説明

完全にアドレス指定ができる裁断可能なLEDアレイ

複数の画素300と主コントローラとを有する裁断可能な表示デバイスが提供される。各々の画素グループは1個の副コントローラ301と、個別に制御可能な複数の画素305とを有しており、全ての画素が画素グループの副コントローラに接続しており、少なくとも1個の画素は更に、隣接する画素グループの副コントローラに接続している304。主コントローラは複数の副コントローラに接続しており、予め定められた画像データに対応する画像を画素に表示させるために、副コントローラを選択的に制御するよう構成されている。これらの特徴を備えた表示デバイスを任意の幾何学的な形状に裁断することは、幾つかの画素をそれぞれの副コントローラから切り離すことになる。しかしながら、各画素グループ中にある少なくとも1個の画素は、切り離された副コントローラに代わって操作可能な他の副コントローラへと接続しており、この結果、完全に切り離された画素が生じるリスクは低い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願明細書で開示されている発明は、裁断可能な表示デバイスと斯様なデバイスを設計する方法とに関する。特に、本発明は発光ダイオード(LED)のアレイと、付随する制御デバイスとに関する。
【背景技術】
【0002】
LEDのエネルギ効率及び安い生産コストとは別に、ディスプレイ及び発光標識に使われる場合、LED技術は幾何学的に高度な適応性を提供する。LEDのアレイは織物の生地などの可撓性のある基体に取り付けることができる。より大きな白熱光源又は蛍光光源の代わりに、複数の小さな発光体を含むアレイ構造は均一に分散された照明を提供する。白熱光源又は蛍光光源を使用した場合と同等の均一性を実現するために、ディスプレイ又は標識は少なからぬ厚さを与えられなければならない。
【0003】
LED技術は、様々なサイズ及び様々な形状のディスプレイと標識とを提供するためにも使われてきた。斯様なデバイスを製造する経済的に有利な態様の一つが、LEDアレイを(生地に取り付けられ、できれば光の散乱層等によって覆われた場合に)LEDの機能を損なうことなく基本的に所望のサイズに裁断できる、メートル単位で供給される布地として扱うことである。これに呼応して、斯様なアレイは各々のLEDに駆動電流を提供するための手段をもっており、当該手段は各々のLEDに対して別々のユニットであるか、又は − より高い配線効率をもつ − 一定個数のLEDをもつグループ毎に一つのユニットであるかのどちらかである。前記布地が、ロゴタイプ等に関して所望されるように特定の幾何学的形状、特に不規則な曲線又は内部に穴をもつ幾何学的形状に従って裁断された場合、後者の解決案は適切に機能しない可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図1は、各々の画素102が別々の制御手段101により制御されている裁断可能なディスプレイを示す。全てのコントローラが主コントローラ105へと通信可能に連結されており、これは広範囲にわたる水平方向の配線104aと垂直方向の配線104bとを必要とする。明らかに、円状の切り口の中にある各画素が制御手段に接続されている。図2は他の解決案の例を示し、各々の制御手段201が16個の画素202に接続している。図1に示されたデバイスと同様、主コントローラ205は複数の接続導線204を介してそれぞれの制御手段201を制御する。円状の切り口の近くには複数の画素203が位置しており、これらの画素はそれぞれの制御手段への接続が無いために操作可能ではない。これは操作可能な画素の集合が、所望する円形とは異なる曲線を呈するであろうことを意味しており、結果として生じる曲線は実質的に正方形である。
【0005】
同時係属出願である国際特許公開公報WO 2008/120132は、画素のグループ内に配置されたLEDを有する裁断可能な表示デバイスを開示している。開示された実施例では画素グループの各々は、当該グループ内にある各LEDに接続し、且つ駆動電流を当該LEDに提供するよう適応されているコントローラを有する。国際特許公開公報 WO 2008/120132では、表示デバイスを裁断に対してよりロバストにするために、複数の画素グループが各々複数のコントローラを具備していることに留意されたい。この構成は、裁断の後、画素グループ内にある全てのコントローラが切り口と同じ側(及び表示デバイスの外側)の場所にあることになるので、コントローラへの全ての接続を失う画素の確率を低下させる。
