定形のシート類の弁別搬送方法及び弁別搬送装置
【課題】搬送方向に対する強度が極めて微弱な定形のシート類であっても、損傷を誘発することなく、下部搬送路と上部搬送路へ適確に弁別搬送する。
【解決手段】下部搬送路Aへ弁別すべき単板4を下方から支持して搬送する下部搬送コンベヤ1と、上部搬送路Bへ弁別弁別すべき単板4aを、後記吸引機構3と協働して、上方から保持して搬送する上部搬送コンベヤ2と、該上部搬送コンベヤ2の保持開始部位に、単板4、4aの搬送方向の長さLに相当する長さWの吸引フード3aを臨ませて成る吸引機構3とを具備した弁別搬送装置を用いて、単板4、4aを下部搬送路Aと上部搬送路Bへ弁別搬送する搬送方法であって、上部搬送路Bへ弁別すべき単板4aの全体が、前記吸引フード3aの下方に到来する都度、吸引機構3を介して単板4aを下部搬送コンベヤ1上から上部搬送コンベヤ2側へ一斉に吸引して弁別搬送する。
【解決手段】下部搬送路Aへ弁別すべき単板4を下方から支持して搬送する下部搬送コンベヤ1と、上部搬送路Bへ弁別弁別すべき単板4aを、後記吸引機構3と協働して、上方から保持して搬送する上部搬送コンベヤ2と、該上部搬送コンベヤ2の保持開始部位に、単板4、4aの搬送方向の長さLに相当する長さWの吸引フード3aを臨ませて成る吸引機構3とを具備した弁別搬送装置を用いて、単板4、4aを下部搬送路Aと上部搬送路Bへ弁別搬送する搬送方法であって、上部搬送路Bへ弁別すべき単板4aの全体が、前記吸引フード3aの下方に到来する都度、吸引機構3を介して単板4aを下部搬送コンベヤ1上から上部搬送コンベヤ2側へ一斉に吸引して弁別搬送する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定形のシート類の弁別搬送方法及び弁別搬送装置に関するものであり、詳細には、搬送方向に対する強度が極めて微弱な定形のシート類を、上下に対設した下部搬送路と上部搬送路とへ安定的に弁別搬送することができるように工夫した定形のシート類の弁別搬送方法及び弁別搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、矩形のベニヤ単板等の如き定形のシート類の複数枚を次工程へ搬送する過程に於て、例えば各シート類の品質毎・使途毎の分別、或は堆積処理時間の確保等の必要性に応じて、個々のシート類を上下二段の搬送路へ選択的に弁別搬送する要求がある。
【0003】
そこで、例えば特許文献1には、単板を下方から支持して搬送する搬送コンベアの末端の後方に、該搬送コンベアから単板を受け取って下方に開放する開閉体を、また、前記搬送コンベアの末端近くの上方に、単板を上方から吸着して搬送する吸着装置付の吸着コンベアを夫々配設し、単板の一枚飛び毎に吸着装置を作動させて、搬送コンベアを介して搬送されてくる単板を、一枚毎に交互に開閉体側と吸着コンベア側へ選択的に弁別搬送する手段が、或は例えば特許文献2には、単板を下方から支持して搬送する搬送ラインの途中に分岐ステーションを設けると共に、該分岐ステーションの上部に吸引装置付の分岐ラインを設け、更に分岐ステーションに薄板の先端部を分岐ライン側へ案内する方向転換手段を配設し、搬送ラインを介して搬送されてくる薄板の内の、所望の薄板の先端部を、前記方向転換手段を介して分岐ライン側へ押し曲げて、選択的に弁別搬送する手段が開示されており、更には例えば特許文献3には、前記各文献の手段に用いた弁別機構に類似する弁別機構を、切板の搬送方向に対して二段階状に備えて、弁別を二度実施し、切板を都合三種類に弁別搬送する手段が夫々開示されている。
【特許文献1】特開昭60−249597号公報
【特許文献2】特開2002−52367号公報
【特許文献3】実開昭58−56738号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
而して、処理するシート類が、例えば割れを有しない厚いベニヤ単板(以下、単に単板と称す)、切れ目を有しない紙、ゴム板、或は金属板等の如く、搬送方向に対する強度が普通程度以上のシート類である場合には、前記いずれの公知手段を用いても、格別問題なく弁別搬送することが可能であるが、処理するシート類が、搬送方向に対する強度が極めて微弱なシート類である場合には、前記各公知手段によると、用いる弁別機構の構成からして、下記の如く、安定的に弁別搬送することができない不具合があった。
【0005】
即ち、各公知手段に用いる弁別機構の如く、下部搬送路を形成する下部搬送機構と、上部搬送路を形成する上部搬送機構とを上下に対設する場合に、たとえ反りやアバレなどを有する非平坦状のシート類であっても、各搬送機構の間を支障なく通過させて弁別処理する為には、前記各公報類の図面の記載からも明らかな如く、上下の搬送機構の間に、シート類の厚さよりも数倍乃至数十倍程の広い間隔を設けることが必要となる。
【0006】
ところが、前記各公知手段は、いずれもシート類を先端部から後端部にかけて徐々に下部搬送路側から上部搬送路側へ吸引上昇させる構成を採っており、例えば特許文献3の第3図に例示される如く、上下の搬送機構の間に設けられた広い間隔内に於て、既に吸引上昇させられた部分にこれから吸引上昇させられ部分がぶら下がる状態が、各シートの中間部に対して繰返し発現されることから、例えば極く薄い単板を繊維方向と直交方向に搬送する場合、或は例えば既に割れを有する厚い単板を繊維方向と直交方向に搬送する場合等の如く、処理するシート類が、搬送方向に対する強度が極めて微弱なシート類である場合には、前記ぶら下がったいずれかの箇所に於て、新たに割れが発生したり、或は既存の割れが拡大したり、更には既存の割れが拡大してシート類が千切れる等々、シート類が損傷する問題が発生し、安定的に弁別搬送することができない不具合があった。
【0007】
また更に、例えば前記特許文献2に開示される如く、必要に応じて、上部搬送機構の搬送速度を、下部搬送機構の搬送速度に比べて速く設定することにより、上部搬送路のシート類を素早く次工程へ移送する構成を採る場合に於ては、先記ぶら下がった箇所に、搬送速度の相違に伴う引っ張り力が加算されるので、損傷が助長される傾向があり、特に、シート類を先端部から後端部にかけて徐々に上部搬送機構側へ吸引する吸引態様によると、シート類の反りやアバレなどに起因して、搬送方向の左右に於てシート類の拘束が不均等になる現象が発生し、該左右の拘束の不均等に起因して、シート類の左右いずれか片側のみが、他の側よりも速く搬送される現象が発生し易いので、シート類の損傷が一段と助長される傾向があり、また、仮に損傷を免れたとしても、シート類が転回して搬送姿勢が乱れる弊害が誘発されることとなる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記従来の公知手段の欠陥を解消すべく開発したものであり、具体的には、定形のシート類を下方から支持して下部搬送路へ搬送する下部搬送機構と、前記シート類を上方から保持して上部搬送路へ搬送する上部搬送機構とを有する弁別搬送装置を用いて、前記シート類を下部搬送路と上部搬送路へ選択的に弁別搬送するに際し、前記弁別搬送装置の上部搬送機構として、前記シート類を保持搬送し始める保持開始部位が、前記シート類の搬送方向の長さと同等以上の長さを有し、且つ、前記シート類の厚さより少なくとも数倍広い間隔を隔てて、前記下部搬送機構と平行状に対設されており、而も当該保持開始部位に、前記シート類の搬送方向の長さに相当する長さの吸引部材を臨ませて成る吸引機構を併設した上部搬送機構を用いると共に、上部搬送路へ弁別すべき定形のシート類の全体が、前記吸引部材の下方に到来する都度、吸引機構を介して前記シート類を下部搬送機構上から上部搬送機構側へ一斉に吸引して弁別搬送する弁別搬送方法(請求項1)と、定形のシート類を下方から支持して下部搬送路へ搬送する下部搬送機構と、前記シート類を上方から保持して上部搬送路へ搬送する上部搬送機構とを有し、前記シート類を下部搬送路と上部搬送路へ選択的に弁別搬送する定形のシート類の弁別搬送装置であって、前記上部搬送機構として、前記シート類を保持搬送し始める保持開始部位が、前記シート類の搬送方向の長さと同等以上の長さを有し、且つ、前記シート類の厚さより少なくとも数倍広い間隔を隔てて、前記下部搬送機構と平行状に対設されており、而も当該保持開始部位に、前記シート類の搬送方向の長さに相当する長さの吸引部材を臨ませて成る吸引機構を併設した上部搬送機構を用いると共に、上部搬送路へ弁別すべき定形のシート類の全体が、前記吸引部材の下方へ到来する都度、前記シート類を下部搬送機構上から上部搬送機構側へ一斉に吸引すべく、吸引機構を間歇的に作動させるように制御する制御機構を具備して成る弁別搬送装置(請求項2)と、単一の吸引口を有する吸引部材と、該吸引部材の吸引口を開閉する一個の開閉弁とを有する吸引機構を備えると共に、定形のシート類の到来と通過とに応じて、前記一個の開閉弁を開閉させるように制御する制御機構を具備して成る請求項2記載の弁別搬送装置(請求項3)と、上部搬送機構の搬送方向に対して複数に分割された吸引口を有する吸引部材と、該吸引部材の各吸引口を個別に開閉する複数個の開閉弁とを有する吸引機構を備えると共に、定形のシート類の到来に応じて、前記複数個の開閉弁を一斉に開作動させ、且つ、前記シート類の末端部の通過に応じて、前記複数個の開閉弁を個別に閉作動させるように制御する制御機構を具備して成る請求項2記載の弁別搬送装置(請求項4)と、前記吸引機構の吸引部材の直下よりも若干搬送方向上手側の対向位置に、類似状の吸引部材を有し、下部搬送機構によって搬送される各シート類を、下部搬送機構側へ吸着させる下部吸着機構を下部搬送機構に併設すると共に、上部搬送路へ弁別すべき定形のシート類に限っては、該シート類の全体が前記吸引機構の吸引部材の下方へ到来する直前に、該シート類の吸着を暫時開放するように前記下部吸着機構の作動を制御する機能を、前記制御機構に併設して成る請求項2又は請求項3又は請求項4記載の弁別搬送装置(請求項5)とを提案する。
