ガスを放出し、よって、水からNを消失させる。H2は、硝酸塩を還元させるために電子(e-)を与えるために微生物学的に酸化され、酸化半反応は、
H2 → 2e- + 2H+
2つの半反応を組み合わせると、脱窒素を、
NO3- + 2.5H2(g)→ 0.5N2(g)+2H2O +OH-
のように表わすことができる。
概して、脱窒素は硝酸塩の窒素ガスへの還元のために、還元された窒素1モル当り1塩基当量(OH-)を与える。
【0008】
よって、本発明は、水を含む廃棄物システムから窒素成分を除去する方法を提供する。そのような方法は、(1)少なくとも1つの硝化バクテリア及び少なくとも1つの脱窒素バクテリアを含むシステムを準備し、(2)そのシステムに、還元窒素系成分を含む水を含む廃棄物流又は給水を導入し、(3)そのシステムに独立して酸素と水素とを接触させることを含む。有酸素条件は、公知の硝化バクテリアの蓄積を促進し、一方、逆に、無酸素条件は、公知の脱窒素バクテリアの蓄積を促進する。あるいは、そのようなシステムは、硝化及び/又は脱窒素バクテリアで植菌することができる。還元窒素系廃棄物成分、限定されないが、例えば、アンモニウム化合物の導入と同時に、酸化及び還元によって、水を含むシステムから還元及び酸化された窒素の双方を効果的に除去する。
【0009】
あるいは、本発明は、また、廃棄物流又は給水から還元窒素系汚染物質を除去するために脱窒素バクテリアを使う方法を提供することができる。そのような方法は、(1)少なくとも1つの硝化バクテリアと、還元窒素系汚染物質を含有する水を含むボリュームとを含む第1コンポーネント及び少なくとも1つの脱窒素バクテリアを含む第2コンポーネントを含むシステムを準備し、(2)ガス状の酸素を第1コンポーネントに接触させて、窒素系汚染物質を酸化し、(3)酸化された窒素系汚染物質を第2コンポーネントに導入及び/又は移動させ、(4)第2コンポーネントをガス状水素に接触させることを含む。そのような方法の特定の実施形態は、還元窒素系汚染物質(例えば、限定されないが、アンモニア又はアンモニウム化合物等)との関連で考慮することができる。有酸素条件は、硝化バクテリアを含むバイオマスの蓄積及び1以上の酸化された(例えば、硝酸塩、亜硝酸塩等)窒素系汚染物質への酸化を促進することができる。続いて、そのような酸化汚染物質の第2コンポーネント及び脱窒素バクテリアを含むバイオマスへの導入が、無酸素条件下に促進することができるので、廃棄物流除去のための汚染物質を還元する。
【0010】
有酸素及び無酸素条件は、特定の廃棄物流及び窒素種/含量によって、酸素及び水素圧の変動により、それぞれ、変化及び/又は最適化することができる(以下の実施例2〜4参照)。そのような協調的酸化及び還元は、特定の還元又は酸化窒素汚染物質を約1mgN/L未満に廃水濃度を低減させることができる。同様に、適用できる州及び連邦の規制基準に従って、全窒素廃水を、約2mg/L未満の濃度にすることができる。同時に、連続又は協調して、酸化及び還元が、脱窒素の塩基性副産物によって、硝化の酸性副産物の中和のために提供され、それによって外部システムpH制御の必要性を最小にするか、なくすことができる。酸/塩基中和の利益に加えて、廃水再流は、種々の他の利点を有することができる。例えば、反復処理又は循環は、汚染物質除去を強化することができる。あるいは、再流通は、流入速度と独立して、硝化及び脱窒素反応器(つまり、NR及びDR)コンポーネントの一方又は双方を通過する水流速度を制御するために用いることができる。一方のコンポーネントにおける高流速は、強力で、緻密なバイオフィルム、及びバイオフィルムへ還元又は酸化窒素汚染物質を移送させるマストランスファーを促進することができる。本発明の方法論のそのような観点及び関連した利益は、以下の図1A〜B及び2A〜Bを参照して考慮することができ、そのような図面は、そこに示されたどのような特定の方法/プロセスパラメータ又はシステムコンポーネント材料、寸法又は構成について限定されない。
【0011】
そのような方法は、どのような装置又はコンポーネント構成に限定されることなく使用することができる。それにもかかわらず、本発明の1以上の方法は、