【0006】
本発明の目的は、関連技術において知られている課題を解決すること、及び裁断によって操作不能になる画素の確率が低い、裁断可能な表示デバイスを提供することであり、 更に、これらがハードウェアの冗長性を殆ど犠牲にすることなく実現されることを特徴とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、これらの目的及び他の目的が、複数の画素グループと主コントローラとを有する裁断可能な表示デバイスにより実現される。各々の画素グループは1個の副コントローラと、個別に制御可能な複数の画素とを有し、全ての画素が当該画素グループの副コントローラへと接続されており、且つ少なくとも1個の画素が、隣接する画素グループの副コントローラへと更に接続されている。予め定められた画像データに対応する画像を複数の画素に表示させるために、主コントローラは副コントローラに接続しており、副コントローラを選択的に制御するよう構成される。
【0008】
上記の特徴を備えた表示デバイスを任意の幾何学的形状に裁断することは、幾つかの画素をそれぞれの副コントローラから切り離すことになる。しかしながら、各画素グループ内の少なくとも1個の画素が、切り離された副コントローラの役目を引き継いで操作可能な別の副コントローラへと接続されており、この結果、複数の画素を完全に切り離してしまうリスクは低い。全て切り離された画素を除いて、裁断された後の表示デバイス中にあるあらゆる画素は、当該画素の駆動を担当する特定の副コントローラに関連づけられる。このハードウェアの唯一の冗長は、二重に接続された画素の各々に備えられる追加の配線である。しかしながら、利用可能なコントロール能力をより均等に分散させるために、一連の連続した画素グループに沿って複数の画素が再設定されることができるので、この追加の配線が − 裁断の影響を受けない − 切り口から遠く離れた画素グループにさえも使用されてもよい。
【0009】
好ましい実施例では表示デバイスの各々の画素グループは、第1の隣接する画素グループの副コントローラへと接続している少なくとも1個の画素を有し、且つ第1の画素グループとは異なる第2の隣接する画素グループの副コントローラへと接続している少なくとも1個の画素を有する。これは副コントローラと画素との間の接続導線の全長を減じる。これはまた、上記した二つの異なる方向に沿った一連の画素の再設定の可能性を提供する。他の画素が、第3の、第4の等の隣接する画素グループの副コントローラに接続されることができる。
【0010】
好ましくは、各々の画素グループ内にある少なくとも1個の画素が、自身の画素グループの副コントローラに接続されているのみである。副コントローラ上に位置する又は同コントローラに近接する、裁断されるリスクが比較的低い画素は、二重に接続されることから免除されてもよい。これらの画素に対する追加の接続導線が最も長い導線の一つであるので、これはデバイスの信頼性を損ねることなく多くの配線を節約する。
【0011】
適切な光源の例はLEDである。画素は1個のLED又は複数のLEDを有する。特に、画素は1個の赤色LED、1個の緑色LED、及び1個の青色LEDから構成することが出来、広い色域を利用可能にする。
【0012】
好都合な実施例では、各々の副コントローラは駆動部、端子、及びプログラム可能なスイッチを有する。各々の駆動部は画素に駆動電流を生じさせるよう適応され、各々の端子が1個の画素へと接続されることができる。端末の数は駆動部の数と等しいか、それよりも多い。前記スイッチをプログラムすることによって、駆動部と端子との間の接続、又は複数の斯様な接続を構築することが可能である。当該スイッチのプログラム特性は、副コントローラ間で画素を再設定する能力に基づく。例えば当該スイッチの初期設定は、副コントローラが担当する画素の各々を駆動部へと接続することである。必要であると判明した場合、他の画素の担当を引き継ぐために、例えば画素グループ内にある副コントローラから切り離された画素の担当を引き継ぐために、副コントローラは幾つかの画素の駆動担当を放棄してもよい。