【発明の効果】
【0009】
前記請求項1に係るシート類の弁別搬送方法によれば、上部搬送路へ弁別すべき定形のシート類の全体が、吸引部材の下方に到来する都度、吸引機構を介して前記シート類を下部搬送機構上から上部搬送機構側へ一斉に吸引することにより、前記シート類を下部搬送機構上から上部搬送機構側へいちどきに受け渡しするものであるから、各搬送機構の間にシート類の厚さより少なくとも数倍広い間隔があっても、該間隔内に於て、シート類のいずれかの部分が他のいずれかの部分にぶら下がる現象が発生する虞はなく、たとえ搬送方向に対する強度が極めて微弱なシート類であっても、割れの発生等の損傷を誘発することなく、安定的に弁別搬送することが可能であり、また、仮にシート類が反りやアバレなどを有する非平坦状であっても、一斉に吸引されるので、左右の拘束が不均等になることも殆どなく、上部搬送機構の搬送速度を、下部搬送機構の搬送速度に比べて速く設定する場合を含めて、シート類の転回等の弊害を新たに誘発する虞も併せて回避される。而して、請求項2〜請求項5に係る弁別搬送装置は、請求項1に係る弁別搬送方法の実施に用いることが可能であり、また、請求項3〜請求項5に係る弁別搬送装置は、後述する如く、夫々の構成に相応する特性を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を図面に例示した実施の一例に基づいて更に詳述するに際し、図示実施例に於ては、シート類の代表例として、単板を表記した(従来、問題が発生していた繊維方向と直交方向への搬送状態にて)。また同様の機器類、機構類を異なる実施例に用いた場合には、便宜上、同一の符号を付して、重複する説明を省略することとしたが、いずれにしても、実施例に例示した機器類、機構類は、単に代表的な例を挙げたものであって、具体的な形態について格別な限定を付するものではなく、要は、所望の機能を奏し得るものであれば足り、必要に応じて、適宜設計変更して差支えない。
【実施例】
【0011】
図1は、本発明に係る弁別搬送装置の概略側面説明図であり、図2乃至図6は、図1に例示した弁別搬送装置の作動状態の説明図である。図中、1は、下部搬送機構を形成する下部搬送コンベヤであって、回転軸1a、ベルト車1b、搬送ベルト1c・1d、サーボモータ等の適宜の駆動源1e等から成り、適当な搬送送度を以って図示矢印方向へ走行せしめられ、搬送方向と同方向に向けられた繊維方向と直交方向の長さがLである矩形の単板4(4a)を下方から支持し、図示矢印で示した下部搬送路Aを介して、所望の次工程(例えば堆積処理工程、補修処理工程等)へ搬送する。
【0012】
2は、上部搬送機構の一部を形成する上部搬送コンベヤであって、回転軸2a、ベルト車2b、搬送ベルト2c、適宜の駆動源2d等から成り、搬送方向上手側に在って、後述ずる吸引機構3と協働して単板4(4a)を保持搬送し始める保持開始部位が、単板4(4a)の搬送方向の長さLと同等以上の長さSを有し、且つ、単板4(4a)の厚さより少なくとも数倍広い間隔を隔てて、前記下部搬送機構1と平行状に対設されており、適当な搬送送度(例えば前記下部搬送コンベヤ1と同速度)を以って図示矢印方向へ走行せしめられ、後述する吸引機構3、吸着機構6等と協働して、単板4(4a)を上方から保持し、図示矢印で示した上部搬送路Bを介して、別の所望の次工程へ搬送する。
【0013】
3は、上部搬送機構の他の一部を形成する吸引機構であって、単板4(4a)の搬送方向の長さLに相当する長さWの吸引口3gを有し、且つ、吸引力の均等化を図る為の隔壁3bを備えた吸引部材である吸引フード3a、適宜の駆動源3dを備えた吸引機3c、図示矢印方向へ往復回動可能な開閉弁3e、該開閉弁3eを往復回動させる流体シリンダ等から成る作動部材3f等から成り、前記吸引フード3aの吸引口3gを、先記上部搬送コンベヤ2の保持開始部位に臨ませて配設されており、後述する制御機構7の制御を得て、適時開閉弁3eを開閉させることにより、下部搬送コンベヤ1上に在って上部搬送路側へ弁別すべき単板4aを上方へ吸引し、先記上部搬送コンベヤ2と協働して、単板4(4a)を上方から保持しつつ、図示矢印で示した上部搬送路Bを介して、所望の次工程へ搬送する。
【0014】
5は、先記下部搬送コンベヤ1の中間部に配設された反射型光電管等から成る単板検知器であって、上部搬送路Bへ弁別すべき単板4aの全体が、前記吸引フード3aの下方に到来する都度、後述する制御機構7に単板検知信号を発信する。
【0015】
6は、先記吸引機構3の構成に準ずる構成の吸着機構であって、吸引フード6a、吸引機6c、開閉弁6e等を有して成り、後述する制御機構7の制御を得て、適時開閉弁6eを開閉させることにより、先記上部搬送コンベヤ2の保持開始部位に後続する保持継続部位に於て、先記上部搬送コンベヤ2と協働して、上部搬送路側へ弁別すべき単板4(4a)を上方から保持しつつ、図示矢印で示した上部搬送路Bを介して、所望の次工程へ搬送する。尚、当該吸着機構は、吸引機構によって既に上部搬送機構側に吸引された単板を、引き続き吸着すれば足りるから、その吸着力は、吸引機構の吸引力より弱くても支障なく、下部搬送機構によって搬送される単板を吸引上昇させるに足るほどの吸着力は無用であり、後述する図13、或は図17の実施例の如く、下部搬送機構によって搬送する単板同士の間隔の狭小化を図る弁別搬送装置に於ては、当該吸着機構の吸着力を実用上支障のない範囲内で可及的に弱くするのが好ましい。
【0016】
7は、前記各機器類の作動を制御する制御機構であって、下部搬送コンベヤ1と上部搬送コンベヤ2については、駆動源1e、2dを介して、常時図示矢印方向へ走行させるよう制御すると共に、開閉弁3e、6eについては、常態に於て閉止状態(図2参照)となるよう制御する。そして而も、下部搬送コンベヤ1上に在って上部搬送路側へ弁別すべき単板4aの到来を予告する適宜の信号源からの予告信号、例えば作業者による押しボタンスィッチの操作を以って発せられる予告信号などの、適宜の信号源からの予告信号xが外部から入力され、且つ、当該単板4aの全体が、前記吸引フード3aの下方に到来したことを検知する単板検知器5からの単板検知信号が入力された場合に限って、開閉弁3e、6eを開放状態とするように制御し、更に例えばタイマー等の時限機構の時限経過信号、或は例えば各吸引フードに於ける搬送方向の直後位置に備えた、反射型光電管等から成る単板通過検知器(図示省略)の単板通過信号に基づき、当該単板4aの全体が、吸引機構3の作動区域から外れたら開閉弁3eを、また吸着機構6の作動区域から外れたら開閉弁6eを、夫々閉止状態に戻すよう制御する。
【0017】
本発明に係る弁別搬送装置は、例えば述上の如く構成するものであって、その作動態様を、図2乃至図6の説明図を引用して説明すると、下部搬送コンベヤによって搬送される単板が、例えば図2に例示する如く、下部搬送路側へ弁別すべき単板4である場合には、制御機構7に予告信号が入力されないので、単板検知器5の位置に単板4が到来して、単板検知器5からの単板検知信号が発せられても、開閉弁3e、6eは閉止状態のままであり、単板4はそのまま下部搬送コンベヤ1によって下部搬送路Aへ搬送される。
【0018】
一方、下部搬送コンベヤによって搬送される単板が、図3に例示する如く、上部搬送路側へ弁別すべき単板4aである場合には、外部から制御機構7に予告信号xが入力されると共に、単板検知器5の位置に単板4aが到来すると、単板検知器5から単板検知信号が発せられ、制御機構7が、開閉弁3e、6eを開放状態に回動させるので、単板4aは図示矢印で示す如く、上部搬送コンベヤ2側へ一斉に吸引上昇させられ、以降は、図4、図5、図6の順に例示する如く、上部搬送コンベヤ2によって、上部搬送路Bへ搬送される。
【0019】
そして更に、制御機構7は、図5に例示する如く、前記単板4aの全体が、吸引機構3の作動区域から外れたら開閉弁3eを、また図6に例示する如く、吸着機構6の作動区域から外れたら開閉弁6eを、夫々閉止状態に戻すよう制御し、次に上部搬送路側へ弁別すべき単板4aが到来するのを待機させる。
【0020】
以下、同様の動作の繰返しによって、下部搬送路側へ弁別すべき単板4の場合には、吸引機構3を作動させずに、下部搬送路Aへ搬送し、上部搬送路へ弁別すべき単板4aのみを、吸引機構3によって吸引することにより、上部搬送路Bへ搬送するものであるが、弁別に際しては、述上の如く単板を搬送方向の全長に亘って一斉に吸引上昇させるものであるから、たとえ処理する単板が、極く薄い単板や既に割れを有する厚い単板であっても、決して新たな割れを誘発したり、既存の割れを拡大させたりする虞はなく、常に安定的に弁別搬送することができ、また、仮に単板が反りやアバレなどを有する非平坦状であっても、一斉に吸引されるので、左右の拘束が不均等になることも殆どなく、上部搬送機構の搬送速度を、下部搬送機構の搬送速度に比べて速く設定する場合を含めて、単板の転回等の弊害を新たに誘発する虞も併せて回避される。
【0021】
前記実施例の如く構成した弁別搬送装置は、図からも明らかな如く、構造が比較的簡単である利点を有するが、反面、後続する単板の誤吸引を回避する必要性からして、下部搬送機構によって搬送する単板同士の間隔を比較的広く(望ましくは、単板の搬送方向の長さと同等以上)する必要がある。但し、上部搬送機構の搬送速度を、下部搬送機構の搬送速度に比べて速く設定する構成を採る場合には、弁別に伴って、単板同士の間隔が順次拡大することになるので、必ずしも常に単板の搬送方向の長さと同等以上の間隔を必要とするわけではない。