(1)少なくとも1つの中空膜を含む第1コンポーネント(それぞれは、酸素源と流体伝達されている)、及び(2)第1コンポーネントと液体伝達されている第2コンポーネント(第2コンポーネントは、少なくとも1つの中空膜を含み、それぞれは、水素源と流体伝達されている)を含む装置とともに使用することができる。特定の実施形態において、その膜は、第1の密度を有する内外層及びそれらの間に配置される第1の密度よりも大きな第2の密度を有する層を含むかもしれない。種々の好ましい実施形態において、先の層は多孔質とすることができ、後の層は、実質的に非多孔質として水素又は酸素のスパージを低減又は回避するか、あるいは、バイオマスの蓄積に有害とならない条件とすることができる。
【0012】
同様に、どのような廃棄物処理システム、装置又はコンポーネント構造にも限定されることなく、本発明は、また、還元窒素系汚染物質の酸化方法を提供することができる。そのような方法は、(1)膜及びその上に硝化バクテリアを含むコンポーネントと、還元窒素系汚染物質と含む水を含むボリュームとを含有するシステムを準備し、(2)そのシステムに酸素を接触させて窒素系汚染物質を酸化することを含むことができる。他で議論したように、そのようなシステムは、バクテリアを植菌することができ、又は有酸素条件により、硝化バクテリアを含むバイオマスの蓄積を選択的に促進することができる。特定の実施形態では、そのようなシステムは、酸素源と流体伝達されている少なくとも1つの膜コンポーネントを含むことができる。そのようなコンポーネントは、上述したように又は下記に引用される組み込まれた参照文献の1以上のように、配置及び構成することができる。次いで、他に記載されているように、対応する酸化された汚染物質を、限定されることなく、脱窒素バクテリアを含む第2システム又はコンポーネントに導入し、それに続く除去のために汚染物質を還元することができる。あるいは、そのような酸化方法及び/又は硝化バクテリアの使用は、当該分野で公知のどのような還元又は脱窒素プロセスとともに用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
使用することができるようなシステム/装置コンポーネント構成は、米国特許第6387262号及び係属中の第10/930051号(2004年8月30日出願)(それぞれについて、全趣旨を参照することによりここに取り込む)により詳しく記載されている。列挙され、そのように組み込まれた参照文献の図面及び対応する記載に与えられているように、装置コンポーネント及び構成を、本発明とともに有効に使用することができる。従って、特定の実施形態において、膜バイオフィルム反応器(MBfR)は、無気泡膜の壁を通って拡散させることにより、水素又は酸素ガスを、それぞれ、脱窒素又は硝化バクテリアに供給することができる。バクテリアのバイオフィルムは、対応する細胞壁の外側に自然に生じる。硝化バクテリアは、酸素を利用して、還元された窒素コンポーネント、つまり、NO3-への酸化を促進する。脱窒素に関しては、バイオフィルム中のバクテリアは、膜の外側に拡散された水素から電子を除去し、NO3-をN2ガスに還元する。
【0014】
硝化バクテリアは、公知のように、限定されないが、Nitrosomonas europaea、Nitrosomonas eutropha、Nitrosospira briensa、Nitrobacter agilis及びNitrospira marinaを含む典型的な種である。同様に脱窒素バクテリアは、また、入手可能であり、よく知られている。独立栄養(つまり、水素−酸化)種に限定されないが、そのような生物の代表例は、限定されないが、Paracoccus denitrificans、Alcaligenes eutrophus、Pseudomonas pseudoflava及びRalstonia eutrophaを含む。そのようなバクテリアは、既存の窒素処理システムから又はその中で誘導される有酸素又は無酸素条件下での選択的反応器バイオマス蓄積によって、対応する接種原を使って、各酸化及び還元反応器に導入することができる(上記で組み込んだ’262特許及び係属中の’051出願参照)。
【0015】
