説明

定量ソフト充填装置及び定量ソフト充填装置を用いた定量ソフト充填方法

【課題】 従来、人の手により、卯の花、白和え、ひじき等の惣菜を盛りつけしていたものを、機械化することにより、ふっくらと盛り付けて食品に付加価値を付与し、大量生産も可能とする定量ソフト充填装置を提供すること。
【解決手段】 食品の定量手段と定量された食品のほぐし手段とを備え、前記ほぐし手段が回転羽根と該回転羽根を回転させる駆動機構を備え、定量手段から排出され落下してくる食品を、ほぐし手段の回転する回転羽根によりほぐし、食品をふんわりと充填しうるように構成する。定量手段としては、入口ポートと出口ポートとを備えたバルブチャンバーを構成するケーシングと、該ケーシングのバルブチャンバー内周に沿って回転可能に配置された回転バルブと、該回転バルブを回転させる回転手段とを備えた食品の定量充填に用いられる回転型定量バルブを例示することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、卯の花や白和え等の食品を包装容器に一定量ふんわりと充填しうる定量ソフト充填装置や、該定量ソフト充填装置を用いた定量ソフト充填方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品等を工場で製造する際に、原料、半製品、食品等をパイプ等の流路により移送し、容器への定量充填が行われており、この流路や流速をコントロールしたり、定量充填するため、回転型充填バルブが用いられていた。この回転型充填バルブは、入口と出口とを備えたバルブチャンバーを構成するケーシングと、該ケーシングのバルブチャンバー内周に沿って回転可能に配置された回転バルブと、該回転バルブを回転させる回転手段とを通常備えている(例えば、特許文献1〜5参照)。
【0003】
一方、食品によっては、手で盛ったようにふんわりと容器に収容されるように工夫した技術として、内容物充填容器が搬入・搬出される処理ステーションを有する機械ボディと、処理ステーションに搬入された容器の上方に配置されている昇降体と、同容器内に対し下部を進退させうるように昇降体に垂下状に取付けられているほぐし部材と、昇降体の下降にともない同容器内に進入させられたほぐし部材によって同容器内の内容物の中央部が盛り上がった状態になるようにほぐし部材を作動させる作動手段とを備えている食品製造機械(例えば、特許文献6参照)や、また、炒め物の調理の際、塊状となるのを防ぐため、調理材料を収容する筒状の調理容器を備え、この調理容器を加熱しながら軸心廻りに回転させることで、調理容器の内周面で調理材料を炒めるようにした自動炒め装置において、前記調理容器の内周面に、調理容器軸心方向に関して間隔を有し且つ調理容器回転方向前方側に指向させて設けられた複数の攪拌杆を備えた自動炒め装置(例えば、特許文献7参照)が知られている。
【0004】
【特許文献1】特許第3030492号公報
【特許文献2】特開2000−335503号公報
【特許文献3】特開2001−88806号公報
【特許文献4】特開平10−236435号公報
【特許文献5】特開平8−301391号公報
【特許文献6】特開2000−219202号公報
【特許文献7】特開平6−311928号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の回転型充填バルブを用いて、惣菜等の食品を容器へ定量充填する場合、回転型充填バルブに供給された惣菜等の食品が、ピストンにより押圧されて出口から包装容器に充填されると、その間に惣菜等の食品は硬くしまった状態で包装容器に収容される。卯の花、白和え、ひじき等の惣菜がこのように硬い状態では味も半減し、外観上、消費者の購買力にも影響することになる。そして、従来、回転型充填バルブを用いる装置では、出口より移送されてきた惣菜等の食品を包装容器に充填する際、その容積を高め、ふんわり感を持たせる盛り付けは、手作業でなければできなかった。