説明

定位置断裁された枚葉紙の紙頭を把持する方法及びその装置

【課題】 所定の模様が施された巻取り紙を枚葉紙に定位置断裁し、定位置断裁された枚葉紙の紙頭を渡胴の爪にタイミング良く把持することができる方法及びその装置を提供する。
【解決手段】 枚葉紙に形成された断裁の基準となるプリントマークの間隔を測定し、測定したプリントマークの間隔を基に、渡胴の第1の周速データを計算して渡胴を制御するとともに、定位置断裁された枚葉紙の紙頭が検出されたときの渡胴の回転角度を測定し、あらかじめ紙頭を把持することが確認されている基準紙頭検出角度との偏差を求めて、渡胴の位相を補正するための第2の周速データに変換して、渡胴を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙製造工程で各種模様が施された後に、各種条件の変化により用紙の伸縮が生じる巻取り紙において、該巻取り紙を断裁して枚葉紙とする工程における、枚葉紙の紙頭を把持する装置と方法に関する。
【背景技術】
【0002】
銀行券、株券、債券等の貴重製品に施される各種模様、例えば、すき入れ模様は、木材等の繊維を原料としてシートが形成される抄造工程において、公知の円網方式又はダンディロールを用いることによって形成される。このとき、すき入れ模様が施されたシートは、後工程となる乾燥部の温度の変動や抄造速度の変動により部分的に伸縮が生じる。
【0003】
このような巻取り紙を、一定の長さの枚葉紙に断裁すれば、枚葉紙中のすき入れ模様の位置にバラつきが生じる。また、そのような枚葉紙に、後工程で印刷を施した場合、すき入れ模様と印刷模様の位置ズレが発生し、均一な製品が製造できない。そのため、すき入れ模様が施された巻取り紙の断裁は、すき入れ模様の位置を基準として定位置で断裁する定位置断裁方式が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
定位置断裁方式とは、前述のようにすき入れ模様の位置を基準として定位置で断裁する方式であるが、実際には、断裁工程で高速搬送される用紙に形成されたすき入れ模様を高精度に検出することが困難であるため、抄紙工程で、すき入れ模様から所定の距離だけ離れた位置に黒色のマーク(以下、「プリントマーク」という。)を印字し、定位置断裁を行う時は、この印字されたプリントマークを検出してロータリーカッターの制御をすることで、紙頭からプリントマークまでの長さが所定の長さとなる定位置断裁を行っている。
【0005】
図1に、断裁工程で搬送されるときの用紙の状態と、すき入れ模様及びプリントマークの関係を示す。図1は、帯状の用紙(1)にすき入れ模様(2)及びプリントマーク(3)が施された例を示す図であり、一枚の枚葉紙(9)に相当する部分に、すき入れ模様(2)が、搬送方向に4列、用紙幅方向に4列にブロック分けされて形成された状態を示している。図1において、プリントマーク(3)は、枚葉紙(9)に断裁した時の略中央に位置し、搬送方向における枚葉紙(9)の前端(以下、「紙頭」という。)からプリントマーク(3)までの距離(L1)、紙頭(5)から搬送方向における枚葉紙(9)の後端(以下、「紙尻」という。)までの距離は、製品の種類、サイズ又は形成されるすき入れ模様(2)の数によって適宜決定される。以降、紙頭(5)から紙尻(6)までの距離を「用紙長(L2)」として説明する。なお、用紙の伸縮がなければ、プリントマーク間隔(L3)は、枚葉紙(9)の紙頭(5)から紙尻(6)までの距離(L2)と同じ長さとなる。
【0006】
一方、巻取り紙が断裁された後の集積方法については、定位置断裁された枚葉紙が、ロータリーカッター直後に設置された帯状の用紙の搬送速度より速い周速で回転する高速ベルトコンベアによって、用紙間が離れた状態で搬送された後、高速ベルトコンベアの周速の半分以下の周速で回転する低速ベルトコンベアにより、枚葉紙同士がオーバーラップした状態で集積装置に搬送することで積載される(例えば、特許文献2参照)。このとき、低速ベルトコンベアにおいて、枚葉紙同士が擦れるため、用紙間に静電気が発生し、その結果として、枚葉紙の搬送挙動が不安定となり、集積装置の枚葉紙の集積精度が悪くなる問題がある。
【0007】
これに対し、枚葉紙をオーバーラップさせずに集積装置に搬送する方法として、断裁直後の枚葉紙をベルト搬送した後、チェーンコンベアに取付けられた爪によって枚葉紙の紙頭を把持し、搬送する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。本方法により搬送及び積載された枚葉紙の集積精度は良好であるが、本装置は、断裁された枚葉紙の用紙長が変化する場合の、紙頭把持については考慮されておらず、カッター胴とチェーンコンベア搬送装置がギヤで連結される構造であり、カッター胴とチェーンコンベア搬送装置の位相が常に同期している。そのため、用紙寸法が一枚ごとに異なり、チェーンコンベア搬送装置に到達するタイミングが常に変化する枚葉紙の紙頭を、チェーンコンベアの爪で把持することはできない。このように、枚葉紙が支持できない場合、枚葉紙が機械に巻き込まれて破れ、損失となり、さらに、機械を停止して取り除く作業を要し、稼働率の低下となる。
【0008】
そこで、ロータリーカッターの上流において、プリントマーク間隔を測定し、測定したプリントマーク間隔の長さを平均化して、平均化されたプリントマーク間隔の長さ(枚葉紙の長さ)に合わせて渡胴の周速を変更することで、枚葉紙の紙頭を渡胴の爪で把持する断裁装置が提案されている(例えば、特許文献4参照)。ここで、特許文献4の断裁装置において、定位置断裁された枚葉紙の紙頭が渡胴の爪に把持されるまでの一連の流れについて図を用いて説明する。
【0009】
図2は、特許文献4の断裁装置(10)において、定位置断裁された枚葉紙(9)の紙頭(5)が渡胴(16)の爪(17)に把持されるまでの構成を示している。
【0010】
はじめに、断裁装置(10)において、抄造工程で製造された巻取り紙を定位置断裁し、渡胴(16)に設けられた爪(17)で紙頭(5)を把持し集積部に積載される一連の工程について説明する。
【0011】
すき入れ模様(2)が施された帯状の用紙(1)が、給紙ローラ(11)によって断裁胴(14)に搬送される。断裁胴(14)に搬送された帯状の用紙(1)は、断裁胴(14)によって、枚葉紙(9)に定位置断裁が行われ、定位置断裁された枚葉紙(9)は、平ベルト(15)によって、渡胴(16)に搬送される。渡胴(16)に搬送された枚葉紙(9)は、渡胴(16)に設けられた爪竿(17)によって、枚葉紙(9)の紙頭(5)が把持され、後工程の処理が行われる。なお、後工程の処理は、すき入れ模様(2)の位置を検査し、その結果によって、損紙パイルと正紙パイルに分別して集積することが記載されているが、該部分の処理及び図については省略する。
【0012】
次に、断裁装置(10)の各部の構造及び仕組みについて詳細に説明する。
【0013】
(第1断裁制御装置)
第1断裁制御装置(18)は、プリントマーク間隔を測定し、それに応じて断裁胴の回転速度の制御を行う。プリントマーク間隔を測定する理由は、プリントマーク間隔は、断裁胴(14)が、帯状の用紙(1)を枚葉紙(9)に断裁する間隔に相当するので、プリントマーク間隔を求めることによって、断裁胴(14)の周速を求めることができるからである。そのため、図2に示す帯状の用紙(1)の搬送経路において、プリントマーク検出器(12a)によって、帯状の用紙(1)に形成されたプリントマーク(3)が検出され、プリントマーク検出信号(S1)が第1断裁制御装置(18)に送信される。また、エンコーダ(13a)からのパルス信号(S2)が第1断裁制御装置(18)に送信される。一つ目のプリントマーク検出信号(S1)が検出されてから、二つ目のプリントマーク検出信号(S1)が検出されるまでに生じたエンコーダ(13a)のパルス信号(S2)は、プリントマーク間隔に相当する。詳細には、エンコーダ(13a)のパルス信号(S2)の1パルスに対して、搬送移動量と時間が決まるので、一つ目のプリントマーク検出信号(S1)と二つ目のプリントマーク検出信号(S1)の間に発生したパルス数と1パルス当たりの搬送移動量又は時間を乗算することによって、プリントマーク間隔を求めることができる。
【0014】
第1断裁制御装置(18)は、プリントマーク検出信号(S1)とパルス信号(S2)を受信することによって、前述した演算を行い、プリントマーク(3)が測定された帯状の用紙(1)が、断裁位置(C)に搬送されたタイミングで、プリントマーク(3)から紙頭(5)までの長さが所定の長さで断裁されるように、断裁胴(14)に連結されたモータ(M)の制御を行う。なお、このような定位置断裁を行うには、オペレータが、あらかじめ、巻取り紙から帯状の用紙(1)をサンプリングして、サンプリングした帯状の用紙(1)の、すき入れ模様(2)からプリントマーク(3)までの長さ(L4)を測定して、紙頭(5)から最初の列のすき入れ模様(2)までの距離(L5)が製品規格の範囲となる(L1)を、あらかじめ第1断裁制御装置(18)に入力しておく必要がある。該入力と、プリントマーク検出器(12a)の位置から断裁胴(14)の位置までの距離によって、プリントマーク検出器(12a)がプリントマーク(3)を検出してから、どのタイミングで紙頭(5)を断裁すれば良いかが決まり、第1断裁制御装置(18)は、断裁胴(14)が適切なタイミングで紙頭(5)を断裁するように制御を行う。