H2ベースのMBfRは、NO3-(または、例えば、亜硝酸塩、NO2-)からN2ガスに還元するために有用である。H2は、まとめて購入することができる安価な電子ドナーであり、ヒトに対して無毒性である。H2を用いることにより、有機炭素源(それは費用がかかり、しばしば取り扱い及び安全性の問題を引き起こし、簡単に過小量又は過量となり得る)を供給する必要がなくなる。膜壁を通って拡散させることにより、H2の供給の過量のリスクを除き、過小量は、膜に対するH2圧力を増加することによって、簡便かつ迅速に改善される。膜壁上にバイオフィルムを有することによって、プロセスの費用効果を改善するH2使用のほぼ100%の効率を確実にする。無気泡膜を使うことにより、H2ガスを安全に供給するという利点がある。他の供給方法では、水素ガスは、ガス相を蓄積し、爆発しやすい環境をもたらすかもしれず、よって、実質的に安全性に関するリスクがある(水素の爆発範囲は、空気中に約4〜74.5%である)。無気泡供給及びバイオフィルムによる迅速なH2消費は、爆発しやすいガス相の形成を防ぐ。
【0016】
完全な窒素除去のために、存在するいずれの還元窒素コンポーネント(例えば、アンモニア又はアンモニウム種)でも、有酸素硝化バクテリアによって、NO3-(又は亜硝酸塩、NO2-)に酸化される。また、MBfRシステム及び本発明の装置を、脱窒素及び硝化の双方に使用することができる。図1Bで示されるように、O2ガスは、膜壁を通って拡散によって供給することができる。起泡を防止するために、繊維成分は、マイクロ−多孔質ポリエチレン壁間に配置された1μm厚の無孔の疎水性ポリウレタン層を含むことができる。図1Bで示されているようなシステム/装置コンポーネントにおいて有用な繊維は、三菱レイヨン(Model MHF 200TL)によって製造され、複合体として市販されている。密度が高く、無孔の層は、早計な泡形成なしにガス溶解に対する高い推進力をもたらすことを可能にし、それによって効果的な酸素使用と望ましい硝化バクテリアの蓄積を促進する。中空繊維は、一端を封止することができ、反対側で加圧した酸素(又は水素)に通じる。当該分野で知られている他の繊維構成により、より少ない泡での操作を提供することができる。誘導されたバイオフィルム蓄積は、水を含む窒素コンポーネント(例えば、NH4+又はNO3-)及び導入されたガス(例えば、O2又はH2)の間で電子伝達を容易にする。
【0017】
このように、本発明の有酸素及び無酸素システムは、統合した操作のために2つのMBfRを含むことができる。一方のMBfRコンポーネントは、硝化(NR)を成し遂げるために、O2ガスが供給される。他のMBfRコンポーネントは、脱窒素(DR)を達成するために、H2ガスが供給され、完全なN除去に近づく。そのような有酸素及び無酸素性コンポーネント構成を、図2Aに示す。特定の実施形態では、各カラムは、25cmの長さの32の中空繊維を有し、各MBfRコンポーネントに対して、70.6cm2の総バイオフィルム表面積を与える。各MBfRの容積は、約10cm3である。有用な流入のポンピング速度として、0.11cm3/分に設定され、MBfRシステムに対する滞留時間は約3時間である。2つのMBfRを連結し、十分な混合を提供し、十分な酸化/還元を確実にするために、図2Aに示されるリサイクル流速(例えば、50ml/分でのポンプ及び150ml/分でのポンプ)を用いることができる。交互に並ぶコンポーネント構成が図2Bに示されており、任意に、外部緩衝能を提供する。緩衝コンポーネントの導入(つまり、酸及び/又は塩基の中性化のために)は、高レベルの窒素系廃棄物を有する廃棄物流の処理に望ましいかもしれない。同様に、容積又は汚染物質濃度によって、複数の中空繊維膜コンポーネントを、本発明の硝化及び/又は脱窒素の観点から使用することができる。
【0018】
本発明の種々の他の実施形態は、上記で組み込まれた’262特許及び’051係属中の出願、特にそれらの図1〜2において示されているシステムの装置コンポーネント及び材料に関して考慮することができる。あるいは、本発明とともに有用な膜は、当該分野で知られている1以上のシート又は他の材料機構を含むことができる。にもかかわらず、繊維、シート又は他の機構、膜コンポーネントは、ランダムに配置することができ、又は限定されることなく、列形態、行列形態のような所定の空間形態で配置することができる。後者に関して、1以上の格子支持コンポーネントを、1以上の酸素又は水素源に対する点に、繊維又はシートを配置するために使用することができる。そのようなコンポーネントの配置構成として、それを通る水の移動のために、コンポーネント間の空間を規定することができる。限定されることなく、特に、廃水の処理及び固体粒子状物質を含む他の水を含むシステムに有用であるように、そのような間隔は、膜コンポーネントに対して垂直に水質汚染物質を移動させる。そのようなコンポーネント及び関連装置の構成は、係属中の出願No10/876,745号、特に図2AからCにおいて、より詳しく記述されており、その出願は全趣旨を参照することによりここに取り込む。