【0022】
次に、図7は、本発明に係る弁別搬送装置の異なる実施例の概略側面説明図であり、先記図1に例示した弁別搬送装置に於ける吸引機構3及び吸着機構6に代えて、単板4(4a)の搬送方向の長さLに相当する長さWの吸引口8gを有し、且つ、吸引力の均等化を図る為の隔壁8bを備えた吸引部材である吸引フード8a、適宜の駆動源8dを備えた吸引機8c、前記隔壁8bによって複数に分割された吸引口8gの小区画毎に各別に配設されており、夫々が各別に図示矢印方向へ往復回動可能な複数の開閉弁8e、各開閉弁8eを個別に往復回動させる流体シリンダ等から成る作動部材8f等を具備した吸引機構8と、該吸引機構8の構成に準ずる構成の吸着機構9とを備えると共に、先記弁別搬送装置に於ける制御機構7に代えて、前記吸引機構8と吸着機構9とを下記の如く制御する制御機構10を備えて構成したものである。
【0023】
即ち、制御機構10は、常態に於て、吸引機構8の開閉弁8eと吸着機構9の開閉弁9eとを、図8に例示する如く、閉止状態とするように制御する。そして、吸引機構8の開閉弁8eについては、下部搬送コンベヤ1上に在って上部搬送路側へ弁別すべき単板4aの到来を予告する適宜の予告信号xが外部から入力され、且つ、当該単板4aの全体が、前記吸引フード3aの下方に到来したことを検知する単板検知器5からの単板検知信号が入力された場合に限って、図9に例示する如く、複数の開閉弁8eを一斉に開放状態とするように制御すると共に、適宜の時限機構の時限経過信号等に基づき、図10・図11に例示する如く、当該単板4aの後端が通過した箇所の開閉弁8eを順次閉止状態に戻すように制御し、また吸着機構9の開閉弁9eについては、適宜の時限機構の時限経過信号等に基づき、図10・図11に例示する如く、吸引機構8によって上部搬送路側へ吸引された単板4aの先端が到来する箇所の開閉弁9eを順次開放状態とするように制御すると共に、図12に例示する如く、当該単板4aの後端が通過した箇所の開閉弁9eを順次閉止状態に戻すように制御する。
【0024】
述上の如き構成で成る弁別搬送装置の作動態様を、図8乃至図12の説明図を引用して説明すると、下部搬送コンベヤによって搬送される単板が、例えば図8に例示する如く、下部搬送路側へ弁別すべき単板4である場合には、制御機構10に予告信号が入力されないので、単板検知器5の位置に単板4が到来して、単板検知器5からの単板検知信号が発せられても、吸引機構8の複数の開閉弁8eと吸着機構9の開閉弁9eは閉止状態のままであり、単板4はそのまま下部搬送コンベヤ1によって下部搬送路Aへ搬送される。
【0025】
一方、下部搬送コンベヤによって搬送される単板が、図9に例示する如く、上部搬送路側へ弁別すべき単板4aである場合には、外部から制御機構10に予告信号xが入力されると共に、単板検知器5の位置に単板4aが到来すると、単板検知器5から単板検知信号が発せられ、制御機構10が、吸引機構8の複数の開閉弁8eを一斉に開放状態に回動させるので、単板4aは図示矢印で示す如く、上部搬送コンベヤ2側へ一斉に吸引上昇させられ、次いで、図10、図11の順に例示する如く、制御機構10が、単板4aの先端が到来する箇所の吸着機構9の開閉弁9を順次開放状態に回動させるので、当該単板4aは、上部搬送コンベヤ2によって、上部搬送路Bへ搬送される。
【0026】
そして更に、制御機構10は、図10、図11、図12に例示する如く、当該単板4aの後端が通過した箇所の吸引機構8の開閉弁8e、及び吸着機構9の開閉弁9を順次閉止状態に戻すように制御して、後続する単板4(4a)の誤吸引を予防すると共に、次に上部搬送路側へ弁別すべき単板4aが到来するのを待機させる。
【0027】
以下、同様の動作の繰返しによって、下部搬送路側へ弁別すべき単板4の場合には、吸引機構8を作動させずに、下部搬送路Aへ搬送し、上部搬送路へ弁別すべき単板4aのみを、吸引機構8によって吸引することにより、上部搬送路Bへ搬送するものであるが、斯様に構成した弁別搬送装置は、先記図1に例示した弁別搬送装置に比べて、構造が些か複雑化する反面、吸引機構の吸引部材の吸引口を細分化して、各吸引口を個別に開閉できるよう構成したことから、下部搬送機構によって搬送する単板同士の間隔を、先記図1に例示した弁別搬送装置の場合に比べて著しく狭くしても、後続する単板4(4a)が誤吸引される虞はなく、一段と充実した単板の搬送密度を以って、弁別処理が行い得る。
【0028】
但し、吸引機構の吸引部材の吸引口を細分化して、各吸引口を個別に開閉することにより、下部搬送機構によって搬送する単板同士の間隔を狭小化する手法には、一定の限界があり、吸引部材の吸引口を極端に細分化すると、装置の構造や開閉弁の制御が甚だ複雑化するのみならず、隔壁の存在によって空気の流通が阻害されるのに伴う吸引効率の低下も甚だしくなるので非実用的である。そこで、下部搬送機構によって搬送する単板同士の間隔を狭小化するのに適した弁別搬送装置として、下記の構成の弁別搬送装置を提案する。
【0029】
図13は、本発明に係る弁別搬送装置の更に別の実施例の概略側面説明図であり、先記図1(或は図7)に例示した弁別搬送装置の構成に加えて、前記吸引機構3(或は8)の吸引フード3a(或は8a)の直下よりも若干搬送方向上手側の対向位置に、先記吸着機構6(或は9)の構成に準ずる構成であって、吸引フード6a(或は9a)、吸引機6c(或は9c)、開閉弁6e(或は9e)等を有し、下部搬送コンベヤ1によって搬送される単板4(4a)を、下部搬送コンベヤ側へ吸着させる下部吸着機構6A(或は9A)を、下部搬送コンベヤ1に併設し、併せて、前記下部吸着機構6A(或は9A)の開閉弁6e(或は9e)を、常態に於て開放状態(図14参照)とするよう制御すると共に、例えば先記予告信号等に基づく適宜の弁別信号を得て、下部搬送コンベヤ1によって搬送される単板(4、4a)の内で、上部搬送路Bへ弁別すべき単板4aに限っては、該単板4aの全体が前記吸引機構3(或は8)の吸引フード3a(或は8a)の下方へ到来する直前に、該単板4aの吸着を暫時開放するように、前記下部吸着機構6A(或は9A)の作動を制御する機能を、前記制御機構7(或は10)に併設して構成したものである。
【0030】
述上の如き構成で成る弁別搬送装置の作動態様を、図14乃至図16の説明図を引用して説明すると、前記下部搬送コンベヤによって搬送される単板が、例えば図14に例示する如く、下部搬送路側へ弁別すべき単板4である場合には、制御機構7(或は10)は、下部吸着機構6A(或は9A)の開閉弁6e(或は9e)を、開放状態のまま維持する。そして、先述の如く、下部搬送路側へ弁別すべき単板4の場合には、制御機構7(或は10)には予告信号が入力されないので、単板検知器5の位置に単板4が到来して、単板検知器5からの単板検知信号が発せられても、吸引機構3(或は8)の開閉弁3e(或は8e)、及び吸着機構6(或は9)の開閉弁6e(或は9e)は閉止状態のままであるから、単板4はそのまま下部搬送コンベヤ1によって下部搬送路Aへ搬送される。
【0031】
一方、下部搬送コンベヤによって搬送される単板が、図15に例示する如く、上部搬送路側へ弁別すべき単板4aである場合には、制御機構7(或は10)が、該単板4aの全体が吸引機構3(或は8)の吸引フード3a(或は8a)の下方へ到来する直前に、該単板4aの吸着を暫時開放するように、下部吸着機構6A(或は9A)の作動を制御し、併せて、外部から制御機構7(或は10)に予告信号xが入力され、単板検知器5の位置に単板4aが到来して、単板検知器5から単板検知信号が発せられると、制御機構7(或は10)は、吸引機構3(或は8)の開閉弁3e(或は8e)を開放状態に回動させるので、単板4aは図示矢印で示す如く、上部搬送コンベヤ2側へ一斉に吸引上昇させられ、加えて、吸着機構6(或は9)の開閉弁6e(或は9e)を開放状態に回動させるので、以降は、図16に例示する如く、上部搬送コンベヤ2によって、上部搬送路Bへ搬送される。
【0032】
而して、図16に例示する如く、前記単板4aが吸引機構3(或は8)によって吸引上昇させられ、上部搬送コンベヤ2によって、上部搬送路Bへ搬送される際に、後続する単板(4、4a)の先端部へも、吸引機構3(或は8)の吸引力が及ぶことになるが、制御機構7(或は10)は、該単板4aの吸着を暫時開放した後は、図16に例示する如く、速やかに下部吸着機構6A(或は9A)の開閉弁6e(或は9e)を開放状態に戻して、後続する単板(4、4a)の先端部を、下部搬送コンベヤ側へ吸着させるので、たとえ、先行する単板4aの後端と後続する単板(4、4a)の先端との間に間隔(水平方向に対する間隔)が全くなくても、後続する単板(4、4a)の先端部が、誤って上部搬送コンベヤ2側へ吸引上昇させられる虞はなく、先記図7に例示した実施例の弁別搬送装置に比べて、更に一段と充実した単板の搬送密度を以って、安定的に弁別処理が行い得る。
【0033】
因に、前記下部吸着機構は、後続する単板(4、4a)の先端部に、吸引機構3(或は8)の吸引力が及んでも、誤って先端部が浮き上がらないように、下部搬送コンベヤ側へ吸着すれば足りるものであるから、その吸着力は、吸引機構3(或は8)の吸引力に比べて著しく弱くしても差支えなく、むしろ、既に上部搬送コンベヤ側に吸引された単板4aの吸引に悪影響を及ぼさないよう、実用的に支障のない範囲内で可及的に弱くするのが好ましい。