【0015】
(平ベルト)
断裁胴(14)の下流に設置された平ベルト(15)は、帯状の用紙(1)と、断裁された枚葉紙(9)を上下から挟持して回転するもので、その周速は、定位置断裁前の帯状の用紙(1)の搬送速度より所定の比率だけ速い速度となっている。これによって、断裁胴(14)を通過する帯状の用紙(1)を緊張させることから、断裁精度を高めることができる。また、断裁された枚葉紙(9)を増速して、先に断裁された枚葉紙(9)と後から断裁された枚葉紙(9)の間に隙間を作り、渡胴(16)に設けられた爪(17)を挿入することができる隙間を作ることができる。
【0016】
(爪)
平ベルト(15)で搬送される枚葉紙(9)の紙頭(5)が、渡胴(16)の紙頭把持ポイント(D)に到達した時、渡胴(16)に設けられた爪(17)は、枚葉紙(9)の紙頭(5)を把持する。そして、枚葉紙(9)の紙頭(5)を把持した状態で爪(17)は、後工程の集積部(図示せず)に移動し、爪(17)が集積部に到達した時に、爪(17)による紙頭(5)の把持を開放し、枚葉紙(9)が集積部へ落下する。以下、爪(17)の仕組みについて詳細に説明する。
【0017】
図3は、爪(17)の構成と駆動機構を示す図である。爪(17)は、一対の可動爪(17a)と固定爪(17b)で構成され、渡胴(16)に、爪(17)が取付けられている。可動爪(17a)は、常時、ばね(図示せず)によって常に固定爪(17b)に押えらつけた状態になっているおり、爪(17)は通常、閉じた状態である。渡胴(16)に設けられた爪(17)が、紙頭把持位置(D)の手前の位置に移動し、図3の爪開位置(A)に爪(17)がきた時、可動爪(17a)と連結されたカムフロア(21)が、フレームに取り付けられたカム(22)により押し上げられ、その時に、可動爪(17a)が開く。また、このような開閉仕組みを有する爪(17)が、紙頭把持位置(D)に達した時、すなわち、図3の爪閉位置(B)の時、開いている可動爪(17a)が閉じて枚葉紙(9)の紙頭(5)を把持する。
【0018】
紙頭(5)とプリントマーク(3)の関係及び用紙長(L2)が常に一定であれば、渡胴(16)に設けられた爪(17)にタイミング良く把持されて問題ないが、実際には、用紙の伸縮による変化や、機械的な断裁誤差の蓄積が原因となり、紙頭(5)の把持時にタイミングのずれが生じるといった問題がある。そこで、把持のタイミングにズレが生じる要因について説明する。
【0019】
図4は、搬送される帯状の用紙(1)の断裁位置(C)から紙頭把持位置(D)まで搬送距離(L6)と搬送時間の関係を示す模式図である。給紙ローラ(11)から供給される帯状の用紙(1)は、平ベルト(15)上を図示する搬送方向に搬送される。前述したように、平ベルト(15)の搬送速度は、給紙ローラ(11)の搬送速度より所定の比率だけ速い速度となっているが、帯状の用紙(1)の段階では、巻取り紙と一体となっているため、搬送速度は給紙ローラ(11)に依存される。そして、断裁胴(14)によって、紙尻(6)が断裁された後は、給紙ローラ(11)の搬送速度より所定の比率だけ速い、平ベルト(15)の搬送に依存される。
【0020】
このことから、断裁後の枚葉紙(9)の長さは、給紙ローラ(11)による用紙供給速度に依存され、図4では、紙頭(5)が断裁胴(14)を通過してから紙尻(6)が断裁されるまでの搬送時間を「T1」で表している。
【0021】
また、枚葉紙(9)に断裁された後は、平ベルト(15)による搬送に依存され、図5では、平ベルト(15)の搬送速度で搬送される時間を「T2」で表している。
【0022】
また、図4では、断裁位置(C)から紙頭把持位置(D)までの距離を「L6」で表している。したがって、一枚の枚葉紙(9)が、断裁胴(14)で断裁される断裁位置(C)から渡胴(16)による紙頭把持位置(D)まで搬送される距離(L6)に対する搬送時間は「T1+T2」で表される。
【0023】
一方、渡胴(16)の回転速度は、枚葉紙(9)が断裁位置(C)から紙頭把持位置(D)までの距離(L6)の搬送にかかる時間と同じ時間(T1+T2)で1回転し、かつ、枚葉紙(9)の紙頭(5)が紙頭把持位置(D)に搬送された時に、爪(17)が移動されてくるためのタイミング調整が必要である。断裁の開始時は、低速から高速へ徐々に搬送速度を増速させるため、給紙ローラ(11)、断裁胴(14)及び渡胴(16)に設けられた爪(17)のタイミングが一致しない。そのため、爪(17)の可動爪(17a)の強制閉と跳ね上げカム(20)を駆動し爪(17)で把持を行わず、専用の用紙受け(図示せず)に排出する。そして、各部の搬送速度が一定となり、タイミングの一致した時点で渡胴(16)に設けられた爪(17)に把持を行うこととしている。
【0024】
図5は、図4に示す搬送される帯状の用紙(1)の断裁位置(C)から紙頭把持位置(D)までの搬送距離(L6)と搬送時間の関係を示す模式図を基に、断裁胴(14)から渡胴(16)までの枚葉紙(9)の移動量と渡胴(16)の回転角度の関係を示す図である。図5は、断裁前の帯状の用紙(1)が、給紙ローラ(11)による搬送で、紙頭(5)が断裁胴(14)を通過し、T1の時間搬送された後、紙尻(6)が断裁されて枚葉紙(9)となり、断裁タイミング(1B)から、平ベルト(15)による搬送でT2の時間搬送されて、爪(17)に把持されることを示している。次に、二枚目の枚葉紙(9)について説明する。二枚目の枚葉紙(9)の紙頭(5)は、一枚目の枚葉紙(9)の紙(6)が断裁されたと同時に発生し、以降一枚目の枚葉紙(9)と同様にT1’の時間搬送された後、紙尻(6)が断裁されて枚葉紙(9)となり、断裁タイミング(1B’)から、平ベルト(15)による搬送でT2’の時間搬送されて、爪(17)に把持される。図5から、渡胴(16)の回転角度は、一枚目の枚葉紙(9)を把持した回転角度から360度1回転して二枚目の枚葉紙(9)の紙頭(5)を把持することが分かる。
【0025】
このように、枚葉紙(9)の用紙長(L2)に変動がなく、一定の用紙長、一定の間隔で枚葉紙(9)が搬送されれば、渡胴(16)に設置されている爪(17)による紙頭(5)を把持するタイミングに問題が生じることはない。しかし、抄造条件、室内環境等の影響により、巻取り紙が伸縮し、その結果、定位置断裁の基準となるプリントマーク間隔にバラツキが生じ、枚葉紙(9)の用紙長(L2)の変化となって表れた場合、図6に示すように、渡胴(16)での把持の問題が生じる。
【0026】
具体例として、図6を用いて説明する。図6に示す実線は、渡胴(16)の回転角度に対する正規の用紙長で断裁されるときの用紙の移動量を示したものであり、巻取り紙の伸縮が発生していない正規の状態である。
【0027】
次に、図6の点線で示すように、一枚目の枚葉紙(9)の用紙長(L2)が正規の用紙長より1mm短い場合、正規の搬送時間T1より短い時間、給紙ローラ(11)で搬送され、断裁後は正規の搬送時間T2よりも長い時間、平ベルト(15)で搬送されるため、枚葉紙(9)の紙頭(5)が、渡胴(16)に設置されている爪(17)に到達した時には正規の位置より+αmm行き過ぎることとなる。
【0028】
さらに、二枚目の枚葉紙(9)の用紙長(L2)も正規の用紙長より1mm短い場合、一枚目の断裁タイミング(1A)の位置から一枚目同様の搬送速度で搬送され、(2A’)で断裁タイミングを迎えることとなり、その後、平ベルト(15)で搬送される。このとき、正規の搬送時間T2’よりも長い時間、平ベルト(15)で搬送されるため、枚葉紙(9)の紙頭(5)が、渡胴(16)に設置されている爪(17)に到達した時には、一枚目の+αmm行き過ぎた位置に加えて、正規の位置より+2αmmの行き過ぎとなる。
【0029】
さらに、三枚目の枚葉紙(9)の用紙長(L2)が正規の用紙長より2mm短い場合、さらに誤差が蓄積され、枚葉紙(9)の紙頭(5)が、渡胴(16)に設置されている爪(17)に到達した時には、正規の位置より+4αmmの行き過ぎとなる。
【0030】
また、枚葉紙(9)の用紙長(L2)が正規の用紙長より長い場合も同様なことが言える。図6の2点破線で示すように、一枚目の枚葉紙(9)の用紙長(L2)が正規の用紙長より1mm長い場合、正規の搬送時間T1よりも長い時間、給紙ローラ(11)で搬送され、(1C)の位置で断裁タイミングを迎えることになり、正規の搬送時間T2よりも短い時間、平ベルト(15)によって搬送され、枚葉紙(9)の紙頭(5)が、渡胴(16)に設置されている爪(17)に到達した時には、正規の位置より−αmm手前となる。
【0031】
さらに、二枚目の枚葉紙(3)の用紙長(L2)も正規の用紙長より1mm長い場合、一枚目の断裁タイミング(1C)の位置から一枚目同様の搬送速度で搬送されて(2C’)断裁タイミングを迎えることとなり、その後、平ベルト(15)で搬送される。このとき、正規の搬送時間T2’より短い時間、平ベルト(15)で搬送されるため、枚葉紙(9)の紙頭(5)が、渡胴(16)に設置されている爪(17)に到達した時には、一枚目の−αmm行き過ぎた位置に加えて、正規の位置より−2αmm手前となる。
【0032】
さらに、三枚目の枚葉紙(9)の用紙長(L2)が正規の用紙長より2mm長い場合、さらに誤差が蓄積され、枚葉紙(9)の紙頭(5)が、渡胴(16)に設置されている爪(17)に到達した時には、正規の位置より−4αmm手前となる。
【0033】