【0019】
実施例
以下の非限定的な実施例及びデータは、本発明の方法及び/又は装置に関する種々の見地及び特徴を例示する。先行技術と比較すると、本発明の方法及び装置は、意外で、予想外で、かつ対照的な結果及びデータを提供する。本発明の有用性は、いくつかの装置構成を用いることにより示され、本発明の方法論の幅広い範囲に相応するように、それに伴って窒素系廃棄物流をシミュレーションしながら、類似の結果が、種々の他の装置及び廃棄物流組成物(例えば、有機アミン及びアンモニウム化合物)で得ることができることは、当業者によってよく理解される。このように、本発明は、酸素及び水素ガス供給速度及び圧力の範囲にわたって連続又は同時の硝化及び脱窒素のために有酸素及び無酸素のコンポーネントを伴う装置/システムを意図し、還元及び酸化された窒素廃棄物成分双方に対して、約1mg/L未満の廃水濃度を達成し、アンモニアを含む流入廃棄物流に対して、実質的に完全な窒素除去を達成する。
【0020】
当該分野で理解されるように、本発明の広範な有用性を示すため、以下の実施例で使用される媒体を、表1に示される組成物を有する合成廃水とした。アンモニウム濃度は、50mgのNH4+−N/であった。水の緩衝能は、0.252g/1 HCO3-、0.136g/1 H2PO4-及び1.134g/1 HPO42-の形態で加えた。媒体を、炭酸塩系の制御されない変化を防ぐために、N2ガスがスパージされたビンに収容した。
【0021】
【表1】
測定されたパラメータは、NH4+、NO3-、NO2-及びpHであった。分析方法を表2に要約する。各方法を、既知標品に対して換算して、測定精度を確保した。Spectronic Spec 20を用いて、NH4+、NO3-及びNO2-サンプルの吸収を測定した。
【0022】
【表2】
媒体は、バイオフィルムが中空繊維膜(図1B及び図2A参照)の外側に蓄積される間、連続的に数週間供給し、ベースライン動作を確保した。バイオフィルムの認識できる層が存在し、N除去がベースライン条件で安定した時点で、MBfRにおける異なるガス圧力条件下で、窒素除去を測定するために実験を行った。一定のH2圧(2.5psi)下、窒素除去を、以下のO2圧(1.25psi、2.0psi及び6.0psi)に対して測定した。一定のO2圧(3.6psi)下、窒素除去を、1.25psi及び5.0psiのH2圧に対して測定した。O2又はH2圧を変える前に、そのシステムを定常状態の動作に到達させた。O2圧を変化させる間、H2ガス圧力を、当初2.5psiに維持した。次いで、O2圧を3.6psiに維持して、H2圧を変化させた。少なくとも3つのサンプルを、サンプリング間、最低9時間で、各ガス圧力で採取した。各サンプルをろ過し(0.45μmメンブレンフィルター)、バイオフィルムから脱着したいかなる浮遊細菌をも除去した。
【0023】
実施例1
ベースラインN除去
図3の結果の最初の100時間は、H2圧2.5psi、平均O2圧2.5psiの場合のベースラインのN除去を示す。全N種の濃度は、NH4+及びNO3-は約1mgN/L以下、NO2-はほぼゼロと、低かった。全N濃度(つまり、Nとして、NH4++NO3-+NO2-の合計)は、常に3mgN/L未満であり、通常2mgN/L未満であった。これらの結果は、有酸素及び無酸素のMBfRシステムは、全N種及び総Nを非常に低い濃度とすることができることを明確に示す。
【0024】
実施例2
O2圧の変化
図4は、また、酸素圧が時間(110から280時間)に対して変化した際の硝酸塩及びアンモニウムの一般的な傾向を示す。アンモニウム濃度は、低い酸素圧(1.25psi)によって非常に増加した。これは、有酸素MBfRにおける硝化反応の酸素規制のためであった。一方、硝酸塩濃度は、酸素圧が増加(6psi)した際に高かった。おそらく有酸素MBfRから無酸素MBfRにわたって持ち越した溶存酸素が、NO3-からN2への脱窒素を阻害したためである。亜硝酸塩濃度は少なく、用いられた条件下で、ガス圧力に影響を受けなかった。全窒素濃度は、O2圧の変化のために濃度が増加したN種の濃度を反映した。