本発明の課題は、従来、人の手により盛りつけしていたように、卯の花(おから)、白和え、ひじき等の惣菜を、食欲をそそるようにふんわりと盛りつけることができる、食品の付加価値を高め、大量生産を可能とする定量ソフト充填装置や、該定量ソフト充填装置を用いた定量ソフト充填方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、機械的に惣菜をふんわりと盛りつける方法について鋭意研究し、ほぐして食品の容積を高める従来技術として提案されている、食品が収容されている容器内に、例えば、昇降体に取り付けられているほぐし部材を下降させて盛り上がるように作動させる手段や、容器内周面に設けられた複数の撹拌杆を用いることによりほぐす手段では、高速定量充填することができない。そこで発想を切り替えて、容器に惣菜等が充填される前にほぐすことを基本コンセプトとし、回転型充填バルブを用いて定量した後、回転型充填バルブの出口から包装容器に供給される卯の花を、回転型充填バルブの出口と包装容器の間に設けた撹拌羽根でほぐすことで、ふんわりと盛りつけることができることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明は、(1)食品の定量手段と定量された食品のほぐし手段とを備え、前記ほぐし手段が回転羽根と該回転羽根を回転させる駆動機構を備え、定量手段から排出され落下してくる食品を、ほぐし手段の回転する回転羽根によりほぐし、食品をふんわりと充填しうるように構成されていることを特徴とする定量ソフト充填装置に関する。
【0008】
また本発明は、(2)定量手段が、入口ポートと出口ポートとを備えたバルブチャンバーを構成するケーシングと、該ケーシングのバルブチャンバー内周に沿って回転可能に配置された回転バルブと、該回転バルブを回転させる回転手段とを備えた食品の定量充填に用いられる回転型定量バルブであることを特徴とする上記(1)記載の定量ソフト充填装置や、(3)回転型定量バルブが、シリンダ室を有する回転バルブと、シリンダ室内を進退しうるコマを有することを特徴とする上記(1)記載の定量ソフト充填装置や、(4)回転羽根が、水平に軸支された回転軸を有することを特徴とする上記(1)又は(2)記載の定量ソフト充填装置や、(5)回転羽根が、回転軸から立設角度及び/又は立設位置を異にして突出した複数個の直方体状突出片を有することを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか記載の定量ソフト充填装置や、(6)ほぐし手段が、飛散防止フードを有することを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれか記載の定量ソフト充填装置や、(7)ほぐし手段が、回転羽根下方にシャッターを有することを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれか記載の定量ソフト充填装置や、(8)ホッパーと、ホッパー底部から定量手段の入口まで水平に延設されたスクリューコンベアとを有する食品導入手段を備えたことを特徴とする上記(2)〜(7)のいずれか記載の定量ソフト充填装置や、(9)容器搬送用コンベアと、コンベア間欠駆動機構とを有する容器搬送手段を備えたことを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれか記載の定量ソフト充填装置に関する。
【0009】
さらに本発明は、(10)上記(1)〜(9)のいずれか記載の定量ソフト充填装置を用いる食品の定量ソフト充填方法であって、回転羽根の回転数が、3000〜4000rpmであることを特徴とする定量ソフト充填方法や、(11)上記(1)〜(9)のいずれか記載の定量ソフト充填装置を用いる食品の定量ソフト充填方法であって、ほぐし手段により体積を1.5〜3倍にすることを特徴とする定量ソフト充填方法や、(12)食品が、卯の花、白和え又はひじきであることを特徴とする上記(10)又は(11)記載の定量ソフト充填方法に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