このように、正規の用紙長よりも短い用紙長(L2)の枚葉紙(9)が複数枚連続するか、もしくは、正規の用紙長(L2)よりも長い用紙長の枚葉紙(9)が複数枚連続すると、用紙長(L2)の誤差が蓄積されていき、枚葉紙(9)の紙頭(5)が把持できなくなるという問題がある。なお、爪(17)は、枚葉紙(9)の紙頭(5)を把持する許容範囲が2mm程度あるが、前述したように用紙長が変化する場合、対応できなくなる。この問題を解決するために、爪(17)を大きくすることで、枚葉紙(9)の紙頭(5)を把持することができる許容範囲を広げることもできるが、機械的な設置場所、駆動機構を考慮すると現実的でない。
【0034】
そこで、特許文献4の断裁装置(10)は、図2に示すように、第2断裁制御装置(19)を設け、搬送される帯状の用紙(1)の段階でプリントマーク間隔を測定し、渡胴(16)の回転速度を制御する構成としている。続いて、第2断裁制御装置(19)について説明する。
【0035】
(第2断裁制御装置)
第2断裁制御装置(19)は、上流に設置されたプリントマーク検出器(12b)とエンコーダ(13b)の信号を受信して、プリントマーク間隔を測定し、測定されたプリントマーク間隔の用紙を把持するための渡胴(16)の回転速度を計算する。続いて、プリントマーク間隔、すなわち、用紙長(L2)と渡胴(16)の周速の関係について説明する。
【0036】
図7は、枚葉紙(9)の用紙長(L2)と渡胴(16)の周速の関係を示す図である。仮に、用紙長(L2)が長くなると、前述したように枚葉紙(9)の紙頭(5)が、渡胴(16)に設置されている爪(17)に到達した時には、正規の位置より−αmm手前となるため、これを解消するために、渡胴(16)の周速を下げて駆動される。逆に、用紙長(L2)が短くなると、前述したように枚葉紙(9)の紙頭(5)が、渡胴(16)に設置されている爪(17)に到達した時には、正規の位置より+αmm行き過ぎとなるため、これを解消するために、渡胴(16)の周速を上げて駆動される。
【0037】
このような用紙長(L2)と渡胴(16)の周速の関係により、枚葉紙(9)の用紙長(L2)によって、適正な周速を計算することができるので、第2断裁制御装置(19)は、測定されるプリントマーク間隔を基に、渡胴(16)の周速を計算する。そして、プリントマーク間隔を測定した部分に相当する枚葉紙(9)が渡胴(16)に搬送される直前に、計算された回転速度で渡胴(16)を制御する。
【0038】
以上説明したように、引用文献4の断裁装置(10)は、図2に示すように、第2断裁制御装置(19)によって渡胴(16)の回転速度を補正することによって、伸縮のある巻取り紙が定位置断裁され、断裁された枚葉紙(9)の紙頭(5)が渡胴(16)に設けられた爪(17)に把持されるときの問題解決を図るものである。
【0039】
一方、断裁装置で断裁された枚葉紙の紙頭の把持とは異なるが、輪転印刷機の各印刷ユニットによる印刷位置を合わせるため、見当合わせのためのマーク(以下、「検討マーク」という。)を用紙に印刷し、該見当マークを見当マークセンサで検出して、各色のずれを計測し、計測した見当マークのずれに応じて印刷ユニットの位相制御用モータの制御を行うことが行われることが特許文献5の従来技術に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0040】
【特許文献1】特開2002−346984号公報
【特許文献2】特許第2987366号公報
【特許文献3】特開2003−54828号公報
【特許文献4】特開2008−229751号公報
【特許文献5】特開2003−291311
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0041】
このように、所定の模様が施された巻取り紙(伸縮が生じている帯状の用紙)を、所定の模様を基準に断裁し、断裁された枚葉紙の紙頭を精度良く把持して集積する装置の開発が行われてきたが、特許文献4記載の断裁装置においても、渡胴の爪による紙頭の把持が完全でないという問題がある。この理由としては、各部の機械部品の寸法誤差や、渡胴の速度制御の誤差、定位置断裁の断裁精度の誤差、プリントマーク間隔の測定誤差等、機械や制御の微小な誤差が原因で、枚葉紙の紙頭と爪竿とが到達するタイミングのズレが次第に大きくなることが考えられる。
【0042】
また、特許文献5の従来技術に記載されている、印刷機の見当合わせのために用紙に印刷される見当マークを検出して、印刷ユニットの位相を制御する技術を用いて、定位置断裁される枚葉紙の紙頭を把持するために、プリントマークを検出して渡胴の位相を制御することも考えられるが、前述したように、用紙伸縮のある巻取り紙を定位置断裁した場合、紙頭把持位置に搬送されるタイミングが異なるため、単純に渡胴の位相制御を行うだけでは、紙頭を把持することができないという問題がある。さらに、位相制御によって紙頭の把持を行う場合、特許文献4記載のように渡胴の回転速度が変化する場合に、適正な位相制御を行うことができないという問題がある。
【0043】
本発明は、このような従来技術の問題点を解決するものであり、用紙長に応じて渡胴の回転速度の制御を行うとともに、定位置断裁された枚葉紙の紙頭を検知して渡胴の位相の制御を行うことによって、渡胴に設けられた爪が枚葉紙の紙頭を把持する精度を向上させることができる方法及び装置を提供するものである。
【0044】
また、本発明は、渡胴の回転速度が変化する場合に、適性な補正値を演算して位相制御を行うことによって、渡胴に設けられた爪が枚葉紙の紙頭を把持する精度を向上させることができる方法及び装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0045】
本発明の定位置断裁された枚葉紙の紙頭を把持する装置は、用紙製造工程で、用紙を断裁するための基準となるプリントマークが形成されて成る巻取り紙を、プリントマークを基準に定位置断裁し、断裁するための基準となるプリントマーク間隔の測定結果を基に渡胴の周速を渡胴制御部で制御して、定位置断裁された枚葉紙の紙頭を把持する断裁装置において、渡胴制御部は、プリントマーク間隔を取得するマーク間隔取得部と、取得されるプリントマーク間隔を基に、渡胴の周速を演算する周速演算部と、定位置断裁された枚葉紙の紙頭を検出し、枚葉紙の紙頭が検出された時の、渡胴の回転角度を検出する渡胴回転検出部と、あらかじめ記憶されている、渡胴が枚葉紙の紙頭を把持することのできる基準紙頭検出角度と渡胴回転検出部で検出する渡胴の回転角度との偏差を求める位相演算部と、位相演算部により求められた偏差を、渡胴の回転位置を補正するための周速データに変換する位相変更周速演算部と、周速演算部によって演算される周速と、位相変更周速演算部によって変換される周速で渡胴の周速を制御する周速制御部から成ることを特徴とする。
【0046】
また、本発明の定位置断裁された枚葉紙の紙頭を把持する装置における渡胴回転検出部は、定位置断裁された枚葉紙の紙頭を検出する光学式センサと、渡胴の回転角度を測定するパルスジェネレータと、光学式センサとパルスジェネレータからの信号を基に、定位置断裁された枚葉紙の紙頭が検出されたときの渡胴の回転角度を演算する渡胴回転角度演算部から成ることを特徴とする。
【0047】
また、本発明の定位置断裁された枚葉紙の紙頭を把持する装置における位相演算部は、基準紙頭検出角度が記憶されている基準角度記憶部と、前述の基準角度記憶部から基準紙頭検出角度を読み出して、渡胴回転検出部で検出される渡胴の回転角度との偏差を演算する偏差演算部から成ることを特徴とする。
【0048】
また、本発明の定位置断裁された枚葉紙の紙頭を把持する装置におけるマーク間隔取得部は、プリントマークを検出するプリントマーク検出器と、定位置断裁される前の用紙の搬送速度を測定するエンコーダと、プリントマーク検出器とエンコーダからの信号を基に、プリントマーク間隔を測定するマーク間隔演算部から成ることを特徴とする。
【0049】
また、本発明の定位置断裁された枚葉紙の紙頭を把持する装置におけるマーク間隔取得部は、あらかじめ測定されたプリントマーク間隔のデータを入力するためのマーク間隔入力部を備えたことを特徴とする。
【0050】
また、本発明の定位置断裁された枚葉紙の紙頭を把持する装置におけるマーク間隔演算部は、一枚に相当する枚葉紙ごとに、プリントマーク間隔を測定する又は所定の枚数に相当する枚葉紙ごとに、プリントマーク間隔を測定して平均化することを特徴とする。
【0051】
また、本発明の定位置断裁された枚葉紙の紙頭を把持する装置におけるマーク間隔取得部は、マーク間隔入力部に入力される、あらかじめ測定された複数のプリントマーク間隔のデータから、所定の枚数に相当する枚葉紙において、プリントマーク間隔を平均化するマーク間隔演算部を備えることを特徴とする。
【0052】
また、本発明の定位置断裁された枚葉紙の紙頭を把持する装置におけるマーク間隔取得部は、マーク間隔演算部において平均化するための所定の枚数を入力するための設定入力部を備えることを特徴とする。
【0053】
また、本発明の定位置断裁された枚葉紙の紙頭を把持する断裁における位相変更周速演算部は、位相演算部により演算された偏差を補正するための補正率を記憶した補正率記憶部と、前述の補正率記憶部から、補正率を読み出して位相演算部により演算された偏差に乗算し、渡胴の回転位置を補正するための周速データに変換する位相変更周速演算処理部から成ることを特徴とする。
【0054】