【0034】
尚、前記下部吸着機構として、例えば図17に例示する如く、先記吸着機構9の構成に準ずる構成で成る下部吸着機構9Aを用いる場合には、吸着力の集中化を図る為に、図17に例示する如く、下部搬送コンベヤによって搬送される単板(4、4a)の先端部が到来する箇所の開閉弁9eを順次開放状態とするように制御するのが好ましい。
【0035】
もっとも、上部搬送機構の搬送速度を、下部搬送機構の搬送速度に比べて速く設定する構成を採る場合には、弁別に伴って、単板同士の間隔が順次拡大することになるので、吸引機構や吸着機構の吸引力が、所望の単板以外の単板に悪影響を及ぼす虞は、弁別後に漸減する傾向となる。
【0036】
尚、前記各実施例に於ては、上部搬送路側へ弁別すべき単板であるか否かを区分する区分手段として、上部搬送路側へ弁別すべき単板の到来を予告する予告信号を、外部から制御機構に発信する構成の区分手段を採ったが、区分手段としては、斯様な構成に限るものではなく、図示は省略したが、例えば下部搬送路側へ弁別すべき単板が到来した際には、先記単板検知器5の機能を一時的に休止させると共に、上部搬送路側へ弁別すべき単板が到来した際にのみ、単板検知器5の機能を発揮させるように構成した区分手段であっても差支えなく、要は適時に区分が行い得る区分手段であれば足り、如何様な弁別を行うかの弁別基準を含めて、区分手段に特別な制約はない。
【0037】
因に、本発明に係る弁別搬送方法及び弁別搬送装置に於て、下部搬送機構と上部搬送機構の対設間隔を、シート類の厚さの少なくとも数倍に設定するのは、単板等のシート類が、反りやアバレを有していて、前記両搬送機構にシート類が同時に接触した場合に、端から順に押し潰されることに起因して、或は搬送速度の相違に起因して、シート類の搬送姿勢が乱れたり裂けたりする機会を無用とする為であり、具体的な間隔の値は、処理するシート類の性状などに適応させるべく、実験に基づいて定めれば差支えない。
【0038】
また、この種の搬送装置に於ける上部搬送機構と吸引機構(及び吸着機構)との係合態様については、図示は省略したが、例えば吸引機構(及び吸着機構)の吸引部材(図示実施例では吸引フード)の少なくともいずれか片側の側部に(好ましくは、両側部に)、上部搬送機構の搬送部材(図示実施例では搬送ベルト)を位置させて併設する係合態様、或は例えば上部搬送機構の搬送部材として、多数の吸引口を穿設した無端状の有孔搬送ベルトを用いると共に、該有孔搬送ベルトの内周面側に吸引機構の吸引部材の吸引口を臨ませて成る係合態様等が公知であり、いずれも採用可能である。
【0039】
また、図17の実施例からも明らかな如く、前記吸引機構、吸着機構、下部吸着機構の具体的な形態の組合わせについては、特に限定を設けるものではなく、図示した実施例以外の形態の機構、例えば吸引部材をシート類の搬送方向に対して複数に分割すると共に、分割した複数の吸引部材の夫々に吸引機と開閉弁とを備えて、各別に開閉制御を行うようにした形態の吸引機構、或は例えば回転式の開閉弁に代えて、シャッター式の開閉弁を用いる形態の吸着機構等の、図示した実施例以外の形態の機構を含めて、種々組み替えて用いることが可能であり、要は個々の機構が所望の機能を奏するものであれば足りる。
【0040】
また、前記各実施例に於ては、弁別処理の直前から直後に亘る下部搬送路の搬送経路をへ字状に屈曲させると共に、上部搬送路の搬送経路を直進状とする態様を採ったが、各搬送路の搬送経路の態様としては、斯様な態様に限るものではなく、図示は省略したが、例えば下部搬送路の搬送経路を直進状とし、上部搬送路の搬送経路を逆へ字状とする態様、或は例えば下部搬送路の搬送経路をへ字状とし、上部搬送路の搬送経路を逆へ字状とする態様、更には例えば両搬送路の搬送経路とも直進状とする態様等々、要は上部搬送路を形成する上部搬送機構の保持開始部位が、下部搬送路を形成する下部搬送機構と平行状であれば足り、適宜に設計変更して差支えない。
【0041】
勿論、本発明に係る弁別搬送方法(及び弁別搬送装置)によって弁別した後のシート類の処理態様についても、特段の制約はなく、堆積処理、補修処理、貼着処理等々、所望通りの処理を実施して差支えない。
【産業上の利用可能性】
【0042】
以上明らかな如く、本発明に係るシート類の弁別搬送方法及び弁別搬送装置によれば、たとえ搬送方向に対する強度が極めて微弱なシート類であっても、シート類の損傷を誘発することなく、下部搬送路と上部搬送路へ適確に弁別搬送できるので、種々の分野での利用が見込まれるのは勿論のこと、搬送方向に対する強度が普通程度以上のシート類の処理にも、支障なく転用することができるので、その利用可能性は甚だ大である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係る弁別搬送装置の概略側面説明図である。
【図2】図1に例示した弁別搬送装置の作動状態の説明図である。
【図3】図1に例示した弁別搬送装置の作動状態の説明図である。
【図4】図1に例示した弁別搬送装置の作動状態の説明図である。
【図5】図1に例示した弁別搬送装置の作動状態の説明図である。
【図6】図1に例示した弁別搬送装置の作動状態の説明図である。
【図7】本発明に係る弁別搬送装置の異なる実施例の概略側面説明図である。
【図8】図9に例示した弁別搬送装置の作動状態の説明図である。
【図9】図9に例示した弁別搬送装置の作動状態の説明図である。
【図10】図9に例示した弁別搬送装置の作動状態の説明図である。
【図11】図9に例示した弁別搬送装置の作動状態の説明図である。
【図12】図9に例示した弁別搬送装置の作動状態の説明図である。
【図13】本発明に係る弁別搬送装置の更に別の実施例の概略側面説明図である。
【図14】図13に例示した弁別搬送装置の作動状態の説明図である。
【図15】図13に例示した弁別搬送装置の作動状態の説明図である。
【図16】図13に例示した弁別搬送装置の作動状態の説明図である。
【図17】本発明に係る弁別搬送装置の更に別の実施例の概略側面説明図である。
【符号の説明】
【0044】
1 :下部搬送コンベヤ
2 :上部搬送コンベヤ
3、8 :吸引機構
3e、8e :吸引機構の開閉弁
4 :下部搬送路へ弁別すべき単板
4a :上部搬送路へ弁別すべき単板
5 :単板検知器
6、9 :吸着機構
6A、9A :下部吸着機構
6e、9e :吸着機構及び下部吸着機構の開閉弁
7、10 :制御機構
A :下部搬送路
B :上部搬送路
L :単板の繊維方向と直交方向の長さ
S :上部搬送コンベヤの保持開始部位の長さ
W :吸引フードの吸引口の長さ
【技術分野】
【0001】
本発明は、定形のシート類の弁別搬送方法及び弁別搬送装置に関するものであり、詳細には、搬送方向に対する強度が極めて微弱な定形のシート類を、上下に対設した下部搬送路と上部搬送路とへ安定的に弁別搬送することができるように工夫した定形のシート類の弁別搬送方法及び弁別搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、矩形のベニヤ単板等の如き定形のシート類の複数枚を次工程へ搬送する過程に於て、例えば各シート類の品質毎・使途毎の分別、或は堆積処理時間の確保等の必要性に応じて、個々のシート類を上下二段の搬送路へ選択的に弁別搬送する要求がある。
【0003】
そこで、例えば特許文献1には、単板を下方から支持して搬送する搬送コンベアの末端の後方に、該搬送コンベアから単板を受け取って下方に開放する開閉体を、また、前記搬送コンベアの末端近くの上方に、単板を上方から吸着して搬送する吸着装置付の吸着コンベアを夫々配設し、単板の一枚飛び毎に吸着装置を作動させて、搬送コンベアを介して搬送されてくる単板を、一枚毎に交互に開閉体側と吸着コンベア側へ選択的に弁別搬送する手段が、或は例えば特許文献2には、単板を下方から支持して搬送する搬送ラインの途中に分岐ステーションを設けると共に、該分岐ステーションの上部に吸引装置付の分岐ラインを設け、更に分岐ステーションに薄板の先端部を分岐ライン側へ案内する方向転換手段を配設し、搬送ラインを介して搬送されてくる薄板の内の、所望の薄板の先端部を、前記方向転換手段を介して分岐ライン側へ押し曲げて、選択的に弁別搬送する手段が開示されており、更には例えば特許文献3には、前記各文献の手段に用いた弁別機構に類似する弁別機構を、切板の搬送方向に対して二段階状に備えて、弁別を二度実施し、切板を都合三種類に弁別搬送する手段が夫々開示されている。
【特許文献1】特開昭60−249597号公報
【特許文献2】特開2002−52367号公報
【特許文献3】実開昭58−56738号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
而して、処理するシート類が、例えば割れを有しない厚いベニヤ単板(以下、単に単板と称す)、切れ目を有しない紙、ゴム板、或は金属板等の如く、搬送方向に対する強度が普通程度以上のシート類である場合には、前記いずれの公知手段を用いても、格別問題なく弁別搬送することが可能であるが、処理するシート類が、搬送方向に対する強度が極めて微弱なシート類である場合には、前記各公知手段によると、用いる弁別機構の構成からして、下記の如く、安定的に弁別搬送することができない不具合があった。
【0005】
即ち、各公知手段に用いる弁別機構の如く、下部搬送路を形成する下部搬送機構と、上部搬送路を形成する上部搬送機構とを上下に対設する場合に、たとえ反りやアバレなどを有する非平坦状のシート類であっても、各搬送機構の間を支障なく通過させて弁別処理する為には、前記各公報類の図面の記載からも明らかな如く、上下の搬送機構の間に、シート類の厚さよりも数倍乃至数十倍程の広い間隔を設けることが必要となる。