副コントローラが端子と同数の駆動部を有する場合、引き継がれた画素の数が別の副コントローラへと引き渡された画素の数を超えてはならない。平均して、副コントローラの合計数は、任意の形状で表示デバイスから裁断された如何なる領域の画素を制御するにも十分な数であろう。当該領域が副コントローラの場所に十分に考慮して決められた場合、駆動部の不足の回避が殆どの場合可能である。他方、副コントローラが冗長な駆動部を含む場合、より大きな許容範囲で当該領域が裁断されることができる。冗長な駆動部は、画素グループの外側に存在していて接続された画素と同程度の多さであり、これによって画素の再設定は決して必要とされないであろう。各々の副コントローラに数個の冗長な駆動部を含むことは、ハードウェアにとってより経済的であり、切り口の近くにある、より多くの画素の再設定が出来る。
【0013】
裁断後、各々の副コントローラが接続状態を点検することを含むプロセスによって表示デバイスが初期化される。都合のよいことに、デバイスが接続されているかどうかを見るために各端子での抵抗測定を実施する(予め規定された電圧励起に対する電流応答がモニタされる)ことにより、接続状態が判断される。相応して、各々の副コントローラは自身の画素グループの各画素に接続された1つの端子をもっており、画素を担当する(複数の)副コントローラが破損した場合、副コントローラにより駆動されることができる隣接する画素グループ中にある画素へと接続する更なる端子をもっている。所定のパターンに従って接続されている画素によって、担当する副コントローラに対する画素の場所が、接続されている端子の識別から常に推論されることができる。したがって、副コントローラが場所を知ったとすると、全ての副コントローラから集められた端子の接続状態は、裁断の後に表示デバイス中で使用可能な画素のセットを決定するための充分な情報を含む。
【0014】
主コントローラは、裁断後の表示デバイスの初期化において積極的な役割を担う。好都合な実施例では、主コントローラは各々の副コントローラの接続状態を調査するよう適応され、副コントローラのプログラム可能なスイッチを操作するよう適応される。特定の画素グループにより多くの画素があり、他の画素グループに駆動部の利用可能なキャパシティがある場合、主コントローラは、関係する副コントローラのスイッチに画素を接続させる/切り離すことによる画素の再設定を通じて負荷の平準化を実施する。
【0015】
表示デバイスは、関連部品を相対的な位置に維持し且つ配線を保護する機械的な強度を加える支持層上に好ましくは配置される。柔軟な支持層を使用することは好都合であり、これは下にある湾曲面と同じ形状を呈することができる。表示デバイスが、織られた布地の支持層又は編まれた布地の支持層上に配置されてもよく、幾つかの紡ぎ糸が電気伝導性であり、主コントローラと副コントローラとの間の接続、又は副コントローラと画素との間の接続を提供するために用いられてもよい。代替的には、可能ならば低温多結晶質のシリコンの電子回路と組み合わせて、透明な堅いプレート(例えばガラス板)が適切な基体として役立つ可能性がある。
【0016】
解像度が限られる場合、照明された画素のアレイによって作られた画像はギザギザの印象を与える可能性がある。この望ましくない効果は、画素の上部に拡散層を提供することによって減衰させることができる。斯様な拡散層は各々の画素をより大きなスポットへと拡大するよう適応されており、滑らかな切替わりを生じさせるよう隣接するスポットは重複している。
【0017】
本発明の第2の態様によれば、本発明による裁断可能なディスプレイを用いて画像を表示する方法が提供されており、当該方法は、
− 接続状態及び画像情報を処理するステップと、
− 上記のステップに基づいて、制御命令を副コントローラへと選択的に送信するステップと、を含む。
【0018】
画像を表示するために、これまでに使われてはいない追加された初期化ステップを含む異なる実施例の、裁断可能なディスプレイが提供されてもよい。斯様な方法は、
− 曲線に沿ってディスプレイを裁断するステップと、
− 主コントローラを、相互接続した副コントローラにより形成されたネットワークに接続するステップと、
− 副コントローラに自身の接続状態を報告させるステップと、を含む。
【0019】
当該方法は更に、
− 可能ならば、自身の画素グループ中にある副コントローラから切り離されたあらゆる画素を、隣接する画素グループ中にある副コントローラと関連づけるステップと、