また、本発明の定位置断裁された枚葉紙の紙頭を把持する方法は、用紙製造工程で断裁するための基準となるプリントマークが形成されて成る巻取り紙を、帯状の用紙の状態で搬送する第1搬送部、プリントマークを基準に枚葉紙に定位置断裁する断裁胴、定位置断裁された枚葉紙を搬送する第2搬送部及び第2搬送部で搬送される枚葉紙の紙頭を把持するための爪が設けられた渡胴を少なくとも備えてなる断裁装置によって、巻取り紙を枚葉紙に定位置断裁し、定位置断裁された枚葉紙の紙頭を渡胴に設けられた爪で把持する方法において、測定されたプリントマーク間隔(L3)のデータを入力するプリントマーク間隔入力工程と、プリントマーク間隔(L3)のデータ、用紙の搬送速度(V)、渡胴の直径(D)から、次式:V=L3×V/2πDにより渡胴の周速(V)を演算する渡胴周速演算工程と、定位置断裁された枚葉紙の紙頭を検出する紙頭検出工程と、紙頭検出工程で、定位置断裁された枚葉紙の紙頭を検出したときの渡胴の回転角度を測定する渡胴回転角度検出工程と、渡胴が、枚葉紙の紙頭を把持可能な正規の基準紙頭検出角度と枚葉紙の紙頭を検出したときの、渡胴の回転角度との偏差を求める位相演算工程と、求められた偏差を、渡胴の回転角度を補正するための周速データに変換する周速データ変換工程と、渡胴周速演算工程によって演算された渡胴の周速(V)で渡胴を回転させる第1の周速制御を行った後、周速データ変換工程によって変換された周速データで渡胴の位相を補正する第2の周速制御を行う周速制御工程により定位置断裁された枚葉紙の紙頭を把持することを特徴とする。
【0055】
また、本発明の定位置断裁された枚葉紙の紙頭を把持する方法におけるプリントマーク間隔入力工程は、用紙製造工程でプリントマーク間隔(L3)を測定し、用紙製造工程で測定したプリントマーク(L3)のデータを入力する又は断裁装置上で搬送される帯状の用紙が枚葉紙に定位置断裁される前にプリントマーク間隔(L3)を測定し、断裁装置上で測定したプリントマーク間隔(L3)のデータを入力することを特徴とする。
【0056】
また、本発明の定位置断裁された枚葉紙の紙頭を把持する方法におけるプリントマーク間隔入力工程は、プリントマーク入力工程に入力するプリントマーク間隔(L3)のデータを、所定の枚数に相当する枚葉紙におけるプリントマーク間隔(L3)において平均化することを特徴とする。
【0057】
また、本発明の定位置断裁された枚葉紙の紙頭を把持する方法における渡胴周速演算工程は、平均化されたプリントマーク間隔(L3’)のデータ、用紙の搬送速度(V)、渡胴の直径(D)から、次式:V=L3’×V/2πDにより渡胴の周速(V)を演算することを特徴とする。
【0058】
また、本発明の定位置断裁された枚葉紙の紙頭を把持する方法における周速制御工程は、所定の枚数に相当する枚葉紙の紙頭が把持されるごとに、渡胴周速演算工程によって演算された渡胴の周速(V)で渡胴を回転させる第1の周速制御を行うことを特徴とする。
【0059】
また、本発明の定位置断裁された枚葉紙の紙頭を把持する方法における周速データ変換工程は、求められた偏差に補正率を乗算し、補正率が乗算された偏差を、渡胴の回転角度を補正するための周速データに変換することを特徴とする。
【発明の効果】
【0060】
断裁された枚葉紙の紙頭を検知してチェーンコンベアの搬送速度に反映させることによって、チェーンコンベアの爪竿が枚葉紙の紙頭を把持する精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】抄造工程で製造した帯状の用紙を示す図。
【図2】従来の定位置断裁した枚葉紙の紙頭を把持する装置の構成を示す図。
【図3】枚葉紙の紙頭を把持する爪の構成と駆動機構を示す図。
【図4】搬送される帯状の用紙の断裁位置から紙頭把持位置まで搬送距離と搬送時間の関係を示す模式図。
【図5】断裁胴から渡胴までの枚葉紙の移動量と渡胴の回転角度の関係を示す図。
【図6】枚葉紙の長さが変化した場合における、断裁胴から渡胴までの枚葉紙の移動量と渡胴の回転角度の関係を示す図。
【図7】枚葉紙の用紙長と渡胴の周速の関係を示す図。
【図8】本発明の定位置断裁した枚葉紙の紙頭を把持する装置の構成を示す図。
【図9】渡胴制御部(40)の構成を示す図。
【図10】マーク間隔測定部の構成を示す図。
【図11】渡胴回転検出部の構成を示す図。
【図12】渡胴の回転角度について説明するための模式図。
【図13】位相演算部の構成を示す図。
【図14】紙頭検出位置から紙頭把持位置まで搬送される枚葉紙と、搬送され枚葉紙が渡胴に設けられた爪にタイミング良く把持される状態と、そのときの基準紙頭検出角度の関係を模式的に示す図。
【図15】位相変更周速演算部の構成を示す図。
【図16】設定入力部を設けてなるマーク間隔取得部の構成を示す図。
【図17】枚葉紙の紙頭を把持する方法を示すフロー図。
【図18】実施例3の断裁装置の構成を示す図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0062】
本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。しかしながら、本発明は、以下に述べる実施するための形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲記載における技術的思想の範囲内であれば、その他のいろいろな実施の形態が含まれる。
【0063】
図8は、本発明の断裁装置(30)の全体構成を示す図である。図8に示す本発明の断裁装置(30)において、図2に示す特許文献4の断裁装置(10)の構成に含まれているものは、同じ符号を用いて説明する。なお、本発明の断裁装置(30)において、給紙ローラ(11)、定位置断裁を行うための定位置断裁制御装置(18)、平ベルト(15)、渡胴(16)及び渡胴(16)に設けられる爪(17)の構成については、特許文献4の断裁装置(10)の構成と同じであるため、説明を省略する。
【0064】
本発明の断裁装置(30)は、渡胴(16)に設けられた爪(17)が枚葉紙(9)の紙頭(5)を把持する精度を向上させるため、プリントマーク間隔(L3)に応じて渡胴(16)の回転速度の制御を行うとともに、定位置断裁された枚葉紙(9)の紙頭(5)を検出し、それと同時に、枚葉紙(9)の紙頭(5)を検出したときの渡胴(16)の回転角度を検出し、これらの信号を処理して渡胴(16)の回転速度の制御を行うことを特徴としており、以下そのための構成について説明する。
【0065】
図9は、渡胴制御部(40)の構成を示す図である。図9において、渡胴制御部(40)は、プリントマーク間隔を取得するマーク間隔取得部(41)、取得されたプリントマーク間隔(L3)から渡胴(16)の周速を演算する周速演算部(43)、定位置断裁された枚葉紙(9)の紙頭(5)が検出されたときの渡胴(16)の回転角度(θ)を検出する渡胴回転検出部(44)、周速演算部(43)によって演算された渡胴(16)の周速に応じた基準紙頭検出角度(θ)を設定し、渡胴回転検出部(44)で検出した渡胴(16)の回転角度(θ)との偏差を求める位相演算部(45)、位相演算部(45)で求められた偏差を、渡胴(16)の回転角度を補正するための周速データに変換する位相変更周速演算部(46)、周速演算部(43)によって演算された渡胴(16)の周速で渡胴(16)の周速を制御する第1の周速制御と位相変更周速演算部(46)によって演算された渡胴(16)の周速で渡胴(16)の周速を制御する第2の周速制御を行う周速制御部(47)で構成される。
【0066】
続いて、図8に示す渡胴制御部(40)を構成する各部の詳細について説明する。
【0067】
(マーク間隔取得部)
マーク間隔取得部(41)は、帯状の用紙(1)に形成されるプリントマーク間隔を取得し、マーク間隔データ(S3)として周速演算部(43)に送信する。
【0068】
プリントマーク間隔(L3)を取得する方法としては、断裁装置(30)上を搬送される帯状の用紙(1)からプリントマーク間隔(L3)を直接測定する方法と、事前の抄造工程で、あらかじめプリントマーク間隔を測定しておき、該データをマーク間隔測定データ(S9)として入力されて取得する方法がある。
【0069】
前者の場合におけるマーク間隔取得部(41)の構成を図10(a)に示す。図10(a)に示すように、マーク間隔取得部(41)は、プリントマーク検出器(12a)、エンコーダ(13a)及びマーク間隔演算部(41a)で構成される。マーク間隔演算部(41a)は、プリントマーク検出器(12a)によって送信されるプリントマーク検出信号(S1)とエンコーダ(13a)によって送信されるパルス信号(S2)を受信して、帯状の用紙(1)のプリントマーク間隔(L3)を測定する。
【0070】
この原理については、特許文献4の断裁装置(10)で説明した第1断裁制御装置(18)の演算と同様である。そして、測定されたプリントマーク間隔(L3)は、マーク間隔データ(S3)として周速演算部(43)に送信される。なお、周速演算部(43)へのマーク間隔データ(S3)の送信は、プリントマーク間隔が測定されるごとに行われる。
【0071】