【0006】
ところが、前記各公知手段は、いずれもシート類を先端部から後端部にかけて徐々に下部搬送路側から上部搬送路側へ吸引上昇させる構成を採っており、例えば特許文献3の第3図に例示される如く、上下の搬送機構の間に設けられた広い間隔内に於て、既に吸引上昇させられた部分にこれから吸引上昇させられ部分がぶら下がる状態が、各シートの中間部に対して繰返し発現されることから、例えば極く薄い単板を繊維方向と直交方向に搬送する場合、或は例えば既に割れを有する厚い単板を繊維方向と直交方向に搬送する場合等の如く、処理するシート類が、搬送方向に対する強度が極めて微弱なシート類である場合には、前記ぶら下がったいずれかの箇所に於て、新たに割れが発生したり、或は既存の割れが拡大したり、更には既存の割れが拡大してシート類が千切れる等々、シート類が損傷する問題が発生し、安定的に弁別搬送することができない不具合があった。
【0007】
また更に、例えば前記特許文献2に開示される如く、必要に応じて、上部搬送機構の搬送速度を、下部搬送機構の搬送速度に比べて速く設定することにより、上部搬送路のシート類を素早く次工程へ移送する構成を採る場合に於ては、先記ぶら下がった箇所に、搬送速度の相違に伴う引っ張り力が加算されるので、損傷が助長される傾向があり、特に、シート類を先端部から後端部にかけて徐々に上部搬送機構側へ吸引する吸引態様によると、シート類の反りやアバレなどに起因して、搬送方向の左右に於てシート類の拘束が不均等になる現象が発生し、該左右の拘束の不均等に起因して、シート類の左右いずれか片側のみが、他の側よりも速く搬送される現象が発生し易いので、シート類の損傷が一段と助長される傾向があり、また、仮に損傷を免れたとしても、シート類が転回して搬送姿勢が乱れる弊害が誘発されることとなる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記従来の公知手段の欠陥を解消すべく開発したものであり、具体的には、定形のシート類を下方から支持して下部搬送路へ搬送する下部搬送機構と、前記シート類を上方から保持して上部搬送路へ搬送する上部搬送機構とを有する弁別搬送装置を用いて、前記シート類を下部搬送路と上部搬送路へ選択的に弁別搬送するに際し、前記弁別搬送装置の上部搬送機構として、前記シート類を保持搬送し始める保持開始部位が、前記シート類の搬送方向の長さと同等以上の長さを有し、且つ、前記シート類の厚さより少なくとも数倍広い間隔を隔てて、前記下部搬送機構と平行状に対設されており、而も当該保持開始部位に、前記シート類の搬送方向の長さに相当する長さの吸引部材を臨ませて成る吸引機構を併設した上部搬送機構を用いると共に、上部搬送路へ弁別すべき定形のシート類の全体が、前記吸引部材の下方に到来する都度、吸引機構を介して前記シート類を下部搬送機構上から上部搬送機構側へ一斉に吸引して弁別搬送する弁別搬送方法(請求項1)と、定形のシート類を下方から支持して下部搬送路へ搬送する下部搬送機構と、前記シート類を上方から保持して上部搬送路へ搬送する上部搬送機構とを有し、前記シート類を下部搬送路と上部搬送路へ選択的に弁別搬送する定形のシート類の弁別搬送装置であって、前記上部搬送機構として、前記シート類を保持搬送し始める保持開始部位が、前記シート類の搬送方向の長さと同等以上の長さを有し、且つ、前記シート類の厚さより少なくとも数倍広い間隔を隔てて、前記下部搬送機構と平行状に対設されており、而も当該保持開始部位に、前記シート類の搬送方向の長さに相当する長さの吸引部材を臨ませて成る吸引機構を併設した上部搬送機構を用いると共に、上部搬送路へ弁別すべき定形のシート類の全体が、前記吸引部材の下方へ到来する都度、前記シート類を下部搬送機構上から上部搬送機構側へ一斉に吸引すべく、吸引機構を間歇的に作動させるように制御する制御機構を具備して成る弁別搬送装置(請求項2)と、単一の吸引口を有する吸引部材と、該吸引部材の吸引口を開閉する一個の開閉弁とを有する吸引機構を備えると共に、定形のシート類の到来と通過とに応じて、前記一個の開閉弁を開閉させるように制御する制御機構を具備して成る請求項2記載の弁別搬送装置(請求項3)と、上部搬送機構の搬送方向に対して複数に分割された吸引口を有する吸引部材と、該吸引部材の各吸引口を個別に開閉する複数個の開閉弁とを有する吸引機構を備えると共に、定形のシート類の到来に応じて、前記複数個の開閉弁を一斉に開作動させ、且つ、前記シート類の末端部の通過に応じて、前記複数個の開閉弁を個別に閉作動させるように制御する制御機構を具備して成る請求項2記載の弁別搬送装置(請求項4)と、前記吸引機構の吸引部材の直下よりも若干搬送方向上手側の対向位置に、類似状の吸引部材を有し、下部搬送機構によって搬送される各シート類を、下部搬送機構側へ吸着させる下部吸着機構を下部搬送機構に併設すると共に、上部搬送路へ弁別すべき定形のシート類に限っては、該シート類の全体が前記吸引機構の吸引部材の下方へ到来する直前に、該シート類の吸着を暫時開放するように前記下部吸着機構の作動を制御する機能を、前記制御機構に併設して成る請求項2又は請求項3又は請求項4記載の弁別搬送装置(請求項5)とを提案する。
【発明の効果】
【0009】
前記請求項1に係るシート類の弁別搬送方法によれば、上部搬送路へ弁別すべき定形のシート類の全体が、吸引部材の下方に到来する都度、吸引機構を介して前記シート類を下部搬送機構上から上部搬送機構側へ一斉に吸引することにより、前記シート類を下部搬送機構上から上部搬送機構側へいちどきに受け渡しするものであるから、各搬送機構の間にシート類の厚さより少なくとも数倍広い間隔があっても、該間隔内に於て、シート類のいずれかの部分が他のいずれかの部分にぶら下がる現象が発生する虞はなく、たとえ搬送方向に対する強度が極めて微弱なシート類であっても、割れの発生等の損傷を誘発することなく、安定的に弁別搬送することが可能であり、また、仮にシート類が反りやアバレなどを有する非平坦状であっても、一斉に吸引されるので、左右の拘束が不均等になることも殆どなく、上部搬送機構の搬送速度を、下部搬送機構の搬送速度に比べて速く設定する場合を含めて、シート類の転回等の弊害を新たに誘発する虞も併せて回避される。而して、請求項2〜請求項5に係る弁別搬送装置は、請求項1に係る弁別搬送方法の実施に用いることが可能であり、また、請求項3〜請求項5に係る弁別搬送装置は、後述する如く、夫々の構成に相応する特性を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を図面に例示した実施の一例に基づいて更に詳述するに際し、図示実施例に於ては、シート類の代表例として、単板を表記した(従来、問題が発生していた繊維方向と直交方向への搬送状態にて)。また同様の機器類、機構類を異なる実施例に用いた場合には、便宜上、同一の符号を付して、重複する説明を省略することとしたが、いずれにしても、実施例に例示した機器類、機構類は、単に代表的な例を挙げたものであって、具体的な形態について格別な限定を付するものではなく、要は、所望の機能を奏し得るものであれば足り、必要に応じて、適宜設計変更して差支えない。
【実施例】
【0011】
図1は、本発明に係る弁別搬送装置の概略側面説明図であり、図2乃至図6は、図1に例示した弁別搬送装置の作動状態の説明図である。図中、1は、下部搬送機構を形成する下部搬送コンベヤであって、回転軸1a、ベルト車1b、搬送ベルト1c・1d、サーボモータ等の適宜の駆動源1e等から成り、適当な搬送送度を以って図示矢印方向へ走行せしめられ、搬送方向と同方向に向けられた繊維方向と直交方向の長さがLである矩形の単板4(4a)を下方から支持し、図示矢印で示した下部搬送路Aを介して、所望の次工程(例えば堆積処理工程、補修処理工程等)へ搬送する。
【0012】
2は、上部搬送機構の一部を形成する上部搬送コンベヤであって、回転軸2a、ベルト車2b、搬送ベルト2c、適宜の駆動源2d等から成り、搬送方向上手側に在って、後述ずる吸引機構3と協働して単板4(4a)を保持搬送し始める保持開始部位が、単板4(4a)の搬送方向の長さLと同等以上の長さSを有し、且つ、単板4(4a)の厚さより少なくとも数倍広い間隔を隔てて、前記下部搬送機構1と平行状に対設されており、適当な搬送送度(例えば前記下部搬送コンベヤ1と同速度)を以って図示矢印方向へ走行せしめられ、後述する吸引機構3、吸着機構6等と協働して、単板4(4a)を上方から保持し、図示矢印で示した上部搬送路Bを介して、別の所望の次工程へ搬送する。
【0013】
3は、上部搬送機構の他の一部を形成する吸引機構であって、単板4(4a)の搬送方向の長さLに相当する長さWの吸引口3gを有し、且つ、吸引力の均等化を図る為の隔壁3bを備えた吸引部材である吸引フード3a、適宜の駆動源3dを備えた吸引機3c、図示矢印方向へ往復回動可能な開閉弁3e、該開閉弁3eを往復回動させる流体シリンダ等から成る作動部材3f等から成り、前記吸引フード3aの吸引口3gを、先記上部搬送コンベヤ2の保持開始部位に臨ませて配設されており、後述する制御機構7の制御を得て、適時開閉弁3eを開閉させることにより、下部搬送コンベヤ1上に在って上部搬送路側へ弁別すべき単板4aを上方へ吸引し、先記上部搬送コンベヤ2と協働して、単板4(4a)を上方から保持しつつ、図示矢印で示した上部搬送路Bを介して、所望の次工程へ搬送する。
【0014】
5は、先記下部搬送コンベヤ1の中間部に配設された反射型光電管等から成る単板検知器であって、上部搬送路Bへ弁別すべき単板4aの全体が、前記吸引フード3aの下方に到来する都度、後述する制御機構7に単板検知信号を発信する。