− 少なくとも1個の切り離された画素が依然として存在する場合、連続した画素グループの複数の副コントローラの間で当該画素を再設定するステップと、
− 副コントローラに、自身の接続状態を報告させるステップと、
− 接続状態及び画像情報を処理するステップと、
− 上記の処理に基づいて、制御命令を副コントローラへと選択的に送信するステップと、を含む。
【0020】
都合のよいことに各々の副コントローラは、最適な副コントローラの配分と、関連する画素接続情報とを記憶するための不揮発性記憶メモリを装備している。これにより、表示デバイスを電源オンする毎に副コントローラを再プログラミングする必要性と、配線の最適化を実行する必要性とを取り除く。実際には、本発明による特定の表示デバイスの寿命において一度だけ最適化を実行すれば十分である。結果として得られたプログラム・データは、製造のステップとして副コントローラ及び主コントローラにダウンロードされることができる。配線に関する問題又は配線の損傷が発生した場合、これは再プログラミングすることによって容易に修復されることができる。
【0021】
最後に、本発明の第3の態様によると、第1の態様に従う表示デバイスを設計するためのソフトウェア・ユーティリティにより実装されねばならないプロセス、即ち、画素の格子、副コントローラ、及び画素から副コントローラへの接続に対して、閉じた二次元の曲線を位置決めする方法が提供される。各々の画素が少なくとも一つの接続の終点であると看做される。当該方法は、
− 格子を形成する一つの単位セル内で複数の位置をサンプリングするステップと、
− 各々のサンプリングされた位置毎に、同位置に位置決めされた場合に曲線内に含まれる副コントローラの数を計数するステップと、
− 当該曲線内にあり、考え得る最大数をもつ副コントローラの位置を選択するステップと、を含む。
【0022】
より正確に言うと、サンプリングされた位置の各々の場所に曲線の基準点がある場合、曲線内に含まれる副コントローラの数が計数される。サンプリングは決定論的に − 即ち一組の予め決められた位置を通過する毎に − 実施されてもよいし、又は任意の位置で実施されてもよい。画素、副コントローラ、及び接続部が表示デバイスに配置された場合、格子を形成する(これらは単位セルのコピーにより構築される周期的な幾何学的パターンを呈する)ので、単位セル内で最適位置を探すだけで十分である。曲線内にある副コントローラの数を最大にすることは、当該曲線によって囲まれた副コントローラに含まれる駆動部の数を最大にすることを意味する。これは、駆動能力が全体的に不足する確率をより少なくし、これによって、負荷の平準化のために画素を再設定する試みの成功確率を上昇させる。位置決めの方法は、格子に対する曲線の最適な相対的方位を見出すステップも含む。
【0023】
上記の方法は、曲線に囲まれた副コントローラの数が最大となる複数の解決案を提供できるので、更なる条件が課されることがある。好都合にも当該方法は更に、曲線内部の全ての切り離された画素の数を最小にするよう適応される。即ち本方法は、
− 曲線内に存在する副コントローラの考え得る最大数が、一ヶ所以上の曲線の位置で実現される場合、これらの位置の各々に対して、当該曲線内にあり、当該曲線と交差しておらず且つ接続をもたない画素の数を計数するステップと、
− これらの位置の中から、当該曲線内にあり、前記曲線と交差しておらず且つ接続をもたない画素の数が最少となる位置を選択するステップと、を含む。
【0024】
本発明は、請求項に羅列されている特徴の全ての考え得る組合せに関する点に留意されたい。
【0025】
本発明の実施例を示している添付の図面を引用して、本発明のこれらの態様及び他の態様が、ここで更に詳細に説明されることであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】各々の副コントローラが1個の画素を制御している、裁断可能なディスプレイを関連技術から示す。
【図2】各々の副コントローラが16個の画素のグループを制御している、裁断可能なディスプレイを関連技術から示す。
【図3】本発明の一実施例による裁断可能なディスプレイの隣接する4個の画素グループを示す。
【図4】本発明の別の実施例による裁断可能なディスプレイの隣接する画素グループを示す。