図4の結果は、O2利用で予想された傾向を実証する。O2利用が非常に小さいことにより、有酸素MBfRで硝化を遅らせ、NH4+を未酸化状態のままにした。有酸素MBfRでのO2利用が非常に大きければ、溶存酸素を持ち越し、それは、無酸素性MBfRにおけるNO3-還元を阻害した。このように、統合された有酸素及び無酸素システムは、予想可能な方法でふるまい、有酸素MBfRでO2圧をコントロールすることが完全なN除去を最適化するのに利用することができることを示した。最初の100時間の間の結果で示されるように、O2圧の適当な制御によって、全N種(<1mgN/L)及び総N(<3mgN/L)を良好に除去することができる。
【0025】
実施例3
H2圧の変化
図5は、O2圧を3.6psiに保っている間のH2圧の変化の結果を示す。水素圧を変化させることは、酸素圧の変化ほど、劇的に濃度を変化させなかった。アンモニウム及び亜硝酸塩の濃度は、H2圧変化にほとんど全く影響を受けなかった。他方、H2圧が低かった(1.25psi)際、硝酸塩の濃度はかなり増加した。総N濃度は、NO3-と同等である。
図5の結果は、H2利用で予想された傾向を実証する。H2利用が非常に小さいことにより無酸素MBfRでの脱窒素を遅延し、NO3-を未還元のままにした。しかし、無酸素MBfRにおけるH2利用の増加は、有酸素MBfRで硝化に否定的な影響を及ぼさないようであった。H2の水溶解性が低いため、この良好な結果がもたらされたのかも知れず、それは有酸素MBfRへの顕著な持ち越しを不可能にする。また、統合された有酸素及び無酸素システムは、予想可能な方法でふるまい、無酸素性MBfRにH2圧をコントロールすることが完全なN除去を達成するために利用できることを示した。最初の100時間(図3)での結果が示すように、H2圧の適当な制御によって、全N種及び総Nを良好に除去することができる。
【0026】
実施例4
ガス圧効果の要約
図6A〜Bは、O2圧が、全実験でNO3-及びNO2-濃度に影響を及ぼした状況を要約する。明らかに、硝酸塩は、有酸素MBfRから酸素を持ち越したために、O2圧(図6A)が増加するとともに増加した。他方、NO2-濃度は、O2圧(図6B)にほとんど影響を受けなかった。図5で示すように、H2圧は、廃水NO3-を強力に制御し、1.25psiより大きなH2圧によって、顕著に硝酸塩除去を増加させた。
【0027】
実施例5
図7A〜Bは、O2圧が1.25psiより大きい場合、アンモニウム濃度を劇的に減少させたことを示す。O2圧が低いとき(図7A)、酸素は、有酸素MBfRにおいて十分に硝化させるのに不十分であった。その結果、NH4+の酸化速度が遅れた。O2圧が2.5psiより大きくなった時点で(図7B)、2変数(R=−0.23)間の傾向がわずかに下へ傾斜したものであったが、NH4+除去はO2圧に強く相関しなかった。図5で示すように、NH4+はH2圧に相関しなかった。
【0028】
実施例6
窒素除去効果の要約
図8及び9は、排水が固定50mgN/Lの一定のN濃度であった場合(全てNH4+として)の完全なN除去効率を要約する。無酸素MBfRに対して一定のH2圧(2.5psi)で、完全な窒素除去は、2.0psiと有酸素MBfR(97.1%)の中間のO2圧に対して最大であった(図8)。これは、わずか1.5mgN/Lの廃水の総Nと一致する。6.0psiで、窒素除去は91.9%であり、減少は、増加したNO3-のためであった。適度の除去が、58.1%の窒素除去(大部分は廃水中のNH4+)で、1.25psiで達成された。また、有酸素MBfRでのO2利用をコントロールすることは、非常に高い総N除去を達成するために用いることができる。
一定のO2圧(〜3.6psi)で、用いられる条件/装置において、完全な窒素除去が、H2(95.1%、廃水に2.5mgN/Lの総Nを与える)5psiで最適化された。1.25psiで、窒素除去は、より少ない脱窒素によって92.2%と、わずかに少なかった。無酸素MBfRでH2利用をコントロールすることは効果的かもしれないが、最大総N除去は、有酸素MBfRでのO2利用に直接関連があるようである。
【0029】
本発明によれば、先行する実施例は、有酸素及び無酸素システムが、総Nのほぼ完全な除去を提供することができることを示す。ここで用いられる還元N汚染物質及〜50mgN/L濃度は、地方の廃水に一般的で、多くの他の廃水に関連する条件である。有酸素条件(O2ガス)下で、硝化バイオフィルムは、NH4+をNO3-及びNO2-に酸化し、一方、無酸素条件下(N2ガス)で、脱窒素バイオフィルムがNO3-及びNO2-をN2ガスに還元した。硝化及び脱窒素バクテリアは、独立栄養細菌であるため、炭素質のエネルギー源は必要でなく、よって、相当の材料費及びプロセスハザードをなくすことができる。