の定量ソフト充填装置は、人手を要せず、機械化したことにより、卯の花、白和え、ひじき等の惣菜を包装容器にふんわりと盛ることができ、さらに定量性、サニタリー性、大量生産性にもすぐれた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の定量ソフト充填装置としては、食品の定量手段と定量された食品のほぐし手段とを備え、前記ほぐし手段が回転羽根と該回転羽根を回転させる駆動機構を備え、定量手段から排出され落下してくる食品を、ほぐし手段の回転する回転羽根によりほぐし、食品をふんわりと充填しうるように構成されている装置であれば特に制限されず、上記食品としては、卯の花(おから)、細かく刻んだほうれんそう、こんにゃくを豆腐とあえた白和え、ひじきの煮物、イカの塩辛、糸もずく等の海藻類、ポテトサラダ等を挙げることができる。
【0012】
上記食品の定量手段としては、ほぼ一定重量の食品を量ることができる手段であればどのような手段でもよいが、ほぼ一定重量の食品を量るときに、本来ふんわりとした食品を圧縮して一定体積とし、この一定体積にすることでほぼ一定重量とする定量手段を用いる場合、特に本発明のほぐし効果が端的に発揮できるので、食品を圧縮状態とする定量手段を用いることが好ましい。かかる食品を圧縮状態とする定量手段として、入口ポートと出口ポートとを備えたバルブチャンバーを構成するケーシングと、該ケーシングのバルブチャンバー内周に沿って回転可能に配置された回転バルブと、該回転バルブを回転させる回転手段とを備えた食品の定量充填に用いられる回転型定量バルブを好適に例示することができる。
【0013】
上記食品の定量充填に用いられる回転型定量バルブとしては、公知の定量充填用回転型充填バルブを含めて用いることができ、バルブチャンバーが径方向の相互に対向する位置に入口ポート(上部)と出口ポート(下部)とを備え、回転バルブが前記入口ポートおよび前記出口ポートに同時に連通可能なシリンダ室を有し、該シリンダ室内をシリンダ軸方向に往復動自在なシャトル型のコマを備えた回転型定量バルブ(以下「回転型定量バルブ(タイプ1)」ということがある)や、バルブチャンバーが径方向の相互に対向する位置に入口ポート(上部)と出口ポート(下部)とを備えるとともに、端壁又は周壁に連通ポート(側部)が設けられ、回転バルブの回転にともない、入口ポート及び出口ポートを交互に連通ポートに接続する直角に曲がった充填物通路が設けられ、ピストンを内蔵しかつピストンのストロークによりバルブチャンバー内に対し食品を導入・排出させる定量シリンダが、連通ポートに連通させられている回転型定量バルブ(以下「回転型定量バルブ(タイプ2)」ということがある)や、バルブチャンバーが互いに直角の位置関係にある入口ポート(側部)と出口ポート(下部)、出口ポートと径方向に相互に対向する位置に押し出しポート(上部)、入口ポートと径方向に相互に対向する位置に空気排出孔とを備え、回転バルブが前記入口ポート又は前記出口ポートに連通可能な径方向に設けられたシリンダ室を有し、該シリンダ室内をシリンダ軸方向に往復動自在なシャトル型のコマを備え、排出ピストンを内蔵しかつ排出ピストンのストロークによりバルブチャンバー内に対し食品を排出させるシリンダが、押し出しポートに連通させられている回転型定量バルブ(以下「回転型定量バルブ(タイプ3)」ということがある)を例示することができる。上記回転型定量バルブとしては回転バルブが球状のボールバルブや回転バルブが円筒状のロータリー(円柱形)バルブを好適に例示することができ、回転手段としては、ロータリーアクチュエーター、サーボモーター等の回転駆動手段を例示することができる。
【0014】