【図5】本発明による位置決め法の実例を示す。
【図6】本発明の実施例による裁断可能なディスプレイを示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
ここで、本発明特有の実施例について説明しよう。しかしながら、本発明は多くの異なる形態で実施されることができ、本願明細書に記載された実施例に限定されると解釈されてはならない。むしろ、この開示が完全且つ十分で、本発明の範囲を当業者に充分に伝えるように、これらの実施例は例の態様にて提供されている。
【0028】
図3は、本発明の第1の実施例による裁断可能な表示デバイスの、各々が3x3個の画素を有する、隣接する4個の画素グループを表している。通常、当該表示デバイスは合計何十、何百、又は何千もの画素グループを有する。左上の画素グループ300において、当該画素グループの中央の画素の下に位置し、当該表示デバイスの主コントローラ(図示されず)へと通信できるよう結合されている副コントローラ301は、当該画素グループの9個の該当する画素305を制御するよう適応されている。該当する画素305と副コントローラ301との間の接続部303が細い実線で示され、該当する画素305自体は黒い円で示されている。副コントローラ301は更に、周囲にある4個の画素グループの中から当該副コントローラ301へと接続されている8個の外部にある画素を制御するよう適応されている。ここで、外部にある画素グループの画素が白い円で描かれている。画素グループ300の右及び下に位置する外部にある画素のうちの4個が図3では見えている。外部の接続部への導線304の、外に向かう部分304が太い実線で描かれており、外部の接続部への各々の導線の画素グループ内にある部分は、外部の画素と副コントローラとの間に存在する該当する画素の接続導線から電気的に絶縁されているが、しかし、図3はそのように描かれてはいない。逆にいえば、サブグループ302a、同302b、同302c、同302dにある画素は隣接する画素グループの正方形で示される副コントローラへの接続をもっている(図示されず)。
【0029】
本実施例では、各々の画素が異なる発光スペクトルをもつ3個のLEDのサブピクセルを有し、カラーグラフィックスをもたらす表示デバイスを可能にする。一方で、様々な強度及び広範囲にわたる色点が概して望まれるが、LED(及び本発明による表示デバイス中の画素として使用するのに適する多くの光源)は、狭い強度範囲のみの駆動電流を受け入れる。これ故、副コントローラはパルス幅変調された駆動電流を各LEDへ供給するよう適応される。このように駆動電流は、− LEDの許容駆動電流及びゼロ電流などの − 高レベルと低レベルとの間を交番し、高レベルにある時間の割合が、各光源に所望されるパワーに従って選択される。
【0030】
あらゆるサブグループ302の画素が2個の副コントローラに各々接続されているので、これらの画素はどちらかのコントローラによって適切に駆動されることができる。例えば、右にあるサブグループ302aの画素が、裁断によって自身の副コントローラ301から切り離された場合、隣接する右にある画素グループの副コントローラが、切り離された画素を駆動する担当を引き継ぐことができる。同様に、下にあるサブグループ302bの画素は、隣接する下にある画素グループの副コントローラにより駆動されることができる。本実施例では、左上にある画素グループが右下にある画素グループに接続されている画素を含むことはなく、これ故、右下にある画素グループの副コントローラからの支援を得ることはできない。副コントローラは電源ネットワーク(図示せず)を通じて電力を供給され、主コントローラ(図示せず)へとリンクしている制御ネットワーク(図示せず)を介して制御信号を受信する。制御ネットワークは好ましくは階層的ではなく、この結果、表示デバイスが所望する幾何学的形状に裁断された後に、主コントローラは複数の考え得る接続ポイントから選択された場所で接続されることができる。この場合、アドレスが副コントローラの場所を示すような態様で、副コントローラは独自にアドレス指定可能であり、したがって、各々の副コントローラに接続された画素が主コントローラから効率的に操作されることができる。
【0031】