【0030】
不十分なO2圧はNH4+のNO3-又はNO2-への硝化を減少させ、一方、無酸素コンポーネントにおいて、高いO2圧がNO3-のN2ガスへの脱窒素を阻害することができるように、完全なN除去はO2圧によって影響を及ぼすことができる。完全な窒素除去はH2圧によってあまり影響されないが、H2圧を増加することは硝化に影響を及ぼすことなく、より良好な脱窒素を提供することができる。
【0031】
この発明の原則が特定の具体化と関連して記述され、これらの説明が例証として加えられ、いかなる方法においても、本発明の範囲を制限することを意図するものでないことは明確によく理解されなければならない。例えば、同時又は協同的な硝化及び脱窒素は、ここで、完全なN除去との関連で示されるが、還元及び酸化汚染物質が共存するとき、本発明は種々の他の廃棄物流とともに使うことができる。還元汚染物質は、さらに、限定されることなく、全ての有機物質及び有機窒素系化合物を含むが、酸化汚染物質は、同様に限定されることなく、過塩素酸塩、塩素酸塩、亜塩素酸塩、クロム酸塩、セレン酸塩、亜セレン酸塩、臭素酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、ウラン、プルトニウム、ネプツニウム及び、例えば限定されないがトリクロロエテン及びトリクロロエテン等の他の有機塩素系化合物を含むことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を含むシステムから還元窒素系コンポーネントを除去する方法であって、この方法は、
硝化バクテリア、脱窒素バクテリア及び水を含む還元窒素コンポーネントを含むシステムを準備し、
該システムに独立して酸素及び水素を接触させ、及び
該コンポーネントを酸化及び還元して窒素ガスを発生させることを含む水を含むシステムから還元窒素系コンポーネントを除去する方法。
【請求項2】
有酸素条件が硝化バクテリアのシステム蓄積を促進し、無酸素条件が脱窒素バクテリアのシステム蓄積を促進する請求項1の方法。
【請求項3】
酸素圧及び水素圧を独立に変化させる請求項2の方法。
【請求項4】
還元窒素コンポーネントを連続的に酸化及び還元し、この酸化が酸性副産物を生成し、この還元が塩基性副産物を生成し、この酸性及び塩基性副産物は少なくとも互いに一部を中和する請求項1の方法。
【請求項5】
還元窒素コンポーネントは、アンモニア、アンモニウムイオン及び窒素系有機化合物ならびにそれらの混合物から選択される請求項1の方法。
【請求項6】
還元窒素コンポーネントは、硝酸塩及び亜硝酸塩の少なくとも一方に酸化される請求項5の方法。
【請求項7】
還元窒素コンポーネントは、約1mgN/L未満の排水濃度である請求項6の方法。
【請求項8】
システムは、流入酸化窒素コンポーネントを含む請求項1の方法。
【請求項9】
還元及び酸化窒素コンポーネントは約2mgN/L未満の総排水濃度である請求項8の方法。
【請求項10】
有酸素条件は、水素−酸化バクテリアのシステム蓄積を促進する請求項1の方法。
【請求項11】
システムは、過塩素酸塩、塩素酸塩、亜塩素酸塩、セレン酸塩、亜セレン酸塩、臭素酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、ウラン、プルトニウム、ネプツニウム及び有機塩素系化合物ならびにそれら化合物の混合物を含む請求項10の方法。
【請求項12】
水を含むシステムから還元窒素汚染物質を除去するための脱窒素バクテリアの使用方法であって、この方法は、
少なくとも1つの硝化バクテリアを含む第1コンポーネント、少なくとも1つの脱窒素バクテリアを含む第2コンポーネント及び還元窒素汚染物質を含有する水を含むシステムを準備し、
前記第1コンポーネントに酸素ガスを接触させ、
該酸化された窒素系汚染物質を第2コンポーネントに導入し、及び
該第2コンポーネントを水素ガスと接触させることを含む脱窒素バクテリアの使用方法。
【請求項13】
有酸素条件が硝化バクテリアのシステム蓄積を促進し、無酸素条件が脱窒素バクテリアのシステム蓄積を促進する請求項12の方法。
【請求項14】
バクテリアが独立栄養細菌である請求項13の方法。
【請求項15】
酸素ガスを実質的にスパージなしに与える請求項13の方法。
【請求項16】