【0015】
6は、先記吸引機構3の構成に準ずる構成の吸着機構であって、吸引フード6a、吸引機6c、開閉弁6e等を有して成り、後述する制御機構7の制御を得て、適時開閉弁6eを開閉させることにより、先記上部搬送コンベヤ2の保持開始部位に後続する保持継続部位に於て、先記上部搬送コンベヤ2と協働して、上部搬送路側へ弁別すべき単板4(4a)を上方から保持しつつ、図示矢印で示した上部搬送路Bを介して、所望の次工程へ搬送する。尚、当該吸着機構は、吸引機構によって既に上部搬送機構側に吸引された単板を、引き続き吸着すれば足りるから、その吸着力は、吸引機構の吸引力より弱くても支障なく、下部搬送機構によって搬送される単板を吸引上昇させるに足るほどの吸着力は無用であり、後述する図13、或は図17の実施例の如く、下部搬送機構によって搬送する単板同士の間隔の狭小化を図る弁別搬送装置に於ては、当該吸着機構の吸着力を実用上支障のない範囲内で可及的に弱くするのが好ましい。
【0016】
7は、前記各機器類の作動を制御する制御機構であって、下部搬送コンベヤ1と上部搬送コンベヤ2については、駆動源1e、2dを介して、常時図示矢印方向へ走行させるよう制御すると共に、開閉弁3e、6eについては、常態に於て閉止状態(図2参照)となるよう制御する。そして而も、下部搬送コンベヤ1上に在って上部搬送路側へ弁別すべき単板4aの到来を予告する適宜の信号源からの予告信号、例えば作業者による押しボタンスィッチの操作を以って発せられる予告信号などの、適宜の信号源からの予告信号xが外部から入力され、且つ、当該単板4aの全体が、前記吸引フード3aの下方に到来したことを検知する単板検知器5からの単板検知信号が入力された場合に限って、開閉弁3e、6eを開放状態とするように制御し、更に例えばタイマー等の時限機構の時限経過信号、或は例えば各吸引フードに於ける搬送方向の直後位置に備えた、反射型光電管等から成る単板通過検知器(図示省略)の単板通過信号に基づき、当該単板4aの全体が、吸引機構3の作動区域から外れたら開閉弁3eを、また吸着機構6の作動区域から外れたら開閉弁6eを、夫々閉止状態に戻すよう制御する。
【0017】
本発明に係る弁別搬送装置は、例えば述上の如く構成するものであって、その作動態様を、図2乃至図6の説明図を引用して説明すると、下部搬送コンベヤによって搬送される単板が、例えば図2に例示する如く、下部搬送路側へ弁別すべき単板4である場合には、制御機構7に予告信号が入力されないので、単板検知器5の位置に単板4が到来して、単板検知器5からの単板検知信号が発せられても、開閉弁3e、6eは閉止状態のままであり、単板4はそのまま下部搬送コンベヤ1によって下部搬送路Aへ搬送される。
【0018】
一方、下部搬送コンベヤによって搬送される単板が、図3に例示する如く、上部搬送路側へ弁別すべき単板4aである場合には、外部から制御機構7に予告信号xが入力されると共に、単板検知器5の位置に単板4aが到来すると、単板検知器5から単板検知信号が発せられ、制御機構7が、開閉弁3e、6eを開放状態に回動させるので、単板4aは図示矢印で示す如く、上部搬送コンベヤ2側へ一斉に吸引上昇させられ、以降は、図4、図5、図6の順に例示する如く、上部搬送コンベヤ2によって、上部搬送路Bへ搬送される。
【0019】
そして更に、制御機構7は、図5に例示する如く、前記単板4aの全体が、吸引機構3の作動区域から外れたら開閉弁3eを、また図6に例示する如く、吸着機構6の作動区域から外れたら開閉弁6eを、夫々閉止状態に戻すよう制御し、次に上部搬送路側へ弁別すべき単板4aが到来するのを待機させる。
【0020】
以下、同様の動作の繰返しによって、下部搬送路側へ弁別すべき単板4の場合には、吸引機構3を作動させずに、下部搬送路Aへ搬送し、上部搬送路へ弁別すべき単板4aのみを、吸引機構3によって吸引することにより、上部搬送路Bへ搬送するものであるが、弁別に際しては、述上の如く単板を搬送方向の全長に亘って一斉に吸引上昇させるものであるから、たとえ処理する単板が、極く薄い単板や既に割れを有する厚い単板であっても、決して新たな割れを誘発したり、既存の割れを拡大させたりする虞はなく、常に安定的に弁別搬送することができ、また、仮に単板が反りやアバレなどを有する非平坦状であっても、一斉に吸引されるので、左右の拘束が不均等になることも殆どなく、上部搬送機構の搬送速度を、下部搬送機構の搬送速度に比べて速く設定する場合を含めて、単板の転回等の弊害を新たに誘発する虞も併せて回避される。
【0021】
前記実施例の如く構成した弁別搬送装置は、図からも明らかな如く、構造が比較的簡単である利点を有するが、反面、後続する単板の誤吸引を回避する必要性からして、下部搬送機構によって搬送する単板同士の間隔を比較的広く(望ましくは、単板の搬送方向の長さと同等以上)する必要がある。但し、上部搬送機構の搬送速度を、下部搬送機構の搬送速度に比べて速く設定する構成を採る場合には、弁別に伴って、単板同士の間隔が順次拡大することになるので、必ずしも常に単板の搬送方向の長さと同等以上の間隔を必要とするわけではない。
【0022】
次に、図7は、本発明に係る弁別搬送装置の異なる実施例の概略側面説明図であり、先記図1に例示した弁別搬送装置に於ける吸引機構3及び吸着機構6に代えて、単板4(4a)の搬送方向の長さLに相当する長さWの吸引口8gを有し、且つ、吸引力の均等化を図る為の隔壁8bを備えた吸引部材である吸引フード8a、適宜の駆動源8dを備えた吸引機8c、前記隔壁8bによって複数に分割された吸引口8gの小区画毎に各別に配設されており、夫々が各別に図示矢印方向へ往復回動可能な複数の開閉弁8e、各開閉弁8eを個別に往復回動させる流体シリンダ等から成る作動部材8f等を具備した吸引機構8と、該吸引機構8の構成に準ずる構成の吸着機構9とを備えると共に、先記弁別搬送装置に於ける制御機構7に代えて、前記吸引機構8と吸着機構9とを下記の如く制御する制御機構10を備えて構成したものである。
【0023】
即ち、制御機構10は、常態に於て、吸引機構8の開閉弁8eと吸着機構9の開閉弁9eとを、図8に例示する如く、閉止状態とするように制御する。そして、吸引機構8の開閉弁8eについては、下部搬送コンベヤ1上に在って上部搬送路側へ弁別すべき単板4aの到来を予告する適宜の予告信号xが外部から入力され、且つ、当該単板4aの全体が、前記吸引フード3aの下方に到来したことを検知する単板検知器5からの単板検知信号が入力された場合に限って、図9に例示する如く、複数の開閉弁8eを一斉に開放状態とするように制御すると共に、適宜の時限機構の時限経過信号等に基づき、図10・図11に例示する如く、当該単板4aの後端が通過した箇所の開閉弁8eを順次閉止状態に戻すように制御し、また吸着機構9の開閉弁9eについては、適宜の時限機構の時限経過信号等に基づき、図10・図11に例示する如く、吸引機構8によって上部搬送路側へ吸引された単板4aの先端が到来する箇所の開閉弁9eを順次開放状態とするように制御すると共に、図12に例示する如く、当該単板4aの後端が通過した箇所の開閉弁9eを順次閉止状態に戻すように制御する。
【0024】
述上の如き構成で成る弁別搬送装置の作動態様を、図8乃至図12の説明図を引用して説明すると、下部搬送コンベヤによって搬送される単板が、例えば図8に例示する如く、下部搬送路側へ弁別すべき単板4である場合には、制御機構10に予告信号が入力されないので、単板検知器5の位置に単板4が到来して、単板検知器5からの単板検知信号が発せられても、吸引機構8の複数の開閉弁8eと吸着機構9の開閉弁9eは閉止状態のままであり、単板4はそのまま下部搬送コンベヤ1によって下部搬送路Aへ搬送される。
【0025】
一方、下部搬送コンベヤによって搬送される単板が、図9に例示する如く、上部搬送路側へ弁別すべき単板4aである場合には、外部から制御機構10に予告信号xが入力されると共に、単板検知器5の位置に単板4aが到来すると、単板検知器5から単板検知信号が発せられ、制御機構10が、吸引機構8の複数の開閉弁8eを一斉に開放状態に回動させるので、単板4aは図示矢印で示す如く、上部搬送コンベヤ2側へ一斉に吸引上昇させられ、次いで、図10、図11の順に例示する如く、制御機構10が、単板4aの先端が到来する箇所の吸着機構9の開閉弁9を順次開放状態に回動させるので、当該単板4aは、上部搬送コンベヤ2によって、上部搬送路Bへ搬送される。
【0026】
そして更に、制御機構10は、図10、図11、図12に例示する如く、当該単板4aの後端が通過した箇所の吸引機構8の開閉弁8e、及び吸着機構9の開閉弁9を順次閉止状態に戻すように制御して、後続する単板4(4a)の誤吸引を予防すると共に、次に上部搬送路側へ弁別すべき単板4aが到来するのを待機させる。
【0027】
以下、同様の動作の繰返しによって、下部搬送路側へ弁別すべき単板4の場合には、吸引機構8を作動させずに、下部搬送路Aへ搬送し、上部搬送路へ弁別すべき単板4aのみを、吸引機構8によって吸引することにより、上部搬送路Bへ搬送するものであるが、斯様に構成した弁別搬送装置は、先記図1に例示した弁別搬送装置に比べて、構造が些か複雑化する反面、吸引機構の吸引部材の吸引口を細分化して、各吸引口を個別に開閉できるよう構成したことから、下部搬送機構によって搬送する単板同士の間隔を、先記図1に例示した弁別搬送装置の場合に比べて著しく狭くしても、後続する単板4(4a)が誤吸引される虞はなく、一段と充実した単板の搬送密度を以って、弁別処理が行い得る。
【0028】