図4は、各々の画素グループが4×4個の画素を含む実施例を示す。9つの画素グループが示されている。中央の画素グループ400は、黒い円として示された16個の該当する画素405と、副コントローラ401とを有する。このジオメトリでは、中央のグループ400の各画素405が二重に接続されている。例えば、右にあるサブグループ402dの画素は、(接続導線403を介して)自身の画素グループの副コントローラに、及び(接続導線404を介して)隣接する右にある画素グループの副コントローラの両方に接続しており、これによって当該画素は自身の副コントローラから切り離された場合にも駆動されることができる。同様に、裁断の場所に起因して必要となる場合、他の隣接する画素グループの画素が中央の画素グループ400の副コントローラ401により担当されることができる。
【0032】
図5は、(白い円で示されている)画素をもつ格子510と副コントローラ511とに対して二次元領域520の曲線を位置決めする方法を例示している。本発明の裁断可能な表示デバイスによると、画素グループが単位セルである格子510が構成され、領域520は表示デバイスが所望する幾何学的な形状に相当する。前記格子510は、図面に示されている4個の単位セル以外にも水平及び垂直に延在する。格子の周期性に起因して、領域520に対する格子の位置が単位セルに対する領域520上の基準点の位置により決定される。例えば、領域520の最も左にある角部が基準点として使われてもよく、副コントローラ511aを含む全ての使用可能な相対的な位置が、前記最も左にある角部を左の画素グループ内で移動させる毎に評価されることができる。この方法の実施例では、領域520の位置決めは同領域の方位を一定に保ったまま行われる。代替の実施例では、格子510に対する領域520の最適角度を取得することもある。
【0033】
最適な相対位置を見出す一つの態様は、領域520の基準点を複数の位置の各々に置くステップと、領域520の内部に含まれる(即ち、領域520の曲線の内部に含まれる)副コントローラの数を計数するステップとによって、単位セルからサンプリングされた一連の基準点を調べることである。考え得る最大数の副コントローラが、最適位置にある領域520に含まれていなければならない。これを例示するために、副コントローラ511のみが図に見えていると看做すと、領域520を2/4画素単位ずつ右に水平方向に移動した後に得られる位置の中では図5に示される位置が好ましい。というのは領域の曲線がこれより右では左の副コントローラ511aを囲まないからである。
【0034】
すでに言及したように、裁断可能なディスプレイ内にある副コントローラの数を最大にすることは、全ての画素に作用する十分な数の副コントローラを提供するための最善の考え得る条件を提供する。副コントローラが互いの間で駆動キャパシティを再設定するよう適応されている場合、少なくとも特定のサイズを上回る表示デバイスに対して、キャパシティ不足となるリスクが限定されねばならない。一方で、ほんの少数の画素グループを有するだけの非常に小型の表示デバイスは低い解像度を有するであろうし、したがってこの理由で既に関心がより低くなることであろう。
【0035】
主コントローラは裁断後の初期設定を担当しており、おそらく、より多くの画素を含む画素グループから利用可能なキャパシティを備えた画素グループへの画素の再設定のコーディネーションを担当する。これらのプロセスは、制御ネットワークを通じた情報(例えば副コントローラの接続状態)の主コントローラへの送信、及び主コントローラからの(例えば副コントローラ中の端子及び駆動部を接続するためのスイッチを操作するための命令の)受信を含む。代替的には副コントローラは、各々の副コントローラが自身の初期接続状態を点検することを含む、自動設定のプロセスを遂行してもよい。より多くの画素を有する他の副コントローラが、隣接する画素グループに向けて再設定のリクエストを指示するよう適応されてもよく、これは、次のステップで前記コントローラの隣のコントローラと相談した後に、当該リクエストを受け入れる又は拒むことができる。多くの斯様なリクエストが不成功に終わる可能性があるにもかかわらず、この態様のコーディネーションされていない設定は時折、− 副コントローラは表示デバイスの初期化の間はアイドル状態であることを思い出すと − 主コントローラが集中化した態様で決定する同様の手順よりも、利用可能なコンピュータのキャパシティをより効率的に使用することがわかる。