回転型定量バルブ(タイプ1)や回転型定量バルブ(タイプ3)においては、コマの両端面を回転バルブの外周面形状に合わせた曲面とするとともに、該コマのシリンダ室内における相対回転を阻止する回転規制手段を設けたものが好ましく、回転規制手段は、例えば、シリンダ室内面に固定され該シリンダ室内面をシリンダ軸方向に沿って一部平面状とする平キーと、該平キーに対応してコマ外周面を一部平面状に切り欠いた切り欠き部とで構成することができ、また、ケーシング側に、コマの少なくともバルブチャンバー出口ポート側への移動を阻止するストッパーを設けたものが好ましい。さらに、一回当たりの充填量を調節可能とするために、例えば、コマを、二つのコマ部材、それらコマ部材を連結する長さ調節ネジとで構成することもできる。
【0015】
回転型定量バルブ(タイプ1)は、ケーシングのバルブチャンバーの上部入口ポートが、別途設けたポンプの吐出口に連結されており、シリンダ室の一端が入口ポートに連通した位置でポンプにより食品が供給されると、ポンプからの圧力でコマがシリンダ室内を下部出口ポート側へ移動し、シリンダ室内に食品が送り込まれて、その位置から回転バルブが180度回転し、シリンダ室の他端が入口ポートに連通した位置で再びポンプにより食品が供給され、ポンプからの圧力を受けてコマが再び出口ポート側へ移動して、シリンダ室内に食品が送り込まれ、その際、前回送り込まれた食品が出口ポートから送り出され、ほぐし手段によりほぐされることになる。次いで、回転バルブをシリンダ室が入口ポート及び出口ポートに連通するよう略180度反転させて同様に充填する操作を繰り返すことにより定量充填が行われる。
【0016】
回転型定量バルブ(タイプ2)としては、バルブチャンバーの上部入口ポートが充填物タンクに接続され、下部出口ポートがほぐし手段に接続され、また、定量シリンダの前端部が連通ポートの開口縁部に接続されており、ロータリーバルブ外周面から軸中心まで達するように第1通路(入口ポート接続用)が半径方向に延び、第1通路に対し周方向に90度の間隔をもたされて第2通路(出口ポート接続用)が半径方向に延び、バルブ後端面から前向きに第3通路(連通ポート接続用)が軸方向に延び、第1〜第3通路は、ロータリーバルブの中心部において連通させられたロータリーバルブを備えたものが好ましい。
【0017】
回転型定量バルブ(タイプ2)は、ロータリーバルブを供給位置、すなわち第1通路を入口ポートに接続し、第2通路を閉鎖した状態で、定量ピストンを後退させて導入ストロークさせると、食品が充填物タンクから入口ポート及びロータリーバルブを介して定量シリンダ内に導入し、アクチュエータの作動により、ロータリーバルブを90度回転させ、第1通路を閉鎖し、第2通路を出口ポートに接続した状態で、ピストンを前進させて排出ストロークさせると、定量シリンダ内の食品は、出口ポートを通じてケーシングから排出され、排出させられた食品はほぐし手段に送られる。次いで、ロータリーバルブを入口ポートが連通ポートに連通するよう略90度反転させて、以後同様に充填する操作を繰り返すことにより定量が行われる。
【0018】
回転型定量バルブ(タイプ3)は、ケーシングのバルブチャンバーの側周面入口ポートが、別途設けたスクリューコンベアの吐出口に連結されており、シリンダ室の一端が入口ポートに連通した位置でスクリューコンベアにより食品が圧送されると、入口ポートに位置したコマが、空気排出孔からコマ背面の空気をケーシング外に排気しながらシリンダ室内を反対側へ水平に移動し、シリンダ室内に食品が送り込まれて、その位置から回転バルブが90度回転し、シリンダ室の一端が上部押し出しポートに、他端が下部出口ポートに連通した位置で、排出ピストンを下降させて排出ストロークさせると、排出ピストンの下端がシリンダ室内のコマを押し下げ、シリンダ室内の食品はほぐし手段に送られる。次いで、回転バルブが90度逆回転し、シリンダ室の一端が入口ポートに連通した位置でスクリューコンベアにより食品が圧送されると、入口ポートに位置したコマが反対側に移動する。この操作を繰り返すことにより定量が行われる。
【0019】