但し、吸引機構の吸引部材の吸引口を細分化して、各吸引口を個別に開閉することにより、下部搬送機構によって搬送する単板同士の間隔を狭小化する手法には、一定の限界があり、吸引部材の吸引口を極端に細分化すると、装置の構造や開閉弁の制御が甚だ複雑化するのみならず、隔壁の存在によって空気の流通が阻害されるのに伴う吸引効率の低下も甚だしくなるので非実用的である。そこで、下部搬送機構によって搬送する単板同士の間隔を狭小化するのに適した弁別搬送装置として、下記の構成の弁別搬送装置を提案する。
【0029】
図13は、本発明に係る弁別搬送装置の更に別の実施例の概略側面説明図であり、先記図1(或は図7)に例示した弁別搬送装置の構成に加えて、前記吸引機構3(或は8)の吸引フード3a(或は8a)の直下よりも若干搬送方向上手側の対向位置に、先記吸着機構6(或は9)の構成に準ずる構成であって、吸引フード6a(或は9a)、吸引機6c(或は9c)、開閉弁6e(或は9e)等を有し、下部搬送コンベヤ1によって搬送される単板4(4a)を、下部搬送コンベヤ側へ吸着させる下部吸着機構6A(或は9A)を、下部搬送コンベヤ1に併設し、併せて、前記下部吸着機構6A(或は9A)の開閉弁6e(或は9e)を、常態に於て開放状態(図14参照)とするよう制御すると共に、例えば先記予告信号等に基づく適宜の弁別信号を得て、下部搬送コンベヤ1によって搬送される単板(4、4a)の内で、上部搬送路Bへ弁別すべき単板4aに限っては、該単板4aの全体が前記吸引機構3(或は8)の吸引フード3a(或は8a)の下方へ到来する直前に、該単板4aの吸着を暫時開放するように、前記下部吸着機構6A(或は9A)の作動を制御する機能を、前記制御機構7(或は10)に併設して構成したものである。
【0030】
述上の如き構成で成る弁別搬送装置の作動態様を、図14乃至図16の説明図を引用して説明すると、前記下部搬送コンベヤによって搬送される単板が、例えば図14に例示する如く、下部搬送路側へ弁別すべき単板4である場合には、制御機構7(或は10)は、下部吸着機構6A(或は9A)の開閉弁6e(或は9e)を、開放状態のまま維持する。そして、先述の如く、下部搬送路側へ弁別すべき単板4の場合には、制御機構7(或は10)には予告信号が入力されないので、単板検知器5の位置に単板4が到来して、単板検知器5からの単板検知信号が発せられても、吸引機構3(或は8)の開閉弁3e(或は8e)、及び吸着機構6(或は9)の開閉弁6e(或は9e)は閉止状態のままであるから、単板4はそのまま下部搬送コンベヤ1によって下部搬送路Aへ搬送される。
【0031】
一方、下部搬送コンベヤによって搬送される単板が、図15に例示する如く、上部搬送路側へ弁別すべき単板4aである場合には、制御機構7(或は10)が、該単板4aの全体が吸引機構3(或は8)の吸引フード3a(或は8a)の下方へ到来する直前に、該単板4aの吸着を暫時開放するように、下部吸着機構6A(或は9A)の作動を制御し、併せて、外部から制御機構7(或は10)に予告信号xが入力され、単板検知器5の位置に単板4aが到来して、単板検知器5から単板検知信号が発せられると、制御機構7(或は10)は、吸引機構3(或は8)の開閉弁3e(或は8e)を開放状態に回動させるので、単板4aは図示矢印で示す如く、上部搬送コンベヤ2側へ一斉に吸引上昇させられ、加えて、吸着機構6(或は9)の開閉弁6e(或は9e)を開放状態に回動させるので、以降は、図16に例示する如く、上部搬送コンベヤ2によって、上部搬送路Bへ搬送される。
【0032】
而して、図16に例示する如く、前記単板4aが吸引機構3(或は8)によって吸引上昇させられ、上部搬送コンベヤ2によって、上部搬送路Bへ搬送される際に、後続する単板(4、4a)の先端部へも、吸引機構3(或は8)の吸引力が及ぶことになるが、制御機構7(或は10)は、該単板4aの吸着を暫時開放した後は、図16に例示する如く、速やかに下部吸着機構6A(或は9A)の開閉弁6e(或は9e)を開放状態に戻して、後続する単板(4、4a)の先端部を、下部搬送コンベヤ側へ吸着させるので、たとえ、先行する単板4aの後端と後続する単板(4、4a)の先端との間に間隔(水平方向に対する間隔)が全くなくても、後続する単板(4、4a)の先端部が、誤って上部搬送コンベヤ2側へ吸引上昇させられる虞はなく、先記図7に例示した実施例の弁別搬送装置に比べて、更に一段と充実した単板の搬送密度を以って、安定的に弁別処理が行い得る。
【0033】
因に、前記下部吸着機構は、後続する単板(4、4a)の先端部に、吸引機構3(或は8)の吸引力が及んでも、誤って先端部が浮き上がらないように、下部搬送コンベヤ側へ吸着すれば足りるものであるから、その吸着力は、吸引機構3(或は8)の吸引力に比べて著しく弱くしても差支えなく、むしろ、既に上部搬送コンベヤ側に吸引された単板4aの吸引に悪影響を及ぼさないよう、実用的に支障のない範囲内で可及的に弱くするのが好ましい。
【0034】
尚、前記下部吸着機構として、例えば図17に例示する如く、先記吸着機構9の構成に準ずる構成で成る下部吸着機構9Aを用いる場合には、吸着力の集中化を図る為に、図17に例示する如く、下部搬送コンベヤによって搬送される単板(4、4a)の先端部が到来する箇所の開閉弁9eを順次開放状態とするように制御するのが好ましい。
【0035】
もっとも、上部搬送機構の搬送速度を、下部搬送機構の搬送速度に比べて速く設定する構成を採る場合には、弁別に伴って、単板同士の間隔が順次拡大することになるので、吸引機構や吸着機構の吸引力が、所望の単板以外の単板に悪影響を及ぼす虞は、弁別後に漸減する傾向となる。
【0036】
尚、前記各実施例に於ては、上部搬送路側へ弁別すべき単板であるか否かを区分する区分手段として、上部搬送路側へ弁別すべき単板の到来を予告する予告信号を、外部から制御機構に発信する構成の区分手段を採ったが、区分手段としては、斯様な構成に限るものではなく、図示は省略したが、例えば下部搬送路側へ弁別すべき単板が到来した際には、先記単板検知器5の機能を一時的に休止させると共に、上部搬送路側へ弁別すべき単板が到来した際にのみ、単板検知器5の機能を発揮させるように構成した区分手段であっても差支えなく、要は適時に区分が行い得る区分手段であれば足り、如何様な弁別を行うかの弁別基準を含めて、区分手段に特別な制約はない。
【0037】
因に、本発明に係る弁別搬送方法及び弁別搬送装置に於て、下部搬送機構と上部搬送機構の対設間隔を、シート類の厚さの少なくとも数倍に設定するのは、単板等のシート類が、反りやアバレを有していて、前記両搬送機構にシート類が同時に接触した場合に、端から順に押し潰されることに起因して、或は搬送速度の相違に起因して、シート類の搬送姿勢が乱れたり裂けたりする機会を無用とする為であり、具体的な間隔の値は、処理するシート類の性状などに適応させるべく、実験に基づいて定めれば差支えない。
【0038】
また、この種の搬送装置に於ける上部搬送機構と吸引機構(及び吸着機構)との係合態様については、図示は省略したが、例えば吸引機構(及び吸着機構)の吸引部材(図示実施例では吸引フード)の少なくともいずれか片側の側部に(好ましくは、両側部に)、上部搬送機構の搬送部材(図示実施例では搬送ベルト)を位置させて併設する係合態様、或は例えば上部搬送機構の搬送部材として、多数の吸引口を穿設した無端状の有孔搬送ベルトを用いると共に、該有孔搬送ベルトの内周面側に吸引機構の吸引部材の吸引口を臨ませて成る係合態様等が公知であり、いずれも採用可能である。
【0039】
また、図17の実施例からも明らかな如く、前記吸引機構、吸着機構、下部吸着機構の具体的な形態の組合わせについては、特に限定を設けるものではなく、図示した実施例以外の形態の機構、例えば吸引部材をシート類の搬送方向に対して複数に分割すると共に、分割した複数の吸引部材の夫々に吸引機と開閉弁とを備えて、各別に開閉制御を行うようにした形態の吸引機構、或は例えば回転式の開閉弁に代えて、シャッター式の開閉弁を用いる形態の吸着機構等の、図示した実施例以外の形態の機構を含めて、種々組み替えて用いることが可能であり、要は個々の機構が所望の機能を奏するものであれば足りる。
【0040】
また、前記各実施例に於ては、弁別処理の直前から直後に亘る下部搬送路の搬送経路をへ字状に屈曲させると共に、上部搬送路の搬送経路を直進状とする態様を採ったが、各搬送路の搬送経路の態様としては、斯様な態様に限るものではなく、図示は省略したが、例えば下部搬送路の搬送経路を直進状とし、上部搬送路の搬送経路を逆へ字状とする態様、或は例えば下部搬送路の搬送経路をへ字状とし、上部搬送路の搬送経路を逆へ字状とする態様、更には例えば両搬送路の搬送経路とも直進状とする態様等々、要は上部搬送路を形成する上部搬送機構の保持開始部位が、下部搬送路を形成する下部搬送機構と平行状であれば足り、適宜に設計変更して差支えない。
【0041】
勿論、本発明に係る弁別搬送方法(及び弁別搬送装置)によって弁別した後のシート類の処理態様についても、特段の制約はなく、堆積処理、補修処理、貼着処理等々、所望通りの処理を実施して差支えない。
【産業上の利用可能性】
【0042】
以上明らかな如く、本発明に係るシート類の弁別搬送方法及び弁別搬送装置によれば、たとえ搬送方向に対する強度が極めて微弱なシート類であっても、シート類の損傷を誘発することなく、下部搬送路と上部搬送路へ適確に弁別搬送できるので、種々の分野での利用が見込まれるのは勿論のこと、搬送方向に対する強度が普通程度以上のシート類の処理にも、支障なく転用することができるので、その利用可能性は甚だ大である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係る弁別搬送装置の概略側面説明図である。