また、後者の場合におけるマーク間隔取得部(41)の構成を図10(b)に示す。図10(b)に示すように、マーク間隔取得部(41)は、マーク間隔入力部(41b)で構成される。マーク間隔入力部(41b)に入力される。プリントマーク間隔測定データ(S9)は、巻取り紙全体に渡って測定されたプリントマーク間隔(L3)のデータが、断裁装置(30)によって断裁される順に並んだ状態となっている。そして、マーク間隔入力部(41b)にあらかじめ測定されたマーク間隔測定データ(S9)が入力されると、一枚目の枚葉紙(9)に相当する部分のプリントマーク間隔(L3)が、マーク間隔データ(S3)として周速演算部(43)に送信される。以降は、二枚目以降の枚葉紙(9)に相当するプリントマーク間隔(L3)が、順にマーク間隔データ(S3)として周速演算部(43)に送信される。
【0072】
(周速演算部)
周速演算部(43)は、マーク間隔取得部(41)から送信されるマーク間隔データ(S3)を受信し、受信したプリントマーク間隔(L3)に相当する枚葉紙(9)が、渡胴(16)に設けられた爪(17)に適正なタイミングで把持されるための第1の周速データ(S4)を演算する。演算された第1の周速データ(S4)は、周速制御部(47)に送信され、周速制御部(47)によって第1の周速制御が行われる。
【0073】
以上説明したマーク間隔取得部(41)と周速演算部(43)の構成は、特許文献4における第2断裁制御装置(19)の構成と同様である。本発明では、実際に、定位置断裁された枚葉紙(9)の紙頭(5)が検出されたときの渡胴(16)の回転角度(θ)を測定し、測定した渡胴(16)の回転角度(θ)と定位置断裁された枚葉紙(9)の紙頭(5)が検出されたときに、あらかじめ紙頭(5)を把持することが確認されている基準紙頭検出角度(θ)との偏差を測定し、渡胴(16)に対して、その偏差を補正する第2の周速制御を行うことで、枚葉紙(9)の紙頭(5)を把持する精度を向上させている。また、周速演算部(43)によって計算された第1の周速データ(S4)を基に、適正な基準紙頭検出角度(θ)を設定することで、正確な偏差を計算することができ、その偏差を補正する制御を行うことで、枚葉紙(9)の紙頭(5)を把持する精度を向上させている。以下、第2の周速制御について説明する。
【0074】
(渡胴回転検出部)
渡胴回転検出部(44)は、定位置断裁された枚葉紙(9)の紙頭(5)が検出されたときの渡胴(16)の回転角度(θ)を測定し、紙頭検出角度(θ)として位相演算部(45)に送信する。
【0075】
渡胴(16)の回転角度を測定するための構成について、図11を用いて説明する。図11に示すように、渡胴回転検出部(44)は、光学式センサ(24)、パルスジェネレータ(25)及び渡胴回転角度演算部(44a)で構成される。はじめに、渡胴回転検出部(44)を構成する光学式センサ(24)とパルスジェネレータ(25)について説明する。
【0076】
光学式センサ(24)は、定位置断裁された枚葉紙(9)の紙頭(5)を検出するためのもので、断裁胴(14)と渡胴(16)の位置に設けられる。好ましくは、光学式センサ(24)を上流側に設けるのが良く、これは、光学式センサ(24)と渡胴(16)の距離が短くなると、光学式センサ(24)によって枚葉紙(9)の紙頭(5)が検出されてから、渡胴(16)まで搬送される時間が短くなるので、渡胴(16)の第2の周速制御が遅れる又は間に合わなくなるという問題があるからである。
【0077】
本説明では、断裁胴(14)のカッター近傍にドグ(23)を取付け、該ドグ(23)を検出する光学式センサ(24)を断裁胴(14)のフレームに取付けて紙頭(5)を検出する構成で説明する。なお、ドグとは、センサの光を遮断してセンサを動作させる板のことである。この場合、断裁胴(14)が断裁するときに、光学式センサ(24)がドグ(23)を検出するように光学式センサ(24)とドグ(23)を配置することで、紙頭(5)が発生したタイミングを検出することができ、さらに、紙頭(5)を上流側で検出することができる。そして、光学式センサ(24)によって検出された信号は、紙頭検出信号(S5)として渡胴回転角度演算部(44a)に送信される。
【0078】
パルスジェネレータ(25)は、渡胴(16)の回転角度を測定するためのものであり、渡胴(16)を駆動するACサーボモータ(M)に取付けられ、これによって、渡胴(16)の回転角度(θ)が検出される。ここで、渡胴(16)の回転角度(θ)について説明する。
【0079】
図12は、渡胴(16)の回転角度(θ)について説明するための模式図である。回転角度(θ)とは、渡胴(16)の基準の位置(P)が、所定の位置にあるとき、例えば、図12に示す位置を回転基準位置(θ)とし、回転基準位置(θ)を0°とする回転角度のことである。そして、パルスジェネレータ(25)は、測定された渡胴(16)の回転角度(θ)を、回転角度信号(S6)として、渡胴回転演算部(44a)に送信する。なお、渡胴(16)の軸芯に高分解能のエンコーダを取付けることによって、測定する回転角度のより高い検出精度が得られる。
【0080】
(渡胴回転演算部)
渡胴回転演算部(44a)は、光学式センサ(24)から送信される紙頭検出信号(S5)とパルスジェネレータ(25)から送信される回転角度信号(S6)を受信し、紙頭検出信号(S5)を受信した時の回転角度信号(S6)を演算し、紙頭検出角度(θ)として位相演算部(45)に送信する。
【0081】
(位相演算部)
位相演算部(45)は、図13に示すように、偏差演算部(45a)と基準角度記憶部(45b)で構成される。偏差演算部(45a)は、周速演算部(43)から送信される第1の周速データ(S4)を受信し、紙頭(5)を把持することがあらかじめ確認されている基準紙頭検出角度(θ)を基準角度記憶部(45b)から読み出して設定する。また、偏差演算部(45a)は、渡胴回転検出部(44)から送信される紙頭検出角度(θ)を受信し、基準紙頭検出角度(θ)と紙頭検出角度(θ)の偏差(θ−θ)を求める。
【0082】
ここで、基準紙頭検出角度(θ)について、図14を用いて説明する。
【0083】
図14は、紙頭検出位置(E)から紙頭把持位置(D)まで搬送される枚葉紙(9)が、渡胴(16)に設けられた爪(17)にタイミング良く把持される状態と、そのときの基準紙頭検出角度(θ)の関係を模式的に示す図である。図14に示すように、本説明において、光学式センサ(24)によって紙頭(5)を検出する位置は、断裁位置と同じとしているため、紙頭検出位置(E)は断裁位置(C)と同じ位置となる。また、紙頭検出位置(E)から紙頭把持位置(D)までの距離(L7)についても、断裁位置(C)から紙頭把持位置(D)までの距離(L6)と同じ距離となる。
【0084】
図14に示す基準紙頭検出角度(θ)は、光学式センサ(24)が紙頭(5)を検出したときに、枚葉紙(9)が平ベルト(15)によって搬送され、それと同時に渡胴(16)が周速演算部(43)で計算される周速で回転して、タイミング良く枚葉紙(9)の紙頭(5)を把持することのできる回転角度である。基準紙頭検出角度(θ)は、前述のように、あらかじめ確認されているものであり、これは、用紙長(L2)が一定であれば、枚葉紙(9)の紙頭(5)が検出されてから、枚葉紙(9)の紙頭(5)が紙頭把持位置(D)に到達するまでの時間があらかじめ求められるので、それと同じ時間で、渡胴(16)が周速演算部(43)で計算される周速で回転移動して爪(17)にタイミング良く把持される回転角度が求められるからである。実際には、機械部品の寸法誤差や、渡胴(16)の速度制御の誤差によって、求められる基準紙頭検出角度(θ)をそのまま設定してもタイミング良く枚葉紙(9)の紙頭(5)を把持できない場合がある。例えば、渡胴(16)の重量が大きいと、渡胴(16)の回転する慣性力が大きくなるため、求められた基準紙頭検出角度(θ)をそのまま設定すると、第2の周速制御が間に合わない場合がある。このような場合には、求められた基準紙頭検出角度(θ)を基準として、それに許容を持たせた範囲で基準紙頭検出角度(θ)を設定し、実際に枚葉紙(9)の紙頭(5)をタイミング良く把持することができることを確認した基準紙頭検出角度(θ)を基準角度記憶部(45b)に記憶させておけば良い。
【0085】
なお、渡胴(16)の周速に対する基準紙頭検出角度(θ)の関係は、渡胴(16)の周速が速くなる場合、基準紙頭検出角度(θ)が大きくなり、渡胴(16)の周速が遅くなる場合、基準紙頭検出角度(θ)が小さくなるという関係がある。これは、以下の理由からである。所定の周速で渡胴(16)が回転するとき、所定の基準紙頭検出角度(θ)でタイミング良く枚葉紙(9)の紙頭(5)が把持でき、かつ、基準紙頭検出角度(θ)の位置に爪(17)が配置されるとすると、仮に、渡胴(16)の周速が速くなる場合、搬送される枚葉紙(9)の紙頭(5)が紙頭把持位置(D)に到達したときに、渡胴(16)に設けられる爪(17)が紙頭把持位置(D)を通り越してしまうためであり、その分の角度を補正(小さく)して設定されなければならないからである。逆に、渡胴(16)の周速が遅くなる場合、搬送される枚葉紙(9)の紙頭(5)が紙頭把持位置(D)に到達したときに、渡胴(16)に設けられる爪(17)が紙頭把持位置(D)より手前側の位置にくるためであり、その分の角度を補正(大きく)して設定されなければならないからである。
【0086】
特許文献5の従来技術に記載の印刷ユニットの位相制御する技術においては、印刷ユニットの周速が変化するものではない。すなわち、本発明でいう渡胴(16)の周速が変化するものではないため、基準紙頭検出角度(θ)を一定な値として、紙頭検出角度(θ)との偏差を測定すれば良いが、特許文献4の断裁装置(10)のように渡胴(16)の周速が変化する場合には、基準紙頭検出角度(θ)を一定にすると、渡胴(16)の適正な補正値を得ることができない。