上記のような回転型定量バルブの少なくとも入口ポートに、付勢手段により、その一端部が回転バルブの周面と強制的に当接させられるように装着されている中空筒状のカッター部材を設けることもできる。中空筒状のカッター部材としては、その一端部が回転バルブの周面と面接触する厚みを有するものが好ましく、また、他端がスプリング等の付勢手段を保持しうる程度の厚みを有するものが好ましい。さらに、回転バルブの周面と接するカッター部材の一端部を、入口ポートの中心方向に向かってテーパー形状に形成して当接面が増加する構成(カッター部材の一端部が、正のすくい角を有する構成)とすると、回転バルブの回転時に、食品をスムースにテーパー面に沿って上昇させ、食品が回転バルブ外周面とバルブチャンバー内周面との間にかみ込まれる可能性を低減しうる点で好ましい。また、回転バルブの周面と強制的に当接させるカッター部材の付勢手段としては、スプリング、弾性硬質ゴム等を例示することができるが、強い付勢力が得られる点で、スプリングが好ましい。なお、中空筒状のカッター部材は、バルブチャンバーの入口ポートに加えて、出口ポートにも装着することができる。さらに、回転型定量バルブ(タイプ2)や回転型定量バルブ(タイプ3)の場合、連通ポートや押し出しポートにも中空筒状のカッター部材を装着することができる。
【0020】
上記ほぐし手段としては、回転羽根と該回転羽根を回転させるモータ等の駆動機構を備え、定量手段から排出され落下してくる食品を、ほぐし手段の回転する回転羽根によりほぐし、食品をふんわりと充填しうるように構成されている手段であれば特に制限されないが、上記の回転型定量バルブの出口に連接される筒状の飛散防止フードを有し、飛散防止フード内に水平に軸支された回転軸を有する回転羽根が配設され、回転羽根下方のフード出口にシャッターを有するものが好ましい。回転羽根の回転軸は垂直又は斜め傾斜に軸支してもよいが、水平に軸支するとほぐし効果を高めることができる。また、回転羽根の羽根としては、回転軸から立設角度及び/又は立設位置を異にして放射状に突出した複数個の直方体状突出片を有するものが好ましい。回転羽根の回転数は、ほぐし対象となる食品の種類や羽根の形状にもよるが、通常3000〜4000rpm、好ましくは3200〜3800rpmで回転させると、短時間に食品が硬くしまった状態からふんわりとした状態へ変化させることができる。
【0021】
ほぐし手段の下方には、容器搬送用コンベアと、コンベア間欠駆動機構とを有する容器搬送手段を配設することが好ましい。一定量の食品が定量手段から排出され、落下途中でほぐし手段によりほぐされた食品は、ほぐし手段直下の容器搬送用コンベア上の容器に定量充填されるが、前記のように飛散防止フード下端にシャッターを設けておくと、容器の搬送中に食品が落下するのを防止することができる。容器の搬送ピッチとしては、4〜10秒、好ましくは4〜6秒とすることが生産性を高める点で好ましい。また、例えば回転型定量バルブ(タイプ3)を用いる場合、卯の花等の食品を収納したホッパーと、ホッパー底部から回転型定量バルブの入口まで水平に延設されたスクリューコンベアとを有する食品導入手段を備えたものが好ましい。
【0022】
さらに、回転バルブとして複数、例えば回転バルブの軸方向に5個のシリンダ室(充填物通路)を備えた円筒状のロータリー(円柱形)バルブを有する回転型定量バルブを用いるなど、食品導入手段、定量手段、ほぐし手段、容器搬送手段を多列構成し、生産性を上げることもできる。
【0023】
本発明の定量ソフト充填方法は、上記の本発明の定量ソフト充填装置を用いる方法で、回転羽根の回転数を3000〜4000rpmとすることにより、定量手段により圧縮された体積を、1.5〜3倍、好ましくは1.7〜2.5倍、より好ましくは2倍にすることができ、容器内にふっくらと充填することができる。
【0024】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
【実施例1】
【0025】
本発明の実施の形態を、図1〜図4を参照して説明する。図1は本発明の一実施態様に係る定量ソフト充填装置の側面視縦断面図であり、図2は図1のA−A断面図であり、図3は定量ソフト充填装置の動作説明図であり、図4は本発明の定量ソフト充填装置が搭載される充填包装機械50の全体図である。
【0026】