【0036】
図6は、円形形状を有する裁断可能な表示デバイス600を示す。当該デバイスは並置された画素グループ610で覆われており、同グループの各々は複数の画素、副コントローラ、及びこれらとの接続部を有する。本発明によれば、各々の画素グループにおいて少なくとも1個の画素が第1の隣接する画素グループの副コントローラへと更に接続しており、少なくとも1個の他の画素が、第2の隣接する画素グループの副コントローラへと更に接続している。全ての副コントローラが、これらのコントローラへと制御命令を送信するよう適応された主コントローラ630に通信可能に接続されている。
【0037】
本発明が図面及びこれまでの説明で詳細に例示され説明された一方で、斯様な例示及び説明は、例証又は典型例であるとみなされ、拘束するものではない。即ち、本発明は開示された実施例に限定されることはない。例えば、画素グループの配置は正方形であるが、しかし開示された実施例とは異なるサイズ(例えば2x2個又は5x5個)の矩形又は六角形の実施例にて本発明を実施することが考え得る。非常に小さな画素グループ又は非常に大きな画素グループを選択することは、しかしながら広範囲な配線を必要とする。
【0038】
開示された実施例に対する他のバリエーションが、図面、開示物、及び添付の請求項の学習から、請求された本発明を実施する際に当業者により理解されることができ且つ遂行されることができる。請求項において、単語「有する」が他のエレメント又はステップを除外することはなく、不定冠詞「a」又は「an」が複数を除外することはない。単一のプロセッサ又は他のユニットが、請求項において羅列された複数の項目の機能を満たすことができる。特定の手段が相互に異なる複数の従属請求項に羅列されているという単なる事実は、これらの手段の組合せが有効に使われ得ないとは示していない。コンピュータ・プログラムが、他のハードウェアと共に又は他のハードウェアの一部として供給される光記憶媒体又は固体媒体など適切な媒体上に記憶/配信されてもよいが、しかし、同プログラムが例えばインターネット又は他の有線若しくは無線の通信システムを介して、他の形で配信されてもよい。請求項中のいかなる参照符号も、本発明の範囲を限定するものとして解釈されてはならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素グループを有する裁断可能な表示デバイスであって、当該画素グループの各々が
−1個の副コントローラと、
−複数の個別に制御可能な画素であって、当該画素の全てが前記画素グループの前記副コントローラに接続しており、且つ少なくとも1個の前記画素が隣接する前記画素グループの前記副コントローラへと更に接続している、画素と、
を有し、
主コントローラが、前記複数の画素が予め定められた画像データに対応する画像を表示するために、前記副コントローラに接続され、且つ選択的に当該副コントローラを制御することを特徴とする、表示デバイス。
【請求項2】
各々の前記画素グループのうちの少なくとも1個の前記画素が第1の画素グループの前記副コントローラへと接続しており、同じ前記画素グループの少なくとも1個の前記画素が第2の画素グループの前記副コントローラに接続していることを特徴とし、前記第1の画素グループ及び前記第2の画素グループが、隣接している前記画素グループであることを特徴とする、請求項1に記載の裁断可能な表示デバイス。
【請求項3】
前記画素グループ内にある少なくとも1個の前記画素が、当該画素グループの前記副コントローラに排他的に接続されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の裁断可能な表示デバイス。
【請求項4】
各々の前記画素が少なくとも1個の発光ダイオードを有することを特徴とする、請求項1乃至3の何れか一項に記載の裁断可能な表示デバイス。
【請求項5】
各々の前記副コントローラが、
−各々が前記画素を駆動するための駆動電流を供給する複数の駆動部と、
−少なくとも前記駆動部と同数あり、それぞれが1個の前記画素に接続可能な複数の端子と、
−前記駆動部を前記端子に接続するためのプログラム可能なスイッチと、
を有することを特徴とする、請求項1乃至4の何れか一項に記載の裁断可能な表示デバイス。
【請求項6】