【0087】
このような問題に対して、本発明では、渡胴(16)の周速に応じた基準紙頭検出角度(θ)をあらかじめ計算しておき、位相演算部(45)は、周速演算部(43)から受信する第1の周速データ(S4)を基に、基準紙頭検出角度(θ)を設定し、渡胴回転検出部(44)から受信する紙頭検出角度(θ)との偏差を測定している。
【0088】
そして、位相演算部(45)によって求められた基準紙頭検出角度(θ)と紙頭検出角度(θ)の偏差は、位相データ(S7)として、位相変更周速演算部(46)に送信される。
【0089】
(位相変更周速演算部)
位相変更周速演算部(46)は、図15(a)に示すように、位相変更周速演算処理部(46a)で構成される。位相変更周速演算処理部(46a)は、位相演算部(45)から受信した位相データ(S7)を、補正するための渡胴(16)の第2の周速データ(S8)に変換し、第2の周速データ(S8)を周速制御部(47)に送信する。ただし、位相データ(S7)により渡胴(16)の位相を変更した場合、その変更量が大きいと機械制御と応答速度の限界により、位相を変更できないことがある。このような場合、位相変更周速演算処理部(46a)は、補正する位相が小さくなるように、求められた位相データ(S7)に補正率(β)を掛けた値として、渡胴(16)のズレを補正する第2の周速データ(S8)としても良い。この場合の、補正率(β)についても、実際に、位相データ(S7)に対する適正な補正率(β)をあらかじめ確認した後、図15(b)に示すように、補正率記憶部(46b)に記憶させておく。そして、位相変更周速演算処理部(46a)は、位相データ(S7)に応じた、補正率(β)を補正率記憶部(46b)から読み出して、位相データ(S7)に補正率(β)を掛けた値として、渡胴(16)のズレを補正する第2の周速データ(S8)を求めるようにすれば良い。
【0090】
(周速制御部)
周速制御部(47)は、前述したように周速演算部(43)で演算された第1の周速データ(S4)を受信して第1の周速制御を行い、さらに、位相変更周速演算部(46)から受信した第2の周速データ(S8)を受信して、第2の周速制御を行う。第1の周速制御は、枚葉紙(9)の紙頭(5)が把持されるごとに行われ、第2の周速制御は、第1の周速制御が行われてから爪(17)が紙頭把持位置(D)に到着するまでに行われる。詳細には、第1の周速制御は、仮にn枚目の枚葉紙(9)とn+一枚目の枚葉紙(9)のプリントマーク間隔を(L3)、それに対する渡胴の周速(V)とすると、n枚目の枚葉紙(9)の紙頭(5)が把持された直後に渡胴の周速(V)で渡胴(16)の第1の周速制御が行われる。
【0091】
第2の周速制御は、具体的に第2の周速データ(S8)を受信して、渡胴(16)を加減速するものであり、例えば、位相データ(S7)の位相が正の時には、第1の周速データ(S4)の周速で回転中の渡胴(16)を一度加速し、その後、第1の周速データ(S4)の周速まで減速することで、渡胴(16)の位相を進めている。反対に、周速データ(S7)が負の場合は第1の周速データ(S4)で回転中の渡胴(16)の周速を一度減速し、その後、第1の周速データ(S4)になるまで周速を加速することで、渡胴(16)の位相を遅らせている。このように渡胴(16)の位相の変更を、すべての枚葉紙(9)に対して行えば、断裁装置(30)を連続運転した場合において、紙頭把持位置(D)に搬送される枚葉紙(9)の紙頭(5)と爪(17)との微小なタイミングのズレが蓄積することはなく、その結果として、爪竿(17)は、安定して枚葉紙(9)の紙頭(5)を把持することができる。
【0092】
以上、定位置断裁された枚葉紙(9)の紙頭(5)を精度良く把持するための装置の構成について説明したが、本発明の装置の利便性向上のため以下に説明する構成としても良い。
【0093】
図16(a)は、図10(a)に示すマーク間隔取得部(41)のブロック図において、更に第1の周速制御を行うための枚葉紙(9)の枚数を設定するための設定入力部(48)を設けて成るマーク間隔取得部(41)のブロック図を示す図である。例えば、設定入力部(48)に、「3」が入力されると、設定信号(S10)としてマーク間隔演算部(41a)に送信され、マーク間隔演算部(41a)は、枚葉紙(9)三枚分のプリントマーク間隔(L3)を測定し、その平均値を測定して、マーク間隔平均測定データ(S3’)として周速演算部(43)に送信することとなる。以降の処理は、周速演算部(43)によってマーク間隔測定データ(S3’)に対する渡胴(16)の第1の周速データ(S4)が演算され、測定されたプリントマーク間隔(L3)に相当する枚葉紙(9)三枚が爪(17)に把持されるときに、マーク間隔測定データ(S3’)を基に、演算された第1の周速データ(S4)で渡胴(16)の第1の周速制御が行われる。なお、マーク間隔演算部(41a)は、枚葉紙(9)三枚分のプリントマーク間隔における平均値の測定が終わると、次に搬送される枚葉紙(9)三枚分のプリントマーク間隔における平均値の測定を行って、測定結果を周速演算部(43)に送信し、以降、前述した処理が繰り返して行われる。
【0094】
設定入力部(48)に入力する数値は、オペレータが、断裁前に巻取り紙(8)のマーク間隔のばらつきを測定して適宜設定されるか又は抄造工程でプリントマーク間隔を測定した結果を基に、適宜設定されるものである。このように、設定入力部(48)を設けることによって、渡胴(16)の周速の補正回数を減らし、ACサーボモータ(M)の制御回数を減らすことができるので、ACサーボモータ(M)の耐久性を向上させることができる。
【0095】
また、図10(b)に示すマーク間隔取得部(41)のブロック図に対して、設定入力部(48)を設けて成るマーク間隔取得部(41)のブロック図を図16(b)に示す。この場合、マーク間隔入力部(41b)に入力されるプリントマーク測定データ(S9)は、マーク間隔演算部(41c)に送信され、設定入力部(48)に入力された数値は、設定信号(S10)としてマーク間隔取得部(41)に送信される。そして、マーク間隔演算部(41c)は、マーク間隔測定データ(S9)を、設定入力部(48)から送信される設定信号(S10)によって順次、平均処理し、マーク間隔平均測定データ(S3’)として周速演算部(43)に送信する。以降の処理は、図16(a)に示す構成と同様である。
【0096】
また、図10(b)に示すマーク間隔入力部(41b)に入力される、あらかじめ測定されたプリントマーク間隔(L3)のデータは、一つの巻取り紙全体で平均化したプリントマーク間隔のデータでも良い。この場合、巻取り紙全体で平均化されたプリントマーク間隔のデータを基に、周速演算部(43)によって渡胴(16)の周速が演算され、一つの巻取り紙の断裁が終わるまで、一定の周速で第1の周速制御が行われる。この方法は、一つの巻取り紙を製造する中で、用紙伸縮の変動が小さい場合に有効である。そして、巻取り紙ごとに平均化されたプリントマーク間隔のデータをマーク間隔入力部(41b)に入力することによって、巻取り紙ごとに適正な渡胴(16)の周速を演算し、渡胴(16)の第1の制御を行うことができる。
【0097】
また、入力部(48)に入力された枚葉紙(9)の枚数に相当する距離が、プリントマーク検出器(12a)から断裁胴(14)までの距離より長い場合は、プリントマーク検出器(12a)よりも上流側の位置に別途プリントマーク検出器(図示せず)とエンコーダ(図示せず)を設けてプリントマーク(3)を測定する構成とすれば良い。
【0098】
続いて、本発明の定位置断裁された枚葉紙(9)の紙頭(5)を把持する方法について説明する。
【0099】
(第1の紙頭把持方法)
本発明の紙頭把持方法は、図17に示すように、STEP1の、あらかじめ測定されたプリントマーク間隔のデータがあるかによって、以下に説明する処理を行う。仮に、あらかじめ測定されたプリントマーク間隔のデータがある場合は、STEP4に進む。一方、あらかじめ測定されたプリントマーク間隔のデータがない場合は、STEP2に進む。
【0100】
あらかじめ測定されたプリントマーク間隔のデータがない場合、STEP2で、用紙に形成されたプリントマーク間隔(L3)を測定し、STEP4に進む。プリントマーク間隔(L3)を測定する方法としては、断裁装置(30)上を搬送される帯状の用紙(1)が、断裁胴(14)によって断裁される前の位置で、センサとエンコーダを用いて、それぞれの信号を処理することで、測定することができる。
【0101】
なお、あらかじめ測定されたプリントマーク間隔のデータ及びSTEP2で測定されたプリントマーク間隔のデータを用いて以降の処理を行うが、後述する渡胴(16)の第1の周速制御は、枚葉紙(9)一枚の紙頭(5)を把持するごとに行うか、所定の枚数に相当する枚葉紙(9)の紙頭(5)を把持するごとに行う。所定の枚数に相当する枚葉紙(9)の紙頭(5)を把持するごとに第1の周速制御を行う場合、渡胴(16)を駆動するACサーボモータ(M)の制御回数を減らすことができ、ACサーボモータ(M)の耐久性を向上させることができるので好ましい。ただし、測定されたプリントマーク間隔のデータの変動が大きいと、枚葉紙(9)の紙頭(5)の把持ができない場合があるので、枚葉紙(9)一枚の紙頭(5)を把持するごとに第1の周速制御を行うか、所定の枚数に相当する枚葉紙(9)の紙頭(5)を把持するごとに第1の周速制御を行うか、後者の場合の所定の枚数の値について、オペレータが枚葉紙(9)の紙頭(5)の把持状況に応じて適宜設定すれば良い。