【図2】図1に例示した弁別搬送装置の作動状態の説明図である。
【図3】図1に例示した弁別搬送装置の作動状態の説明図である。
【図4】図1に例示した弁別搬送装置の作動状態の説明図である。
【図5】図1に例示した弁別搬送装置の作動状態の説明図である。
【図6】図1に例示した弁別搬送装置の作動状態の説明図である。
【図7】本発明に係る弁別搬送装置の異なる実施例の概略側面説明図である。
【図8】図9に例示した弁別搬送装置の作動状態の説明図である。
【図9】図9に例示した弁別搬送装置の作動状態の説明図である。
【図10】図9に例示した弁別搬送装置の作動状態の説明図である。
【図11】図9に例示した弁別搬送装置の作動状態の説明図である。
【図12】図9に例示した弁別搬送装置の作動状態の説明図である。
【図13】本発明に係る弁別搬送装置の更に別の実施例の概略側面説明図である。
【図14】図13に例示した弁別搬送装置の作動状態の説明図である。
【図15】図13に例示した弁別搬送装置の作動状態の説明図である。
【図16】図13に例示した弁別搬送装置の作動状態の説明図である。
【図17】本発明に係る弁別搬送装置の更に別の実施例の概略側面説明図である。
【符号の説明】
【0044】
1 :下部搬送コンベヤ
2 :上部搬送コンベヤ
3、8 :吸引機構
3e、8e :吸引機構の開閉弁
4 :下部搬送路へ弁別すべき単板
4a :上部搬送路へ弁別すべき単板
5 :単板検知器
6、9 :吸着機構
6A、9A :下部吸着機構
6e、9e :吸着機構及び下部吸着機構の開閉弁
7、10 :制御機構
A :下部搬送路
B :上部搬送路
L :単板の繊維方向と直交方向の長さ
S :上部搬送コンベヤの保持開始部位の長さ
W :吸引フードの吸引口の長さ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
定形のシート類を下方から支持して下部搬送路へ搬送する下部搬送機構と、前記シート類を上方から保持して上部搬送路へ搬送する上部搬送機構とを有する定形のシート類の弁別搬送装置を用いて、前記シート類を下部搬送路と上部搬送路へ選択的に弁別搬送する搬送方法であって、前記弁別搬送装置の上部搬送機構として、前記シート類を保持搬送し始める保持開始部位が、前記シート類の搬送方向の長さと同等以上の長さを有し、且つ、前記シート類の厚さより少なくとも数倍広い間隔を隔てて、前記下部搬送機構と平行状に対設されており、而も当該保持開始部位に、前記シート類の搬送方向の長さに相当する長さの吸引部材を臨ませて成る吸引機構を併設した上部搬送機構を用いると共に、上部搬送路へ弁別すべき定形のシート類の全体が、前記吸引部材の下方に到来する都度、吸引機構を介して前記シート類を下部搬送機構上から上部搬送機構側へ一斉に吸引して弁別搬送することを特徴とする定形のシート類の弁別搬送方法。
【請求項2】
定形のシート類を下方から支持して下部搬送路へ搬送する下部搬送機構と、前記シート類を上方から保持して上部搬送路へ搬送する上部搬送機構とを有し、前記シート類を下部搬送路と上部搬送路へ選択的に弁別搬送する定形のシート類の弁別搬送装置であって、前記上部搬送機構として、前記シート類を保持搬送し始める保持開始部位が、前記シート類の搬送方向の長さと同等以上の長さを有し、且つ、前記シート類の厚さより少なくとも数倍広い間隔を隔てて、前記下部搬送機構と平行状に対設されており、而も当該保持開始部位に、前記シート類の搬送方向の長さに相当する長さの吸引部材を臨ませて成る吸引機構を併設した上部搬送機構を用いると共に、上部搬送路へ弁別すべき定形のシート類の全体が、前記吸引部材の下方へ到来する都度、前記シート類を下部搬送機構上から上部搬送機構側へ一斉に吸引すべく、吸引機構を間歇的に作動させるように制御する制御機構を具備したことを特徴とする定形のシート類の弁別搬送装置。
【請求項3】
単一の吸引口を有する吸引部材と、該吸引部材の吸引口を開閉する一個の開閉弁とを有する吸引機構を備えると共に、定形のシート類の到来と通過とに応じて、前記一個の開閉弁を開閉させるように制御する制御機構を具備して成る請求項2記載の定形のシート類の弁別搬送装置。
【請求項4】
上部搬送機構の搬送方向に対して複数に分割された吸引口を有する吸引部材と、該吸引部材の各吸引口を個別に開閉する複数個の開閉弁とを有する吸引機構を備えると共に、定形のシート類の到来に応じて、前記複数個の開閉弁を一斉に開作動させ、且つ、前記シート類の末端部の通過に応じて、前記複数個の開閉弁を個別に閉作動させるように制御する制御機構を具備して成る請求項2記載の定形のシート類の弁別搬送装置。
【請求項5】
前記吸引機構の吸引部材の直下よりも若干搬送方向上手側の対向位置に、類似状の吸引部材を有し、下部搬送機構によって搬送される各シート類を、前記下部搬送機構側へ吸着させる下部吸着機構を下部搬送機構に併設すると共に、上部搬送路へ弁別すべき定形のシート類に限っては、該シート類の全体が前記吸引機構の吸引部材の下方へ到来する直前に、該シート類の吸着を暫時開放するように前記下部吸着機構の作動を制御する機能を、前記制御機構に併設して成る請求項2又は請求項3又は請求項4記載の定形のシート類の弁別搬送装置。
【請求項1】
定形のシート類を下方から支持して下部搬送路へ搬送する下部搬送機構と、前記シート類を上方から保持して上部搬送路へ搬送する上部搬送機構とを有する定形のシート類の弁別搬送装置を用いて、前記シート類を下部搬送路と上部搬送路へ選択的に弁別搬送する搬送方法であって、前記弁別搬送装置の上部搬送機構として、前記シート類を保持搬送し始める保持開始部位が、前記シート類の搬送方向の長さと同等以上の長さを有し、且つ、前記シート類の厚さより少なくとも数倍広い間隔を隔てて、前記下部搬送機構と平行状に対設されており、而も当該保持開始部位に、前記シート類の搬送方向の長さに相当する長さの吸引部材を臨ませて成る吸引機構を併設した上部搬送機構を用いると共に、上部搬送路へ弁別すべき定形のシート類の全体が、前記吸引部材の下方に到来する都度、吸引機構を介して前記シート類を下部搬送機構上から上部搬送機構側へ一斉に吸引して弁別搬送することを特徴とする定形のシート類の弁別搬送方法。
【請求項2】
定形のシート類を下方から支持して下部搬送路へ搬送する下部搬送機構と、前記シート類を上方から保持して上部搬送路へ搬送する上部搬送機構とを有し、前記シート類を下部搬送路と上部搬送路へ選択的に弁別搬送する定形のシート類の弁別搬送装置であって、前記上部搬送機構として、前記シート類を保持搬送し始める保持開始部位が、前記シート類の搬送方向の長さと同等以上の長さを有し、且つ、前記シート類の厚さより少なくとも数倍広い間隔を隔てて、前記下部搬送機構と平行状に対設されており、而も当該保持開始部位に、前記シート類の搬送方向の長さに相当する長さの吸引部材を臨ませて成る吸引機構を併設した上部搬送機構を用いると共に、上部搬送路へ弁別すべき定形のシート類の全体が、前記吸引部材の下方へ到来する都度、前記シート類を下部搬送機構上から上部搬送機構側へ一斉に吸引すべく、吸引機構を間歇的に作動させるように制御する制御機構を具備したことを特徴とする定形のシート類の弁別搬送装置。
【請求項3】
単一の吸引口を有する吸引部材と、該吸引部材の吸引口を開閉する一個の開閉弁とを有する吸引機構を備えると共に、定形のシート類の到来と通過とに応じて、前記一個の開閉弁を開閉させるように制御する制御機構を具備して成る請求項2記載の定形のシート類の弁別搬送装置。
【請求項4】
上部搬送機構の搬送方向に対して複数に分割された吸引口を有する吸引部材と、該吸引部材の各吸引口を個別に開閉する複数個の開閉弁とを有する吸引機構を備えると共に、定形のシート類の到来に応じて、前記複数個の開閉弁を一斉に開作動させ、且つ、前記シート類の末端部の通過に応じて、前記複数個の開閉弁を個別に閉作動させるように制御する制御機構を具備して成る請求項2記載の定形のシート類の弁別搬送装置。
【請求項5】
前記吸引機構の吸引部材の直下よりも若干搬送方向上手側の対向位置に、類似状の吸引部材を有し、下部搬送機構によって搬送される各シート類を、前記下部搬送機構側へ吸着させる下部吸着機構を下部搬送機構に併設すると共に、上部搬送路へ弁別すべき定形のシート類に限っては、該シート類の全体が前記吸引機構の吸引部材の下方へ到来する直前に、該シート類の吸着を暫時開放するように前記下部吸着機構の作動を制御する機能を、前記制御機構に併設して成る請求項2又は請求項3又は請求項4記載の定形のシート類の弁別搬送装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図10】
【図11】
【図12】
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【図16】
【図17】
【公開番号】特開2010−95329(P2010−95329A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−266116(P2008−266116)
【出願日】平成20年10月15日(2008.10.15)
【出願人】(000155182)株式会社名南製作所 (77)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月15日(2008.10.15)
【出願人】(000155182)株式会社名南製作所 (77)
【Fターム(参考)】
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