窒素系汚染物質を連続的に酸化及び還元し、この酸化が酸性副産物を生成し、この還元が塩基性副産物を生成し、この酸性及び塩基性副産物は少なくとも互いに一部を中和する請求項12の方法。
【請求項17】
水を含むボリュームを第1及び第2コンポーネントと繰り返し接触させることを含む請求項16の方法。
【請求項18】
還元窒素系汚染物質をアンモニア、アンモニウムイオン及び有機化合物及びそれらの混合物から選択する請求項12の方法。
【請求項19】
汚染物質は、約1mgN/L未満の排水濃度である請求項18の方法。
【請求項20】
少なくとも1つの中空膜を含み、各繊維は酸素源と流体連通している第1コンポーネント、
少なくとも1つの中空膜を含み、各繊維は水素源と流体連通している第2コンポーネント、及び
前記第1コンポーネント上の硝化バクテリア、
前記第2コンポーネント上の脱窒素バクテリアを含む膜バイオフィルム反応装置。
【請求項21】
各膜は第1の密度を有する内外層を有し、それらの層間に第1密度よりも大きな第2密度を有する請求項20の装置。
【請求項22】
内外層の間の層は、実質的に非孔質である請求項21の装置。
【請求項23】
各第1及び第2コンポーネントは、複数の中空繊維膜を含む請求項20の装置。
【請求項24】
還元窒素系汚染物質の酸化方法であって、この方法は、
膜及びその上の硝化バクテリア、かつ還元窒素系汚染物質を含む水を含むボリュームを含有するコンポーネントを含むシステムを準備し、及び
前記コンポーネントを酸素と接触させる還元窒素系汚染物質の酸化方法。
【請求項25】
窒素系汚染物質を、アンモニア、アンモニウムイオン及び有機化合物及びそれらの混合物から選択する請求項24の方法。
【請求項26】
硝化バクテリアが独立栄養細菌である請求項24の方法。
【請求項27】
コンポーネントは、酸素源と流体連通する少なくとも1つの中空繊維膜を含む請求項24の方法。
【請求項28】
酸化汚染物質を還元する請求項24の方法。
【請求項29】
酸化汚染物質を、膜及びその上の脱窒素バクテリアを含むコンポーネントを含む第2システムと接触させ、該第2システムコンポーネントは窒素源と流体連通している請求項28の方法。
【請求項30】
有酸素条件が硝化バクテリアのシステム蓄積を促進し、無酸素条件が脱窒素バクテリアのシステム蓄積を促進する請求項29の方法。
【請求項1】
水を含むシステムから還元窒素系コンポーネントを除去する方法であって、この方法は、
硝化バクテリア、脱窒素バクテリア及び水を含む還元窒素コンポーネントを含むシステムを準備し、
該システムに独立して酸素及び水素を接触させ、及び
該コンポーネントを酸化及び還元して窒素ガスを発生させることを含む水を含むシステムから還元窒素系コンポーネントを除去する方法。
【請求項2】
有酸素条件が硝化バクテリアのシステム蓄積を促進し、無酸素条件が脱窒素バクテリアのシステム蓄積を促進する請求項1の方法。
【請求項3】
酸素圧及び水素圧を独立に変化させる請求項2の方法。
【請求項4】
還元窒素コンポーネントを連続的に酸化及び還元し、この酸化が酸性副産物を生成し、この還元が塩基性副産物を生成し、この酸性及び塩基性副産物は少なくとも互いに一部を中和する請求項1の方法。
【請求項5】
還元窒素コンポーネントは、アンモニア、アンモニウムイオン及び窒素系有機化合物ならびにそれらの混合物から選択される請求項1の方法。
【請求項6】
還元窒素コンポーネントは、硝酸塩及び亜硝酸塩の少なくとも一方に酸化される請求項5の方法。
【請求項7】
還元窒素コンポーネントは、約1mgN/L未満の排水濃度である請求項6の方法。
【請求項8】
システムは、流入酸化窒素コンポーネントを含む請求項1の方法。
【請求項9】
還元及び酸化窒素コンポーネントは約2mgN/L未満の総排水濃度である請求項8の方法。
【請求項10】
有酸素条件は、水素−酸化バクテリアのシステム蓄積を促進する請求項1の方法。
【請求項11】
システムは、過塩素酸塩、塩素酸塩、亜塩素酸塩、セレン酸塩、亜セレン酸塩、臭素酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、ウラン、プルトニウム、ネプツニウム及び有機塩素系化合物ならびにそれら化合物の混合物を含む請求項10の方法。
【請求項12】
水を含むシステムから還元窒素汚染物質を除去するための脱窒素バクテリアの使用方法であって、この方法は、