【0102】
仮に、所定の枚数に相当する枚葉紙(9)の紙頭(5)を把持するごとに第1の周速制御を行う場合、STEP3−1又はSTEP3−2で、所定の枚数に相当する枚葉紙(9)において、プリントマーク間隔のデータを平均化し、平均化したプリントマーク間隔(L3’)のデータを基にSTEP4以降の処理を行う。
【0103】
次に、STEP4で渡胴の周速(V)を演算する。
【0104】
用紙の搬送速度を(V)、プリントマーク間隔(L3)、渡胴の直径を(D)とすると、渡胴の周速(V)の演算式は、以下のとおりである。
【0105】
【数1】

【0106】
なお、所定の枚数に相当する枚葉紙(9)の紙頭(5)を把持するごとに第1の周速制御を行う場合の渡胴の周速(V)を求める場合には、上記に記載した数式において、枚葉紙(9)一枚分のプリントマーク間隔(L3)を、所定の枚数に相当する枚葉紙(9)においてプリントマーク間隔のデータを平均化したプリントマーク間隔(L3’)に置き換えれば良い。
【0107】
プリントマーク間隔(L3)が測定された後、搬送される帯状の用紙(1)は、断裁胴(14)によって枚葉紙(9)に定位置断裁される。
【0108】
次に、STEP5で定位置断裁された枚葉紙(9)の紙頭(5)を検出し、そのときの渡胴(16)の回転角度(θ)を検出する。
【0109】
定位置断裁された枚葉紙(9)の紙頭(5)を検出する方法としては、光学式センサを用い、枚葉紙(9)の紙頭(5)がセンサを通過するときの信号から検出することができる。また、断裁胴(14)にドグ(23)を設け、断裁胴(14)が断裁するときに、光学式センサ(24)がドグ(23)を検出するように光学式センサ(24)とドグ(23)を配置することで、紙頭(5)が発生するタイミングを検出することができる。
【0110】
渡胴(16)の回転角度(θ)を測定する方法としては、渡胴(16)を駆動するACサーボモータ(M)にパルスジェネレータ(25)を設けることで行うことができる。このとき、図12に示すように、渡胴(16)の所定の位置を回転基準位置(θ)として設定し、回転基準位置(θ)を0°として、枚葉紙(9)の紙頭(5)が検出されたときのパルスジェネレータ(25)の信号を読み取ることで渡胴(16)の回転角度(θ)を測定することができる。
【0111】
次に、STEP6で渡胴(16)が定位置断裁された枚葉紙(9)の紙頭(5)を把持することがあらかじめ確認されている基準紙頭検出角度(θ)と、枚葉紙(9)の紙頭(5)が検出されたときの渡胴(16)の回転角度(θ)との偏差を求める。なお、基準紙頭検出角度(θ)とは、渡胴(16)がSTEP4で演算される周速(V)で回転して、タイミング良く渡胴(16)の爪(17)に把持される渡胴(16)の回転角度のことである。
【0112】
基準紙頭検出角度(θ)は、前述のように、渡胴の周速(V)に応じてあらかじめ確認することができるので、あらかじめ確認された基準紙頭検出角度(θ)を基に、枚葉紙(9)の紙頭(5)が検出されたときの渡胴(16)の回転角度(θ)との偏差を求めれば良い。
【0113】
STEP6で求められる偏差は、枚葉紙(9)の紙頭(5)が検出されたときにタイミング良く枚葉紙(9)の紙頭(5)を把持することのできる理想的な渡胴(16)の回転角度、すなわち、基準紙頭検出角度(θ)に対する、実際に枚葉紙(9)の紙頭(5)を検出したときに測定された渡胴(16)の回転角度(θ)との位相の差であり、この偏差を渡胴(16)に対して補正することによって、枚葉紙(9)の紙頭(5)をタイミング良く把持することができる。
【0114】
STEP6で求められる偏差は角度データであり、単純にSTEP6で求められた偏差を補正することはできない。そこで、STEP7−1で、STEP6で求められた偏差を補正するための周速データに変換してSTEP8に進む。
【0115】
ただし、STEP6で求められた偏差をそのまま周速データに変換しても、偏差の補正量が大きいと機械制御と応答速度の限界により、位相を変更できないことがある。その場合、変更する位相が小さくなるようにSTEP7−2に進み、STEP6で求められた偏差に補正率(β)を乗算して周速データに変換する。なお、補正率(β)については、所定の周速で渡胴(16)が回転するときに、補正することができる偏差の範囲を、あらかじめ確認しておき、あらかじめ確認された補正率(β)を基に、STEP6で求められる偏差に乗算すれば良い。STEP7−2に進んで、補正率(β)を乗算するかどうかは、断裁装置の機械制御と応答速度に依存するので、あらかじめ枚葉紙(9)の紙頭(5)の把持の確認を行う段階で決定することができる。
【0116】
次に、STEP8では、STEP4で演算された渡胴の周速(V)で、渡胴(16)の周速制御を行う。なお、STEP8で行われる周速制御のことを「第1の周速制御」と呼ぶ。STEP4で枚葉紙(9)一枚のプリントマーク間隔ごとに渡胴の周速(V)を演算する場合、第1の周速制御は、枚葉紙(9)の紙頭(5)が把持されるごとに行う。また、STEP4で所定の枚数の枚葉紙におけるプリントマークの平均に対して、渡胴の周速(V)を演算する場合、第1の周速制御は、所定の枚数の枚葉紙(9)の紙頭(5)が把持されるごとに行う。なお、枚葉紙(9)一枚ごとに第1の周速制御を行う場合において、n枚目の枚葉紙(9)とn+一枚目の枚葉紙(9)のマーク間隔を(L)、それに対する渡胴の周速を(V)とすると、n枚目の枚葉紙(9)の紙頭(5)が把持された直後に渡胴の周速(V)で第1の周速制御が行われる。また、所定の枚数の枚葉紙(9)において、第1の周速制御を行う場合も同様に、所定の枚数の枚葉紙(9)のうち、最後に把持される枚葉紙(9)の紙頭(5)が把持された直後に、次の所定の枚数の枚葉紙(9)に対する第1の周速制御が行われる。
【0117】
次に、STEP9では、STEP7で変換された周速データにより、渡胴(16)の周速制御を行う。なお、STEP9で行われる周速制御のことを「第2の周速制御」と呼び、第2の周速制御は、第1の周速制御が行われてから、枚葉紙(9)の紙頭(5)が把持されるまでの間に行われる。
【0118】
このように、本発明の紙頭把持方法は、あらかじめ測定されたプリントマーク間隔のデータ又は断裁装置上で測定されたプリントマーク間隔のデータを基に、第1の周速制御と第2の周速制御を行って、枚葉紙(9)の紙頭(5)を把持する方法である。
【実施例1】
【0119】
以下、実施例を用いて本発明を更に詳細に説明するが、本発明の内容は、これら実施例の範囲に限定されるものではない。
【0120】
実施例1は、以下の条件で巻取り紙の定位置断裁と、定位置断裁された枚用紙(9)の紙頭(5)の把持を行った。
【0121】
巻取り紙は、幅が500mmの帯状の用紙(1)から成り、プリントマーク間隔(L3)は、560mmを目標に形成されたものである。また、断裁装置(30)上において、帯状の用紙(1)の搬送速度は、180m/minとし、プリントマーク間隔(L3)は、断裁装置(30)上を搬送される帯状の用紙(1)から直接測定した。測定されるプリントマーク間隔(L3)から第1の制御と第2の制御を行った。なお、位相データ(S7)の補正率(β)は、90%とした。
【0122】
以上の条件で断裁装置(30)を稼動させたとき、渡胴(16)に設けられた爪(17)による枚葉紙(9)の紙頭(5)の把持は良好であった。
【実施例2】
【0123】
実施例2は、図16(a)に示すように、マーク間隔取得部(41)が設定入力部(48)を備える構成の渡胴制御部(40)で成る断裁装置(30)である。
【0124】
設定入力部(48)には、「10」を入力した。そして、実施例1と同様に巻取り紙を定位置断裁し、十枚ごとに渡胴(16)の第1の周速制御を行った。
【0125】
このときの渡胴(16)に設けられた爪(17)による紙頭(5)の把持は良好であった。
【実施例3】
【0126】
実施例3は、図18に示すように、定位置断裁された枚葉紙(9)の紙頭(5)を検出する位置に光学式センサ(24)を設けた構成の断裁装置(30)である。
【0127】
このとき、光学式センサ(24)による紙頭検出位置(E)と紙頭把持位置(D)の関係から、あらかじめ基準紙頭検出角度(θ)を求めて、記憶部(45b)に記憶させておいた。
【0128】
そして、実施例1と同様に巻取り紙を定位置断裁し、枚葉紙(9)の紙頭(5)の把持を行った。このときの渡胴(16)に設けられた爪(17)による紙頭(5)の把持は良好であった。
【符号の説明】
【0129】
1 帯状の用紙
2 すき入れ模様
3 プリントマーク
5 紙頭
6 紙尻
8 巻取り紙
9 枚用紙
10 断裁装置(従来)
11 給紙ローラ
12a プリントマーク検出器
12b プリントマーク検出器
13a エンコーダ
13b エンコーダ
14 断裁胴
15 平ベルト
16 渡胴
17 爪
17a 可動爪
17b 固定爪
18 第1断裁制御装置、定位置断裁装置
19 第2断裁制御装置
20 跳ね上げカム
21 カムフロア
22 カム
23 ドグ
24 光学式センサ
25 パルスジェネレータ
30 断裁装置
40 渡胴制御部
41 マーク間隔測定装置
41a マーク間隔演算部
41b マーク間隔入力部
41c マーク間隔演算部
42 マーク間隔入力部
43 周速演算部