定量ソフト充填装置1は、食品導入手段10、定量手段20、ほぐし手段30、及び容器搬送手段40を備えており、食品導入手段10は、卯の花が収容されているホッパー11、ホッパー11の底部から定量手段(回転型定量バルブ;タイプ3)20の入口まで水平に延設され、卯の花を圧送するためのスクリューコンベア12が内設されている搬送パイプ13を備えている。ホッパー11下部には、スクリューコンベア12の上方で、スクリューコンベア12の軸と平行な軸を中心に回転する押し込み羽根14が設けられ、この羽根14によってホッパー11内の卯の花がスクリューコンベア12内へ押し込まれる。
【0027】
上記定量手段(回転型定量バルブ;タイプ3)20は、円柱形状のバルブチャンバーを構成するステンレス製のケーシング21を収容するハウジング22と、径方向に貫通するシリンダ室23を有し、バルブチャンバーの内周に沿って回転可能にケーシング21内に配置された円柱状のロータリーバルブ24と、ハウジング22に取り付けられ回転駆動軸28を介してロータリーバルブ24に駆動連結された空気圧式のロータリーアクチュエータ29と、ハウジング22に内設された排出シリンダ25内に待機し、ロータリーバルブ24のシリンダ室23内をシリンダ軸方向に進退自在に上下往復動して、シリンダ室23内の卯の花を排出する排出ピストン26が備えられている。
【0028】
ケーシング21の側周面にはバルブチャンバーの入口ポート21a、入口ポート21aと軸方向反対側側周面には空気排出孔21b、ケーシング21の上部側周面にはバルブチャンバーの押し出しポート21c、押し出しポート21cと軸方向反対側のケーシング21の下部側周面にはバルブチャンバーの出口ポート21dが設けられ、入口ポート21aは搬送パイプ13の吐出口に連通状態で連結され、空気排出孔21bはハウジング22外に連通し、押し出しポート21cはハウジング22内上方に形成された排出シリンダ25と連通し、出口ポート21dはほぐし手段30の飛散防止フード31内に開放されている。
【0029】
ロータリーバルブ24の上記シリンダ室23内には、シリンダ軸方向に往復動自在とされたシャトル型のコマ27があり、コマ27の両端面はロータリーバルブ24の外周面形状に合わせた曲面とされており、コマ27のシリンダ室内における相対回転を阻止するため、シリンダ室内面に固定され該シリンダ室内面をシリンダ軸方向に沿って一部平面状とする平キーと、該平キーに対応してコマ外周面を一部平面状に切り欠いた切り欠き部とで構成する回転規制機構が設けられ、また、シリンダ室両端のケーシング21側に、コマ27がシリンダ室外に移動することを阻止するストッパーが設けられている。
【0030】
上記ほぐし手段30は、バルブチャンバーの出口ポート21dを包囲するように下方に延設された角筒状の飛散防止フード31、飛散防止フード31の下部に水平に軸支された回転軸32aを有する回転羽根32、回転羽根を回転させるモータ34、回転羽根32の下方で、飛散防止フード31の下端出口に設けられたシャッター33から構成されている。回転羽根32の羽根32bは、回転軸32aから互いに180度間隔となるように回転半径方向に突出した3個の直方体状突出片として回転軸32aに固着されている。
【0031】
上記容器搬送手段40は、容器Pを載置することができ、上記ほぐし手段30の下方に設けられた容器搬送用コンベア41と、コンベア間欠駆動機構(図示せず)とを有する。ほぐし手段30に位置する容器Pに卯の花をふんわりと定量充填する動作を以下説明する。
【0032】
ホッパー11に投入された卯の花は、ホッパー11の底部から水平に延設されたスクリューコンベア12により、搬送パイプ13を経由して定量手段20のバルブチャンバーの入口ポート21aまで圧送され、入口ポート21aと連通状態に位置するロータリーバルブ24のシリンダ室23の入口ポート21a側端部に位置するコマ27を反対側端部まで押しながら、2秒間でシリンダ室23内に50gの卯の花が緻密に定量充填される。その際、コマ27背面側の空気は空気排出孔21bからハウジング22外に排出される(図3(a)〜図3(b)参照)。