少なくとも1つの硝化バクテリアを含む第1コンポーネント、少なくとも1つの脱窒素バクテリアを含む第2コンポーネント及び還元窒素汚染物質を含有する水を含むシステムを準備し、
前記第1コンポーネントに酸素ガスを接触させ、
該酸化された窒素系汚染物質を第2コンポーネントに導入し、及び
該第2コンポーネントを水素ガスと接触させることを含む脱窒素バクテリアの使用方法。
【請求項13】
有酸素条件が硝化バクテリアのシステム蓄積を促進し、無酸素条件が脱窒素バクテリアのシステム蓄積を促進する請求項12の方法。
【請求項14】
バクテリアが独立栄養細菌である請求項13の方法。
【請求項15】
酸素ガスを実質的にスパージなしに与える請求項13の方法。
【請求項16】
窒素系汚染物質を連続的に酸化及び還元し、この酸化が酸性副産物を生成し、この還元が塩基性副産物を生成し、この酸性及び塩基性副産物は少なくとも互いに一部を中和する請求項12の方法。
【請求項17】
水を含むボリュームを第1及び第2コンポーネントと繰り返し接触させることを含む請求項16の方法。
【請求項18】
還元窒素系汚染物質をアンモニア、アンモニウムイオン及び有機化合物及びそれらの混合物から選択する請求項12の方法。
【請求項19】
汚染物質は、約1mgN/L未満の排水濃度である請求項18の方法。
【請求項20】
少なくとも1つの中空膜を含み、各繊維は酸素源と流体連通している第1コンポーネント、
少なくとも1つの中空膜を含み、各繊維は水素源と流体連通している第2コンポーネント、及び
前記第1コンポーネント上の硝化バクテリア、
前記第2コンポーネント上の脱窒素バクテリアを含む膜バイオフィルム反応装置。
【請求項21】
各膜は第1の密度を有する内外層を有し、それらの層間に第1密度よりも大きな第2密度を有する請求項20の装置。
【請求項22】
内外層の間の層は、実質的に非孔質である請求項21の装置。
【請求項23】
各第1及び第2コンポーネントは、複数の中空繊維膜を含む請求項20の装置。
【請求項24】
還元窒素系汚染物質の酸化方法であって、この方法は、
膜及びその上の硝化バクテリア、かつ還元窒素系汚染物質を含む水を含むボリュームを含有するコンポーネントを含むシステムを準備し、及び
前記コンポーネントを酸素と接触させる還元窒素系汚染物質の酸化方法。
【請求項25】
窒素系汚染物質を、アンモニア、アンモニウムイオン及び有機化合物及びそれらの混合物から選択する請求項24の方法。
【請求項26】
硝化バクテリアが独立栄養細菌である請求項24の方法。
【請求項27】
コンポーネントは、酸素源と流体連通する少なくとも1つの中空繊維膜を含む請求項24の方法。
【請求項28】
酸化汚染物質を還元する請求項24の方法。
【請求項29】
酸化汚染物質を、膜及びその上の脱窒素バクテリアを含むコンポーネントを含む第2システムと接触させ、該第2システムコンポーネントは窒素源と流体連通している請求項28の方法。
【請求項30】
有酸素条件が硝化バクテリアのシステム蓄積を促進し、無酸素条件が脱窒素バクテリアのシステム蓄積を促進する請求項29の方法。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【公表番号】特表2007−537041(P2007−537041A)
【公表日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−513410(P2007−513410)
【出願日】平成17年5月13日(2005.5.13)
【国際出願番号】PCT/US2005/016803
【国際公開番号】WO2005/113456
【国際公開日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(596057893)ノースウエスタン ユニバーシティ (35)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年5月13日(2005.5.13)
【国際出願番号】PCT/US2005/016803
【国際公開番号】WO2005/113456
【国際公開日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(596057893)ノースウエスタン ユニバーシティ (35)
【Fターム(参考)】
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