44 渡胴回転検出部
44a 渡胴回転角度演算部
45 位相演算部
45a 偏差演算部
45b 基準角度記憶部
46 位相変更周速演算部
46a 位相変更周速演算処理部
46b 補正率記憶部
47 周速制御部
48 設定入力部
49 マーク間隔平均処理部
ACサーボモータ
ACサーボモータ
A 爪開放位置
B 爪閉位置
断裁位置
紙頭把持位置
紙頭検出位置
P 渡胴の基準の位置
L1 紙頭とプリントマーク間の距離
L2 用紙長
L3 プリントマーク間隔
L4 すき入れ模様とプリントマーク間の距離
L5 紙頭とすき入れ模様間の距離
L6 断裁位置から紙頭把持位置までの距離
L7 紙頭検出位置から紙頭把持位置までの距離
θ 紙頭検出角度
θ 回転基準位置
θ 回転角度
θ 基準紙頭検出角度
S1 プリントマーク検出信号
S2 パルス信号
S3 マーク間隔測定データ
S3’ マーク間隔平均測定データ
S4 第1の周速データ
S5 紙頭検出信号
S6 回転角度信号
S7 位相データ
S8 第2の周速データ
S9 事前に測定されたマーク間隔測定データ
S10 設定信号
T1 紙頭(5)が断裁胴(14)を通過してから紙尻(6)が断裁されるまでの搬送時間
T2 平ベルトの搬送速度で搬送される時間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙製造工程で、用紙を断裁するための基準となるプリントマークが形成されて成る巻取り紙を、前記プリントマークを基準に定位置断裁し、断裁するための基準となるプリントマーク間隔の測定結果を基に渡胴の周速を渡胴制御部で制御して、前記定位置断裁された枚葉紙の紙頭を把持する装置において、前記渡胴制御部は、前記プリントマーク間隔を取得するマーク間隔取得部と、前記取得されるプリントマーク間隔を基に、前記渡胴の周速を演算する周速演算部と、前記定位置断裁された枚葉紙の紙頭を検出し、前記枚葉紙の紙頭が検出された時の、前記渡胴の回転角度を検出する渡胴回転検出部と、あらかじめ記憶されている、前記渡胴が前記枚葉紙の紙頭を把持することのできる基準紙頭検出角度と前記渡胴回転検出部で検出する前記渡胴の回転角度との偏差を求める位相演算部と、前記位相演算部により求められた偏差を、前記渡胴の回転位置を補正するための周速データに変換する位相変更周速演算部と、前記周速演算部によって演算される周速と、前記位相変更周速演算部によって変換される周速で前記渡胴の周速を制御する周速制御部から成ることを特徴とする定位置断裁された枚葉紙の紙頭を把持する装置。
【請求項2】
前記渡胴回転検出部は、前記定位置断裁された枚葉紙の紙頭を検出する光学式センサと、前記渡胴の回転角度を測定するパルスジェネレータと、前記光学式センサと前記パルスジェネレータからの信号を基に、前記定位置断裁された枚葉紙の紙頭が検出されたときの前記渡胴の回転角度を演算する渡胴回転角度演算部から成ることを特徴とする請求項1に記載の定位置断裁された枚葉紙の紙頭を把持する装置。
【請求項3】
前記位相演算部は、前記基準紙頭検出角度が記憶されている基準角度記憶部と、前記基準角度記憶部から基準紙頭検出角度を読み出して、前記渡胴回転検出部で検出される前記渡胴の回転角度との偏差を演算する偏差演算部から成ることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載の定位置断裁された枚葉紙の紙頭を把持する装置。
【請求項4】
前記マーク間隔取得部は、前記プリントマークを検出するプリントマーク検出器と、前記定位置断裁される前の用紙の搬送速度を測定するエンコーダと、前記プリントマーク検出器と前記エンコーダからの信号を基に、前記プリントマーク間隔を測定するマーク間隔演算部から成ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の定位置断裁された枚葉紙の紙頭を把持する装置。
【請求項5】
前記マーク間隔取得部は、あらかじめ測定されたプリントマーク間隔のデータを入力するためのマーク間隔入力部を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の定位置断裁された枚葉紙の紙頭を把持する装置。
【請求項6】
前記マーク間隔演算部は、一枚に相当する枚葉紙ごとに、前記プリントマーク間隔を測定する又は所定の枚数に相当する枚葉紙ごとに、前記プリントマーク間隔を測定して平均化することを特徴とする請求項4記載の定位置断裁された枚葉紙の紙頭を把持する装置。
【請求項7】
前記マーク間隔取得部は、前記マーク間隔入力部に入力される、あらかじめ測定された複数のプリントマーク間隔のデータから、所定の枚数に相当する枚葉紙において、前記プリントマーク間隔を平均化するマーク間隔演算部を備えることを特徴とする請求項5記載の定位置断裁された枚葉紙の紙頭を把持する装置。
【請求項8】
前記マーク間隔取得部は、前記マーク間隔演算部において平均化するための前記所定の枚数を入力するための設定入力部を備えることを特徴とする請求項6又は7記載の定位置断裁された枚葉紙の紙頭を把持する装置。
【請求項9】
前記位相変更周速演算部は、前記位相演算部により演算された偏差を補正するための補正率を記憶した補正率記憶部と、前記補正率記憶部から、前記補正率を読み出して前記位相演算部により演算された偏差に乗算し、前記渡胴の回転位置を補正するための周速データに変換する位相変更周速演算処理部から成ることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の定位置断裁された枚葉紙の紙頭を把持する装置。
【請求項10】
用紙製造工程で断裁するための基準となるプリントマークが形成されて成る巻取り紙を、帯状の用紙の状態で搬送する第1搬送部、前記プリントマークを基準に枚葉紙に定位置断裁する断裁胴、前記定位置断裁された枚葉紙を搬送する第2搬送部及び前記第2搬送部で搬送される枚葉紙の紙頭を把持するための爪が設けられた渡胴を少なくとも備えてなる断裁装置によって、前記巻取り紙を枚葉紙に定位置断裁し、前記定位置断裁された枚葉紙の紙頭を前記渡胴に設けられた爪で把持する方法において、測定されたプリントマーク間隔(L3)のデータを入力するプリントマーク間隔入力工程と、前記プリントマーク間隔(L3)のデータ、用紙の搬送速度(V)、渡胴の直径(D)から、次式V=L3×V/2πDにより前記渡胴の周速(V)を演算する渡胴周速演算工程と、前記定位置断裁された枚葉紙の紙頭を検出する紙頭検出工程と、前記紙頭検出工程で、前記定位置断裁された枚葉紙の紙頭を検出したときの前記渡胴の回転角度を測定する渡胴回転角度検出工程と、前記渡胴が、前記枚葉紙の紙頭を把持可能な正規の基準紙頭検出角度と前記枚葉紙の紙頭を検出したときの、前記渡胴の回転角度との偏差を求める位相演算工程と、前記求められた偏差を、前記渡胴の回転角度を補正するための周速データに変換する周速データ変換工程と、前記渡胴周速演算工程によって演算された渡胴の周速(V)で前記渡胴を回転させる第1の周速制御を行った後、前記周速データ変換工程によって変換された周速データで前記渡胴の位相を補正する第2の周速制御を行う周速制御工程により定位置断裁された枚葉紙の紙頭を把持する方法。
【請求項11】
前記プリントマーク間隔入力工程は、前記用紙製造工程でプリントマーク間隔(L3)を測定し、前記用紙製造工程で測定したプリントマーク(L3)のデータを入力する又は前記断裁装置上で搬送される帯状の用紙が枚葉紙に定位置断裁される前にプリントマーク間隔(L3)を測定し、前記断裁装置上で測定したプリントマーク間隔(L3)のデータを入力することを特徴とする請求項10記載の定位置断裁された枚葉紙の紙頭を把持する方法。
【請求項12】
前記プリントマーク間隔入力工程は、前記プリントマーク入力工程に入力するプリントマーク間隔(L3)のデータを、所定の枚数に相当する枚葉紙における前記プリントマーク間隔(L3)において平均化することを特徴とする請求項11記載の定位置断裁された枚葉紙の紙頭を把持する方法。
【請求項13】
前記渡胴周速演算工程は、前記平均化されたプリントマーク間隔(L3’)のデータ、用紙の搬送速度(V)、渡胴の直径(D)から、次式V=L3’×V/2πDにより前記渡胴の周速(V)を演算することを特徴とする請求項12に記載の定位置断裁された枚葉紙の紙頭を把持する方法。
【請求項14】
前記周速制御工程は、所定の枚数に相当する枚葉紙の紙頭が把持されるごとに、前記渡胴周速演算工程によって演算された渡胴の周速(V)で前記渡胴を回転させる第1の周速制御を行うことを特徴とする請求項13に記載の定位置断裁された枚葉紙の紙頭を把持する方法。
【請求項15】
前記周速データ変換工程は、前記求められた偏差に補正率を乗算し、前記補正率が乗算された前記偏差を、前記渡胴の回転角度を補正するための周速データに変換することを特徴とする請求項10乃至14記載の定位置断裁された枚葉紙の紙頭を把持する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−46507(P2011−46507A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−197944(P2009−197944)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【出願人】(303017679)独立行政法人 国立印刷局 (471)
【Fターム(参考)】