シリンダ室23に一定量(50g)の卯の花が収容されると、コマ27はスイッチ51をオン操作する。このオン操作によりロータリーアクチュエータ29が駆動されてロータリーバルブ24が時計回りに0.6秒で90度回転し、シリンダ室23の一端(コマ27がある方)が押し出しポート21cに位置し、シリンダ室23の他端が出口ポート21dに位置する(図3(b)〜図3(c)参照)。次いで、ハウジング22に内設された排出シリンダ25内に待機していた排出ピストン26が下降し、シリンダ室23内のコマ27を押し下げ1秒間でシリンダ室23内の50gの卯の花を出口ポート21dから、飛散防止フード31内に排出する(図3(c)〜図3(d)参照)。排出ピストン26は0.6秒で初発の待機位置まで上昇復帰した後、ロータリーアクチュエータにより駆動されてロータリーバルブ24が反時計回りに0.6秒で90度回転し、シリンダ室23の一端(コマ27がある方)が入口ポート21aに位置し、シリンダ室23の他端が空気排出孔21bに位置する(図3(d)〜図3(a)参照)。これで一回の充填動作が終了する。この状態で再びスクリューコンベア12が2秒間駆動し、シリンダ室23内に50gの卯の花が緻密に定量充填される。以後、この動作が繰り返される。
【0033】
飛散防止フード31内に排出された卯の花は落下途中で回転速度3600rpmで回転する回転羽根32に衝突粉砕されてほぐされ、容器搬送用コンベア41上の容器Pに、硬い緻密な状態からほぐされて、体積が2倍となったふんわりした状態で定量充填される。定量充填が終了すると、飛散防止フード31の下端出口に設けられたシャッター33が2秒間閉鎖し、その間に容器搬送用コンベア41が1ピッチ進む。このようにして、定量ソフト充填装置一台あたり750パック/時間のふんわりとした卯の花製品を得ることができた。
【0034】
図4は、本発明の定量ソフト充填装置1が搭載される充填包装機械の全体図である。充填包装機械50は、卯の花が充填される容器Pを充填包装機械50に供給する容器供給装置2と、供給された容器内に負圧を作用させて清掃する容器清掃装置3と、卯の花が充填された容器Pの開口部にフィルム状の蓋材を供給する蓋材供給装置4と、容器Pに蓋材をシールする密封装置5と、容器Pにシールされたフィルム状蓋材を容器P毎に打ち抜き切断する切断装置6と、卯の花が充填され密封された製品容器Pを排出する製品排出装置7とを備えている。本発明の定量ソフト充填装置1は、容器清掃装置3と蓋材供給装置4の間に配設され、容器清掃装置3で清掃された容器P内に、卯の花を充填できるようになっている。上記一連の装置へ、容器搬送用コンベア41が容器Pを順次搬送するようになっている。容器搬送用コンベア41は、搬送方向に直行する方向に複数個の容器Pを保持して複数列で容器Pを搬送することもできる。容器搬送用コンベア41が容器Pを複数列で搬送する場合、定量ソフト充填装置1は、図2の左右方向に食品導入手段10、定量手段20、及びほぐし手段30を併設すれば良い。この場合、ロータリーバルブ24や回転羽根32は、それぞれ同一の回転軸上に設け、その駆動手段であるロータリーアクチュエータ29や、モーター34を単一化することもできる。
【実施例2】
【0035】
実施例1の卯の花に代えて、にんじん、干ししいたけ、こんにゃくの各細切りの煮物が配合された白和えを同様に用いて定量充填した。この場合も、体積が2倍となったふんわりとした食感を呈する60gの白和え製品を、定量ソフト充填装置一台あたり750パック/時間の高生産性で得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施態様に係る定量ソフト充填装置の側面視縦断面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】定量ソフト充填装置の動作説明図である。
【図4】本発明の定量ソフト充填装置が搭載される充填包装機械の全体図である。
【符号の説明】
【0037】
1 定量ソフト充填装置
2 容器供給装置
3 容器清掃装置
4 蓋材供給装置
5 密封装置
6 切断装置
7 製品排出装置