各々の前記副コントローラが、前記画素グループ内にある前記画素の数よりも多い前記駆動部を有することを特徴とする、請求項5に記載の裁断可能な表示デバイス。
【請求項7】
各々の前記副コントローラが、当該副コントローラの前記端子の接続状態を決定するよう更に適応されていることを特徴とする、請求項5又は6に記載の裁断可能な表示デバイス。
【請求項8】
前記主コントローラが、
−当該主コントローラへと接続されたあらゆる前記副コントローラの前記端子の接続状態を調査するステップと、
−当該副コントローラの前記プログラム可能なスイッチを操作するステップと、
を含むよう適応されていることを特徴とする、請求項7に記載の裁断可能な表示デバイス。
【請求項9】
前記画素及び前記副コントローラが取り付けられる可撓性をもつ支持層を更に有する、請求項1乃至8の何れか一項に記載の裁断可能な表示デバイス。
【請求項10】
前記支持層が、
−織物と、
−ガラスと、
のうちの一つであることを特徴とする、請求項9に記載の裁断可能な表示デバイス。
【請求項11】
それぞれが1個の副コントローラと、個別に制御可能な複数の画素とを有する複数の画素グループを有する裁断可能な表示デバイスを使用して画像を表示する方法であって、全ての前記画素が前記画素グループの前記副コントローラ接続しており、且つ少なくとも1個の前記画素が、隣接する前記画素グループの前記副コントローラに更に接続していて、前記副コントローラが通信可能に相互接続されていることを特徴とし、当該方法が、
−前記副コントローラの接続状態及び画像情報を処理するステップと、
−上記のステップに基づいて、制御命令を前記副コントローラへと選択的に送信するステップと、
を含む、方法。
【請求項12】
前記処理ステップ及び前記送信ステップに先立って実行される、
−曲線に沿って前記表示デバイスを裁断するステップと、
−主コントローラを前記副コントローラへと接続するステップと、
−前記副コントローラに自身の接続状態を報告させるステップと、
を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
可能ならば、自身の前記画素グループ内の前記副コントローラから切り離されたあらゆる前記画素を、隣接する前記画素グループの前記副コントローラと関連付けるステップと、
少なくとも1個の切り離された前記画素が依然として存在する場合、連続している前記画素グループの前記副コントローラの間で当該画素を再設定するステップと、
当該副コントローラに自身の接続状態を報告させるステップと、
を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
画素の二次元の格子、副コントローラ、及び前記画素から当該副コントローラへの接続部に対して閉じた二次元の曲線を位置決めする、コンピュータに実装する方法であって、各々の前記画素が一つ以上の前記接続部の終点であり、
−前記格子の1個の単位セル内で複数の位置をサンプリングするステップと、
−各々のサンプリング位置毎に、サンプリングされた前記位置における前記曲線に含まれている前記副コントローラの数を計数するステップと、
−前記曲線内に最大数の前記副コントローラがある位置を選択するステップと、
を新規に含む、方法。
【請求項15】
最大数の前記副コントローラが前記曲線の内部の複数の位置で実現された場合、これらの位置の各々に対して、前記曲線の内部にあり、当該曲線と交差しておらず且つ接続をもたない前記画素の数を計数するステップと、
これら複数の位置の中で、前記曲線の内部にあり、前記曲線と交差しておらず且つ接続をもたない最小数の前記画素となる位置を選択するステップと、
を更に有する請求項14に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−528351(P2012−528351A)
【公表日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−512517(P2012−512517)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【国際出願番号】PCT/IB2010/052385
【国際公開番号】WO2010/136998
【国際公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】