10 食品導入手段
11 ホッパー
12 スクリューコンベア
13 搬送パイプ
14 押し込み羽根
20 定量手段
21 ケーシング
21a入口ポート
21b空気排出口
21c押し出しポート
21d出口ポート
22 ハウジング
23 シリンダ室
24 ロータリーバルブ
25 排出シリンダ
26 排出ピストン
27 コマ
28 回転駆動軸
29 ロータリーアクチュエータ
30 ほぐし手段
31 飛散防止フード
32 回転羽根
32a回転軸
32b羽根
33 シャッター
34 モーター
40 容器搬送手段
41 容器搬送用コンベア
50 充填包装機械
51 スイッチ
P 容器


【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品の定量手段と定量された食品のほぐし手段とを備え、前記ほぐし手段が回転羽根と該回転羽根を回転させる駆動機構を備え、定量手段から排出され落下してくる食品を、ほぐし手段の回転する回転羽根によりほぐし、食品をふんわりと充填しうるように構成されていることを特徴とする定量ソフト充填装置。
【請求項2】
定量手段が、入口ポートと出口ポートとを備えたバルブチャンバーを構成するケーシングと、該ケーシングのバルブチャンバー内周に沿って回転可能に配置された回転バルブと、該回転バルブを回転させる回転手段とを備えた食品の定量充填に用いられる回転型定量バルブであることを特徴とする請求項1記載の定量ソフト充填装置。
【請求項3】
回転型定量バルブが、シリンダ室を有する回転バルブと、シリンダ室内を進退しうるコマを有することを特徴とする請求項1記載の定量ソフト充填装置。
【請求項4】
回転羽根が、水平に軸支された回転軸を有することを特徴とする請求項1又は2記載の定量ソフト充填装置。
【請求項5】
回転羽根が、回転軸から立設角度及び/又は立設位置を異にして突出した複数個の直方体状突出片を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の定量ソフト充填装置。
【請求項6】
ほぐし手段が、飛散防止フードを有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載の定量ソフト充填装置。
【請求項7】
ほぐし手段が、回転羽根下方にシャッターを有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか記載の定量ソフト充填装置。
【請求項8】
ホッパーと、ホッパー底部から定量手段の入口まで水平に延設されたスクリューコンベアとを有する食品導入手段を備えたことを特徴とする請求項2〜7のいずれか記載の定量ソフト充填装置。
【請求項9】
容器搬送用コンベアと、コンベア間欠駆動機構とを有する容器搬送手段を備えたことを特徴とする請求項1〜8のいずれか記載の定量ソフト充填装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか記載の定量ソフト充填装置を用いる食品の定量ソフト充填方法であって、回転羽根の回転数が、3000〜4000rpmであることを特徴とする定量ソフト充填方法。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれか記載の定量ソフト充填装置を用いる食品の定量ソフト充填方法であって、ほぐし手段により体積を1.5〜3倍にすることを特徴とする定量ソフト充填方法。
【請求項12】
食品が、卯の花、白和え又はひじきであることを特徴とする請求項10又は11記載の定量ソフト充填方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−55640(P2007−55640A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−241370(P2005−241370)
【出願日】平成17年8月23日(2005.8.23)
【出願人】(000180298)四国化工機株式会社 (44)
【Fターム(参考)】